ロリ巨乳こそ究極にして至高!

作者:青葉桂都

●おっぱい
「昨今、ただ幼いだけの女性がロリとしてもてはやされている。実に嘆かわしい」
 薄暗い部屋の中、ビルシャナは信者たちへとうとうと語る。
「元来ロリータとは幼さの中にも妖艶さを秘めたニンフェにしてウェヌス、男を惑わすリリスである。色気とあどけなさを同居させた存在である。すなわち……」
 ビルシャナは目を見開いた。
「すなわち、ロリ巨乳こそ真のロリ!」
「Yes! おっぱい!」
「胸とはただの脂肪に過ぎぬ。しかし、その脂肪の塊に宿るものこそ紳士の魂、ロリ魂である」
「おっぱい! おっぱい!」
「偽りのロリを捨てよ。ロリ巨乳こそ至高、ロリ巨乳こそ究極。ロリ巨乳こそ真理なのだ!」
「おっぱい! おっぱい!」
 男たちの声は途切れることなく続いていた。

●ヘリオライダーの依頼
「悟りを開き、ビルシャナと化した者がまた出たようだ」
 集まったケルベロスたちに、ザイフリート王子は告げた。
 鎌倉の戦いからはもうずいぶんと経過したが、いまだにビルシャナ大菩薩の光は人々に影響を与え続けている。
「ビルシャナは教えを説き、信者を集めている。お前たちにはその布教現場に乗り込んで、撃破してもらいたい」
 知っている者が多いだろうが、ビルシャナの言葉には強い説得力があり、放っておくとどんどん一般人を洗脳して配下としてしまう。
 そうなる前に撃破してしまわなければならない。
 すでに十人ほどが信者と化しているが、ビルシャナの主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば説得できる可能性がある。
 説得できなかった者はサーヴァントのような状態となってビルシャナと共に襲ってくるだろう。
 彼らはビルシャナさえ倒せば正気に戻るので、説得に失敗しても救出は可能だが、戦闘が不利になるのは間違いない。
「さて、私が予知したビルシャナだが、どうやら『ロリ巨乳』と呼ばれる類の女性がもっとも魅力的だと主張しているらしい」
 ザイフリートは今回の敵について説明を始めた。
「あえて私から説明せずともお前たちの方が詳しいだろうが、地球の言葉でまだ年齢的には未熟でありながら、著しく乳房が発達した女性を示しているそうだ」
 戦闘では閃光を放つ攻撃と、浄罪の鐘を鳴らす攻撃、二種類の範囲攻撃を仕掛けてくる。
 閃光はプレッシャーを与えて攻撃を当たりにくくし、鐘はトラウマを呼び起こす効果がある。
「またロリ魂(ソウル)という、彼が至上と感じる女性の幻影を召喚して、精神を惑わす言葉を放たせることができるようだ」
 この攻撃は範囲攻撃ではないが、その分威力が高い上に対象者を催眠状態にしてしまう効果もあるので注意が必要だと王子は告げた。
「それから、先ほども言ったとおり信者が配下として戦闘に加わる可能性がある」
 10人いる信者はいずれも男性。ビルシャナと同じ性的志向を持っており、その主張に賛同しているようだ。
 彼らの戦闘能力は高くはないが数が多いので油断はできない。
 また、倒すと死んでしまうので、救出するつもりなら攻撃がしにくいという問題もある。
 手加減した攻撃ならば殺さずにすむが、同時に完全に無力化もできない。もっとも、瀕死になってなお戦おうとするかどうかは疑問だが。
「ビルシャナと信者たちがいるのは、広いマンションの一室だ。元はビルシャナになった男の住処だったようだな。彼らの好む女性の絵姿が多数配置されているが、戦闘の障害にはならないので気にする必要はない」
 なお、ケルベロスの中に『ロリ巨乳』に該当する者がいれば、攻撃対象になる可能性が他の者より多少下がるかもしれない。ただし、説得はしにくくなるかもしれないが……。
「大きな胸は豊穣の象徴、男たちが心惹かれるのも仕方のないことかもしれん。だが、ビルシャナの布教を見過ごすわけには行かん」
 よろしく頼むと、ザイフリートはケルベロスたちに告げた。


参加者
稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)
ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)
ノーザンライト・ゴーストセイン(ヤンデレ魔女・e05320)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
ユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)
ナナリア・クレセント(フルムーンシンガー・e37925)
不入斗・葵(微風と黒兎・e41843)

■リプレイ

●ビルシャナの教団へ向かえ
 ケルベロスたちは、ヘリオライダーに予知された変態もといビルシャナが潜むマンションへと向かっていた。
「この教義は存在させてはならない……ロリ巨乳教相手にウォーとか最悪だ」
 ノーザンライト・ゴーストセイン(ヤンデレ魔女・e05320)はなにを考えているかわからないぼうっとした顔で淡々と言った。
 とはいえ、きっとその言葉は本心からのものであっただろう。
「まぁぶっちゃけ犯罪……ですよね。何でも取り締まればいいとは思わないけど、大っぴらには言わぬが花でしょう」
 赤いリングコスチュームをまとう稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)が呆れた声を出す。
 どこにでもあるような住宅地。
 だが、この一角でビルシャナは気持ち悪いもとい邪な教義を流布しているのだ。
「ロリコンを拗らせたビルシャナと戦うのはこれで三度目ですね……前の二体は合法ロリに走ってましたが」
 赤毛の青年、ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)が呟いた。
「まてまてあわてるなまて、ロリ巨乳などあり得ない。これは孔明の罠だ!」
 クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)があわてたふりをしながら言った。
「そう……ですか? ありえないですか?」
 ラインハルトが仲間たちのほうへと目を向ける。
「いえ、なんとなく言いたかっただけですが」
 その視線を追って、それからクリームヒルデは目をそらした。
 視線の先には仲間の少女たちがいた。
「うわぁ……本当にもう、うわぁ……」
 円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)は今にも頭を抱えそうな声を出した。
 12歳の少女であるが、見ようによってはその胸はかなり大きく見えることが理由だろう。
「……今さら気づいたけど私、奴らの好みに入ってるかも。大丈夫かな……?」
 抱えたバイオレンスギターに隠れていたが、ナナリア・クレセント(フルムーンシンガー・e37925)はキアリより年下でありながら彼女をさらに上回る成長を見せているようだ。
「ロリ巨乳が至高でもいいけど、りっぱなレディになった私の方が上ね」
 八重歯を見せて不敵に笑うユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)は、年上の分キアリやナナリアをさらにしのぐサイズを誇っている。
 マンションにたどり着き、階段を駆け上がる。
 見えてきたのは、少しばかり豪華ではあるものの、何の変哲もないといっていい扉。
「あそこにビルシャナがいるの。……がんばるの」
 年相応の外見を持つ不入斗・葵(微風と黒兎・e41843)が、決意を込めて呟く。
 そして、ケルベロスたちは扉を蹴り開け、ビルシャナの教団へ乗り込んだ。

●良識の戦い
 振り向いた男たちを、ノーザンライトがながめた。
 見るからに女性には縁のなさそうな髪型や服装をした男たち。
「お巡りさんの代わりに来たぞな。ふむ、変態等級……上級」
 あまり表情の変わらない魔女の声に、不機嫌な感情がわずかにこもっていることに、もちろん信者たちは気づかなかった。
 信者たちもまた、ケルベロスをながめた。
 小さな歓声が一度と、それから大きな歓声が二度、そしてため息が一度。
「な、なに?」
 ため息を吐かれた葵が戸惑いを見せる。
「落胆してはならぬ。真のロリとは稀少であり、それゆえに大いなる価値を持つもの。彼女が凡庸なただの少女に過ぎぬことは、彼女の罪ではない」
 ビルシャナが諫めるが、言っている内容はさらに失礼だ。
「葵……まだ成長途中だもん、胸が大きくなくて普通だもん」
 愛用のぬいぐるみに隠れるようにして、葵は言った。
「確か……普通ロリって言われる年齢の子達って葵と同い年か少し上のお姉さん達だよね? その時点で胸が大きいって珍しいことだし、本人たちは嫌な思いしてるかもしれないんだよ? お兄さんたちの変態……危ない人だね」
 おびえながらも少女は呼びかけるが、信者たちは『できればロリ巨乳に変態と呼ばれたかった』などとのたまう。
 自分たちが変態だという自覚はもうあるらしい。
 だが悲しいことに、彼らはいちおう洗脳されているだけの一般人。説得せぬわけにはいかない。
「とりあえず、ロリ巨乳とやらを生贄にすればいいのかね?」
 言ったのはクリームヒルデだった。
 ロリという言葉にも、巨乳という言葉にも縁のない彼女だが、その発言に信者たちは視線を向けた。
「私の手元にゃカップ酒。そして君は何カップかね?」
 まるで酔っ払いが絡むような風情で、彼女はユーロにいきなり話を振った。
「え、私? ……ふふん、聞いて驚きなさい、Iカップよ!」
 少しだけ嬉しそうに宣言すると、信者たちがどよめく。
 得意げにユーロが胸を張ると、服のボタンがはちきれそうなほど引っ張られた。
 キアリやナナリアがげんなりした顔をしているが、クリームヒルデは言葉を続ける。
「と、まあ、人と違うと目立つ。奇異、劣情、嫉妬……目立つと様々な目に晒される。君達は真に、ロリ巨乳を愛しておるのかね? 愛しているなら、様々な目からロリ巨乳を守れると誓えるかね」
 無論と答えた彼らに対して、クリームヒルデはビルシャナのほうを示した。
「誓えるなら……まず、劣情を抱く者共を排除しようか。ほら、目の前にいっぱい」
 信者たちは、全員がビルシャナの背後にある壁を見て、不思議そうな顔をした。
 どうやら、劣情を抱いているつもりはないらしい。
 ナナリアが、死んだ魚のような目をして語りかけた。
「胸が大きいのは端から見ればうらやましいとか言われるけどデメリットも多いわ。何より一番は肩がこるという事ね。成人女性でもそうなんだから子供の巨乳なんて、子供なのにものすごく肩こりになって仕方ないわよ」
 しゃべるうちに、だんだん語調が激しくなっていく。
「その苦労あんた達にわかる? こっちからしてみればたまったものじゃないってこと! 巨乳ってだけでチヤホヤするのもいるけど、苦労もわかってほしいわ!」
 アコースティックギターを抱えた腕に力をこめて、ナナリアは力説した。
「わかる! 拙者たちにはその苦労、よくわかるでござるよ! だからそんな怒った顔をしないでくだされ!」
 信者の1人が叫ぶ。他の信者たちも幸福そうな顔で頷いている。
 あろうことか、彼らは反省するより『萌え』という奴を感じているのだ!
「わかってなーいっ!」
 普段は無口なナナリアにさえ叫ばせるほど、彼らは幸せそうだった。
「気持ちはわかるけど、押さえてナナリアさん」
 晴香がなだめながら進み出る。
 赤いコスチュームに包まれた彼女の豊かな胸に信者たちの視線が集まった。
「あの胸……巨乳で有名なプロレスラーの稲垣晴香?」
「スレンダーなのにでかいと評判の?」
 どよめく信者たちは胸に次いで顔に目を向けた。
「でもBBAでござるぞ」
「そうだなBBAだな」
「誰が!? 私まだ22歳なんだけど!」
 明らかに自分より年上の男たちに言われ、晴香の声が思わず大きくなる。
 気を取り直して彼女は改めて男たちに語りかけた。
「私も小学校5年辺りからですかね、大きくなったんです。身体自体は小さいのに、やけに胸ばかり大きくて、苦労しました。……そこ、なんでそのままでいなかったのか、とか思ってますね」
「ロリである期間は短く、それ故に輝くのか……悲しいことである」
 小学生からという下りで、信者どころかビルシャナまで嘆く声をあげた。
「それはそれとして、『胸の大きさ』=色気とは随分短絡思考ですね。早すぎる第二次性徴は病気です。そして、女性の色気は身体部位の大小でなく、ある程度の経験から来るさりげない所作が大切。それがわからない皆さんでは……ありませんよね?」
 しかし、少し理屈っぽ過ぎたのか、あまり響いていないようだ。
「色気が本来経験から来るものであることは承知の上。なれど、稀にその色気を幼くして持ち合わせている者がいる。天性の魅力を備えた性の申し子……それこそが真のロリ。ロリ巨乳なのである」
 厳かな声で語るビルシャナの呪縛はなお解けてはいない。
「……もういいのではない? ビルシャナも、その戯言に乗っている変態共もまとめて殺しましょう?」
 喉まで出かけた言葉を、キアリはどうにか飲み込んだ。

●巨乳の勝利
 ビルシャナの語りを中断させたのはユーロだった。
 彼女は数歩、信者たちに近づいただけだが、その胸に視線が一気に集まったのだ。
「あのね、ロリとロリ巨乳は似て非なるものなのよ。ロリ巨乳は、ロリからじゃなく巨乳から派生した属性なのよ。ロリに巨乳が付いてるんじゃなく、巨乳にロリ要素が付加されてるのよ」
 大きな胸を張り、少女は告げた。
「巨乳の大人と巨乳の子供、後者のが乳が目立つわよね? 要するに、ロリ巨乳は乳を際立たせる組み合わせなのよ。反面、ロリの要素は確実に薄まるどころか、詰まるところロリをサブ属性扱いしている訳だから……」
 無言で聞き入っているのは、彼女がサキュバスであるためか、それともロリ巨乳であるためか。
「それを、真のロリと呼ぶなんて、笑止千万ね! お前たちは結局、ロリよりも巨乳が好きなんじゃない」
 これが欲しいのだろうと言わんばかりに、ユーロは胸を強調するポーズをとって見せた。
「ち、違う……我々が欲しいのは、巨乳のおまけのロリでも、ロリのおまけの巨乳でもないでござる……」
 反論する声が弱々しい。
 胸元のボタンを1つ、2つ外してみせると彼は黙った。
「あんな鶏よりも、巨乳な私といっしょにあそぼ?」
 信者たちが身を乗り出した。
「ま、待て! 手を出せばアウト……犯罪だぞ!」
 動揺を見せつつも、彼らはなんとか衝動をこらえている。しかし、その抵抗は風前の灯火だ。
「あなたたちがロリ巨乳を好きなことは解ったわ。でも、それならロリでも巨乳でもないビルシャナを崇めるのではなく、ロリ巨乳であるわたしを崇め奉るべきではない!?」
 キアリのダメ押しに、半数の信者がこらえきれずに近づいてきた。
「遊ぶのはアウトかもしれない……でも、崇めるだけなら! 崇めるのはセーフのはず!」
 そして、彼らはユーロとキアリ、そしてナナリアの前で五体投地して祈り始めた。
「あの一つ気になったのですが、貴方達は胸の事を高らかに語ってますが……それだと、別にロリでなくて良いのでは? 第一、今はロリでも歳をとると大人になってロリじゃなくなりますけど?」
「そう。大半がおっぱいしか、言ってない」
 ラインハルトとノーザンライトが、まだ残っている信者たちに告げた。
「確かに……拙者たちは、おっぱいとしか言っていない……」
 驚愕の事実を指摘され、信者の1人が震える。
「ロリに抵抗があるか、本心ではおっぱいさえあれば良い……そう思ってるなら引き返せるぞな。リアルに恋人作って、おっぱいの道を行くが良い」
 黒いオーラを発しながら魔女が告げる。
 4人が、うわごとのように『おっぱい』と呟きながらビルシャナの元を離れる。
「そもロリ巨乳は、大体は二次元の住人……今の推しキャラがロリ巨乳なんでしょ? さっさと帰ってアニメ見てなさい。来年にはお姉様キャラ最高、って言ってるはずだから」
 そして、残っていた1人も、先週の録画がと言いながら立ち上がった……。
「待て! 今は巨乳が主と感じるかもしれぬ。だが、お前たちはまだ悟りに至っていないだけだ!」
 呼び止めるビルシャナの声は、もはや届かなかった。

●ロリ巨乳の終焉
 怒りに燃えるビルシャナはロリ巨乳の幻影を召喚した。
『お兄ちゃん……私の胸、変じゃないかな……?』『あたし……もう大人なんだよ……』などと冒的な言葉を放つ幻影を、オルトロスのアロンやテレビウムのシングが受け止める。
「よーし、パパがんばっちゃうぞー」
 クリームヒルデが光で描かれたコンソールで攻略法を検索し、サーヴァントたちを支えていた。
 信者たちがいなくなったこともあり、戦いの時間は5、6分ほどしかかからなかった。
「危ない鳥さんは縛り上げの刑だよ!」
 葵の操る不可視の御業が、ビルシャナを縛り上げる。
「し、縛られるならロリ巨乳にされたかった……」
 追い詰められてなお変態的発言をやめないビルシャナに、少女たちの冷たい視線が集まる。
「……もうこれ以上、視界に入らないで欲しいわね」
「ええ。さっさと消えてもらうわ」
 キアリが蹴り出した星のオーラと、鋼の鬼と化したナナリアのオウガメタルが、ビルシャナの法衣を引き裂き丸裸にする。
 閃光を放って攻撃をしのごうとするが、もはや手遅れだった。
「私たちと遊びましょう!」
 4人に分身したユーロがビルシャナを取り囲んで連撃を加える。
 恍惚とした雰囲気を漂わせた敵に、限界まで力を引き出したラインハルトが接近する。
「限界まで……飛ばすぞ!!」
 敵を誘導するかのような連続攻撃から、回避しようとしたビルシャナの頭部を挟んで床に叩きつけた。
「恥ずかしいから人間に戻れ。グラビティ解放。獣人格闘術奥義……極星落とし」
 必死に逃れた敵をノーザンライトがつかみ、放り投げた。
 自身も宙へ飛び、両手をつかんだまま背中に膝を載せ、隕石のごとく叩きつける。
 床で大きく跳ねた体を抱え込んだのは晴香だ。
「どんな巨体でも、非実体でも知ったことじゃないわ! 私の投げから逃げられると思ったら、大間違いよ!」
 鍛えた脚でしっかと床をつかみ、大きく反らせた体が綺麗なアーチを描く。
 三度叩きつけられたビルシャナが吐血し、そして変態は永遠に沈黙した。
「レディになった私の前では、あなたの魂なんてかすむってことね」
 ユーロが大きく胸を張ると、服のボタンが弾け飛ぶ。
 ビルシャナは最後の力でそれを見上げ、満足げな顔をして消えていった。
「本当になんでビルシャナってこんなのばっかなの……」
 うんざりと呟くナナリアは、過去に出会った変態もといビルシャナを思い出しているようだ。
「さあ、壊れた部屋を直しますよー。平面だらけにしてやりましょう。まったく、おねーさんは慎ましいから、本当は乳乳連呼するだけでちょーはずかしいんですよ?」
 クリームヒルデがまるで消毒するかのような動きで部屋をヒールし始めた。
 他の者たちも、たぶんそうしたい気分だっただろう。
 変態は滅びた。
 しかしビルシャナ大菩薩の光による影響をどうにかするまで、きっと変態は現れ続けるのだろう。
 その日まで、ケルベロスたちは戦い続けるのだった。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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