累乗会反攻作戦~時は満ちたり

作者:成瀬

「菩薩に新しい動きが見付けられたの」
 調査活動に加わってくれたシルフィディア・サザンクロスさん、軋峰・双吉さん、大成・朝希さん、アビス・ゼリュティオさん、フィオ・エリアルドさん、館花・詩月さんの名前をあげ、ミケ・レイフィールド(薔薇のヘリオライダー・en0165)は今回の作戦について説明を始める。
「現在ビルシャナの占拠地となっている埼玉県秩父山地、青森県上北郡おいらせ町、宮崎県高千穂峡、岩手県奥州市胆沢城。此処を拠点として、『精舎』を建立しようとしているようなの。誰がって、それは……これまで菩薩累乗会を引き起こして来た四体の菩薩。『精舎』が建立されてしまうと、難攻不落の拠点になってしまう。それに、何かの大規模な儀式を行う為の拠点になると予測できるわ」
 これを塞ぐ為に、とミケはグラディウスの存在を示した。
「現在使えるグラディウスを全部使い切って、ビルシャナの占拠地を強襲。精舎建立中の菩薩を撃破する、大規模なミッション破壊作戦を行うしかないわ」
 攻撃目標についてもミケが資料片手に話し始める。
「菩薩とその配下ビルシャナの他、各ミッション地域のボスであるビルシャナ、幻花衆と輝きの軍勢が菩薩を守護してるようね」
 1、埼玉県秩父山地には自愛菩薩、エゴシャナ、幻花衆、輝きの軍勢、ちっぱい絶対殺す明王。
 2、宮崎県高千穂峡には恵縁耶悌菩薩、デラックスひよこ明王、幻花衆、輝きの軍勢、アヴァリティア。
 3、岩手県奥州市、胆沢城には闘争封殺絶対平和菩薩、カムイカル法師、幻花衆、輝きの軍勢、鳳凰光背武強明王。
 4、青森県上北郡おいらせ町には芸夢主菩薩、ケルベロス絶対殺す明王、幻花衆、輝きの軍勢、フリーダムビルシャナ。
 がそれぞれの戦力となる。
「今回の作戦は、グラディウスを使ったミッション破壊作戦を成功させ、敵が混乱している隙をついて菩薩の撃破を目指す……というのが基本的な作戦になるわ。菩薩のまわりには直属のビルシャナ達と協力組織のデウスエクスがいる。陽動作戦などを行って、混乱させ菩薩の周囲から戦力を引き離す必要があるわね。混乱している敵は『より派手な攻撃を行っているチーム』の所に殺到してくるでしょう。陽動チームが派手に襲撃して敵を引きつけることができれば、菩薩を急襲するチームの成功率をあげることができる。……えぇ、そうね。多くの敵を引きつけたチームは戦力的に厳しくなることは間違いないわ。でも全部の敵と戦うのではなく、上手く敵を引きずり回しもしできるなら各個撃破をした上で、ミッション地域から撤退するという流れになるわ。逆に陽動チームが引きつけた敵が少ない場合、ぶつかった敵を撃破した上で撤退することもできるわね。この場合、菩薩を攻撃するチームがより多くの敵と当たることになるでしょう」
 尚、1地域につき10チーム以上の戦力を集中させることができれば、7割以上の確率で菩薩を撃破することができる。菩薩の撃破確率は、チーム数と連携の内容が大きく影響する為、確実な撃破を目指す場合は、戦力の集中が必要かもしれない。しかし、10チーム未満の戦力では菩薩撃破の可能性は大きく下がることだろう。
「派手に戦い防衛戦力を引きつける陽動チーム、隠密行動で近付き菩薩に攻撃を仕掛けるチーム。この連携が上手くいくかどうか――」
 それこそが鍵となる。
「菩薩累乗会、此処で阻止しなければ大きな災厄となるでしょう。決して簡単な作戦ではないし危険も勿論あるけれど、守りたいものがあるならお願い。あなたの力を貸して頂戴」


参加者
レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)
霧島・奏多(鍛銀屋・e00122)
ウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813)
エヴァンジェリン・エトワール(白きエウリュアレ・e00968)
フィー・フリューア(赤い救急箱・e05301)
輝島・華(夢見花・e11960)
クラリス・レミントン(銀ノ弾丸・e35454)

■リプレイ


 岩手県奥州市、胆沢城。
 精舎建立阻止の為、全グラディウスを投入しての大規模なミッション破壊作戦が展開された。
 空には清々しい青色、地には敵が満ちている。
 恐らく血を流さずには帰れない。しかし此処でケルベロスたちが臆せば、もっと多くの血が流れ世界が壊されていくだろう。
(「必ずみなで、帰ろう、ね」)
 そんな二人の手をそっと取り微笑みかけると、アウレリア・ドレヴァンツ(瑞花・e26848)はクラリス・レミントン(銀ノ弾丸・e35454)とエヴァンジェリン・エトワール(白きエウリュアレ・e00968)の手をそっと取り降下していく。他の班も同じように魂の叫びを響かせヘリオンから飛び降りて行くのがちらりと見えた。
「此処は、俺達の場所。手前勝手な御託を並べた好き勝手など此処までだ」
 霧島・奏多(鍛銀屋・e00122)は軽い動きで地へ降り着くと、服の土埃を払うでもなく前を見据える。
(「必ず取り戻してみせる。もうこの地をこれ以上、傷付けさせたくはない」)
 デウスエクスの好きにさせてなるものかと、ウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813)も白く濁った煙の中強く思う。
「一緒に頑張ろうね、ブルーム。フィー姉様も」
 雨に濡れた紫陽花のように、深い色を瞳に湛え輝島・華(夢見花・e11960)がフィー・フリューア(赤い救急箱・e05301)へ声をかける。
「うん。人の想いを、願いを、都合良く歪めて利用する奴らの企みなんて、絶対に阻止しないと。回復役の相棒、宜しくね」
 煙幕はそう長くは続かない。
 フィーたちは目配せすると、隠密気流を発生させた仲間を中心にできるだけ音を立てないよう素早く移動を開始する。特にアウレリアは服装や靴で煙幕によくよく身を溶け込ませることができたようだ。
 ミッション破壊作戦を成功させたケルベロスたちは、隠密行動によって闘争封殺絶対平和菩薩の元へと距離を詰め近付いていく。ウォーレンとエヴァンジェリンが一行の先に立ち、辺りを警戒しながら斥候役を努める。
「……完成度は半分ほどといったところか。いたぞ、菩薩だ、皆、此方へ」
 隠密行動中、他班との情報交換はできなかったが敵に見つかることなくたどり着くことができた。建立中の精舎を見上げてレーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)が呟き、仲間へ菩薩発見を告げ仲間をナビゲートする。素早く移動しなければならない隠密行動中、じっくりとマッピングをする時間的な余裕はどうやら無いようだが到着するのに問題は無い。
 闘争封殺絶対平和菩薩が建立しようとしていた精舎はタイ風の仏塔で、周囲には護衛部隊が残っていたがどうやらケルベロスたちの接近には気付くことができなかったようだ。菩薩を守ろうと、慌てて動き出す。その数、20体以上。


 空気は肌で感じられるほど張り詰めていた。
 殺気立った護衛部隊がケルベロスへ襲いかかろうとする。だが――。
「おやめなさい」
 建立中の仏塔の上から、ひとつの声が響き護衛の動きを止める。その声の主は、精舎建設の為に祈りを捧げていた闘争封殺絶対平和菩薩であった。
「よくここまで辿り着きました。ですが、これ以上の戦いは無益です。この地域は解放され、精舎の建設は失敗に終わりました、戦わずとも私たちは、この地より立ち去りましょう」
 神々しいまでの後光にケルベロスだけでなく、護衛の視線も一点に集まる。
「闘争封殺と掲げたところで、一つ終わればどうせまた次と語り出すんだろう。……結局、自分を傷付ける全てを否定するだけじゃ無ぇか」
 ヘリオンから降下して今に至るまで、青の瞳は凪いだ侭、激昂もせず静かに見たい方向へ向けられる。けれどだからといって、感情の色が、想いが無いとは誰にも言い切れない。ただ常人には見えにくいというだけ。
「そんなモンを絶対平和など、よく謳えたものだな」
 ほんの僅か声が低く落ち反論を紡ぐ。
「いいえ、ビルシャナ。願いを歪めて利用する存在を悪魔と呼ぶの。悪魔の企みを壊す為にアタシたちは来た。何もせず帰るなんてできないわ」
「何と愚かな。そのような戯言に我らが惑わされるとでも思うのか」
 秘する蕾が意思を示すと、マーコールに似た角と『掟』の名を持つ者が唸るように反論を次ぐ。だがケルベロスたちも言葉を返すことはできても、問答無用で戦いを始めることができず菩薩の話を聞き続けてしまう。誰一人として意識はしていなかったが、この菩薩の持つ能力ゆえ。
「戦いは何も生み出しません。『絶対平和教義』に従い、疾く立ち去りなさい」
 ケルベロスたちの間に動揺が走る。
 戦いは自分たちの勝利。ならばこれ以上戦う必要など無いのか。その疑問の滴は胸に落ちて染みとなり、心に広がっていく。
(「……撤退するべきなのか。戦いは不必要なものなんだろうか」)
 互いに顔を見合わせ困惑と混乱の間で暫し、時が流れる。
 その空気を変えたのは華だった。
「どうか思い出してくださいませ。どうして此処に来たのか。菩薩を撃破する為に他なりませんわ。陽動班の皆様方も、その為に戦っていらっしゃいますの」
 付き従うブルームが華に重ねるようエンジン音を響かせる。
「私は最善を尽くして皆様を支えられるようがんばります。誰一人欠けることなく、無事に帰れるように」
「うむ。菩薩をここで撃破できねば、この後必ず我らになって害成す存在となろう」
 持ち上げた片手を真っ直ぐに菩薩に向け、レーグルがはっきりと宣言する。
「両の眼で良く見よ。騙されるな。あれは敵、我らが倒すべき敵だ」
 はっとして仲間たちが正気を取り戻すまで、そう時間はかからなかった。それぞれ武器を手にするとそれぞれのポジションにつく。
「良くぞ言ったケルベロス。我ら、鳳凰光背武強明王、ここで戦い果てる覚悟也。いざ勝負」
 菩薩が止めるのも聞かず、明王は好戦的な態度でケルベロスに戦いを挑む。精舎を取り囲むのは計5チーム、クラリスたちはちょうど菩薩の左側面側に散り敵と対峙する。
 すなわち、鳳凰光背武強明王、カムイカル法師、幻花衆、輝きの軍勢が3体。


 すぐ隣の班からはこんな声も聞こえる。
「貴方の言う平和って、誰かが我慢しなきゃいけない嘘の平和なのです」
「喧嘩してもごめんって言える、許せるのが、本当の平和なんだって私は信じる……!」
 どうやら敵との宿縁を持つ機理原・真理の声のようだ。
 最初に動いたのは明王だ。辺りに火の粉が舞い、光の粒子が翼となって前衛の仲間に襲い掛かる。レーグルはその熱さに片目を閉じるが、戦場に似合わぬ花の香がふわりと鼻腔へ届く。華奢な身を滑り込ませたエヴァンジェリンが己の身を庇うのが双眸に映る。
 鈍い、痛み。だが気高き守り手は唇を閉じ飲み込んだ、悲鳴を苦痛を。誰にも聞かせるわけにはいかない。守ると、そう決めたのだから。
「悪いな」
「いいの」
 ごく短い言葉のやり取り。緑と漆黒。視線が合うのは、ほんの一瞬。
「……いっておいで。そして、守って」
 降下前に触れたhimmelの感触がまだ手の内に残っている。痛みも不安も恐怖でさえも、己を守る盾になる。何も怖がることはない。お守りはそう、エヴァンジェリンへ囁きかけてくるようでもあった。それは今は此処にいない影と繋ぐ、細いながら確かな糸。広げた掌には一輪のダチュラ。甘く濃厚な香りを漂わせ放つと、蝶に姿を変え前衛の仲間へ守護の力を。後に残るは、仄かに甘く儚い香り。
 続くカムイカル法師や輝きの軍勢、幻花衆とケルベロスたちに攻撃が重ねられていく。敵の数が多いのは勿論だが、その一撃一撃も決して軽いものではない。
(「闘争封殺絶対平和菩薩、なんでよりによって鳳凰光背武強明王のとこにいるんだろ。……手当たり次第に、組める勢力と組んでるのかな」)
 魔術的な手法を用い緊急手術によって、レーグルの傷を癒やしたフィーは唇も動かさず抱いた疑問を解消しきれぬ侭に菩薩を見詰める。もう一人の癒し手である華はフィーの動きに合わせ、命中力と攻撃力を上げようと仲間の援護に回る。序盤は何度か避けられた攻撃も、華のフォローもあって確実性があがってきた。
「人の在り方さえ変えてしまうような、そんな救いなんて要らない」
 速かったのは叩き込まれる蹴りか、それとも否定の言葉の方か。駆けたウォーレンの足先が綺麗な半円を描き、明王に命中する。
 手応えはある。しかし硬質な体躯は引かず怯まない。強い意思と対峙し、面白いとでもいうように表情を歪める。笑った、のかも知れなかった。
「―退いた、退いた、」
 戦場に一匹の猫。
 体躯は混じり気の無い黒一色。生まれたその場所はクラリスの影。一声鳴くと、仲間が攻撃した傷を広げるよう爪と牙を隠しもせずに輝きの軍勢へ向かっていく。後には残るは大きな災いだけ。
 巡り巡る時、秒単位で変わっていく戦場の中、アウレリアは一つでも多くの情報を取得、分析しようと薄く意識を広げていた。
(「慌てず、焦らず、慎重に。……逃がさないの」)
 輝きの軍勢が繰り出す攻撃の衝撃に、苦痛の声を喉元で殺し風に前髪を乱されながら戦う仲間の背中を見る。傷付くことを覚悟して、菩薩を倒す為に此処まで来た。敵は強い。無理も無茶もするなとは言えない。だからこそ。
「わたしは、わたしのできることを」
 黒猫が消えた瞬間、流星の煌めきがひとつ。敵の攻撃のタイミングを砕き、アウレリアが割り込む。
「――奏でよ、奪われしものの声を」
 両腕に宿りし地獄の炎が吹き上がり、横薙ぎに腕を振るう。時折狙いを外すも、仲間の援護を受けてからは研ぎ澄まされたレーグルの感覚が敵の動きを随分と捉えることができるようになっていた。傷と同時に呪詛を与え、明王が忌々しいというように舌打ちして奏多の姿を睨みつける。元ある防御力は奏多の狙い通り当初より幾分下げられていた。明王の使う耐性の守護も、全体に行き渡るほどではなかった。
 流れる血が腕を伝い足を伝い、地面に小さな染みを作る。ビルシャナたちも同じく、羽毛を散らし容赦の無い攻撃を重ねケルベロスたちを追い詰めていく。


「一緒に頑張ろうね、ブルーム」
 エンジン音を響かせ華にまで飛んで来た氷の一撃を、キャリバーのブルームが代わりに受け止める。車体をそっと撫でると、僅かに熱を持っているようであった。動きもいつもより鈍い。
「あなたに私の力を。しっかりなさって……!」
 華にしか扱えぬ花女神の息吹(ハナメガミノイブキ)。掌に生まれるのは春のような暖かさを抱く魔力の花、ひらひらと柔らかな風に乗り吹かれ舞い踊り奏多の姿を包み込んだ。傷を癒やし、その身を苛んでいた炎のほとんどを消し去ることができた。奏多が軽く腕を振ると、大分痛みが和らいだのを感じる。
 広範囲に渡る攻撃を受け止め続け回復が間に合わず、明王の斬撃で力を吸われ耐久力を削り取られてしまう。一時的に姿を消すが、華を応援するようにその寸前、車体を寄り添わせた。
「回復どんどんいくよー!」
 薬剤を含んだ優しい雨を、己と同じ後衛へ降らせフィーは乱れそうになる息を何とか整える。護衛部隊と対峙してはいるが菩薩にはたどり着けてはいなかった。
 比較的まだダメージ量の少ない法師に向け、ウォーレンは牽制の意味合いを込めて縛霊手を向けた。集中攻撃をかけるのではなく、ダメージを分散させ巨大な光線を放ち何体かまとめて光の束で貫いた。
「止まれよ。そこから一歩も行かせない」
 ふらついて傷だらけなのは輝きの軍勢、そのうちの一体。慣れた手付きでリボルバー銃を構え、狙うのは一瞬。次の瞬間には何発もの弾丸が、一体の頭部を打ち抜き粉々に砕いていた。
「……あぁ。もう、聞こえてないか」
 戦いの最中であっても、奏多の声色が変わることはない。淡々と時に涼やかに、胸に秘める熱の温度は奏多だけが知っている。
「絶対、皆一緒に帰ろうね。……頼りにしてる。狙い撃ちは、任せて」
 この良い波に、勢いに乗るべきだ。瞬間的にそう感じたクラリスは奏多と視線を合わせ、連携して攻撃を仕掛ける。
 僅かに腕が鈍く痺れるがハンマーを握る手に力を込め、ガスマスクに覆われたその下、唇が動く。大きく振り被ったハンマーを輝きの書の頭上から、思い切り振り下ろし撃破する。
「お前達が思ってるより、地球の人間はずっと強いの。思い上がらないで」
 すぐ傍で何かの崩れ落ちる派手な音が不意に起こった。どうやら、他班が菩薩の撃破に成功したようだ。
「今の音は」
 クラリスが音のする方を見ると、血や埃に塗れた仲間の一人が最後の一撃を放ったところだった。
「見て。アリア。菩薩が、倒されたみたい」
「エヴァ……でもまだ敵が」
 一番弱った敵を見極めたレーグルが追撃を仕掛けもう一体を打ち倒すが、残った敵がその隙に散らばり素早く逃走してしまう。追いつくのは不可能だ。
「逃したか。しかし当初の目的は達成した」
 不服そうにレーグルは唸り、腕の傷口から無造作に血を払う。
「そうだね。でも僕は、未来は守れたと思うんだ」
「私もそう思う。デウスエクスの侵攻が続く限り戦いは終わらない、けれど。屈しないと、心が死なない限り。……大丈夫」
 フィーとクラリスは倒れて物言わぬ欠片となった菩薩へ言いようのない複雑な眼差しを向け、短く息を吐きだす。
「瓦礫が転がってる。気を付けるんだな」
 菩薩の方へ数歩踏み出し転びそうになった華を軽々と奏多が支えた。アイスブルーの瞳は何を見ているのか、その眼差しは近くにあっても妙に遠い。
「無事で何より」
 優しい声が続いた。ウォーレンは空を見上げる。
(「例え抗うのが辛い道だとしても、……足掻いてみせるよ」)
 痛い程に青い、青。雨の気配は遥か遠く、乾いた風は少しだけ血の匂いがした。

作者:成瀬 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月13日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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