タコパしようぜ!

作者:ハル


 世間では、タコ焼きパーティーの事をタコパなどと略し、一部のリア充達に持て囃されている現代で、その一台のタコ焼き器はただの一度も使われる事なく、粗大ゴミとして収集されていた。
 元の持ち主は、タコパするような友達がいなかったのだろうか? それとも、買ったはいいものの、単純にタコ焼きを作るのが面倒くさかったのだろうか?
 ……どちらにせよ、役目を一度も果たす事無く捨てられたタコ焼き器は、きっと心があったなら、無念であったに違いない。
 ふと、そんな憐れさを醸すタコ焼き器に、忍び寄る影。電源部分へと、クモのような足を生やした、宝石型の存在が入り込んでいく。
 すると――。
「ジジジジジジジ……ジジジ!」
 タコ焼き器は、瞬く間に熱を帯びて真っ赤になったかと思うと、機械の手足を得て、巨大化を果たす! その手に、タコ焼きを引っ繰り返すための鉄製の串をギュッと握りしめながら!
「タコパ……タコパ!」
 意識を得たタコ焼き器は、粗大ゴミ処理場から市街地へ向けて走り出す。
 タコ焼きを作ることが叶わぬならば、人間を焼いてやるという殺意をもって……!


「粗大ゴミ処理場にて、タコ焼き器がダモクレス化してしまったようです。被害はまだ出てはいませんが、このまま放置すれば、大勢の人々が襲われてしまう可能性が高いので、急ぎ現場へと向かって下さい」
 集まったケルベロス達に、山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)は開口一番そう告げる。
「この情報は、水森・灯里(ブルーウィッチ・e45217)さんより寄せられました。灯里さん、ありがとうございますね?」
 真剣な表情で頷きを桔梗に返す灯里を筆頭に、会議室の席につく彼等の前に、桔梗は用意した資料を並べる。
「姿形としては、そのままタコ焼き器が巨大化し、機械の手足をもったものです。手にした鉄串で貫いてきたり、皆さんをまるで具材のように熱した鉄板に放り込もうとしてくる模様です」
 ダモクレスは市街地に向かおうとしているが、ケルベロス達はその前に現場に到着する事ができるだろう。ただ、粗大ゴミ処理場の職員達に対しては、施設の中から出ないように説明しておくといいかもしれない。職員施設と粗大ゴミが積み上げられている戦闘現場はある程度距離があるため、それだけ行っていれば問題ないだろう。
「時間的にも、今回は多少の猶予があるため、説明をしてからでも間に合うと思います」
 桔梗が、資料を捲るよう促すと、その手が一瞬止まる。
「ダモクレスは、タコ焼き器の残留思念のようなものを受け継いでいるようで、『タコパ、タコパ!』と何度も叫んでいるようです。もしかしたら、具材や生地などを用意しておけば、ダモクレスの注意を逸らす事もできるかもしれませんね」
 タコ焼き器は、長年放置された影響か、汚れが酷い。そのため、タコ焼き器……ダモクレスが作った最初で最後のタコ焼きを食べてあげる事は難しいかもしれない……。
「もちろん、最優先は人々の被害を出さない事です! 刃を向けるダモクレスを許してはいけません! ……それでも、タコ焼き器は、タコ焼きを作るためだけに生み出されたもの。残留思念を受け継いだダモクレスを憐れだと思うのも、仕方のない事なのかもしれませんね」


参加者
神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)
莓荊・バンリ(立ち上がり立ち上がる・e06236)
相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)
植田・碧(ブラッティバレット・e27093)
葛葉・零児(地球人の妖剣士・e44280)
八重倉・翔(バレットレイン・e44992)
水森・灯里(ブルーウィッチ・e45217)
シャルル・シーク(穴掘りシャルル・e45235)

■リプレイ


(粗末に扱われ、その果てに誤った目的に利用される……か)
 粗大ゴミ処理場の職員施設の階段を昇りながら、八重倉・翔(バレットレイン・e44992)は忌々しげに目元を覆う白髪を掻き上げていた。思うのは、結句最後まで碌な相手に恵まれなかった件のたこ焼き器である。
 翔は、受付で指定された階に辿り着く。すると、そこは騒々しい気配。すでに、ケルベロスカードを見せ、彼を信用してくれた受付から、連絡が来ているのだろう。翔が、『会議室』とプレートの掲げられた部屋に入ると、冬だというのに額に汗を浮かべた年配の職員達の姿がそこにはあった。
「仕事を邪魔してすまない。ケルベロスの八重倉だ。この先の粗大ゴミ置き場にダモクレスが出現した。まもなく戦闘に入るので皆さんには施設内で待機してもらいたい」
 翔は、深々と礼をした。物々しい雰囲気を纏っている彼の第一声を待っていた職員達は、予想に反して礼儀正しいその態度に、「い、いえいえ!」と、慌てて首を振る。
 精一杯の笑顔を浮かべる翔。そんな彼の姿に緊張を解かれた職員達は、指示に従うと約束し、外に残された職員がいないかチェックする翔に変わり、館内、館外への放送の準備を始めるのであった。

「ここでいいだろう」
 場所は変わって、粗大ゴミ処理場周辺。職員施設へ向かう道とは正反対の場所を示すのは、巨大なタンクを背負う神崎・晟(熱烈峻厳・e02896)であった。
「了解であります!」
 ビシッッ! と敬礼のポーズを取りながら、莓荊・バンリ(立ち上がり立ち上がる・e06236)が、そこに生地の入ったボウルを置く。
「た、たこ焼きパーティーですか。まだ、やったことありませんけれど、た、楽しそうですねっ!」
 たこ焼きの具材を両手に、相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)が口元を綻ばせると、
「そうね。私なんて、イカにお餅にチーズなんて、変わり種まで用意してしまったわ」
 植田・碧(ブラッティバレット・e27093)が、「タコパらしいでしょ?」そう頬笑みながら、愛にそれらの具材を見せる。
「私は生地と、調味料の鰹節や青のりなどを少々。あと、タコ以外にも、エビなんかがあっても面白いかと思いまして、そちらも用意しました」
「おおっ、灯里さんも調味料っすか! 実はおいらも、主に調味料を持って来たんすよ。生地は皆さんが用意すっかな~と思って!」
 奇遇っすね! 水森・灯里(ブルーウィッチ・e45217)へと、シャルル・シーク(穴掘りシャルル・e45235)が、快活に笑いかける。
「例えばソースにマヨネーズ! 各々自由にカスタマイズするのが、タコパの醍醐味っすよね!」
 また、それ以外にも、ダミクレスの気を引けそうな隠し球があるのだと、ほくそ笑むシャルル。
「上手く引っかかってくれればいいけど」
 そんな仲間の様子を眺め、手伝いながら、葛葉・零児(地球人の妖剣士・e44280)が、長く艶やかな黒髪を払う。実に清楚な美少女然とした格好だが、その内面は熱く、眼光も鋭い漢である。
 ……やがて、館外へ向けた放送が流れ、翔が合流すると、ケルベロス達はダモクレスが現れる瞬間に備え、息を潜めるのであった。


「ヤヤッ! タコパノヨカン!?」
 出現したダモクレスは案の定、あっさりとケルベロス達の用意した食材に意識のほとんどを奪われていた。
「ヤーク! ヤーク! イクゾー!」
 複数人で多めに用意したにも関わらず、巨大化したタコ焼き型ダモクレスは、いとも簡単にすべての生地を頭の鉄板の型に流し込んでいく。
 ジュー! という香ばしい音が響き、煙が上がった。

 ケルベロス達は、奇襲のタイミングを伺っていた。
 眼前で、たこ焼き器は鉄板の型に生地を流し入れている。
「たこ焼き器がこの大きさになるんですね。一体どういう原理なんでしょう?」
「……これだけ大きいと、具のタコもまるまる一匹ずつ使えてしまいそうよね」
 灯里がダモクレスを見上げ、目を丸くする。その横で、碧はタコ以外にも準備してきて良かったと、安堵の表情。
 やがて、ダモクレスがすべての生地を型に流し終え、立ち上がる。
「オットット!」
 並々と揺れるまだ固まっていない生地に、ダモクレスが溢さないように踏鞴を踏んだその瞬間――!
「この瞬間を夢み、その一念でお生まれになったダモクレスさん。切ないであります、いじらしいであります! ですがっ!」
「同情はある。……だが、仕事だし、俺は容赦しない」
 バンリが、零児が。ケルベロス達が一斉に奇襲を仕掛けた!
 晟の蒼竜の太刀が、弧を描きながら必死にバランスを取るダモクレスの間接部分にねじ込まれる。
 碧の重力を宿した蹴りは、虚空に煌めきの名残を漂わせながら、ダモクレスへと炸裂した。
 そして、立て続けにバンリが、「砲撃形態」に変形さしたハンマーで、竜砲弾をぶち込んだ後……ダモクレスには、体勢を立て直すチャンスがあった。
 だが!
「え、えいやーっ! ――てっ、あわわわわっ!」
 愛が、半ば転んで引っ繰り返るような体勢になりながら、たこ焼きの具材をぶち撒けると、
「アワワワワワワワワワッッ!」
 何故か、ダモクレスの方が愛よりもより慌てながら、空中に舞うたこ焼きの具材を鉄板で受け止めようと奮闘する。
「し、失礼します!」
 その隙に、愛の新聞紙ブレードがダモクレスを裂き、ドラコがブレスを放つ。
「すまないがここから先は通さないぜ」
「そういう事ですので」
「助かる、灯里、翔」
 翔が放出するオウガ粒子の輝きに加え、灯里が地面に刻んだ守護星座の脈動をその身で感じ取りながら、零児が構える二振りの喰霊刀が、夥しい規模で呪いを放った。
「さぁーて、次はこいつの出番っすよ! なんと、既製品のたこ焼きっす! これさえあれば、誰でも即タコパし放題っす!」
「タコパ! タコパーーーー!!」
 シャルルに襲い掛かろうとするダモクレス。
 シャルルは、上手くDFである自分に攻撃を誘導できた事に、くししっ! ニヤリと笑うと、同じDFを中心に蒸気を噴出して援護しつつ、迫る鉄串を受け止めた。


 晟のドローンが展開され、バンリと翔によって技の精度が高められようとしている戦闘中盤。ケルベロス達は、上手くダモクレスの攻撃を誘因をすることで、ある程度のダメージコントロールに成功していた。
(……食べ物を粗末にする趣味はないのだがな)
 ダモクレスが翔に鋭い串を向けようとする中、晟は背負うタンクから、たこ焼きの生地を放出する。
「アブブブブッ!」
 頭から生地を被るダモクレスであるが、すぐにその正体に気づくと、瞳を輝かせて晟狙いに切り替える。
 迫るダモクレスに、ブレスで牽制を加えるラグナル。
「ソレ、チョウダイ!」
 燃え盛るラグナルの炎をかいくぐり、ズブリ! 鉄串が、晟の脇腹に突き刺さる。
 だが――。
「ぬぅッ!」
 晟が脇腹に力を込めると、筋肉が盛り上がり、鉄串を引き抜けないようにする。そうして生まれた一瞬の隙に、晟は返礼とばかりに雷を纏わせた蒼竜之戟をダモクレスに突き刺した。
「ド、ドラコさんは攻撃をお願いしますっ! わ、わたしも! や、やぁー!」
 ドラコが彗星の如くダモクレスにタックルするのを見届けながら、愛もフワリとメイド服の裾を浮き上がらせながら、時空凍結弾を撃ち込む。
「タイミングを合わせるわ、相川さん」
「碧様!」
 それを見て取った碧も、愛に呼吸を合わせ、「虚」を纏う翠玉の大鎌で応戦した。
 すると次第に、周囲にいるだけで感じ取れる程の熱気をダモクレスが発し始める。それは、恐らくはダモクレスの次なる攻撃の予兆。
 バンリが、士気高揚のカラフルな爆風を弾けさせながら、
「ほれほれ! 焼かねば! たこ焼き焼かねば!」
 胸元に忍ばせてあったタコ足を見せつけ、再度攻撃の誘因に励む。
「ど、どこにたこを入れてんっすか!?」
 目を見開くシャルルもお構いなし。
「自分、細かいことはあまり考えん質でありまして! たとえ、たこ臭い女と呼ばれようとも!」
 しかし、バンリの誤算は一つ。
「モウ、タコハジュウブンヨ。アトハ……」
 さすがのダモクレスも、具材はお腹いっぱいのようなのだ。これからは、ダモクレス流のたこ焼きを完成させるのが急務であるとばかりに――。
「次はこっちに来たか。確かに、強力な攻撃だが、封じさせてもらう!」
 機械の手足が、翔を掴み上げる。翔は、そうされながらも、目にも留まらぬ弾丸を手足の関節に撃ち、威力の減衰を謀るが、容赦なく赤熱した鉄板に放り込まれてしまう。
「ひぅっ!!?」
 続き、愛にも魔の手が迫るが、
「やらせないっすよ! って! あっちぃ~~!!」
 シャルルが身代わりとなる。
 かくして、煮えたぎり、ようやく固まろうとしていた生地の中へ具材として放り込まれる二人。クルリと生地がダモクレスの鉄串によって引っ繰り返されると、蒸し焼き状態の二人の呻きすら掻き消される。
「八重倉さん、シークさん!?」
 反応が途絶えた二人に、灯里は慌てて大地に手を触れると、この地に宿る「惨劇の記憶」から抽出した魔力を利用し癒やしの力とする。
「斬らせてもらう」
 さらに、零児が手を休める事なく前に出る。病弱な父に託された喰霊刀に込められているのは、無数の霊体。刀越しに伝わる、今にも暴れ出しそうな霊体を強靱な精神力でコントロールしながら、零児は一閃と共に霊体をダモクレスに流し込み、一部のたこ焼きを切り裂いた。
 と――。
「にゃああああん!」
 シャルルが、咆哮で身を苛む炎を吹き飛ばす。翔と一緒に蒸し焼きの恐怖から逃れたシャルルは頰をバチンと叩くと、ハンマーを構え直すのであった。


「串刺しは勘弁! ……とは言ったが……」
 だからといって、鉄板に放り込まれる事を容認した訳ではないのだと、零児が苦痛に眉を顰める。
「私とて、たこ焼きの具材になるつもりなどない……なかった」
 その隣には、同じく熱と生地塗れになった晟。その生地が、何故か青みを帯びているのは気のせいだろうか?
「ぬ! 大丈夫であります、お二人とも! とっても美味しそうでありますからして!」
 そういう問題ではないのだが、属性を注入するラグナルに続き、バンリは髪にこびり付いた生地を指先で落としながら、鼻息荒く想いの力を顕現させる。
「無明に射せ。ささやかなる輝きにて恢復せよ、取り戻せ」
 精一杯のオーラが、晟に降り注いだ。
「砕き刻むは我が雷刃。雷鳴と共にその肉叢を穿たん!」
 補助を得た晟は、超高速の突きを。
「あ、当たってくださーい! はわわわっ!」
 さらに、愛が魔法の矢を放つ。彼女が狙いを定める間もなく発射された矢は、しかし幸運にもダモクレスに痛撃を与えたようで――。
「タコパも、そろそろ終わりかしらね?」
 関節部位から崩壊を始めるダモクレスに、碧はどことなく寂しそうに告げた。無論、彼女の深紅の髪をベトベトにした罪は重いのだが……。
「悪いわね、貴方を倒す事が、私達の使命なの」
 確実にして安らかな死を期すため、碧の鎌が、ダモクレスの頭部にある鉄板を切り離すべく抉る。
「タコパ……タノシイ! マダ、ツヅケタイ!」
 その時、感情などないはずのダモクレスの機械音に、どことなく混じる暖かさ。互いの存在を駆けた戦いだというのに、ダモクレス……いや、ダモクレスに宿る残留思念は、このタコパからは程遠い乱痴気騒ぎに、満足感を感じているとでもいうのか……。
「タコパでハッピーー!!」
 ともかく、ダモクレスの身を、幸福が満たそうとする。
「この注射は効きますよ?」
 ――そして、ごめんなさい。
 癒やしに包まれるダモクレスだが、影で形成された灯里の注射によって、その効果が阻害される。キュアを持たないダモクレスは、数度重ねられたアンチヒールの影響を多分に受けてしまう。
「機械にはよく効くだろう」
 翔が、手早くガジェットを散弾銃に変形させ肩に担ぐと、ダモクレスへと狙いをつける。雷を帯びた散弾は、これまで積み重ねたパラライズと合わせ、諦めず抵抗しようとしていたダモクレスの行動を失敗へと追い込んだ。
「産まれ変わったら、オイラと一緒にタコパしような……!」
 次は、正真正銘、本物のタコパを。加速したシャルルのハンマーが、ダモクレスの鉄板をグニャリと、大きく変形させた。
「……タコパ……タコパ……パ……」
 ダモクレスの鉄板から、この戦闘中に完成したたこ焼きが、零れ落ちる。
「たこ焼き器見てると……たこ焼き食べたくなるな」
 それは、歪で、汚れていて……だけど、零児にそう思わせる何かがあった。
「渾身の一撃、耐えられるなら耐えて見せろ!」
 全力には、全力でぶつかるのが礼儀であると、零児が殺意を刀に込める。やがて解放された抜刀術は、メンバー中最高の威力を伴って、残留思念に安息を与えるのであった。

「食べられないのは残念だが……致し方――おい、莓荊君」
「ふぁんでありますはぁ?」
「いや……」
 地面に転がった無数のたこ焼き。それらに所々、錆や変色を見て取った晟が、これを食すのは無理だと首を横に振っていると、彼は視界の端に、それを平然と食すバンリの姿を発見する。
 その事について問いただすと、
『汚れ? 先程も言いましたが、自分は細かいことはあまり考えん質でして……美味しい。美味しいよ、たこ焼き器さん』
 とは、バンリの言。
「こ、これで、全部……でしょうか?」
 その時、一人で黙々と、率先してたこ焼き器の破片を集めていた愛が、仲間を振り返った。
「お疲れ様、相川さん。集めてくれたのね?」
「こ、こういうの、得意ですからっ!」
 そこに、周辺のヒールを終えた碧が戻ってきて、愛を労う。
「やはり物は大事に扱わないとな」
 原型を止めないたこ焼き器の姿に、翔がガジェットを撫でながら、ポツリと呟く。
「……どこかで実際にタコパ……できればいいんだけれど」
 碧もそう言った。
 すると――。
「いい方法があるっすよ」
 シャルルが告げ、愛からたこ焼き器の破片を受け取る。
「シークさん、お疲れ様です。……ところで、いい方法ってなんでしょう?」
 灯里が、軽く頭を下げながら、シャルルに問う。
 シャルルは、八重歯を見せながら、
「これでも機械を愛する一人っすよ。おいらに任せてもらえれば、たこ焼き器を生まれ変わらせられるかもしれないっす!」
 そう笑った。
「……悪くないな」
 釣られるように、零児も口元を綻ばせる。
「貴方様とたこ焼き、もう一度できるかもしれないでありますか!?」
 バンリが、破片を手に、諸手を挙げる。
(タンクに少し残しておいた生地を使う日は、以外と近いのかもしれんな……)
 晟は願う。
 その日が、一日も早く訪れる事を……。
 きっと、最高に美味しいたこ焼きが焼けるはずだから。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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