
●都内某所
「まさか……罠!?」
アルマニア・シングリッド(世界を跨ぐ爆走天然ロリっ子・e00783)は嘘の情報に騙され路地裏にやって来たところ、快楽天使ニケ達によって退路を断たれた。
「もう逃がさないよ、ボクの半身。そろそろ、ボクのモノになってもらわないと……。身も心も、すべて……ね」
快楽天使ニケが無駄に爽やかな笑みを浮かべる。
それに合わせて、まわりにいた信者達も、不気味に笑う。
「断る……って言ったら?」
アルマニアは怒っていた。
目の前のビルシャナに対して……。
「あはは、そんな権利があると思う? ないよ、君には! 拒否は出来ない! 何故なら決定権はボクにある! ボクだけに、ね!」
快楽天使ニケが、キッパリと言い放つ。
「だったら、それが無理だって事を教えてあげる……!」
そう言ってアルマニアが、快楽天使ニケに攻撃を仕掛けていった。
●セリカからの依頼
「アルマニア・シングリッド(世界を跨ぐ爆走天然ロリっ子・e00783)さんが、宿敵であるデウスエクスの襲撃を受けることが予知されました。急いで連絡を取ろうとしたのですが、連絡をつけることは出来ませんでした。一刻の猶予もありません。アルマニアさんが無事なうちに、なんとか救援に向かってください」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「アルマニアさんが相手にしているのは、快楽天使ニケと言う名のビルシャナです。快楽天使ニケは自分を傷つける者に対して容赦がなく、『皆殺しにしてしまえ!』という教義を掲げています。それに賛同し契約した信者に力を貸し与える代償として命を頂いているようです。またアルマニアさんとは何やら因縁があるらしく、彼女の事を『半身』と呼び、自分のモノにしようとしているようです。これが何を意味しているのか、今のところは分かりません」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「いまのところ、快楽天使ニケは10名程度の信者を従えており、それを手足の如く操っているようです。彼らは死ぬまで戦い続ける事を命じられているため、助け出す事はほぼ不可能であると考えるべきでしょう。また快楽天使ニケの催眠は強力なため、元に戻るのは彼らが死ぬ時だけです」
そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。
参加者 | |
---|---|
![]() リーナ・エスタ(シェルブリット・e00649) |
![]() アルマニア・シングリッド(世界を跨ぐ爆走天然ロリっ子・e00783) |
![]() ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458) |
![]() 戯・久遠(紫唐揚羽師団の胡散臭い白衣・e02253) |
![]() 津雲・しらべ(さっぱりしました・e35874) |
![]() 明日葉・梨桜(戦う同人作家・e41812) |
![]() 天霧・裏鶴(戦の鬼姫・e56637) |
![]() 八刻・白黒(オラトリオのパラディオン・e60916) |
●都内某所
「大事な人が狙われ続けるってすごい、怖い。奪われたくない、壊されたくない。だから全力を尽くす。相手がだれであれ、因縁があっても構わない。私から奪うやつは全員、殺すだけ」
津雲・しらべ(さっぱりしました・e35874)は覚悟を決めた様子で、快楽天使ニケが現れた路地裏に向かっていた。
快楽天使ニケは信者達を引き連れているものの、彼らは自らの意志で行動しているのではなく、洗脳されているようだ。
そのため、捨て身に近い攻撃を仕掛けてくるらしく、放っておくと厄介な相手達のようである。
「ま、何であれ。殺ることやってみるかね。邪魔者にゃ早々に退場願うだけさ」
明日葉・梨桜(戦う同人作家・e41812)も、瞬時に気持ちを切り替えた。
それは信者達にとっては、酷な現実かも知れない。
だが、ここで情けを掛ければ、自分達の命に危険が及ぶ事になる。
そう言って意味でも、迷いが命取りになると考えるべきだろう。
「操られていて可哀そうではあるけれど、葬るのが救いになることを祈って……躊躇なく行かせていただきます。いざ、参る!!」
天霧・裏鶴(戦の鬼姫・e56637)が、覚悟を決めた様子で路地裏に突っ込んでいく。
そこには快楽天使ニケと信者達……そして、アルマニア・シングリッド(世界を跨ぐ爆走天然ロリっ子・e00783)が立っていた。
いまのところ、アルマニアは無事なようだが、身体のあちこちが傷つき、そこから血が流れていた。
「おやおや、ひょっとして助けに来たの? それとも死ぬために来たの? まあ、どっちでもいいけど♪ ボクにはどうでもいい事だけどね。だって、そうでしょ? どうせ死ぬんだし、結果は同じだもの」
快楽天使ニケが意味ありげにナイフを握り締め、ケルベロス達を見つめてケタケタと笑う。
まわりにいた信者達も、まるで仮面を被っているのではないかと錯覚してしまう程、不気味でぎこちない笑みを浮かべた。
「アンタの遊びの犠牲は、あたしで終わり。……冗談じゃないよ。本気だから……」
アルマニアが、快楽天使ニケの前に立つ。
「なんで? そんな権利……キミにはないのに! だって、そうでしょ! 決めるのはボク。ボクだけだよ。キミはそれに従うだけ。もちろん、拒否権なんてないよ。キミには選択肢なんてないんだから……」
快楽天使ニケが邪悪な笑みを浮かべ、アルマニアをジロリと睨む。
まわりにいた信者達も刃物を握り締め、荒々しい息を吐きながらアルマニアのまわりを囲む。
「うわー、『一体、今までどれだけの人を犠牲にして来たんだ!』って聞いたら、如何にも『キミは今までに食べたパンの枚数を覚えているのかい?』とか答えそうなヤツだね」
ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)が思いっきりイヤそうな顔をしながら、快楽天使ニケに視線を送る。
「よく分かったね。凄い、凄い。御褒美にサクッと殺してあげるよ。それとも、ザックリ殺してほしい?」
快楽天使ニケがジェーンを見つめて、小馬鹿にした様子でケタケタと笑う。
まわりにいた信者達も、壊れた人形のようにケタケタ笑い声を響かせた。
「随分とムカツク奴だが、その方が躊躇う事無く、ぶっ飛ばせる! 容赦しねえから覚悟しておけよ!」
戯・久遠(紫唐揚羽師団の胡散臭い白衣・e02253)が胡散臭いオーラを漂わせ、思わせぶりに唐揚げを頬張った。
「……覚悟? もちろん、キミ達だよね? 覚悟するのは? それじゃ、殴って殺せばいいの? それとも、唐揚げがいい? まあ、なんでもいいよね? キミ達に選択権なんてないんだから。適当に死ねばいいし、ボクが気を使って、その死に方を選択させてあげる義理もないんだし」
快楽天使ニケが臆する事無く、手に持ったナイフで遊ぶ。
「それにしても、他人の記憶を弄るなんて、随分暇な御酉様なんですね。記憶を改竄したところで、その人が歩いてきた道は何も変わりません。それでも、理解できないと言うのであれば……仕方がありませんね」
八刻・白黒(オラトリオのパラディオン・e60916)が黒白のドレスを翻し、ドラゴニックハンマーを振り回しながら笑顔を浮かべた。
「他人の記憶を弄る? ボクが? 何のために? もしかすると、それが本当の記憶かも知れないのに? だって、そうでしょ? 何の証拠もないんだから? もしかすると、ボクがその人のためを思って、そうしてあげているのかも知れないのに……。酷いなぁ。ショックだなぁ。傷つくなぁ。キミ達はボクを悪者にしたいようだね」
快楽天使ニケが被害者意識を前面に出しつつ、わざとらしく悲しげな表情を浮かべた。
「快楽天使ニケ! 強力な催眠で人々を操り己の欲望の道具として使う非道な行い! このリーナたんが絶対に許さない!」
そう言ってリーナ・エスタ(シェルブリット・e00649)が家の屋根に立ち、ドスの利いた声で前口上を語り、勢いをつけて飛び降りるのであった。
●路地裏
「おやおや、みんな命知らずのようだね。いや、逆に死にたがりだったりするのかな? だって、そうでしょ? 勝ち目にない戦いに挑むんだから。どうせ死ぬんだったら、無駄に足掻かず、首を差し出せばいいのに。あ、でも、それだとボクが面白くないや。なるほど、そうか。キミ達はボクを楽しませるため、道化を演じてくれるんだね? なんて優しい人達なんだ! それでこそボクも殺し甲斐があるってモノだよ」
快楽天使ニケが本気とも冗談とも取れる口調で、ケルベロス達に語り掛けていく。
どうやら、この状況を楽しんでいるらしく、本気を出せば一瞬でカタがつくと思い込んでいるようだ。
「ただの前座と思うなよ。モブにはモブのやり方ってのがあるんだぜ」
久遠が快楽天使ニケを牽制しつつ、少しずつ間合いを取っていく。
「モブ? ボクの引き立て役の間違いだろ? そのために生まれてきたんだから。もちろん、歓迎するよ♪ せいぜい派手に散ってくれ」
快楽天使ニケがニンマリと笑い、まわりにいた信者達に指示を出す。
その指示に従って、信者達が虚ろな表情を浮かべ、唸り声を響かせてフラフラト襲い掛かってきた。
「鎧装天使エーデルワイス、いっきまーす!」
ジューンが自ら名乗りを上げながら、快楽天使ニケを牽制しつつ、信者達に攻撃を仕掛けていく。
だが、信者達はいくら立ち上がっても立ち上がり、何度も襲い掛かってきた。
「みんな、容赦がないね。この人達だって、家族がいるのに……。帰りを待っている人がいるのに……。情け容赦なく……殺すんだ」
快楽天使ニケが信者達に対して、哀れみの視線を送る。
もちろん、それは上辺だけ。
まったく心が入っておらず、表情を作っているだけだった。
「んなもん承知の上さ」
その間に梨桜が壁を駆け下りながら、信者達の背後に回り込み、眼鏡を掛けた信者の口を塞いで首を斬る。
「!!!!!!!!!!!!!!」
眼鏡を掛けた信者は、苦悶の表情を浮かべて両目をぎょろぎょろさせ、噴水の如く勢いで大量の血を撒き散らした。
それが引き金となって、信者達が我に返り、『嫌だ、死にたくない!』、『た、頼む、助けてくれ!』と言った感じで命乞いをし始めた。
「まさか、洗脳が……!」
その途端、裏鶴がハッとした表情を浮かべ、攻撃の手を止めた。
「お、俺には家族が……娘がもうすぐ結婚するんだ……」
年配の信者がボロボロと涙を流しながら、狂ったように刃物を振り回す。
だが、それは自分の意志ではなく、何かに操られているような感じであった。
「ま、まさか! 外道な真似を……!!」
リーナがすべてを悟った様子で、快楽天使ニケに達人の一撃を放つ。
「ひょっとして、気づいた? 気づいちゃった? そうだよ。我に返ったのは、意識だけ。身体の方は、まだボクのモノ。だって、全部操っちゃうと、キミ達が容赦ないから。ほら、みんなの顔を見て見なよ。怯えて、涙を流しながら、死にたくないって顔をしているでしょ? それなのに、キミ達は酷いよね? 何の罪もない人達を手に掛けようとしているんだから。一体、酷いのはどっちだろうね? ボクかな? それとも、キミ達かな? どっちにしても、ボクが殺したわけじゃないんだから、恨まれるのはキミ達だけど。ちゃんと謝るのかな? 許してもらえるのかな? 言いづらいんだったら、ボクがこの人達の家族に教えてあげるよ? だって、ほら、キミ達は覚悟して、この人達の命を奪っている訳だから……。ちゃんと気の利いたセリフが言えるんでしょ?」
快楽天使ニケがリーナの攻撃を避け、小馬鹿にした様子でクスクス笑う。
「なんて酷い事を……!」
白黒も信じられない様子で、快楽天使ニケを睨む。
「酷い? ボクが? どうして? この人達を殺すのは、キミ達でしょ? 死にたくないって言っているのに……。命乞いをしているのに……。殺すのはキミ達でしょ? 自分にとって邪魔だから……ただ邪魔だから殺すのは、キミ達だ」
快楽天使ニケが嫌悪感をあらわにしながら、ケルベロス達を睨み返す。
信者達の口から発せられているのは、真実の言葉のみ。
快楽天使ニケによって、言わされていないのは、その表情から読み取る事が出来た。
それ故に、ケルベロス達は、攻撃する事を躊躇った。
その言葉が混じり気のない真実であったため……。
「一体、何人犠牲にすれば……! テメェだけは絶対に許さない! お前は、瑠那を泣かせた。罪を負わせた。取り込もうとした、お前を! 絶対に……許さない!」
アルマニアが激しい怒りを爆発させ、快楽天使ニケにスターゲイザーを放とうとした。
しかし、信者達が情けない声を上げ、快楽天使ニケを守る壁になった。
「嫌だああああああああああああああああ、死にたくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああい!」
壁になった男性信者がボロボロと涙を流し、血溜まりの中に沈んでいった。
他の信者達も血まみれになりながら、『死にたくない、死にたくない』と呪文の如く呟いていた。
「あーあ、本当に酷いなァ。みんな家族がいるのに……。ほら、この人なんて……こんなに状態でも家族の名前を呼んでいるよ? それなのに酷いなぁー。でも、何だか飽きちゃった。帰るね、バイバイ」
快楽天使ニケがまるで他人事のような振る舞いで、ケルベロス達のところから飛び立とうとした。
「私は至り損なった者……深淵の底……深く、昏き瞳を抱いた……亡霊たちよ……かの者を我らが煉獄へと誘え……」
それに気づいたしらべが白い髪、仄昏い赤い瞳を持った亡霊達を出現させ、快楽天使ニケの手足に纏わりつかせて、その動きを封じ込めた。
●快楽天使ニケ
「いい加減にしてくれないかな? ボクは飽きたって言っているのに! しつこい人は嫌いだよッ!」
快楽天使ニケがイラついた様子で、再び信者達を嗾けた。
信者達はすでに身体を動かすほど困難であったが、まるで操り人形の如くぎこちない動きで襲い掛かってきた。
「助からないなら、もうやるしか……」
リーナが唇をグッと噛み締め、激しく拳を震わせた。
信者達は泣いていた。
本当はもう戦いたくないのだろう。
それでも、自分の意志に反して、戦わされ、苦しんでいるようだった。
「いや、汚れ役は一人で十分だ」
そんな空気を察した梨桜が素早い身のこなしで間合いを詰め、次々と信者達を仕留めていく。
信者達は最後まで何やら叫んでいたが、それを遮るようにしてゴボゴボと血の泡が溢れた。
「ありゃりゃ、みんな殺しちゃったんだ。残念だなぁ。みんなイイ人達だったのに……。それじゃ、これで……」
快楽天使ニケが再び翼を広げ、その場から飛び立とうとした。
おそらく、自分の手駒を失って、内心焦っているのだろう。
早くこの場から逃げ出したい気持ちが、あからさまに伝わってきた。
「逃がしませんよ、絶対に……!」
すぐさま、白黒が轟竜砲を撃ち込み、快楽天使ニケの逃亡を防ぐ。
「あああ、ボクの羽根が! ふざけるなっ! なんでボクがこんな目に! 何も悪い事なんてしていないのに! 直接、手を下したのはキミらなのに……!」
快楽天使が被害者意識全開で、恨めしそうに愚痴をこぼす。
「そのキッカケを作ったのはキミだよね!?」
そこに追い打ちをかけるようにして、ジューンが快楽天使ニケに対して破鎧衝を叩き込む。
「く、来るなアァ!」
続けざまに攻撃を食らった快楽天使ニケが、ナイフを構えて叫び声を響かせた。
そこに先程までの余裕はない。
その瞳に映るのは、恐怖のみ。
「剣魔剛輪、我が一刀……その身に刻め!!」
それと同時に裏鶴が高速の居合切りを仕掛け、快楽天使ニケの身体を切り裂いた。
「ぎゃあああああああああああ! こんなはずじゃなかったのに……! なんでボクがこんな目に……!」
快楽天使ニケが傷口を押さえ、ガタガタと身体を震わせた。
だが、どんなに叫んでも、助けに来る者はいない。
それが快楽天使ニケの心に絶望を落とし、不安が心を染めていく。
「繋がれ繋がれ創造の層。繋ぐは血、紡ぐは想像。重ねは輪。表すは召喚の魔なり。空・筆・音・索・夢・幻・調の法。償と贄を以って現し給え。創想を司りし智龍よ。神崎瑠那の名のもと姿を現し、力奮い賜え。サモン! イマジナリードラゴン!!」
次の瞬間、アルマニアの詠唱に呼応して、フリツェルに似た威厳のある巨大な龍が現れ、容赦なく攻撃を仕掛けて、快楽天使ニケをこの世から消し去った。
「……大丈夫かな」
それを確認した後、しらべが久遠と寄り添い、心配した様子で口を開く。
「酷なようだが、本人の問題だ」
久遠が何やら察した様子で、しらべの頭を撫でる。
その間もアルマニアは快楽天使ニケがいた場所を、ずっと眺めているのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2018年4月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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