
ある日、ヘリオン内の談話室にて。
ティトリート・コットン(ドワーフのヘリオライダー・en0245)はソファに寝そべって、愛読書を読んでいた。
書名は――『伝説の武器図鑑』。
ごろんと寝返りをうち、彼女は白い天井にぽつりと呟いた。
「……読み飽きちゃった」
●新たなページ
ティトリートはよく読書しているが、だいたいそれは伝説の武具に関する本である。
ティトリートは話好きだが、特に好む話は英雄譚である。
ある程度のサーガなら暗唱だってできる彼女が持つ図鑑は、いつから使っているのか、手垢まみれだった。
「はぁ、どうしよう。新しい図鑑を買ったって、目新しい内容は載ってないだろうし。今までボクが見たこともないような武器について書かれてる本とかないかなぁ……」
諦め気味に大きく息を吐いたところで、ふとティトリートは思い出した。
いるではないか。
さまざまな武器を振るい戦うリビングレジェンド。
すなわちケルベロスが!
「いや、でも……」
携帯電話を取り出したところでティトリートは思いとどまった。
言うのか、これから?
『キミの武器について詳しく教えて』と。
『キミの戦闘スタイルを教えてよ。よかったら実演も!』と。
自分の都合でそんなことを頼むのは、いくらなんでも図々しくはないだろうか?
しかし――。
彼らの武器について知りたいという想いは、前々から抱いていたものだ。決して思いつきで出たものではない。
なかなかできずにいた質問をする時が来たまでのこと。
「――ええい、ままよ!」
ダメでもともと。思いきってお願いしてみよう。
知ってる連絡先へとティトリートは片っ端から電話をかけ始めた。
ケルベロス。それは現在を生きる伝説。
そして彼らの武器は伝説を彩る輝き。
未来の図鑑を飾るやもしれぬ殲剣がヘリポートに集う――。
●殲剣の章
「お眼鏡に叶うかは、分からねえけど」
こんなのでいいのか、とばかりにかだんが持ち上げたのは無骨な鉄塊剣だった。獣の顎門を思わせるそれは剣というより巨岩に見える。
「滅茶苦茶になってた故郷からの、寄せ集めだ。故郷の岩と、護り神の骨を使ってる」
かだんの故郷では、代々一人がお山のボス(守護者)となり、護り神の骨をその代の守護者が自らに合わせて作り変えるのだという。かだんの父の場合は籠手だったそうだが……。
「私は、今はもう、この、剣にも盾にもなる形が、一番良い。手だけじゃ、あまりに。狭いから」
ズンとヘリポートに突き立ったこの巨剣なら、何人をも庇うことができるだろう。かだんの想いの体現にティトリートには思えた。
「そうだ、この剣、名前あるの?」
「名前? んん、ちゃんと受け継いだ訳じゃねえからなあ、何だっけ……」
考え込みながらかだんがおもむろに素振りを始めるが、待てども思い出せそうな様子はなかった。
シフカの手の中で白い鎖が金属音を奏でた。
「縛神白鎖『ぐlei伏ニル』――自分に敵の殺し方を教えてくれた、師匠にして螺旋忍軍の組織の長から、最初に受け取った武器」
ついこの前のことのようでもあり遠い昔のようでもある、もう戻れぬあの頃を愛おしむようにシフカは鎖をしゃらりと撫でた。
「大切な武器なんだね」
「これを持っていると、師匠が傍にいて、私を褒めたり頭を撫でてくれた時の幸福感をつい昨日のことのように思い出せる。そういう効果が鎖に付与されている訳では無いけれど」
自分にとっては他のどんな武器よりも価値がある――そうシフカは微笑した。
まばたきほどの刹那の後、何もなかったはずの真也の両手には双剣が収まっていた。
「夫婦双剣【干将】・【莫耶】――こいつはとある依頼で戦った英雄の魔剣を、俺が複製したものだ」
普段は異空間に収容しているという双剣の片割れを、ティトリートが受け取る。華奢な腕にもその剣は軽く感じられた。
「その英雄は、俺と同じ名前でな……いや、俺が彼の名前を名乗っていたというのが正しいかな」
剣を返されて、真也は自嘲するように息を吐いた。
「死んだとある少女の願いを叶えるために、俺はこの名前を名乗り始めたんだ。雑賀・真也という名前を。皮肉だと思わんかね? 本物ではなく、偽者である俺が生き残ってしまった。この複製された魔剣と同じようにな」
「……それでも、キミはキミだよ」
彼の存在そのものは真、という言葉が慰めとなるかどうか。真也はこれからも偽者の刻印を背負っていく……。
「ボクが紹介する武器はコレ!」
ユアがつまんで見せたのはネクロオーブの嵌った、逆十字架のネックレスだった。昔、ユアが大切な妹からもらった物だという。
「身につけるコトで、安心するし、いつだって元気になれるの……ボクは戦うコト大好きだから、妹がボクを守ってくれますようにーってくれたの」
妹の姿を思い描くようにユアがまぶたを落とす。
自らの『力』と大切な家族への想い。それらを繋ぐ逆十字架を握りしめて。
「これはボクの戦う意思であり、家族との絆。ネクロオーブを埋めるコトで、この力を戦場でたくさん振るうための導なんだ」
「せっかく電話をもらったのになんだけど、武器に拘りは一切ない」
アガサの第一声に、ずがびしーんとティトリートが硬直する。
ダンジョンで拾ったから名称も謂われもないというアガサの得物は、たしかにこれといって珍しくもない数打ちだった。
「俺も武器には拘らない。『ゆくし丸』は堕天使に預けちまったし」
「えぇー」と露骨に残念そうな顔をするティトリートに友の刀の銘を教えてやりながら、陣内は隣に苦笑を向けた。
「にしたって、全部〝拾い物〟で済ませるのはアギーらしいが、そろそろ〝のらねこ〟を卒業してもいいんじゃないかね」
適当に名付ければそこが居場所になるかもしれないという陣内の提案に、アガサは「名前……」と首をひねる。
「例えば『タマ』とかつけてボロボロになるまで酷使すればいいの?」
「おいおい、そんなに俺が好きかよ」
「は?」
「それだけ頼りにしてるってことだろ?」
「何言ってんの、馬鹿じゃないの?」
アガサの脚が陣内の分厚い背中を打ちつけ、蹴られながらも陣内のニヤニヤは止まらなかった。
「ふっふっふ、伊達に、武装博物館の館長をしているわけじゃないんだよ♪」
武器のお披露目ならばと集ったのは【幻想武装博物館(FAM)】の有志たちだ。館長のシルを含めて十人の手足に自慢の武器が装備されている。
「シル館長から話は聞いたぜ。俺の武器で良かったら話をしよう」
肩に担いだ重量級の得物を、ジェストは地面すれすれの位置へ振り下ろした。
「俺が愛用している『逆鱗鉞ゴウショウガイ』は、故郷の自警団の団長が代々受け継ぐ鉞(まさかり)だ」
元はただのルーンアックスだったそうだが、かつて初代団長が故郷の遺跡で出会ったという『紅き鋼の竜』の逆鱗が埋め込まれたことによって、峰部分が竜鱗に覆われた形状となったのだという。
「この鉞を先代から受け継いだ時に故郷が謎のデウスエクスに襲われてな。その時に対となる甲冑と共に選ばれ、俺はケルベロスになったんだ……」
「ジェスト……」
「因みに名前の由来は遥か過去に『紅き鋼の竜』と共に戦った三人の戦士の名前を連ねたモノらしいぞ?」
「たしかに人名っぽいとは思ったけどびっくりだよ……。えっと、次は、ツカサの武器は?」
「え、俺の武器? この斬霊刀かな」
ツカサが鞘から抜いて見せたのは、柄から刃先まで黒一色に染まった刀だった。
「刀工も不明、製法も不明、逸話も不明。銘すらない無銘刀だから、つけた名前が『伝わるもの無し』の【伝無(つたなし)】。でも、コイツは過去に繋がる何かがない分、今後が大事になって来る『これからの刀』なのさ!」
これから。そう、これこそが図鑑にはない、生きる伝説たちの強みだ。
「コイツに逸話を持たせて、相応しい名前をつける事が出来るかどうかは俺次第。取り敢えず一緒に人跡未踏の異星には行って来たけど、もっと色んな冒険で逸話を残さないとね!」
続けてアンセルムが武器として示したのは、彼に纏わりつく蔦そのものだった。
「『kedja』……ボクの故郷の言葉で〝鎖〟という意味だよ。ケルベロスに覚醒した頃からボクに寄生している蔦だね」
ただの攻性植物のはずだが、なぜかアンセルムの人形に潜り込んでいて、彼本人からも引き剥がすことができないのだという。
「不思議だね……なんでそうなったんだろう」
「覚醒した時に何かあったと思うけど、覚えて無くてね。とにかく、いつか分離できる時が来るまで、ガンガンこき使ってやろうかな、と」
ポジティブな発言で場に笑い声がはじけつつ、続いてアリスとミルフィが前に出る。
「えっと、この剣は実家の箱の中に納められてたもので、他の誰も箱を開けられなかったんですけど……何故か私だけが箱を開けられ、私が持つことになりました」
ヴォーパルソード――アリスが携えた西洋剣は優美で、触れるのをためらってしまうような一種の神聖さを帯びていた。
「何だか『意思』がある様にも感じられて……今思えば、剣が私を選んで下さったのかな、って。解らない部分も多いですけど、私を助けて下さる大切な剣です」
新たな技が使えるようになるなど、今も戦いの中で研ぎ澄まされている感覚があるという。
アリスの清澄な宝剣に対し、ミルフィの手にあるのはただならぬ気配を纏う刀だ。
「この【牙裂兎】(ガレット)は、わたくしの愛刀である【牙兎】(ガトー)が妖刀に覚醒した刀ですわ……」
元々は宿敵の所持刀であったこれがいつしか凄まじい邪気を放つようになり、それを抑えるためにミルフィは妖剣士になったのだ。
「成り行きとはいえ彼女から奪った刀でした故、妖刀となるのも必然だったかと。鞘で封印し、さらに番いの封印刀を打つことでようやく扱えるようになった代物ですわ……」
【牙裂兎】は宿敵が持つ八振りの一つで、残りの七振りも今はミルフィのもとにあるという。同様な覚醒が生じるか、それはまだわからない。
「わたしからはこの『蒼き炎獄の裁首』だね……。一見、ただの不気味な棒なんだけど……わたしが持って意識を向けると……ほら」
シェミアが示したとき、棒の端からは蒼い炎が噴き出し、鎌のような弧を形成していた。シェミアの地獄の炎であるがゆえ、彼女にしか扱えぬ蒼炎の鎌だという。
「わたしがケルベロスに覚醒して、地獄がわたしを侵していく過程で生まれた武器だから……ある意味でわたしの半身みたいなものかな……」
『蒼き炎獄の裁首』の反対側の端からも同様に蒼い炎刃が出現した。両刃鎌というわけだ。これを回して使えば隙など無いに等しいという。
「ティトリートは触っちゃダメだよ。熱いから……」
炎に見惚れていたティトリートが慌てて手を引っこめる。
触っちゃダメという点については、シェミアの隣に立つサキも共通していた。
「誕生日に見合う話をしたいけど、武器は普通の斬霊刀と日本刀で特に逸話もないのよね。だからそうね、私のフルブレード装備について話そっか」
居合刀と背中に二振りで斬霊刀が三本、胴に日本刀が二本、腰に短刀が一本。両腕の袖の羽飾り、スカート、足先に仕込み刃と、手首の飛び出しナイフで八本。投剣が六本。その尋常ではない様はあたかも刃の華のようだ。
「計20本を装備してるわ。対人・対デウスエクス、どの場面でもいつでもどこからでもどんな相手も斬れるように、ね」
「すごい……常にそんなにも備えてるんだね!」
「もちろん。心が躍りときめくせっかくの斬り合いの機! それを逃すなんて勿体無いもの! いやあ斬り合いって、本当に良いものよね!」
心からといった満面の笑みに、ティトリートも興奮のまま「うんうん!」と頷いた。
外套を翻らせる和希の手で一丁のライフルが光を放っている。
「僕がケルベロスになって何か月か経った頃、組織のツテを頼りにとある企業に造っていただいたものです」
流麗な剣を思わせる、メタリックホワイトのスマートなバスターライフル。
その名も『アナイアレイター』。
「名前の意味は『殲滅するもの』となるでしょうか。ケルベロスとして戦う、僕なりの意志を込めています」
和希に最適化された造りなだけに相性は抜群であるらしい。
「とても素晴らしい銃ですよ。今の戦い方を確立したのも、多くの戦いを切り抜けてこられたのも、この銃のおかげと言えますし」
もう一丁のライフルを始め、まだ愛用の武器はあるが、和希はいったんここで話を締めくくった。続きを聞くのが楽しみだ。
「あたしの武器はこれ、『トライセラフ』」
愛奈の魔斧の特筆すべき点は三つの変形機構だ。
時空凍結弾発射用のガンモード、接近戦用のアックスモード、そしてオリジナル技発動用のソードモード。
「あたしは斧以外にもマインドリングを使うんだけど、マインドソードと斧のスカルブレイカーを合体させたら強力になるんじゃないかって思ってやってみたの」
カシャンと斧刃が下がった次の瞬間、幅広の光の刃が斧から形成された。
「それで生まれたのが『雷光斧剣(ライトニングアクスェイバー)』。あたし一番の技なんだ。と言っても、破壊力はまだまだシル団長には及ばないけど」
謙遜と尊敬のまなざしの先にはシルがいた。
視線を落とせば、シルの靴が目に入る。白い翼の装飾が特徴的な、銀に輝くブーツ。
「白銀戦靴『シルフィード・シューズ』――彼女さんから初めてもらった、クリスマスプレゼントなの。履いているといつでも一緒にいる気持ちになって、戦闘の時も、普段のお出かけの時も一緒なんだ」
とんっ、とシルが軽くジャンプすると、装飾の翼が開いた。空舞う者を助け、共に舞い上がるように。
「このブーツで、いろんな冒険や敵と向かい合ってきた。ほんとに相棒って言える、そんな存在なの♪」
ほかにも武器や戦闘スタイル、冒険譚など語り足りない武装博物館の面々だったが、ほかのケルベロスたちの武器への興味も同じくらい大きい。「折角だし、大いに語り合おー♪」とシルが呼びかけた。
「武器というか仕事道具の紹介をば。え、仕事? 発破解体を少々。で、それに使うのがこちら」
樹が袖をまくって見せたのは爆破スイッチだ。その名も『腕部装着型業務用爆破スイッチ』。
「業務用?」
「そう、業 務 用」
ガチで仕事道具なこの爆破スイッチの最大の特徴は、腕に着ける操作用のデバイス。火力や範囲、爆破間隔を細かく設定することで任意の空間を爆破できる。
「では、いざ実演」
「あ、グラビティは」
「業務用だからご安心を」
業務用なら問題ない。樹がデバイスをいくつか操作するとヘリポート上空で綺麗な花火が咲いた。
「私の武器はファミリアロッドの【ピヨコ】です」
ぴょこり現れたピヨリの手の平でちょこん。黄色いヒヨコがピヨピヨ。武器というにはふわふわで、もこもこで、あまりにも――。
「かわいい!」
「ご自由にいじっても大丈夫ですよ。使い方は、魔力を込めて思い切り投げ、爆発させる【ぴよこボム】です」
すごい言葉が聞こえた気がした。爆破ものの武器が連続したが毛色が違いすぎる。
「ファミリアシュートの応用ですが、こちらは威力特化。四散する訳ではなく、熱オーラでオーバーヒートさせるだけです。普段連れる分にも可愛いですし、敵の油断も誘えます」
黄色いもこもこがにわかに小刻みに震動し出した。
「ボムの予感がすると震え出すのが難儀ですが」
「……大事にしてあげてね」
「ヘーイお誕生日おめでとうございまさ!」
「ティトさんは誕生日おめでとう」
陽気な祝辞を届けてくれたのは【喧嘩仁義】の面々だ。来る途中に買ってきたとフィオがケーキをティトリートに渡す。ケーキには招き猫型の砂糖菓子が乗っていた。
「それで、話は聞いたけど……ケルベロスの武器や戦い方に興味があるって? そういうことなら」
「ソレ系の披露を実演コミでやってる『喧嘩仁義』より只今参上!」
口の端を上げる物九郎の口調は軽いが、連続で空に突き込まれる拳は重く鋭い。ティトリートの目では捉えられず、離れているのに拳圧で帽子が飛びそうになった。
「俺めは戦闘スタイル推しで、その名も『黒斑一家喧嘩極意』!」
物九郎で定命化九代目となる黒斑家に伝わる技で、創始はウェアライダーの初代という。
「悪い輩ブチのめしたりデウスエクスを追っ払ったりするための、要は我流喧嘩殺法集っスね。キモは人型以外が相手だろうとグーでブチのめす心意気! 今最近は対デウスエクス仕様に現在進行で洗練中ですでよ!」
それにカンナの喰霊刀が続いた。
「ボクの使ってる笹丸友成は備前国の刀工友成の作」
刀の外側の太刀拵、鞘の部分に笹の装飾があしらわれてることから『笹丸友成』の名を持つこの刀は、義経と戦った平教経公の使った太刀で、縁あってカンナの先祖が受け継ぐようになったらしい。
「此の子の縁で、教経公の奥方海御前と同じ名を持つ螺旋忍軍に狙われるってトラブルも有ったりしたけど、ボクにとっては命をかけるにたる大切な相棒かな?」
「ワタシの武器は執事のレトラ!」
シィがそう言うと、隣に控えるシャーマンズゴーストがハットを持ち上げて一礼した。
「そ、そうなのー?」
「っていうのは冗談で、ワタシの自慢の武器はこの子たちよ!」
ウィンクするシィの足元から六匹の動物たちが続々と姿を見せた。いずれもファミリアだ。
「そう、ファミリアロッドよ。洋刀のスプー(ピグミーマーモセット)、ライフルのエト(ペンギン)にサックスのヴィト(ヨロイトカゲ)! 残りの子達はそれぞれヴァーリ(硝子のような魚)、レゾ(筋肉質な竜)、リスプ(蛙っぽい竜)っていうんだけど、まだ武器形態が決まってないからこのままで戦って貰ってるわ!」
シィがヴィトにキスをすると、サックスに早変わり。奏でられるはバースデーソング。
「誕生日おめでとうティトリート! お祝いに一曲贈るわ!」
サックスの音色に合わせてファミリアたちが楽しげに踊り出す。カンナがドリンクにコミスのシェーク風を振る舞ってちょっとしたパーティーに。
「フィオは? どんな武器なの?」
「私は特に紹介するものはないかな」
申し訳なさげに手を振るフィオに、演奏しながらシィが笑いかける。
「そんなことないわ。あなたにも凄い刀があるじゃない!」
「ん、この腰の? 別に曰く付きでも魔法の品でもないよ。ただの刀」
フィオが闘技場に参加し始めてから使い始めたというその刀は、ただのと評価するには普通とは違う輝きがあった。
「何度も鍛え直して使ってるんだ。刃渡り、厚み、重心、反りの強さ、柄の長さや形……。振っては調整を繰り返して、私にとって一番使いやすいように」
ひと振りして感触を確かめる。鍛えてきたこれまでの日々を思い返すように。
「うん、そう言う意味では他に負けない大切な相棒、かな」
●
メモ取りしながら、ティトリートは胸がいっぱいになるのを感じていた。知的好奇心の充足より、何か温かなものが満ちている。
――今夜はこのメモ帳を抱いて眠ろう。
作者:吉北遥人 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2018年10月18日
難度:易しい
参加:22人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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