薄く剥ぎゆく

作者:ヒサ

 九州地方の、白菜畑。
 虫除けの網をかけてもなお寄ってくる虫を厭い、畑の持ち主である五十歳前後の男性はその日、殺虫用の薬を撒いた。
 一拍の後、男性は突如地面に引き倒される。地面は柔らかく彼を受け止めたが、口に土が入った。
「何が、……っ!?」
 何事かと体を捻り彼が見上げた先にはローカストの顔。男性は四肢を押さえ込まれ、ローカストにのし掛かられていた。
「は、離してくれ!」
 怯えを露わにする彼の訴えにローカストは応えない。ただ、逃れようと藻掻く様が気に入らなかったのか、ローカストは腕を変形させ鎌に似た刃を出すと、男性の右脚を浅く切り裂いた。
「──っ! あ、……っ」
 血が零れる。決して深い傷では無いが、痛みに男性の顔が引きつった。だがローカストは相手が暴れなければそれで良いとばかり、鎌をしまった腕を男性の拘束に戻す。
 そうしてローカストは、体を曲げて腹部から棘を出した。このまま時間を掛けてゆっくりと、男性の命を貪るつもりなのだろう。

「……って事らしーんで、止めるのに力貸してくんない?」
 野木・九(獣装拳魔・e02945)がケルベロス達を見渡し、続ける。
「何か、前とは違って頭良くない奴が出て来たみてーだよ。畑のど真ん中で腕力でオッサン捕まえて、グラビティ・チェインをじわじわぶんどるつもりっぽい。取り敢えず現場に行ってローカストに一発入れてオッサン逃がしてから倒せば良いんかな?」
 九がすぐ傍のヘリオライダーを顧みた。視線を受け、篠前・仁那(オラトリオのヘリオライダー・en0053)は暫し考えるよう間をおいた後、頷く。
「その方が、男性にとっても良いと思うわ。ただ、ローカスト自体は知能が低い代わりなのか戦闘能力が高い……今回の個体は特に、頑丈な体をしているみたい。『一発』であなた達を脅威とみなして男性を解放するどうか……」
 彼女は一旦目を伏せ、断言は出来ない、と申し訳なさそうに首を振った。男性が右脚に傷を負っている状態で遭遇する事になる為、迅速な対処が望まれるところだが──皆の機転に頼るしか無いと。
 なお、周囲は一面農地で、遠くには作業にいそしむ人々が数名居るが、騒がねば気付かれない程度には離れている。彼らが戦闘に巻き込まれる心配はしなくて良いだろう。
 被害が出るとすれば畑の方で、戦場となれば荒れる事は避けられない。農地から離れようにも、民家と田畑ばかりの田舎ではそれも難しい。数少ない例外として、男性の畑の裏手に山があるが、視界と足場に難がある。加え、男性のグラビティ・チェインを奪う目的で現れた知性の低い敵を畑から引き摺り出す事自体、一手間掛かると思われた。
「勿論、畑も無事に済めばそれが一番だけれど……それも世話をする人が居てこそだと、わたしは思う」
 農家の人達にとっては深刻な問題だと聞くけれど。仁那は思案するよう首を傾げて後、最良を求めるべきかどうかの判断は皆に委ねると告げ。
「今回ローカストが現れたのは、男性が虫を殺したからのようだけれど……その代償が、じわじわといたぶり殺される事だなんて、……あんまりでは無いかしら」
 デウスエクスの企みを阻止して欲しいと彼女はケルベロス達へ依頼した。


参加者
石蕗・陸(うなる鉄拳・e01672)
アゴネリウス・ゴールドマリア(ヒゲ愛のアゴネリウス・e01735)
畑山・幸(地球人の降魔剣士・e02163)
野木・九(獣装拳魔・e02945)
狗衣宮・鈴狐(鈴の音色を奏でし狐娘・e03030)
罪咎・憂女(捧げる者・e03355)
サナリィ・ルーン(忠実な侍女・e07653)
志臥・静(生は難し・e13388)

■リプレイ

●眩く咲きし
 柔らかな土を蹴立てて駆ける。異音に気付いたローカストが顔を上げたところへ、志臥・静(生は難し・e13388)が走った勢いをそのまま乗せて、虫の腹を切り払った。
「じゃーよろしくー!」
 その時後方では野木・九(獣装拳魔・e02945)の声と共に淡く光が爆ぜ、照らされた罪咎・憂女(捧げる者・e03355)が地面へと降りる。広げた翼をそのままに彼女は踏み込み、押し空けた男性と敵との隙間へ静が身を沈めたそのすぐ上を、切り口から体液を噴く敵の身を掬い上げるように薙ぐ。風を切る刃が敵の腹を削ぎ、地に伏した男性の足元方面へとローカストを押し上げた。
「悪いなおっさん、もう少しだけ我慢しててくれ──よっ!」
 石蕗・陸(うなる鉄拳・e01672)が土を踏み切る。憂女の刀に押され起き上がる形になりつつあった敵の胴に彼は膝を叩き込み、敵と共に白菜の海へと突っ込む。陸が素早く横へ転がった所へ、サナリィ・ルーン(忠実な侍女・e07653)が機関砲を突きつけた。
「貴方の敵はあの方ではございませんよ」
 敵の腹に接触した銃口が火を噴く。轟音の後ろでは、アゴネリウス・ゴールドマリア(ヒゲ愛のアゴネリウス・e01735)が男性を助け起こしていた。
「失礼致しますわ。少しの間、我慢して下さいませね」
 状況について行けないでいる男性の身を抱え上げ、彼女はローカストから距離を取る。主の命を受けたテレビウムが敵の動向に注意を向けつつ、彼女達を守るべく追従した。
「あの人を狙うと言うなら、私達を倒してからにして下さいね」
「その前に私達に燃やされて頂きますが」
 退がる三名と敵との間を塞ぐよう立った畑山・幸(地球人の降魔剣士・e02163)の刀が雷を帯びて敵を貫く。緋色の炎を纏った刀を振り上げた狗衣宮・鈴狐(鈴の音色を奏でし狐娘・e03030)が炎と同じ色に燃えた目で敵を見下ろし、刃を振り下ろす。幸が退いたところへ静が滑り込み、弧を描いた刀が敵を斬り上げ、身を起こさせた。
「まだだ」
 踏み込み彼は刃を翻し、守るべきもの達から距離を取らせるべく敵を圧す。流石にされるままでは居られなかったらしき敵が腕を畳み刃を受け止めた。一度退いた彼は敵の背後を取るよう土を踏み、空いた敵の腹へとサナリィが弾丸の雨を浴びせる。側方は陸と憂女で塞ぎ、敵の逃げ場を奪った。
「おじ様、傷の具合は如何でしょう。辛ければ仰って下さいまし」
 無事退がったアゴネリウスが治癒の霧で男性を包んだ後、そっと降ろす。
「あ、ああ。痛みは無いが……」
「それは何よりですわ♪ ヴォーテクスさん、皆様をお願いしますわね」
 目を細めた彼女の促しを受けてライドキャリバーは、畑に刻まれた傷が為した轍を辿り、前線へと向かった。
「おじ様、ひとまず私の後ろに隠れていて下さいまし。私達でお守り致しますわ」
「それはありがたいが……」
「もちょっと我慢してくれなー。敵がオッサン狙う気だったら危ねーし、畑も気になるんでもー少しアイツ押し出しときたいし」
 応えながらも、彼の身を庇うアゴネリウスの脇から戦況を気にして身を乗り出そうとする男性へ、手伝いが要るならと様子を見ていた九が声を掛けた。ええ、とアゴネリウスも頷いて、ケルベロス達が男性の身ばかりでなく畑も気にかけている事を伝える。と、落ち着かない様子で居た男性が、安堵したように表情を緩めて頷いた。
「んじゃオレも殴って来よかな。後ろ頼んますー」
「ええ、お任せ下さいまし♪ きよしさん、頼りにさせて下さいましね」
 アゴネリウスと男性を護衛するテレビウムの脇をすり抜け、九が前へ走る。途中からは、土が抉れ白菜がなぎ倒されて出来た道が、裏山の方へと一直線に伸びていた。その先には、敵へと刀を突きつけた幸の背が見える。
「何故、あの人を襲ったんですか?」
 応えが無いのならそれでも良いと、彼女は相手の目を見つめた。虫の顔には表情らしき色が見えず静かなまま、ただ彼女が向けた切っ先を警戒している様子。
(「冷静……というには状況が状況ですが、きっと正気ではあるのでしょう」)
 殺気は伝わっているのだろうと彼女は判じ、刀を振るう。魔を降す力を乗せて敵の胴を薙ぎ、次を踏み込みまた一歩圧した。反撃が来る前にと退がり距離を取る彼女が空けた穴を、鈴狐が埋めて追撃を加える。皆が敵を翻弄しつつ山方面へと誘導する中、ローカストの腕を裂いた静が一旦退がり距離を空ける。入れ替わりにはサナリィが出た。
「こちらですよ」
 側面から声を掛け注意を惹いてサナリィは、敵の胸から上方へと向けて弾丸をばらまく。標的の視界を奪うその後ろで静は己のサーヴァントへ視線を送った。
 応えてきよしは傍のアゴネリウスを見上げ画面の表示を変える。それを見て頷いた彼女は、背後の男性を顧みた。
「おじ様、皆が敵を惹き付けている今がチャンスですわ。新たな怪我をされないうちに、避難していて下さいまし」
 とは言え、畑が気掛かりだという彼の気持ちも解ったので、彼女は言葉を続ける。
「おじ様に何かあっては、畑のお世話を出来る方が居なくなってしまいますわ。私達も出来る限りの事は致します、後ほど報告にも伺いますし、お許し下さるのでしたら何でもお手伝いさせて頂きますわ。ですから今はどうか、何よりもご自身を優先して下さいまし」
 彼女の真摯な眼差しを受け、やがて彼は頷いた。自宅方面へと去る彼の背を守るよう、暫くきよしが護衛して、敵から至る射線上はアゴネリウスが塞いだ。暫しして戻ったきよしはアゴネリウスへ笑顔を見せて後、映す表情を切り替えて前線へと駆けて行った。
 そうして、テレビウムの姿に気付いた数名が安堵の色を見せた。敵の身を蹴りつけて数歩分の距離を空けた陸は一度息を吐く。既に戦場は畑の端へと移っていた。
「さて……そんじゃ改めて、思い切り行くぜ!」
 彼は乱れた袖を捲り直し、詰めたままでいた襟元を緩めて今一度構える。姿勢を正した彼の背には銃を構えたサナリィが従った。
「承知しました。害虫は駆除致しましょう」
 完全に農地を抜け山に至るまではあとほんの少し。

●冷たく刈った
 畑の持ち主の事を思うと、多少山へと押し込んでおきたい。跳んだ憂女が敵を蹴り倒し、崩れる体を陸の拳がかち上げる。サナリィの弾幕が敵を圧し、隙間を縫った九の脚が虫の身を薙ぎ、敵を奥の樹木へ叩き付けた。
「こんなもん?」
 木をへし折るまで行ったらやり過ぎだろうか、などと九が加減を見ている脇を、一輪バイクが走り抜ける。地面から突き出た木の根で跳ねたヴォーテクスは炎を纏い宙から敵の不意を突く。畑では周辺の被害に配慮するよう主の命を受けていた為に単調な攻撃に終始していたが、ここならば遠慮は要らない。
「山火事とか大丈夫でしょうか……」
 炎を扱う身としてひとごとでは無く、鈴狐が敵周辺へと視線を向ける。
「燃え移るならそれごと斬り払え。さっさと終わらせりゃ良い」
 死角から気配を殺した囁き声に応えられ、彼女は目を瞠った。手首の鈴が小さく揺れて澄んだ音を奏でる間に、顧みた先に居た筈の声の主は消えていて、一拍遅れて彼女はその正体に思い至る。平時と違う荒い物言いに彼女は驚いたものの、気配を消してなお、共に作戦に臨む仲間達へ配慮する彼の背へ向け、少女はこくりと頷いた。
 彼女が目で追った背の主は、枝をくぐって敵へと迫る。岩陰を過ぎて立ち木を支点に敵の背後へ回り彼は、刀を振るい敵の足を払う。
「目が利かずとも耳も鼻もある。貴様の本能で我等を凌駕出来るというなら足掻いてみろよ」
 足元が悪いのは同条件。倒れ込む敵の背を僅かに身を捻りかわして静はくつりと笑って見せた。
「失礼します」
 目に映る攻防が止んだ一瞬の隙に幸が刀を振るう。声を受けて静が身を退いた所へ下ろされた彼女の切っ先はしかし、態勢の不自由を押して払った敵の腕によって逸らされた。
「なら……!」
 跳ね起きる敵から跳び退り幸は、集中するよう僅かに瞼を下ろす。刹那彼女の目が色を失くし、次にはしかと見開き、足元の岩を蹴り敵へと跳んだ。刀を振るう腕も先までのものとは少し違っていて、技量より腕力で敵の身を砕くかのよう。腹へざくりと切っ先を挿してのち振り抜き、虫の体液を派手にぶち撒けた。
「あっははは! 痛いかい? でもまだ終わりゃしないんだろう?」
 身に眠る力の声を聴いて幸は、人が変わったように笑う。しかしこれもまた彼女であり、一旦退いて窺った敵の足取りからその余力を量り次の隙を探す冷静さはそのままだった。
「遅くなりまして申し訳ありませんわ。援護致しますわね!」
 前線への治癒が一段落してアゴネリウスが後方の彼女達へとにっこり笑んだ。そうして発動したのは、仲間達を思いやり慈しむ心に依る守護の力の筈だが。
「あっはっは、黒いねー。幻覚見る程疲れてるつもりは無いんだけどねぇ?」
「ご自分では気付かない事もございますわ。疲れてらしたとしても、私がしっかり支えますのでご安心下さいまし♪」
 何だかどす黒い気の流れを見て、けらけらと幸が笑い声をあげる。対するアゴネリウスもごく自然といった風、上品に微笑みを返した。
 ともあれ非常時への備えも行き届いた。
「んじゃ後は、動く隙も無いくらいボコボコにしちまおーか」
「はいっ」
 もう敵は大分ボコボコにされつつあるが、九は古代語を呟いて更なる呪詛の光を撃つ。続いた鈴狐が斜めに倒れた木を身軽に駆け上がりその勢いを乗せて足を叩き込む。衝撃に揺らぐ敵へと憂女が迫り、風を纏う刀で甲殻の表面に生じた傷をなぞるよう斬り払う。脆い部分が砕けて嫌な音がしたが、彼女の耳はそれを聞き流した。
 振り返れば、彼女達が此処に参じた理由がある。助けるべき者が命を生かす為に生きている事だとか。倒すべき敵がそれを刈り取る、彼女達の立場から見れば悪であるとか。それでも元を辿れば敵にも生きる為の理由があり、自分達もそれは同じ。しかし、守るべきものへの配慮が要らなくなって、やがて。
「食べ物になるものを生かして、その結果人を生かして、その中で殺す事があったってそれは無闇でも無益でも無いのに、こいつらなんで虫にしか優しく出来ないんだろーなー」
 ナイフを抜いた九が零したような理屈に近い色の思いを彼女も抱きはしたけれど、しかし今は何もかも、置き去って。戦いの中で澄んで行った彼女の思考は、己が身を相手の命を奪う為の装置とみなしたが如く、ただ闘志を燃やす。
「──破ッ!」
 斬る。血を零す。相手のそれで手が濡れる。滑る得物を握り直して翻し敵の身を砕く。高度な思考を窺わせない相手であるがゆえに尚更、命を喰らい合う攻防は純粋を極める。
(「全てはただ、生きるという本能の為に。悪く無──いや、素晴らしい」)
 憂女が微笑む。赤い瞳は零れたての血を映したように鮮やかにきらめいた。
 ──だがそれも、やがて終わりが近付く。近距離で銃を構えたサナリィへ向けられた敵の鎌を陸が受け止め、彼の腕や服が赤く濡れる。逆の拳を振るい一撃を入れた彼に続き、サナリィは一旦銃を引いて踏み込んだ。
「終わらせましょう──リミッター限定解除」
「おう、援護する。行ってこい!」
 陸の声を背に受け彼女は軽やかに脚を上げた。くるり回って蹴りの連撃を決め、引いた銃を再度構えて最後は爆ぜる火花で飾る。死角から寄った鈴狐が炎を纏う刀を振るい、ごうと紅い華が大輪と化した。
「これでもまだ……? いえ、でもきっと、あともう少し……!」
 鈴狐が眉を寄せる。燃されてなお絶命し切らぬ虫の身を、音無く距離を詰めた静が裂く。
「所詮、今世の理は弱肉強食──俺とて弱者の側ではあるが」
 そうしてようやく二つに割れて、
「我等を超えられぬ貴様はここまでだ」
 地に落ちた残骸が砂と崩れた。

●芽吹く為の
「畑山さん、もう落ち着かれてらっしゃいます?」
「憂女さんこそ、お加減如何ですか?」
 幸い小火も出さずに済んだ後。やむを得ず刻んだ、山と畑を繋ぐ道を埋め戻す作業の合間。戦いを終えてほどなく双方落ち着いたのを承知で、目線を交わし彼女達は穏やかに微笑み合った。二人の後ろでは鈴狐ときよしが、不足気味の体重ながら懸命に、均された土を踏み固めている。
「私は、何となくスッキリした……と言うと語弊があるでしょうか。思う事は色々あったのですけど」
「そうですね。あまり酷い事にならずに済んだみたいですし、良かったです」
 憂女の言を受けて幸は畑へと視線を投げて目を細める。そちらでは、治癒を使う者達が周辺を癒した結果、作物自体は八割方無事に済んだらしく、見守っていた畑の持ち主と共に喜び合っていた。
「ご覧下さいまし、こちらは無事ですわ!」
「へー、作物にも効くんだなー」
「しかし、こちらの地面ごと抉られたものに関しては芳しく無いようですね。一部が砕けた程度のものは修復を完了致しましたが……」
「おっさん、こっちの駄目になったやつ、間引いても良いか?」
「あ、手が空きましたらこちらも見て頂きたいのですが──」
 方々から呼ばれる男性を、大事を取ってヴォーテクスが乗せて運ぶ。畝の隙間は慎重にと主人から厳命されていた為に速度は出ないが、急ぐ事でも無いのでと皆気長に待っていた。
「白菜も生きている、という事でしょうね」
 憂女が顔をほころばせる。幾つかはどうしようも無いものもあったようだが、大体は無事のようだ。助けて貰っただけでも、と恐縮しきる男性へ、命の危機に晒されたのだからと心身を案じて皆で説き伏せ、手伝いを承諾させた甲斐があった。同様に、後から何かあった時の為にとケルベロスカードも受け取らせたので、時間をおいて疲労が出たとしても大丈夫だろう。日々農業に精を出すご年輩は丁重に扱う方針で皆一致していた。一度最年少の鈴狐におじいさんと呼ばれた時には彼は、まだ孫居ないからなどと背を丸めていたが、呼ばれてもおかしくない歳である事は本人も自覚しているようだし。
 荒れて痩せた土そのものへの対処は男性の手に依らねばならないだろうが、壊れた農具小屋くらいは直せる。山裾の地面を直し終えて手が空いた面々は、男性に指示を仰ぐべく畑へ入って行った。

作者:ヒサ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年11月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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