●シャイターン炎彩使いの一員
埼玉県のとある会場。
その日、ピアノの新人コンクールが行われており、ピアニストの卵達が自身の演奏を披露していた。
今回は1人の新人の技量がズバ抜けていたこともあって、文句なしに金賞が決定して幕を閉じることになる。
今年春に高校を卒業する、田原・来人がその人なのだが……。
「はー、めんどくせー。こんなくだらん大会で金賞とっても俺様のハクがつくわけもねーのにな」
地元新聞紙などの取材を終えて控え室で椅子に座ってふんぞり返る彼は、他のコンクール参加者がいる前でもお構いなしに語る。
「もうちっと、歯ごたえのある相手はいないかねー」
性格に難があるが、来人の腕は確か。コンクール参加者達はいずれも悔しそうな表情をして、控え室を後にしていく。
全員が出てからも、来人は疲れていたのかしばし椅子に座ったまま受賞の余韻に浸る。
そんな彼の傍に、いつの間にかアラビアン風のダンサーの姿をした女性の姿が。
「その演奏……。あなたには才能がある。人間にしておくのは勿体ない程の……」
暗い瞳を持つその女性は腕を突き出し、紫色の炎を発する。
「な、うわああああああっ!」
「だから、これからは、エインヘリアルとして……私たちの為に尽くしなさい」
燃え尽きる男性の姿を、女性……シャイターン炎彩使い、紫のカリムは見つめる。
男性は確かに命を落としたが、その死骸は大きく膨れ上がっていく。
今回もまた、カリムにとっては活動の一端でしかなかったはず。
「さて、次は誰を勇者にしようかしら」
新たなエインヘリアルの誕生を見届けながら、カリムは小さく微笑むのだった。
ヘリポートに集まるケルベロス達。
なんでも、シャイターン炎彩使いの1人、紫のカリムの動きがつかめたとのこと。
「ついに、事件の元凶を叩くことができるっすね」
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)の行動予測もあり、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はその捕捉ができたと喜ぶ。
「うん、だからこそ、この作戦は重要だよ」
リーゼリットは真剣な眼差しで、作戦に臨むメンバー達へと話を始める。
紫のカリムを含む炎彩使いは死者の泉の力を操り、その炎で燃やし尽くした男性をその場でエインヘリアルにすることができるようだ。
これまでならば、ケルベロスが現場到着時には紫のカリムはすでに姿を消し、新たに生み出されたエインヘリアルを叩く他無い状況だった。
「でも、今回は男性がエインヘリアルとされる直前に駆けつける事ができるよ」
ここで、紫のカリムを撃破できれば、彼女の起こす事件を終了させられるはずだ。
紫のカリムが出現するのは、埼玉県某所の会場の控え室。
他がコンクール参加者もいたこともあって広い一室なので、戦う分には申し分なく立ち回れる。なお窓は無く、入り口は一つだけしかない。
新人コンクールに受賞した田原・来人は聞く者を魅了する演奏で高得点を獲得し、金賞を受賞するに至った。
夕方、様々なインタビューなどを終えた彼は、コンクール参加者がいなくなった控え室に1人でいたところをカリムに狙われてしまうらしい。
もし、カリムの炎に来人が焼かれてしまえば、彼はその死体からエインヘリアルへと変貌してしまう。
「彼を控え室から逃がしつつ、敵の迎撃、討伐に当たりたいね」
戦いとなれば、カリムは灼熱の炎を飛ばし、幻覚作用のある砂嵐を巻き起こしてくる。
また、カリムは妖精弓を手にしており、ホーミングアローのみ放ってくるようだ。
状況は以上とのことで、一呼吸入れたリーゼリット。
「相手は、多数の男性をエインヘリアルに変えてきたシャイターン……。被害を考えればここで倒しておきたい」
被害に遭ったのはいずれも性格に難のある男性だったようだが、それでも、デウスエクスの好き勝手にされてよかった命ではなかったはずだ。
「……炎彩使いの活動を1人ずつ止めていかないとね」
――だから、紫のカリムの撃破を。
送り出すケルベロス達を信じ、リーゼリットは真摯にそう訴えるのだった。
参加者 | |
---|---|
スウ・ティー(爆弾魔・e01099) |
松永・桃李(紅孔雀・e04056) |
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426) |
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558) |
ジェミ・フロート(紅蓮風姫・e20983) |
ルチアナ・ヴェントホーテ(波止場の歌姫・e26658) |
アイリス・フォウン(金科玉条を求め・e27548) |
ソルヴィン・フォルナー(ウィズジョーカー・e40080) |
●選定の炎を消せ!
ピアノの新人コンクールが行われる、埼玉県のとある会場に降り立つケルベロス達。
「敵は控え室ね」
ルチアナ・ヴェントホーテ(波止場の歌姫・e26658)は仲間と共に、会場内へと突入していく。
「炎彩使いの事件は終わらせないとね。確実にここで倒しましょう!」
見事に鍛えあげた肉体をさらすジェミ・フロート(紅蓮風姫・e20983)も意気揚々と叫ぶと、炎彩使いを目の敵としているウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)が頷く。
「次の相手は、カリムおねえじゃな」
赤、黄と撃破しており、今度は緑と思ったら紫。
当てが外れたと語るウィゼだったが、誰が来ようとも負けるつもりは無いと豪語する。
「闘いに勝って、これ以上被害を増やさせないのじゃ」
それに同意するメンバー達は、現場となる会場控え室へと急行していくのだった。
控え室突入直前、ワイルドな中年男性といった見た目のソルヴィン・フォルナー(ウィズジョーカー・e40080)が時計をセットする。
「突入から撃破までの時間測る。わしのトレンドじゃ」
そうして、迅速に準備を整え、メンバー達は控え室へと突入する。
「カリム! もう逃がさないよ!!」
声を上げるは、踊り子衣装のヴァルキュリア、アイリス・フォウン(金科玉条を求め・e27548)。
室内では丁度、アラビアン風のダンサーの姿をしたダンサーがピアニストの卵、田原・来人へと対面した直後だったらしい。
「お邪魔するわよ! 命も未来も、もう貴方には渡さないわ」
チャイナドレスに身を包む松永・桃李(紅孔雀・e04056)は、被害者となる田原の確保に動く。
「ケルベロス……」
背にタールの羽根を生やすそのダンサーこそ、芸術分野に秀でる男性を狙うシャイターン炎彩使い、紫のカリムだ。
赤のリチウ、黄のナトリ。
同志が2人倒されているとあり、彼女の表情は渋くなる。
相手がこちらに気をとられて動きを止めたこともあり、アイリスは仲間と共に田原を護る様に位置取っていく。
「勇者の演奏が聞きたいの? 歌と踊りくらいなら覚えてるよ」
ルチアナは早速交戦の構えに入り、直接カリムの体を見つめて爆発を巻き起こす。
「芸術は、精神性の発露」
履いた消音素材のブーツを生かし、篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)は室内を疾走して肉薄していく。
「あんたによってエインヘリアルにされた人たちの芸術は、どれだけ変容をさせられたのか」
佐久弥が手にしたのは、廃棄家電や屑鉄から作り上げた鉄塊剣『以津真天』。その刀身を、彼は荒々しく叩きつけて行く。
「命を奪い、芸術を、精神を貶めるスポンサーさん」
そして、佐久弥はカリムの前で身構える。
「なるほど」
敵は一旦冷静になりながらも、紫の炎を燃え上がらせて田原を見据える。
「アヒルちゃんミサイル発射なのじゃ」
すかさず、それを邪魔しようとウィゼはアヒル型ミサイルを発射して妨害する。飛び出すアヒルちゃんはドリルのようなクチバシで、カリムの体を切り裂いていく。
「くっ……」
敵がその一撃をくらったことで、炎の起動が僅かにそれた。
「そんな炎くらい、耐え切ってみせるっ」
だが、その炎が田原に当たると懸念したジェミが紫色の炎を受け止め、相手を牽制する。
「さぁ、年貢の納め時って奴よ!」
そして、ジャミもまた盾役として戦線維持を心がけながら、ゲシュタルトグレイブで応戦を開始していく。
「よっ、スーパースター。無事かな?」
一方、田原の安全確保に動く桃李のそばに、目深に帽子を被るスウ・ティー(爆弾魔・e01099)が割り込みヴォイスで呼びかけつつ近づく。
「なんなんだ、一体……!?」
「こんな形で人としての生を棒に振ってはダメよ、ほらしっかり!」
状況が把握できず慌てる田原へ、桃李が簡単に事情を話す。
「人を捨てた才能に先はない」
そして、スウが隣人力を働かせながら、呼びかける。
「地道な一歩すら棒に振るうのは、望むもんじゃないだろうさ」
やや呆けたように、田原はその言葉を耳にしていた。
さて、カリムを囲むメンバー達。
「うーむ、この状況下で吸う煙草は格別じゃな」
ドアの近くに立つソルヴィンは敢えて相手を挑発すべく、パイプ煙草を吸って見せる。
「一応聞くが、降参せんかの? まぁ、わしはどっちでもええのじゃが」
強敵だろうとお構いなし。彼は鼻をほじってすら見せ、余裕綽々と言った様子で問いかける。
「降参? 面白い冗談ね」
カリムがそちらに炎を舞わそうとすれば、アイリスがステップを踏みつつ言い放つ。
「さあ、どっちがダンスが上手か、競争しようしよう!」
妖艶な見た目に反し、やや子供っぽい口調で呼びかけたアイリスは、仲間と共に攻撃を開始するのである。
●気を引きつつ逃がさぬように
メンバー達が紫のカリムを囲む外で、スウは桃李と共に田原を室外へ逃がそうと動く。
「盾役の役目、必ず果たすわ!」
そちらに相手の気を逸らしてしまわぬよう、ジェミは気合を入れた。
相手がグラビティを発するより前に、ジェミは続く仲間を意識して、仕掛ける。
「さぁ、ケルベロスの連携……見せてあげる!」
ジェミのゲシュタルトグレイブがカリムの露出した腹を突く。
鮮血飛び散る相手へ、佐久弥も相手の手前に立ちはだかる。
「田原さんも、仲間も庇うのが、俺のお仕事っす」
相手の気を引こうと、彼は本気を出す決意の心を溶岩となして相手の足元から浴びせかけていく。
「さすが、リチウとナトリが倒されただけあるわね」
プレッシャーを覚えるカリムはそこで、佐久弥を含む前衛陣目掛けて、幻惑の砂嵐を浴びせかけ、蜃気楼を見せ付ける。
そこへ、勢いをつけてウィゼがカリムの体を強く蹴りつけていく。
そのまま、床に激突するウィゼ。地面が割れてしまうほどの衝撃で、相手の足を止めてしまう。
カリムはややケルベロスに怯むような態度を見せてはいるが、強敵には違いない。
できるだけ攻撃が当たるようにと、ウィゼは敵の動きを止めようとしていたのだ。
「こんな踊りはどう?」
アイリスも大声を上げ、手を振り、ジャンプを繰り返す。
鉄の靴を履いた彼女は踊りながら、相手の動きを制する。
「ここからは逃がさないよ!」
「そうよ、紫のカリム」
ルチアナがチームの火力役として、竜の幻影を放つ。
「灼獄竜から学んだ特別製よ。ナトリも倒した竜の炎をみせてあげる!」
燃え上がる炎に、カリムは身を焦がす。
そして、ソルヴィンが先ほどカリムの砂嵐で傷つけられたメンバー達へと言い放つ。
「甘い! その隙を逃すわしではないぞい?」
パイプ煙草を吸い続けるソルヴィン。
この仕草は、この状況における活路を見出すグラビティ。
戦場にいるとは思えぬ行動が仲間達の緊張感を緩め、集中力を高めるのだ。
「なんじゃ、予想通りじゃの。わしの治療と同等ではないか! ふはは」
高笑いするソルヴィン。
そして、田原を部屋の外へと避難させた桃李とスウが駆けつける。
「あとは、お前さんだけだよ。炎彩使い」
スウは呼びかけながら、コートの裏側かガジェット「Surpriser」を銃の形にして、魔導石化弾を発射する。
「どんな者であれ、人だからこそ活かせる才を、その未来を、好きにはさせないわ」
いわゆるオネエである桃李だが、その立ち振る舞いは実際の女性顔負けの女子力を見せ付けていた。
「貴方の炎は此処で消し止める」
地獄の炎を纏った龍を発する桃李。
それは烈火のごとく駆け抜け、カリムの体へと食らいつき、その自由を奪う。
「――非道なる死の未来は焼き尽くす。代わりに業火で彩ってあげるわ。覚悟なさい」
完全優勢にも見えるケルベロス。
「…………ふふ」
しかし、劣勢と思われた紫のカリムは小さく微笑み、ふつふつとその身の炎を燃え上がらせていたのだった。
●撃破は必然……?
エインヘリアル化する恐れのある田原を逃がし、布陣として完全に囲んでいる状況。
しかも室内だから、頭上に逃げるにも限界がある。
ケルベロスとしては、これ以上なく有利な展開だ。
「かかって来なさいよ、シャイターン!」
囲う紫のカリムへ、ジェミは鍛えた肉体を見せ付けつつ呼びかける。
「ならば、見せてあげるわ。この紫のカリムの真の舞踏を……」
表情を一変させたカリムはケルベロスの囲いの中を軽やかに舞い始め、手にした妖精弓で矢を放ってくる。
鉄塊剣の刀身を叩きつけて敵の怒りを買い、カリムの攻撃の多くを受けていたのは佐久弥だ。
盾役も厚くカリムを逃がさない布陣と、万全の状態で戦いを進めようとするケルベロス達である。
……ただ、ケルベロス達が勝利を確信するのは、早すぎた。
ルチアナが降魔の拳に如意棒の突きと多彩な攻撃を見舞っていくが、大振りな攻撃はことごとくカリムにかわされてしまう。
紅いツインテールを舞わせ、しなやかな体で敵に攻撃を仕掛けていたジェミ。
「破壊のとおりがいいようだけれど……」
彼女はそう分析するものの、なかなか動きが速くて仕留めるとは行かない。
ならばと、アイリスが足止めの為にと流星の蹴りを繰り出す。カリムはこちらも非常に軽やかに、攻撃を避けてみせる。
それでいて、相手は幻惑の砂嵐でケルベロスを惑わして攻撃の手を止め、さらに的確に炎と矢を飛ばして命中させていく。
相手はさながら、カゴの中の鳥のようにも思える状況。
されど、ケルベロス達はなかなかカリムを仕留められず、攻撃を繰り返すこととなる。
長引く戦いに、矢面にさらされていた佐久弥が疲弊してしまって。
「炎彩使いの力、侮りすぎたわね」
「そ、そんな……」
広範囲を包む砂嵐を浴び、佐久弥は崩れ落ちてしまう。
そのカリムを庇っていたジェミの疲労もかなりのもの。
「効くもん……ですかぁっ!」
気合で耐えていたジェミは一喝して仲間を鼓舞していたが、防戦一方になってきていたこともあり、彼女もまたカリムの矢に射抜かれてしまい……。
「きゃぁぁっ!」
そのショックに、ジェミも気を失ってしまう。
「うーむ、ステップのタイミングなど、絶好の攻撃チャンスなのじゃがのう」
2人が倒れた状況にソルヴィンも小さく唸って見せたが、それでもジョークを飛ばして仲間を鼓舞してみせる。
そのジョークに、カリムは敢えて微笑んで見せて。
「さあ、次は誰かしら」
挑発を返してみせるカリムだが、いくら攻撃を避けるとはいえ、その身体には傷が着実に増えてきている。
ソルヴィンは敵の逃走も懸念し、ドアの近くから動かない。
もちろん、敵が壁破壊を行う危険も想定済みだ。
思った以上に苦戦を強いられる状況の中、ウィゼは攻性植物を蔓触手状にして捕えようとしている。
なにせ、カリムは回避力が高い敵だ。捕えるだけでもかなり手間取る状況となっている。
遅れて参戦の桃李も盾役として振る舞っており、差こそあれ疲弊してきているのは間違いない。
「これ以上、やらせちゃダメよ!」
その桃李はメンバーと連携し、カリムの足を止めようとする。
先ほど、着地のタイミングが隙という話があった。
桃李も攻撃したいのは山々だが、気力での回復の手を止めると一気に崩されてしまいかねない。
「はぁ、はぁっ……」
カリムの全身に傷が増え、所々から血が滴り落ちる。
「さぁて、悪戯の準備っと」
スウは相手の動きが鈍ったタイミングを突き、水晶形の「見えない機雷」を周囲にばら撒いて舌なめずりした。
タイミングを見て、スウが炸裂させる爆薬。爆炎と共に砕けた水晶の破片がカリムの体へと突き刺さる。
「……ここまでとはね」
これなら、2人がやられたのも仕方ないこと。
カリムはやむを得ずタールの翼を広げ、この場から飛び立とうとする。頭上の天井を破壊する気なのかもしれない。
「逃がさないのじゃ」
そいつへと飛びかかるウィゼ。しかし、敵はさらりとそれを避けてみせる。
だが、カリムとて、動きを止めている状況ではある。足止めは十分のはずだ。
「逃がさないといったよ言ったよ!」
アイリスはそう判断し、マインドリングより発した光の剣でカリムの体を切りつけた。
「うぅっ……!」
手ごたえがあったが、仕留めるには僅かに浅い。
だが、ルチアナが宙を舞っていて。
「これで……、フィニッシュよ!」
ドラゴンの炎を飛ばした彼女は、そのままカリムの体を蹴りつける。
「みん、な、すまない……わね……」
大きく燃え上がったカリムの体は燃え尽きてしまい、塵すら残らず消えてなくなったのだった。
●残る炎彩使いは……
なんとか紫のカリムを撃破した一行。
ルチアナは鎮魂歌を響かせ、見よう見まねでシャイターンの踊りを舞う。
「少しくらい慰めになるかしら?」
倒したカリムと、その犠牲となった人々が安らかな眠りにつくことを願うルチアナ。
カリムの炎をその内に秘めた如意棒を手にした彼女は、しばし戦場跡でステップを踏み、ターンをして見せていた。
「よっし、1人炎彩使いを撃破ね!」
ジェミはボロボロになりながらも、汗を拭って仲間達へと笑いかける。
彼女も佐久弥も倒れはしたが、布陣がしっかりしていたことで相手も攻めきれなかったのだろう。戦闘後にまで残る傷まで至らなかったのは幸いといったところか。
「この調子で行きましょ」
ジェミはそのまま、気力や発破をかけることで仲間の癒しに当たっていく。
「おっと、いかんのう」
ソルヴィンは時計を止めることを忘れていたようで、すでに10分をゆうに過ぎていた。
(「ちと、慢心しすぎたかのう……」)
順調に倒していたからこそ、勝利して当然と言った雰囲気になっていたのを、ウィゼはしばし反省していたようだ。
その間に、桃李は大会運営、会場管理者などに報告を行い、田原にも再度話しかける。
「これで少しは懲りてくれると――真当な未来を歩んでくれると、良いわね」
「…………」
今回のことは田原にはいい薬にはなったようだが。果たして、彼は心身共に立派なピアニストになれるだろうか。
一方で、スウは何かカリムがシャイターンの動向に関わりそうな痕跡が無いか調べる。
だが、それらしきものは得られず、彼は口元を吊り上げて両手を上げる。
「なーんか、嫌な予感するなぁ」
炎彩使いが減り、貴重な戦力が削られたシャイターンが黙っているとは思えない。スウはそう考えるのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年3月11日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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