闇の支配者

作者:白鳥美鳥

●闇の支配者
 コンスタンツァ・キルシェ(ロリポップガンナー・e07326)は、過去、裏社会で生きてきた。今は足を洗って青春を謳歌しているが、過去は消えるものではない。
 そんなコンスタンツァは、無類の可愛いもの好き。今日も、色々な店を見て歩いていた。
 だが、ふと気が付く。夢中で見ているうちに高揚感が出たのか、いつの間にかショッピングモールから離れ、周囲に人の気配が無い事に気が付いた。
 そして、そんな彼女の前にシャイターンが現れた。
「久しぶりだな、コンスタンツァ」
「……ディアボロ!?」
 過去、出会った事のあるシャイターン。その登場に、コンスタンツァは驚きが先行して直ぐに戦闘態勢に入れなかった。それを、ディアボロが見逃すはずがない。ディアボロの煉獄の炎が容赦なくコンスタンツァに襲い掛かった。

●ヘリオライダーより
「みんな、大変な事が起ころうとしているんだ!」
 デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、切羽詰まった表情で、ケルベロス達に声をかける。
「コンスタンツァ・キルシェ(ロリポップガンナー・e07326)が宿敵であるデウスエクスの襲撃を受ける事が予知されたんだ。勿論、急いで連絡を取ろうとしたんだけど……連絡を取る事が出来ないんだよ。だから、一刻の猶予もない。みんな、コンスタンツァが無事なうちに何とか救援に向かってほしい!」
 デュアルは状況を説明する。
「場所はショッピングモールから少し離れた静かな住宅街の一角。彼女の宿敵はどうやらシャイターンの様だ。眼鏡をかけた男で、紺のスーツに黒の毛皮のコートを着ていて、それにシャイターン独特の『タールの翼』があるから直ぐに分かると思う。相手は炎と氷の攻撃に長けているようだ。後、配下は連れていないようだよ」
「みんなにコンスタンツァを救い出してほしい。そして、彼女の宿敵を倒してほしいんだ。相手は彼女にとって因縁のある相手。そして、その彼女が相手にやられてしまうなんて事はあってはならないんだ。みんなの力を貸して欲しい! お願いだよ!」


参加者
テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)
クリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036)
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)
リディ・ミスト(幸せ求める笑顔の少女・e03612)
羽丘・結衣菜(マジシャンズセレクト・e04954)
コンスタンツァ・キルシェ(ロリポップガンナー・e07326)
マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)
リューイン・アルマトラ(蒼槍の戦乙女・e24858)

■リプレイ

●闇の支配者
「ん? お前一人の時を狙ったつもりだったんだがな」
 紺のスーツに黒の毛皮のコートを着たシャイターンは、にやりと笑った。
 本来は、コンスタンツァ一人の時を狙ったはずなのだが、彼女は一人ではなかった。
「アタシには心強い仲間がいるんす! 残念だったっすね、ディアボロ!」
 そう、コンスタンツァ・キルシェ(ロリポップガンナー・e07326)には心強い仲間達が助ける為に駆けつけてくれたのだ。
 恋人であり相棒のファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)、そして大切な友人に仲間達であるテンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)、クリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036)、リディ・ミスト(幸せ求める笑顔の少女・e03612)、羽丘・結衣菜(マジシャンズセレクト・e04954)、マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)、リューイン・アルマトラ(蒼槍の戦乙女・e24858)。そして応援にかけつけてくれた那磁霧・摩琴(シャドウエルフのガンスリンガー・e42383)、ラルバ・ライフェン(太陽のカケラ・e36610)、レスター・ストレイン(デッドエンドスナイパー・e28723)、莓荊・バンリ(立ち上がり立ち上がる・e06236)、シル・ウィンディア(蒼風の精霊術士・e00695)。そして、サポート役のミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)。
「ドーモ。初めまして。ディアボロ=サン。クリュティア・ドロウエントにござる。闇の支配者と言っているようでござるが、こんな所に態々出向くとは自らサンシタと言っているような物でござるな」
 挑発する様に言うクリュティアに対して、ディアボロはニヤリと笑う。
「ふん、そんな口を叩けるのは今の内だ。……まあ、良い。何人居ようと私の目的は変わらないのだからな」
 タールの翼を羽ばたかせると、ディアボロは襲い掛かってきた。

●シャイターン・ディアボロ
 赤々と燃え上がる灼熱の炎がコンスタンツァに向かって放たれる。それをマークが受け止め、庇う。
「ありがとうっす!」
 スタンの言葉に、マークは気にするなという素振りを見せた。
「ケルベロスチェインによる結界でござる」
 直ぐにクリュティアが動き、鎖がマーク達に守りの力を高めていく。間髪入れずにファルケはドラゴニックハンマーの形態を変化させると砲弾を撃ち込んだ。
「スタンちゃん、がんばろーっ♪」
 リディは笑顔でスタン達にオウガ粒子を放っていく。続けてテンペスタがディアボロについて飛翔突撃をしていくが、その攻撃は翼を上手く使ってかわされてしまった。
「くっ、やはり素早い」
「その様な攻撃、早々喰らったりしないぞ?」
 余裕の表情でディアボロは、テンペスタを見てせせら笑った。
「スタンさん達に力を!」
 直ぐに態勢を立て直すべく結衣菜がカラフルな爆発を、同様にマークがレーザードローンを用いて力の底上げをしていく。
「みんな、ありがとうっす!」
 コンスタンツァは天使の羽付きリボルバーのトリガーを引く。愛情を力へと変え、真っ赤に燃える爆弾をディアボロに落とした。続き、リューインに輝く蹴りを叩き込む。ミーミアとシフォンはテンペスタ達にオウガ粒子と清らかな風を送っていった。応援に来てくれた仲間達も回復と命中率等を上げていってくれる。
「そんなこざかしい事をしても無駄だぞ?」
 ディアボロから冷たい冷気が放たれる。その温度は急速に下がり、スタン達に向かって放たれた。流石にカバーしきれない。
 クリュティアはケルベロスチェインを展開してコンスタンツァ達の守りを高める。
「スタン、大丈夫かい?」
「大丈夫っす。簡単にはやられないっすよ!」
「よし、それでこそスタンだ」
 コンスタンツァに励ましの声をかけたファルケは、ディアボロに向かって重い蹴りを放った。
「究極!! レプリカントキック!!」
「おおっと、力強い蹴りだねえ」
 テンペスタの強力な飛び蹴りがディアボロを襲うが、軽いステップを踏みながらかわしていく。
「こっちだって、まだまだこれからだよ!」
 リディはテンペスタ達に向かい、オウガ粒子を放って集中力を上げていった。一方で結衣菜はエクトプラズムを使ってリューイン達へと護りを高めていった。マークはディアボロの隙を狙える位置に移動していく。
「これでも喰らえっす!」
「わたしも援護するよ」
 コンスタンツァはリボルバー銃にグラビティ・チェインを籠め撃ち放つ。それに合わせてリューインの空の霊気を乗せた斬撃が襲い掛かり、それは見事にディアボロに命中した。
 ミーミアとシフォンはファルケ達にオウガ粒子を放ち、清らかなる風を送りこむ。だがリューインのビハインド、アミクスの攻撃は外れてしまった。
「ふむ……見事な援護、という所か。だが、私についてこれるかな?」
 自信に溢れた表情を浮かべたディアボロは、再び煉獄の炎を纏う。その紅蓮の炎は再びコンスタンツァに襲い掛かってきた。あくまで、コンスタンツァ狙いの様だ。それをクリュティアが間一髪で庇う。隙が出来た瞬間を狙ってファルケの砲弾がディアボロに撃ち込まれた。
「スタン殿、無事でござるか?」
「ありがとうっす!」
 庇ってくれたクリュティアにコンスタンツァは笑顔で返す。大好きなファルケや友達の前でかっこ悪い所は見せられない。それに、本当に心強く思い、自らも強くなれる。
「テンペスタさん、これからが見せ場だよ!」
 リディはテンペスタ達に向かって、オウガ粒子を更に重ねてかけていく。
「クリュティアさん、回復するわ!」
 結衣菜は、森と緑の恵みを宿した魔法の木の葉を使ってクリュティアを癒す。
「識別情報入力 攻撃目標設定 支援開始」
 マークもレーザードローンを使ってコンスタンツァ達へと更に力の底上げを図っていった。その支援を受けて、コンスタンツァは死角をついて弾丸をディアボロに向かって撃ち込む。更にリューインの重い蹴りが叩き込まれた。
 ミーミアはリディにオウガ粒子を、シフォンは清らかなる風をマーク達に送った。
 ディアボロが闇に包まれていく。回復に入っているらしい。傷だけでなく、回避能力が落ちてきている事もあるのだろう。しかし、こちらも命中率は確実に上がっている。
「いざ、参るでござる! 分身殺法 斬影刃!!」
 クリュティアは自らの分身を作り上げるとディアボロに向かって次々と攻撃を繰り広げる。更にファルケの重い蹴りが叩き込まれた。
「今回は逃げられると思うな!」
 テンペスタは渾身の力を籠めて飛翔突撃をディアボロに喰らわせる。今まで攻撃をかわされて来ただけに気持ちが良い。
「これ以上、誰の幸せも奪わせないっ!」
 リディはディアボロの周囲の空間を液状化させて纏わりつかせる。そこを狙って結衣菜の漆黒の弾丸が撃ち抜いた。
「20mm READY」
 マークの放つガトリングガンの銃弾が次々とディアボロに向かって撃ち放たれ、コンスタンツァの想いを込めた真っ赤な爆弾がお見舞いされる。更にリューインの放つエネルギーを込めた矢が撃ち込まれた。
「コンスタンツァちゃんに、力をあげるの!」
 ミーミアはコンスタンツァに向かって雷の力を使い、彼女の力を上げていく。シフォンも清らかなる風を送っていった。
「……ぐぅ、ここでやられてたまるか」
 ディアボロは極寒の凍気を纏う。その全てを凍らすかのような波動がコンスタンツァ達を襲った。
 直ぐにクリュティアが動く。月の弧を描くように刀を動かすと、ディアボロに突き立てた。そこに、ファルケの放った漆黒の闇が捕らえる。
「究極!! レプリカントキック!!」
 テンペスタの代表必殺技である、無駄に洗練された無駄の無い無駄な必殺アクションと共に跳躍し全力でディアボロを蹴り飛ばした。続いてリディが急所を狙って蹴りを放つ。重ねる様にマークは反射鏡がついた子機を飛ばし、それにレーザーを当てて多角攻撃を喰らわせた。
「スタン殿カイシャクは任せたでござる!」
「スタンちゃん、決めちゃえーっ!」
「僕も、ここにいる皆も、スタンの強さを信じてるんだ。だから、やってやれ!」
 クリュティア、リディ、ファルケがコンスタンツァに励ましの声をかける。勿論、ここにいる皆の気持ちも同じだ。
 それに、コンスタンツァも笑顔で応える。
「大好きなファルケや大好きな友達、みんながいれば無敵っす!」
 コンスタンツァはリボルバー銃を握りしめる。それを大分動けなくなったディアボロに銃口を向けた。銃に全身全霊、ありったけの力、グラビティ・チェインを詰め込んだ。
 リボルバー銃の引き金を思いっきり引く。
「いっけーっ!!」
 グラビティ・チェインで出来た巨大な弾丸はディアボロを撃ち貫く。それはディアボロを粉々に砕き、闇のシャイターンは消滅していった。

●みんながいるから
「やった……倒した……倒したっすよね……」
 全身の力が抜けていき、コンスタンツァは座り込む。そして、先程までディアボロがいた場所を何度も見た。……そこには、誰もいない。何も無い。
 そう、間違いなくコンスタンツァはディアボロを倒したのだ。
「やった……やったっす! 倒したっす!」
「お疲れ様。良くやったね、スタン」
「ありがとうっす! アタシ、やったっす!」
 声をかけてくれたファルケにコンスタンツァは跳びあがると思いっきり抱きしめた。
「無事か?」
「無事で何よりでござる」
「無事っす! マークさんが、クリュティアさんが……みんながいてくれたからっす!」
 続いてマークとクリュティアに抱きつくコンスタンツァ。それから、テンペスタ、リディ、結衣菜、リューインと次々と抱きついていった。
「きてくれてちょー心強かったっす、マジ感謝っす! みんな大好きっす!」
 感謝の言葉と気持ちを込めて。
「みんなも来てくれてありがとうっす!」
 応援に来てくれた摩琴、ラルバ、レスター、バンリ、シル、ミーミアも感謝の気持ちを込めて次々と抱きしめる。
 そう、自分の事を大切に想ってくれる人達が沢山いる事を心から感謝して。
「本当に、みんな大好きっす!」
 コンスタンツァの幸せな笑顔が咲き乱れたのだった。

作者:白鳥美鳥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 2/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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