病魔根絶計画~爆発するユーモア

作者:洗井落雲

●ユーモアとは。
 斉藤浩一の人生は順風満帆だったし、今後もそうなる予定であった。この瞬間までは。
 その日、男は仕事の打ち合わせを行っていた。相手は、取引相手である、会社の社長である。
 契約はつつがなく締結した。そして雑談。
 相手の話に合わせて、適当に相槌を打って居ればいい。いつもやっていることである。
 が。
 なんというか。
 浩一は突然、無性に、笑いをとりたくなってしまったのだ。いや、笑いをとりたい……違う、とらなければならない。
 浩一は我慢した。理性が、笑いをとりたいという欲求を押さえていた。が。それももう限界であった。
「ははぁ、登山中に転んでしまったのですか……しかし、ケガ無くて良かったですね! はげてるだけに! ハハハ!」
 相手の社長の毛は薄かった。そこをかけた、渾身のギャグだった。

 さて、それから数日後。
 浩一は、隔離病棟に担ぎ込まれていた。
 『慢性ユーモア過剰症候群』。
 感染すると、「何か面白いことをして人を笑わせたい」という願望が異常に強くなり、やがて場所や状況を問わずに一発ギャグに走らずにはいられなくなってしまうという病。
 浩一は、それに感染していたのである。
「うーん、違ったか……もっとこう……面白いギャグを考えなきゃな……」
 ぶつぶつと。うつろな目で、浩一は呟いていた。

●お笑いとは
「……難しいものだな、一発ギャグと言うのは」
 真面目な顔でアーサー・カトール(ウェアライダーのヘリオライダー・en0240)が言う。
「あ、いや、違うぞ? 別に私がなんというわけでなくてだな、病魔の話だ」
 慌てて訂正するアーサー。彼が言うには、慢性ユーモア過剰症候群と言う病魔を根絶する準備が整ったのだという。
 この病は身体や命に被害は出ないが、真っ当に社会生活を送れない様な状況に陥ってしまう、なんとも厄介な病であるというのだ。
「はたから見れば笑い話だが、当事者たちにとっては笑い事ではない。できれば根絶に、力を貸して欲しい」
 さて、今回相手取る病魔は、『慢性ユーモア過剰症候群』。これはいつも通り戦って倒せばよいわけだが、病魔根絶作戦においては、患者の看病も、作戦上重要な行為となる。
 と言うのも、患者を適切に看病する事によって、『個別耐性』と言う、この病魔に対する抵抗力を得ることができるのだ。これを得ることによって、戦闘中に、この病魔から受けるダメージが減少する。戦闘を有利に進めることができるだろう。
「看病についてだが……患者に出来る限り付き合ってやると良い。患者のギャグに笑ってやるとか、患者と一緒になって面白いギャグを考えてやったり、的確なツッコミを入れて盛り上げてやったり……ああ、ギャグについては、深く考える必要はないよ。患者の笑いのハードル……と言うかツボと言うのか? それは、小学生レベルらしいからな。はしゃぐ子供に付き合うような感覚でいてやってくれ。……元は真面目で、優秀な会社員だったらしい。元に戻してやってくれ」
 アーサーはヒゲを撫でた。
「この病気を根絶するチャンスだ。風変わりな病魔だが、患者が苦しんでいることに変わりはない。君達の無事と、作戦の成功を、祈っているよ」
 そう言って、アーサーはケルベロス達を送り出したのだった。


参加者
ゼレフ・スティガル(雲・e00179)
エール・インハーバー(レボリューションオイルキング・e11860)
エクレール・トーテンタンツ(煌剣の雷電皇帝アステリオス・e24538)
惟任・真琴奈(素顔内在証明・e42120)
レッヘルン・ドク(怪奇紙袋ヘッドクター・e43326)
死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)
ザベウコ・エルギオート(破壊の猛獣・e54335)
久我・有栖(報仇雪恨・e55613)

■リプレイ

●笑いの絶えない職場です
 薄暗く、何処か寂しい感じのする廊下に、場違いなほど明るい笑い声が響いていた。
 此処は病棟。それも、重傷者を隔離管理するための隔離病棟である。常なれば、明るい笑い声など響くはずのない場所だ。
 だが、この病棟では違った。何故なら、この笑い声こそが病なのである。
 『慢性ユーモア過剰症候群』。『何か面白い事をして人を笑わせたい』と言う衝動に耐えきれず実行してしまう、ついでに笑いの『ツボ』のハードルを著しく下げる病。
 命にはかかわらないが、社会的には致命傷である。時・場所・時間をわきまえず、程度の低い『お笑い』を実行してしまうわけなのだ。まともな社会生活などおくれるはずもない。
 だから、笑い声とは裏腹に、彼らは苦しんでいるのだ。
「ボク達は貴方を救いにきたドクター。そしてこれは毒だー」
 と、毒の小瓶(とラベルが貼ってあるのだ。中身が事実毒なのかはわからないが)を取り出し見せつけ、惟任・真琴奈(素顔内在証明・e42120)は言った。
 隔離病棟の一室である。
 患者、斉藤浩一の病室であるその部屋には、当の患者である浩一と、治療に訪れたケルベロス達が集まっていた。
 ケルベロス達が病室へと入って、最初に放った言葉がコレである。
 沈黙。
(「……ツッコむべきか……!?」)
 ザベウコ・エルギオート(破壊の猛獣・e54335)が、周囲に目配せをした。
(「いや、笑うべきかもしれへん……!」)
 久我・有栖(報仇雪恨・e55613)がアイコンタクトをとった。
 何を真面目に緊張感を走らせているのか、と思われるかもしれないが、これこそが、今回の病魔への対処、つまり看護なのであるから仕方がない。この病の看護方法は、徹底的にノッてやる、これだけなのである。
 ふと、浩一が俯き、肩を震わせているのが分かった。
 怒ったか?
 いや、違う!
 笑っているのだ!
(「笑いだ!」)
 ザベウコが、力強く頷いた。
(「笑いやな!」)
 有栖が、親指を立てた。
「やべェー、傑作だぜそれ! 面白ェーわ!」
「あははは、めっちゃおもろいで。こんだけおもろかったら芸人なれるんとちゃう!?」
 2人が笑うながら言うのへ、浩一が同意した。
「いや、実に素晴らしいです! ドクターと言ったけれど、実は芸人なのでは?」
「ふっ、ドクターでもなければ芸人でもない。雷電皇帝アステリオスである!」
 と、腕を組みつつ得意げにエクレール・トーテンタンツ(煌剣の雷電皇帝アステリオス・e24538)が言った。
「聞くがよい、頂点たる余の渾身のギャグを! こほん! 隣の家に塀と囲いができたってねー……へーかっこいー!」
 沈黙。
(「ツッコミだよな!?」)
 エール・インハーバー(レボリューションオイルキング・e11860)が、ハリセンを構えながら周囲へ確認するのへ、
(「いえいえ、様子を見ましょう……またツボにはまっているだけかもしれません」)
 と、レッヘルン・ドク(怪奇紙袋ヘッドクター・e43326)が答える。
 果たして、その通りであった。浩一は肩を震わせ、
「かっこいー、ってなんだよ……ぷぷぷ……」
 等と笑っているではないか!
(「笑いです!」)
 レッヘルンが言うのへ、
(「OK、笑いだな!」)
 エールが頷き、
「あっはははは! やるじゃないか雷電皇帝! 石油王(予定)の俺もちょっと認めざるを得ないぜ!」
「ふふふ、あまりに素晴らしいギャグです。私も刺激されて一つ思い浮かびました。夏の北海道、ドーナツに穴がなくなる地域があるんですよ。ほら、道夏の稚内(どうなつのわっかない)って言うじゃありませんか」
「ぶふぉあ!」
 突如かぶせられたレッヘルンの追撃に、浩一がたまらず吹き出す! 此処は畳みかけるべきか!? ケルベロス達の間に緊張が走る中、
「では、僭越ながら私が……」
 すっ、と前に出たのが、死道・刃蓙理(野獣の凱旋・e44807)である。
「ブラックウィザードの死道です。よろしく。共に笑いの高みを目指しましょう」
 ぺこり、と頭を下げた。浩一もつられて頭を下げる。
「他人の欠点をネタにするのは、その人に嫌われちゃう可能性があります。ネタにするならやはり自分自身の事。そう、あなた自身が……」
 そう言って、ぐっ、と顔を近づけるや、
「ハゲてみるというのはどうでしょう。私の魔法なら一発でドカンとやれますよ……」
 しばし、真面目な顔で髪の毛を見つめる刃蓙理であったが、ふと、くすり、とわらった。
「冗談です。これがホントの……ブラック(ウィザード)ユーモア……」
 いえーい、などとピースサインしつつ、刃蓙理が〆る。
 ツッコミか? 笑いか? と言う毎度の葛藤がケルベロス達の間に巻き起こる中、浩一はふむ、と唸った。
「ブラック……ユーモア……なるほど、これはケルベロスにしか扱えぬ笑い……!」
 そうだろうか。いや、当人が納得してるので良いだろう。
「素晴らしいですね……皆さん、レベルが高い。私もまだまだだと痛感しました」
 謙遜か、或いは本気なのか。いずれにしても、何やら感じ入る所があったようである。
「よかったら、あなたのギャグを披露してもらってもいいっすか?」
 ゼレフ・スティガル(雲・e00179)が、穏やかな調子で尋ねる。その言葉に、浩一は待ってましたとばかりに目を輝かせた。やはりと言うかなんというか、相手もギャグの披露の機会を待っていたのである。
「いいですとも! 聞いてください。知ってるか? 今日ここに石油王が来てるんだって!? 『おー、いるいる』!」
 やべーのぶっこまれたぞ! とケルベロス達が思ったかどうかはわからないが、ケルベロス達の間に再び緊張が走った! おそらくは石油王とオイルをかけたギャグであろう! 問題は、相手がどのようなリアクションを求めているかである! 笑いか、或いはツッコミか! 慎重に、そして的確な判断をせねばなるまい!
 ちらり、ちらり、と浩一がケルベロス達に視線をやる。これはどっちの視線だ、笑いが欲しいのか? それともツッコミが欲しいのか? 覚悟を決めるしかない!
「な……なんでやねん!」
 エールが動いた! ツッコミだ! ハリセンでぱしん、と浩一を叩き、
「そんな事より俺達で石油王目指そうぜ!」
 アレンジを一つ。
 浩一は嬉しげに笑った。
「やりますね……石油王に石油王をかぶせてくるツッコミ……さらに目指そうぜ、と言う所が前向きでいい……凄く、いい……」
 お気に召したらしい。
「所で、今のギャグはどんな時に使うんだい?」
 尋ねるゼレフに、
「それはもちろん! 石油王がいる時ですね!」
 中々ねぇよそんな状況、とケルベロス達が思ったかどうかは定かではないが、まぁ、まぁ、本人が満足してるので良いだろう。
「ふふ、なるほど。ノッてきたね。じゃあ、次のを聞かせてもらっていいっすか?」
 にっこり笑いながら、ゼレフが尋ねる。その言葉に、嬉々として、浩一はギャグを披露し続けた。
 ケルベロス達は、時に突っ込み、時に笑い、浩一のギャグにリアクションをし続ける。ある意味楽しく、つらい時間であったが、ケルベロス達は耐えた。耐えに耐えて、笑った。お腹が痛い。ストレスで。涙が出ちゃう。辛くて。しかし笑い続けた。
 自分達も辛いが、この患者も辛いのだ……嬉々として酷いギャグを言っている様子からはとてもそうは思えないが、何せこれが本来の患者の姿ではないのだから、やっぱりつらいのである。
「この時計をみとけい。……そろそろ病魔退治の時間です」
 と、真琴奈が言った。気づけば結構な時間がたっている。そろそろ『手術』の時間だ。
「や、やっと終わるのね……あ、いやいや、楽しい時間は早く過ぎるものよな! 余も満足であるぞ!」
 思わずちょっと素を出しながら、エクレール。
「……では、行きましょうか……」
 刃蓙理がそう言うのへ、ケルベロス達は頷いた。

●神、降臨
『笑いの神! キタコレ!』
 目の前でゲラゲラと笑いだす病魔の姿を前に、ケルベロス達はうんざりとした表情を浮かべていた。或いは、怒りの表情を浮かべている者もいたかもしれない。
 あれから、まだギャグを繰り出そうとする患者をベッドから引っぺがして台車に乗せて、患者のギャグを聞きながら『手術室』への道を行く事十数分。患者のギャグを聞きながらレッヘルンの手により病魔が召喚される。
 とにかく、コイツが諸々の元凶である。速やかに殲滅し、患者を元の生活に戻さなければならない。
「とりあえず、黙ってもらおうかな」
 と、『随』を手にしたゼレフが言った。
「君の犯した罪は重いよ」
 かすかに青に染まる刀身。その刃を振るえば、切っ先より陽炎と共に色なき炎が放たれ、全てを断絶する。『无焔(スラヴァ)』による一撃が、病魔の身体を切り裂く。
『痛すぎワロタ』
「笑った? いいえ、あなたは……泣いとけ……!」
 刃蓙理が『邪聖魂ネクロマンサー』を掲げる。すると、その瘴気に呼応したように、大地より泥の鎖が現れ、病魔を殴りつけた。刃蓙理のグラビティ、『泥陀羅重鎖(デイダラジュウサ)』である。
「地獄化した姉妹の力……他力本願だと笑いたければ笑え、これがボク達の戦い方です!」
 地獄の炎を身にまとわせ、真琴奈が言う。
「余の雷光は今宵も滾っておるぞ!」
 槍を構え、全身を帯電させながら、エクレールが歌うは「寂寞の調べ」。それにより呼び寄せられた魂が、ケルベロス達の援護を行う。
 テレビウム『雷光の従者』もまた、主のように凶器を掲げ、突撃した。凶器攻撃が病魔へとヒットし、
『何コイツ怖すぎワラタ』
 などと言うのへ、
「コイツ笑ってばっかりかよ!」
 と、ザベウコ。
「なら笑えないようにしてやる! 病魔は消毒してやるぜェーッ!」
 拳を掲げると、そこから伸びた角が炎を宿し、燃え盛る。それで殴りつければ相手はたちまち炎に包まれるだろう。『燃魂の角纏拳(ネンコンノカクテンケン)』は、全ての敵を焼き尽す。
 ナノナノ『イェラスピニィ』は、前衛のケルベロスへ、ハート型のバリアを展開。敵の攻撃に備える。
「こんな滑りまくる病魔がおってたまるか!! 滑り過ぎなんじゃ!! エターナルフォースブリザードかよ!!」
 有栖が叫ぶ。気持ちはわからないでもない。随分と、治療中にフラストレーションがたまったようである。ガトリングガンを構え、怒りの炎を弾に乗せ、病魔へ向かってぶっ放す。怒りの弾丸は病魔を撃ち抜く。
『ちょ、落ち着けし』
「くそっ、なんか緊張感に欠ける奴だな!」
 エールが言う。別に、敵にダメージが通っていないわけではない。となれば、敵の言動は余裕や挑発などではなく、素なのだろう。或いは、アレもまたギャグなのかもしれないが。
「なら……いい加減にしなさいアターック!」
 かちり、と手元のスイッチを押せば、病魔の周囲が次々と爆発していく。ユーモアの爆発には遠隔の爆発で対抗だ、とはエールの弁。
「いやはや、オヤジギャグはいい文化ですが、他人に迷惑をかけるのは論外ですよ、ええ」
 『ボコスカバット』を投げつけつつ、レッヘルン。ナノナノもこくこくと頷きつつ、ハートのバリアで味方を包み込む。
『ワロス、ならばこれを食らえし』
 と、ケルベロス達の耳元に、病魔のささやきが届いた。それは思わず『寒っ』となってしまうようなギャグだ! そしてこれはグラビティ。実際に体に氷が発生するというおまけ付きだ!
「おもしろくない……いや、痛くも痒くもないわ!」
 有栖が叫んだ。
「どんだけ寒いギャグ聞かされた思ってんのや!」
 もちろん、ギャグに慣れた……と言うわけではなく、個別耐性が無事に身についたという事である。決して、ギャグに耐性がついたわけではない。
 そう言ったわけで、戦闘はケルベロス達の優位で進んでいった。ケルベロス達の士気は高い。それはもう、今までのうっ憤を晴らすかのように、病魔をボッコボッコにしていく。
『ひどくない?』
 ボロボロになった病魔がそう言うのへ、
「酷くないね」
 と、にっこりと笑いながらゼレフが武器でグラビティを叩きつける。
「私、ブラックなウィザードだから……」
 刃蓙理は『ガレイソード灰土羅』で以て、急所をかき切る一撃を繰り出す。
「もう、あなたの『笑い』には飽き飽きしてきました」
 そう言って、真琴奈が呼び出すは本人曰く、元居候の残霊。
「畏怖し、平伏せ!」
 その力を借りて放たれるは、空想の結晶たる紫の光。流星のごとく流れ落ちるそれは、敵へ目掛けて放たれる。『ヒメムラサキ色流星群【蝶鬼】(シルヴァティクアスター・ヴァルキリー)』の一撃は、病魔へと降り注ぎ。
『ワロタ……笑えない……!』
 たまらず悲鳴をあげる病魔へ、
「余の前に跪け、下郎!! 余が引導を渡してくれる!」
 雷を体中に帯びたエクレールが神速のごとく踏み込む。全身を光の粒子へと変換させて放たれる突撃は、病魔の身体を貫いたのだった。

●お笑いライブ、幕引き
「まぁったく! 厄介な奴が相手やったわ!」
 疲れからか、たまらず床に腰下ろしながら、有栖が言う。
 戦いは終わり、病魔は消滅した。患者である浩一は病魔召喚の影響でまだ眠っているが、直に目を覚ますだろう。
「ううむ、病魔は滅んだとはいえ、正気に戻った患者さんは大変ですねぇ。闘病中の事を思い出すと、恥ずかしそうです」
 レッヘルンがうんうんと頷き、
「まぁ、耐えてもらうしかねぇよなぁ。そう言うのを込みでも、厄介な病魔だったぜ」
 ザベウコが言った。
「ふふ。今度は彼も、周囲の皆も、心から本当に笑えるといいね」
 と、ゼレフ。
「まぁ、とりあえず、しばらくギャグは聞きたくないな……」
 苦笑しつつ言うエールに、
「うむ……流石の余もちょっと食傷気味であるな……」
 エクレールが答えた。
「さて、患者さんの術後のケアも大切です。しっかり患者さんを禿げ増し……もとい励ましましょう。『病院』にはあと9万『秒イン』していれば十分でしょう。もうすぐ『快復』、あとは暖『かい服』着て安静に……」
 真琴奈の言葉に、ケルベロス達が顔を見合わせた。
「……駄目です! ボクまで病魔に感染してます!?」
 と、慌てる真琴奈である。もちろん、病魔ではないのだが、このギャグ癖が抜けるのは、いつになるのやら。
「そうです、術後管理は大切。それに、社会復帰に関してもサポートしてあげたい所です。既に対応済みで気にする必要ないかも知れませんが、病気の事を説明して取引先の社長に謝りましょう。許して貰えなかったら、私がブラック企業だと罵ってあげます……」
 そう言って、刃蓙理はくすり、と笑うと、
「ブラックウィザードだけに……」
 と、ちらちらとケルベロス達の様子をうかがうのであった。
 おあとがよろしいようで。

作者:洗井落雲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月20日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
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