人を襲うハナミズキ

作者:なちゅい

●花咲く木々はうごめいて
 ハナミズキと言えば。
 街路樹として多く見かける他、庭木や公園内に植えられる木としても知られる。
 丁度、今の時期に白、赤、ピンクといった色の花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれる植物……なのだが。

 大阪府大阪市。
 とある日の昼間、どこからともなく漂う謎の花粉。
 それらが狙ったのは、街路樹として歩道に植えられたハナミズキの木々だった。
 ほぼ同時に、それらは攻性植物化し、5本が土から這い出て通行人へと襲い掛かり始める。
「な、なんやねん、これ!」
「逃げぇ、はよ、逃げぇ!!」
 突如としたデウスエクスの出現に、この場の人々は慌てふためき、逃げ惑う。
 だが、攻性植物と化したハナミズキ達は人々をうごめかせたその根で捕らえ、あるいは幹を大きく裂いて口を開いて食らい付いてしまう。
 攻性植物は我が物顔で躊躇なく人々を手にかけて命を奪い、街はたちまち阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのである……。

 攻性植物の動きについて聞いたケルベロス。
 ヘリポートに集まる彼らの姿に、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は頼もしさを覚えて笑顔を零す。
「皆、駆けつけてくれてありがとう」
 とはいえ、事態は穏やかではない。表情を引き締めた彼女は早速、状況説明を始める。
 爆殖核爆砕戦の結果、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物達が動き出したようだ。
「攻性植物達は、大阪市内への攻撃を重点的に始めているようだね」
 おそらく、大阪市内で事件を多数発生させて一般人を避難させ、大阪市内を中心に拠点の拡大を狙っているのだろう。
 個々としては、大規模な侵攻ではない。
 だが、このまま放置すれば、ゲート破壊成功率も『じわじわと下がって』しまう。
「なんとか阻止したいね。だからこそ攻性植物の侵攻を防いだ上で、逆に隙をついて反撃に出たいところだね」
 今回現れる敵は、ハナミズキの攻性植物だ。
 謎の胞子によって、複数の攻性植物が一度に市街地で誕生し、暴れ出そうとしてしまう。
 しかも、この攻性植物達は一般人を見つけるとすぐ殺そうと動くという。
「敵の数も多いから、非常に危険な状態だよ」
 だが、この攻性植物達は別行動することなく固まって動くこと、そして、戦い始めれば逃走などの行動を行わないこともあり、対処は決して難しくはない。
 とはいえ、数で押し寄せる敵は同じ植物から生まれた攻性植物ということもあり、互いに連携も行ってくる。油断は禁物だ。
「現れるハナミズキの攻性植物は5体だね」
 リーダーはおらず、いずれの個体も同程度の能力を持つ。
 3体はクラッシャー、2体はジャマーとして行動し、それぞれの布陣でグラビティが異なる。
 クラッシャー陣は、捕食、光花、埋葬。ジャマー陣は光花、蔓触手、収穫といった形態を使い分けて来るようだ。
「敵が現れるのは、大阪の市街地で、車両の通行もある道路だよ」
 近場に並ぶ5本のハナミズキの木が攻性植物となった直後、ケルベロス達は現場に駆けつけることが可能だ。
 すぐ、警察、消防は駆けつけるはずなので、そのタイミングで避難誘導を引き継ぐことができるはずだ。
 できるかぎり、攻性植物の抑え、討伐に専念したい。
 説明を終え、リーゼリットはケルベロス達にすぐ出発できるかどうかと尋ねる。
 皆が問題ないことを確認し、彼女は参加する面々を自らのヘリオンに招き入れつつこう告げた。
「攻性植物の目論見を完全に阻止して欲しい。よろしく頼んだよ」


参加者
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
シャルロット・フレミス(蒼眼の竜姫・e05104)
シャイン・ルーヴェン(月虹の欠片・e07123)
狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)
マイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)
ラズリア・クレイン(黒蒼のメモリア・e19050)
キアラ・エスタリン(導く光の胡蝶・e36085)
水町・サテラ(サキュバスのブラックウィザード・e44573)

■リプレイ

●人の心癒すはずの花が……
 大阪府大阪市。
 攻性植物の襲撃を受けるこの地に、ケルベロスが降り立つ。
「美しい花が暴れ出すなんて、酷いお話ですね」
 動き出したハナミズキの木々を遠くに見て、スタイルのよい身体を惜しげなく見せる、水町・サテラ(サキュバスのブラックウィザード・e44573)が顔をしかめる。
「花を愛でる心は忘れないけど、こういうのはダメね」
 騎士然とした人派ドラゴニアンのシャルロット・フレミス(蒼眼の竜姫・e05104)が仲間に同意しつつ、隠密気流を使った上で竜の翼を羽ばたかせて上空を舞う。
 突如デウスエクスが現われたことで、地元民達は慌てて逃げ出そうとしている。
 そして、攻性植物となった5体のハナミズキは人々に対して、蔓触手とした枝で締め付けてきたり、数本絡めた枝の尖端を口のように変形させて食らいついてきたりしてくる。
 続いて華麗に着地したのは、絹糸のような銀色の髪を揺らす麗人。
「人の心を癒す花……人々の命を奪うなど、させない」
 魅惑的な瞳を細めたシャイン・ルーヴェン(月虹の欠片・e07123)はすぐさまこの場に殺界を形成し、新たな一般人の接近を防ぐ。
「あまりやる気が出ないわねえ」
 こちらはミステリアスな印象を抱かせるも、布地の小さな衣服で素肌を大きく晒すマイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)。
 今回の依頼は知的、性的な欲求を満たせる場でなく、さほどやる気を見せぬ彼女だが。
「まあ、仕事だし、怪我してもつまらないから」
 それでも、マイアなりにこの討伐依頼へと真面目に取り込む様子だ。

●狂った想いは受け止められず
 街路樹として植えられたハナミズキ。
 今にも人々に襲い掛かろうとする木々の前に、数人のケルベロスがやってくる。
「おっと残念、そこでストップです」
 赤い鱗に包まれた竜の翼と尻尾で相手の動きを制したのは、チーム唯一の男性、据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)だ。
 ケルベロスの出現に、攻性植物達が僅かに動きを止めた。
「とても大きい植物……オグンソードミリシャ以来かしらね」
 サテラは4、5mもの巨体を持つ相手の姿を見上げる。
 これが暴れれば、街が破壊されるのはもちろん、人々の犠牲は避けられない。
「私、ハナミズキは白いお花が好きです」
 ――あの花を、人々の血で染めるわけにはいかない。
 ラズリア・クレイン(黒蒼のメモリア・e19050)は動く度にブルーサファイアの髪で軌跡を残しながら、同じ色の瞳で木々に咲く花を見据える。
 それ以外の面々は突如現われた攻性植物に対処できず、逃げ惑い、あるいは立ちすくむ一般人の避難誘導へと当たる。
「ケルベロスです! 皆さん指示に従って避難を行ってください!」
 黄金に輝く蝶型の光の翼を羽ばたかせ、キアラ・エスタリン(導く光の胡蝶・e36085)は人々に呼びかけながら、死角となりそうな場所に逃げ遅れた人がいないかと探して回る。
 周囲では、シャインが名乗りを上げて地元民に避難を促していた。
 ダイナマイト変身したマイアはラブフェロモンを全開にし、人々の気を引いてこの場から離れるよう呼びかける。
 その際、マイアは自分好みな男性に唾をつけとこうと、声がけも忘れない。
 誤って現場に近づく一般人には、狐の人型ウェアライダー、狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)が身を張って。
「楓さんに任せるっすよー!」
 この場は、全てケルベロスに託して欲しい。
 そう告げつつ避難に当たる楓は、この場に急行してくる警察、消防のサイレンを耳にしていた。
 さて、攻性植物となったハナミズキを抑えるメンバー達。
「では、参りましょうか」
 ラズリアは白い翼を広げ、臨戦態勢に入る。
 そこで、空から翼を羽ばたかせたシャルロットが奇襲を加えるべく、飛び込んできた。
「ハナミズキ……綺麗な花だが、容赦しない」
 だが、手前の一体は根を動かして巨体ながらも後方に身を動かして避けてみせる。
「一般人の多い場所で、好き勝手暴れさせるわけにはいかないわ。頑張りましょう」
 攻性植物を引きつけようと、ラズリアも己の存在を示すように自身の周囲に魔法陣を展開させた。
 サテラは壁役を請け負う仲間をバックアップすべく、後方に立つが。
「今の時期ではよく、公園に綺麗なピンクの花を咲かせているのに……」
 襲い来るハナミズキの木々の姿に悲しみを覚えつつ、彼女はグラビティを行使していく。

 ハナミズキの花言葉は、『私の想いを受けとめてください』。
 だが、攻性植物となり、グラビティ・チェインを奪う為に暴れる木々を見過ごすわけには行かない。

●散らす前に蹴散らせ!
 消防、警察が駆けつけてくる中、避難誘導にあたるケルベロスがその引継ぎを行う。
 その間に戦いは始まり、向かい来るハナミズキの攻性植物を4人が迎え撃つ。
「さあ、私達が相手よ」
 凛然と対するシャルロット目掛け、攻性植物の1体が咲かせた花を光花形態として破壊光線を放ってくる。
 それを受け止めたシャルロットは相手の動きを止めようとするのだが、グラビティに難があって想定通りの攻撃ができない。
 ただ、相手が黄金の果実を煌かせていたのを目にし、彼女は暴風を纏った蹴りを仕掛け、相手の進化した力を打ち砕こうとしていた。
「始原の楽園より生まれし剣たちよ。我が求めるは力なり」
 手前で並び立つラズリアは、展開した魔法陣から剣を生成して。
「蒼き輝きを持て獄炎に舞え!」
 刹那蒼く燃え上がる炎を纏う剣は近場の攻性植物3体の枝や根を切り飛ばし、その跡を燃え上がらせた。
「皆様は私がお守り致します」
 手前の敵は、力任せに攻撃してくる。
 そいつらを抑えることこそ自身の役目と、ラズリアは身構えていた。
「攻性植物も、あの手この手で攻めてきますな」
 枝が纏まって大きく口を開くその尖端を、赤煙はライトニングロッドでできるだけ防ぎながらも前方に雷の壁を展開して。
「ですが、ゲートの顕現を見てもなお大阪に住み続ける、勇気ある人々のためにも、引くわけには行きません」
 眼鏡を吊り上げた赤煙は毅然と身構え、数で攻めて来る攻性植物に備える。
 その3人に、サテラは紙兵を撒いて守りへと当たらせていた。
 ともあれ、避難班が駆けつけてくるまでは戦線を維持させねば、周囲の人々に危険が及ぶ。
 だからこそサテラも仲間を守る為、そして、大阪の街と人々を守る為に力を尽くす。
「……待たせたわね」
 やや気だるげな態度で、仲間の中央に布陣したマイア。
 避難班から戦線に加わる彼女は腕に巻きつけた攻性植物より黄金の果実を収穫し、仲間に進化を促していく。
 次々に、この場へとやってくる避難班メンバー達。
 続いて、キアラがサテラの隣に位置して。
「今、癒します。蒼の抱擁にて、再び立ち上がる力を!」
 すでに傷を受ける仲間へ、キアラは光の翼から蒼く優しい光を放っていく。
 優しい光が仲間達の体を包み込み、傷を少しずつ塞いでいった。
 生真面目な態度をとるキアラはさらに、仲間の回復へと当たる。
「楓さんと戦う方が楽しいっすよー!!」
 その横へとさらに楓が駆けつけ、勢いで敵に飛び込んでいく。
「だから、こっちに向かってくるっす!!」
 伸ばしてくる蔓触手が仲間の体に絡みついていたのを見て、高く跳び上がった楓は重力を宿す蹴りを叩き込んでいく。
 そいつは体勢を崩しかけたが、隣の敵が白い花から破壊光線を発射してくる。
 一筋の光に貫かれた楓は地面へと落下してしまうが、敵の強さを実感して笑顔を浮かべる。彼女は根っからの戦闘狂なのだ。
 そして、髪を靡かせながら、仕掛けていくシャイン。
 すでに仲間達は、ジャマー、阻害役に攻撃を集中させている。
 ならばこそ、チーム唯一の火力役として、彼女もまた全力で攻め込むのみだ。
「凍てつけ、絶対零度の螺旋!」
 仲間に続く形で、シャインは氷結の螺旋を発する。
 巻き起こる風が白銀のドレスを翻す中、後方の1体の周囲を凍える嵐が吹きすさぶ。
 全身を凍りつかせた1体はもはや動くことができず、氷の中でその命を終わらせたのだった。

 迅速なケルベロスの誘導、それを引き継いだ消防、警察の動きもあり、現状、現地の人々に大きな被害は出ていない。
 だが、ぼやぼやしていれば、ハナミズキの攻性植物は人々の命を散らしていくことだろう。
 その前に、攻性植物の花々を逆に散らさねばならない。
 ケルベロスの狙いは後方の阻害役に向いているが、前に出て攻めて来る敵の攻撃力は侮れない。
 面倒なのは、地中に根を伸ばして周囲を侵食する埋葬形態。
 ケルベロス達はこの対策を練りながら、相手の撃破に臨む。
「喝ッ!!」
 音速の拳を叩きつけていた赤煙は、時に拳から相手の体に干渉して気のバランスを崩す。
 その赤煙の横でラズリアは天使の翼を広げ、オーロラの光を発して前線の仲間を支援する。
 阻害役が輝かせた果実による強化に対しては、サテラが仲間へと内なる狂気を解き放ち、仲間達にそれを纏わせることで強化を打ち砕く力を与えていた。
 戦いの最中、楓は光る何かをいくつも宙に放り投げて。
「綺麗なお花さんでも楓さんの前に立つなら、切り刻むっすよー!!」
 相手の正面に飛び込み、楓は阻害役を牽制する。
 ただ、楓自身は囮でしかない。
 実際の攻撃は、宙から落ちてくる無数の刃だ。
 すでに仲間が与えていた傷を抉るように刃は突き刺さり、相手の枝や根を切り落とす。
 力尽きたのか、そいつは幹をぐにゃりと曲げるように倒れていき、物言わずただの木となっていった。
 これで、残りは力任せに攻める敵が3体。
「相手は3種の形態をローテーションさせているようだな」
 機動力を生かし、刃で斬りかかるシャインが仲間に告げる。
 相手の攻撃は、3体がバラバラに、光花、捕食、埋葬と繰り返し攻撃する形。
 埋葬形態が比較的避けやすい点を考慮しつつ、赤煙は相手の攻めにじっと耐える。
 キアラも花びらを舞わせて踊り、攻性植物の及ぼす異常を仲間から振り払うよう動いていた。
 そうして耐えていれば、チャンスはケルベロスへと巡って来る。
 回復役2人とコンタクトを取るラズリア。
 まるで花のように舞いながら戦う彼女は、ここは攻め時だと星槍コル・レオニスを相手に差し向けて。
「舞って、舞って……散れ」
 槍の尖端より不可視の虚無球体を発し、相手へと飛ばす。
 それは触れたもの全てを消滅させる。
 攻性植物は抵抗しようともがいていたが、やがて体のゆっくりと侵食させるように巨体を蝕まれ、姿を消してしまった。
 相手の数が減ってくれば、ケルベロスの攻めも勢いづいてくる。
「……ふふふ、私は何もしてないわよ?」
 貴方を狂わせるのは、他ならぬ貴方自身。
 魔力を込めたマイアの瞳は、その先にいた攻性植物の体の身体機能を大きく損なわせていく。
「もう少しで夏だけど、貴様達にはやってこないわ」
 マイアの視線によってもがき苦しむ敵へ、ヒットアンドアウェイで立ち回るシャルロットも攻め入る。
「猛る雷雲、戦場の硝煙、駆ける煌き……出でよ竜の雷!」
 呼び寄せた雷雲から落ちる雷を『滅竜刀 -轟-』で受け止めた彼女は、刃を攻性植物の幹へと走らせる。
 手応えは十分だったが、止めには浅い。
 絡む枝の尖端を大きな口とした敵は、シャルロットへと食らいつこうとした。
 だが、その前にシャインが躍り込んできて。
「私と共に踊れ!」
 白銀のドレスを舞い上がらせ、深いスリットから惜しげもなく晒される美脚。
 しかしながら、見とれる暇など彼女は与えず、その幹に10センチピンヒールを抉りこんでいく。
 幹が折れるほどの衝撃を受けた攻性植物は上体を後方へと倒し、潰えていった。
「また会いましょう、あの世でね」
 涼しげに美称を浮かべ、シャインは残り1体の対処に移る。
 こちらも全身に傷を増やし、動きがぎこちなくなってきていた。
「攻性植物、いつであっても許せませんね」
 キアラには、花を愛でる花の魔女である義理の姉がいる。
 だからこそ、彼女は花を咲かせた木々が人を襲う様が許せない。
 回復役となっていたキアラだが、最後は自らの手でと御業を自らの体へと降ろし、勇猛果敢に攻めて行く。
「命を奪う花は、ここで仕留めてみせます!」
 相手が仲間の攻撃で怯む隙に、キアラは炎弾を発射する。
 正面から受けた一撃によって攻性植物のグラビティ・チェインが完全になくなり、その体が大きく燃え上がっていく。
 攻性植物の体が燃えるのを目にし、キアラは安堵の為か頬に一筋の涙を零すのだった。

●あっつあつのたこ焼き!
 攻性植物を倒したとはいえ、大阪の街に被害が皆無というわけにはいかない。
 この場は、サテラが様々なヒールグラビティを用意しているからと気合を入れ、荒れた街を修復したいという想いを破壊された場所にぶつけ、幻想で満たしていく。
 マイアは破壊された周囲の建物に黄金の果実を輝かせ、シャイン、シャルロットはヒールグラビティを持つ仲間を手作業で援護する。
 折れかけた街灯へと、電気ショックを飛ばす赤煙。
「お、おや? ヒールに下心が出てしまいました」
 それはどことなく、たこ焼きを思わせるようにも見えて。
「折角の機会ですから、堪能させて頂こうかしら」
 その街灯を目にしたラズリアが言うには、大阪のたこ焼きは未体験とのこと。
 彼女もオーロラの光を放って街の修復に尽力し、仲間と共に食しようと考えていたようだ。

 そうして、被害から逃れたハナミズキの木々が花を咲かせた街は、幻想混じりに修復されて。
「たこ焼き美味しい♪」
 活気付く街中で、爪楊枝で器用に小分けにしたシャインが口に一切れ入れて、鼻にまで広がるたこ焼きの風味に声を弾ませる。
 ケルベロス達は戦場跡の通りに面した場所のたこ焼き店のそばで、出来立てのたこ焼きを食べていた。
 楽しみにしていたようで、赤煙もラズリアも、その味を堪能していたようだ。
「ようさん焼くさかい、遠慮のう食べなはれ」
 関西弁がよく聞き取れぬらしく、サテラは調子を合わせつつパックを手に取る。
 ただ、猫舌らしい彼女は、ふーふーとたこ焼きを覚ましてから食べていたようだ。
 一方で、楓は熱々のままで口の中へと放り込む。
「ハフハフ、うまーっす!!!」
 いっぱい戦った彼女は、皆が無事にこうしてたこ焼きを食べていること、そして、こうして美味しいたこ焼きが食べられることに幸せを感じて。
「たこ焼きうまーっす!!! うまーっすよー!!!」
 これでもかとその気持ちを示すように、楓は大声で叫ぶのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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