「こんなところに、ずっとゲームできる楽園があるのか?」
砂浜に降りたった男は、手元のスマートフォンから目を離そうとしない。表示されているのはリズムゲームのプレイ画面だ。
「ああ、もちろんだとも」
だからなのか、彼を連れてきたのが鳥人間の異形だということにも全く注意を払っていないようだった。
「さあ、浮上せよ。戦艦竜!」
ビルシャナが指を鳴らす。砂浜に響き渡る乾いた音。同時に、波が高く荒れ出す。揺れる砂浜。
「なんだ……?」
男は別のソーシャルゲームでオート戦闘をタップしてから、顔を上げる。
海底から何かがせりあがっていた。全長20メートルのその体躯はまさに要塞。オスラヴィア級戦艦竜だ。
「この中でなら、ゲームをし放題だ。衣食住を保証しよう」
ゲームの事しか頭にない男だ、こう言えば食いつくだろうとタカをくくっていたビルシャナに、男は胡乱気な視線を向ける。
「……ひとつ聞かせてくれ」
「な、なんだ?」
「電波は入るのか?」
「あ、ああ……まあ、入るんじゃないか」
実際のところはどうでもいいので適当に肯定するビルシャナ。それを聞いた男は、歓喜の咆哮を上げた。
「よっしゃああああッ!! スタミナ消化してやる!! 全消費してやる、俺ッ!!!」
スマホをタップする指が、血走った瞳が、口泡を飛ばす口が、それぞれ鳥の指、鳥の瞳、鳥のくちばしへと変化していく。
それは咆哮でもあり、産声でもある。『ソシャゲのスタミナが溢れるの絶対許さない』ビルシャナが誕生した瞬間だった。
意気揚々と戦艦竜へと乗り込んでいく新たなビルシャナの背中を見送り、勧誘していたビルシャナがボソリとつぶやく。
「フン、貴様は所詮ケルベロスを招き寄せる餌に過ぎない。闘争封殺絶対平和菩薩が呼び寄せてくれたこの戦艦竜を使い、ケルベロスを絶対殺してみせる……」
その顔は憤怒に満ちている。勧誘していたのは『ケルベロス絶対に殺す明王』なのだった。
「スタミナというのはラテン語で縦糸という意味だ。人間という織物を構成するのに必要な基礎の糸という思いが込められているのだろう」
星友・瞬(ウェアライダーのヘリオライダー・en0065)のうんちくが始まった。
「皆に担当してもらうのは、ソシャゲを6本掛け持ちしていた元廃人ソシャゲーマーのビルシャナ『譜久山』氏と『ケルベロス絶対倒す明王』、更に『オスラヴィア級戦艦竜』だ」
1体だけでも強敵なデウスエクスが3体、しかもうち1匹はドラゴンだ。かなりの激戦が予想されるが、止めなければならないと瞬はその理由を説明する。
「これはビルシャナたちの『菩薩累乗会』という作戦なんだ。強力な菩薩を次々に地上に出現させ、その力を利用して、更に強大な菩薩を出現させ続け、最終的には地球全てを菩薩の力で制圧するというものだ」
今のところ、具体的な阻止方法は見つかっていない。菩薩を地道に潰していくしかないのだが……。
「現在、活動が確認されている菩薩は『芸夢主菩薩』。ゲームと現実の区別がついていなかったり、俗世を離れてゲームだけをしていたいと思っているゲーマーの人を導いてビルシャナにさせてしまう菩薩だ」
この菩薩の勢力が強まれば、多くの一般人が現実とゲームの区別をつけることができなくなり、次々とビルシャナ化してしまう危険があるらしい。
「芸夢主菩薩は、これまでの戦いで、菩薩累乗会を邪魔してきたケルベロス達を警戒している。『ケルベロス絶対殺す明王』と『オスラヴィア級戦艦竜』の戦力でもって、ケルベロスの襲撃を待ち構えていることからも、その警戒ぶりは明らかだろう」
今回の戦場となるのは海岸近くの海上となる。
「ビルシャナ達は戦艦竜の背に乗っている。戦艦竜の砲撃を掻い潜って戦艦竜に上陸して戦う必要があるだろうな」
続いて、瞬は今回戦う相手についての詳細を説明する。
「『ケルベロス絶対倒す明王』はオーソドックスなビルシャナだな。炎と氷、そして癒しの力を行使する。『譜久山』はスマートフォンを武器にしていて、それを活かした攻撃が予想される。『オスラヴィア級戦艦竜』は……強烈な単体への砲撃、そして範囲に攻撃する弾幕めいた散弾攻撃を使い分ける。それと自己回復機能を持っているようだ」
『ケルベロス絶対倒す明王』を先に倒すと『譜久山』の説得の可能性が出てくる。また、この2体のビルシャナを倒すとオスラヴィア級戦艦竜は闘争封殺絶対平和菩薩の制御下から逃れ、海底へと撤退していく。
どの敵をどの順番で、どれくらい倒すのか。ケルベロスたちの判断によるところが大きいと瞬は付け加えた。
「ちなみにオスラヴィア級戦艦竜は定命化により死に瀕している為、無理に戦う必要は無い。撤退されたとしても、戦艦竜は直にその活動を終えるだろう……大変な内容だが、どうかよろしく頼む」
瞬は、ケルベロスたちへ頭を下げるしかないのだった。
参加者 | |
---|---|
ドルフィン・ドットハック(蒼き狂竜・e00638) |
草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028) |
ソロ・ドレンテ(胡蝶の夢・e01399) |
メルカダンテ・ステンテレッロ(茨の王・e02283) |
サイファ・クロード(零・e06460) |
月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953) |
朱藤・環(飼い猫の爪・e22414) |
レピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744) |
●接触
海上を行く2隻の船。2隻は白い波しぶきを立てて戦艦竜へと接近していく。
もちろん、戦艦竜もただ見ているわけではない。身体の砲門を開き、散弾を幕のように発射する。
降りかかる砲弾の雨。船の甲板に穴が開き、周囲にいくつも水柱が立つ。
「取り舵一杯だ!」
砲弾をオーラに包まれた腕で防ぎながらサイファ・クロード(零・e06460)が声を張り上げる。
並走していた2隻の船が、砲撃を避けるように左右に進路を変更する。戦艦竜はどちらを主に狙うか逡巡するように首を巡らす。
「戦艦竜も落ちぶれたものじゃて! 撃ち落とせるのもなら撃ち落としてみよ!」
左に曲がった側、サイファの乗っていた船からドルフィン・ドットハック(蒼き狂竜・e00638)が飛び立つ。
ドラゴニアンの翼で羽ばたきながら、あいさつ代わりにと両の手を前に突き出してグラビティを放つ。
螺旋氷縛波。両掌から生み出された氷の結晶が螺旋を描きながら戦艦竜へと直撃する。
「ゴオォォォッ……!」
まる山が動くかのような、ゆっくりと低い唸り声。
「さあ、レビちゃんはこっちにいますよー!」
首を巡らせたところ、船首に立っていたレピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744)が大声と共に炎を放つ。
広げられたヴァルキュリアの光の翼が、生み出された紅蓮の炎の向こうに透けている。
視覚と聴覚、そして攻撃の触覚で戦艦竜の意識を左側の船へと向けさせていく。戦艦竜は完全に左側へと向いていた。
「やっぱ、間近で見るとすげえ迫力だな……」
サイファは君臨した戦艦竜を見上げる。螺旋の力を放って牽制するが、その攻撃も砲門のひとつを破壊するに留まっている。
圧倒的な戦力を誇る戦艦竜に気遅れしつつも、サイファはそれでも自らを鼓舞するように玄人風を吹かせ、前線に立ち続けた。
「とりあえず第一段階は完了だ、そっちもよろしく頼むぜ」
そう呟くサイファの金の瞳は、戦艦竜の後方へと回り込みつつあるもう一隻の船を捉えていた。
●乗艦
戦艦竜の後尾部分に接岸した船。ケルベロスたちがその背に足を降ろしたのを、待ち構えていた者たちがいた。
「戦力を分けたか……どちらにせよこちらがやることは変わらん」
ケルベロス絶対殺す明王と、ソシャゲのスタミナ溢れるの絶対許さない明王こと譜久山だ。
「お前らを皆殺しするだけだ! いくぞ新入り!」
「マラソンしなきゃいけないんだ、さっさと消えてくれっ!」
「喧嘩を買う、というのですか? こういうものは」
明王の放った紅蓮の炎を、蒼眸のオーラがかき消していく。メルカダンテ・ステンテレッロ(茨の王・e02283)だ。
その横をすり抜けて、譜久山が改造スマートフォンで草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028)へと殴りかかる。
「ぐっ……!」
改造スマートフォンという鈍器、その角で頭を殴られてあぽろの脳が揺れる。
「なんだ、アンタもクラッシャーか……今の一発、効いたぜ」
即頭部を押さえながらニヤけるあぽろに、譜久山は一歩後ずさる。
「や、やるのか……? こっちは必殺課金アイテム、スタミナ回復ドリンクもあるんだぞ!」
自らの破壊力を増幅させそうな、ドクロマークのついたドリンク剤を懐から取り出してみせる譜久山。
「いいや、アンタの相手は後回しだ。俺たちを殺したがってる奴の相手をしなくちゃな」
しかし、あぽろは譜久山を無視してその後ろの明王を睨みつけていた。
「やってみろよ、策を練ってみろよ、決死で来いよ明王共!」
「お前に言われんでもわかってるわ!!」
明王の生み出した氷が後衛、月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)へと叩きつけられる。
「こ、れは……っ!」
氷が宝にまとわりつき、急速に凝固領域を広げていく。
「明王は中衛、この状態異常の付与率は……ジャマーか! 白いの!」
宝は自らのナノナノと協力して氷を溶かしていく。
「そういう貴様らはメディックか! 回復役を氷漬けにしたうえに各個撃破! 新入りも戦艦竜も狙いを定めろ!! あの小さいのから確実に倒すぞ!」
「おうよっ! МVP取って確定流ししたらぁっ!」
「ゴオォォォン!!」
改造スマートフォンからの催眠電波に、戦艦竜の砲撃が降り注ぐ。目をバツ印にして、攻撃を受けていくナノナノ。
「くっ……!」
自らの後方、サーヴァントへの集中砲火を歯噛みして見送るしかない朱藤・環(飼い猫の爪・e22414)。
「どうした? ディフェンダーは守らなくていいのか?」
「な、何をー!! こっちだって守りたいんですけどねー!!」
明王の挑発に環は思わず声を張り上げるが、メルカダンテに止められる。
「安っぽい挑発に乗ってはいけません……」
助けたいのは山々だが、必ず庇えるわけではないし能力的に劣るサーヴァントを庇うと肩代わりのダメージも大きい。
「成程、向こうも考えてきているようだ……ケルベロスを絶対に殺すという執念、いや怨念めいたものを感じる」
復讐の道に己も感じ入るところがあったのか、メルカダンテは僅かに瞳を伏せる。
「もういい、戻れ!」
宝が声をかけるのと、ナノナノが力を失って掻き消えるのはほぼ同時だった。
「だが、痛みを伴っても……それでもわたくしは前に進む」
メルカダンテの瞳に刻み込まれた意思は、衰えることはない。まっすぐと前を見つめ直す。
「よし、次は白い奴の持ち主を狙うぞ!」
「貴様らの囀りは聞き飽きた」
勢いに乗ろうとする明王の頭上に影が差す。
「足止めかっ……!」
ソロ・ドレンテ(胡蝶の夢・e01399)の星の力を込めた高下駄による飛び蹴りが明王の足首に直撃し、勢いを挫く。
「地獄で閻魔に講釈を垂れるんだな」
ソロは蹴り飛ばした反動で仲間たちの側へ到着すると、そう挑発する。
「その手には乗るか! 攻撃目標はメディックだ!!」
唯一のメディックである宝を狙って攻撃を集中させる明王。
「猫パーンチ!!」
環が明王の氷塊を殴って進路を変える。
「今度こそ、守ってみせます!」
明王の生み出す氷は冷たい。少し触っただけでも腕が凍傷のように痛む。
「邪魔はさせん」
降り注ぐ戦艦竜の主砲はメルカダンテが受け止めた。せりあがるように登場したグラビティの建物と城壁で砲火を受け止めて、青い王国を作り上げていく。
「ようこそ、わたくしのくにへ」
ナノナノがやられた分、メルカダンテが回復へと回る。
「降り注げ」
国家を祝福するかのように降り注ぐ春めいた光。
宝も、回復でひたすらに耐えしのぐ。
「ははははっ! いつまで耐えられるかな!! じわじわとなぶり殺してやるよっ!!」
「いつまで、だと?」
宝は冷たい瞳で明王を見据えた。
「白いのをやられて俺は怒ってるんだ。だから、俺なりのやり方で今も戦っている」
いや、その瞳が捉えたのは明王だけではない。
「勝つまで、だ」
明王は戦艦竜も含めてメディック撃破へと攻撃を集中した。それはつまり、囮班への攻撃も止んでいたというわけで――。
「カッカッカッ! なるほどその憎悪は暴風、しかし所を変えればそよ風よ!」
「オレたちのこと、忘れてもらっちゃ困るねぇ?」
「そちらが絶対を名乗るなら、こちらも絶対勝利のケルベロスです!」
乗艦を果たした囮組の3人、ドルフィンとサイファ、レピードが明王の背後をついていた。
「し、しまった!! 忘れてたぁッ!!」
「逃がさぬぞ?」
ドルフィンの拳が明王の手羽を肉ごと抉り石へと変え、
「危険だから耳塞いどけ……まぁ、今更塞いでも手遅れだけどな」
「アイドルパワー、見せてやります!」
サイファの叫びとレピーダによる神経を狙った鋭利な蹴りが明王の身体機能を麻痺させる。
「ぐぁっ……! やってくれたな……!」
自らを癒す明王だが、焼け石に水だ。
「先程の言葉、そっくりそのまま返そう」
ソロが腕を広げると、彼女の周囲に闇の魔力を込めた蝶々たちが出現する。
「いつまで、耐えられるかな?」
あぽろの生み出した太陽の光が、闇の蝶を煌かせていく。
「これが太陽の力を受けた蝶の力だ」
蝶が明王の身体に停まる度に、その箇所が一片の灰も残らず焼却されていく。
「ひ、ヒイッ……!!」
炎の闇蝶が、明王の周囲、上空に至るまで展開されている。そこに逃げ場はない。
「俺たちの力で、ヤツを消し飛ばすぜッ!」
「ああ……!」
「『胡蝶・太陽砲』ッ!!」
「消しとべ!」
「この、ケルベロスが……ケルベロスがーーッ!!!!」
群がった炎の闇蝶が一斉に明王へと殺到する。
黒と白の混ざった火柱が立ち、蝶が消える。
そこには、何も残っていなかった。
●沈みゆく船
明王が死に、戦艦竜に残されたビルシャナは譜久山のみになる。
今ならば説得し、元の姿に戻すチャンスもある。ケルベロスたちは戦艦竜の散弾が降り注ぐ中、説得と共攻撃を加えていく。
嚆矢はあぽろだ。
「アンタの遊び方は間違ってるぜ。アンタはスタミナを使い切る為にゲームを始めたのか? 違えだろ」
時をも凍らせる魔弾が、譜久山の片手羽を貫いて凍りつかせた。
「ゲームが面白いから、ストーリーやキャラが魅力的だから始めたんだろ!」
「ストーリー? 読んでねぇよ、スタミナが溢れちまうからスキップだスキップ!」
「ゲームは自由に遊ぶものだ! 世の中には面白いことはいくらでも有るだろう、スタミナなど気にせずに面白いことを探していけ!」
ソロの繰り出した絡繰り仕掛けの刃と言葉が、肉体的にも精神的にも譜久山の胸を抉っていく。
「自由なら、スタミナ管理プレイしたっていいだろ……!」
譜久山は失われたスタミナを補給するように、取り出したドクロマークの栄養ドリンクを飲み始めた。
「実際、そのような遊び方を続けられる人はそれほどいません。なぜならば、働かないと課金が出来ないからです。おまえはそれでいいのですか?」
メルカダンテの放った炎が、譜久山の胸を焦がしていく。
「ぐっ……確かに、課金はできなくなるな……だけどな、知ってるか? 1説によると、ソシャゲユーザーの9割は無課金だということを!」
力強く振り下ろされたスマートフォンを、サイファの片腕が受け止めた。
「無課金で何が誇れるんだよ!」
受け止めた掌から、螺旋の力が具現化していく。
「このまま人生をゲームに支配されていいのかよ。自分を支配するのは自分だけだ! 目を覚ませ!」
そのプレッシャーに、譜久山はスマートフォンを取り落とす。
戦艦竜の背中を滑っていくスマートフォン。宝の靴へとぶつかって止まる。
「本当にゲームが好きで、遊びたいなら日常生活を疎かにするな」
「か、返せ、俺のスマホ!!」
攻撃も忘れてスマホを取り返そうと動く譜久山。
「妖精八種族が光のヴァルキュリア……その輝きの真髄を、今!」
光の刃が、狙ったかのようにスマホを遠くへと弾き飛ばした。レピーダが仁王立ちし、光の刃を譜久山へと突きつける。
「な、何するんだっ!」
「人の話を聞くときは、画面から目を離しなさい! そして、画面より目の前の可愛いレピちゃんを見なさいっ!」
譜久山は呆然と口を開けてスマホの行方を見つめている。攻撃を受けたスマホはゆっくりと宙を舞い――。
「猛吹雪にご注意ください、なんてね?」
環の生み出した氷と竜巻の円舞に飲み込まれ、粉々に破壊された。
「あ、ああああああああああ!!!!!」
糸が切れた人形のように、がっくりと膝をつく譜久山。
「ゲームするなら楽しく! 心を開放してこそ娯楽です!」
「俺のデータ、データがああああ!!!!」
もう環の説得も聞いてはいないようだ。ドルフィンが、トドメを刺す。
「記録が消えて落ち込む気持ちもわかるが、所詮2、3年で終わるものじゃろ?」
「……もういいや、殺してくれ。生きてる意味ない……」
「そんな理由で殺せるか! さっさと目をさませいっ!!」
ガシッ、ボカッ。戦術超鋼拳で殴られると譜久山はあっさり人の姿に戻り、気絶した。
「なんというか、こいつもわかりやすい奴だったな……」
サイファが呆れぎみに譜久山を見下ろしていると、不意に足元が揺れた。
場にビルシャナがいなくなったことで闘争封殺絶対平和菩薩の制御から解放された戦艦竜が海底へと撤退しようとしているのだ。
「潜水より先に、こちらも撤退しよう。そちらの船は?」
譜久山を抱え上げた宝がサイファに確認する。
「ああ、途中から攻撃が逸れたからまだ動くぜ」
「なら、譜久山をそちらで頼む」
譜久山をサイファへと渡し、5人と4人がそれぞれ行きに使った船に乗り込む。
「本当は戦艦竜と殺り合いところじゃが……」
「ここは撤退しましょう」
強敵との戦いを惜しむドルフィン。彼を諭しつつ、レピーダも船に乗り込み、エンジンをかける。
轟音を、戦艦竜の潜水音がかき消していく。
「戦艦竜。貴方は、この星を愛することはできなかったのですか」
その沈みゆく背中へ、レピーダは呼びかける。
戦艦竜は答えない。ただ今は、その役目を終えるべく水底へと沈んでいくのだった。
作者:蘇我真 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年4月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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