急戦寄せて王手をかけよ

作者:六堂ぱるな

●情熱には偽りなし
 将棋がアツい、と思ったのは小学生の時だ。最年少で誰それがタイトルをとったと聞いた時から、将棋で一番の何かになろうと思った。
 それから何やかんやあって早20年、思えば長い道のりだった。
「へえ、道場。得物は何なんだい?」
 振り返ると、勝ち気そうな少女が看板を眺めている。
 これは早速弟子をゲットか。逸る気持ちを押し隠して十・享は胸を張った。
「将棋の駒だ」
「将棋? あの、盤面に並べてやるやつ?」
「ああ。俺は駒を使った武術の開祖となり、初の道場を構えたところだ」
「へえ。それじゃ」
 楽しげに笑った少女の瞳が底光りした――ように見えた。
「お前の最高の武術を見せてみな!」
 その瞬間、享の意識は霞にかかった。操られるように駒を取り出し、少女へ技の全てを繰り出し叩きつける。薄笑いを浮かべた少女はそのことごとくを流さず受けとめた。
「ふうん。僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術もまあ悪くなかったよ」
 彼女が幻武極、モザイクを抱えるドリームイーターであるなど、享に知る由もない。
 腹を鍵が貫き、何が起きているのか分からないまま彼は倒れて意識を失った。

「こうして見ると、これはこれで面白いか」
 享の傍らに出現した着流しのドリームイーターの技は、彼の理想を体現している。
 指から弾かれた駒は建物の壁を穿ち、駒を指の間に挟んだ拳撃で建物は倒壊した。ついでに放った衝撃波でばらばらの粉々に分解される。
「行ってきな。お前の武術を見せてやるんだ」
「そうしよう」
 頷いた青年は門をくぐり、石段を下り始めた。幾つもの坂道を下った先には人々が暮らす港町がある。夢食いの武術を披露されれば、全てが砕けてしまうことだろう。

●まさに一角
 沈痛な面持ちで佇むセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)であるが、チャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)も顎を撫でて言葉を探したぐらい困っていた。
 いくら昨今将棋ブームだとはいえ。まさかねって思って警戒を促したらホントにいた。
「そんなわけで、ドリームイーターが町に下りるまでに撃破して頂けないでしょうか。幸いここは港町で、武術家の方がいた高台から町までは時間がかかります」
「それは好都合ですね。町までに迎撃できそうなポイントはありますか?」
「はい。こちらに空き地が」
 セリカが示したのは高台から町までの九十九折りの坂道の途中だった。
 広さもあるので一戦構えるにはよさそうだ。となると残る問題は敵の技だが。
「緊迫感を持ちにくいとは思いますが、単体攻撃に絞った技ばかりで油断は禁物です」
 駒を弾く指弾はトラウマを招き、駒を指の間に挟んでの拳撃はこちらの攻撃力を削ぎ、駒の形をした衝撃波は催眠効果があるらしい。対策を練らねば厄介なラインナップだ。
「あと、被害者の方は道場……元は無人の廃屋だったんですが、その前で倒れています。ドリームイーターを撃破すれば意識が戻ると思いますよ」
 被害者のやってることも違法占拠だが、弟子からの月謝を支払いに充てるつもりだったようだ。とはいえ建物は木端微塵、道場主計画は見直さざるを得ないだろう。
「概要は以上です。もしお急ぎの用事がなければ、対応して頂けませんか」
「ええ、確認してみましょう」
 ポケットからシガレットケースを取り出しながらチャールストンは頷いた。
 まずは一服。それから考えよう。


参加者
アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)
千手・明子(火焔の天稟・e02471)
チャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)
ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)
一羽・歌彼方(黄金の吶喊士・e24556)
イズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083)
唯織・雅(告死天使・e25132)
之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)

■リプレイ

●偽らざる心情
 時折風に乗って桜の花びらが舞う中、空き地で待機する一羽・歌彼方(黄金の吶喊士・e24556)はきょとんとした顔で仲間を振り返った。
「えーと、私は将棋、特に詳しくないんですけども。これは、ええ、……マジですか?」
「将棋を、使った……格闘技、ですか……将棋。何か……関係、あるのでしょうか?」
 ミニサイズの雌ライオンにしか見えない姿に鷲の翼をもつ相棒、セクメトを伴った唯織・雅(告死天使・e25132)が応えて首を傾げると、之武良・しおん(太子流降魔拳士・e41147)がきりりとした顔で考えこむ。
「飛礫術の礫種に将棋の駒ですか。合理的とは言い難いですが……もしかしてケルベロスに目覚めるための手段の一環としての武道、が流行ってきているのでしょうか」
 考えるに、恐らくどことも関係はない。多分流行でもないがマジだから問題なのだ。
 一般人が付近へ迷いこまないよう殺気を放ち、ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)はこの事件を予測した件の人物に話しかける。
「俺は将棋よりチェスが好きなのだがな。まあ、チャーリーさんが困ってるんだ。知らない仲じゃないからきっちりとお手伝いしますよ」
「助かりますよ。なんかもう武術の定義を考えてたら混乱してきちゃって」
 照れ笑いを浮かべているのは羽織袴と和装のチャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)だ。髪についた寝癖が誰かを想わせる。飄々と笑う彼の側に佇むイズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083)が、幼くすら見える貌を困ったようにしかめた。
「んー、将棋の駒を使う武術ってめずらしいよね。でもそんな風に扱ったら将棋の神様に見放されちゃうんじゃないかな? 将棋は駒も大切だけどその戦い方も大切だと思うよ」
「まとめると、ちょっとお説教が必要よね」
 頷いて微笑む千手・明子(火焔の天稟・e02471)が傍らの長身の男を見上げる。黙っていれば落ちついて見えるが心は少年、アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)がずいと坂道のほうを向き、笑みを浮かべた。
「十の救助。そして打倒、将棋駒武術といこう」
 折しも青年が坂を下ってきたところだった。デウスエクスもケルベロスも一目みれば互いにわかる。ドリームイーターは眉をはねあげ、自ら空き地へやってきた。
「ケルベロスか。わたしが来ることを知っていたな」
 予知のとおり、ケルベロス相手に力を誇示したいのだろう。アジサイに並ぶように前へ出たチャールストンがふっと微笑む。
「ドリームイーター? 強いよね。攻めに特化したそのスタイル、隙がないと思うよ。だけどアタシたち負けませんよ。え~、ケルびぇっ」
 セリフ噛んだ。
 一同沈黙。ドリームイーターが律儀に待っているので、チャールストンも気を取り直して何もなかったように見栄を切る。
「ケルベロスたち全員が躍動する戦いをアナタに見せますよっ」
「……面白い。見せてもらおう」
 いささか疲れたように構えをとるドリームイーターへ歌彼方も告げた。
「それでは一勝負、お願いしましょう――いきます、全身全霊で!」

●一気呵成
 被害者の十・享は幾つか武術をかじったのだろう。ドリームイーターの構えは空手のようでありながら足運びや姿勢は拳法じみている。
「来い。貴様の敵は、この俺だ」
 進み出て胸を張り、アジサイが告げる。この『存在意義』を受け流せるものはいない。夢食いも不敵な笑みを浮かべると、真正面から打ちかかった。
「よし、くらえ!」
 唸る拳には駒が握りこまれている。重い一撃をアジサイが受けとめると同時、明子とイズナが挟撃を仕掛けた。
「フフフ……高飛車はお任せなさい!」
「えへへ、一番槍はわたし――緋の花開く。光の蝶!」
 香車の役目を自認するイズナが弾むような声で手のひらをそっと開く。
 と、幻想的に舞う光の蝶が解き放たれた。緋色の蝶たちが視界を覆い、足の止まった夢食いに吸いつくように明子が迫る。拳の駒を叩き落としざま、斬撃は鮮やかに敵を袈裟掛けに斬り裂いた。
「まぁ、何はともあれ。参りました、と言わせてやりましょうっ!」
 黒いボディに黄金一枚羽のペイントを施したギターを構えて、歌彼方も気合を入れる。
「勝利へ向けて、此方の有利へ手を進めます!」
 爪弾き歌う、立ち止まらず戦い続ける者達の歌が仲間を奮起させた。
「1対8とは駒落ち戦のようですが、ま、どんな対局でも全力で負かしにいく。それが我々の『哲学』です」
 飄々と語るチャールストンが目にもとまらぬ抜き撃ちを放つ――途端、肩に撃ちこまれたのが鉄製の将棋駒と気づいた夢食いが喚いた。
「おまえもこれを投げるのか!?」
「新手を試しているだけですよ」
「控えおろう。この方をどなたと心得る。将棋の神様にあらせられるぞ。神は貴様にたいそうお怒りだ」
「ああ?!」
「まずは桂馬の化身が貴様の相手だ」
 ゼフトの言葉に夢食いが銅鑼声を返したが、委細気にせずシャーマンズカードをセットアップ。輝いたカードが騎士のエネルギー体を召喚した。騎士が槍を携え激突する。途端にばきばきと音をたてて氷が体表を蝕み、その間にセクメトが鷲の翼をはためかせて仲間の傷を塞ぎ邪気を祓った。
「射線……確認。構造弱点、破壊します」
 雅の声に振り返るより早く、夢食いの脇腹をバスターライフルの光弾が貫く。
 血を撒いてたたらを踏む一瞬を見定めたしおんは、首が折れかねない蹴撃を食らわせた。回復手段のない彼の自由を奪い、追い詰める術は自分にかかっている。
「舞えよ黄金、弾けよ颶風。さぁ、守りも固めていきましょう!」
 背の一枚羽を輝かせながら歌彼方は仲間を守るための力を解き放った。形成された盾の力場が仲間を守りダメージを癒す。体勢を立て直した夢食いは、先ほどのやりとりが勘に障ったのかゼフトに渾身の衝撃波を放った。
「おっと、裏方に攻撃を加えるのはご法度だ」
 尚も挑発する彼へ向かった衝撃波はアジサイに防がれる。素早く虚の足を引いて放たれた裏拳を避けたイズナが槍を携え、はばたいて空を疾った。
「香車は端っこにいてはじめは活躍し難いけど、成ったら金にもなれるし、ちゃんと使ったら強いんだからね。『雀刺し』とか有名じゃないかな」
「知らん!」
 すれ違いざまの一瞬、超神速の刺突を食らった夢食いが吼える。

 時折チャールストンも回復を担いながらの戦いも十分余。回復手段を持たないドリームイーターの限界が見え始めた。
「そろそろ終盤だよね。一点突破して一気に詰めちゃうよ!」
 まさに神速、稲妻をまとうイズナの槍の穂先が夢食いの胸にしたたか突き立つ。苦悶する夢食いの隙を飛車たる明子がついた。愛刀・白鷺の刃が正確に傷を捉えてより深く抉る。
「き、貴様ら!!」
「最後は飛車……いや、成った龍の化身が裁きを与える」
 悠然と笑うゼフトに召喚された黄金の融合竜がドリームイーターへ真っ直ぐに疾り、直撃した。歯を食いしばった夢食いが反撃の拳を繰り出す。
「うらああああ!」
 血を滴らせながら無残な傷をを引き受けたのは、ゼフトの前に立ち塞がった雅だ。
「誇れる名では、ありませんが……告死天使は。そう、簡単に……墜ちません」
「おのれ!」
 忌々しげに罵るドリームイーターを見つめ続けていたしおんが呟いた。
「概ね読み切れた、と思います。支援をお願いできますか?」
「了解だ」
 多くを問わず、アジサイの構えたバスターライフルの砲口が輝き、撃ち出された弾が夢食いの体を直撃した。勢いで数メートルも押し戻す一方、光弾は敵を蝕み弱らせる。
「セクメト。そちら……お任せ、します」
 唸るような声を返したセクメトが尻尾を振った。リングが宙を疾って夢食いに突き立ち、充分に狙いをつけた雅のライフル弾が背骨の横を撃ち抜く。
「ぐっ?!」
 全ては布石。その一手を名づけるならば『原始棒銀』。一瞬で間合いを詰めたしおんのグラビティ・チェインは、楔となって青年の胸を穿ち貫いた。
「がああああああっ?!」
 思いがけない大ダメージを受けた夢食いが身を捩り絶叫した。
「トドメは将棋の神様にまかせるね」
 笑顔のイズナが飛び出した。一瞬で間合いの内へ入ると螺旋をこめた拳で触れる。内側から弾けるような痛みに表情を歪めた夢食いが拳を固めたが、ひらりと躱したイズナは素早く後退した。チャールストンの唇から呟きが漏れる。
「世界は舞台。神々は観客。生者は演者。人生は花道」
 体内のグラビティ・チェインが凝縮し、弾丸を形成する。目の前のドリームイーターは苛立ったようにしおんへ向き直ろうとしては、アジサイの挑発で気を散らされていた。
「アナタは登場する。見る。歩む。そして今……『退場』する」
 指弾はもはや誰をも捉えることができていない。一人の武術家の理想をなしたとは言え、積み重ねられた麻痺や封じ込めで回避もままならなくなっている。
「千手の剣を見るがいい……!」
 懐へ飛び込んだ明子が奥義を放つ。陽炎之太刀――回避を許さぬ千変万化の斬撃は深々と刀傷を刻みつけ、よろけた一瞬に歌彼方がはばたいて突進した。
「此処で言う台詞は知ってますよ――」
 凛とした笑みを浮かべた彼女の稲妻のような刺突が敵の左胸に突き立つ。
「王手!」
「ぐおあっ……!」
 がくりと膝をついた夢食いに、チャールストンは悠然と歩み寄った。狙いは、彼の額。
「詰みの基本は頭金……ですからね」
 夢食いが己を嘲るような笑みを浮かべる。
 たった一発響いた銃声の途切れぬうちに、夢食いは倒れ伏し跡形もなく消えていった。

●全力アフターフォロー
「目がさめた?」
 明るくイズナに話しかけられた享は目をぱちぱちさせた。自分がデウスエクスに襲われたのだと聞いて息をついた彼に、雅がおっとりと口を開く。
「道場が、欲しいのは……分かりますが。不法占拠は、駄目だと……思います。罰金。結構……厳しい、みたいですし。お弟子さん、集まるとは……限りませんし……」
「うっ!」
 痛いところを突かれたらしい享が情けない顔でのけぞった。
「まずは武術か暗器術の道場に入って道場経営のノウハウを学んでいらっしゃい。そこで仲間を作ってからは暖簾を分けてもらうもよし、道場破りで箔をつけるもよしです」
 雅に次いでしおんに具体的かつ丁寧に指導され、ばつが悪そうな顔になる。
「仲間がいれば場所を提供してもらうことだってできたはずです。単独で何かを成すことの難しさは、あなたの年齢ならば既に知っているはずですよ」
「あの、でも生活かかってるっていうか」
「そういうのは、取らぬ狸の皮算用と。言うのでは……ないでしょうか。ほら。将棋の、神様も……お怒りですよ?」
 雅に促されて振り返った享が見たのは、ゼフトが喚んだエネルギー体でめっちゃ光輝くチャールストンだった。
「わっ、かみさま……っぽい」
「ぽいではなく、神様ですよ。さ、お話を拝聴しましょ」
「まぁ皆が色々言ってる通りで。将棋の駒は将棋に使うのが一番ですよ」
 チャールストンからお言葉を賜った途端に、はーありがたやありがたやって手を擦り合わせて拝んでいた明子が振り返る。
「聞きましたか? 将棋の神様のおっしゃることを信じなさい」
「……そうですよね、地球にはいろんな神様が来てるし、将棋の神様だっていますよね。でも賃料後で払う予定だったっていうか」
「やっぱり不法占拠はダメですよ」
「そうだぞ。全くだ」
「うん、違法占拠はダメだよ。駒を粗末に扱ったりするのもよくないよね」
「うむ、そういうところだぞ。神様が悲しまれる」
 仲間の治療をしながらの歌彼方のダメ押しにアジサイの重々しい頷き、イズナのツッコミに次いで更にアジサイに見据えられ、享がどんどん縮こまる。
「駒は……やっぱり将棋ジャンルで強さを追求したかったので」
 あれを将棋ジャンルと言い張るか。めまいを覚えた明子は踏みとどまった。
「神様に失礼ですよ、駒を武器にするなんて。信心すれば不毛の大地に命が芽生えるのよ」
 説教しつつアジサイの頭にかつらを乗せる。乗せられたアジサイも真顔で頭をぷるぷるして言った。
「不毛の地にカミが降りたのです……」
「はあ……」
 言葉に詰まる享が煮え切らないので、やむなくしおんが最終手段を行使した。
「では、道場破りに来ました。私が勝ったら看板は持っていきます」
「えっあっ看板でしたらもう。どうぞ」
「では頂きます」
 秒で看板を差し出したものの肩を落とした享に、チャールストンが口を添える。
「将棋の駒で物理的に戦うより、普通に将棋を指して戦う方が今は敬意を得られますよ」
 自信を持って保証しますよと言っても享はごにょごにょ口ごもっているので、もう一押ししてみた。
「そしてたぶん……棋士の方が儲かる」
「神様……!」
「大丈夫! 神様嘘つかない!」
 胡散臭いほど朗らかな笑顔によるダメ押しで、ぱあっと享の表情が輝いた。
「も、もう二度としません! ルール覚えてないけど将棋で勝てるように頑張ります!!」
 覚えてないのか。だから武術にしちゃったのか。心中ツッコミが止まらないケルベロスたちだったが、しないって言うしなんかもういいや。
「じゃあこの建物もヒールしてしまいますね」
 歌彼方が木端微塵になった廃屋を一瞬で修復すると、享が目をぱちぱちさせた。
「あれっ。あ、そうか」
「よし、もうここに用はあるまい。町まで一緒に行こう」
「アッハイ」
「大丈夫ですよ、神様を崇めればルールもすぐ覚えられますから」
「将棋の手は何が好き? わたし、ちょっとなら手とか教えられるよ!」
「えっマジで?」
 かつらをファッサァさせるアジサイと笑顔の明子に挟まれた享にイズナが明るく話しかける。黙って話を聞き終えたゼフトは、煙草に火をつけるチャールストンに耳打ちした。
「オチはついたみたいだな」
「いやあ、平和が一番ですねえ」
 笑うチャールストンに、雅がセクメトを撫でながら首肯する。迷惑そうな顔ながら尻尾をぴょこぴょこさせるところをみると、セクメトも悪い気はしていないようで。
 来た時より一人増えた一行は、坂道を賑やかに下っていった。

 ケルベロスたちにとっては笑い話のような力も、人々には脅威のひとつ。
 居所の知れぬ幻武極の次なる動きは、まだわからないまままのだった。

作者:六堂ぱるな 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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