累乗会反攻作戦～四つ社

■リプレイ

●風の動きと
　今迄に、様々な所で多くの事件を起こしてきたビルシャナ、菩薩累乗会。
　その菩薩累乗会の中の一人である、自愛菩薩が根城としているエリアがここ……埼玉県は秩父山地。
　自然多く、一面に映るは緑。
　上空から見下ろす光景には、とてもではないがビルシャナ達とその一派が居るとは思えない。
　でも……確かにここには、自愛菩薩が居る。それは、間違い無い。
「はてさて……累乗会ももう大詰めだね」
　と、その緑の光景を見下ろしながら、白狐面の下でくすくすと笑う言葉・彩色（妖シキ言ノ刃・e32430）。
　そんな彼女の言葉に頷くのは香月・渚（群青聖女・e35380）。
「うん、ビルシャナとの全面戦争だね。ここでボク達は用同作戦なら、多くの敵を惹きつけないと。ドラちゃん、頼りにしているからね」
　と、傍らのボクスドラゴンのドラちゃんに言うと、ドラちゃんはギャウ、と声高らかに吠えて気合いを入れる。
「おぉ、中々気合い入ってるね！　気合い十分なのは、このグラディウスの力になるんだよな」
　と寺本・蓮（幻装士・e00154）が確認するように、その手のグラディウスを握りしめると、ガナッシュ・ランカース（マスター番長・e02563）も。
「うむ。こいつは無くす訳にもいかんから、絶対に持って帰らんとの」
「そうだね。まぁ、万が一にも無くす訳にもいかないし。とは言え、本当この一ヶ月は、菩薩累乗会が各地で暴れていて、本当面倒だったよな」
　目を細める蓮が言う通り、この自愛菩薩の他に、続けざまに傷跡を残した恵縁耶悌菩薩、闘争封殺絶対平和菩薩、芸夢王菩薩。
　傾向も、そして作り出したビルシャナも全てがバラバラな彼らへ一つ一つ対処するのは、大変骨が折れる仕事だった訳で。
「しかし累乗会……面倒事ここに極まれりだよな。ビルシャナはもう……ホントどうしようもねぇな……」
　何よりも深い溜息を吐いた空飛・空牙（空望む流浪人・e03810）に、物腰柔らかながらも斎藤・斎（修羅・e04127）が。
「全くです。しかし彼らの『精舎』建立の野望もここまでです。今こそ回廊を落とし、侵略地を奪い返す絶好の機会……ここで縊り殺して差し上げます。その念仏を、自らの成仏の為に唱えさせてあげましょう」
　と言うと、それにラジュラム・ナグ（桜花爛漫・e37017）と紫藤・大輔（機甲武術師範代・e03653）も。
「そうだな。この機に確実に回廊を落としてみせる！　これ以上ビルシャナ共による犠牲者を出させはせん！」
「そうだな。必ず成功させて見せるぜ！」
　既に、グラディウスに込める意思は上々……拠点を潰す為の、並々ならぬ意思と共にある。
　そして、ガナッシュと彩色が。
「３班とも陽動なら、魔空回廊を破壊したらとっとと帰っても良い様な気がするが、まぁそこはそれじゃな」
「そうだね。ともかく、さっさと幕を引いて貰う事にしよう」
「んだな」
　終いに首のヘッドホンを装着した空牙……そして、ケルベロス達は一斉に、自愛菩薩の占拠地へと降下した。

●破壊せし跡
「あそこだね……」
　と、彩色が仲間達に声を掛け、他２班と共に回廊への強襲。
　突然現れたケルベロス達に、咄嗟の動きも取れず……みるみる内にその回廊との距離が詰まり行く。
　そして……もう間もなくに回廊に到達する、その瞬間。
　先陣切るラジュラムが、グラディウスを最上段に構え、己が焔を纏わせながら。
「戦争無き平和な世を望む青年も居た、全てを掛けられる趣味を持った者も居た。彼らの純粋な思いを、これ以上踏み躙らせはせん！！　砕けろぉぉぉぉお！！」
　全身全霊の叫びと共に、グラディウスを回廊に突き立てると……更にガナッシュ、空牙、大輔に斎も。
「そうじゃ、何時までもこんなトコがあるから事態が悪化するんじゃ！　こんなモノ、的の企みごとコナゴナにぶっ壊してやるわい！！」
「ああ、いい加減冗談は存在だけにしやがれめんどくせぇ！！」
「ケルベロスを舐めんなよ……てめぇら全員……ぶっ潰して！　ぶった切って！　ぶん殴って！！　地球から叩きだしてやらぁ！！」
「あらゆる想いを、信念を、信仰という形に歪めるビルシャナは、人の想念、意志の強さを侵略に利用しているといって過言ではないでしょう。今回はその想念こそが、ビルシャナを害すると知りなさい……！！」
　そして、一番強い、心からの叫びを放つは蓮。
「埼玉在住の身としては、お前たちのような脅威が身近にあるのは見過ごせない。なにより、お前たちの行動は、俺と家族のキャッキャウフフのハートフルな生活の邪魔になる。だからぁ！　俺はお前たちを撃ち砕くのだ！　行くぞ、パパお仕事頑張ってるからねぇぇぇ！！」
　家族の顔を思い浮かべながら、他の仲間達との一撃が回廊へと叩きつけられ……回廊は、派手に砕け散っていく。
「取りあえず、ミッションの破壊は完了だね」
　と渚の言葉に軽く頷きつつ、ガナッシュが。
「うむ。しかし作戦としてはもう一歩じゃ。おらぁ！　菩薩出て来い！　わしらが撃ち滅ぼしてやるぞい！！」
　と、そのライトニングロッドから眩い光を煌めかせながら、大声で周囲へ宣言。
　……間もなくして、ちっぱい絶対殺す明王と幻花衆、そして多くの輝きの軍勢がケルベロス達の下へと現れつつある。
　勿論、他の２班に対しても、大量の敵陣が怒濤の如く押し寄せてきており……まるでその数と勢いで圧倒しようと言わんばかり。
　このままでは当然、退路も失われてジリ貧になり兼ねない……が。
「さぁ、皆。元気を出すんだよ！」
　と、渚が『躍動の歌』で、前衛陣にBS耐性を付与し、強化すると、更にラジュラムも。
「さぁ、おじさん登場だ！　一緒に遊ぼうじゃないか！」
　と、目立つように、桜色の地獄焔を桜吹雪の様に舞わせながら、絶空斬を前衛に立ち塞がる輝きの軍勢一体へ叩き込むと、蓮も。
「拘束しても制御で手一杯かよ！」
　と唇を噛みしめながら、『第三幻装　『天流るる星辰の境界』』にて敵前衛を列攻撃。
　そして、ディフェンダー３人の攻撃に続くは中衛、ジャマーの彩色。
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。今宵を彩るは怪異譚。どうか、最期の時までお楽しみいただけますよう……今よりこの場を彩るは、牛頭持つある鬼の御話……」
　と『実在した怪異譚『廃工場の牛鬼』』を騙り、ジグザグ効果を付与するのに続き、スナイパーの空牙は。
「そんじゃ、派手に狩らせてもらうぜ？　悪いが、悪く思うなよ！」
　と轟竜砲をぶっ放し、ガナッシュの達人の一撃が同じ輝きの軍勢を一掃。
　そして、最後に大輔が居合い斬りの一方、斎が黄金色の地獄を纏ったインフェルノファクターで自己壊アップを付与。
　そしてケルベロス達の行動一巡に対し、敵陣の反撃。
　ちっぱい絶対殺す明王は、前衛の仲間達へ、乳を讃美する歌で壊アップのエンチャントを付与。
　そして輝きの軍勢、幻花衆らは、次々と立ち塞がる蓮に渚、ラジュラムへと攻撃していく。
　壊アップ効果により、一撃一撃大ダメージ。
　そのダメージをすぐにドラちゃんが属性インストールで回復を付与するものの……まだまだ圧倒的に敵の攻撃ペースが早い。
「仕方ないのぅ」
　と言いつつ、次の刻にはガナッシュも、マインドシールドによる回復を加え、ドラちゃんの属性インストールを継続。
　一方の空牙は。
「ヒーホゥ！！　この世に別れ告げたヤツから掛かって来い！　墓標に刻む名は『鳥＋α』でいいよな面倒事ども！！」
　と、派手に紅蓮大車輪にて焔を撒き散らしながら攻撃し、加えて彩色も。
「今よりこの場を彩るは、吹雪呼ぶ雪女郎の御話……」
　とアイスエイジで氷効果付与。
　そして、クラッシャーの大輔が月光斬で斬りかかると、そこに斎が。
「頂きます」
　と短く『無銘・焔舞』による一閃で、どうにか一匹を討ち倒す。
　……しかし一匹倒れても……まだまだ、敵数は多いまま。
　他の２班の仲間達が相対している相手も、まだまだ全然減っていない……どうやら菩薩を護る護衛の大多数が、こちらの方へとやって来ている様である。
　その状況から、全てを倒す事はかなり難しいだろうと、容易に想像出来る。
　しかし、どうにか退路を拓かないことには、撤退も出来ない。
「取りあえず、取り囲んできている敵陣の一角だけでも潰さないとな」
　と蓮の言葉に頷きつつ、渚が。
「そうだね！　さぁさ、どんどん行くよ！！」
　と、巨大な簒奪者の鎌を大きく振りかざして、レギオンファントムの一閃を放ち、首を刈るに続き蓮の旋刃脚と、ラジュラムの絶空斬。
「ふははは！　どんどん行くぞ！！」
　と、尊大な言葉を投げかけながら、派手に注意を惹きつけての迎撃。
　そして大輔が。
「最速にして至高！絶対にして最強！我が奥義にて貴様を倒す！！」
　と『機甲抜刀術奥義『武御雷』』の一撃が脳天から叩きつけられ、斎もカオススラッシュ。
　それに反抗し、猛攻で反撃。
　数が減ったことにより、僅かではあるが敵陣の戦力は減るが……まだまだ。
　後方からのちっぱい絶対殺す明王の『貧乳死すべし』説法が石化効果の攻撃を付与し、残る輝きの軍勢、幻花衆の攻撃は変らずに激しい。
　更に言えば、遠くの方から、更に威勢のある声が聞こえ始める。
「まだ、これで全部、という訳じゃなさそうだね」
　と言う渚にガナッシュが。
「うむ。流石に全部を討ち倒すのは厳しいかの……一匹一匹を確実に仕留め、退路をどうにか切り拓くしかないかの」
「そうだね。さぁ、今よりこの場を彩るは、火車と呼ばれる火猫の御話……」
　と彩色が熾炎業炎砲で焔で燃やし尽くすと、大輔の月光斬、斎のブレイズクラッシュと続く。
　他の仲間達と協力し、一匹ずつ、確実に仕留めていく。
　そして……かなりの時間が経過し、輝きの軍勢9体を倒し……どうにか退路の光明が見えた、その瞬間。
　同時に、遠くの方から、更なる多くの追加軍勢が……現れ始める。
「ちっ……流石にヤバイか」
　と、舌打ちする空牙……周りの仲間達も、その場からの撤退を開始し始める。
「さあ、今宵も彩った物語『菩薩累乗会』……これより幕間。次章をお楽しみに、ね」
　くすくす、とまたも笑いながら、駆けていくケルベロス。
　殿として最後尾にラジュラムがつき、仲間達の撤退を促すと。
「ほらほら、行くぞ行くぞ！！」
　ケルベロス達は陽動作戦の効果を十分に発揮した上で、埼玉県、秩父山地から離脱するのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2018年4月13日 難度：やや難 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 3／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 1
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