竹馬大暴走!

作者:霧柄頼道

 自宅の裏にある小高い山。降り積もった雪に白化粧のされた森が生い茂る山中では、一人の少年が木立の合間を縫うようにして斜面を駆け回っていた。
 ざくざくざくっ、と雪を踏み抜くのは垂直に立った二つの竹棒。上側には取っ手が取り付けられ、下側には足場になる板がついている。少年はその二つの棒――竹馬を器用に操り、足下の悪い山道を自在に走っているのだ。
「俺は竹馬を極めて……いや、竹馬そのものになり最強の武術を編み出すのだ!」
 少年の張り上げる声はくぐもり、進むごとにからんからんと音を立てる。それもそのはずで、彼は頭から馬のかぶりものをし、竹で作ったポンチョを肩から背中まで垂れ下げているのだ。もちろん寒いので、その下にはちゃんとトレーナーを着込んでいるが。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
 するとその時、爆走する少年に声がかかった。振り向けばそこには一人の少女。
「受けてみよ、竹馬ライドキィィック!」
 くいくい、と手招きする相手に少年は操られたように向き直り、雪を巻き上げて猛突進。鞭のようにしなり槍のように鋭いキックを叩き込み、その反動をつけて一気に跳躍すると、竹馬で彗星のような蹴撃を打ち込んでいく。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 しかし少女は身をかがめ、下側から手にした鍵を突き込む。その鍵がカウンターのように少年を刺し貫くと、空中でぐらりと傾ぎ少女の横側の雪の中へ顔から落下してしまう。
 ほどなくして隣から、一体のドリームイーターがゆっくりと歩み出してくる。全身をもっこりと覆う馬のきぐるみは少年の稚拙なかぶりものと違い数段精巧であり、一見して二足歩行の馬にしか見えない。そいつが竹馬に騎乗して動く姿はなおさら奇怪だった。
 ドリームイーターは馬の頭部と蹄がそれぞれデザインされた竹馬を操り、手近な巨木へ目にも止まらぬ蹴りを放つ。枯れ木といえども充分な頑強さを備えていた巨木はその一撃に耐えきれず、砲弾でも受けたみたいに真ん中から両側に割れ、雪の下へと沈んでいく。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
 少女に言われるまま、ドリームイーターは行進する。山を下り、その先にある集落へと、獲物を求めて。

「竹馬を使う武技を磨いていた武術家志望の少年を、ドリームイーターが襲撃する事件が起きるっす!」
 集まったケルベロス達へ、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)が話し出す。
「ドリームイーターの名前は幻武極。自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているらしいっす。今回襲撃した少年の技ではモザイクは晴れないようっすけど、代わりに武術家のドリームイーターを生み出して暴れさせようとしているっす!」
 出現するドリームイーターは、少年が追い求める竹馬のうつし身のような姿と奥義を使いこなすようで、なかなかの強敵となるだろう。
 幸い、このドリームイーターが人里に到着する前に迎撃する事が可能なので、周囲の被害を気にせずに戦う事が出来るのだ。
「時刻は昼前。ドリームイーターはまっすぐ山を南下して、少年の自宅へ向かっているっす。なので皆さんも彼の家の裏手から出発して山を登れば、おのずとドリームイーターとでくわす事ができるはずっす。奴自身も馬が竹馬に乗ったような面妖な容貌をしていますし、雪に点々と深い足跡が残っているので、発見に苦労はしないはずっす!」
 ドリームイーターと対面し、戦う意思を見せれば相手は挑んでくるだろう。そのため逃走はせず、また敵の増援もない。周辺にはひと気もなく、被害を気にせず戦えるだろう。
「ポジションはジャマーで、竹馬を用いた蹴り技や、高々と跳躍した後に踏みつけや跳び蹴りを放つようっす。注意すべきはヒョウもかくやのスピードで一帯を蹂躙する技っすね! 威力も高く、多くの標的を巻き込んでダメージを与えるっす」
 たかが竹馬と侮るなかれ。手足の延長としてアクロバティックに動き、またリーチも長いその武器はテクニカルな戦いぶりを見せるだろう。
「少年は襲われた場所である山奥で倒れたままっすが、ドリームイーターを倒せば無事に目を覚ますっすよ。竹馬を愛し、新たな武芸を開拓しようと励む少年の夢を、どうか守ってあげて欲しいっす!」


参加者
ズミネ・ヴィヴィ(ケルベロスブレイド・e02294)
クーデリカ・ベルレイム(白炎に彩られし小花・e02310)
大原・大地(チビデブゴニアン・e12427)
マルコ・ネイス(赤猫・e23667)
アルナー・アルマス(ドラゴニアンの巫術士・e33364)
ノルン・ホルダー(黒雷姫・e42445)
根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)

■リプレイ

●竹馬銀世界
「うう、寒い……動いてないと凍ってしまいそうだなあ」
 防寒着や長靴など装備一式を揃え、雪山を突き進むケルベロス達。それでも身を切るような寒さに、大原・大地(チビデブゴニアン・e12427)はぶるぶると震えた。索敵のため、遮るもののない空を飛んでいるのだから余計に冷えるというものである。
「竹馬ねえ……また珍妙な格闘技を習得してるやつがいたもんだな……」
 そう呟いたマルコ・ネイス(赤猫・e23667)の吐く息は白い。今のところまばらな木立に敵影は見当たらないが、竹馬に乗って移動している相手である、まず見逃さないだろう。
「アルも竹馬は大好きよ! グランマの所で良く遊んだわ」
 寒くても元気いっぱいなのはアルナー・アルマス(ドラゴニアンの巫術士・e33364)だ。
「……でも竹馬ってお馬さんの被り物をするのがマナーなの? 初めて聞いたわ? これって竹馬の上に、更にお馬さんが乗ってる事になるの?」
 とはいえ今回の敵に対してはさすがに怪訝さを隠せず、連れているミミックのおどうぐばこともども首を傾げるようにしている。
「竹の遊具に、馬の着ぐるみ……確かに合わせて竹馬と言えるのかもしれませんが……」
 その疑問に答えようとクーデリカ・ベルレイム(白炎に彩られし小花・e02310)も頭をひねるが、想像すればするほど何とも言えない感じになってしまう。実物を目の当たりにしようものなら困惑はより深まる事だろう。
「ドリームイーターもそうですが、被害者の少年を発見できたら、戦闘に巻き込まれないよう安全な場所へ移動させておかないとですね」
 このまま敵と遭遇せずに登り続け、先に少年のところへたどり着いてしまう可能性もある。その場合のフォローも、との根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)に、ズミネ・ヴィヴィ(ケルベロスブレイド・e02294)も頷く。
「先ほどから敵のものらしき足跡を辿ってはいますが……そういえば少年も倒れる前は、竹馬に乗って動き回っていましたからね」
 この足跡を果たしてどちらがつけたものなのか、判別が難しいのでは――そう続けた時、上空を飛行していた大地が仲間達へ呼び掛けた。
「み、みんな、竹馬の馬……じゃなくて、馬の竹馬? を見つけどぅわあああ!」
 ドリームイーターを目視できたようだが、その奇怪な姿をどう表現すべきか迷うあまり足下がおろそかになったのか、着地とともに降り積もった雪の中へ腰から埋もれてしまう。
「ジン! 笑ってないで引っ張って!」
 半ば土までめり込んだ状態からボクスドラゴンのジンに引っ張り出してもらっているが、その間に他のメンバーは現れた竹馬ドリームイーターと対峙していた。
「……馬、ですね……見た目」
「馬だな」
 目前の竹馬に乗ったきぐるみにギルフォード・アドレウス(咎人・e21730)がややげんなりした口調で漏らすが、さっそくマルコが前へ出て挑発する。
「俺たちが相手してやるぜ! 竹馬野郎!」
 威勢良く張り上げられた声に竹馬が足を止め、くるりとこちらへ向き直った。
「竹馬を使った武術、それは少年のものでドリームイーターのものじゃない。紛い物なんかに負けない」
 ふざけた格好だが、れっきとした人に害を為す敵。眉をしかめ、静かに怒気を発するノルン・ホルダー(黒雷姫・e42445)の言葉を契機に、ケルベロス達は臨戦態勢へ入った。

●竹馬大捕物
「あたりに人もいないようだし……そんじゃ、いつも通りに始めますかっと」
 愛刀を片手にギルフォードが肉薄する。振りかぶられた体勢から放たれる横薙ぎは鋭く、竹馬を交差させて防御態勢を取る敵を捉えて後退させた。ぎいん、と竹馬を打ちつけた得物から腕まで、鈍い振動が伝わってくる。鋼か何か入っているみたいに硬い。
「ここは通さないよ!」
 無事雪から脱出できた大地も最前線へ出ながら攻性植物を収穫形態にし、攻撃が集中するだろう前衛へ黄金の果実の光を浴びせる。ジンも同じように、味方へと属性インストールを始めていた。
「いえ、あなた誰です。そもそもです。その微妙な馬の着ぐるみを着た少年……、あなたいったい何者です? 似たような方も見た事ありませんし、ちょっと見当もつきません」
 ズミネはライトニングウォールを作り出しながら、雷の壁を突破しようとする竹馬へ思わず、といった調子で言葉を投げかけていた。
「分かりますか、これは明らかな異常事態です。私が知らないという事、それはつまり、ケルベロスも軍も警察も、そして武術家も知らない何かという事です。『前例がない』――未知という事です。この凄まじさ、理解できますか」
 馬が竹馬に乗っているというある種頭を抱えたくなるような冒涜的な姿である。色々言いたくなるのも致し方ない。少年の理想、これでいいのか。
「雪の上なのに、あんなに身軽だなんてすごいわ! アルも負けないからね!」
 機敏な動作で木陰から木陰へと飛び回る竹馬をアルナーも追いかけ、狙い定めて禁縄禁縛呪を放つ。
 半透明の御業が竹馬を一本捕えると、すかさずおどうぐばこも攻撃用の文房具を射出してダメージを積み重ねていく。
「動きが止まった……それなら」
 竹馬の側面へ回り込んだノルンが身を屈めて稲妻のように突っ込み、日本刀での刺突を突き入れる。着ぐるみに深々とした一撃を加えると、竹馬はもんどりうって吹っ飛んだ。
「気をつけて下さい、反撃が来ます」
 ステルスリーフの木の葉へ身を隠しながら、敵の挙動を観察していたクーデリカが迅速に警告を飛ばす。おうよ、と応じたのはマルコだ。
「いくぜ、タルタロスクラァァァッシュ!!」
 雪を踏みしだいて急襲を仕掛ける竹馬へ、逆に鉄塊剣によるカウンターを食らわせる。左右から来る竹馬を十字に構えられた二本の巨剣がそれぞれ受け止め、ぎりぎりとせめぎ合った後――強引に踏み込み、薙ぎ払う。
「大丈夫ですか? やはり竹馬といえど油断できない相手ですね」
 こちらも無傷とは済まないが、竹馬が態勢を立て直すまでのインターバルに、透子もオーラを飛ばしてマルコの負傷を癒していく。
 両者いずれも小手調べという段階だが、竹馬は機動力を活かして枯れ木や茂みを飛び回り、ケルベロス側はそれを追う形で雪山を駆け巡っていく事になる。
 体操選手のような竹馬の巧みな技にペースを握られるか、あるいはその前に状況を盤石にできるか。凍える寒気の中、戦いはヒートアップしていくのだった。

●竹馬疾駆
 雪を蒸発させるほどの速さで向かってくる竹馬。そのターゲットは前衛――と思った矢先、大きく跳躍する。
 竹馬が一気に垂直急降下した直後、クーデリカは横っ飛びに側転する事で回避に成功。
「……隙有りです」
 敵が土を串刺しにして雪の中でもがいている隙に、白い炎を纏わせた刀身を払うように横腹へ叩き込む。真一文字にきぐるみを叩き斬ったが、相手もただちに竹馬を振り上げてガード。
「まあ、簡単に燃えませんよね……」
 火花を散らしてぶつかり合うが、白い炎に包まれても小揺るぎもしない竹馬のような何か。
 今度はギルフォードが斬り込んでいく。その絶空斬はきぐるみに刻まれている傷口をしたたかに斬り広げ、倒すには至らずともよろめかせてのけたのである。
「と……危ねっ」
 しかし半分ぐらついたような姿勢で竹馬が蹴りを穿ち込んで来た。避けきれない、と覚悟したギルフォードだが、寸前に大地が割って入り、身長ほどもある大盾で受け止めて見せた。打ち付けられる強い衝撃に踵から雪へと埋まっていく。
「これで防ぐ!」
 紋章の刻印された大盾と竹馬の先端がきしみを上げて拮抗。動作の停止した瞬間を見計らったジンが弧を描いて体当たりを仕掛け、敵を横合いへはじき飛ばした。
 その拍子を逃さず、避雷針のように立ちすくんだ竹馬めがけズミネのライトニングボルトが打ち据える。
 馬のたてがみ部分を揺らして逃げようとする竹馬へおどうぐばこが食らいつき、さらに続けざま、竹馬の頭上へと飛び上がっていたアルナーがルーンアックスを振り下ろす。
「えいやー!」
 斧の直撃で竹馬にはヒビが入り、本体の方も危なっかしくもたついている。
 この調子でいけば、と確かな手応えを覚えたノルンが、メガ・エリアヒールで傷ついた仲間達を治癒させていった。
「らいじんとぉぉぉぉつ!!!」
 攻め手は休めずと、マルコが大剣片手に突撃を敢行。
 敵も竹馬を嵐のように振り回す事で攻撃を防いで来るが、打たれようが突かれようが勢いを弱めないマルコに腹部を貫かれ、後方へ力任せに投げ込まれていった。
「こうもあちらこちらに走らされると、さすがにちょっと……あっ」
 移り変わる戦場へ懸命についていく透子だが、いかんせん運動神経のなさから雪に蹴躓いて転びかけ――その前にせめてもと、竹馬めがけてフォーチュンスターを蹴り込み、パンツを見られないようスカートを押さえながらふらふらっと倒れていった。
 次々と打ち込まれるグラビティの数々に、さしものドリームイーターも弱り始めた様子。しかし両手でしっかり竹馬を握りしめると、ケルベロス達へ凄まじいスピードで殺到して来たのである。
 木々の間隙を小回りで縫い、時には木へ竹馬を打ち込み飛び移る三次元的な動きで迫って来る。猛突進とも言うべきこれに対し、大地とノルンが身を挺して対応した。
「うう、結構重いし、痛いよ……!」
「でもここを耐えて、少年を助け出さなきゃ」
 美しさやしなやかさをかなぐり捨てた攻勢に撥ねられ、叩きつけられながらも盾で受け流し、ゾディアックソードで逸らして、踏ん張り受けきる。
 通り過ぎた後の雪景色だったあたり一面は深くえぐれ、その攻撃の激しさを物語っていた。けれども一番辛い局面はしのぎきり、すでに竹馬は歩くのもやっとのようだ。
 いよいよ畳みかけるべく、ケルベロス達は一斉に反攻へ出る。決着の時は近い。

●我、竹馬となりて
「震えろ……! 閉ざせ!」
 不浄なる凶爪。ナイフに毒を込めたギルフォードが至近まで駆け寄り、低い体勢からナイフを投げ込む。弾丸のような切っ先は打ち落とそうと振るわれる竹馬の間をかいくぐり、胴体へと突き刺さる。
 一拍置いて、毒の侵食により全身がどろどろとただれ、竹馬にさえも亀裂が入っていくではないか。
「これで……っ!」
 大きく軸足を踏みしめた大地が、腰をひねりながらの遠心力をつけたハンマーを振り抜く。直前に防御はされたものの、その衝撃力は放射状に竹馬の破片を散らせていく。
「もういっちょ!」
 反対側に待ち構えていたアルナーがルーンアックスを光り輝かせ、飛んでくる竹馬を打ち返すように叩き飛ばす。空中でついに二本のうち、竹馬の一本が粉々に砕けて地面へ散らばった。
「重い。動きにくいです消えてください」
 一本になったとはいえ敵は竹馬の達人。いまだ戦闘続行は可能とばかりに仁王立ちして見せようとしたのだが――ズミネが押しつけた不運のせいか、ちょうど足下にあった小石に竹馬が引っかかり、尻からすてんと転ぶ。
 のみならず、タックルをかけるジンと噛みつくおどうぐばこの追撃、そしてつるつる滑る雪のせいで独楽のように回転し始めてしまった。
「残ったもう一本も、もらっていくよ」
 獣のそれと化した四肢で勾配を駆け降り、追いついたノルンは重力を集中させた拳打を竹馬へぶち込んだ。加速をつけて送り込まれたパンチは、頑丈な竹馬を中ほどより叩き折って見せたのである。
「加減はしません……この呪いの炎、存分に受けなさい」
 もはやろくに動けないドリームイーターにも容赦はせず、雪原に身を潜めていたクーデリカは好機と見て懐へ飛び込む。白に紛れてその存在を見落としていた敵が対応できるはずもなく、気づいた時にはだめ押しとばかりに白炎魔法が唱えられている。
「……白炎展開、呪詛装填……撃ち抜き、爆ぜよ……」
 ホワイトバーストがほぼ零距離より着弾、無数に炸裂を繰り返す事でものの見事に敵を縛り上げる。
「お願い劫火、力を貸して……! 灰燼焔薙!」
 透子の精神力を燃やし、火焔野太刀、劫火に宿された魂喰いの蒼炎が大上段より振り下ろされる。それは巨大な火柱を作り上げ、ドリームイーターごと竹馬を呑み込んでいく。
 しかし、そのただ中においても敵は最後の力を振り絞り、半分残った竹馬を投げつけて来たのだ。
「かみ砕けェェェ!!! ビリィィィ!!!!」
 悪あがきとも呼べる行動を察知したマルコは、間髪入れず地獄の炎で作りだした巨大な猫、ビリーを差し向ける。
 ビリーは空中を奔りながら一直線に飛来して来る竹馬を咬み砕いてなおも直進し、赤と蒼の炎が混ざり合いきぐるみもろとも全て焼き尽くしていった。

 これだけの激戦とラストあたりの炎乱舞のせいか、積もっていた雪はいつの間にか吹き飛んでしまっている。ケルベロス達は戦場をヒールで修復しながら、少年の様子を見に、足跡を頼りに登山を続けるのだった。
 見つけるのと同じくらいに少年も目を覚ましたようで、気絶している時まで握りしめていた竹馬に乗り直しながら、事情を説明するケルベロス達の話を聞き、丁寧に頭を下げた。
「どうもありがとう。おかげでまたこうして竹馬の修行ができる」
「ちょっと温まらない? 戦いが終わった後もやっぱり寒いよ」
 大地がホットチョコレートを勧めると、少年は竹馬から片手を離して受け取ってくれて、馬のかぶりものから喉奥へ流し込んでいるようだ。他の仲間もめいめい暖を取り、一休み。
「はあ~あったまる~」
 するとマルコが少年の肩を叩き、屈託なく声をかけた。
「お前の竹馬、斬新すぎてすげーぜ! もっと極めろよな!」
 うん、と頷く少年はそんな風に軽く揺さぶられても器用にバランスを取っている。ノルンも少し感心した様子で近づいて。
「竹馬に乗って戦う武術、かっこいいと思う。そこまで操れるようになるコツとか、経緯とか、良かったら聞かせて欲しいな」
 実戦主義で剣一筋だけれど、こう言った交流もきっと、強くなる道のひとつだろうから。なにより楽しいし、と他にもアルナーや透子が話の輪に入っては、竹馬について和やかに語り合う。
「パパが教えてくれた竹馬を大事にするのはステキな事だとおもうの。アル応援するわ!」
 と、遅れてクーデリカがやってくる。少し離れて見守っていたギルフォードが顎をしゃくって示し、少年が無事な姿を確認すると、ドリームイーターに折られ、無惨な姿になっている巨木や、他被害を受けた周辺を念入りに修復していった。
「……今後も此処を使うのかも知れませんし、ね」
「人は竹馬になるべき……竹馬になる事で究められる……だそうですが」
 一方では少年の即席竹馬講習を受けたズミネが試しに竹馬へ乗ってみたものの、足下が雪では前提として難易度が高すぎるのか、さっそく大の字に倒れ込んでいるのだった。

作者:霧柄頼道 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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