私の可愛いお友達

作者:青葉桂都

●春日和の襲撃者
 4月のある晴れた日。
 月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)は手芸屋での買い出しから帰る途中だった。
 趣味の編み物や裁縫に使う様々な糸が入った紙袋を抱えている。
 かたわらを歩いているのはオルトロスのリキだ。コキンメフクロウのポルテも頭の周りを飛んでいる。
 気温は快適で、空も遥か高く見える日。そんな日だったから、彼女は買い物に行こうと思ったのかもしれない。
 けれど、そんな心地よい春の日に、事件は起こった。
 商店街の近くにある、少し細い道にさしかかる。
(「……なんだか静かだぜ」)
 ふと、朔耶は思った。
 もっとも、表通りではない道に人がいないことなど別に不思議でもない。
 そのまま歩いて、次の角を曲がろうとした。
 だがその前に、角を曲がって1人の男が姿を見せる。
 燕尾服を身につけ、片手に指揮棒を持った男。
「今日は麗らかな日ね。とても素敵……そう思わないかしら?」
 紅を引いた唇を開いて、彼はまるで女性のような口調で言った。
 リキはすでに四肢をかがめて飛びかかれる体勢をとっている。
「……死奇者・コンダクター!」
 思わず、朔耶は彼の名を叫んでいた。
 手芸屋の紙袋が地面に落ちる。両手を開けて、すぐに朔耶は武器を構えた。
「美しい顔だわ、貴女。この春の空みたい。だから……私の可愛いお友達に、加えてあげる」
 コンダクターは朔耶に指揮棒を向け、両腕を動かし始めた。

●救援要請
 デウスエクスがケルベロスを襲撃する事件を予知したと、石田・芹架(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0117)は告げた。
「狙われる方は月宮・朔耶さんです。死奇者・コンダクターという死神に襲撃を受けるようです」
 急いで連絡を取ろうとしたが、残念ながらつながらなかったらしい。
「どうか、すぐに月宮さんの救援に向かってください」
 一刻の猶予もないと、へリオライダーは言った。
 襲撃が行われるのは、とある商店街の近くにある道。
 人影はなく、一般人を巻き込む心配はない。
 コンダクターは、美しい者をその周囲の人々もろとも殺して、顔をはぎ取ることを好む性質持っているらしい。
「今回は単独で襲撃を行っているので確認はできませんが、顔をはいだ相手を配下にする能力を持っているという情報もがあるようです」
 少なくとも、近距離の相手に対して顔をはぎ取る攻撃を行うことは確かなようだ。
 一般人ならともかくケルベロスがそう簡単に顔をはがれることはないが、攻撃を受けると敵味方がうまく判別できなくなる場合があるらしい。
「その他に、指揮棒を振るうことで怨霊を操って毒に冒したり、呪いのオーケストラを虚空から奏でてプレッシャーを与えてくる攻撃を行えます」
 特に呪いの曲は範囲に有効なので注意が必要だろうと芹架は言った。
「月宮さんを狙ったのが、単に美しいからか、それとも他に理由があるかはわかりません……しかし、まずは彼女を助けることが先決です」
 よろしくお願いしますと、芹架は頭を下げた。


参加者
月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)
シャーリィン・ウィスタリア(月の囀り・e02576)
サラ・エクレール(銀雷閃・e05901)
フィオ・エリアルド(ランビットガール・e21930)
アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497)
リカール・マグニフィコ(愛は惑星を超える・e51255)

■リプレイ

●怒れる天狼
 先ほどまで平穏だったはずの道に、半透明の翼持つ獣が現れていた。
「コンダクター!」
 叫んだのは、月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)だ。コキンメフクロウのポルテはすでに杖へと戻り、彼女はそれを敵へ向けている。
 燕尾服を着た男へと向けて、御業より放たれる雷。
 死神が指揮棒を持つ手を動かすと、虚空に黒いオーラがうごめき、雷を相殺した。
(「どうして彼奴が此処にいるの?」)
 頭の中で、叫びが渦巻いていた。
(「お父さんは何処? 友達は何処?」)
 薄笑いを浮かべる死神の顔が、朔耶の頭の中でフラッシュバックする。
「ねぇ……彼奴が奪った皆は何処?」
 敵に問いかけているのか、それともただ自問しているのか……いずれにしても、敵が親切に答えてくれるはずもない。
「なんのことかわからないわねえ。でも、もし私が殺した中にいたのなら……あなたも同じ場所に行くことになるんじゃないかしら?」
 嘲る言葉に、朔耶は再び天狼を召喚した。
 だが、それよりも早くコンダクターは動き出した。
「その技はなんだか嫌ね。……さっさと片づけてあげる」
 指揮棒を構えているのとは逆の手で、指先をまっすぐにそろえる。素早く接近した男は、朔耶の喉元へ手を伸ばした。
「目標を捕捉、オープン・コンバット」
 離れた場所から声が響いた。
 ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)の落ち着いた声。
 次の瞬間、矢の一閃と砲撃のような炎がコンダクターへと襲いかかった。
 攻撃を諦めて、敵はとっさに飛びのいて避けた。
「さすがに奇襲でどうにかできるほど甘い相手ではありませんわね」
 満月のごとき金の瞳で敵を見据えて、シャーリィン・ウィスタリア(月の囀り・e02576)が静かに呟いた。
「悪いけど、ケルベロスの縄張りで好きに出来ると思わないで」
 両手に刀を構えてフィオ・エリアルド(ランビットガール・e21930)が告げる。
 その間に、朔耶とコンダクターを分断する位置へと2人のケルベロスが割り込んでいる。
「美しいものをめでるなら、それが美しいままでなくっちゃな。野に咲く花を摘む美学とは全く別さ」
 青年は金色の髪をかるくかき上げた。
「人間の美しさは、外面だけでなく内面にある。……つまり、顔だけはぎ取ってもなんの意味もないのさ」
 仮面をつけた顔を向けて、アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497)はウイングキャットのディケーとともに死神へ告げた。
「死奇者・コンダクターちゃんね……美しいものを愛する気持ちは分かるけど、そのやり方はアタシとは趣味が合わないわ。好き勝手させるわけにはいかないの。必ず倒すわ」
 リカール・マグニフィコ(愛は惑星を超える・e51255)はコンダクターへ向かって艶やかに微笑んで見せる。
 もっとも、その微笑みもまた仮面に隠れていたが。
 コンダクターは朔耶をさらに怨霊で攻撃するが、アレックスが彼女をかばって防ぐ。
 燕尾服を着た敵の体を、回転しながら飛んだ偃月刀が切り裂いた。
 刀を回収したのは、やはり仮面をかぶった1人の男。
「義兄?」
 ヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)だと、朔耶は後ろ姿でわかった。
「言いたいことはあるが、とりあえずアレを殺してからだ」
 偃月刀と大型のナイフを義兄が構え直す。
 同じく仮面をかぶってコンダクターへと接近する者がもう1人いた。
「人の顔を剥ぎ取って悦に浸るとはおぞまくも救い難い相手の様ですね。その様な輩に仲間の方を傷つけさせる訳には参りません。全力で滅ぼさせて頂きます」
 サラ・エクレール(銀雷閃・e05901)も『安綱』の銘が刻まれた刀と十文字槍を構えて、コンダクターへと攻撃するタイミングを計っている。
「ケルベロスね……なんだか妙な格好の奴らが多いみたいだけど、奇麗な顔の子も多いじゃない。ふふ……お友達が、増えそうね」
 8人のケルベロスに囲まれて、しかしコンダクターは恐れる様子を見せなかった。

●死を呼ぶ者の指揮
 ケルベロスたちに囲まれても余裕の表情を崩さないコンダクターに対して、朔耶が容赦なく天狼の雷を降らせる。
 頭上を越えて降り注ぐ雷がコンダクターを捉えた隙に、サラは彼女専用のオウガメタルから粒子を放って仲間たちの感覚を強化し、アレックスは後衛の周囲に天秤座の守護を描く。
「アタシの愛、受け取ってっ♪」
 リカールは朔耶へ愛にあふれたオーラを放出して彼女を守った。
 その間に、側面に回り込んだフィオは刀を突きさし、敵へ呪詛を流し込んでいる。
 ミオリが先ほど攻撃をかばったアレックスをナノマシンで修復していた。
 シャーリィンは儚げなその面をコンダクターへと向けた。
「――さあ、貴方の一番欲しいお顔は……誰かしら? でもね、触らせないわ。貴方のオーケストラは今宵で終幕といたしましょう」
 妖精弓の矢じりで指先に少し傷つけると、深紅の血が一滴、二滴とこぼれた。
 彼女の体を蝕んでいるという、色濃く混ざり合った一族の血――今は亡き国の血、土蔵篭りとして高まった呪いの血がもたらす美貌が、攻撃となって美を求める敵へと襲いかかる。
「美しいものは愛でるもの、賞賛するもの……欲しくなるもの。それは、わたくしも同じだけれど、お顔を剥ぐだなんて、そんなのは……いけないわ。表情を失った顔は、仮面と同じなの」
 呪いに捕らわれ、コンダクターの動きが鈍るのを、シャーリィンは宝石のごとく輝く瞳で見つめていた。
 細い道を移動しながら、数分の間攻防が続いた。
 フィオは敵を観察しながら戦っていた。
 今のところ、ケルベロスたちのどの攻撃を受けても、敵が動揺した様子はない。フィオが放った獣化による蹴りや炎の砲撃も含めて。
 気合いを発しながら、稲妻をまとったサラの十文字槍が敵を貫く。
 逃れようとした敵がフィオにいくらか近づく形になる……瞬間、彼女はあえて体勢を崩す。
「――崩す!」
 重力に引かれてよろめき、そこから立ち直る……その動きが、そのまますべて攻撃につながっている。
 また、観察し、把握していた敵の動きのリズムにそれはパズルのピースのようにはまり、吸い込まれるように刃がコンダクターを貫く。
 だが、手応えは想像していた以上でも以下でもなかった。
「どうやら、弱点の類はなさそうね」
 誰に向けたわけでもない呟きは、近くにいたミオリには届いたようだった。
「では、それぞれの得意分野で攻撃するのが得策ということですね」
「そうね」
 落ち着いた口調のミオリに、フィオは控えめな声で応じた。
 前衛の4人が仮面をつけていたのは綺麗な顔にこだわる敵から攻撃を受けにくくなるのではないかと考えたからだ。
 意図していた通り、コンダクターは前衛をあまり狙ってこなかった。
 シャーリィンが虹をまとった急降下蹴りで気を引いており、彼女を巻き込む形で遠距離攻撃を行う頻度が高い。
 挑発にかからず近接攻撃をしてくることもあったが、それも仮面をつけていない中衛の朔耶へ向けられていた。
 怨霊がまた、シャーリィンへと襲いかかる。
 リカールは長い足を振り上げて、エアシューズで怨霊を受け止めた。
 衝撃で数歩、後ずさる。
 狙われる仲間はリカールやアレックス、それに朔耶のオルトロスであるリキや、アレックスのウイングキャットであるディケーが守っていた。
「妙なかぶりものをつけている割に、なかなかやるようね」
 コンダクターが、シロクロパンダのマスクを見て言った。
「あなた、まるで分かってないのね」
 大きなため息をリカールは吐いた。
「美しさっていうものは、顔だけで決まるものじゃないのよ」
 言葉とともに、彼は愛に満ちたオーラを放出する。
「美しい心と体が揃ってこそ、人は輝くのよ。あなたのやり方はそれをぶち壊しにしてるわね」
 敵に、美しい微笑みを見せてやれないことが、少し残念だった。
「素敵な言葉だね、リカ。でも、無理はしないでくれよ? 君の強さは疑わないが、君が傷つくのは悲しいな」
「ええ、わかっているわ、アレックスちゃん。心配しないでちょうだい」
 回復しながら声をかけてきたアレックスに、リカールは応じた。
 朔耶は仲間たちに守られながら、ひたすら攻撃を続けていた。
 義兄や、知り合いや、そうでない者たち……仲間が駆けつけてきてくれて、少し頭に上っていた血が下がったけれど、同時に朔耶はこうも思った。
(「もう誰も、あいつに奪わせない!」)
 かつて、コンダクターに彼女は故郷を奪われた。
 大切な人を奪われた。
 いくらか落ち着いたけれど、それは単に戦術を考えたりする余裕ができたと言うだけで、やはり朔耶の心は怒りで満ちているのだ。
 仮面をつけたままのヴォルフが、竜の紋様を刻んだ偃月刀に雷をまとわせて敵を突き刺す。
 それに合わせて、朔耶は再び天狼を召喚した。
「お前は……ここで倒す! 絶対に!」
 御業によって作り上げた狼が、半透明の雷を降らせる。
 雷は敵の体を焼くと同時に、指揮棒に絡みついてその攻撃力を奪っていた。
「ふふ……怒った顔も美しいのね。こっちこそ、この場でその顔を奪ってあげるわ」
 なおも世迷い言を吐くコンダクターに、他の仲間たちも攻撃を加えていった。

●呪いの終わり
 2人と2体で守っていても、何度も攻撃が行われればすべて防ぎきれるわけではない。
 指揮棒を振りながら前衛の間をリズミカルにすり抜けたコンダクターが、朔耶へとその手を閃かせた。
 一瞬のうちに彼女の頭が切り裂かれ、大量の血が輪のように顔の周囲から吹き出す。
 ミオリは、仲間たちが攻撃している間、冷静に朔耶の負傷状況を確かめる。
「生体構成要素解析……修復実行」
 中衛である朔耶の傷はかなりのものだ。ナノマシンを起動して、皮膚や骨と、そしておそらく損傷しているだろう神経を修復していく。
 シャーリィンのボクスドラゴン、ネフェライラも朔耶を回復している。
「あら、簡単には顔をはがせてもらえないのね。ふふ……いい技だわ。美しいあなたにピッタリ……ぜひ、お友達にしたいわね」
「現状行われている戦闘には意味を持たない言動ですね」
 動じることなく、ミオリはコンダクターに応じる。
「美しいものは、いつでも賞賛されるべきよ」
「それに……貴方に言われてもまったく嬉しくありません」
 吐き捨てるように告げる。
「無意味な言葉ですわね。誰の顔であれ、貴方には決して奪うことなどできませんもの」
 横合いからシャーリィンが、その美貌でもって呪いをかけたのだ。
 誰も倒れることなく、ケルベロスたちはコンダクターの体力を削っていく。
 デウスエクスは死ぬまで動きが鈍らない。ただ、もうボロボロの燕尾服が、敵の体力が減っていることを語っている。
「まず貴女から片付けてあげるわ!」
 焦れたのか、やがてコンダクターはリカールへ手を向ける。
 防衛役の中で一番体力のある彼は、だからこそ、一番傷ついていたからだ。
 アレックスはとっさにリカールをかばった。
 前衛が狙われることも考慮して、彼は決して警戒を緩めていなかった。
 それに、女性を守るのは騎士たる者の務めでもある。
「助かったわ、アレックスちゃん」
「守ることにかけて、騎士に並ぶものなし、さ」
 リカールへと、アレックスは優雅な動きで一礼してみせた。
 趣味を捨て、顔を隠したリカールを狙ったのは、敵にもう余裕のない証拠でもある。
 ヴォルフのシースナイフと朔耶の跳び蹴りが敵にヒットする。
 サラは名刀伯耆国安綱を、一度鞘に納めた。
 無論、手をゆるめるためではない。むしろ確実に追い詰めるためだ。
「我が閃光、その身に刻め!」
 銀の輝きが閃く。
 抜く手も見せずに放った居合から、体重を乗せた突きでさらに一撃。
 さらに、死角に回り込んでいたフィオが、両手の刀にまとわすように操った半透明の御業から炎弾を飛ばした。
「問わん。我が一撃は審判の一撃。汝に義あるか、理あるか」
 天秤座の刻まれた剣から、アレックスが重力の波動を飛ばした。光すら呑み込む波動は斬撃となってコンダクターを切り裂く。
「逃がしません、狙い撃ちです」
 ミオリの砲撃に続き、シャーリィンが妖精弓で敵を狙い撃つ。リカールが放つ降魔の拳も敵の体力を奪っていた。
「仕方ないわ……今日はここまでにしてあげる」
 コンダクターが後方へと跳んだ。
 逃げようというのだ。
「待て、コンダクター!」
 叫んだ朔耶が、天狼を召喚する。
 だが、それより早くコンダクターを追う刃が放たれた。
「何処まで逃げてくれますか?」
 ヴォルフは偃月刀を後退する敵へと投げる。
 それはただひたすらに、どこまでも敵を追い詰めることだけを目的とした攻撃……逃げる敵に追いすがり、追い詰める。
 後退する速度を上回る速さの刀を、敵は横跳びに避けようとした。
 だが、急速に方向を変えた偃月刀が、コンダクターの体へ深々と突き刺さる。
 断末魔の悲鳴を上げて、死神は倒れ……そのまま消えていった。

●寄り道はよくない
 小さな道に、再び静寂が戻っていた。
「……さて、と。無事でしたか? 間に合ったならいいんですけど……」
 フィオが朔耶のほうを見ると、敵を倒したヴォルフが近づいていくところだった。
「義兄……」
 朔耶はコンダクターが倒れたはずの場所を凝視しながら呟く。
 ヴォルフのほうは、もう敵に興味をなくしたとでもいうように、一瞥もしない。
 仮面を外し、近づいてきた義理の兄は、呆然とした表情をしたままでいる少女の脳天に、いきなり拳を落とした。
「朔耶。寄り道しちゃダメだろう」
 一瞬前まで放っていた殺気が嘘のように、ヴォルフは朔耶をしかりつける。
「え? ち、違う、寄り道したんじゃなくて近道になると思ったから……」
「言い訳するんじゃありません」
 もう一度、拳が頭に落ちてきて、朔耶は涙目になった。
「周囲に敵性存在なし。クローズ・コンバット、朔耶さん……大丈夫そうですね」
 ミオリが言った。
 彼女が拾ってきた手芸屋の袋を受け取りながら朔耶が首を振るが、大丈夫じゃないと感じたものはいなかっただろう。
「なんにせよ、無事でなによりだよ。女の子が死ぬのは世界の損失だからね」
「そうね。コンダクターちゃんのやり方では、美しさが台無しですもの」
 アレックスやリカールも、仮面を外しながら朔耶へと声をかけていた。
「一件落着……といったところですわね」
 シャーリィンが真っ白く儚げなその頬を、かすかに綻ばせている。
 朔耶を気遣い、あるいは周囲をヒールしている仲間たちから離れて、サラは死神が倒れたあたりへと向かっていた。
「最低の人格を持った方でしたが、その強さだけは本物でしたね。良い戦いをさせて頂きました」
 剣士たる彼女は、いかなる相手であろうと敬意を払うことを忘れない。
 残っていた指揮棒を立ててやると、それもまた消えていく。
 そして、サラも戦場の修復に加わった。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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