オリヴィアの誕生日~晩春は北にて

作者:木乃

●初めてのお花見
 舞い散る薄桃の花びらを掌で受け止め、オリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)は枝に新芽が吹いていることに気づく。
「桜……もう、散りそうな気配ですわねぇ」
 思えば日本の雅やかな文化にあまり触れていない。
 オリヴィアの祖国フランスにも桜に似た品種はあったが、『花見』という慣習は存在しない。
 日本に来たなら日本らしいことを――彼女にもそんな願望は僅かながらあった。
「どこかに遅い時期に咲く桜はないでしょうか?」
 と言う訳で、永喜多・エイジ(お気楽ガンスリンガー・en0105)に聞いてみた。
 見た目はアメリカ、これでもジャパニーズ。日本文化には詳しいだろう。
 シェイク片手に聞いていたエイジは「あると思うよ?」と即答。
「これから暖かくなる地域なら見られるんじゃないかなぁ」
「盲点でしたわね……では、下旬以降となりますと」
 オリヴィアは考えた。
 確実に4月下旬より後に桜を眺めるなら、最適な地域は――。

「北海道へお花見に行くのですが、まだお花見されていない方はいらっしゃいますか?」
 桜のシーズンといえば定番だが「もう時季外れでは?」というケルベロスの質問に、オリヴィアは「東北より以北では、4月下旬から5月中旬がシーズンだそうですわ」とリサーチ済の様子。
 タイミングを逃した人も、もう一度花見に行きたいと思っていた者にも朗報だ。
「場所は北海道幌泉郡の庶野(しょや)さくら公園です、海と桜を一緒に眺められる一風変わった花見スポットですわよ。名物は樹齢300年になるエゾヤマザクラが支えあい、1本の大樹となった『夫婦桜』だそうですわ。現在も地域団体による植栽など維持管理もされているため、のどかな花見を堪能できるでしょう」
 もちろん、わいわい賑わう花見も大歓迎。
 バーベキューにジンギスカン、お弁当やお菓子を用意して交換会をするのもいい。
 海と桜の交わる風景を撮影したり、しっぽりとデートに洒落込むのも乙なものだ。
「夜はまだ肌寒いと思いますのでお花見は『日中のみ』としますが、激務でお疲れの皆様もゆっくり羽を伸ばしてくださいな」
「でも、なんでそんな時期に?」
「そうですわね……『私の誕生日だから』ということで、ワガママにお付き合い頂ければ」
 自分の誕生祝いは二の次でいい。
 ちょっと遅めの花見を楽しもうと、貞淑なヘリオライダーは優雅に微笑むのだった。


■リプレイ

●春、過ぎゆくとき
 本州では初夏の気配が日増しに感じられる。
 南から押し上げられた『春』は北へ向かい、終わりを告げようとしていた。
 いまだ肌寒さの残る北海道幌泉郡・えりも町――ここにもようやく遅い春がきた。
「今回ヒールする場所は……」
「カイムったら、今日は『お仕事』じゃないでしょ?」
 九条・カイムが公園内を見渡していると、レリエル・ヒューゲットが修復依頼ではないと指摘する。
 仕事熱心なのは良いことだが、今日は息抜きが目的。少しくらい休んだってバチは当たらないのだから。
「うふふ、仲が宜しいですのね」
 そんな様子を日傘片手に散歩するオリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)が見ていたらしく、優艶に微笑んでいた。
「オリヴィアさんお誕生日おめでとうございます!」
「ああ、おめでとう」
 律儀にお祝いの言葉を伝えると、初々しい様子にさらに笑みを深める。
「ありがとうございます。本日は皆様が花見を満喫できましたら、私もお誘いした甲斐があるというもの」
 気兼ねなく楽しんで欲しい。そう告げて遊歩道を進むオリヴィアを見送ると、
「俺達もいこうか、姉さん」
 カイムとレリエルも桜並木の散策を楽しみながら、売店探しを始める。

 お菓子をいっぱい詰め込んだリュックを背負って、仁江・かりんは急かすように友人達を呼び寄せる。
「茜、早苗、はやくはやくっ!」
 ミミックのいっぽと一緒になって、ぴょんぴょん跳ねるかりんの姿に、折平・茜は「桜は逃げませんよ」と言いつつ、神宮司・早苗と後を追う。
 ウェアライダーガール三人組の【もふもふ女子会】による花見は、咲き誇る桜のように華やぐ予感で満ちていた。
「さすが北海道じゃの!まだお花見が出来るのじゃな!」
「ぼくのお家の周りはもう散ってしまいましたが、ここなら仲良しのおねえさん達といっぱいお花見出来ますね! うわさの桜も気になりますっ」
 かりんは嬉しくて仕方ないのか、もふもふな尻尾をふりふりして茜達もつられて嬉しい気分。
 庶野さくら公園は高台に位置するため、えりも港や海を展望することが出来るお花見スポット。海と花見を同時に楽しめる場所も数多くはない。
「あ! あっちに看板がありますよっ」
「……あぁ、待つのじゃかりん、走ると危ないのじゃぞー!」
 鉄砲玉のように飛び出すかりんは、目につくものを見つけるたびに走りだし、早苗達は慌ててついて行くのを繰り返していた。
 朗らかな陽気の中、三人娘はかしましく公園内を駆けていく。

 ――折角だからのんびり眺めてみよう。
 グレッグ・ロックハートの提案に、ノル・キサラギは思わぬ発見をすることになった。
「見てグレッグ、幹にも小さい桜が伸びてるよ!」
「夫婦桜だけに『子桜』だろうか」
 仲睦まじい夫婦の、可愛らしい子の姿にグレッグの表情も微かに和らぐ。
「澄んだ青空と海に桜、そして今日はジンギスカン! ……すっごく北海道って感じのお花見だね」
 いわく、北海道ではお花見にジンギスカンを食すことが多いのだとか。
 短い春だからこそ、外で思いっきり楽しむ……それが『道民流のお花見』なのだろう。ノル達も今回は北海道流に倣ってみることにした。
「これだけ天気が良ければビールも美味いだろうな」
「うんうん、風も少し冷たいけど焼き物するには丁度いいくらいだしね」
 ラム肉と野菜、缶ビールを詰め込んだクーラーボックスを手に、グレッグは楽しげな口振りで話題を振る。
 頃合いを見てシートとグリルを設置しようと、ノル達は今年何度目かの花見の準備に向かう。

「にゃー」
 桜を見上げながら歩くオリヴィアの頭に一匹のウイングキャット……このヒゲ模様、どこかで見たような。答えはすぐに解った。
「見つけた!」
 振り返ると五嶋・奈津美が急ぎ足で駆けてくる。追いつくと一息ついて、すぐに姿勢を正す。
「日進月歩の皆でジンギスカンの準備してるんだけど、一緒にどう?」
 永喜多・エイジにも声をかけたら二つ返事で来たそうで、力仕事を他のメンバーと一緒に任せているのだと。
 オリヴィアは「お邪魔でなければ」と奈津美に後をついていく。
 ……一方、峰岸・雅也と桔梗谷・楓はジンギスカン鍋や着火燃料を確認し、シートの脇で準備中。
「雅也もエイジもがんばろーぜー」
「じゃあ食材は切っておくから……火起こしは楓な、エイジは鉄板ヨロシク!」
 荷物を漁るエイジの傍らで、着火器具をチェックする楓だが――、
「……おい全然つかねぇんだけど。てかグラビティ使ったらダメ?」
「オマエ諸々吹っ飛ばす気か!!?」
 爆破スイッチを取り出しニヤリとする楓を雅也が制止し、救済の手が伸びてくる。
「僕のライターならあるよ!」
 爆破事件(?)は未遂に終わり、なんやかんやで点火完了。
 鉄鍋を温め始めた頃に、奈津美がオリヴィアと共に戻ってきた。
「温まるまでちょっと休憩ね。今日は北海道のワインとビール、焼酎もあるし、おつまみに鮭ジャーキーもあるわよ」
「……良い薫りですわね、飲み過ぎてしまわないか心配ですわ」
 奈津美の勧めでワインを口に含んだオリヴィアの何気ない一言に、
(「これは、ラッキーペケペケチャンス到来か!?」)
 ――楓、電流走る!
 しどけなく寄りかかる仕草。大人の女性の火照った頬や、濡れた唇から漂う甘い色気。まさに豊潤な果実酒の如し……!
 しかしこのとき、雅也は既に展開が読めていた――。

●潮風に桜舞う
「ここなら海と桜が一緒に見られそうです!」
 お茶会はここでしましょうとかりんが提案すると、ミミックのいっぽもぴょんと大きく跳ねた。
 青々とした芝生の上にシートを広げ、三人仲良くコの字を作る。
 さあ持参したお菓子も広げよう。
 数種のクッキー、スコーンやマカロン。和風のきんつば、饅頭、桜餅。
 お口直しには塩っ気のあるポテトスナックに、暖かい紅茶と緑茶。
「これって、さくらのお餅、ですか!?」
「そうなのじゃ! 色づけした餅米で桜餡を包み、塩漬けの桜の葉にはさんだ和菓子じゃよ!」
 興奮気味のかりんに、何故か早苗は自慢げにつるぺた胸を張ってみせる。
 和洋折衷、色とりどりのお菓子に茜の視線も右へ、左へ。
「それにしても海に桜、絵になる光景じゃのぅ!」
「オリヴィアが言っていた『めおとざくら』も綺麗でしたね!」
「うむ、桜の幹が寄り添い合う姿は見事じゃったな……ここは自然の芸術で溢れておるのじゃ」
 さすが大自然の宝庫、北海道。
 『極寒の大地』というイメージが強いが、その中にもしっかりと四季の色がある。新たな発見の数々に、早苗も新鮮な空気を感じられた。
 ぽかぽか陽気にお菓子と温かいお茶。心温まるお茶会は、春の心地よさと相まって心をなごませてくれる。
 ――――ところで。
「『めおと』ってどんな意味があるのですか?」
 それは男と女、あるいは生涯を誓い合う者同士を指す言葉だが――幼いかりんに伝えるにはちょっと難しい。少なくとも、早苗は正しく説明するには早いような気がした。
「うむうむ、夫婦とは! 仲良しでらぶらぶしてる、とっても良いものなのじゃよ!」
 当たらずとも遠からず。早苗なりに解りやすい言葉を選ぶと、
「じゃあ……夫婦は、とっても大好きで仲良しってことなのですね! ぼくも、めおとざくらみたいに茜と早苗と、大好きで仲良しの絆をいっぱい深めたいのですよ!」
 ――上手く伝わらなかったが、嬉しそうなので良しとしよう。
 うん、間違ってはいないのだ!
「夫婦のように……とは、ちと違うが。とにかく、仲良く行きたいものじゃの!」
 二人のカップにお茶を注ぎ足す茜も頷き返してみせた。
 海から吹き込むほんのすこし冷たい潮風に、三人の元へ花びらを降り注ぐ。
 目が覚めるような蒼海と、柔らかな桜色のコントラスト――少女達は再び歓声をあげる。

 遠くに響く歓声を聞きながら、眼下に広がる桜の海をカイムはカメラに納めていた。
 1500本を超える桜の海は、風が吹くたびに波打つように可憐な花を揺らす。
(「姉さんにも実際見せてみたかったな」)
「……カーイムー! そろそろ降りてきなよー、アイス溶けちゃうよー?」
 レリエルの呼ぶ声にカイムも地上へとゆっくり降り立つ。
 すでにシートを敷いてくつろいでいたレリエルは、真っ白なソフトクリームで両手が塞がり、すぐには動けない状態。
「ミルクソフトは溶けちゃうし、リングポテトだって冷めちゃうよ? こういうのは出来たてが美味しいんだから!」
「それは、失念していた……上から見た景色が凄くて」
 カイムがカメラに収めた風景をレリエルに見せると、「うわぁ……っ!」と驚嘆の声があがる。
「桜が絨毯みたいになってて綺麗だねっ! 空から見るとこんな風なんだぁ」
「…………よかった」
 姉さんにも見せたかったから。と、言葉にするのは気恥ずかしかったが、なんとか伝えられたことに安堵する。
 カイムもソフトクリームを受け取ると、二人でご当地のお菓子をつまみあう。
 濃厚な甘さとミルキーな味わいは口の中で蕩け、らせん状のポテトも揚げたてのホクホク。しっかりとコンソメの味が付いていて、これだけでもお腹いっぱいになりそうだ。
「んーっ!さすが北海道、美味しいものもいっぱいあるんだねっ」
 上機嫌なレリエルに小さく頷くカイムは、ふと桜に立てかけていた二振りの愛刀に目を遣る。
 今日は無用の長物と手放していたが――敵を斬り、屠り、時には魂すら喰らう刃をそっと膝に乗せた。
「俺達は……この綺麗な風景、楽しいひとときを守るために、戦っているんだな」
「そうだよ。ダンジョンから残霊を溢れさないことも、依頼を受けることも」
 『なにかを守る』ために、全てが繋がっている。レリエルは姿勢を正すと、カイムのほうに向き直る。
「これからも色々な戦いがあるだろうけど、一緒に頑張ろうね」
 桜の季節は節目の季節。レリエルの言葉に、カイムも決意を新たにして……今は束の間の休息に浸ることにした。

 焼き担当は函館生まれの奈津美に任せ、雅也は焼きたてのジンギスカンを取り皿に分けていく。
「二人もガンガン食えよ!」
「お、ビーフとは違うジューシー感があるなぁ」
 ご馳走を前にした大型犬よろしく、待ちきれない様子のエイジに比べ、
「私はほんの少しで構いませんわ」
「食欲ねぇのか?」
 缶ビールを配る楓は心配そうに顔を向けたが、長い前髪を揺らすようにオリヴィアは首を横に振る。
「生命維持の基本は、快楽エネルギーですので」
 出来れば殿方に精をつけて頂ければ――と。サキュバスジョークとも、本気ともつかぬ言葉を漏らす。
 代わりにワインは美味しく頂いているのでと、飲みかけのコップを顔の横に持っていく。
「たくさん用意したから、気に入ったらおかわりしてね」
 奈津美もコップを受け取ると、乾杯の音頭を雅也がとろうと……、
「それじゃあオリヴィア、誕生日オメ「おいおい雅也! こんな絶景なら他にも言う事あんだろ?」
 楓が茶々を入れている隙に奈津美がドリンクを掲げる。
「オリヴィアと桜の美しさを称えて!」
「え、あ、称えて!」「カンパーイ!」
 賑やかな掛け声と共に初めの一杯を口につける。
 ビールはキレよく、喉ごしよく。甘辛い特製ソースを絡めたジンギスカンとも相性バツグン。
 これには開放的な雰囲気もあって食が進むというもの。
「ジンギスカンしながらの花見も新鮮で良いな!」
「風情がないかもしれないけど、やっぱり北海道のお花見はジンギスカンよね」
 こんがりと焼けるラム肉の芳ばしい香り、昼間に酒盛りとしゃれこむ無礼講も大人の特権――で、あるものの。
 景気よくビールを呑んだまではよかった楓だが、
「うぃ、っく。改めて、オリヴィアは誕生日おめでとさァァ~……」
 言い切る前に酔い潰れてしまい、ふらぁ~っと身体が傾き――。
「オマエ弱いのにペース早ぇんだよ!」
「楓くん、お酒弱かったんだっけ? ……このまま寝かせてあげましょうか」
 間一髪で首根っこを掴んだ雅也が端に寝かせ、奈津美も風除けのブランケットをかける。
 とことこ散歩に歩いていたバロンも戻ってくると、楓を座布団代わりに日向ぼっこへ。
 ラッキーペケペケチャンスは来なかったが、夢見る青年は楽しげな寝顔を浮かべていた。

 ジュゥジュゥとよく焼ける音はひとつだけではない。
「ノル、焼き加減はどうだ?」
「ばっちりだよ、さすが本場のジンギスカンは美味しいね!」
 ビール片手に頬張るノルは、色黒い頬をほんのり赤くさせ、ほろ酔い気分のふわふわ気分。
 少し熱くなったかんばせを冷ますような、海から吹き抜ける風がいっそう心地よくさせる。
 上機嫌なノルの様子にグレッグも内心、満足げに過ごしていた。
(「少し飲み過ぎな気もするが、こう無防備な笑顔を見られると」)
 つい幸せそうな様子に、愛おしさが勝ってしまい眺めていたくなる。
 心情を知ってか知らずか。ノルはふと気付いた様子でトングに手を伸ばし、
「さっきからグレッグばっかり焼いてない? ほらほら食べなよ~」
 少し舌足らずな口調になりつつ、ノルはグレッグの皿にも残りを取り分けていく。
 ――これは、そろそろ危ないかもしれない。
 ちょうど食材は終いになったところ。
 あとは食後の一休みにしようとグレッグも平らげ、桜の幹に寄りかかりつつ花を見上げる。
「今年はお花見、いっぱいしたねえ」
「……ああ、本当に沢山したな」
 冬の終わりの桜を拝みに向かい、宵に綻ぶ月下の桜を堪能し、春を見送るように北の桜を見物して……まるで流れ往く季節を、共に追いかけていたようにも思える。
「俺も夫婦桜みたいに、寄り添って、長く一緒に居られたらいいなあ……花が咲くときはもちろんだけど、そうじゃないときも……」
 身体の力が抜けてしまったように、ノルはグレッグの肩に頭を預けた。そんな重みすら幸せなもので。グレッグは静かに笑みを作る。
「それは俺も同じだ。……ノルと来年もその次の年も、夫婦桜のように二人で寄り添っていられたら………ん」
「……すぅ、」
 話している途中、ノルは暖かな陽射しによって午睡にいざなわれたようだ。
 気持ちよさそうに寝息を立てる、愛しい伴侶の姿に「ふふ」と小さく笑いがこぼれる。
(「いいさ、同じ気持ちで居てくれることが俺はなによりも嬉しい」)
 風邪を引いてはいけないと、ノルの襟元を正し、自身もひとときの眠りを味わうことにする。

 季節は夏が来て、やがて秋にかわり、長い冬が訪れる。
 そして真っ白な雪の時季を乗り越え、北の桜は巡り巡ってまた花開くだろう。

作者:木乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月11日
難度:易しい
参加:10人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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