夢幻の武器

作者:雨乃香

 二月の末、雪も溶け始め鳥たちの囀りが聞こえる林の中、一人の男が佇んでいる。必要最低限の鎧に身を包む男の姿はいささかその風景から浮いているようにも見えたが、彼はそれを気にする様子もなく既に三十分以上もそこに立ち続け、微動だにすることなく精神を集中していた。
 ふと聞こえた物音に男が振り替えると、そこには一人の少女が立っていた。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
 少女の言葉に応えるかのように、男は静かに武器を構える。
 少女もまたそれに合わせて自らの獲物を抜き放つ。
 向かい合う互いの手にある武器はどちらも異形。
 少女が手にするのはその身の丈ほどもある巨大な鍵、対して男の構えるのは長柄の武器。
 いくつもの節のついた金属製の柄の先端には槍の穂先、その左右に延びるのは斧頭と鉤。石突きには拳大程の金属球体が取り付けられたポールウェポン。
 先に動いたのは男だった。
 武器の重量を感じさせない、まっすぐな突き。
 男は少女がそれを避けた事を確認するとすぐさま武器を引き戻し、その鉤をで少女の足を払おうとする。
 しかし少女はこれも軽く跳んで避ける。
 ならばと武器を引き戻した勢いにのせ体を回し、その重さを利用して武器を横薙ぎに振り払う。
 勢いの乗った一撃、まともに受ければ小柄な少女の体など軽く吹き飛ばせるであろうその一撃を、少女はあろうことか、片手で構えた鍵で軽々と受け止めて見せる。
 だが、男は動じない。互いの獲物同士がぶつかりあう瞬間、男は武器を握る手首を軽く返す。瞬間、柄に入った節から彼の握る武器は一瞬にして分割され、その間を鎖でつながれた柄は蛇のように身をしならせ、少女へと襲い掛かる。
 少女の顔へと突き立つ斧頭。必殺に見えたその一撃を受けてしかし少女は無傷。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 こともなげに言い放った彼女は、男の武器を掴みその体を引き寄せると、胸へとその鍵を深く突きたてた。

「皆さんは武器にロマン、というものを感じますでしょうか?」
 開口一番、ニア・シャッテン(サキュバスのヘリオライダー・en0089)はそうケルベロス達に問いかけると、身振りと手振りを交えてその話の続きを口にし始める。
「たとえば身の丈に合わない巨大な武器、たとえば暗器や仕込み武器等の奥の手、もっとシンプルに由来ある刀剣等にもロマンを感じる方はいるでしょう」
 皆さんの中にもおそらくいると思いますが、とニアは首を傾げながら、本題へとはいる。
「今回幻武極に狙われたのは、そんあポールウェポンにのロマンに魅入られた一人の武術家さん、というわけです」
 件の武術家が幻武極の襲撃を受けた事により、幻武極のモザイクが晴れることはなかったものの、代わりにこの武術家の理想とする技を極めたドリームイーターが出現してしまった為、それを倒してきて欲しいというのが今回の依頼であった。
「さて一応説明しておきますがポールウェポンというのは長柄の武器の総称ですね。グレイブやハルバード。矛や薙刀に槍なんかから農具までも分類される事がありますが、今回皆さんが相手にする相手は、これらの特徴を併せ持った武器を使うといった感じですね」
 戦闘が予測される地域も木々の疎らな林の中で、長柄武器特有の弱点を突くこともできず、なかなか厄介な相手になるかもしれないとニアは自らの予測を口にする。
「この武術家さんが修行の場に人気のないこの林の中を使っていたおかげで周辺被害を気にしなくていいのが救いといった所しょうか?」
 ニアはそこで目を通していた資料から顔を上げると、ケルベロス達の方を向いて、一言付け加える。
「目標の方も自らの技を試したくてうずうずしているようですし、周りのことも考えず皆さんも存分に力を技を出し切って、どちらがより優れているのか、見せ付けてきてあげてください」


参加者
アリッサ・イデア(夢亡き月茨・e00220)
エレ・ニーレンベルギア(追憶のソール・e01027)
此野町・要(サキュバスの降魔拳士・e02767)
暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)
尾神・秋津彦(走狗・e18742)
ロフィ・クレイドル(ペインフィリア・e29500)
エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)
ダンドロ・バルバリーゴ(冷厳なる鉄鎚・e44180)

■リプレイ


 人里離れた早朝の林の中。
 微かな朝の日差しと澄んだ空気が静謐な雰囲気を漂わせている。
 そんな林のやや開けた場所には、その静かな場所には似つかわしくない、物々しい武装をした集団が陣取っていた。
「この辺りに、いい手合わせの相手がいらっしゃるのですよね……?」
 首をかしげ呟くロフィ・クレイドル(ペインフィリア・e29500)が周囲を見回して見るものの、辺りには彼女の言うそれらしい相手は見当たらない。
「せっかくだから占ってみようか」
 不思議そうにしているロフィのためにと此野町・要(サキュバスの降魔拳士・e02767)は颯爽とタロットカードを取り出すと、三枚のカードを宙へと浮かせた。
 悪魔、吊るされた男、そして逆位置の月。
「これで、どういう意味なんでしょうか?」
 興味深そうにカードを覗き込みながら問うのはエレ・ニーレンベルギア(追憶のソール・e01027)だ。ウイングキャットのラズリも彼女と一緒に宙に浮いたそれらのカードをしげしげと眺めている。
「簡略的に言えば、既に目標は出現済み、僕等はここで待ち構えていればいずれ問題は解決する、ってところかな?」
「それじゃ、その結果を信用して、ここいらで張らせてもらうか。ちょっとキツイの張るからさ、みんなビビんなよ?」
 要の占いの結果を聞いた暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)はニッと笑うと、周囲に強烈な殺気を放ち、一般人の近づけないフィールドを作り上げる。同時にそれは、この殺気を感知してなお戦う石を見せる相手を引き付ける挑発の意味合いもあった。
 占いとその殺界形成の効果は程なくして現れる。
「あれ、でありますか……?」
 その接近にいち早く気づいたのは、樹上に待機し、周囲を警戒していた尾神・秋津彦(走狗・e18742)であった。
 彼の視界の先、木々の合間を抜けてゆっくりと歩いてくる人影がひとつ。
 それは朝日を浴びて輝く銀色の甲冑。
 軋むような金属音をたてながら歩くそのドリームイーターの手に握られているのは様々な武器を一緒くたにまとめたポールウェポン。
「……なんとも欲張りな武器であるな」
 ダンドロ・バルバリーゴ(冷厳なる鉄鎚・e44180)の呟きが果たして甲冑の耳に届いたのか、それは定かではないが、彼は」ケルベロス達の前までやってくるとその足を止めた。
「相手をお探しですカ?」
 エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)の問いかけに甲冑は彼の持つ武器に目をやり、その手に握る獲物をぎゅっと握りなおす。
「どうしたの、武を存分に見せ付けたいのでしょう?」
 そうしてアリッサ・イデア(夢亡き月茨・e00220)の挑発するような物言いに甲冑はようやくその武器を構える。
 両手の間隔を明け、柄を握り、穂先を下げる下段構え。
「尾神秋津彦、参ります」
 名乗りを上げた秋津彦に、返事をするかのように、甲冑が微かに頷き。
 早朝の林は一瞬で戦場へと姿を変えた。


「いきますわ、エレ」
「は、はい」
 仲間達が飛び出すのと同時、アリッサの号令とともにエレも動く。
 周囲に漂う煌めく粒子が仲間達の感覚を鋭く強化し、エクトプラズムの擬似の肉体が膜のように体を覆う。
「頼りにしているわ。わたしのいとし子」
 間髪いれずアリッサのビハインド、リトヴァが操る木々の枝や小石が槍となって甲冑を向けて襲いかかる。
 それらの攻撃を、敵は武器の一不利で纏めて打ち払い、すかさず一歩下がろうとする。
 リトヴァの攻撃に乗じて踏み込んだ秋津彦に間合いの内に踏み入れられないための後退。
「逃がさねぇ」
 しかし彼の足は、守人の呟きとともにピタリと止まった。
 周囲を覆っていた強い殺気、それが急激に集束し、一点に向けられた事により、かれの意識は否応無くそちらへと引っ張られる。
「あんたが達人だからこそ、強い殺気ってのは無視できないだろ?」
 ニヤリと笑う守人の意図にはまった敵に向かい距離を詰め、間合いの内へと入り込んだ秋津彦の鋭い蹴りの一撃が甲高い音をたてる。
 ただの金属鎧であれば、凹み、穴すら開いていたかもしれない。
 しかし、あくまでそれは見かけだけの鎧であり、ドリームイーターの体の一部にすぎない。そう易々と貫けるほどやわなものではない。
「ならば攻撃を重ねるまで、でしょう」
 それならばと、オウガメタルを拳へと寄り集め、鋼拳を作り上げ殴りかかるロフィ。そこでようやく、甲冑が自らうって出る。
 頭上に構えた武器を斜めへと降り下ろす勢いを乗せ、踏み込んだ足を軸に体を回し周囲を凪ぎ払う強烈な一撃を放つ。
 風圧だけで周囲の木々がざわめく一振りはロフィを囮とし、本命の攻撃を放とうとしていた要までをも巻き込んで吹き飛ばす。
「なるほどたしかに素晴らしい腕前だ。汝の本体とも一度手合わせしたいものよ」
 リーチの差を最大限にいかし反撃を許さない敵の攻撃にダンドロが感心する横で、立ち上がる要は唇を噛む。
「……やっぱり、間合い的に長柄は、苦手だね」
「それならバ、お頼りくだサイ」
「ええ、道は開いて見せます」
 そんな要に声をかけながら治療を施すエトヴァと、なにやらワクワクと楽しげにしているロフィに要は頷きを返す。
「うん、頼らせてもらうよ……ニビ様も、ね」
 呟きと共に拳を握りしめ、彼女が前を向けば敵は武器を構えたままこちらとの間合いを測っている。
 石突きを高くあげ、穂先を下げる下段の構え。
 ケルベロスと甲冑、互いにじりじりと距離を保ち、相手をじっと観察する。
 その矢先突如鳴り響く爆発音と共に立ち上るカラフルな煙。
 エレの起こした爆発にモザイクに覆われた視線を一瞬向ける甲冑。
 その隙をついて秋津彦が一気に間合いを詰める。
 だが一瞬の隙をついたところでその間合いの内へ潜り込むことは到底不可能。大鎚を振り上げ迫る彼の攻撃は空を切り、地を穿つ。
 しかしそれも計算の内、用意に踏み込めないことは最初の攻防で秋津彦も承知していた。故にその一撃もまた囮。可変する大鎚はそのまま砲身を形成し、轟音と共に砲撃を放つ。
 至近からの強烈な一撃に、甲冑の各所に砂嵐の如くモザイクが走る。
 体勢を建て直し、甲冑は周囲に視線を巡らせるものの、先程の攻撃によって巻き上がる粉塵が視界を覆っている。
 その土埃に乗じ、守人とエトヴァの二人が同時に攻撃をしかける。
 死角から迫り武器を振り上げる守人と正面から愛用の斧を振り上げるエトヴァ。
 どちらも避けることは敵わない文句のつけようのない攻撃。
 故に甲冑は避ける事は選ばなかった。
 正面から迫るエトヴァの刃に対し、叩きつけるように己の獲物の柄を差し出し、瞬間、触れた部分から甲冑の武器がバラバラに分解されていく。
 交差された点を起点に、鎖で繋がれた武器の柄は、エトヴァの斧へと絡み付き、その先端の斧頭もまた、柄から解き放たれ、鎖に従い背後の守人の武器へと絡み付く。
 両者が驚きに声を出す暇もない、一瞬の出来事。
 そのまま甲冑が武器を引き戻す事で二人の体勢は一瞬にして崩れ去る。
 引き寄せられるように敵の目の前にたたらを踏んだエトヴァの眼前に迫る、石突きに備えられた鎚。
「……たしかに、ロマンに溢れた武器だ」
 鈍い殴打の音の代わりに響いたのは、ダンドの掲げた剣の澄んだ音色。
 咄嗟に割り込んだ彼の防御によって、甲冑の攻撃は阻まれた。
「百足というよりもどっちかというと蛇ねあれは」
「武器ごと持ってかれてたら、厄介だったが」
「しかシ、同じ手ハ、通用しませン」
 敵の攻撃を客観的に見ていたアリッサと、実際に受けた守人とエトヴァ。対策を練るようにポツポツと言葉を交わしつつ、敵から目を離す事はない。
「もういいか? 年寄りに鍔迫り合いは応えるんだ」
 その視線の先、依然敵と正面を切って睨みあっているダンドロの言葉に、ケルベロス達は散会し、再び膠着した戦闘が動き出す。


 間合いを最大限にいかし堅実に戦う甲冑と、その境で激しい攻防を繰り返すケルベロス。
 どちらかが一手でもミスをすればたちまち崩れ去りそうな綱渡りのような緊張感がはりつめている。
 間合いへと踏み込むケルベロス達を縦横無尽に振り回すその獲物で弾き返す甲冑と、それらの迎撃を掻い潜り攻撃を見舞うケルベロス。
 互いに消耗の色は濃く、ダメージの蓄積が見てとれる。
 エトヴァの振るう斧の一撃が甲冑の一撃と交差する。互いに武器を巻き取ろうと打ち鳴らされる鋼の音。それならばと、共に相手の裏をかくように武器を弾き会い、後退。
 そこで甲冑がうって出る。姿勢を低く、獲物は下段に構えたまま前へと。
 互いに間合いをはかり会いじりじりとした読みあいを続けていた今までとは明らかに違う動きに、一瞬ケルベロスの側の判断が鈍る。
 もはや甲冑は目の前の敵の間合いを読みきったということだろうか? 彼が狙いを定めたのは、獲物を手にせずその身をもって戦う要であった。
 下がった所で間合いを保たれ一方的な攻撃を受けることは明白であり、要にはそれを迎え撃つ以外の選択肢はなかった。
 間合いの内へ切り込む算段を整えながら、足元から跳ね上がり、迫る槍の穂先をやり過ごす。必要最低限の動きで避けた一撃、それを起点に、敵の獲物が突如牙をむく。
 甲冑が手首を返し、武器を引き戻す事で、穂先に取り付けられた鉤爪が要の後頭部を捉え、豪快に引き寄せる。
 否応なく崩される体勢。それを建て直す前に、頭部めがけて振るわれる、ハンマーヘッドによる、殴打の一撃。
 鈍く痛々しい、肉が潰れ、骨のひしゃげる音が聞こえる。
 それは、要の頭蓋骨の砕ける音ではなく、咄嗟に割り入り、攻撃を受け止めたロフィの右腕が粉砕される音だった。
「ぁっ、ぐ……」
 口から漏れ出る苦悶の声。しかしロフィの顔には狂気じみた笑顔が浮かんでいる。
 攻撃はそれで止まらない。
 怯んだロフィの正面、容赦ない突きの一撃が、脇腹を深々と貫き、穂先が彼女の体の背へと抜ける。
 小柄なロフィとはいえ、人一人を貫き、持ち上げる甲冑の力はやはり驚異的だ。
 モズのはやにえのの如く獲物を掲げた甲冑は、武器を振り払い、ぐったりとするロフィの体を乱暴に放り出し、地へと叩きつける。
 ケルベロス達全員が息を呑み、誰もが躊躇することなく動き始めている。
「ラズリ!」
 エレのなを呼ぶ声に応えてウイングキャットのラズリが敵の前へと躍り出る、それに会わせダンドロと守人の二人もロフィを守るように前へ、
「ロフィ、しっかりするのよ」
 その間に放り捨てられたロフィに駆け寄るアリッサとエレ、それにテレビウムのクー。二人と一匹での大がかりな治療。
 互いの間にあった均衡は崩れ、戦いは決着へと一気になだれ込んでいく。
「発現……纏……集中……っ!」
 ロフィの方を一瞥した要はぐっと拳を握り混む。
 助けてくれたロフィの事を心配しながらも、今の彼女に治療を手伝うという選択肢はなかった。だからこそ、できることをするまでとばかりに彼女はもう一度甲冑と相対する。
 仲間達が攻撃を仕掛け、それを捌く甲冑の動きを観察しながら、要は仕掛ける。
 幾度となく追い出され弾き飛ばされた間合いはすでに頭の中にある、その一線へと踏み込んだ瞬間、体を前へと倒し、横凪ぎの一撃を頭上が掠める。
 対で引き戻される鉤による足払いを跳躍して避ける。
「それはさっき、見せてもらったよ」
 ロフィの受けた一連の攻撃、それを間近で目撃する事となった要はその次に繰り出される一撃も読みきり、既に一歩前へ。首を傾け突き出された槍の穂先を避ければ、そこは敵の間合いの内。そして、要の間合いだ。
 振り上げた拳が、甲冑の胸元を叩きその魂を食らう。物理的な防御を無視しその魂を直接蝕む一撃。思わず胸元を押さえたたらを踏んだ甲冑の前で翻る翼と尾。
 体を回し、さらに胸元へと蹴りの一打を見舞う要。
 胸元を押さえていた腕を弾かれ、無防備に体をさらす甲冑。そのまま宙に浮いた体を捻り全く同じ場所への三打目。
 吹き飛ぶ甲冑はしかし、武器だけはその手から離さず、地へとその斧頭を叩きつけ、吹き飛ばされる体に急ブレーキをかけ、顔をあげた視界の先、
「この一太刀、霊峰より吹きし膺懲の風なり」
 刀を納めた鞘に手をかけていた秋津彦がふっと、その構えを解いた。
 隙だらけのその相手に、一撃を見舞おうと甲冑が振り上げた腕は肘から先が無くなっていた。
 正しく言うのであれば彼の体は今や上下真っ二つに両断され、既にモザイクへと解けて消えていく所であった。
 鞘走りの音すら聞こえない秋津彦の瞬く間の一太刀が、静かに林の静寂を取り戻した。


「ご迷惑をおかけしました」
 戦いも終わり、周囲の修復にも手を付けず、ケルベロス達が一丸となって治療にあたったこともあって、ロフィは案外平気な様子でけろりとして頭を下げた。
 頬が高潮し、どこか目の焦点こそあってはいないものの、体の方には特に問題はない筈だ。
「さて、そうなると次はこっちね」
 戦闘の余波に巻き込まれ、静かだった林のあちこちは陥没したり、木々が半ばからへし折れたりと、散々な風景になっており、アリッサはそれらを目にしてもため息一つ吐く事なく周囲の修復作業へと移っていく。
「被害者も近くにいるんだよね? 早く終わらせて探しにいかないとだね」
「だな。ま、鎧着てるみたいだから、よほどのことがない限りは大丈夫だろうが」
 要と守人、二人もまたそんな言葉を交わしガなら作業へと加わっていく。
「無事そうなラ、ぜひとも手合わせを願いたい所……」
「なんにしても、早く探してあげましょう」
 エトヴァとエレもまた周囲に視線を向けながら、林の中を歩いていく。
 徐々にその位置を高くする太陽がの日差しが強くなっていく。
 緑に透かされた心地よい木漏れ日と風を感じながら、ケルベロス達は仲間の無事に安堵しつつ、後片付けを続ける。
 これまでも幾度となく繰り返された風景。
 後どれだけそれを繰り返せば、ケルベロス達にとって本当の休息が訪れるのかは、タロットにもヘリオライダーにも予知することはできない。

作者:雨乃香 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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