ラプラスの魔

作者:雨乃香

 まだ雪の多く残る山中の森の中。手付かずの自然の多く残るその風景の中に、ポツンと存在する歪な真新しい建物が一軒。
 木々の合間に隠れるように存在するその近代的な見た目の建築物はそこらの一軒家などよりも大きく、よほど金がかけられているのがわかる。
 そんな建物の中でも一際大きな一室、実に敷地の半分を占める畳敷きの道場には、向かい合う二つの影があった。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
 そう口にしたのは手に巨大な鍵を持つ一人の少女。
 それに応えるように力強く踏み出すのは相対する一人の男。引き締まった体と端正な顔立ち、それに似合わない野暮ったい目がねと白衣。一見して何者なのか判断に困るその風貌。
 しかし彼の身のこなしは非常に素早く一切の無駄がない。
 最短距離を貫く男の掌底が少女の顎先を目掛けて放たれる。
 まともにもらえば確実に意識を刈り取られるであろう一撃、それを少女はなんなく避ける。間髪入れず男は紙一重で避けられたその腕で少女の肩をつかむと強引にその体を引き寄せ、投げ飛ばす。
「へぇ悪くはない」
 投げられた少女は、無理に抵抗せずふわりと自ら地を蹴り、わざと投げ飛ばされると足を壁へとつけ、その威力を殺しながら何事もなかったかのように、あっさりと着地する。
「けど、僕のモザイクを晴れさせることは出来なかった」
 少女の言葉など耳に届いていないのか、男は滑るような動きで少女との距離を詰め、一撃を放とうとしたところで、少女のその手に持った鍵で、胸元を貫かれた。

「算術、数字、単純明快ながらそれはは世界の真理すら解き明かす学問。それを極めると言うことは世界の全てを理解するのに等しい。昔は原子の全ての位置と運動量を知ることができるような知性が存在すれば、その存在は、演算により過去未来全てを見通すことができる、等と言われていたらしいですが。皆さんは本当にそんなことが可能だと思いますか?」
 やってきたケルベロス達にそう問いかけるニア・シャッテン(サキュバスのヘリオライダー・en0089)は、クスリと笑いながら首を傾げ、楽しげに手元の携帯端末を覗き込む。
「さすがにそれほどまでとは言いませんが、ありとあらゆる格闘技や武術、そういったものを数値化し解析する事で最強の武術家を目指していた男性が幻武極に襲撃されることがラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)さんの調査によって判明しました」
 なかなか面白い事を考える方がいるものですね? とニアは楽しげに笑いながら話を続ける。その視線は相変わらず手元の携帯端末に注がれている事から、彼女がいたくこの件について興味をひかれていることが伺える。
 そんな武術でも幻武極のモザイクが晴れる事はなく、その結果現れてしまったドリームイーターを倒して来てほしいという本題を伝えたニアは手早く目標の特徴について説明を始める。
「さてさて、問題になるこのドリームイーターは、元となった武術家さんの理想を体現しようとしているわけで、なかなかに厄介そうですよ。予測演算による攻撃の見切り、同様にそれを転じての隙をついた攻撃。加えて計算しつくされた、一切の無駄のない体捌き、派手な所は何一つなく、全うな体術の筈なのに酷く歪んで映る、こういうのってゾクゾクしますよねぇ?」
 心底楽しそうにニアはうっとりとした表情を浮かべ、説明もそっちのけで資料を読みふけっている。
「おっと、いけませんいけません、お仕事はちゃんとこなさないと、ですね。この武術を文字通り研究していた男性は、山奥の静かな森の中に居を構えてひたすらストイックに技の開発に打ち込んでいたようですね」
 おかげで周辺被害の心配はなさそうですし、存分に戦いを楽しんできてください、とニアはケルベロス達に期待の眼差しを向けて、さらに続ける。
「日本の武道や武術というのは、心や精神に重きをおく面がありますが、ニア的にはこういった明確に計算し、マニュアル化されたようなものにこそ機能美的な、魅力を感じますよ。サキュバス的には少々どうかとはおもいますが、個人的には愛情云々もドライにギブアンドテイクでいい気もしますがね?」


参加者
狗上・士浪(天狼・e01564)
霖道・悠(黒猫狂詩曲・e03089)
天原・俊輝(偽りの銀・e28879)
リチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)
ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)
根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)

■リプレイ


 木々の生い茂る山中の森の中。
 人里から離れたそこはひどく静かで、普段であれば誰も近づく事のないような場所だ。
 そんな滅多な事では人の踏み入らない森の中を歩いていく八人組の集団の姿があった。
「この辺りならァ、開けてるし、イイんじゃないかァ?」
 辺りを見回しながらそう言って立ち止まったのは霖道・悠(黒猫狂詩曲・e03089)であった。彼はやや間延びした特徴的な喋り方をしながら、傍らを飛ぶボクスドラゴン、ノアールの頭を撫で仲間達の方へ視線をやる。
「そうですね。ここからならあの建物もよく見える」
 悠の提案に同意しながら、天原・俊輝(偽りの銀・e28879)は視線を森の中の一点へと向ける。
 緑一色の中、身を隠すように聳え立つ、近代的な見た目をした建物。そこには、今回彼等ケルベロス達が倒すべき目標であるドリームイーターが存在している。
「人の趣味にとやかくいうつもりはねぇが、あのセンスは俺には理解しがたいぜ」
「稽古や機器類の騒音を考えるとしかたなかったのであろう。ただの趣味という可能性も否定はできぬが」
 俊輝の見やる建物にそう感想を呟くのは、狗上・士浪(天狼・e01564)とアルスフェイン・アグナタス(アケル・e32634)の二人だ。
 二人が建物へと向ける表情は対照的で、なんともうさんくさそうな物を見るように目を細める士浪と、微笑みを崩さないアルスフェイン。
 もしかすれば、アルスフェインの微笑みが絶えないのは、その腕の中に抱く溺愛するボクスドラゴン、メロのおかげであったかもしれないが。
「しかし今回の相手は非常に興味深いな。机上の空論じみた武術を使うんだろう?」
「ラプラスの悪魔、近代科学、古典物理学において、フランスの学者によって提唱された未来の決定性を論じる際に仮想された概念……既に古いものという見方が強いこれを利用した武術、らしいですが」
 愛用のヘッドフォンを下ろし、首へとかけたギルフォード・アドレウス(咎人・e21730)の言葉に、すぐに答えを返した根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)の手には、携帯端末が握られており、そこには今彼女が喋ったままの文章がのっている。
 それに興味をもったのか、彼女の手元の端末を覗き込むギルフォードとリチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)の二人。透子は二人に見やすいように画面を傾けつつ、彼女自信もゆっくりとその文字列を追う。
「うん、こういうのは良いですね。数値化や理論的体系を用い、無駄を極限まで省き、必要最小限の動きで最大の効力を発揮する。武術の追求する心技体の技という観点から見れば、ある種これも一つの到達点といえるのでは?」
 リチャードはしきりに頷きながら、これから相対する相手の武術をそう評して見せ、
「もしも本当に予知が可能であるとすれば、我々機械の領域まで越えた相手でございますか。なかなかに格好良さそうですね」
 リチャードと透子、二人の言葉に、ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)は楽しげにその頭に灯る炎を揺らし、ふと、気配を感じて視線をあげた。
 手合わせを求める彼等のそんな会話の内容に導かれたのか、そこには目標であるドリームイーターが音もなく現れていた。


 どの格闘技とも、武術とも違う、独特の構えを見せる、白衣を見に纏った男。
 目元を覆うモザイクのメガネ、それが、彼が倒すべきドリームイーターであるということを如実に語っている。
「そんなナリでも拳士、か……面白れぇ」
 体の側面を向けるように構える敵を目にした、士浪はそう呟き、口の端を吊り上げると一歩進み出る。
「よう、モザイク野郎。バケモン同士存分にやりあおうぜ」
 彼の挑発するような言葉に、しかしドリームイーターは一切の反応を見せない。構えをとったままピタリと動きを止めている。
「なぁ、自分が殺される確率の算出ってぇのはしねぇのか?」
 眉一つ動かさない敵に対し、ギルフォードもまたそう言葉を投げ掛けるものの、やはり敵は無言。
 彼は語るには拳で足りるとでも言いたげに、軽く開いて構えている拳を何度かぐっと握りこみ、誘うようにその視線をケルベロス達へと向ける。
 その態度に士浪とギルフォードの二人もすぐに挑発は無駄だと悟り、静かに自らの獲物に手をかける。
 互いににらみ合い、緊張感の高まる中、最初に仕掛けたのはリチャードだった。
 視線の先、敵の背後へとグラビティによる爆発を引き起こす、先制の一撃。完全なる奇襲。動作すらも伴わない合理的かつ、確実なその一撃はしかし、回避された。
 先程まで確かにその場に存在していた筈の敵の姿が眼前から消える。
 摺り足のように、体にブレのない最小限の動きからケルベロス達の方へと踏み込むドリームイーター。
 それを正面から迎え撃つのはギルフォード。
 両の手に構える刀を振るい、狙うは首筋。降り下ろす、右の一刀を囮に勢いのままに縦に体を回し同じ軌道を描く二撃目。
 見てからでは避ける事も受ける事も困難なその連撃は、しかし空を切る。
 まるでその攻撃が最初から来るのがわかって猪高のように、敵はギルフォードが踏み出した瞬間から大きく後退、その間合いに入る事を瞬時に拒否しやり過ごしていた。
「なるほど、そいつが自慢の予測演算ってやつか、けどよぉ、逃げてばかりじゃかてねぇぞ?」
 ギルフォードの声をやはり敵は無視し、周囲を警戒するように視線を巡らせる。その警戒を逆手に、ラーヴァと俊輝の二人が動く。
 ラーヴァの周囲に漂い始める、キラキラと輝く粒子は周囲の仲間達の感覚を鋭敏に研ぎ澄まし、俊輝の放った祝福の矢のカゴを悠が受けとる。
「にゃあ、お」
 猫の鳴き声と錯覚するような悠の呟き、それとともに鈴が鳴く。
 その音に吸い寄せられるように、木漏れ日の間を抜け、走り、集まる陰、翳、影。
 数多のそれらは、猫のごとき声を重ね、目の前の敵へとめがけ、地を這い、木々を伝い、四方八方から忍び寄る。
 ただならぬ気配を感じたのだろう、微かに構えを崩した敵は樹上へと跳躍し、影から逃れようとするものの、彼の移動しようとする方向にたくさんのの小石や、鋭い枝が穂先を揃え、待ち構えていた。
 それは俊輝の背後、ぼぅと浮かび上がるビハインド、美雨の操る天然の弾丸だ。
 退くことも、進むことも封じられた彼をめがけ、影と弾丸が一斉に襲いかかる。
 一匹や二匹、三発や四発。攻撃を避け、やり過ごす事が出来たところで、その圧倒的な物量の前には彼自慢の予測も役にはたたない。
「予測や計算が出来たところで、全方位からの攻撃を避ける術はないでしょう。人は人らしく確率になどたよらず、百パーセント避けられない攻撃を、戦い方をするだけです」
「そういうわけで、だ」
「こちらは準備万端です」
 俊輝の言葉の後を継ぐように、次々と口を開く、アルスフェインと透子。
 アルスフェインの援護を受け、ゆらゆらと揺らめく幻影を纏うラーヴァに、透子の刀から魂の力を譲り受ける士浪。
 ケルベロス達は瞬く間に攻めの基盤を組み上げる。
「それじゃ、まぁ、派手にいこうぜ」
 武器を砲撃形態へと変化させた士浪の言葉通り、派手な轟音が辺りへと響き渡る。


 ケルベロス達のとった作戦により、戦場の流れは一気に傾いたかのように見えた。
 攻撃を予測し、予知ができたところで物理的に避ける事のできない攻撃を前にドリームイーターは苦戦を強いられていた。
 人間同士、かつ、一対一であれば、あるいは彼はどんな攻撃であろうと捌ききれたかもしれない。だが、連携をとるケルベロス達を前に彼の戦い方は否定された。
 しかし、ドリームイーターの側もそれで終わるような事はない。
 ケルベロス達の意図を読み取った彼は、避ける事を重視せず、いかに受ける損傷を減らし、逆に相手へと与える損害を最大化する闘い方へとシフトしていく。
 互いに攻めを重視した、激しい攻撃の応酬が繰り広げられ始める。
 回復を任されたメロが忙しなく戦場を飛び交い、
「色鮮やかに、芽吹くように」
 俊輝の言葉とともに来る、癒しの雨がケルベロス達を支えるものの、それらの回復すらもねじ伏せんとばかりにドリームイーターは猛攻を仕掛ける。
 敵はアルスフェインの繰り出す炎を纏う蹴りの一撃に左手を掲げ、白衣に炎が点るのも構わず前へ。次いで透子の繰り出した斬撃を右の掌で掴みとると、至近距離から地の震えるような踏み込み、繰り出される肩と肘を起点とされる体当たり。
 見た目の軽さと裏腹に一切の無駄のないその一撃は透子の胸元と鳩尾を強打し軽々と吹き飛ばす。
 内蔵を揺さぶる強烈な一撃に、声をあげる事すら許されない彼女に、すぐさま俊輝とメロが回復の手を回し、それを邪魔させぬように、ギルフォードとリチャードが敵へと攻撃を仕掛ける。
 無数に刻まれた敵の傷跡を狙い放つ、ギルフォードの斬撃に、リチャードの繰り出す力を込めた高速の一閃。奇襲ぎみに頭上から攻めるギルフォードと真正面から隙無く仕掛けるリチャードの連携に対し、ドリームイーターは避ける事を瞬時に諦め、あえてその手をギルフォードの首元へと伸ばす。
 ダメージを受けるのであれば、それと同等かそれ以上のダメージを返せばいい。計算に基づく彼に残された勝ち筋はそんなダメージレースしか残されていない。
「実に合理的。そのロジック、記録して有効活用させていただきましょう」
 伸ばされた手を射抜く、上空から降る火矢。ラーヴァの放ったそれは滝の如く降り注ぎ、敵の手足、体へと降り注ぎ、その動きを阻害する。
 怯む敵の前に繰り出されるギルフォードとリチャードの攻撃に敵の肩口から脇腹、脇腹から横一文字、それぞれの攻撃の軌跡が刻まれ、モザイクがぶわりと溢れ出す。
 それでも尚、腕を伸ばそうとするドリームイーター、
「ノア」
 その体を、悠の声を受けてノアールが弾き飛ばす。
 大きく吹き飛ばされたドリームイーターはこの戦いにおいて、初めて膝をつく。
「たしかに興味深い、珍しい武術だな」
「つっても、計算出来たところで一般人が生身で銃弾は避けられねぇみてぇに、集団戦じゃあ限界があるってわけだ」
 包囲を狭め、敵の退路を塞ぐように立つアルスフェインと士浪。
 そこへ、傷の癒えた透子も加わる。
「あなたの計算が今どんな結果を導きだしているのか、それはわかりませんが、あなたはその結果に縛られるだけなのですか? それは、とてもつまらない事だと思うのです」
 透子の言葉に、ゆらりと立ち上がったドリームイーターは頑なに閉ざしていた口を開き、一呼吸。
「喝!!」
 気合いとともに、構えをとりなおす。
 寸分たがわぬ独特の構え。元となった男性と同じく、自らの武術こそ最適であり最強と自負するそのドリームイーターはそのスタイルだけは決して崩すことはない。
「数多の達人との戦いの中得られた合理性と、ビッグデータから得た合理性、どちらが上か決着を、つけましょうか」
 その姿を前に、リチャードは普段の自分の戦闘スタイルをあえて封印し、敵と同じ土俵に立ち、その優劣を証明して見せようと構えをとる。
 もはや攻撃に応じて返すダメージレースにおいてドリームイーターの側に勝機はない、故に彼は先手をとって仕掛ける。
 滑るような歩法により、音もなく移動し攻撃を繰り出すドリームイーター。
 繰り出される拳の一撃は吸い込まれるようにリチャードの動きに合わせ変化し、避ける事はできない。脇腹を抉る強烈な一撃。
 しかしその攻撃がなんの抵抗もなく当たったことに誰よりも驚いていたのはそれを繰り出したドリームイーターの方だった。たしかに、もっとも命中する確率の高いコースに放った一撃であったが、あまりにもブレが無さすぎた。
「咲き花は露と消え、恵む光を空へ残す――これから紡ぐは花の歌。揺れし可憐を謳い詠う」
 一対一の戦いであれば、その一撃で形成は大きく傾くほどに、食らってはいけない、思い一撃であったが、事この戦場においては話は別だ。アルスフェインの差し伸べた掌から舞う花弁が音に運ばれ、光を放ちリチャードの傷を癒す。
 自身の損害をある程度無視した上で、相手を間合いへと捉え、リチャードはその両腕を掴み爆破させる。
 多対一の戦闘において、数の差を利用する以上に合理的な解などありはしない。
「お願い劫火、力を貸して……! 灰燼焔薙!」
 透子の振るう刀が敵の片足を奪い、翻る刀がその胸元を貫く。
 モザイクがより集まり、そのその形を保とうとする間に、
「最初っから単純な計算だったな、八と一じゃどっちが強いか、なんてのはなぁ?」
 皮肉を口にしつつ士浪が迫っていた。
 次に来る攻撃をわかっていながらも、ドリームイーターに打つ手はない。
「穿て……!」
 一呼吸おいて、士浪はその拳へと集めた気を敵の胴体へと遠慮無く叩き込む。万が一の回避すら許さない、急所を狙わず、確実に当てるための一撃。
 積み重ねた仲間達の攻撃があればこそ、その狙いでも威力は事足りる。
 吹き飛ぶドリームイーターの体はモザイクへと霧散し、跡形もなく消え去った。


 戦場となった森の中、おおかたの修復作業を終えたケルベロス達は一息をついていた。
「数学的統計による合理的というのも相手してみれば面白いものでしたが、なかなか思うようにはいかないものですねやはり」
 念入りに治療を受けるリチャードがそう呟きながら、先の戦いを思い返していると、
「なんなら、本人に会いにいってェみるかァ?」
 ふっと悠がそんな提案を投げ掛ける。
 その言葉に対し、次々に回りからは声が上がる。
「被害者の方と建物も心配ですしね」
「それはよい案でございますね。機械の身として計算を取り込んだ戦術というのは興味があります」
 そういって同意する透子とラーヴァに続き、
「たしかに、計算通りの動きをできるという研鑽を積んだ達人の技は気になりますね」
 眼鏡をかけ直した俊輝もまた賛同するように頷くと、ケルベロス達の意見はまとまりを見せた。
「それじゃいってみるか」
 言葉とともにアルスフェインが歩きだし、その後に続いて、ギルフォードと士浪も連なり、八人のケルベロス達は不可思議な外観の建物を目指して雑談を交えて歩いていく。
 帰りのヘリオン内部でその武術家の話題が再び白熱することになるのはまだ少し先の話だ。

作者:雨乃香 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。