憧れのくノ一

作者:雨乃香

 習い事の帰りだろうか、街灯の点々と灯る人気のない夜道を歩いていく、金髪に碧眼の一人の少女がいた。
「うー! 何で誰もわかってくれないのデスカ!」
 片言でそう口にするする少女はぷんぷんと可愛らしく怒りながら道端の雪をさくさくと踏みしめて進む。
 彼女の大きな独り言から察するに、先程まで友達となにか話でもしていたのだろう。
「最も強いのはくノ一ナノニ!」
 続くその言葉に混じる、日常生活はでは聞くことのないくノ一という言葉。
 大方、子供らしく最も強いヒーローはなにか、といった類いの話でもしていたのだろう。そうして少女は強くくノ一を推したものの、誰にも理解されなかったといった所か。
「男の子なんかいろかで惑わシテ、忍術でズバッと倒しちゃうくノ一が絶対一番のはずデス!」
 歩いても歩いても少女のその怒りは収まるところを知らないらしく、両手で手裏剣を飛ばす真似などをしながら、明るい道から、やや薄暗い公園に踏みいってなお、彼女の独り言は続く。
「ウーン、ワタシにもう少しアレバ……」
 そういって彼女が見つめるのは、子供らしくまだ薄いその胸元。そこが成長すればくノ一として実践して見せるとでも言いたげにぺたぺたとそこを触りながら、少女は大きなため息を吐いた。
「そいつが最強だと思うんなら、試してみるのもいいんじゃないのか?」
「え?」
 突如かけられた声に少女が振り向いた時には、視界は暗転し、意識は消えてなくなっていた。

「くノ一、いわゆる女性の忍者ですが空想の世界では少々特殊な立ち位置を確保する存在ですよね。有名なところでいえば、いわゆるお色気の術、とか」
 ニアにもピッタリな術ですよね? と、スカートから覗く尾を揺らしながら薄い胸を寄せてあげようとするニア・シャッテン(サキュバスのヘリオライダー・en0089)は軽くウインクをしながらケルベロス達に語りかける。
「忍者のカテゴリーでありながら全く別の側面を持つなかなか面白い存在ですが、そのくノ一に興味を持ち空想を働かせていた少女が幻武極に襲撃される事が予知されました」
 幸い今回の襲撃で幻武極のモザイクが晴れる事はなかったが、代わりに少女の空想から生まれたドリームイーターを暴れさせようとしているらしい。その旨をケルベロス達に伝えたニアは早速事件現場周辺ついて説明を始めた。
「少女が襲われたのは習い事の帰り道、人気のない公園で、周囲に民家もなく、周辺被害についてはあまり考えなくてよいでしょう」
 帰り道の近道だったんでしょうね、とニアは周辺地図を眺め言葉を漏らしながら自分の目にしていたそれをケルベロス達にも送信する。
「さて問題のドリームイーターについてですが、武術のくくりとしては忍術になるのでしょうかね? ただ少女の想像するくノ一ということもあって、ニア達に馴染み深い螺旋とはかけ離れたものだと予想されます」
 特に、房中術にはお気をつけくださいね? とニアはニヤニヤと笑いながら続け、席を立つ。
「とはいえ、まぁ、ニアを見慣れている皆さんならたかだか子供の想像から生まれたドリームイーターの色香なんかには惑わされないとわかっていますけどね? なんにしても、相手は一応は忍者ですから、奇策にはお気を付けて」


参加者
レイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)
霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)
佐久田・煉三(直情径行・e26915)
シンシア・ミオゾティス(空の弓・e29708)
リンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)
病院坂・伽藍(隠された秘密・e43345)
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)

■リプレイ


 春も近くなった二月の夜の空気は未だ冷たく、街灯の少ない公園にわざわざ出向こうというものは少ない。
 そんな場所にわざわざ用があるの者というのは、何かしら事情のあるもの達だけだろう。例えば彼らのように、とあるドリームイーター出現の報を受けてやってきたケルベロス達のように。
「場所はここでいいんだよね?」
「その筈だね。こんな所にずっといたら風邪ひいちゃうし、はやく見つけてあげないと」
 何かを探すように霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)と今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)の二人は言葉を交わしながら周囲に気を配りながそんな夜の公園の中を歩いていた。
「お、多分あれだよな」
 そんな二人の後ろからひょっこりと顔を出したレイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)が指し示すのは公園の中央にぽつんと横たわる一人の少女。
「よかった、はやく移動させてあげないと」
 心配そうに唇を食んでいたシンシア・ミオゾティス(空の弓・e29708)が安堵に表情をゆるめ、少女へと駆け寄ろうとしたその瞬間。公園の暗闇に微かな銀色の閃光が瞬き、それはシンシアの首筋を目掛け背後から襲いかかる。
「くぁ! そうはいかないのオチね~」
 ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)のどこか間の抜けたそんな声とともに上がる甲高い金属音。
 彼の手によって弾かれた短刀の持ち主は、それを引き戻しながら距離をとると、ぼんやりと闇から浮かび上がるようにその姿を表す。
「Оhーこれを防ぐとはなかなかやりますネー」
 カタコトでそう口にするのは、露出の多いボディースーツを身に纏った、金色の髪を揺らすくノ一であった。


「おいでなすったな」
「あれが、今回の目標か」
 その姿を視認した病院坂・伽藍(隠された秘密・e43345)は直ぐ様戦闘体勢を整えると、仲間達を背に守るように前に立つ。その後ろで佐久田・煉三(直情径行・e26915)は瓶を目線の高さにまであげ、それをくノ一の方に向けながら確認するように小さくささやく。
「まずはこの子の安全確保、よね」
 ちらりとノ一の方に視線をやったリンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)はそう言いながら倒れていた少女を抱き抱えると、敵を仲間達へとまかせその場から一時離脱する。
「んー、奇襲失敗ですか。なんともままなりませんネー」
 言葉と裏腹にくノ一の顔に落胆の色は無く、むしろ表情には余裕の色すら浮かんでいる。彼女の視線の動きから察するに、恐らくは、目の前に現れた八人のケルベロスの内その半数が男であると言う事に自らの力を遺憾なく発揮できる事を確認したからだろう。
 くノ一のそのまま組んだ腕で自らの豊かな胸元を何気なく、持ち上げて見せると、伽藍にレイ、ヒナタの視線は一瞬だけそちらに向いてしまう。
 見るな、という方が無理な話だ。
 モザイクがぴったりと張り付きボディラインをくっきりと強調するくノ一の胸元は、彼女の腕の動きに会わせて潰れ、揺れる様を、まざまざと晒しているのだ。
 惑わされる事はないにしても、その姿は否応なく同性である女性ケルベロス達の視線までもを集めてしまうのだから。
「所詮は子供の考えたくのいちと侮っていましたっすが」
「あぁ、少しばかり舐めていたようだ」
「ふ、二人ともそれどころじゃないよ!」
 生唾を飲み込む伽藍とレイに慌ててシンシアが釘を刺すものの、二人の視線がくノ一から外れることはない。
「ふっふー、ワタシのイロカからは誰も逃れられまセーン!」
 くノ一は大きな胸を反らし、シンシアの胸をみやると、軽く鼻で笑って見せる。
「あ、あー! う、ウチだっていろかで負けてへんし!」
 くノ一の挑発にシンシアは思わず素の口調を漏らしつ、服の胸元をはだけようとする。それを慌ててシャーマンゴーストのマー君が止めにはいり、彼女はふーふーと鼻息を荒くする。
「イロカってよくわからないけど、ボクは油断したりしないよ!」
 くノ一を中心に謎のヒートアップを見せるケルベロス達を尻目に、日和がくノ一に先制攻撃を仕掛ける。
「呪われし子よ、見えざる鎖で戒めてみせましょう」
 彼女の背後、光輝く後光がbaの梵字を形作り、光線となって敵の体を撃つ。
 すかさずそれに会わせてレイが銃を抜き打つ。相変わらず表情はだらしなく緩んでこそいるもののその狙いは正確で、くノ一の手にしていた短刀をその手から弾き飛ばす。
「そこですわっ!」
 敵の手から武器が放たれたその瞬間を逃さず、ちさが鋭い蹴りをくノ一へと見舞う。短刀を弾き飛ばされ、やや体勢を崩していたくノ一はそれでもなんとか腕をつかってなんとかその一撃をガードし、被害を最小限に押し止める。
「なかなかやるようデスネー」
 痺れる腕を軽く振りながら、まだまだ余裕を見せるくノ一。
「ですが、最強のくノ一には、かないませんヨー?」
 呟きと共に彼女は、背後から奇襲を仕掛けていた伽藍へと一瞬で向き直ったかと思うと、その手を取り、胸を押し付けるように抱き締めながら、耳をあまがみしその耳元で囁く。
「ねぇ、ワタシとアソビませんカ?」
 瞬間、伽藍の首がカクンと落ちる。再びその顔が上げられた時、彼の顔はだらしなく緩んでいた。
 一目見て彼がくノ一に篭絡されたのがわかる。
「く、なんてうらやま――いや卑劣な手だ!」
「くぁ! 漢、赤ペンそんなクノイチの色気なんかに、絶対負けたりなんかしない!」
 声をあげるレイの脇を抜け、クノイチへと迫るヒナタ、そのいく手を阻むように立ち塞がる伽藍。
 ヒナタが一瞬攻撃を躊躇った間に、伽藍の蹴りの一撃がヒナタの体を吹き飛ばす。その攻撃に加減は一切ない。
「まずはヒトリデスネー? 二体六、以前数的不利は変わりませんがぁ、あと三人引き込めば、五体三で、ワタシの方が圧倒的有利デスネー?」
 くノ一はヒナタを迎撃した伽藍に褒美を与えるかのように、後ろから抱きすくめその頬を撫でながらが、背中から胸を押し当てる。
「それはどうかなー?」
 密着する二人を引き離すかのように、そこへ割って入ったのは倒れていた少女を安全な場所にまでつれていき、ちょうど現場へと戻ってきたリンスレットであった。
 腕に翼を羽ばたかせ、一瞬で距離をつめると当時、その手により集めたブラックスライムを槍のように形成し、くノ一の脇腹を貫く。衝撃に伽藍の元から引き剥がされるくノ一の体。彼女が慌てて再び伽藍の手を取ろうと近づこうとすると、その進路を塞ぐように煉三が弾丸をばら蒔いてその足を止めさせる。
「お二人ともナイスですわ!」
 仲間達の連携によって解放された伽藍へとちさが駆け寄ると、彼女はどこかから取り出したコンビニのおにぎりを伽藍の口へと無理矢理詰め込む。
「伽藍さんこれを食べてもうちょっとがんばりましょう! ふぁいとですの!」
 すると、伽藍の焦点のあっていなかった目に直ぐ様が光が戻り、
「!? も、申し訳ないっすよ、いや、どうにも抗いがたい魔力が……」
 意識の戻った彼がそう謝罪するのも束の間、
「言ってる場合じゃないよ!」
 彼らの足元から競り上がった地面が槍のようにとがった穂先を向け襲いかかった。とっさの事に回避できず、ケルベロス達の大半がその攻撃に巻き込まれ、ダメージを受けてしまう。
「見た目に反して全うな術も使うのだな」
「当然デスヨー。そのように、見た目で侮られるのもくノ一の戦術の一つデース」
 煉三の言葉に彼女はクスリと笑いながら、どこからともなく取り出した新たな短刀を手に身を低く屈める。
「アナタ達にはくノ一が最強であるという実証のためのギセイになってモライマース。悪く思わないでクダサイ」
 妖艶な笑みを浮かべそういったくノ一の体がフッと闇へと紛れる。
 長い夜はまだ幕を開けたばかりだった。


 夜の公園に響く剣戟の音。
 ケルベロス達は思いの外、くノ一相手に苦戦をしていた。
 主な要因は、くノ一の色仕掛けにまんまと掛かっている数人の男性陣であったが、それを差し引いても、くノ一い自信の戦闘能力も侮れない。
「マー君よーく狙って!」
「エクレア援護をお願いしますわね」
 ウイングキャットのエクレアの援護を受け、前に出るちさ、その攻撃をシャーマンゴーストのマー君が援護すべく、先生の一撃を仕掛ける。その攻撃に、くノ一が怯んだ隙を狙い、ちさが攻撃を放つものの、くノ一は難なくその攻撃を回避する。
 ケルベロスもくノ一もどちらもやや防御よりの戦闘スタイルをとっている事もあり、戦いはやや長引いているようだった。
 ちさの攻撃を避けたくノ一は互いの距離がつまったのを良いことに、彼女に毒を仕込むべく、その体をとらえようと手を伸ばす。
「そうはさせないのオチね!」
 とっさに仲間へと伸ばされた手を振り払い、間に割ってはいるヒナタ。それを確認したくノ一はにへらっと、楽しげに緩んだ笑みを浮かべ。
「仲間思いは美しいですがー、少々無謀にすぎマスヨ?」
 言うが早いか、ヒナタの首元に腕を回し、くノ一はその体を引き寄せると、その胸元に、彼の顔を深く埋めさせる。
「あぁ! ヒナタさんまで!」
 シンシアの口から悲痛な叫びをあげた頃には、あっさりと術にかかったヒナタはふらふらと頼りない足取りとなってくノ一の駒とかしていた。
「先程から煉三さんも何度か攻撃を受けていますが、なんで平気なんですの?」
 ヒナタのお陰でなんとか難を逃れたちさは、申し訳ないと思いつつも、ヒナタのだらしなく緩んだ顔を見ると、真顔になって煉三へとそう問いかける。
「好みじゃない」
「そりゃしかたないっすねぇ」
 シンプルな彼の答えに、伽藍は薄く笑みを浮かべ、シンシアとちさの二人は頭を抱える。対策を立てて来たとはいえ本人達に抵抗する意思がなければその意味もなかろうというものだ。
「とにかく、油断しないように真っ正面から殴り倒せばいいんだよね」
「ん、そういうこと、だな」
 年齢的にまだくノ一の扱う術に対しての知識が足りないのか、あるいは単純に拳士としてその戦い方が気にくわないのか、日和は普段と変わらぬ様子で立ち回り、煉三もまた、瓶から解き放ったオウガメタルの瓶詰め達と共に、積極的に攻撃を仕掛けていく。
「ここ、ガラ空きだよ!」
 自らの色香が武器として通用しない日和の相手はくノ一も苦手なのか、隙をつかれ指先の一撃により気の流れを断たれると、あっさりと足を止める。
 そこに迫る煉三の振り上げる、鋼鉄の拳の一撃。
 その威力に、忍装束の一部が吹き飛び、ただでさえ露出の多い服装がさらに際どくなる。
「名残惜しいが、このチャンスを逃すわけにもいかねぇよな! ファントムいくぞ!」
 つい先程まで、うっかり敵の術中にはまっていたレイはシンシアにそれを解除してもらい、戦況を把握すると、今しかないとばかりに、ライドキャリバーの相棒、ファントムと共にくノ一へと攻撃を仕掛ける。
 ファントムが先陣をきって飛び込み、立ち上がったばかりの敵を目掛け、車体を横滑りにして接近、土煙をあげ、体当たりの一撃を仕掛ける。
「この程度デ!」
 裂帛の気合いと共に、短刀でその突撃を受け流すくノ一。しかし本命はレイの放った高濃度のエネルギー弾だ。ファントムの巻き起こした粉塵に紛れ直進したそれにくノ一が気づいたのは、直撃の寸前。
 とっさに防御のために突き出したその腕の前、それは五つの別々の弾頭へと別れ、くノ一の四肢を撃ち抜く。
 だがくノ一はそれで倒れなかった。すんでのところで踏みとどまった彼女は、せめて一矢報いるべく、自らの糧を探そうとして、目の前に立つその存在に気づいた。
「キスとか色気で誘惑もいいけどさぁ」
 くノ一の眼前、リンスレットは彼女の腰に手を回し、逃れられなくすると、そのまま息も触れあう距離で囁く。
「やっぱキスだけで倒しちゃうのもくノ一っぽいよねぇ……♪」
 リンスレットがそういい終えるのと同時、彼女とくノ一の唇が重なる。そのままリンスレットの舌がくノ一の唇を割りいって口内へと侵入する。それを迎え撃つように、くノ一もまた舌を伸ばし、互いの舌が絡み合う。
 舌を介してリンスレットが濃縮した快楽エネルギーを送り混み、くノ一の方は毒を送り込む。互いに唾液を交換するかのように二人の舌が蠢き、卑猥な水音に、熱い吐息が混ざり始める。
 互いに相手を逃がさないようにキツく抱き合い、深く舌を絡ませる。
「わ、わわっ、すっご……」
 真っ赤にした顔を両手で覆いながら、しっかりとその指先の間からその光景を眺めるシンシアは食い入るようにその光景を見つめ、
「こ、こんな見てていいんですの? 攻撃とかしたほうがいいのではなくて?」
 目の前で繰り広げられる痴態にあたふたと慌てるちさも、口ではそう言いながらも視線は二人から外す事はない。
「くぁ、今はただ、リンスレットさんを信じるのオチね」
 そうして、制するように手をかざし、そう口にするヒナタもまた二人をただじっと見つめている。
 深く唇を重ね続ける二人は、身をよじり、足を絡め、ぎゅっと強く抱き合って、お互いの胸を擦り会わせる。
 両者ともに真剣であるからこそ、その淫らな様がより一層色濃く浮かび上がる。
 互いに腰に回していた手は気づけば頭や背中を撫で、少しでも優位に立とうとするように、お尻や太股にまで延びて、体をまさぐる。
 長い長い攻防の果て、先に音を上げたのはくノ一の方だった。
「ふっ、ぁ……あ、んぅ……はっ、はぁ……くっ、ふ……や、やりますネ、これがサキュバスの力というわけデスカ……」
 腰砕けになったくノ一は唇を離すと、そのまま膝から崩れ落ちて弱々しく言葉を漏らす。
「えへへ、貴女もなかなか上手、だったよぅ。私には敵わなかったけどねぇ」
 リンスレットの方も、体に回る毒にふらふらとよろめき、呂律の怪しいしゃべり方をしつつも、口の端に残る唾液をなめとり、そんな強がりをいうだけの余裕はまだ残っているらしい。
「今回は素直に負けを認めましょう……しかし、次のチャンスがあればサキュバスくノ一として蘇り、ワタシはくノ一こそが最強である事を必ず証明して見せまショウ」
 喋る間にもくノ一の体はモザイクへと解けて、虚空へと消えていく。そうして最後までその台詞をいい終えた時にはその場に彼女のいた痕跡はきれいさっぱりなくなっていた。
「ところで、あれは武術だったのかな?」
 ふと、そんな疑問を口にした日和の言葉に、答えを返せるものもまたその場にはいなかった。

作者:雨乃香 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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