菩薩累乗会~すまんな→ええんやでの精神

作者:蘇我真

「やってしもうた……」
 夕暮れの公園でひとり、ブランコに腰かけてうなだれている少年がいた。
 彼の手にはスマートフォンが握られている。
「違法漫画サイトで単行本読んでしもうた……いかんよなあ」
 罪を懺悔するように、天を仰いで告解する少年。
「漫画家さん堪忍な、小遣いもらえたら単行本買うからな……」
 その背中が、不意に押された。
「ええんやで」
 ギッギッと揺れるブランコ、振り返る少年。
 そこには複数のひよこが群れを成して作り上げた、巨大なひよこがいた。
「な、なんやこいつ!?」
「わたくしはデラックスひよこ明王、恵縁耶悌菩薩さまの御心を伝えるものです」
 その言葉には人を狂わせる力がある。少年の中で、このひよこを怪訝に思う気持ちが見る間に消失していく。
「恵縁耶悌菩薩、さま……」
「はい。恵縁耶悌菩薩は『ええんやで』とおっしゃいました。あなたの罪は許されたのです」
 そう言うと、デラックスひよこ明王は少年の背中を更に押す。
「さぁ心を罪から解放し、恵縁耶悌菩薩の羽毛に抱かれましょう。恵縁耶悌菩薩の羽毛はふわふわで、とても気持ちが良いものです」
 ブランコに合わせて、風を切って動く少年の身体。その心地良さも相まって、少年の顔に笑みがこぼれる。
「そっか……ええんか……! もうワイが悩む必要もないんや、恵縁耶悌菩薩さま、万歳やで!」
 力強く立ち漕ぎを始める少年を見て、デラックスひよこ明王はほくそ笑む。
「……これでよし、と」
 先程の優し気な口調とは打って変わって、威圧的に告げる。
「おそらく、すぐに、ケルベロスが襲撃してくるだろう。ケルベロスは君の罪を償わせようと襲い掛かってくる。だから君は戦わねばならない」
「ええでええで! 戦うで!」
「勿論、君ひとりではない。恵縁耶悌菩薩の配下たる私も共に戦おう。更に――」
 デラックスひよこ明王が手羽で合図をすると、和服の少女が何処からか出現する。
「自愛菩薩の力により新たに配下とした、この者も君を守るだろう」
「我は幻花衆が一輪、よろしくお頼み申します」
 恭しく礼をする少女へ振り返り、少年は片手を上げた。
「かしこまらなくてええんやで! ワイら3人で、一緒にケルベロスを倒そう!」
 少年はブランコを漕ぎ続ける。どこまでも飛べるとでもいいたげな笑顔を浮かべていた。

「ビルシャナが大きな動きを見せ始めた」
 集められたケルベロスたちへ、星友・瞬(ウェアライダーのヘリオライダー・en0065)はそう切り出した。
「それは『菩薩累乗会』。強力な菩薩を次々に地上に出現させ、その力を利用して、更に強大な菩薩を出現させ続け、最終的には地球全てを菩薩の力で制圧するというものだ」
 今のところ、具体的な阻止方法は見つかっていない。菩薩を地道に潰していくしかないのだが……。
「今回相手をするのは『恵縁耶悌菩薩』。ネズミ算的に増えているが、ネズミではなくひよこだ。こいつは人間の罪の意識を持つ人間を標的とし、自らの羽毛の力で罪の意識を消し去る事と引き換えに、その存在を自らに取り込んでしまうという菩薩だ」
 全てを『ええんやで』という言葉で許す菩薩。その代償は、自らとの融合だ。
「ビルシャナ化させられた一般人は、自分を導いたデラックスひよこ明王と共に公園に留まり続け、羽毛に抱かれ続けて罪の意識から逃げ続けているようだ。このままだと、罪の意識から逃れ羽毛に魅了された彼は恵縁耶悌菩薩の一部とされてしまうだろう。そうさせない為にも、出来るだけ早く、事件を解決する必要がある」
 続いて、瞬は今回相手をするビルシャナたちについての情報を提供する。
「敵はビルシャナ化した少年とデラックスひよこ明王、そして螺旋忍軍幻花衆の計3体だな。少年はスマートフォンを武器にし、デラックスひよこ明王は自らの身体を構成するひよこを武器に攻撃してくるようだ。幻花衆はやはり忍術や手裏剣を用いてくることが予測される」
 1体でも強敵だが、今度の敵は3体だ。大変な仕事になりそうだが、ビルシャナの作戦を阻むためにはやるしかない。
「どうか、よろしく頼む」
 瞬は、そう締めくくって頭を下げた。


参加者
クロノ・アルザスター(彩雲のサーブルダンサー・e00110)
村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)
白羽・佐楡葉(紅棘シャーデンフロイデ・e00912)
蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)
伊・捌号(行九・e18390)
クロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)
ララ・フリージア(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44578)
ティル・フォスター(渇望回帰・e45351)

■リプレイ

●あかんで
「なにあのエセ関西弁……」
 村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)の言葉は辛らつだった。
 細められた赤い瞳は、公園の3人に向けられている。
「ああ、羽毛ふかふかや~……」
「ええんやで、ええんやで。菩薩様にもそうやって甘えるんや……ありえんバブみやで……」
 ビルシャナになった少年が、デラックスひよこ明王に抱き着いてモフモフを堪能していた。
 それを傍らで眺めている幻花衆からも同様に冷ややかな視線を感じる気がする。
「というか、あいつらって元関西人なの?」
 クロノ・アルザスター(彩雲のサーブルダンサー・e00110)の純粋な疑問は、純粋が故に誰も正解を知ることができない。
「柔らかい口調にすることで、親しみを持ちやすいようにしているかもしれないのじゃ。キャラ付けで口調を変える人もおるじゃろう?」
 そう言うララ・フリージア(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44578)も口調が変わるタイプのようだ。
「どうでもいいから、あの少年を助けるわよ」
 ティル・フォスター(渇望回帰・e45351)が一刀両断する。別に仲間との会話を嫌っているわけではない。彼女の中で優先順位が決まっていて、それに従っているだけなのだ。喪服を身に纏い、公園へと降臨する。
「来たな、ケルベロスの者ども……」
 デラックスひよこ明王は少年を引きはがすと、ケルベロスたちへと向き直る。
「さあ、少年よ。私らの力で彼らを撃退しようぞ!」
「あたりきしゃりきのこんこんちきや!」
 デラックスひよこ明王は距離を取り、彼を守るかのように幻花衆が立ちはだかる。少年は幻花衆の隣、前衛でスマートフォンを手に迎え撃つ布陣のようだ。
「あちゃー、後衛かー」
 クロウ・リトルラウンド(ストレイキャリバー・e37937)はうつむいて自らの足をチラリと見る。星の力を込めた飛び蹴りは届かなそうだ。
「問題ありません。想定の範囲内です」
 蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)は慌てず騒がず、戦闘態勢に入る。近距離の攻撃が届かないならば、遠距離の攻撃で攻めればいいだけのことだ。代替の攻撃方法も用意してきている。
「咬みつけ!」
 更にいえばデラックスひよこ明王が狙いに特化したポジションなのか、それとも癒し手を担っているのか。把握するべく剣を突き出し、その衝撃で気咬弾を発生させ、放つ。
 空気を切り裂くように放たれた気弾は、しかしその中途、茜色の空に消えた。
「咬むというのは、こうするのだ」
 攻撃を受け止めたのは割って入った幻花衆だった。手甲で気咬弾を受けきると、小手を返して手裏剣を放つ。手裏剣の刃は凛子の手元を浅く切り裂いた。
「くっ……」
 刃に塗られていた毒が凛子の身体を蝕んでいく。意識が揺らめくが、意思は揺るがない。
「悪いっすけど、あんたはアウトオブ眼中なんすよっ!」
 幻花衆の横を超スピードで何かが通り過ぎていく。伊・捌号(行九・e18390)が蹴りだしたトラウマボールだ。
「あいたっ! 何をする、この不心得者がっ!!」
 デラックスひよこ明王に直撃し、彼を構成するひよこの一羽が零れ落ちた。
「まずは頭を潰すのが戦の常道ってやつっすよ」
 捌号は両手を合わせ、祈りを捧げる。
「聖なる聖なる聖なるかな。そいでは、神威の時間っす。覚悟はいいっすか?」
「そのような傲慢不遜な態度をいつまで突き通せると思う。そういうのを釈迦に説法と言うのだ!」
 言葉と同時にデラックスひよこ明王に後光が差す。清めの光がひよこを癒していく。とはいえその回復量はさほどではなく、同時に彼が癒し手ではなく狙撃手であることを示していた。
「お釈迦様だったらキリストと一緒にアパート生活でもしてなさい、よっ!」
 白羽・佐楡葉(紅棘シャーデンフロイデ・e00912)は大きくふりかぶってバールを投げつける。物理法則を無視するような軌道を描き、デラックスひよこ明王の頭部に突き刺さった。
「その漫画読んだで! おもろいよな!」
 スマホをかざし、洗脳電波を放ってくる少年。
「読んだのは違法サイトででしょ! 私の応援してた南北朝の蛮族武者がどったんばったん殺し合いしたり、女の子が甲冑着てバトルする漫画が打ち切りになったのも違法サイトのせいなんですよ! 多分!」
 洗脳電波を受けながらも、佐楡葉はバールと虚無球体を交互に投げつけていく。怒りの矛先は少年、ではなくデラックスひよこ明王だ。
「それは人気が無かっただけなのではないか?」
「お黙り!」
 私怨を込めてバールを投げる佐楡葉だが、その手首を幻花衆が掴んで投擲を止めさせる。
「もう、邪魔です!」
「でも、ただ邪魔なだけ」
 ティルは幻花衆が佐楡葉に構っているのを横目に、水晶の炎でデラックスひよこ明王を炙っていく。
「熱……くないけど、痛い!」
 炙られたデラックスひよこ明王、その身を構成するひよこたちがボロボロと剥がれる。
「ひよこ明王よ、そなただけは逃がさぬよ」
「ララ! 自分も合わせるよ!」
 ララとクロウ、ふたりのスナイパーが呼吸を合わせて放った轟竜砲は、それぞれデラックスひよこ明王の両足に直撃し、その足を封じていく。
 実際のところ、ケルベロスたちの戦術は手堅いものだった。デラックスひよこ明王が後衛にいた為ティルの近接アンチヒールは届かなかったものの、スナイパーによる足止め付与、氷による追加ダメージと服破りを積み重ねていく。
 更に意思を統一したデラックスひよこ明王の各個撃破とコンビネーション。限られた情報を元に想定できる動きとしてはこれ以上のものはないだろう。
「光り輝け、彩雲剣」
 クロノのゾディアックソード、刀身より放射線状に伸びた光の線がリングを形成し七色に煌きを放つ。
「くっ……!」
 幻花衆は庇おうとするも、捌号の足技を押さえるのに手いっぱいでデラックスひよこ明王まで届かない。
 破れかぶれに手裏剣を投げるが、ベルの展開した雷の壁に跳ね返された。
「ここまでくると幻花衆は若干哀れに感じますが、こっちも仕事なのですよ」
 幻花衆単体の突破力ではベルとシャーマンズゴーストの回復をなかなか破れない。少年とコンビネーションでもできればまだ一点突破もできたのかもしれないが、そこまでの信頼関係が彼らにはない。
「この世界をもっと光で満たせ」
 展開された光輪はゆっくりと剣を周回し主人の合図と同時に剣から射出される。
「ぬ、のおおぉっ!!!」
 七色の軌跡を残して集束した光の輪が、デラックスひよこ明王の胴体を引きちぎった。宙にぱらぱらと待った小さなひよこたちが、力を失って夕焼け空に溶けて消えていく。
「地獄で悔い改めなさい」
 それが、クロノがデラックスひよこ明王への手向けの言葉だった。

●やっぱりええんやで
「我は水と氷を司りし蒼き鋼の龍神。我が名において集え氷よ。凛と舞い踊れ!」
 凛子の剣技を間に入って受け止めた幻花衆。冴え渡る斬撃は氷の花を生み出していく。
「霧氷といえど花は我らの領分、故に通らぬ」
「それを見越して、仕掛けてるんですよ」
 凛子は幻花衆の肩越しに、ビルシャナと化した少年へと呼びかける。
「いけないことだというのは自分でもわかっているのでしょう?」
 自身の考えを交えて少年へと呼びかける。
「わたくしは自分ではあまり買いませんが、それなりに読むほうです。作者の技術に金銭と敬意を払うべきではないですか?」
「買ってないのに読んでるって、姉ちゃんも金払ってないやん!」
「それは屁理屈でしょう」
「友達から回し読みするのも、サイトで読むのも金払ってないのは同じことやん! ええやん!」
 まだデラックスひよこ明王から受けた全肯定という洗脳から抜けきっていないのだろう。
「なにより、このまま鳥の姿では、続きの単行本買えませんよ?」
「せやから買わなくてええんや!」
 スマートフォンを振るおうとする少年の腕を、クロノのサイコフォースが封じていく。
「ええんやでじゃない! あかんで!」
 どうやら少しは痛い目に遭わせないと洗脳が抜けないようだ。殴りながらの説得に切り替える。
「インターネットだから実感わきにくいんでしょうけど、本屋さんで万引きしたり、デパートでおもちゃ盗むのと一緒なのよ」
 達人の域に達した一撃と共に、少年へ言葉を叩きつける。
「あなただって自分でわかっていて、だからあんなに落ち込んでいたんでしょ? それを『ええんやで』みたいな都合のいい言葉で終わらせては駄目よ」
「そ、それは……」
 少年の足が氷に包まれていく。
「少年。君の読んできた漫画には正義のため戦うヒーローはいませんでしたか?」
 佐楡葉のパイルバンカーがそこに突き刺さり、更に氷の体積を増やしていく。
「彼らの活躍に憧れ、弱者を踏み躙る悪に憤慨したことは?」
 つららのように鋭い言葉が少年の身体と心に突き刺さっていく。
「代価を支払わず、漫画家さんを蔑ろにするのは、まさにその小悪党の所業ではないですか?」
 少年の顔がこれ以上聞きたくないと歪む。
「違法だって無料で漫画読めるなら良い――しかしそれは、ヒーローとその価値観からもっとも遠い行為!」
 それは耳が痛いから。正論だと感じているからだ。
「それを続ければ、やがて君はそういった類の漫画が受け付けなくなり、果ては子供が虐待されたり借金で破滅する鬱漫画しか読めなくなる運命は必定! ええんか! それでもええんか!?」
「いや、そんなことはないんやないかな……」
 最後の結論は特に痛くなかった。なぜそこに着地してしまったのかと思わずツッコミをいれる少年。
「少なくとも他人の言葉に疑問を挟めるくらいには、人の感覚が戻ってきたみたいっすね、少年」
 スマホを操作できないように、捌号が少年の腕を御業で縛る。
「次の小遣いで単行本買おうって決めたんじゃないっすか?」
 捌号と彼女のボクスドラゴンの瞳が少年を見据える。
「その漫画が好きだから買うんじゃないんすか? 作者さんを応援したいから買うんじゃないっすか?」
 漫画の向こうにはその作者がいる。自分の行為が他人を傷つけている罪悪感を、かつての少年は覚えていたはずだった。
「本当にその漫画が好きなら……それを伝えなきゃいけない相手が居るんじゃねっすかね?」
「漫画家さん……」
「そう、漫画家さんだ。たとえ罪が許されたって、そのまま違法サイトで読み続けるのをやめなかったら漫画家さんにお金が入らなくなって、終いには続きが読めなくなるかもしれないんだよ?」
 上空から少年の足元へと突き刺さるクロウの足。
「しちゃったことは仕方ないけど、そこから反省をせずに損するのは自分自身なんだ。悪い時には謝り償う! それがよいこの鉄則だよ!」
 よろける少年へララが追加のスターゲイザーを叩き込む。
「一度連載が終わると、漫画家は定期的な仕事を失うことになる……また連載をもらうには大変じゃし、そなたらが買う事によって応援する事になりお気に入りの漫画を読み続ける事ができるのじゃ」
 度重なる足止めに体勢を崩し、尻もちをつく少年。その手からスマホが離れる。
「あ―――」
「スマホじゃなく、こちらを見なさい」
 ジュデッカの刃が辺り一面を薙ぎ払う。スマホも巻き込まれ、分厚い氷が包み込んでいく。
「少年。私たちは別に貴方を咎めにきたのではないのよ。あのひよこ羽毛が人をたぶらかせているのを止めにきただけ……」
 少年を縛り、悪の道へと誘っていたデラックスひよこ明王はもういない。
「貴方も羽毛の仲間になってしまったら、それはもうやり直しがきかなくなるわよ。それでいいの?」
 全身に羽毛が生えた少年。身も心も、ビルシャナになってしまえば後戻りはきかない。
「忠告はおしまい。あとは貴方の心次第。依頼の成否に貴方の生死は関係がない……戻れないなら、そのときは看取ってあげるわ」
 喪服のティルにぴしゃりと言いきられて、彼女を見上げた少年の瞳が揺れる。
「償いのお手伝いならしてあげるから……」
 声は遥か先から聞こえてくる。
「こっちに帰っておいで」
 ベルだ。全てを癒す雨を降らしている彼女の言葉は、突き放された少年の心をも癒す。
「ちゃんと反省するなら許してあげますよ!」
 少年には、許しが必要だった。それは別の依存先としての許しか、それとも自らを戒めるための猶予期間としての許しか。
「……わかった、わかった。やっぱ……あかんよな……」
 がっくりと頭を垂れる少年。それは斬首のために首を差し出すかのようで。
「数歩の内、我、汝の頸血を以て濺ぐを得ん――」
 佐楡葉は斬首魔法で彼の願いを叶えてやった。
「いけませぬ、心まで敵に屈しては……! 虜囚の辱めを受けず、自らその命を絶ちなさい!」
「それはあなた方忍びの掟でしょう。彼は忍びではない……あなたはわたくしと遊んでいてください」
 幻花衆が呼びかけるが、凛子の刀に遮られそれ以上の手出しはできない。
「さあ、首だけとなって抱かれてください」
 夕暮れの公園、伸びた鳥の影が分かたれる。舞い散る羽毛の影。残された影は、人の形をしていた。
「……任務、失敗か」
 幻花衆は嘆息と共に暫時目を閉じると、手裏剣を仕舞う。
「恵縁耶悌菩薩に伝えとくっすよ。『神様はとっくに間にあってるっす』ってな!」
「………」
 捌号の声を背に受け、公園から跳び去っていった。ケルベロスたちも無理に追おうとはしない。
「疲れたね……さすがに追いかける力はもう無いよ」
 クロウをはじめとして、皆も疲労していたのだ。彼女のボクスドラゴンも頷いて同意を示す。
「気を抜くのはもうちょっと後ですよ」
 ベルはヒールグラビティを展開しながら、ニッと笑いかける。
「帰ってきた少年の回復をしなくてはいけませんからね!」

作者:蘇我真 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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