冷たく甘いふわふわ

作者:八幡

●平穏な日常
 町の中に在る公園。
 まだまだ寒いこの時期だが、その公園は家族で遊びに来ている人々や、マラソンを楽しむ人々で賑わっていた。
 そんな人々が賑わう公園を何とはなしに散策していた、斬宮・紅緒(憧憬の雪路・en0267)は、公園の一角にアイスクリームの露店が出ているのを見つけた。
 アイスクリーム……この寒い時期に? と紅緒は小首を傾げるも、こんな寒い時期だからこその味わいもあるのかもしれないと思い直した。
 そう思い直した途端、何だかそのアイスクリームがとても魅力的なものに思えて――、
「ふふ、これもまた風流ですね」
 その魅力に負けた紅緒は、アイスクリームを片手にベンチに座っていた。
 それからそのアイスクリームに口をつけて、これもどうぞと店主に渡されたチラシを見やれば、
「わぁ」
 そこには『手作りアイスを体験しよう!』と大きく書かれており、それを見た紅緒は目を輝かせた。

●手作りアイス
「アイスを手作りできるイベントに参加しませんか?」
 紅緒はチラシを手に、通りすがるケルベロスたちに声をかけ……足を止めたケルベロスへチラシを渡した。
「アイスを自分で作って、その後に食べることができるイベントとのことです」
 それから紅緒は、イベントの内容について簡単に説明する。
 アイスを作って食べる……良くあると言えば良くある体験イベントのようなもののようだ。
「アイスを作るための道具や、食材は提供されるようです。また、持ち込みも自由なようですよ」
 道具や食材も用意してくれるとはなかなかに気前のいいイベントだ。
 そして紅緒の言うように道具や食材の持ち込みも可ではあるが、でかでかと『自己責任』の但し書きが書かれている。
 まぁそうだよねなんてケルベロスが乾いた笑いを浮かべていると、
「あの……その、ご都合が宜しければですが、一緒に参加していただけると大変嬉しく思います」
 一人で参加するのは心細いのか、紅緒は祈るように両手を胸の前で組んで、一緒の参加しようとお願いするのだった。


■リプレイ

 真っ青な空は高く、吹き抜ける風はまだまだ冷たい。こんな寒い日ではあるが、きっと体を動かしていればすぐに暖かくもなるだろう。などと考えながら公園の入り口をくぐった斬宮・紅緒は、チロ・リンデンバウムが入口のすぐ横で正座していることに気が付いた。
「ここで何をしているかって? 聞いてくれるか、これここに至った経緯を……」
 そして気が付かれたことに気が付いたチロは聞かれもしないことを語りだす……そうそれは此処では語りつくせぬほど壮大な物語だ。語りつくせぬので省略するが、なんやかんやあって旅団の壁を全てぶち抜き此処で正座する羽目になったらしい。
 この国は子供の可能性に対して冷たすぎる……なんて嘯くチロに紅緒は自分が巻いていたマフラーを外して巻き付け、しっかり反省してくださいねと微笑んだ。

 公園の中を歩いていけば、その一角には食材と道具が用意された大小さまざまなテントがあり、既に何人かの参加者がアイス作りに励んで居るようだった。
「この軟弱者!」
「み゛ぁーーー」
 そんな中、こんな寒い中でアイス食べる企画だ何て聞いてないぞと帰ろうとする玉榮・陣内をの背中を比嘉・アガサが蹴り飛ばすと、陣内が尻尾を掴まれた猫のような声を出して倒れた。
「あたしが懐かしくも美味しいアイスクリームを作ってやる。まってろ」
 それから倒れた陣内の背中に座ったアガサが氷水の上に置いたボールの上に何も下処理をしてないゴーヤを突っ込み、鮮やかな手つきでシャカシャカするとあっという間に真緑のアイスが出来上がった。
「食べない。ゴーヤー嫌い。やだ。食べない」
 ウチナーンチュなら、ゴーヤーかめー。そんな母の言葉が陣内の脳裏をよぎるもアガサによって口に突っ込まれた緑色の物体に全ての思考を奪われて悶絶する。ほろにがだから大丈夫だよと言われて大丈夫だったためしがないのだ、だって100%ゴーヤだものこれ。不純物0だもの。
「なに、リピート? よし分かった」
 あまりの苦さにリピート……熱いコーヒー……と呟く陣内にアガサは快く頷き、もう一度陣内の口に緑色の物体を突っ込んだ。

「リリウムちゃんはどんなのを作りたいの?」
 どこから聞こえた黒豹の断絶魔に一瞬耳をピクリと動かしたリリウム・オルトレインは、何を作りたいのかと問うたエルス・キャナリーに瞳を輝かせ、いーっぱいきれいでにぎやかなの作りますです! と答えた。
 両手を広げていっぱい綺麗で賑やかを表現するリリウムにエルスは微笑み、自分は抹茶と小豆を混ぜようかな? と運営から材料を受け取る。
 それから2人は並んでアイスをシャカシャカして……エルスは抹茶を混ぜたアイスに小豆を添えて、リリウムはバニラアイスにカラフルで細かいチョコレートをばら撒いて完成させる。
「うわあ、とってもすごいのが出来たんじゃないか!」
「なにせごっどぺいんたーですので! あーてぃすとですので!」
 とてもカラフルで楽しそうなリリウムのアイスをエルスが称賛すればリリウムはえっへんと胸をはり、そんなリリウムに目を細めてエルスが自分のアイスを口にすると……美味しいの! と小さく震える。
 それからそんなに美味しいのですか? と尻尾をパタパタさせるリリウムとお互いのアイスを交換して口に入れてみれば、甘めに作った抹茶アイスはほんのり苦くて、
「け、けっこうなおてまえでした……!」
 抹茶はまだ早かったのか耳と尻尾をシュンとさせて強がるリリウムにエルスはくすりと笑い、リリウムの頭をそっと撫でるのだった。

「ユナってアイス好きでしょ?」
「何時ものことながらアイスは好きよ」
 お手軽に作れそうだしやってみようよと言って誘ってきたメリルディ・ファーレンに、好きだけにそう甘くないのも理解しているけれどとユスティーナ・ローゼは答える。
「ま、メリル主導なら完成度の面でも十分目指せるでしょうけど、ね」
 とはいえ自分で作る達成感はまた違った甘味となるだろう。ではどうやってその甘味を活かそうかしらとユスティーナが考えていると、
「今日はジャムを入れてみたらどうかな」
「ジャム入りアイス、かあ……変わり種ね」
 メリルディがミルクジャムを勧めてきて……ユスティーナはそういうのもいいかもねと小さく頷いた。
 それから色々なジャムを入れたアイスをそれぞれ作って行くユスティーナと、その手際を見守るメリルディは何が美味しいアイスになるのかを話し合いながら穏やかに時を過ごした。

 クロヴィ・ファルシネリがボールの中身をかき混ぜるたびに、白いクリームのふわふわ度が上がって行く。
「この頑張りのぶんあまふわ度が増すと思えば……!」
 どれだけ空気を混ぜ込めるかでふわふわ度が決まるのがアイスクリームと言うもの……つまりここでどれだけ頑張ったかが、完成度に直結するのだ。
 ベースの部分だけでも既に美味しそうなクロヴィのアイスに未野・メリノはわぁと感嘆の声を上げつつ自分のアイスを混ぜ、
「ミア、アイスを作るのは初めてですの」
 ママと一緒にクッキーを焼いたのを思い出しますのとミアリベル・ミスリルハートもアイスを混ぜていた。
 しかし思った以上に力仕事なこの作業、なかなか上手く混ぜられませんわとミアリベルが顔を上げれば、そこには黙々とかき混ぜるクアトロリッツァ・チュチュヴィエンナがあり……そんなクアトロリッツァの姿を見たミアリベルは自分も頑張ろうと小さく拳を握った。
 それから暫くしてそれぞれのアイスが形になり始めたころ。
「未野様はバニラにココアパウダーを? マシュマロもいれますのね」
 最後の仕上げとしてココアパウダーをまぶしたアイスにマシュマロをトッピングしていたメリノにミアリベルが話しかけると、
「えへへ、甘く冷たい食感の中にやわくふわふわが隠れて大好きなのです」
 メリノは微笑み、キャラメルシロップが混じったマーブル状の白い生地にローストナッツが散りばめられたミアリベルのアイスを見て美味しそうですねと瞳を輝かせる。
「……上手に出来た気がするのだわ」
 それからクアトロリッツァの声に振り返れば、そこにはチョコソースで模様を描いたシマウマや、うずまきクッキーの角の羊、ビスケットのお耳のクマさんに、パウダーで三毛模様に仕上げたにゃんこのアイスがあった。
「アニマル風のトッピングが可愛いですっ」
 食べてしまうのがもったいないと思わせるほどのクアトロリッツァのアイスの出来栄えに思わずメリノが小さく拍手を送り、
「皆のアイスもおいしそう、つい見入ってしまうわ」
 メリノの横からピンク色のアイスを手にしたクロヴィが覗き込む。クロヴィのアイスは努力のかいあってかふわふわの苺アイスだ。さらに金平糖がまぶされキラキラと輝きすら放っていた。
「早くその触感を楽しみたい……はっ、鳴ってないわおなか鳴ってないわ、本当よ!」
 そして、それぞれに特色のあるアイスを前にしたクロヴィのお腹がくぅと鳴って、
「実は、多めに作りましたので。皆さん、シェアしません、か」
 クロヴィに笑顔を向けつつメリノが両の掌を合わせておねだりをするような仕草を見せると、一行は大きく頷き……それぞれのアイスを手に写真を撮ってからひんやりとふわふわした時間を過ごした。

 写真を撮っているメリノたちに目を細めつつ、紅緒がミルクの入った容器を振っていると、ユーナ・シャムロックとエレコ・レムグランデがやってくる。
 一通りのあいさつの後、誕生日だと聞いてドーナツを持ってきたのですよとユーナは微笑み、我輩もドーナツつくるの手伝ったのパオよ? とエレコは笑う。そんな2人に礼を述べつつも紅緒は容器を振り続けていると、
「……あら、アイスクリーム作りですか。いいですね、わたし達も参加しても?」
「アイス!? アイスってつくれるのパオ!? 我輩もつくりたいのパオ!」
 それがアイス作りだとユーナは気づき、エレコは青空のような瞳を輝かせた。それからユーナは手慣れた様子でミルクと卵の混じった液体をかき混ぜ見る見る固形化させていき、最初はぎこちなくかき混ぜていたエレコもユーナから助言をもらう内にだんだんと手慣れてきて、
「すごいたのしいのパオ!」
 暫くすると真っ白で綺麗なアイスが出来上がった。
「あ、そうだ。ドーナツの上にアイスを載せて食べませんか?」
 それから出来上がったアイスとエレコの様子にユーナは満足気に頷き、良いことを思いつきましたと手を叩いて提案する。
「パオ! そういえば我輩はちみつとかシナモンとか持ってるのパオ!」
 そしてその提案を聞いたエレコは何処からともなくシナモンの入った袋と、はちみつの入った瓶を取り出した。
 どこにそんなものを? と首を傾げるユーナに、エレコは照れたようにぐうぜん持ってたのパオと頬を赤らめてから、紅緒さん一緒に食べましょーパオ? と紅緒へ手を差し伸べた。

「紅緒さんも甘いのお好きなんですねー、私もご一緒させていただきますね?」
 ユーナとエレコとドーナツのさくさくとあいすのふわふわを味わっていると、鮫洲・紗羅沙が挨拶に来る。紗羅沙はユーナたちにも小さく手を振ってから、
「紅緒さんどういうお味がお好みでしょう? クッキーを砕いて入れてあげるのも美味しいですし、ジャムを入れても美味しいですよねー、私はお抹茶をいれるのが好きですねー」
 再びアイスをかき混ぜ始めた紅緒と並んで、自分もシャカシャカし始める。
「紅緒さん、お初にお目にかかります。そしてお誕生日おめでとうございます」
 紗羅沙の問いにどれも捨てがたいですね! と紅緒が悩んでいるとバニラ味のアイスを作り終えた西水・祥空がケルベロスとしての生活には慣れられたでしょうか? と訪ねて来た。
「ちょっと話しない?」
 お気遣いありがとうございますと紅緒が笑みを返していると、今度はとても手作りとは思えない出来のチョコレートアイスを配りながらフレック・ヴィクターが話しかけてくる。
 フレックは自分と同じく助けられた身として紅緒に興味があるようだ。
「アップルジンジャーを飲みますか?」
 そして、そんなフレックや祥空を見た紗羅沙はふわふわと微笑むと、みなさんと楽しく過ごせるように用意してきた温かなアップルジンジャーを取り出して……思い思いの雑談に花を咲かせた。

「皆とアイスを食べにきた!」
 手を止めて一服していると、黒須・レインが胸を張ってアイスを食べに来たと宣言しにきた。
「冷たくて甘くてふわふわなアイスなんてサイコーじゃねっすか。みんなで作って食べるっすよー!」
「紅緒こっちこっち! 一緒に作ってたべよ?」
 皆と言うのはレインの後ろに居たコンスタンツァ・キルシェや那磁霧・摩琴のことだろう。摩琴の手招きされて紅緒が彼女たちのテーブルへ移動すれば、そこには林檎やレモン、蜜柑やスターアップルを広げるカンナ・プティブランの姿や、
「材料も道具もイベント運営持ち……!」
 これで一食浮くぞとやたら力の入っているオーロラ・トワイライト、そして料理は人並みにできるのに地味に信じてもらえないのじゃよなぁと首を傾げる雪白・黒那の姿があった。
 それから何を作るのか決めたのか、コンスタンツァはカラフルなチョコにナッツそれからドライフルーツを容器に入れてシャカシャカし、摩琴はバニラアイスの材料を袋に入れて上下に振る。
「オーロラー、しゃかしゃかするついでにぐりぐりもー」
 真面目に摩琴たちの横で、お腹が膨らむからと言う理由でナッツを入れたアイスをシャカシャカするオーロラに、レインが自分が持ってきた紅茶でシャーベットを作ってとお願いしつつ自分はカンナが用意した蜜柑に手を伸ばす。
 お願いされたオーロラは素直に従って紅茶でシャーベットを作り、その間にカンナも山羊の乳の生クリームにレモンジュースを混ぜたアイスやリンゴを使ったシャーベットなどを作る。
「船長は作らないのかの?」
 3種類のお茶でアイスを作っていた黒那は、皆が作業する中、蜜柑をつまみ食いしていたレインに質問するが……レインの分はオーロラが作るから良いとかそういうことらしい。
「でけた! 黒那よ食べてみろ!」
 流石は船長じゃのと黒那が納得するしているとどうやらオーロラ作のレイン考案のシャーベットが出来たらしく、多分メイビー美味しいから味見してみろと黒那にシャーベットを渡し、
「……くぅー、頭がきぃーんとなるのじゃー……」
「おいしくな~れ!」
 黒那が頭キーンになってる間にコンスタンツァたちのアイスも出来たらしい、最後においしくな~れとおまじないをして……色とりどりのアイスがテーブルの上に並んだ。
「あ、何だったら皆も食べる?」
「みんなが作ったのを食べ比べしよう!」
 結構な量を前にカンナは分けようかと言い、並んだアイスに瞳を輝かせていた摩琴がどうせなら全員で分け合おう提案すると、さっそく一行はそれぞれ気になったアイスを口に運び始める。
「フルーツで鮮やかなアイスも素敵だね」
「これ食べたらパワー100倍っす!」
 お腹が膨れるからと言う理由でフルーツが鮮やかなアイスに食いついたオーロラにコンスタンツァは笑いかけ、
「ん~美味しぃ!!」
「うん! 全部美味い!」
 そのオーロラのナッツ入りアイスやカンナのシャーベットなどを口にして摩琴とレインは頷き合い……一行は賑やかな時間を過ごした。

 全部混ぜたら最強と言い出した船長に、最強のアイス素敵ですなんて会話している紅緒を遠目に見つめたあと、一之瀬・白は仲間たちに振り返る。
 そこには大量のバニラアイスを作るムフタール・ラヒムの姿があり、
「結構な量が必要だな……ちょっと腕も疲れてきたし。アンセルム、手伝ってくれるか?」
「2人でサクサクと終わらせよう」
 意外な重労働に額を拭ったムフタールの要請にアンセルム・ビドーが快く頷いていた。白たちはどうやら複数人で大きな一つのものを作ろうとしているようだ。
「ふんぱつして、美味しそうな苺をいっぱい買ってきましたよ! サフィも味見します? みんなにはないしょ、ですよ」
「かりん、まんまるのいちご、とってもおいしいですね! にこにこ、してしまいますね!」
 ようなのだが、やはり目の前に美味しそうな苺などがあれば味見をしたくなると言うもの。仁江・かりんとサフィ・サフィはかりんが買ってきた苺を頬張ってにこにこと笑い合い、
「ずるいぞ、二人とも」
 その様子を横目に見ていたムフタールが窘める。窘められたかりんとサフィは、はーいと元気よく返事をしてから苺のアイスを作り始めるが、
「……僕もちょっと、味見させてもらうかな? 隆治のチョコアイス、ちょっとだけもらうぞ」
「あぁ、つまみ食いするのはいいが、使う分はしっかり残して置けよ? 足りなくなってからじゃ遅いからな」
 かりんたちの様子を見ていたムフタールは我慢できなくなったのか、大量のチョコを溶かして作っていた進藤・隆治のチョコアイスの味見をしてみる。
「かりんさん、サフィさん、白部長も、一口ずつ味見しますか? あ、アンセルム先生も、良かったら一口いかがですか?」
 そんな彼らの様子に夜歩・燈火は小さく肩を震わせ、一口いかがですかと自分の作っていた珈琲アイスを配って回り、
「ひんやりふわふわ、どれも花まるなおいしさです!」
「燈火さまのアイスは、大人のお味ですね!」
 かりんとサフィはご満悦な様子でその珈琲アイスを口に入れていた。
 それから暫くして、大量のバニラ、チョコ、苺、珈琲のアイスを用意した燈火たちは白のもとに集まって、
「さて、仕上げの時間だ」
「ここを、こうして……っと」
 アンセルムと白がそれぞれの色のアイスを使って狐の耳と黒い髪の女の人の顔を作っていく。
「うん、何とか完成したのじゃ!」
 そして白が最後に苺アイスで目を入れると……それはどことなく紅緒を思わせるような形となった。
「白さまとアンセルムさまのつくりあげたケーキ、とってもすごい!」
「可愛く、芸術的ですね!」
「なかなかいいものが出来たな、皆さすがだ」
 それを見たサフィとかりんが手を叩き、ムフタールが全員の苦労を労う様に頷けば、
「我ながら上手くできたと思うよ」
 アンセルムは自分が装飾したアイスケーキの出来に満足気に頷いて……紅緒を呼んだ。

 呼ばれた紅緒が白たちが作ったアイスケーキを前にわぁと瞳を輝かせていると、
「爆発とか崩れたりしないよな?」
「……いや、今日は何も崩さないよ?」
「いつも爆発すると思っておるのか? そうでない日も……たまにはあるのじゃよ。たまには」
 仕上げた人が仕上げた人なだけに何となく不安になった隆治の問いに、アンセルムと白はパタパタと目の前で手を振って否定するが……爆発と聞いてぴくりと動いた紅緒の耳が、しないと聞いてちょっと残念そうに倒れていた。
 しかしそれも一瞬のこと。
「食べる前にお写真撮りたいですよ」
 かりんがそう提案すると、一行は大きく頷き合って出来上がったアイスケーキと紅緒を囲むように写真を撮り……アイスケーキを食べながら冷たくふわふわで、暖かな一時を過ごしたのだった。

作者:八幡 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月4日
難度:易しい
参加:29人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。