重罪人の末路

作者:雪見進


 ここは関東地方のとある中継都市の交差点。人通りの多いこの交差点に突如、巨躯の男性が現れた!
「イライラするぜ……」
 3メートル近くもある巨躯を揺らしながら、軽く首を回す。同時に『ゴキッゴキッ』と首の骨が鳴る音が響く。
「な……なんだっ」
 目の前に突如現れた巨躯に、反応出来ずに立ち尽くす男性。一瞬壁で現れたかと思ったようだが、見上げると不機嫌な顔の人間らしきモノ。それがエインヘリアルだと気付く前に、その男性は消滅した。
「やっぱり、多すぎるんだよなぁ!」
 目の前のエインヘリアルは叫ぶように大声を上げる。
「キャァ!!」
「助けて!」
 叫び声と同時に、地獄絵図と化す交差点。エインヘリアルは蛇の尾のような武器を振り回し、手当たり次第に虐殺を開始したのだった。


「エインヘリアルによる、恐ろしい虐殺事件が予知されました」
 少し震えながら説明をしているのはチヒロ。彼女はヴァルキュリア。エインヘリアルとは浅く無い縁がある。
「このエインヘリアルは、過去にアスガルドで機嫌が悪くなると、敵味方関係無く虐殺を行った凶悪犯罪者らしいです」
 チヒロが知っている訳ではないが、その暴力的なエインヘリアルの姿に、激しい恐怖を感じているのは間違い無い。
「このまま放置すれば、多くの人の命が奪われてしまいます」
 しかし、今ならその虐殺が止められる事を思い出して、ぎゅっと手を握って、説明を続ける。
「急いで現場に向かって、このエインヘリアル……仮称・ヴァイパーを撃破して下さい」
 このエインヘリアルにヴァイパーという仮称を付けチヒロは細かい説明に移るのだった。

「ヴァイパーは3メートル程の長身です」
 その手には、蛇の尾を思わせるような剣を手にして、手当たり次第に虐殺を行う様子だ。
「普通のデウスエクスならケルベロスが現れれば、そちらに襲いかかると思いますが……」
 今までのデウスエクス同様、豊富なグラビティチェインを求めてケルベロスに襲いかかると思われるのだが、その異常な性格故にチヒロは判断に迷っている様子だ。
「万が一に備えて、可能な範囲で周囲の避難誘導に手を貸して下さい」
 油断出来ない相手だが、その上で周囲の人に気を配るお願いをするチヒロ。本当に万が一に備えてだろう。
「皆さんなら何とかしてくれると信じています。皆さんよろしくお願いします」
 そう言って、後を託すチヒロだった。

「凶悪な犯罪者でござるか……」
 何かを思い出すような素振りをしながら、準備をするウィリアム。
「今回は人手があった方が良いでござるからな」
 静かに呟きならがら出発するのだった。


参加者
ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)
ルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512)
千手・明子(火焔の天稟・e02471)
ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)
アベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735)
氷鏡・緋桜(矛盾を背負う緋き悪魔・e18103)
尖・舞香(尖斗竜・e22446)
鹿目・万里子(迷いの白鹿・e36557)

■リプレイ


 ここは関東地方のとある中継都市の交差点。そこへケルベロスたちが向かっていた。
「……相も変わらずデウスエクスは一般人を狙ってくるな」
 ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)が陰鬱の表情のまま、気怠げな声を響かせる。
 今回出現するデウスエクスの場所は交差点の真ん中。そこで一般人を虐殺する予知があったのだ。
「……機嫌次第で攻撃対象を広げてくるのは厄介ですわ」
 鹿目・万里子(迷いの白鹿・e36557)が真剣に呟く。今回の討伐対象であるエインヘリアルは気分しだいで相手構わず殺戮を行った重罪人。それが、何故か地球に解き放たれたのだ。このままでは、無関係な一般人に狂刃を振り下ろすだろう。
「尚更油断する訳にはいかないな」
 ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)も同意するように呟く。
「それを阻止するのが我々の仕事ではあるのだが」
 万里子の言葉に低い声で答えるディディエ。
 そんな相手であっても、別の感情を抱く者もいる。
「例えどんなクズ野郎でも命は命。多くを助ける為とは言え、出来れば殺したくないな」
 そう呟くのは氷鏡・緋桜(矛盾を背負う緋き悪魔・e18103)。彼が目指す強さとは、『誰も殺させない、殺さない為』だからだ。
「生き方をどうとも言わない。俺とて守りたいだけの勝手なのだから」
 そんな緋桜の考えを否定も肯定もしないのはルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512)。
 だが、デウスエクス相手ではそうも言えない現実がある。
「敵が異常だろうが、正常だろうが、わたくし達のやるべきことはただ一つ」
 千手・明子(火焔の天稟・e02471)は元気良く言い切る。緋桜のように救いたいと想う人もいるが、出来る事と出来ない事がある。
「では、文字通りの盾になりにいきましょう」
 尖・舞香(尖斗竜・e22446)の声と共に、ケルベロスたちは現場へ向かうのだった。


 ケルベロスたちがデウスエクス出現地点に到着すると同時に、交差点の中央に予知通り、巨躯の男性が現れた!
「イライラするぜ……」
 3メートル近くもある巨躯を揺らしながら、軽く首を回す。同時に『ゴキッゴキッ』と首の骨が鳴る音が響く。
「デウスエクスが現れました! 皆さん、避難して下さい!」
 巨躯……ヴァイパーに対して、すぐにケルベロスの声が響く。
「皆さんはケルベロスが必ず守ります。ここは任せて避難を!」
「敵は我々が必ず食い止める、焦らず安全な場所へ避難を!」
 ルビークとアベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735)の声が交差点に響き渡る。
「皆、こちらへ避難するでござる!」
 さらに避難誘導に当たるウィリアム・シュバリエ(ドラゴニアンの刀剣士・en0007)の声も響く。
「に、逃げろ!」
「助けて!」
 悲鳴を上げながらも逃げ出す一般市民たち。しかし、中には恐怖で動けない者もいる。そんな者にはウィリアムが手を貸しながら、避難を始めていた。

 そんな避難する市民を守るようにヴァイパーの前に立つのはビーツー。
「命の多さが不服と見える……」
「ああ、そうだ。命が多すぎる。だから、俺が減らしてやろうってんだよ!」
「そんなこと、許されないことだ!」
 ヴァイパーの言葉に答えるビーツー。彼の不機嫌の原因は多すぎる『命』なのだろうか。その命には、動物も人間もエインヘリアルも含まれている様子。
(「例えどんなクズ野郎でも……」)
 緋桜は心の中で覚悟を繰り返す。少しの会話からでも分かるほど、ヴァイパーの性格は異常だった。異常に強すぎる破壊衝動を理性が抑える様子が全く見られないのだ。
「お前には2つ聞きたい事がある。一つ、金色の鎧を纏ったエインヘリアルの居場所を知っているか? 二つ、武器を捨て投降する気は無……」
 質問をする緋桜に対して、言葉を遮るように、攻撃を仕掛けてくるヴァイパー。
「こ……このパワー!?」
 そこへ割り込み、刀で受け止める舞香。重い一撃を受け、後ろに押し出される。
「イライラさせるなぁ! 答える訳ねぇだろぉ!」
「それなら、俺たちはお前を殺してでも止めなくちゃならない!」
 本気で返答と投降を期待していた訳ではないだろう。しかし、緋桜としては言わずにはいられなかったのだ。

 そんな問答の間にも避難は進んでいく。
「早く逃げるでござる」
 ウィリアムは、腰が抜けて動けなくなった人を抱えながら、大きな声を出し、避難を呼びかける。
「お久しぶりです。まずは避難誘導ですね。手分けして頑張りましょう」
「まずは、一般人の安全確保が最優先だ」
 そんな混乱する現場に駆けつけ、救いの手を差し出してくれたのは、大原・大地(チビデブゴニアン・e12427)と神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)。
「久しぶりでござるな。二人とも頼むでござる」
 挨拶を返しながらも、恐怖で動けぬ人を励まし、抱え、背負いながら避難を進めていくウィリアム。
「……本当に機嫌だけで動く方は人もデウスエクスも扱いに困りますわ、もう!」
 戦闘に支障の無い範囲で避難誘導に手を貸してくれる万里子。
 他の者たちも、ヴァイパーからの視線を塞いだりと、可能な範囲で避難しやすく行動してくれている。
「全力でお相手させていただこうか」
 冷静にヴァイパーを観察しながらビーツーが言い放つ。
 本格的な戦いの始まりだ!


(「犯罪者が解放される事件が続くな。……厄介払いだけの理由ではなさそうだが」)
 冷静な判断をしながら周囲にも気を配るルビーク。さらに、逃げ遅れている人々に被害を出さないように、注意しながら大きく跳躍する。
 その動きに合わせ緋桜も高く飛び上がる。
(「俺はデウスエクスを殺したい訳じゃない」)
 二人の跳躍の軌跡が交差すると同時に、空に虹が描かれ凄まじい蹴がヴァイパーを貫く。
「……イライラするぜ」
 緋桜とルビークのファナティックレインボウを受けたのに、微動だにせず、ただ怒りの視線を二人に向ける。無論、ダメージが無い訳ではないだろうが、その様子を一切見せないヴァイパー。
「……火力には自信が有るのでな」
 日本刀・緋喰成光を構えるディディエ。その剣先が炎の弧を描くと同時に、鋭い斬撃が放たれる。
「……失せろ」
 気怠けで低い声を響かせるディディエ。
「貴様の態度、イライラさせる!」
 二人の攻撃に重ねてディディエも攻撃を繰り出すも、変わらず揺るがぬヴァイパー。
「尽力いたします!」
 仲間を鼓舞するように声を上げる。万里子。その声をスタートにステップを踏みながら交差点を舞台に舞い踊る。その舞踊の軌跡にエーデルワイスの花が咲き乱れていく。
「これだけ竜がいるのだ」
 そう言いながらケルベロスチェインを放つビーツー。それがエーデルワイスの花を飾りながら魔法陣を描く。
「蛇など蹴散らかしてくれよう!」
 今回の仲間はサポートも含め6人ものドラゴニアンが集まっている。
 さらにビーツーのボクスドラゴン・ボクスがアイコンタクトで動く。白橙色の炎を身に纏いブレスを放つ。
 さらに万里子のビハインド・チノアがヴァイパーの動きを阻害するように背後に出現し、攻撃を繰り出す。
 そんな連携攻撃を受けても動揺する様子も狼狽える様子も見せないヴァイパー。
「……イライラするぜ」
 口癖なのだろうか、同じ言葉を繰り返しながらも、武器を振り回す。その動きは緩慢に見えるが、規則性が無くデタラメ。しかし、その斬撃は衝撃波を生み、ケルベロスたちへ襲いかかる。
「自慢の刀で防御します」
 衝撃波を刀で受け流し、そのまま跳躍する。
「斬り捨て御免!」
 大きく跳躍し、背中に太陽の光を背負いながらの急降下蹴り。その軌跡に虹が光る。
「……これ以上、イライラさせるんじゃねぇ!」
 何度も蹴りを受け、怒りが蓄積されていくヴァイパー。
「なるほど、毒蛇の如き剣でヴァイパーか……」
 アベルが呟く。ヴァイパーという名前はヘリオライダーのチヒロが付けた名前だが、その仮名は納得出来るもののようだ。
「さて、生き残るのは蛇か竜か……」
「あぁぁぁ! 何言ってんだぁ! イライラさせるなぁ!」
 叫ぶヴァイパーを無視し、双刃の大鎌に『虚』の力を込めるアベル。
 S字形状の大鎌を巧みに操りながら、ヴァイパーの斬撃を打ち流し、そのまま『虚』の力を斬撃に込め、ヴァイパーを切り裂く。
「さあ、こちらを見て。狩る者と狩られる者、たった今、立場は逆転しました。よそ見をして戦えるようなわたくし達ではないわよ」
 品は良いけど、朗らかな声でヴァイパーの注目を引く明子。
「何言ってんだぁ!」
 ヴァイパーにとって一般市民もケルベロスも狩る対象として違いは無い。
「うるせぇ!」
 朗らかな声が不愉快なのか、剣を振り上げるヴァイパー。そこへ割り込むように流星の力を帯びた跳躍と共に蹴り込む明子。
「テメェら、馬鹿の一つ覚えみたいに蹴りやがって!」
 形は違えど、四回も蹴りを受け、さらに不機嫌になるヴァイパー。それがケルベロスたちの狙いである。
 元々不機嫌であったが、さらに怒りを募らせたヴァイパー。怒髪天を突くとでも表現すべきだろうか。しかし、そんな怒りに震えながらも、その蛇のような視線で、ケルベロスたちの喉笛に噛み突こうと、殺意の視線を向け続ける。
(「フム、では、もっとイライラさせてあげますよ」)
 そんな様子に舞香は心の中で呟く。
「もう一度聞く。武器を捨て投降する気は無いか?」
 ヴァイパーにダメージは見えないものの、ケルベロス達の連携に乱れは無く優勢。だから、緋桜はもう一度聞く。
「ある訳ねぇだろ、イライラさせるなぁ!」
 返答は同様だった……。


 その後もケルベロスたちは連携を乱す事無く戦いは続いた。
「我等、大いなる力を求む者……」
 ビーツーの声と共にボクスドラゴン・ボクスが動く。ビーツーを中心に自身とボクスの炎が沸き起こり撒き散らされ、その炎が鈍く臙脂色の魔法陣を描き、鳳凰の加護を仲間たちへ与える。
 鳳凰の加護を受けた舞香の鋭い尻尾が炎のように輝きを放つ。
「貫く!」
 炎の尻尾を地面に突き刺すと、ヴァイパーの足元から現れ、足を貫く。
「うぜぇ!」
 足が貫かれ、移動が困難になっているはずなのに、殺気の衰えを感じさせないヴァイパー。
「渦巻く風よ。閉じこめよ!」
 さらに攻撃を重ねる万里子。チノアのグラビティチェインを元にしたエネルギーの矢を放つと、その矢が蒼い毛並みの狼となり、つむじ風を生みヴァイパーの動きを遮る。
「邪魔するなぁ!」
 そんな拘束を解こうと暴れるヴァイパー。
「吹き荒れる風よ、祖なる姿となれ!」
 しかし、その前に蒼い毛並みの狼が一陣の疾風となり、ヴァイパーを貫く。
「いい加減くたばれぇ!」
 ケルベロスたちの攻撃で、ダメージは蓄積しているはずのヴァイパーだが、そんな様子を全く見せずに、斬撃を繰り出す。
「これでみんなを守る!」
 その衝撃波に割り込むのは大地。持っている盾を横長に伸ばして前衛を守る。
「助太刀させてもらおう」
 後衛の二人に癒しの矢を放ちながら、戦闘に加わる晟。どうやら、避難は無事に終わったようだ。
「避難は終わったでござる。後は敵を撃つ事に専念を!」
 日本の刀を操り、空間毎切り裂く斬撃を放ちながら、戦闘に合流するウィリアム。
「避難誘導を任せてすまない」
 合流したウィリアムたちに礼を言うルビーク。
「役割分担でござる」
 笑みを浮かべるウィリアム。
「うぜえ笑み、浮かべてんな!」
 そこへヴァウパーの攻撃が放たれる。しかし、それを受け耐えたのはルビーク。
(「……防具がなかったら危なかった。だが!」)
「お前は独り。生きるも死ぬも」
 ヴァイパーの攻撃を受けても堪え立ち、ヴァイパーを注視するルビーク。その瞳は醜く冷えた銀の瞳。相反して左腕が地獄の炎で燃え盛る。
「退く気は無い!」
 ヴァイパーを見つめた銀の瞳のまま、覚悟と強い意志を込めた言葉を放つルビーク。それが、仲間たちの背中を押す。
 その言葉を背に、静かに息を吸い込む緋桜。
「警告はしたぞ……」
 静かに言い放つと同時に拳を握る。そこにダークエネルギーが集まっていく。
 そのままヴァイパーの剣撃をかわして、みぞおちに拳を叩き込む。
「グフゥゥ!」
 叩き込まれた拳から体内にダークエネルギーが注ぎ込まれ、それが内部で蝕み狂い破壊する。
「ウゥゥゥ……」
 緋桜の攻撃を受けて、初めてヴァイパーの膝が揺れる。しかし、それも一瞬。
「ああぁぁぁぁイライラする! 消えろ、全部だ、全てだ!!」
 ヴァイパーは今までで一番大きな声で叫ぶと同時に大きく跳躍。そのまま蛇の尾を思わせる剣を構え、全体重を乗せた全力の突撃。
「見切った!」
 そこへ割り込む明子。身体を右半身に構え、右手上段に構える。そのままヴァイパーの武器に日本刀・白鷺を打ち込む。
「クソがぁ!」
 完全に体勢を崩されたヴァイパー。しかし、武器を落とすまではいかず、さらに蛇のような蛇行を経て、アベルへ再び突撃を繰り出す。
「……出でよ嘆けよ、死を弔えよ告死の女妖。死は我らとともにある」
 さらにディディエが地を這うような低い声で詠唱すると、召喚されるのは古い伝承に残る告死の妖精。それがヴァイパーへ攻撃を行う。
「うるせぇ!」
 妖精の告死すら耐え、執拗にアベルを狙うヴァイパー。
「消えるのは貴様の方だ!」
 叫ぶヴァイパーに負けずと大声を……いや、咆哮を上げるアベル。双刃の大鎌を高速回転させ、ヴァイパーを迎え撃つ。
「……」
「……」
 アベルとヴァイパーが交差し、一瞬の光がほとばしる。
「生き残ったのは竜だ……」
 静かに残心を取るアベルに、崩れ落ちるヴァイパー。そのまま、灰となって消滅した。
 ケルベロスたちの勝利だ!


「……」
 消滅するヴァイパーに静かに黙祷する緋桜。
「避難した皆さんの中に怪我をした人はいないでしょうか?」
 戦いに巻き込まれそうになった人々を心配するケルベロスたち。しかし、それは杞憂だった。
「やったぁ!!」
「おおおぉぉぉ!!」
「ケルベロスの皆さんが勝ったぞ!」
 勝利と同時に、大きな歓声が上がる。避難していた人達がケルベロスの勝利を祝福しようと、集まってきている。
「皆の勝利を疑わぬ者ばかりであったでござる」
 どうやら、ケルベロスたちの勝利を信じて、戦いの邪魔にならない場所で待っていたらしい。
 それも、全員が戦いながらも、一般市民の様子を配慮しながら戦っていた事も関係あるだろう。
「もう大丈夫、平気よ」
 そんな一般市民の声に応えるように、明子が瞳をキラキラさせながら元気な声を上げる。
「さすがケルベロスだぜ!」
「お兄さん、お姉さんかっこよかったですよ!」
 さらに響く声援。有名アイドルのようだが、このままだと混乱が起きてしまいそうだ。
「……素早く撤退しよう」
 誰とも無く判断し、現場のヒールを簡単に済ませた程度でこの場を後にするケルベロスたちであった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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