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ポツ、ポツ、水滴がアスファルトにシミを残し、霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725) は傘を広げた。
「やっぱり降り始めたか……」
眉を寄せて、傘越しに空を見れば、ずっとぐずっていた曇天は少しずつ雨粒の勢いを増して、いつしか号泣し始めたように雨を降らしている。人々は慌ててどこかへ去っていき、カイトもまた傘を持っているとはいえ、家路を急いでいた。
「……げ」
道の向こうから歩いてくる人影を見て、露骨に顔をしかめてしまった。どこか自分に似た風貌で黒い傘をさしており、昔を思い出してしまったから。
「……見つけたぜ」
すれ違った瞬間、聞こえた呟きが刃のようにカイトの首に添えられた。咄嗟に飛び退いた後を、手刀が撫ぜる。
「なんだお前?」
躱したはずなのに、指先から散った雨粒が当たった首が痛む。カイトは強烈過ぎる殺気を前に、無意識のうちに片脚を引いて身構えていた。
「俺はお前……いや、違うな。お前が俺だ」
「なんだそりゃ?」
ふざけているのか? と首を傾げた時、男は口角を上げて欠けたバイザーの向こうで目を見開く。
「お前は俺のパーツなんだよ……俺の名は『カイト』。お前を殺す事で完成する機体だ……!」
「皆集まったね!?」
大神・ユキ(元気印のヘリオライダー・en0168)は武装を終えた番犬達にレインコートを配りながら口早に説明を始めた。
「霧島カイトさんがデウスエクスに襲撃されるって分かったんだけど、連絡がつかなかったの。急いで救援に向かって!」
急ぎなのは分かるのだが、雨天というぐらいで何故雨具を配るのだろうか、と不思議そうにする番犬達にユキは真剣な眼差しを向ける。
「敵はどことなく霧島さんに似てるんだけど、能力も似てるみたい。そのレインコートは必ず着ておいて……どのくらいもつか分からないけど、ないよりましだと思う!」
番犬達は察した。敵の武器は、今まさに降り注いでいる雨すら利用するモノなのだと。
「この雨はしばらく続きそうだし……もしかしたらただの雨じゃないのかも。濡れないように気を付けて欲しいんだけど、一番は戦闘を長引かせない事だよ!」
恐らく、配られた雨具が身を守ってくれるのはそう長くない間なのだろう。戦闘が長引けば長引くほど、ジワジワと追い詰められていくのかもしれない。
「急いでやっつけて、濡れて風邪ひく前に帰って来てね!」
笑って見せるヘリオライダーだが、握った掌は震えていた。
参加者 | |
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![]() 霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725) |
![]() ビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893) |
![]() 御子神・宵一(御先稲荷・e02829) |
![]() 霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479) |
![]() 綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821) |
![]() フェイト・テトラ(黒き魔術の使い手・e17946) |
![]() 白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586) |
![]() 病院坂・伽藍(濡れ鼠・e43345) |
●
雨が降っている。激しく降り注ぐ水は大地を叩き、『カイト』と取っ組み合う霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725)の体を濡らしていた。
「お前が、俺だって言うなら、俺はお前を助けたい……!」
互角に見えて、『カイト』の方が膂力は上。それでも、歯を食いしばり意地で押し切らせはしない。
「素直に殺されたくはない……でも、俺は『俺』を殺したくもない……それに、お前は本当に『カイト』として見られてるのか?」
「うるせぇ!」
黒い機人は憎しみを……『感情』を露わにして、一歩踏み込んだ。
「タスクを放棄したお前が……オリジナルでありながら逃げ出したお前が、見下すんじゃねぇ!!」
「目を覚ませ!お前はあの人に縛られているだけだ!俺は、その役目【呪い】に抵抗したい……お前を救ってやりたいだけなんだ!!」
「ふざけるな!」
指とマニピュレーターが互いを圧迫して軋みを上げる。
「目を覚ませだと?救ってやるだと?何を偉そうに!エラーを起こしてトチ狂ってるのはお前の方だ!」
「この……!?」
加えられる圧力に対抗しようとして、力が入らない。
(この雨……まさか……)
「気づいたか?」
手を離した『カイト』はカイトの腹を穿つように拳を叩きこみ、顔面を蹴って打ち上げ、折れた体を弾き起こすと髪を掴んで額を叩き付ける。
「この雨には俺の魔力を混ぜてある。この場所そのものが俺の術中みてぇなもんだ。嬲り殺しにしてやるよ……」
「あぁ、カイトがなんかやたら悪そうな顔に!」
降下してきた霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)こと真っ黒なゴミ袋……もとい、レインコートが着られず、レインサバトな黒サバト。
「……くっ、俺の嫉妬パンチで爆破矯正してやります!」
拳に重力鎖を纏わせて、白銀の輝きを放つ裁一が今、その鉄拳を……。
「リア充は死ねぇええええ!!」
カイトに叩きこんだ!
「あっ」
「ちょっ!?」
うん、殴られたのはカイトの方なんだ。直撃と同時に輝きは激しさを増し、小爆発と共にカイトを吹き飛ばして周囲に残光を散らす。何が信じ難いって、これヒールなんだよ。
「ということでワイルドハントじゃないそっくりさんということはドッペル的な。会ったら死ぬ奴!」
ビシィ!『カイト』に人差し指を突きつけて、むふー、と呼吸を荒げる裁一。
「貴重なうちの団員は死なせないのであなたをデストロイ!」
「チッ」
睨み合う二人を眺めて、カイトは思う。
「サバト団長、明らかに見分け付いてるのになんで俺が殴られたの……?」
●
「カイト君、大丈夫!?」
駆け寄った綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821)がカイトを助け起こし、余分に持ちこんだ雨具を着せた。
「この雨、浴び続けると不味いみたいだからこれを着て!」
「助かる……でも、濡れるのを防ぐだけじゃ長くは持たない、速攻でケリを付けよう……!」
「そうね……まずは通過儀礼かしら」
「?」
疑問符を浮かべるカイトだが、理解しない方がよかったと思うまであと十四秒。
長年(意味深)アイドルとして活躍したぽてとにとって、水溜りだらけで滑りやすい足場など、悪条件に含まれない。深みを避けるように軽やかなステップ。雨音に合わせて踏み込み気配を読ませず『カイト』の背後に回って……。
「るぶをっ!?」
股間を思いっきり蹴り上げた。
「ぽて……おま……それ……!」
オカマな夢喰のトラウマがカイトを襲う!
「え?でもカイト君、速攻で蹴りを入れようって……」
「違うぞ!?」
雨音のせいで聞き間違った故の悲劇だった……。
「い、今がチャンスっすかね……?」
傘を広げてフワフワと降下してくる病院坂・伽藍(濡れ鼠・e43345)だが、若干内股気味なのは、察してあげよう。
中空で傘を畳み、急激に落下する伽藍は、臓器を直接蹴り上げられたような苦痛に悶える『カイト』の脳天目がけて踵を振り下ろし、自身は反動で跳ね返り、抜刀。
黒百合の名に反して、帯電して白い閃光を纏う得物でその首を狙うが、地面を転がった機人に躱され首筋に緋色の線を刻むのみ。
跳ね起きた『カイト』は着地前の伽藍を蹴り飛ばし、カイトに狙いを定めようとするが視界の端に閃く白刃を見て、咄嗟にそれを袖に似た装甲で受け、しかし斬撃を防いでなお帯電した得物に小さく火花と白煙を散らす。
「やはり、カイトさんにそっくり……あ、外見は全然似てませんよ」
御子神・宵一(御先稲荷・e02829)は刃を滑らせて胴を狙うが刃の腹を肘で落とされ、体勢を崩した瞬間に鼻っ柱目がけて蹴りが飛んでくるが、踏み込んで強引に体を起こし空振りに終わらせ、得物を反転させて切先を突き立てようとするも装甲の厚いジャケットのような部位で阻まれ、深手には至らない。
「本当、やたら打たれ強くてキメさせてくれない辺り、そっくりです……!」
いつもなら頼れるカイトの装甲が、『カイト』という敵として立ちはだかる事で宵一は奥歯を鳴らし後方へ跳ぶ。
「地道に攻めていくしかなさそうですが……」
ビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893)の肩に黒い針鼠が現れ、タコを頬張る。
「あまり時間はかけたくありませんね!」
ビスマスが見たのは、少しずつ侵食されるレインコート。長引かせればロクな事にならないのは明白だ。
針鼠ことクロガがタコを完食して、けぷぅ。小さく息を吐くと針の先から生地が展開、その背を包み込んで熱を持ち、ホカホカに焼けた球体に化ける。
「クロガさんお願いしますっ!」
応よ、とでも応えるように伸ばされたビスマスの腕をクロガが駆け、跳んだ。
「ローカルウェポン……」
飛び出したクロガは身を丸め、巨大なたこ焼きに姿を変えると重力鎖で更に加熱、白煙とソースの香りをまき散らしながら飛来。回避に動いた『カイト』へ向けて。
「クロガシューター!」
爆発を起こして急加速。さらに軌道を曲げて機人へ追い縋り、叩き落とそうと振るわれた腕とぶつかり合い、雨粒を蒸気に変える音と共に装甲を赤熱させて吹き飛ばされるが、クロガが視界を隠してできた死角……真正面からビスマスが肉薄。
「秘儀、たこ焼き返し!!」
串でたこ焼きを丸めるように、敵の足首を蹴りつけて絡め、生地を崩さぬよう素早く回すように脚を振り上げて敵を脳天から地面に叩き落とす。
「さっさと終わらせちゃいましょうかねん!?」
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)は小脇に小豆柄の雨具を着たたいやきを抱えて到着。箱竜を後衛に羽ばたかせ、自身は白焔を身に纏う。
「さぁ、覚悟はいいな?」
●
人が変わったように鋭い眼光で敵を見据える永代は踏み込みと同時に地面をスライド。不規則過ぎる加速で距離を詰め、掌底を叩きこむなり脚も動かさずに動き回って見せる。原理は実に単純で、脚に纏わせた白焔で地表の水分を蒸発させ、生まれた空気の対流に乗って浮遊、空間を滑っているに過ぎない。
「なんだよお前……!」
苛立つ『カイト』に永代が再び肉薄。カウンターに振るわれる拳を回避しながら側頭部を蹴り込み、蹴った脚を振り切って一転、加速させた貫手で脇腹を狙う。
「やはり、そこが脆いか」
ジャケットのような装甲も、鎧のような装甲も覆い切れていない、僅か数ミリの腹部。そこを永代の指先が穿ち、スパークが散った。
かつてカイトは土手ッ腹をぶち抜かれた事がある。凍護機人と名高い彼の装甲が破られたのは敵の力量もあるが、人を基にした機体である故に骨組みの無い腹部は装甲が薄く、そこを突かれた点もある。
「クソがァ……!」
膨れ上がる殺気に永代が飛び退き、たいやきとナメビスがフェイト・テトラ(黒き魔術の使い手・e17946)に餡子とタコをインストール。タコ型の人形焼きとして具現化されたヒールで来る何かに備えたフェイトの前で、降り続いていた雨が荒れ始め、台風のような横殴りの雨に変貌した。同時に、番犬達に異変が起こる。
「ふぇ!?レインコートが……!」
着てきた雨具が溶け落ち、直接体にかかり始めた雨粒は重力鎖を食らった。
「これ……マズイやつです……!」
ただ傷つくのならヒールできるが、重力鎖そのものを侵食癒す事ができず、更に雨は番犬達の体を蝕み、筋繊維から熱を奪って脱力させてしまう。
「オラ、棒立ちになってんぞ!!」
「コフッ!?」
カイトは鳩尾を蹴り上げられて地面を転がる。来ると分かっていても体が対応できず、当たると分かっていても力が入らず『受ける』事ができない。
「見ろよ、これが俺の、『カイト』の力だ……お前はもういらない……!」
フワリ、番犬達の肌を冷気が撫ぜる。カイトの扱う魔術は二種。一つは雨、もう一つは……。
「ヤバい……皆逃げろ!!」
カイトの叫び虚しく、地面に溜まった雨が瞬く間に凍結して無数の槍と化し、前衛をまとめて串刺しにすると処刑場の如く天高く突き上げた。カイトは騎乗機、ライデルに庇われて胴体の貫通は免れたものの、代わりにライデルが霧散……だが、ここでカイトが生き残っただけ僥倖だろう。
もし、ぽてとが彼の雨具を持ちこんでいなければ、カイトは一足先に回避力も防御力も失い、とうの昔にスクラップになっていた可能性があったのだから。
「ほらどうした、俺を救うんだろう?その前に仲間を救って見せろよ」
「ぁ……ぐ……!」
示されたのは腹を貫かれ、その内部で氷柱が育ち、内側から体をズタズタにされていく宵一の姿。放っておけば自重で少しずつ槍が刺さって行き、やがては根元に向かって太くなっていく氷に沿って肉体を引き裂かれ、最期を迎えるだろう。
「あー、これちょっと本格的にピンチなやつですね」
「サバトさん、あの氷壊せますか?」
「やってやれない事はないでしょう」
眉根を寄せる裁一のサバトからスッと出てくる真っ赤なボタン。押したらアウトな雰囲気漂う黄色と黒の縞々を見て、フェイトは避雷針の先端を握る様に構えた。
「壊せば何とかなるんですね?」
「分かりません。でも、このまま全滅するよりはマシかと」
「OK、リア充爆破で磨いた俺の発破術、お見せしましょう!」
ポチッ、チュドン。
コミカルなほどにシンプルな爆破だが、それで十分。下手に刺激を与えれば、その衝撃で氷柱が番犬の体を貫くからだ。
最小限の爆破で氷の根元を断ち、スイッチを連打して番犬達の胴体、その数センチ下を爆破、仲間の体から氷柱を切除する。
「箱竜のお二人もお願いします!」
フェイトの声にたいやきがぽてとを、ナメビスが永代を拾って食材の力を挿入、体内に残った氷を融解させ、最低限の止血を行う。
「後は……」
特に傷が深い宵一に向けてフェイトは片目を瞑り、避雷針を構えた。
「アデル……僕に力を貸してください……!」
銃口もないのに備えられた引き金に指をかけると、今はいないはずの『彼』が、震える手を支えてくれている気がして……。
「やらせるかよぉ!」
「いかせるかよぉ!」
「ただでさえ霧島兄弟達で紛らわしいのに!ええい!」
落下する宵一に狙いを定めるフェイトへ『カイト』が迫ろうとするが、足元のおぼつかないカイトが立ち塞がろうとして、裁一が素早く『カイト』の背後に回ってその首筋にRBアンプルから泡立つ薬液を流し込む。すぐさま裁一を殴り飛ばす『カイト』だが、両脚に痺れが走り、そこから先へ進めない。
「癒しの女神よ、光を」
見えざる弾丸に詠唱を込めて、引き金にかけた指先に祈りを込めて、放つそれは宵一に着弾すると魔法陣を描き、彼を温かな光が受けとめて傷を癒しながら女性の形をとると、彼を助け起こして消えていく。
「取りあえず、立て直しはしましたけど……」
状況を見て、フェイトはピリピリと痛み始めた皮膚に歯を食いしばる。
「部隊がもたないのです……!」
●
立ち上がった番犬をすり抜けるようにして、『カイト』が肉薄。狙うはカイトだが、永代が滑り込み貫手の身代わりに。
「まずはお前から死ぬか?」
「させません」
永代の血液を凍結させようとした『カイト』だが、ビスマスが横合いから肘を叩きこみ、弾き飛ばして白い針鼠、ルイを召喚。
「お二人とも、お願いします!」
クロガとルイが空中で交わり、灰色の巨大な針鼠に姿を変えると『カイト』へ飛びかかる。体を傾け、針で殴りかかる様に襲いかかる幻獣に、『カイト』が舌打ち。
「カイト、一瞬だ」
雨で濡れそぼってなお、脂汗を浮かべていると分かる永代が翼を広げた。
「一瞬だけ、この雨をなんとかする。その隙に……」
「飛ぼうってのか?」
幻獣を叩き潰し、しかし傷が目立ち始めた『カイト』が踏み込む。その道を阻むように、ぽてとが片手を腰に、片手を天に。
「じゃあまずはこの雨をどうにかしちゃいましょう☆」
雨と共に一振りの剣が降ってくる。それをぽてとが手にした瞬間、周囲の風景が晴れ渡るある日の街並みに代わり、『カイト』が太陽を見上げた。
「バカな!?雨を止ませ……違う、これは幻覚!!」
視覚は騙せても、降り注ぐ魔力はごまかせない。ハッタリだと見抜いた『カイト』が動くが、既に永代は上空に。
「後は任せたぞ……」
風景が土砂降りの住宅地に戻り、天上にて白き大爆発が起こる。爆炎と共に力尽きた永代が落下し、空を埋め尽くしていた雲に穴が開いて蒼穹が顔を覗かせた。
「しまった!」
雨が止み、自由を取り戻したカイトが空を見上げていた『カイト』に迫る。
「歯ァ食いしばれ!!」
振り抜かれた拳が『カイト』の頬を捉え、バイザーを砕いてしまった。錐揉みして倒れ込む機人の影を、隠されていく空から太陽が照らす。
「……立てよ」
カイトは、もう一人の自分へと、手を出した。
「俺にお前を殺す理由はない……」
「甘い」
ニヤリ、『カイト』の口角が上がる。
「お前になくても、俺にはあるんだよ……死ねェ!!」
カイトを取り囲むように水溜りが凍結。無数の槍が彼を貫こうとして……砕けて消えていく。
呆然とするカイトの前で、死玉を放ち心臓部を破壊した伽藍が刀を構える。
「お……前ェ……!」
振り向く機人を、彼は一刀に伏し、その首を転がした。
「殺す必要なんて……」
「じゃあお前が殺されてもいいのか?」
刃のような眼光が、カイトに突きつけられる。目を背けたカイトに、ぽてとがそっと寄り添った。
「カイト君が殺したくなかったのは分かるよ。でも、私はあなたに、死んで欲しくない」
ぽてとの肩に手を伸ばして、でも触れられないカイトに背を向けて伽藍は納刀。
「恨むなら恨めよ。損な役回りで人の命救えんなら、安いもんだろ?」
去っていく伽藍の背中と、崩れ落ちた『スクラップ』を見て、カイトは奥歯を噛む。やがて、戻ってきた雲が空を覆った。
「……ちくしょう」
雨が降っている。優しく降り注ぐ雫はカイトの体を濡らし、奏でられる雨音は彼の声を隠して、ぽてとはカイトに寄り添っていた。いつまでも、いつまでも……。
作者:久澄零太 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2018年5月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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