フタバシリーズの異端児!? スチームワーカー登場!

作者:質種剰

●禿頭邂逅、みたび
 その日、大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)は、スーパーの買い物袋を両手に提げて都会の雑踏を歩いていた。
 悪の秘密結社の長であっても雑務を部下に任せきりにせず、たまには夕飯を自ら作って振る舞おうと思い立っての行動——というのは表向きの話。
 何の事はない、その実は、そろそろ蕎麦の手打ちに憧れて誰彼構わず振る舞いたくなるお年頃に差し掛かっているだけだった。
「フム……??」
 ふと、見覚えのない景色の道に迷い込んだ事に気づいて、立ち止まる領。
 蕎麦の薬味にワケギやアサツキはどうかと思案している間に、妙に閑散とした工事現場へ来てしまった。
 ——もしオリュンポスの団員に聞かれたら、『新たな社屋を建てる為の視察』とでも口から出まかせを言うかもしれないが、全く自覚のない行動である。
「はて、駅はどっちであったか……?」
 きょろきょろと領が辺りを見回していると、不意に鋭い啖呵が聞こえた。
「ダーッハッハッハ! 大首領よ、ここで会ったが百年目ェ!! オレ様のレンチのサビにしてくれるわッ!!!」
「何ッ!?」
(「……誰だっけ?」)
 領を襲撃したダモクレスは、力仕事で日に焼け尽くしたかの如き銅色の装甲の上に紺のビブオーバーオールを着込んだ巨体。
 安全第一の黄色いヘルメットは、まさか頭がツルツルなせいで滑ったんじゃなかろうが、少しズレている。
 ツルツルな頭。
 そう、かのフタバシリーズが1体、『スチームワーカー・フタバ』であった。
 粉塵から目を守るゴーグル、顔の半分を覆う黒い髭などは兄弟機と違いワイルドな印象だが、その禿げ頭だけはやっぱりフタバ独特の哀愁が漂っていた。

●至急
「皆さん、大変であります。大首領殿がスチームワーカー・フタバに襲われるとの予知をしたであります!」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)は焦っていた。
「急いで連絡を取ろうとしたのでありますが、もしかして交戦中なのか繋がらないであります……」
 それだけ、事態は切迫しているという事になる。
「もう一刻の猶予もありません。大首領殿がご無事なうちに、なんとか救援に向かってくださいませ!」
 深々と頭を下げるかけら。
「スチームワーカー・フタバは、右腕に接合した大型レンチを用いて『激烈締め付け』という攻撃を仕掛けてくるであります」
 近距離の敵単体を渾身の力で捻り切る斬撃で、頑健性に長け、その威力は相手の服を破いてしまう程だ。
「また、右肩に担いだ工具箱をぶん投げ、『カントク御乱心』を使う事もあります」
 こちらは複数人に命中する遠距離破壊攻撃で、工具箱からばら撒かれる様々な工具が相手の体温を奪い、命中すると凍傷を引き起こすのへ気をつけて欲しい。
「『コンビニ弁当』を食べて自らの怪我を治癒する事もありますから、どうぞご留意を」
 そこまで説明すると、かけらは再び頭を下げて頼み込んだ。
「どうか大首領殿をお救いして、スチームワーカー・フタバを撃破してくださいませ。宜しくお願い致します……!」


参加者
ゼルガディス・グレイヴォード(白馬師団平団員・e02880)
進藤・隆治(獄翼持つ黒機竜・e04573)
大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)
アンドロメダ・オリュンポス(オリュンポス元大幹部の戦闘員・e05110)
鈴木・犬太郎(超人・e05685)
白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)
オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)
蟹谷・アルタ(美少女ワイルド研究者・e44330)

■リプレイ


 人の気配が無い工事現場。
「ま、まさか……この蕎麦に釣られたとでもいうのか……!? 確かに、労働者に軽食は基本、敵ながら目の付け所は悪くない」
 大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)は、スチームワーカー・フタバの出現に驚きを隠せない様子でズレた推測をしている。
 悪の秘密結社オリュンポスの大首領にして世界征服を掲げる仮面男なレプリカント。
 威厳と迫力を兼ね備えた人物だが、度重なる見栄や知ったかぶりから色々誤解を招き、未だに本当の小市民的性格がバレずにいる。
 とはいえ、一般人並みの精神力しか持ち合わせていない為、戦いへ赴く際は内心ヒヤヒヤものらしい。
「だが、私はこれでも組織の長の端くれ、無様な真似は―……このスーパーの袋どうしよう!?」
 特に今は、まさか自分がデウスエクスから襲撃を受けるなどと思ってもみなかった故に、周章狼狽パニくっていた。
 すると、
「大首領様、こちらはお預かり致します」
 どこからともなく現れたカシオペアが、まるで何もなかったかの如く、領が提げていたスーパーの袋を華麗に掠めとる。流石は糟糠の妻である。
 どうやら領の事を常に見張——見守っていたらしい。流石はオリュンポスの前身組織からの付き合いである。
「スチームと名前にあるから、蒸気で動いているのだろうか……。気になる」
 さて、進藤・隆治(獄翼持つ黒機竜・e04573)は領の窮地へ急いで駆けつけたものの、スチームワーカー・フタバの動力源が意識を占めているようだ。
 かつては里の虐殺を単身生き延び、その際に左腕と翼が地獄化したという辛い過去を背負っていたドラゴニアンの男性。
 しかし、つい最近になって実の兄の生存が判明したという、天涯孤独を免れたガジェッティアである。
「だが、大首領氏が本気を出したら逆に大変だし、とりあえず……守ってあげようね」
 まさかに、本気を出せば地球を3回焦土と化してしまう——という領の大ボラを信じてはいないだろうが、敵から身を挺して彼を庇おうとする心意気は、オリュンポスの戦闘員達にも負けていない隆治。
「まずは蕎麦……ではなく、大首領氏を助けないとな。ほらほら、こっちだ!」
 ディフェンダーとしてスチームワーカーの攻撃目標になるべく、挑発の意思籠もりし衝撃波を放った。
「フタバシリーズは前のバージョンとも戦ったんだが、今回は異端児か」
 次いで、領へ加勢しようと剣の柄に手をかけるのは、鈴木・犬太郎(超人・e05685)。
 怪物に喰われた内臓だけでなく、復讐の怨念と決別する為に記憶までも地獄化したブレイズキャリバーの青年。
 ちなみに領の事は、忠誠心こそ抱いていないが信頼しているそうだ。
「しかしまたもやうちの旅団長が狙われているとはな」
 なればこそ、今も彼の危機を知るやすぐさま救援に現れて、
「まぁいつも世話になっているし、貸しを作るつもりで一肌脱いでやるか」
 振り下ろしたヒーロースレイヤーの刀身から魂を喰らう降魔の一撃を生み出し、スチームワーカーの硬い腹部へとぶち当てた。
「さてと……蕎麦——じゃなくて大首領様の一大事となれば、動かざるをえませんね~」
 白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)は、相変わらず何を考えているか判らない笑顔を浮かべて領の心配をした。
 果たして蕎麦の方が大事なのか、それとも一応は結社のボスたる領がやっぱり大事なのか、不安になる言い直しだが。
「なんとなく、新しいフタバシリーズが現れそうな気はしてたんですよね〜」
 ともあれ精神操作で鎖を伸ばし、日焼けして引き締まった胴体をギチギチと締め上げる明日香。
 猟犬縛鎖によって動きの鈍ったスチームワーカーは、とても攻撃を機敏に避けられそうになければ、自身でグラビティを狙い澄ますのも辛そうな様子だ。
 続いて。
「待っていてくださいね、蕎麦の材料と薬味たち! 今日の夕飯のお蕎麦は何としても助け出してみせます!」
 アンドロメダ・オリュンポス(オリュンポス元大幹部の戦闘員・e05110)が、ぜえはあと息を切らして走ってきた。
 悪の秘密結社オリュンポスの大幹部として権威を振るっていたのも今は昔。
 暗殺計画の露見により転落人生を突き進んでいる、そこそこドジで天然なメイドさんである。
「くっ、まさか我ら悪の秘密結社オリュンポスの夕飯を狙い、食料補給線を断つことで兵糧攻めを仕掛けてくるとは……さすがはあのスチームドクターの兄弟機、策士ですね!」
 蕎麦を取られそうになって大層悔しがるアンドロメダは、領のピンチなど心底どうでも良いらしく、
「蕎麦打ち職人さんは蕎麦のついでで助けましょう」
 もはや領を上司と敬ってもいない模様。
 しかして、蕎麦の無事を確保したい気持ちは誰よりも強い彼女。
「全武装装着、ファイア!」
 メイド服の上に装備したアームドフォートから主砲を一斉発射、スチームワーカーの巨体を爆炎に包んだ。
「……遅くなってごめん……ご飯、じゃなくて……無事か?」
 その後ろからは、ルデンも領の身を案じて急行してきた。
(「あってまだ、そんなに時間……経ってないけど、そんなの関係ないな」)
 心から領を助けたいと願うルデンの気持ちこそが、領が部下達から真に慕われている証かもしれない。
 一方。
「……ふむ、傘下の者がこれだけ集まるとは、大首領さんは慕われているのだな——食い気に負けたかどうかは別として」
 ゼルガディス・グレイヴォード(白馬師団平団員・e02880)は、秘密結社オリュンポスの面々が領を助けんと奮闘するのを見て、素直に感心していた。
 灰色の髪や黒い鱗、金の瞳がクールな竜派ドラゴニアンの青年。
 性格は変なところで心配性、また時々おかんっぽくもなったりする。
 料理好きで甘味も好きだが、本人は洋菓子を作るのが苦手で、一番得意なのは中華料理だそうな。
「我も微力ながら救出に尽力しよう」
 と、ゾディアックソードを構えてスチームワーカーへ突進するゼルガディス。
 雷の霊力帯びた刃先による神速の突きが、奴のオーバーオールごと太ももをズブリと刺し貫いた。
 他方。
「大首領殿が真っすぐもどらじゅわざわざ人目につかにゅ場所にきたのはなぜやと思うておりゅ」
「へっ、オレ様の知ったこっちゃねぇなぁ」
 オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)は、スチームワーカーに向かって自信満々に問いかけていた。
 黒い肌着の上から荘厳な着物を着崩して、着物に埋もれそうな儚さと妖しい色香を同時に振り撒く小柄な少女だ。
「貴様は大首領殿に踊らされ誘い出されたのじゃ」
「何だと……!?」
 機内での相談時から、妙に領の事を高く買っているオルファリア。
「普通に考えてもみよ。目的もなしに買い物袋を持ってこのような場所にくるはじゅも無かろう」
(「うっ……!」)
 サクッと辛辣な物言いで密かに本人へダメージを与えつつ、スチームワーカーを挑発。
 半透明の『御業』に炎弾を撃たせて、かなりの大火傷を負わせた。
 続いて。
「首領様、よくぞ奴を予定通りここまで誘き寄せて下さいました!」
 まるでオルファリアの挑発がさも真実であるかのように装って、蟹谷・アルタ(美少女ワイルド研究者・e44330)が走り寄ってきた。
 ケルベロスやデウスエクスに多大な興味と研究意欲を持つ元研究者ダモクレスで、ケルベロス相手には挨拶代わりに混沌の水を浴びせようとするのが特徴的。
 また、デウスエクスに対しては戦闘を通じてその能力を研究できないか試みている、危ない思考回路のワイルドブリンガーである。
「う、ウム、蟹谷か。何、私にかかればデウスエクスの1人や2人、意のままに掌の上で転がすなど容易い事よ!」
 アルタの称賛に対して、もはや息をするかの如き自然さで嘯くのが領の常だ。
「ボクも上司の危機とあらば勿論駆けつけるサ。決してフタバシリーズを一目見たりばらしたりしたいわけじゃないんだからネ!」
 果たして領の大嘘を信じているかはともかく、本音をぼろぼろ零しつつも何やら爆破スイッチのタイミングを計るアルタ。
 その時、
「フハハハハ! 我が名は秘密結社オリュンポスが大首領!!」
 オルタの後ろから堂々たる威厳をもって、ウリクセスが現れた。
「何ッ!?」
 領と見分けがつかぬ程にそっくりなウリクセスを見て、スチームワーカーが動揺する。
「其奴は、我が影武者よ! そう! お前を誘き寄せる為の餌に過ぎん!!」
 演技力に密かな定評のある本当の影武者は、領の外ヅラの真似をしてスチームワーカーへビシッと言い放つ。
「……だが、折角の余興だ! 私が相手をするまでもなく、お前を葬るにはその『影武者』風情で充分だろう!! 行け、我が部下達よ、世界征服の障害になりそうなダモクレスを、私の影武者と共にいたぶってやるが良い!」
 ばっと左手を前に突き出して、いかにも組織の首魁らしく部下達を嗾ける様は、本物の領より迫力があるぐらいだ。
 すぐさま、ウリクセスの傍らに控えていたガイバーン・テンペスト(洒脱・en0014)が進み出て、小型無人治療機の群れを操り前衛陣の守りを固める。
 ドォォォォン!!
 そして、アンドロメダや明日香、犬太郎が一斉にスチームワーカーへ飛びかかった瞬間、アルタは彼らとウリクセスの背後に色鮮やかな爆煙を起こした。
「ご苦労だったな、ウリクセス」
「義父上こそ」
 ブレイブマインが前衛陣の士気を否が応でも高める中、そのカラフルな煙は領とウリクセスがこっそり立ち位置を入れ替える役にも立っていた。


「へっ、ソイツが影武者だか本物かはどうだって良い! 全員殺しゃ同じだからな!」
 スチームワーカー・フタバは、苛立たしげに右腕のレンチを振り翳し、ゼルガディスの身体を挟み込もうとした。
「させるか!」
 すかさず犬太郎が2人の間に割り込んで、ゼルガディスの代わりに胴をギリギリと締めつけられた。
「フハハハ……どうやら影武者に踊らされ、我がオリュンポスの策にまんまと嵌ったようだな。……誰だか知らないが!」
 領は相変わらず口から出まかせを言ってその場をしのいでいる。
「……誰か知らないのに襲われているのか?」
 思わず隆治は領へツッコんだが、気を取り直して攻撃に移った。
「……やっぱり背中の排気機構が気になる。蒸気を出すのだろうか」
 味方が味方なら敵も敵だけに、黒哭縄を構えてもついつい気が散ってしまうようだ。
 それでも黒哭縄をヌンチャク状にして、例の巨大レンチへ斉天截拳撃を見舞ってヒビを入れる辺り流石である。
「神風正拳ストレート……相変わらずダセェ名前だ」
 獄炎と降魔力を纏った拳で、渾身の一撃を奴の頭部へぶちかますのは犬太郎。
「一撃だ、俺のたった一撃を全力で完璧にお前にブチ込む」
 彼の驚異的な洞察力や抜群の反射神経、天性の判断力をフル活用した殴打は、スチームワーカーのただでさえ寂しい頭をバッキバキに粉砕、さらに哀れな状態へと追い込んだ。
「き、貴様、よくもメットで隠していたオレ様の頭を!」
 黄色いメットの破片や頭部装甲やらをばら撒きながらスチームワーカーがカッカと怒る度に、背中の排気孔から白いスチームをシュッシュと吐き出している。
「ほう、そのスチーム機構は面白いネ」
 アルタは目を輝かせて感心しつつ、炎を纏ったエアシューズのローラーダッシュで峻烈な蹴りを放つ。
(「ドクターフタバとは是非改造論についてオイル片手に一度語り合いたがったが、こっちじゃ望むべくも無さそうだし、遠慮なく破壊しようカ」)
 グラインドファイアが見事にスチームワーカーの頭へ命中、ハゲ山に激しい山火事を起こした。
「ところでこいつら何故そろいもそろってツルツル頭なんでしょうね?」
 明日香は余計に明るくなった頭を見て、そんな感想を洩らす。
 同時に、ワイルドスペースから謎に満ちたブラックサンタのコスプレをした残霊を召喚。
 スチームワーカーを一方的にリア充と決めつけ、残霊と呼吸を合わせて猛爆撃を敢行した。
「願うは結氷…… 緩やかに侵蝕せよ」
 ゼルガディスは凍てつく魔力をゾディアックソードの刀身に纏わせ、スチームワーカーの胸を突き破る。
 さながら六出が花咲くように、奴が動けば動くほど刺痕からじわじわと凍結が広がっていった。
「蕎麦は儂らがもちかえりゅゆえ後は大首領殿が思う存分やりゅがよいぞ」
 いつの間にかカシオペアから買い物袋を回収して帰ろうとするのはオルファリア。
「これは行きがけの駄賃じゃ」
 と、半透明の『御業』にスチームワーカーを鷲掴みにさせるのも忘れない。
「現在は戦闘員ですが、これでも元は悪の秘密結社の大幹部」
 アンドロメダはかつての栄華を誇らしげに語るや、装着している火器管制システムのセーフティを解除する。
「大幹部としての実力、見せてあげましょう!」
 フルアーマータイプの鎧装騎兵装甲から、オーバーヒート覚悟の全武装一斉射撃をスチームワーカーへぶっ放した。
「策に嵌ったお前を哀れみ、少し遊んでやろう……?」
 そして、アンドロメダ以上に自信満々で宣言するのが領だった、
 十ニ神ノ蹂躙——実際の威力よりも無駄に過剰演出な遠隔爆破をウリクセスと息の合ったコンビネーションで起こし、スチームワーカーを爆砕。
 その上荒れ狂う雷轟電撃に蹂躙させて、遂に奴の息の根を止めた。
「フハハハ……遊ぶつもりが威力を出し過ぎたようだな!」
 領は、倒れたスチームワーカーを見下ろし、ステレオで高笑いするも、
(「あのレンチ……ちょっと勿体なかったかな……」)
 内心では庶民的に後悔していた。
「よかった、お蕎麦……と、ついでに蕎麦打ち職人さん、ご無事でしたね」
 アンドロメダがホッとして胸を撫で下ろしながらも、その目は『早く蕎麦打って下さい』と訴えている。
「フム、この蕎麦は、助力をして貰った者たちへの感謝……事前に用意した祝勝の蕎麦振る舞いという奴だ……」
 領は仮面の上から鉢巻を巻いて、いつのまにかカシオペアが準備していた打ち台を前に、水回しから始める。
「なんかおかずでも用意したほうがいいですかね?」
 せっせと立ち働くカシオペアを手伝って、笊や小鉢を皆へ配るのは明日香、
「天ぷらや山芋等の添え物の用意なら」
 ゼルガディスは女性陣に混じって工事現場でお膳立てをしてから、
「ふむ、中華麺とはまた違った打ち方で面白いものだな」
 和食好きな家主の影響か蕎麦打ちに興味津々、飽きずに領の手元を眺めていた。
 領はよく練って打ち粉を振った蕎麦玉を、器用に綿棒で延している。
「あ、ボクは薬味なしで頂くタイプ。あと芋天つけてネ」
 消えいくスチームワーカーの体を名残惜しそうに検めながら、アルタが注文する。
 秘密結社の戦闘員かどうかなど関係なく、総勢12人での楽しい手打ち蕎麦パーティーが、今始まろうとしていた。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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