「えーっと……それじゃ、作戦会議を始めるよ」
集まった一同を見回し、穫はせき払いをした。
過日より菩薩級ビルシャナ達が繰り返している侵略作戦・菩薩累乗会。その首謀者である菩薩達の動きが予知できた。
現在、これまでの事件を引き起こしていた四体、すなわち自愛菩薩・恵縁耶悌菩薩・闘争封殺絶対平和菩薩・芸夢主菩薩は、ビルシャナのミッション地域である埼玉県秩父山地・青森県上北郡おいらせ町・宮崎県高千穂峡・岩手県奥州市胆沢城を拠点として『精舎』を建立しようとしているらしい。この『精舎』はビルシャナにとって難攻不落の安全地帯であり、かつなんらかの大規模儀式を行う重要な場所であるらしい。
一度建設されれば不落。であれば、建設前に菩薩達を討伐し、『精舎』建設を阻止する以外に方法は無い。よってケルベロス側は、これより大規模なミッション破壊作戦を敢行する。すなわち、現在使用可能なグラディウスを全てつぎ込んだ強襲作戦だ。
まず、それぞれの地域の戦力及び菩薩撃破までに必要なチーム数を紹介する。
(1)埼玉県秩父山地。
護衛戦力・自愛菩薩、エゴシャナ、幻花衆、輝きの軍勢、ちっぱい絶対殺す明王。
必要数・3チーム。
(2)宮崎県高千穂峡。
護衛戦力・恵縁耶悌菩薩、デラックスひよこ明王、幻花衆、輝きの軍勢、アヴァリティア。
必要数・12チーム。
(3)岩手県奥州市、胆沢城。
護衛戦力・闘争封殺絶対平和菩薩、カムイカル法師、幻花衆、輝きの軍勢、鳳凰光背武強明王。
必要数・12チーム。
(4)青森県上北郡おいらせ町。
護衛戦力・芸夢主菩薩、ケルベロス絶対殺す明王、幻花衆、輝きの軍勢、フリーダムビルシャナ。
必要数・9チーム。
必要数を達成すればミッション地域は確実に破壊できる。菩薩の撃破確率は、チーム数と連携の内容が大きく影響しますので、確実な撃破を目指す場合は戦力を集中すると良いだろう。
次に菩薩についてだが、各菩薩の周囲は、菩薩直属のビルシャナ達と協力組織のデウスエクスが固めている。そのため、ミッション破壊に加えて更に陽動作戦を行い、菩薩の周囲から護衛戦力を引き離す必要がある。
ミッション破壊によって混乱している敵は『より派手な攻撃を行っているチーム』の所に殺到してくるので、陽動チームが派手な攻撃を行えば、菩薩周りの敵をより多く引き付ける事ができる。菩薩の守りが薄くなれば、菩薩急襲チームの勝率をあげられる。
当然ながら、多くの敵を引き付けたチームは戦力的に厳しい状況に置かれるが、全ての敵と戦うのではなく、うまく敵を引きずり回し、可能ならば各個撃破を行った上で、ミッション地域から撤退する形をとる。引き付けた敵が少数ならば、当面の敵を撃破した上で撤退できるが、この場合では菩薩を攻撃するチームはより多くの敵と戦う事となる。陽動するならばできるだけ派手に。
また、隠密行動で菩薩に近づくチームは、菩薩と周囲に残った戦力と戦う事になる。
菩薩は、安全に撤退する事を優先するので、戦力的に撃破が不可能な場合はその時点で撤退する必要に迫られるかもしれず、隠密行動中に発見された場合は敵が迎撃してくる為、菩薩のところまで辿り着けなくなってしまう。
陽動チームと隠密チームの連携が、作戦の要石となるわけだ。
「グラディウス全部使っての大規模作戦……だけど、みんなで協力すれば必ず成し遂げられるから! 頑張ってきてね!」
参加者 | |
---|---|
篁・悠(暁光の騎士・e00141) |
灰野・余白(女教師・e02087) |
ソラネ・ハクアサウロ(暴竜突撃・e03737) |
綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749) |
鏡月・空(蜃気楼だけが見えている・e04902) |
ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606) |
ソル・ログナー(鋼の執行者・e14612) |
カジミェシュ・タルノフスキー(機巧之翼・e17834) |
白い爆発が飛び散りドーム状バリアが亀裂を広げて崩壊していく。光を失った短剣を手にしたソラネ・ハクアサウロ(暴竜突撃・e03737)は森に向かって手を挙げた。
「ファイアウィルム急速発進!」
木々がざわめき機械の翼竜が群れを成して飛び出した。ロボ翼竜達は自由落下する八人と三匹の足元に滑り込み全員回収。少しずつ破片を散らして崩れるバリアを見上げ、ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)が敵意に満ちた瞳でつぶやく。
「やってやったぜ罰当たり。こんな綺麗なところ分捕りやがって……」
殺気立つハインツの手を金のガントレットが握る。金の騎士鎧に赤いマフラーをなびかせた篁・悠(暁光の騎士・e00141)は彼に首を振り、息を吸って大音声を響かせた。
「神降りし地を汚す魔鳥共! この街角は我らが手により取り戻す! 失われし日常を、奪い去られた平和な日々を! 総ては牙なき人の未来の為に! 極東ケルベロス軍団、ここに見参!」
天から眩い光が放たれた。彼方から飛んでくるドリルじみた閃光をにらんだソル・ログナー(鋼の執行者・e14612)は抜刀。
「鳥連中のお出ましだ。各々死ぬな。死にそうになったら必ず逃げろ。 ……行くぞッ!」
「アッカァァァンッ!」
ドリル閃光が絶叫しながら突撃してくる! 灰野・余白(女教師・e02087)がニヤリと笑い、両手持ちにしたグラディウスを脇に挟んで指を鳴らした。刹那、ドリル閃光が爆発! 余白はさらに指を鳴らす!
「祝砲上げるで! ほれッ!」
降り注ぐ砲弾が爆破する。煙と爆炎を突っ切ったドリルは追加の砲弾を回避しながらメカ翼竜の群れを貫通、まとめて爆散させた。赤い右目で再突撃するドリルを見上げた鏡月・空(蜃気楼だけが見えている・e04902)は全身に蒼炎をまとって虚空を蹴った。左手に短剣を握り、急加速し真正面のドリルに向かってサマーソルトキックを繰り出す!
「はッ!」
「ごばっ!?」
軌道の逸れた光ドリルが虚空を切って地面に激突。巻き上がる土煙から視線を外した綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)は落下しながら肩に太鼓を担いでバチで演奏。重低音を奏でるその顔に金の光が照射され、彼が思わず目を閉じたその時である!
「伏せろ鼓太郎ッ!」
「っ!?」
鼓太郎の前にカジミェシュ・タルノフスキー(機巧之翼・e17834)が割り込み竜鱗の盾を掲げた直後、小型の斧が表面を打つ! 二人をまとめて叩き落とされたカジミェシュの前に拳を振りかぶる大柄な影。マッシブな騎士甲冑に大盾じみた前腕部。赤い眼光をたたえた輝きの城は、しかしマイクロミサイルとビームを横に食らう! 振り向く城にソラネは肩の機竜に指示を下した。
「ギルティラ!」
大口を開いた機竜が光を吐き出す。それを片手で弾いた城にミサイルポッドを向けるソラネ、その横顔をインド僧じみた鴉が蹴り飛ばした!
「イヤーッ!」
「ンアーッ!」
吹っ飛ぶソラネ! 他方、復帰したひよこ明王は全身のヒヨコにビームを吐かせて大鎌を振り下ろしに来る空を迎撃。のけ反る彼に斧持つ機械天使と大籠手嵌めた戦乙女が襲いかかった。パンチと斧斬撃を割って入ったハインツがガード! 主人の足元を抜けた子犬チビ助が戦乙女に体当たりするのを横目に、ソルは連続爪撃を高速剣技でさばき切る。初撃を撃ち終え距離を取る輝きの軍勢。爪、槍、斧、城、腕を挟み、立ち上がったソラネは奥の鴉僧にアイサツした。
「ドーモ初めまして。私達はケルベロスです」
「ドーモ、ケルベロスの皆さん。我々は恵縁耶悌菩薩護衛部隊です」
鴉がアイサツを返し、崩落するバリアを一瞥して向き直る。
「……やってくれたな。我らが聖地になんたる蛮行」
「聖地ですって? 片腹痛い!」
バチを突きつけ、鼓太郎が瞳に怒りを燃やして叫んだ。
「貴方方は外つ神! この天孫降臨の地を土足で荒らし回った挙句、牙城などとは穢らわしい! 不敬にも程度がありましょう!」
「私の信じる神の地ではないがな。心の拠所を奪われる悲憤はこの波蘭の血にも刻まれている。そこは、貴様らが冒して良い場所ではないぞ、ビルシャナ共」
「やかましい!」
同調するカジミェシュをひよこが喝破!
「人間の救済がワイらの役目や! ここはそのために必要なんや! それを、それをぶち壊しにしおってからに! ええか? 罪悪感は人殺すんや! だからワイらがええんやでって言ってやる! 赦しは人を救うんや!」
「んなわけあるかい!」
今度は余白。黒縁眼鏡の奥で灰色の目がギラリと光った。
「そら生きとったらいつか大なり小なり罪の意識を背負うことになるかもしれん! けどそれから逃げとったらずっとそんままや! うちだってできるなら思い出したくない思い出もあるわ。けどの……それもひっくるめて今の自分がいるんじゃよ! あんたらのそれは救いやない! ただの逃げや!」
「基本的に、俺はそういうものもあるのかとして認めるけど今回は別です」
空が一拍入れるように息を吐く。鎌の柄を握る手が淡青色の煙を噴いた。
「……ああくだらないくだらない本当にくだらない! 協調も同調もなく強要する救いになんの尊さがある。なんの意味がある? 結局それはただの破滅だ。それなら衆合無なんて要らない! そんな物はお前らと一緒に地獄叩き落としてやる! 疾く消え失せろ下郎!」
大鎌を突きつけた彼の足元で深い青の炎がくすぶった。一方で半身の姿勢で拳を構えた鴉の体をうっすらと赤光が包み始める。
「……相容れぬようだな。我らビルシャナ、救世の使徒! お前達の為に救いを求める者達を切り捨てられぬ!」
「そういうこっちゃ! やったれええええええいッ!」
ひよこの怒声を合図に城が軍勢の中央に飛び出し両の拳を打ちつける。クラウチングスタートめいた姿勢の悠が全身から雷電と共に咆哮を上げた。
「ゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
咆哮が轟雷を伴い放たれる! 直後、城に現れた光の城塞がこれを阻んだ。激震する大気に混じる和太鼓の音。光の城壁を飛び越えたハインツは両腕と伸ばした背を反らし、雷の大玉二個を魔鳥に投擲! 破裂した雷玉から飛び出した空とソルは蒼炎と黒雷を宿して突っ込んでいく。ソルは刀を構え、鴉の眉間に狙いを定めた。
「自分の欲望の為に他人を害して良いなど言語道断! 欲望のままに生き続け、排他を続けるなど愚行の極み! その妄念、腐った思考は俺が許さん!」
その隣で空が青い竜巻じみて回転。振り上げられる蒼炎の鎌をひよこに振り下ろしかけた瞬間、割り込んだ輝きの槍がハルバードを鎌の柄にぶつけて妨害。さらにソルの刺突を斧が刃の腹で完全防御! 阻まれた空は姿をかき消し、城の背後に現れた。振り向く兜が蹴り上げられて垂直上昇! 崩れる壁を咆哮で吹き散らし息継ぎをする悠の前に長槍を携えた騎馬隊が出現。カジミェシュは先に球体をつけた短い棒を振りかざす!
「ジェチポスポリータの誉れよ、ここに!」
鬨の声を上げて騎馬隊が雪崩れ込む。極度密集し突進した軍勢はしかし光ドリルにぶち抜かれ霧じみて霧散。悠とカジミェシュをはね、閃光を解除したひよこに腕と爪が追いついた。
「ブチ殺してええんやでーッ!」
二機の機械天使が強襲! 大量のヒヨコが吐き出す光線弾幕をロックオンしたソラネは両脚を踏みしめミサイルポッドを起動した。
「ホノオ!」
無数のマイクロミサイルが白煙を引いて飛翔する。光線と弾頭がぶつかり合って起こる爆発を突破した腕と爪は余白と鼓太郎に肉迫! 抜いた湾刀に札を貼りつけた鼓太郎は金の残像を残す爪を迎え撃つ。
「此の地におわす数多の御霊よ! 御名にかけ聖地の奪還を誓います! 刃に力を!」
「まとめてふっとばしたるさかい、かかってきいや!」
余白が光の拳に回し蹴りを繰り出した。靴の爪先が爆発し、拳を弾かれふらつく腕に追撃の前蹴り! 靴裏のブレードが銀鎧の鳩尾に突き刺さった。鼓太郎は雷の刃で爪と剣戟を交わし、斜めに斬り下ろす。半身でこれをかわした爪は鼓太郎の腹に膝蹴りを入れ袈裟掛けに爪撃! 追撃しかけた爪をカジミェシュのキックが跳ね飛ばし、ソルに向かう斧にぶつけた。振り向いたソルは黒鉄のドリルアームで斧の脇腹を穿つ。その近く、ハインツに突きをガードされ後方跳躍する槍の下を潜った鴉は、真紅に輝くダブルパンチを解き放つ!
「ふんぬァァッ!」
裂帛の気勢を伴った拳が盾をへこます。下がった鴉はソルがロケットパンチめいて発射したドリルを跳躍回し蹴りで破壊しひよこを呼んだ。
「同士よ!」
「任しぃ!」
返したひよこは猛回転、黄金の竜巻に変身し全方位に金色のカマイタチをまき散らし始めた! 周囲に飛ぶ斬撃の嵐の中、跳び下がる余白に腕は斬撃を回避しながら高速ジャブラッシュ。とっさのクロスガードの上に無数の閃光が弾け、カマイタチの嵐が肌と黒いスーツを引き裂いていく。盾に体重をかけて支えるカジミェシュの背後で鼓太郎が声を張り上げた。
「皆さん!」
「伏せろ!」
血飛沫を飛ばし、肉を刻む光の嵐! 悠は傷ついた鎧を雷で包み、チビ助と共に駆けだした。錐揉みするチビ助がカマイタチをさばいて拓いた道を疾駆し、金の竜巻に長剣で刺突を繰り出す!
「砕けェッ!」
轟雷の一撃が竜巻に食い込むが竜巻は止まらぬ! 両手で剣を支えてねじ入れんとする悠にひよこは喚いた。
「諦めてもええんやで! 勝てなくたてもええんやで!」
「負けて……たまる、かッ! うああああああああッ!」
悠の雷が膨張しまばゆく放電! まばゆい光に目を細め、ソラネは全身を刻まれつつも天を見上げる。虚空を球状に塗り潰す蒼炎の残像と、中で縦横無尽に跳ね回される輝きの城。そこへ向かう輝きの爪に照準を合わせたソラネは視界端に映る赤の信号を見ながら叫ぶ!
「チャージ完了! ホノオ!」
ミサイルポッドと砲塔が火を吠えた。飛び立ったミサイルの多くが刻まれて暴発、レーザーはかき消されながらも一部が斬撃地帯を突破する。ミサイルの上を水切石めいて跳ぶギルティラが爪の頭部にかぶりついた所に集中砲火!
「鏡月さん!」
ソラネの呼び声が響き、蒼炎の球が消え失せる。浮遊する城の直上に片足を振り上げた空はかかとに炎を集約させて車輪めいて回転、渾身のかかと落としを叩き込む!
「はッ!」
かかと落としが直撃し、炎が膨らみ青龍に変じて城を飲む。空がそのまま光の竜巻めがけて蹴り足を振り抜くと、海色の龍を見上げた悠は突き入れた剣を斬り上げる!
「でやぁぁぁッ!」
打ち上がった竜巻をひと飲みにし、龍は急速膨張して爆散! 蒼い火の粉を浴びる余白の腹に輝くボディブローが叩きこまれた。血の塊を吐きながらも余白は輝きの腕の両肩に全力の掌底を打って破壊。肩先を失った腕の頭を引き千切り、握り潰して作った拳を落下するひよこに向けた。放たれた黒白の雷がひよこの胴に風穴を開く!
「ゴボッ……やったれ」
ひよこめがけ空が鎌を手に回転しながら落下する。彼の体を作るひよこがバラバラと散る。
「う、嘘や……」
鎧の歪んだ城が空に防御態勢を取った。光輝く前腕部。そこに飛び乗った爪にメカ翼竜の群れが殺到! 爪と城をかっさらったそれらの上を駆けるソラネは、翼竜の流れを突破して現れた爪と城を真っ直ぐ見据える彼女の胸部でトリケラヘッドが口を開いた。
「ダイノコア、全開駆動。チャージ完了……発射ッ!」
トリケラが吐いた紅色の光が横薙ぎに一閃! 胴を二分された爪と城は体勢を崩し、同時に上下から悠と空の斬撃を食らったひよこ明王は全身の切り傷から蒼炎と雷を噴出する。
「こんなん嘘やあああああああッ!」
三者共に爆発四散! 一方、斧の回転斬撃をハインツが盾で弾き返し、槍の鋭い突きを打ち払っていなす。すぐに下がった槍の後方、赤い曼荼羅を背負った鴉が両拳を構え素早く突っ込んだ!
「セイアッ!」
鴉のパンチがハインツの盾を陥没させる。二撃、三撃、そして高速のラッシュ! 盾の破片をまき散らしながらアヴァリティアが問う!
「何故だ! 何故我らが救いを阻まとするか!」
「沢山の人達の仇だからだ!」
叫び返すハインツの目が燃える。
「衆合無だかのために罪無き人々を苦しめるその強欲! お前達もその仲間も、一体でも多くぶっ倒す! オレが、オレ達が! 天に代わって成敗してやる!」
雄叫びを上げたハインツが一歩踏み込む! 突き出した盾が鴉のパンチを受けて砕け散り、構えていた腕が衝撃波により肩まで裂けた! 目前に鴉、両サイドには斧と槍。鈍化する時の中、ハインツは声の限り天に吠えた。
「悠――――――ッ!」
高く跳んだ悠の周囲に黄金の波紋が複数展開!
「混沌の門よ開け! 因果を砕き、運命を蹂躙せよ! 受けよ、荒れ狂う戦車隊の一撃ィッ!」
波紋群が猫マークの戦車群を発射する。とっさのバックで回避する三体を追い大地に突き刺さっていく戦車群の後方、ソラネの翼竜に乗った鼓太郎が前線まで飛翔し手を差し出した。
「他の陽動班と隠密班から信号が出たそうです! 退きましょう!」
「先行っててくれ。殿は俺がやる!」
言うが早いかソルは突き刺さった戦車を飛び移りながら疾走! 拳を固めるソルに並んだ空が鎌を振り抜く。真正面に三体の影。
「付き合います」
「ああ。……さて、決戦と行こうじゃねぇか!」
いち早く出る槍と斧。ソルは左右からの挟撃を刀の高速斬撃で対応、一歩下がって横一線! 二体の隙を突いて突破した空が鴉に肉迫して鎌を振り抜く。だが鴉は足一本で地を蹴り空の懐に移動、鎌持つ腕をひねり折る!
「ッ!」
顔を歪めた空のあごに鴉のアッパー! 次いで鳩尾に肘打ちが突き刺さる。吹き飛んだ空に追随した鴉は再度拳を振り上げた。
「生かしておかんぞ!」
「その言葉、そのまま返す!」
鴉は振り返りざまの拳でソルの斬撃を弾き、刺突を指でつまんで刃をへし折る。歯噛みする彼の腹に右ボディブロー! さらに側頭部めがけた左フックが足場にソルを叩き伏せた。跳ね起きた空が鎌を持ち変えて駆ける先、振り上げた鴉の両手がまばゆい赤光を放つ!
「眠るが良いッ!」
放たれた鴉の両の拳を、割って入ったカジミェシュが素手でつかんだ! 爆ぜた腕部分の鎧から大量の血と突き出した骨が現れる。圧壊寸前の手で鴉の拳を捕らえたカジミェシュは歯を食いしばり、大きく屈んだ。残った片腕に白炎を燃やして立ち上がったソル! 彼は滝めいて血を流しながら跳躍!
「食らえ。未来を切り拓く一撃ッ!」
白炎の拳が鴉の胸筋に食い込み、渦巻く炎ごと殴り飛ばした。同時に飛びかかった二機を機械の翼竜が吹き飛ばし、殿の三人をかっさらってとんぼ返りする。血を吐きながらも体勢を立て直した鴉が飛ばす赤い光弾をギリギリで回避しながら、翼竜は素早く戦線を離脱した。
作者:鹿崎シーカー |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年4月13日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 8/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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