菩薩累乗会~死ノ遊戯ニ心躍ル

作者:幾夜緋琉

●菩薩累乗会~死ノ遊戯ニ心躍ル
「なぁ……本当かよ。本当にこんな所に、一生ゲームだけ出来る楽園なんてのがあるんだよな?」
 苛立ち気味の声で告げる若者。
 周囲には全く人気は無く、寂れた海岸線……勿論、そこにゲームなんて言葉はそぐわない。
 しかし、その若者を連れてきた者……【ケルベロス絶対殺す明王】が。
『ふふふ……まぁ視るが良い』
 不敵に笑みを浮かべ、パチッ、と指を鳴らす。
 すると……ゴゴゴゴ、と目の前の海を割り開いて現れるのは、全長20mと、かなり巨大な戦艦竜。
『う、うぉおおお、これはすげえええ!!』
『ああ。どうだ? 最強の竜は、オマエを無敵にさせるだろう』
『やったぜー! これで勝てる! 24時間365日ずーっとゲームをやり続けるぜ! 邪魔する奴は全部全部砲撃で皆殺しにしてやるぜー!!』
 かなり興奮している若者。
 どうやら彼は、シューティングゲームを初めとしたゲームに嵌まりまくり……今となっては仕事も辞め、現実から逃避している様で。
 そのケルベロス絶対殺す明王からは。
『私に付いてくれば、全てを忘れてゲームを楽しめるぞ? ゲーム好きなお前に取っては、夢とも言える展開ではないのか?』
 と言われ……ゲームに完全に心奪われた彼がそれに従った迄のこと。
 ……そんな戦艦竜を与えられた彼は嬉々として、瞬く間にゲーム系ビルシャナへと変化していく。
 そして、興奮する彼をくすりと小馬鹿にする様にしながら、ケルベロス絶対殺す明王は。
「くくく……こいつらは、ケルベロスを招き寄せる餌に過ぎぬ。この闘争封殺絶対平和菩薩の呼び寄せた戦艦流を使い、ケルベロスを絶対に殺して見せよう」
 と呟くのであった。

「ケルベロスの皆さん、集まってくれたッスね! んじゃ、早速ッスけど説明するッス!」
 と元気よく、黒瀬・ダンテは集まったケルベロスに。
「最近ビルシャナの菩薩達による、恐ろしい作戦の実行が予知されたんッスよ。その恐ろしい作戦とは『菩薩累乗会』。そう、最近度々発生している事件ッス」
「この『菩薩累乗会』、強力な菩薩を次々と地上に出現させ、その力を利用し、更に強大な菩薩を出現させ続け、最終的には地球全てを菩薩の力で制圧しよう、という物ッス!」
「今の所、『菩薩累乗会』を阻止する方法は判明していないのは苦しい所ッスけど、ケルベロスの皆さんで今できる所は、この出現してくる菩薩が力を得るのを阻止し『菩薩累乗会』の進行を食い止める事だけしかないッス!」
「なお、現在活動が確認されている菩薩は『芸夢主菩薩』、これはゲームと現実の区別が付けられなくなっていたり、俗世を離れてゲームだけをしていたい、と思っているゲーマーの人を導いてビルシャナにさせてしまう菩薩ッス!」
「この菩薩の勢力が強まれば、多くの一般人が現実とゲームの区別をつける事ができなくなり、次々とビルシャナ化してしまう危険があるッス」
「この芸夢主菩薩は、これまでの闘いで菩薩累乗会を邪魔してきたケルベロス達を警戒しているッス。そして『ケルベロス絶対殺す明王』と、『オスラヴィア級戦艦竜』の勢力で以て、ケルベロスの襲撃を待ち構えているッス」
「尚、戦場になるのは、海岸近くの会場ッス。ビルシャナ達は、この戦艦竜の背に乗っているので、戦艦竜の砲撃をかいくぐり、戦艦竜に上陸し、闘う必要があると思うッス」
 そして、更にダンテは、詳しい状況の説明を続ける。
「今回ケルベロスの皆さんで相手にして貰うのは、ビルシャナ2体と、オスラヴィア級戦艦竜のドラゴン一体ッス」
「まず一つ目のビルシャナのケルベロス絶対殺す明王の攻撃方法ッスけど、その拳で以て殴り掛かる降魔拳士の様なスタイルの様ッス」
「このビルシャナは、その名の通りケルベロスを殺す事に対して並々ならぬ気持ちを持って居る様ッス。あえて自分の防御を捨てる事で、攻撃一辺倒に仕掛けてくる模様ッス!」
「二つ目のビルシャナッスけど、芸夢主菩薩によってビルシャナ化された若者ッス。彼は今回の戦いもシューティングゲームの一つと考えて居る様で、シューティングゲームを具現化した様な能力で攻撃してくるッス」
「簡単に言えば、後方の安全地帯からレーザーの様なビームを放ち、遠隔射撃をしてくるビルシャナの様ッス。体力等はそこまで高くはないものの、前に出ることは無いッス」
「まぁ、彼を救うにはケルベロス絶対殺す明王を先に倒す必要があるッス。ケルベロス絶対殺す明王を倒した上で、彼の心に響く説得こそあれば、きっと彼はビルシャナ化から戻ってくる筈ッス!」
「そして、このビルシャナ二体が載っているのが、オスラヴィア級戦艦竜ッス。この戦艦竜はビルシャナ二体共に撃破すると、闘争封殺絶対平和菩薩の制御下を離れ、海底へと帰っていってしまう様ッス。つまり、この戦艦竜を倒すためには、ビルシャナ2体を撃破する前に戦艦竜を撃破しなければならないッスから、かなり難易度が高いと思うッスので、この戦艦竜の撃破までの、無理はしないで欲しい所ッス」
 そして、ダンテは最後に。
「戦艦竜の戦闘力はとても強力ッス。でも、定命化により死に瀕しているッスから、無理に闘う必要は無いッス。ビルシャナ二体を撃破すれば、再び海底へと沈んでいく筈ッスから、ビルシャナ撃破後に無理せず離脱すると良いと想うッス。宜しく頼むッス!」
 と、力強く拳を振り上げるのであった。


参加者
寺本・蓮(幻装士・e00154)
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)
赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)
アップル・ウィナー(キューティーバニー・e04569)
イッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)
ラジュラム・ナグ(桜花爛漫・e37017)
浜野・真砂(本の虫・e41105)

■リプレイ

●夢の如き環境に
 ゲームが大好きで、ゲームを24時間、365日ずっとやり続けたい……そんな意思を持った少年と、そんな少年を唆すは、ケルベロス絶対殺す明王。
 そんな彼らの目の前に現れたのは、全長20mの巨大戦艦竜。
 その戦艦竜をゲームの砲撃用機体の如く、操作してケルベロス達を殺せば、面白いゲームになる。
 ……そんなケルベロス絶対殺す明王と戦艦竜を指示していたのは『芸夢主菩薩』。
「んもー、びるしゃなって本当、碌な事しないよね! きっちりかっちり、退場してもらうんだから! ぷんすか!!」
 と腕を組んで怒りのスタイルを見せる平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)に、ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)と、ラジュラム・ナグ(桜花爛漫・e37017)も。
「そうだね。戦艦竜なんてシロモノまで引っ張り出してくるなんて、ビルシャナ種族の他者への影響力はおっそろしいもんだよね……」
「全くだ。ビルシャナも本当回りくどい事をしてくれる。人質を使うとは、姑息な真似をしてくれたもんだ」
 と溜息と肩を竦める。
 確かに、ここ一ヶ月のビルシャナの行動は、様々な人間の弱みに付け込んで、私欲を見たそうという行為が続く。
 とは言え、そんなビルシャナの行動を一つ一つ止める事が、今できる手段。
「ビルシャナ菩薩系での連戦が続くものだけど、これが今のところ最後っぽいね。だから、頑張って解決していかなきゃだよね」
 と赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)の言葉へ浜野・真砂(本の虫・e41105)が。
「ええ……自愛菩薩に、恵縁耶悌菩薩、闘争封殺絶対平和菩薩、と……色々なビルシャナが居る様ですが……特にこのビルシャナは、海上から仕掛けてくるのは……特に厄介だと思います……」
 勿論海上の戦闘故、下手をすれば海中落下してしまう可能性も高い。
 それに、彼を救うためには、並々ならぬケルベロスへの殺意を持った絶対殺す明王を先に倒し、戦艦竜の攻撃をかいくぐらなければならない……という必要がある。
「ンー。ケルベロス絶対殺す明王って、新しい明王ですよね。聞き出せる情報は少なそうデス」
 とアップル・ウィナー(キューティーバニー・e04569)に、寺本・蓮(幻装士・e00154)が。
「そうだねぇ……ま、ケルベロスは絶対殺す、と息巻いている相手に情報を話せ等と言っても、聞いてくれる可能性は万が一にも無さそうだけど」
「エエ。その絶対殺す意思に負けない様ニしなければいけまセン。危険な任務ですが、明るくイキマショウ」
 ウサミミのような部分をピコピコッ、と反応させると、ジューン、ラジュラム、そしてイッパイアッテナ・ルドルフ(ドワーフの鎧装騎兵・e10770)も。
「自宅警備員としては、警備力の暗黒面に墜ちてしまった青年を引っ張り出してあげないとね!」
「そうだな。人質となった青年を救い、ヤツらの目論見を撃ち砕いていかなければな」
「ええ、ケルベロスを絶対殺すと言うのなら、私達は絶対に若者を救出する!」
「うん。よーし、みんな気合いいれていこー!!」
 そんな力強い意思と共に、ケルベロス達は……戦艦竜の現れし海岸へと到着。
 目の前で暴れ始めている戦艦竜と……その前に並ぶ、五艘の小型高速ボート。
「それじゃ、分乗しよう」
 と蓮の言葉に従い、3艘には人が乗り込み、残る二艘には……遠隔操作の仕組みを仕組む。
 そして。
「それじゃ、いっくよー!」
 と和の言葉と共に、5艘の船は戦艦竜に向けて、突撃し始めるのであった。

●光明などなく
『ふっ……どうやら現れた様だな……』
 戦艦竜の上から、地上、海上を見渡している絶対殺す明王。
 明らかに、こちらの方向に向けて、接近しつつある五艘の船……ただ、それぞれの船の乗船部には黒いカバーが掛かっており、人が居るかどうかは判断出来ない。
『え? 現れたって何が?』
 対し、目を煌めかせながら言うは、彼によってビルシャナ化させられた少年。
『ああ……そうだな。あれがシューティングの敵機だ。五機全てを倒せばゲームクリア、だぞ?』
 ニッ、と笑みを浮かべて指さすと……ゲーム好きな少年は早速。
『おお、早速ゲーム開始か! 面白そーだな! んじゃ、ゲーム開始だー!!』
 と、戦艦竜の背中から伸びたレバーの様な所を掴み、ガシガシッ、と動かす……と、戦艦竜の背中に備わった双塔の砲門から、ケルベロスの五艘に向けて射撃を開始。
 ドン、ドーン、という砲撃は、大きな水しぶきを上げて……ケルベロスの進路を妨害。
「きたか……良し、大きく別れて接近だ」
 と蓮が無線越しに仲間達に指示し、五艘は大きく左右へと別れて、更に接近。
 流石に砲撃で範囲攻撃する事は出来ない為、どれを攻撃するか、の選択に迫られる。
 ……が、そんなに彼は頭は良くない様で。
『んー……どれも敵機だよな! んじゃ……あいつから!!』
 と、一番ちょこまかと動いているボートをターゲットにして、ドーン、ドーン、と連射。
 程なく被弾し、沈没してしまうボートには……誰も乗っては居ない。
 ただ、覆いに隠されている為、絶対殺す明王及び、ビルシャナは。
『素晴らしい!! さあ、後4艘だ、さっさと殺せ!』
『りょーかい。俺に任せとけ、ってな!!』
 と頷き合いながら、次なるターゲットへ。
 ……そのターゲットとなった船には、アップル、和、蓮の三人が乗船。
 飛んできた砲撃が、高い水しぶきを上げて……壁の如く。
 そんな水しぶきの壁を、ギリギリの所で急カーブのドリフトを決めるはアップル。
「揺れますけど豪快にぶっ飛ばしますヨー!!」
 何処か、そのドリフト操舵を楽しんで居る様にも見えるが……気のせいだと信じて。
 どうにかボートの縁を掴み、飛ばされない様に注意しながら……戦艦竜へと接近。
 又、被弾した、と思わせる様に、前方から煙幕を上げて……敵からの視界を煙に巻く。
 ……そして、その間他の二班は、その煙幕に隠れるようにして接近。
「……」
 視界が悪い為、操舵に関しては一層の注意を払わなければならないが、真砂とラジュラムは、それぞれのボートを的確に操作し、近づいていく。
 勿論、中々沈没しないボートに、段々とイライラし始めるビルシャナ。
『チッ、何だよアレ、当たったはずじゃねーのかよ!!』
『それはお前の腕が未熟だからだ。さぁ、もっと狙え!』
 と罵倒に怒りの指示を与えながら、ケルベロスのボートへ更なる砲撃を続ける。
 ただ、煙幕に塗れた状況では、かなり命中率が落ちてしまう。
 その命中率が落ちている中で何発も打ちまくるが……水しぶきを上げるのみで、直撃しない。
 そして……とうとう、ケルベロスのボートは、戦艦竜の前方左右に到達。
「今デス!」
 とアップルの指示に合せて、フードを取っ払い、ボートを戦艦竜にぶつけつつ、ケルベロス達は戦艦竜へと飛び移る。
『チッ……』
 舌打ちする絶対殺す明王は、ケルベロスの真っ正面に構えて。
『絶対殺す……お前達ケルベロス、絶対に殺す……!!』
 と、並々ならぬ怒りと共に、ケルベロス達へその拳で以て殴り掛かる。
 一切の防御を捨てた攻撃を、下手に喰らえば重傷間違い無い。
 が、そんな攻撃を、身を持って呈するはイッパイアッテナのミミック、ザラキ。
 どうにか海に落ちる事は無いが……半分以上、体力は持っていかれる。
「だ、大丈夫? 傷は浅いよ! 今ヒールするね!」
 と和がすぐにメタリックバーストを飛ばし、ヒール。
 そして一気にケルベロス達は攻撃開始。
「鎧装天使エーデルワイス、いっきまーす!」
 と宣言と共にジューンはフォートレスキャノンを明王に穿つと、同時に緋色が如意直突き、真砂が禁縄禁縛呪でそれぞれ攻撃。
 一方、ディフェンダーの蓮、イッパイアッテナは……後方のビルシャナへ。
「ほら、こっちだ!」
「至近距離じゃ、砲撃も役に立たないかな? ま、やれる物ならやってみなよ」
 と敢て目立つように声を上げて、注目して貰う様にする……勿論、ビルシャナは。
『煩い、至近距離でも俺は最強ゲーマーなんだぁ!!』
 と、操縦し、至近距離砲撃を仕掛ける。
 当たればかなり危険だろうが……ギリギリの所で回避。
 そして、回避しつつ、絶対殺す明王に蓮がペトリフィケイション、イッパイアッテナがスピニングドワーフ。
 そして、クラッシャーのアップルは縛霊撃を放ち、ラジュラムも。
「全く、戯言は結構だ! お前は失せろ!」
 と、絶対殺す明王へ言い放ちながら、攻撃。
 行動一巡し、次の刻。
 とは言え、目的とするは兎に角絶対殺す明王を倒す事。
 共に、攻撃の手を緩める事の無い猛攻同士……ケルベロス達は和が回復し、それ以外は皆で総攻撃。
「お前さん達の思い通りにはさせん!」
 と言う言葉と共に、ラジュラムがイカルガストライクを放つと、アップルのスパイラルアーム。
 蓮の轟竜砲に、イッパイアッテナの破鎧衝の連携が、確実に削り去る。
 そして……数分の内に、ケルベロス絶対殺す明王は疲弊し。
「すまんがここで退場願おう!」
 と、ラジュラムが渾身の『花楽音流”宴楽”』を撃ち付けると……明王は倒れる。
 そして……残るビルシャナは。
『えっ……!?』
 仲間が倒れた事に、驚愕の表情。
 そんなビルシャナに。
「ねえ、簡単に手に入ったゲームって楽しい? 自分で加勢だ、お金をつぎ込んだゲームこそ、思い入れも一入になるんじゃない? キミが最初に嵌まったゲームって、どうだった?」
 と和が無邪気を装い声を掛ける。
 が、ビルシャナは。
『う、うるさいっ!』
 と息巻く。
 が、更にそんなビルシャナに立て続けにイッパイアッテナ、ラジュラム、蓮らも。
「あなたが熱中できたゲームは、こんなに苦しく血生臭い物でしたか? 好きな筈のゲームも出来ずに戦わされる位なら、ゲームを買う為に稼ぎ、自分の意思で遊びの時間を作れば良いでしょう!」
「お前さんが今行っている事は単なる人殺し、破壊活動に過ぎん。本当にゲームが好きなら、与えられる物ではなく、己でつかみ取ってみせろ! それだけの技量は、お前さんにはあるはずだ!」
「ゲーマーなら新作のために金を堕とし、ゲームの良さを広める事こそ大事だろう? 今ならまだ間に合う! いいか、俺達ゲーマーが金を落とし、ゲームの良さを後継に伝え広めれば、業界は賑わって新たな作品がわんさかと世に出てくるんだ! つまり、俺たちゲーマーがすべき事は金を落し、ゲームの良さを世に広める事! 労働など新たな出会いの為のクエストだと思え! ただし、余暇なき労働はNGだ!」
 次々と声を掛けられるビルシャナ。
 ……その言葉に、明らかに瞳から動揺の気配……其処で、更に。
「それにさ、自分の姿を見てみてよ。なりたかったのは、そんなやられ役みたいな鳥人間?」
 と緋色が己を振り返るように指示……自分の手足に、鳥爪の様な物がはえつつある状況。
 更に緋色が。
「これ、ゲームじゃないよ。当たると痛いし、下手すると死んじゃってリスポンはないんだから。ゲームを続けたいなら現実を生きて、生き延びていかないと。まだ間に合うから、私達が助けてあげる!」
 とずびしっ、と指を差して言うと、更に真砂とジューンが。
「綺麗な風景や真新しいものは現実にもあります。レベルアップや交友関係は、キャラクターではなく、ありのままの貴方で体験出来るのですから。称賛されたいのなら、様々な方法が選べるのも利点の筈ですよ?」
「今のままじゃ、チートゲーマーだよ。チートを貰って無敵モードから一方的に打ちまくる、ゲーム好きが聞いて呆れるね! それはプレイを一番つまらなくする方法なんだから。キミのやっている事はゲームでも何でもないんだから、とっとと正気に戻りなよ!」
 ちょっと辛辣な言葉で刺激するジューンに、ビルシャナは。
『うっ……う、うるせえ!!』
 と動揺を取り繕う様に、反撃。
「仕方ない……仕掛けるぞ!」
 とラジュラムに、アップルがコクリと頷き。
「わかりマシタ!!」
 とガジェットガンを放ち、更にラジュラムは連携しての達人の一撃。
 又、敢て和も。
「ちゃーんす! 今、渾身の……目からビーム!」
 と、『目からビーム!』を放ち、射撃攻撃。
 逆に狙われる立場となった彼は、流石に驚き、悲鳴を上げるが……。
「一度正気に戻って貰う為には、倒さないといけないんだ。だから、ごめんね!」
 とニートヴォルケイノを仕掛け、更に緋色のサイコフォースに、真砂のペトリフィケイション。
 ケルベロス達の容赦無い猛攻、そして……心揺さぶる説得の言葉に、ビルシャナは……数分も経たずして、その猛攻に弱り尽くす。
 そして。
「すまんがここっで退場願おう」
 と、ラジュラムの一閃が放たれると……ビルシャナは、絶叫の中、倒れていった。

●悪夢は苦しむ
 そして……ビルシャナを倒したケルベロス達。
 と、次の瞬間、戦艦竜はウゴオオオ、と唸りを上げて、海の中へと再度潜ろうとしていく。
「早速デスネ。デハ!」
 と、小型発振器を戦艦竜に貼付けるアップル、そして。
「皆さん、逃げましょう」
 と、真砂の言葉に緋色が。
「あ、少年は助けていかないと! 手分けして、陸地まで!」
「了解だよ!」
 と声を掛け合い、ビルシャナ化から元に戻った彼を二人が肩を抱えるようにして……戦艦竜から脱出。
 中々の距離を遠泳し、砂浜にまで到着すると共に、ヒールグラビティを使い、介抱する。
 ……そして、程なくして、意識を取り戻す彼。
『……?』
 ぼやけた視線で周りを見渡す彼に、ジューンが。
「あ、大丈夫? ……痛いところとかないかな?」
 特別扱いする事無く、いつも通りの声を掛けると……きょとんとしつつも、こく、こくっ、と頷く彼。
 そんな彼へ、緋色とラジュラムが。
「ゲームも過ぎれば毒になる。身を持って感じただろう?」
「そうなのだ。レンジ外から撃ってれば安全なんていう芋は上達しないのだ!」
 ……勿論、彼がその言葉に反省してくれるかどうかは解らない。
 だけど……少しでも気づいてくれたら、嬉しいな、という事で。
 そして、ゲーム好き少年の自制を期待しながら、ケルベロス達は彼を見送り……帰路へとつくのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年4月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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