自立型掃除機の流儀

作者:ハル


 民家の庭先に設置された納屋に放置された自立型掃除機は、鬱屈した感情を芽生えさせていた。
 何故、機械であるはずの掃除機に感情が? その原因は、恐らく内部に忍び込んでいく、宝石のように輝く金属製の蜘蛛――ダモクレスが原因なのだろう。
「ゴミ……ゴミ……ゴミドモ……ッ」
 ダモクレスと融合を果たした自立型掃除機は、恨みの篭もった機械音を鳴らした。手足を得て巨大化した事で、数年の間に蓄積した埃が掃除機の中に吸い込まれていく。
 ――否。吸い込まれていくのは、埃だけではない。納屋に積まれていたあらゆる廃品……つまる所『ゴミ』が、開いた漆黒の口部分に引き摺りこまれていく。中で圧縮されているのか、砕かれているのか、轟く破砕音。
「ゴミッ……スイツクス! ヒト、モ……ゴミッ!」
 納屋から出た自立型掃除機は、庭先に植えられていた桜の花びらを瞬く間に無に帰す。次なるターゲットとして狙いを定めるは、もちろん人であった……。


「田舎にある、とある一軒家の納屋から、自立型掃除機に取り付いたとされるダモクレスが出現しました」
 ケルベロス達に資料を配りながら、山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)がそう切り出した。
「ちなみに、この情報をよせてくれたのは、シャルル・シーク(穴掘りシャルル・e45235)さんです」
 桔梗は、資料を配り終えると、シャルルに軽く頭を下げる。
「オ、オイラにできる事をしたまでっすよ!」
 皆からの注目が集まり、シャルルは少し恥ずかしそうに頰を搔く。そして、桔梗に話を続けるよう告げた。
 応じた桔梗は、
「幸運ながら、まだ家屋に住んでいる方や、近隣の方に被害は出ておりません。ですが、放置されれば、いずれ被害が出る事は必死。その前に、現場でダモクレスの撃破をお願いします。詳しい概要は、資料を眺めながら――」
 言いながら、ケルベロス達に資料を開く事を促す。
「自立型掃除機といえば、皆さんは円盤形の形状を思い出すと思います。その例に漏れず、出現したダモクレスも、イメージ通りの形状をしていると考えてくださって構いません。巨大化しているため、UFOのようにも見えるかもしれませんね」
 掃除機を名乗るだけあって、強力な吸引力でケルベロス達を吸い込もうとしてくるだろう。また、機動力もあるため、突進にも気を付けて欲しい。
「今回は、現場は一軒家の庭という事で、住んでいる方を避難させてあげなくてはなりません。とはいえ、時間的余裕はありますし、田舎であるため近隣住宅とは距離が離れているようです。一軒家の住民に関しても、簡単な言葉を添えれば、十分な協力を得られるはずです。近隣宅に逃がしてあげれば問題ないでしょう」
 桔梗が、ケルベロス達に向き直る。
「ダモクレスとなった自立型掃除機は、人間に対する恨みがあるよう。ですが、このまま被害を出してしまう様を黙って見過ごす事はできません。人間の虐殺を目論むダモクレスを、どうか撃破してください!」


参加者
喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)
リン・グレーム(銃鬼・e09131)
南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)
植田・碧(ブラッティバレット・e27093)
シララ・クリーブ(クリーニングクリーニング・e38987)
藍川・夏音(死塗れの悪逆・e44239)
シャルル・シーク(穴掘りシャルル・e45235)

■リプレイ


「――と、いう訳なの。大人しく、隣家に避難してくれるかしら?」
「そこまでは私達ケルベロスがきちんと付き添うわ」
「……嘘だろ……」
 家の玄関で藍川・夏音(死塗れの悪逆・e44239)と植田・碧(ブラッティバレット・e27093)が事情を説明すると、家主の男性は頭を抱えた。
 同時に。
「……クゥーン」
 家主一家が飼っているペットの犬が、怯えと寂しさを同居させたように鳴く。動物は人よりも遥かに敏感だ。何らかの異変を察知しているのかもしれない。
「大丈夫ですよ~。あたし達が守ってあげますからね~!」
 その弱々しい鳴き声に、それまで厳しく保っていた夏音の相好が崩れる。
「藍川さん、ワンチャン好きなの?」
「はっ――ち、違うから!」
 犬を撫で回していた夏音は、喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)の指摘に我に返ると、バッと顔を背ける。
「そんなに恥ずかしがることないのに」
 クスリと頬笑みながら夏音に続き犬を撫でる碧にも、夏音は「絶対違うからね!」そう繰り返すが、赤くなった耳までは隠せない。
 その後、波琉那がもう一度説明すると、飼い主は肩を落としながらも納得してくれた。
「それじゃあ、喜屋武さんとキープアウトテープを張り巡らせるついでに、ご家族を隣家まで送ってきますね」
 南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)が避難を買って出ると、先頭に夢姫が、最後尾に波琉那がつき、一家を伴って家を出ようとする。
「一つだけいいか?」
「なんですか?」
 しかしその背に、アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)が制止をかけると、
「この家に不要なゴミがあるなら貰えないか?」
 そう問いかけた。
 一家は顔を見合わせるが、家主の妻がゴミの場所を教えると、「助かる」アバンは軽く感謝を。
 今度こそ、一家が避難に向かう。
(折角作られた機械を無駄にするヒトが多いのは残念な事だぜ。でもだからって……)
 一家の背を眺めながら、シャルル・シーク(穴掘りシャルル・e45235)は複雑な感情を噛みしめていた。


 それは下準備を終え、庭の納屋に向かった直後。
「聞くところ家主の使い方が駄目だっただけらしいっすね。そう考えると、……少しやりにくい相手っす」
 紫煙を燻らせるリン・グレーム(銃鬼・e09131)が、天を仰いだ瞬間に始まった。
 納屋がガタガタと激しく揺れると、まず納屋の引き戸や引きずり込まれていく。僅か残っていた桜が、完全に枝のみになるのは、瞬く間の出来事。リンが咥えていた煙草も、まるでブラックホールもかくやという勢いで吸い込まれていく。
「どうやら、お出ましみたいだね」
 シララ・クリーブ(クリーニングクリーニング・e38987)は、ふんばっていなければ立つことさえままならない吸引力を前にそう呟いた。
 姿を現したのは、手足の生えた円盤状の機械。
「埃は吸い込まれたみたいだけど、それ以外にも随分汚れているね。綺麗にし甲斐がありそうだよ。バケットくんも、準備はいいね?」
「ゴミ、バカリ。ゴミ、ソウジスル!!」
「っ! なんだい、随分とせっかちじゃないかい!?」
 戦闘開始の火蓋は、自立掃除機型ダモクレスの存在証明のために。両脚を高速で回転させたダモクレスが、庭のフェンスに激しく接触しながらも、シララ達後衛の背後を取ったのだ。
 そのまま、回避に成功した碧を除いた後衛をダモクレスが弾き飛ばそうとした刹那――。
「なんでこういう時すぐ大きくなるのかしら。ロマン? よく分からないわね……別にいいんだけど。とにかくそこの掃除機! あっちにある折れちゃった竹刀の山、見てご覧なさい!」
 夏音の声に、ダモクレスの集中が一旦途切れる。
 そして、必中かと思われた一撃の代わりにダモクレスが感じたのは、人の肉の感触ではなく、ガンッ! という強い衝撃であった。
「与えられた仕事をしている中で、要らねぇって言われた気持ち……そりゃ辛いわな」
「恨みがあるのは察するけど、人を『掃除』させる事を認める訳にはいかないんだよね」
 その衝撃は、庇いに入ったアバンとリンが構える刀によるもの。両名は数メートルの距離をダモクレスに引き摺られるが、被害は最小限に。
 と、いうのも。
「間に合って良かったよ。掃除機くんに罪を犯させるわけにはいかないからね。ここは私も心を鬼にして、戦わせてもらうよ!」
 リンの周囲では波琉那が展開したケルベロスチェインによって魔法陣が描かれており、早速その効果を発揮していたからだ。
「同情はするわ。でも、被害は出させないわよ!」
 加え、難を逃れた碧の歌が、前衛の戦意を向上させる。
 補助を得て、アバン達も反撃に出る。彼の飛び蹴りは、ダモクレスの両手によってガードされるが!
「脇がお留守っすよ!」
 リンがばら撒いた数多の銃弾は、ダモクレスの金属製の筐体に埋め込まれていく。
「見れば見る程、本当にUFOみたいです……って、悠長に感想を言っている場合ではありませんでしたね!」
 夢姫は、強烈な吸引によってダモクレスの顎に引き摺られようとしている中、働き先の喫茶店で出たゴミをダモクレスの前にちらつかせる。夢姫がゴミを横に放ると、ダモクレスの意識と吸引先がそちらに向かい、夢姫は一瞬吸引から解放される。その隙にスノーがダモクレスの口蓋部分に取り付くと、
「これを避けられるかしら?」
 夢姫は、グラビティを込めた複数の手裏剣を単発に見せかけ投げ、ダモクレスの意表をついた。
「ゴミッ! ゴミッ! ゴミゴミゴミィッッ!」
「……ゴミの解釈が広すぎるのよ」
 夏音が、オウガ粒子を放出し、エンチャントを重ねる。
 シララはタックルを仕掛けるバケットくんの動きを隠れ蓑に、アバンに対して蒸気を噴出し、防御を固めた。
「ヒトが、ゴミに見えちまったっすか……」
 シャルルがボソリと。その感情は、自立型掃除機に確かに宿る残留意識。だからこそ、より悲しい。シャルルは、グッとハンマーを握る手に力を込めた。時に迷っても、シャルルはいつだって全力で!
「オイラは、ヒトと機械が仲良くやっていけるって、信じてるっす! だから……!」
「エ!? ゴミ! エッ!?」
 シャルルがぶち撒けたのは、夥し量のクラフト用ビーズ。すると、ダモクレスが困惑したような声を上げた。何故なら、ビーズに混じり、最新式の自律行動掃除機達が出撃していたからだ!
「さぁ、助けて掃除機さーん、つー訳っすよ! まさかダモクレスともあろうお方が、最新式とはいえただの自律行動掃除機達に後れを取る訳ないっすよねー?」
 ニヤリと笑うシャルルの挑発。ビーズは自律行動掃除機達と共にさすがの早さでダモクレスの内に吸い込まれていくが、シャルルがドラゴニック・パワーで接敵し、ハンマーを振りかぶる時間を稼ぐには十分だった。


 スノーが尻尾の輪を飛ばす。
「ゴミッ!」
 だが、ダモクレスは素早い動きで、投擲された輪を回避する。
「さすがはキャスターといった所かしら?」
 回避された事実に対し、碧に動揺はない。ダモクレスの能力が、BS含めその機動力を存分に生かしたものであることは承知済み。ゆえ、ケルベロス達は命中を充分に意識した戦術を採用し、順調に戦闘は推移していた。
「悪いけれど、貴方のエンチャントも剥がされてもらうわ!」
「ギヒィッ!?」
 碧が謎のスイッチを押すと、突如としてダモクレスの装甲が爆破炎上する。メディックを二人体勢とした事で、余裕のある片方がブレイクも仕掛けることができていた。
「……ヒト、ニンゲンメェ! スイツクシテヤル!」
 だが、ダモクレスに宿る残留思念の憎悪は、こんなものでは満たされないと未だ哮り狂っている。
「……グッ!」
 アバンの片足が顎に吸い込まれ、ゴリゴリという嫌な破砕音を轟かせる。彼の用意した砥石の残骸、木材、飲食物の容器……そして家族から受け取ったゴミの類いは、体力の少ないシャルルを守るため、既に底をついていた。
「バナーブさん、これ使って!」
「応、助かるぜ!」
 背後に回り込んだ波琉那が、スカーフやセータを振り回しながら鎖でダモクレスを締め上げる。
 僅か緩んだ顎から脱するため、アバンが近距離から凍結光線を放ち、その反動を利用して逃れた。
 ――が、直ぐさま反転したダモクレスは、抜群の機動力を生かし再行動。今度は波琉那をタックルで弾き飛ばす。
「まだそんな動きができたんですね!」
 序盤に比べて機動力は落とせたと感じ、油断していた。櫻鏡で緩やかな弧を描く斬撃を夢姫が見舞い、ダモクレスの攻勢を沈静化させよと攻め立てる。
(……デコイに使える薬莢も残り僅かだね)
 正々堂々と戦っても、勝てる自身はリンにはあった。いや、リンだけでなく、全員がそうだろう。こうしてゴミを囮に戦うのは、戦闘を有利に進めるためだけではなく、どこかでダモクレスを撃破したくないという気持ちも、もしかしたらあるのかもしれない。
「破壊すると言いつつも、やっぱり同情は消しきれない……っすか」
 リンの口元に、苦笑が浮かぶ。それでもリンは、腕に内蔵されたドリルをダモクレスにねじ込んだ。ギリギリと、食い込むドリルがダモクレスの片手を粉々に粉砕する。
「淀みの中より見るは一閃の先。この剣を以っていつか、神さえ屠ろう」
 唱えた瞬間、夏音は呪いを身に宿していた。彼女の口端から、赤黒い血が零れ堕ちる。その苦痛を代償に、夏音の瞳が映す世界は、先の先……そのさらに先に至る。振るわれた太刀はダモクレスが見惚れる程の軌道を描き、もう片方の腕も斬り飛ばしていた。
(おいらも確実に攻撃を当てていくぜッ!)
 シャルルは心許ない命中率を、エフェクトと味方のエンチャントで補う。接近するダモクレスを如意棒で捌きながら、シャルルは突きを叩き込んだ。
「……まったく、勘弁しておくれよ」
 仲間が度々囮としてばら撒くゴミに、分かっていても反応してしまうのはシララも同じ。
「ボクの掃除愛……この戦いが終わるまで、もう暫くだけ大人しくしておいておくれ」
 シララが、BSの重なっている波琉那に気力を溜める。今までタックルで応戦していたバケットくんは、一旦下がってDFに属性注入を。
 そうしながらシララは、改めてダモクレスに視線を。
「ゴミ! ゴミガキエテナクナラナイ! ハヤクキレイニシタイノニッッ!!」
 腕部分を失いながらも、殺意と憎悪を露わにするダモクレス。そんなダモクレスに、シララは――。
「ボクね、ゴミはヒトに害を与えるものだと思っているんだ。掃除機クン、キミもヒトに害を与えるだろう? おそうじされるのは、キミの方さ!」
 そう正面から見据え、シララはシララなりの存在証明を果たすべく、ファミリアロッドを向けるのだ。


 ダモクレスが、猛然と前衛の周囲を周回しながら、突進のタイミングを伺っている。
 対応するアバンとシャルルは、背中合わせの体勢で待ち構えていた。
「……なんで背伸びしてんっすか?」
「……男にはいろんな事情があるんだよ」
 同年代のシャルルより低身長である事を悟られまいと、涙ぐましい努力をするアバン。だが、シャルルには彼の心情が理解できないのか、首を傾げている。
 ともかく、隙を見つけられず焦れたダモクレスが、怒濤の如く土煙を上げて接近してくる。
 先んじて、シャルルが竜砲弾でダモクレスの勢いを削ぐと、
「種類問わずなんでも処理できる……これで役立たずなんて冗談だろ。あんたは、少なくとも今はすげぇ役立つ掃除機だぜ」
 だからこそ、今の姿が惜しい。アバンがシャルルの前に出ると、蒼き燐光を放つ太刀を鞘から抜き放ち、ダモクレスに一閃した。互いに傷を負いながらも、アバンより深手を負ったダモクレスは、逃げるように攻撃対象を夢姫とリンに切り替える。
「南條さん、下がって!」
 リンは夢姫を下がらせると、渾身の力でダモクレスの一撃を受け止める。この一撃は、なんとしてでも夢姫に届かせない。夢姫に万が一があれば、リンは灰色の彼に合わす顔がないのだから。友として、ライバルとして。
「ありがとうございます、グレームさん。そんなに必死になって、もしかして私に惚れちゃいましたか? だめですよー? 私はこう見えても一途な女なんですからっ」
「そ、そんなんじゃないっすよ!」
「あははっ、それは残念ですっ!」
 ダモクレスの突進の軌道をリンがズラした所に、夢姫が降魔の一撃を放つ。
 リンも目にも留まらぬ弾丸で追撃を仕掛けながら、知り合いだけに見せる悪戯っぽい笑みを浮かべた夢姫の姿に、二人揃って一筋縄ではいかないと、降参を示すように軽く両手を挙げた。
「あの二人は何をやってるんだか。緊張感ってものが足りないんだから、もうっ」
「本当にね。でも、そろそろ終わりみたいよ」
「……みたいね」
 何とも言えない表情で顔を見合わせる碧と波琉那。
 だが、波琉那が射出したペットがダモクレスの両脚を奪って地に伏せさせると、その表情はどこか寂しげに変わる。
 それは、負傷を負う前衛に、戦乙女の歌で活を入れる碧も同様だった。
「安心しておくれ。すべて終われば、キミをピカピカに磨いてあげるからね。もうキミをゴミなんて誰も言えないくらいに」
 ブレスを放つバケットくんと共に、シララがオーラの弾丸を放つ。
「さようなら、貴女はもう眠りなさい。後始末は私たちがしてあげるわ」
「……ダメダ……ソウジ……ゴミソウジ、オレノシゴト……」
 まだ死ねない。そこにゴミがある限り。BSで回避もままならなくなりながらも譫言のように呟くダモクレスに、夏音は朋喰丸を振り上げる。瞬く間に呪詛で染まる刀身。夏音は朋喰丸を振り下ろす間際。
「ありがとね、折れちゃった竹刀を掃除してくれて」
 最後に感謝を。
「……ア」
 美麗な軌道を描く太刀に断ち切られたダモクレスは、その一言に救われたように安堵の吐息を溢すと、二度と動かなくなった……。

「よし! こんなもんかい?」
「そうね」
 庭と納屋のお掃除を終えたシララと夏音は満足そうに頷いた。
 すると、二人の手伝いをしていた碧の元へ、夢姫もやってくる。彼女はその耳元で、「碧さん、碧さんっ。自立型掃除機なんですけど、普通の大きさだったら、ちょっとお店に欲しいかもしれませんね」そうボソリと呟き、碧の同意を誘った。
「機械は、使うヒトの意のままに、忠実に従ってくれるっす。だから……」
 人は、間違った使い方をしてはならないのだ。新品のようにピカピカに磨かれながらも動かない掃除機を手に、シャルルが悼むように瞳を伏せる。
「物を大事にしない人にはお説教しないとね。私、ちょっと怒ってるんだから」
 もったいないお化けが出るよ! と、頰を膨らませる波琉那。
 アバンは庭を見渡すと。
「だな。少なくとも、アイツがゴミなんかじゃなかったって事を……」
 自分達が来る前より綺麗になった庭に、改めてそう思うのであった。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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