道場剣法では無いんだからね!

作者:baron

 四方八方から迫る物体を、からくも避けながら少女が剣を振るう。
「こっ、こんなことでは笑われてしまいますわ」
 漫画か何かで良く見る他愛ない光景であるが、そのお嬢様は一味違っていた。
「もっと優雅に、よりしなやかに!」
 少女は一定のラインから一歩もずれる事無くあることを目指し、四方から迫る物体もできる限りエレガントに避け、あるいは剣で迎撃して行った。
 一度成功して駆け抜けただけでは飽き足らず、繰り返し繰り返し、ダンスの練習の様に繰り返す。
 そんな時の事。
『お前の、最高の『武術』を見せてみな!』
「……」
 突如現れた少女……、剣を持ったこの部屋の主人よりも小さな子の言葉に、僅かに躊躇うそぶりを見せた。
 だが、剣を眼前に構えて猛烈な突きを放ったのである。
「我一撃を阻む者なし、エスタブリッシュメント!」
『僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ』
 喉に刺さりはしても貫通しても居ない剣を放置したまま、現れた少女は銀色の鍵を部屋の主に突き刺したのである。
 するとどうだろう。そこには美しい妙齢の女性が、鎧と剣を持ち姫騎士とも言うべき姿で立って居たのである。
『お前の武術を見せ付けてきなよ』
 姫騎士とでも言う他ないナニカは、そんな言葉を投げかけられると優雅に頷いて部屋を出て行った。


「武術家を襲うドリームイーター幻武極の事件が起きます」
 ユエ・シャンティエがドリームイーターの事が書かれたお手製の巻き物と、別荘地の地図を手に説明を始めた。
「今回襲撃した武術家の武術ではモザイクは晴れないよおですが、代わりに、武術家のドリームイーターを生み出して暴れさせようとするらしいですわ。これが中々強力で、みなさんの御力を借りたいと思いまして」
 武術家型ドリームイーターは、元となった被害者の理想形として現れる。
 ゆえに強い技を持って居たりすることもあるとか。
 ただし、そういった被害者は人里離れた場所で人知れずに修行して居ることが多く、今回の被害者もどちらかといえば夏の別荘地で修業して居たので、周囲に人は居ないそうだ。
 そういう意味において、周囲に被害を気にする事はないだろう。
「敵は一体のみで、軽装鎧姿の女性が一人。武器はサーベルで戦いぬくタイプの様ですわ」
 ユエは半紙にさらさらと筆で絵を描いて行くが、お姫様が無理して剣を持ち鎧を身に付けて居るようにも見える。
 武術家型ドリームイーターの被害者は本職の武術家と、夢見る少年少女が居るが……後者なのかもしれない。
「プライドが高く勝負を挑まれれば向かってくるでしょお。どこか恰好良いステージを用意して待ち受けても良いかもしれませんなあ。庭などでもええですけど、せっかくの雪景色ですけえ、自分らで拵えるのもええかも」
 橋の上とか、庭の真ん中とか。急げば別荘の出口なども良いだろう。
 そんな絵になる光景で待ち受け、勝負を挑めば乗って来るだろうと思われた。
 そういった場所が無くとも道筋は決まっているので、雪を積み上げて恰好良い雪像に囲まれて闘うだけでも良いかもしれない。
 真面目に作戦を練る大人達に、雪像を作るぞと言う子供達。ワイワイガヤガヤと相談が始まったのである。


参加者
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)
除・神月(猛拳・e16846)
雑賀・真也(不滅の守護者・e36613)
病院坂・伽藍(隠された秘密・e43345)
ドロッセル・パルフェ(黄泉比良坂の探偵少女・e44117)
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)
篠原・祈(地球人の土蔵篭り・e46115)
百地・垓清(理外を求める放浪拳士・e46616)

■リプレイ


「広い御庭ですし雪像を並べるには問題なさそうです」
「どうせだシ、コロッセオみてーに雪像の柱で囲んでやるのも楽しそーだナ」
 ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)が簡単な計測を終えると、除・神月(猛拳・e16846)は早速ゴロゴロと雪を固め始めた。
「これは何処に運べば良いんだ?」
「もう少し雪像のサイズを大きくしたいので、あちらにお願いします」
 百地・垓清(理外を求める放浪拳士・e46616)が獣の力で雪で作った板を持ち上げると、ミオリは気真面目に場所を指示する。
「寒くないか?」
「寒いっすよ。ルイベにされているサーモンの気分だ」
 垓清は指示された通りに雪像の外面に雪の板を張って行くが、中に居る病院坂・伽藍(隠された秘密・e43345)は寒い寒いと答えた。
 こう見えてノリノリなので中止はしない。
「完成、グランドクロスだゼ! これだけ寒い思いすんダ。正々堂々と正面から不意打ちしてやんゼ」
「不意打ちに正々堂々なんてありませんよ! ……人を救うためですからね! 心苦しいですが全力で悪役に徹しますよ!」
 神月はドロッセル・パルフェ(黄泉比良坂の探偵少女・e44117)の顔を見て、ニヤニヤと笑って耳打ちした。
「随分と嬉しそうだナ、お嬢ちゃんよウ。っと時間か」
 お返しは『私、そんなんじゃありません!』と言いそうだが、神月は自分が言いたいことだけを言って雪像の中に籠ってしまった。
「私っ……。あーもう、勝手なんだから」
「そこまでにしておいてください。皆さん、来たようです……目標確認、オープン・コンバット。状況を開始しします」
 ドロッセルが反応しようとしたところで、ミオリは留めておいた。
 庭に一人の少女が通りかかったからである。

 雪の柱や金剛力士のような雪像が並ぶ庭を、軽装鎧に剣を構えた少女が軽やかに歩いて来た。
 その姿を確認したケルベロス達は姿を隠し、あるいは後方に下がって動く気が無いと見せておく。
「そこの姫騎士殿。突然で悪いが、相手をしてもらえないだろうか?」
『あら。剣の御相手でよろしければ構わないわ』
 まず雑賀・真也(不滅の守護者・e36613)が前に進み出て、まるでワルツでも申し込むかのように口火を切った。
 返す言葉は『誰か?』ではなく、早速、剣を交えようと言う直接的なものだ。
(「鎧を着た女性の武術家ドリームイーターか、見た目だけなら物語の主人公って感じ。でも……」)
(「この人、必死に強くなろうとしてる人なんだね」)
 その姿に後方で見つめる篠原・祈(地球人の土蔵篭り・e46115)と今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)は、僅かに躊躇いと申し訳なさを覚えた。
 言葉には出さないが、心の中でちょびっとだけ誤っておく。
(「でもね、これは剣同士の戦いじゃないんだよ。ボクは拳で上回ってみせるんだ!」)
 日和はそんな事を想いながら、剣士たちの交わす言葉を見守るのであった。
 何せ正々堂々と戦いを挑む様に見せながら、その実、不意打ちをする気なのだ。
(「強くなった後で何をするか、それが問題なんだよね」)
 祈たちは最初から騙し打ちにするのだから、裏切りと言うよりは表返りというべきなのかもしれない。
 地球人として強くなるならともかく、ドリームイーターとして誰かを殺す為ではケルベロスが放置出来る訳が無かった。


「では剣で語るとしよう。君の美しい剣捌きを確かめたいのでな」
 真也は視線を動かすことなく、ただ白刀と黒刀を出現させることで開戦を告げた。
 そしてゆっくりと歩き出して動きを窺う。
 ただし窺うのは姫騎士では無く、仲間達だ。
「俺が覚えてる唯一……」
 垓清は片方の手を頭部のガードに回し、残る手を引いて拳撃の形を作る。
「百地流皆伝 理外 百地 垓清」
「私はドロッセル・パルフェ、デウスエクスを吹っ飛ばす探偵少女!」
 垓清は何か言おうとしたが上手く思いつかず、まあそれが相応しかろうと拳で応酬する。
 同じ様にドロッセルも名乗りを上げて、黒い薙刀を掲げて呪いの炎を灯した。
「行きますよ!」
「ここ、ガラ空きだよっ!」
 ドロッセルはハンマーを変形させて不意打ち気味に豪砲を放ち、日和に至っては名乗りもあげずに飛びこんで来る。
 待って居るのは怒りではなくサーベルによる返礼だった。
 高速の突きを刃で反らす為、ドロッセルは薙刀を回転させる。
『来なさい! 踊りましょう! エスタブリッシュ!』
「ふん。力を求めるのは確かに分かるけどなぁ! ソレを目的にしちゃ意味ねぇんだよ!」
 垓清は踏み込んだ拳で重い一撃を放つ。
 悪態を吐いたつもりだが、気が付けば忠告になってしまったことに気が付いて思わず苦笑を浮かべた。

 そこまで四人掛りで挑もうと藻、不意を討とうと微動だに崩れなかった姫騎士の微笑みだが……。
 ここに来て崩れる様な事態が起きる。
「オラァッ! ボヤボヤしてっと綺麗な鎧もドレスも剥かれちまうゼー?」
『なっ。隠れて居たとは卑怯な!』
 自分が強者と信じて居るのか、多数や奇襲などでは余裕を崩す事は無かった。
 だが金剛力士の片方の雪像の中より、神月が背後から襲い掛ったことで初めて怒りの表情を浮かべる。
「卑怯、変わり身、転針。上等だゼ。丸裸にしてやんヨ!」
『服を引き裂くとは破廉恥な!』
 神月の逞しい指先が姫の元に迫り、白魚の様な肌を蹂躙すべく以下略。
 まずは綺麗な御ベベを剥がして上げましょうねと、剥ぎ取りに掛った。
「卑怯? 何を言っているんですか? ここは戦場です! どんな手を使おうと勝った方が正義なんですよ!」
「悪いが例え卑怯であってもケルベロスである以上勝たなければならない」
 ドロッセルが啖呵を切ると、伽藍もまた金剛力士の雪像の中から現れた。
 ショートジャンプの飛び蹴りを食らわせ、頭を抑えにかかった。
「そうだ。俺は『1人で相手をする』とも、『正面から戦う』とも一言も言っていないが? 騎士として誇り? はっ、笑わせないでくれよ、姫騎士殿。戦いに求められる結果は結局、勝利だけだ。そんな馬鹿げた誇りなんぞ、そこらの犬でも食わせてしまえ」
 真也は嘲るように苦笑いを浮かべると、黒刀の魔力を開放して切り裂いた。
 上手く受けられたがそんな事は百も承知、グラビティの護りこそを切り裂いて仲間が掛けた負荷を増大させていく。
「悪いけど、これってデウスエクスとケルベロスの戦争なのよね。……本当は恥ずかしいからあまり使いたくないんだけど」
 祈は少しだけ恥ずかしそうにオーブを取り出すと、流し眼に載せてグラビティを放つ。
 美しい仕草で世界が螺子曲げられ、少女を束縛に掛ったのだ。
『よ、良いでしょう。最初から戦争だと言うならば、私も全ての手段を許容出来ます。その上で! 私は華麗に勝ってみせましょう!』
「更なる攻勢を予想。物理障壁展開」
 売り言葉に買い言葉。くぁ勝って居ても気持ちの良い物ではない。
 ミオリは長引くであろう戦いに備え、溜息を吐いて重金属の霧を開放した。
 彼女の予想通り、様子見は終わり苛烈なる戦いが始まったのである。


『我一撃は万軍を阻む関、舞えブリリアント!』
「おっとっと。範囲攻撃ですか。でも……」
 ドロッセルは味方前衛への攻撃全てを防げはしなかったが、特に挑発などしてない垓清や伽藍が狙われていないのを理解した。
 どちらかと言えば彼女自身や真也のついでに狙われた形であり、挑発を繰り返せば単独攻撃くらいは絞れるかもしれない。
「作戦は成功して居る様ですね。重ねて物理障壁展開を継続します」
「そうと判れば早速……。あー避けたら家が燃えますよ、火行・終式 喰霊赫灼!」
 ミオリは魔法金属片を含む蒸気を噴出して味方を守り、ドロッセルは特に罵倒の言葉は思いつかなかったので悪役のフリを続行して屋敷への被害を気にしないことにした。
 敵が屋敷をバックにした瞬間に、漆黒の炎を刃に宿して剣圧と共に放つ!
『何と言う事を!』
「戦いに求められるのは勝利だけだと言った」
 真也は月光する姫騎士に攻撃を合わせ、白刀を閃かせて顔面に繰り出す。
「わっ。そこまでやるんだ二人とも。……コレで痺れちゃえ!」
「これも作戦だぜ。まあ……中々出来ないことだからじゃないっすかね」
 日和が驚きながら足払い繰り出すのに続いて、伽藍は肩をすくめて大太刀を切り上げた。
 弧を描いて敵の頭を薙ぎつつ、刃で蹴りと挟み討ちに掛る。
「ねえ、何か思いつく?」
「悪いがそういうのは得意じゃない」
 祈と垓清は顔を見合わせた後、出来る限りで良いかと思うことにした。
「仕方無いわね。この一撃を受けよ!」
 祈は星剣で雪の柱を斬りながら目潰しに変えると、そのままペースを変えて斬り付ける。
「我、理を外れ、魂を削り、魄を得た者也。駆る脚は、時を置いて、百地を超える。振るう拳は、万里を貫き、百地を繋ぐ。穿て!」
 ここで垓清は掌の中にグラビティを集めて拳を固める過程で握りこんだ。
 ゆっくりと引いた鉄拳は弓の様に緩急を付け、姫騎士では無く世界を殴り付けることで間合いこそを撃ち抜いたのである。
 揺らぐ世界は大気をも歪ませ、軋む様な音と共に鎧が穿たれたのが判る。
『貴女がたに恥は無いのですか!』
「細けえこと良いんだヨ! そんなお行儀よく剣を振り回した所デ、あたしには当たんねーゼ?」
 神月はこれ以上ないほどのドヤ顔を浮かべ、ナイフで陽の光を跳ね返した。
 目潰しを継続すると同時に、ナイフの魔力でトラウマを思い出させてる為だ。
 そしてワキワキと指先を艶めかしく動かすと、再び服を剥ぎ取りに掛ったのである。これも作戦の内、決して趣味でやっている訳ではない! ……はず。
「鎧脱いで舞踏会にでも行ったらどーだヨ? 何ならガラスの靴でも作ってやろーカ」
『結構ですわ! マキシマーム!』
 逆巻く風を伴って、姫の放った剣圧が神月に迫る。
 そこをドロッセルが飛び出して庇い、それを迂回しながら神月はビリビリと服を引き裂いたのであった。
「ホントーにどっちが悪役か判らないよね」
 日和はボクしーらないっと言いながら貫手を繰り出すのであった。
 一同の作戦や思惑はどうあれ、賑やかな戦いが続いて行く。


「許容限界を確認。ナノ・マシン稼働……修復開始」
 何度目かの攻防が過ぎ去り、ミオリは累積により大怪我に至った仲間へ治療を施す。
 ナノマシンにより対象の細胞そのものを増幅させ、筋肉だけでなく循環系を修復。通常の回復以上の速度で集中治療を行う。
「生体構成要素解析……修復実行」
「ありがとうございます。私はこのくらいで大丈夫かと」
 敵の攻撃は散漫で倒すことよりも自分を馬鹿にした相手への報復が先に立って居る様に思われる。
 ミオリの治療に礼を言いながら、いざとなれば自分で自分を癒したり、庇うのを止めれば済むと答えた。
「まあ、どっちかと言えば命中するかの方が問題無いんですけどね」
「悪いな。手間を掛けさせて」
 ドロッセルは射撃モードに移行して豪撃を浴びせ、もの凄い音を当てる。
 それにあわせて垓清が正拳突きを浴びせるのだが、見切られている為か殆ど当たらない。
『くっ……。殺し合うならまだしも、これほどの恥辱を負わせられるとは。許しませんよ!』
(「惜しい惜しイ。あともう一押しかナ」)
 姫騎士は鎧を壊され服をはがれ、涙の代わりにモザイクを流しながら胸を手で覆っている。
 怒りの咆哮を上げながら仲間の掛けた負荷を跳ね飛ばして行くのだが、神月は何となく残念な物を感じた。
 トドメ間際だったら、『くっ殺せ』と言うのだろうかと思いながら、最後の追い込みに掛る。
『へんたいヘンタイ、この変態!』
「おっと作戦なんだかラ、そいつは褒め言葉だナ。何だったらもっと可愛い声で叫べるようにシてやろーカァ!?」
 神月のニヤリとした笑いを見て罵倒の言葉が飛んでくるが、不敵に笑ってナイフで攻めた。
 跳ね除けられた負荷を再び増大出せる為だが、勿論狙いの本命は服だ。
 ああ先に言っておくと、神月は演技をして居るだけでSじゃない……はずだ!
「あとチョイ……。いける?」
「……保存して居た映像があるから直ぐに行けるわよ」
 伽藍は祈がオーブに保存して居た貌を映し出すのを見て、それで十分だと走り始めた。
 ソレを援護に飛び込んで致命的な間合いを探す。
「狂い咲け! 黒百合!」
 黒百合の花言葉、呪いと恋。当然ながら顕現させるのは恨みとつらみ。
 重ねて幾星霜。八重垣に降り積もる恨みを重ねて、食らえば全身からグラビティ・チェインを溢れさせる。
 呪いは蔓を形作り、華開く。我身に刻まれた怨念が一気に膨れ上がり、かきむしる様に噴出させるとそれらは全て敵へと刻み直された。
 人を呪わば穴二つ、伽藍に刻まれた怨念こそがデウスエクスに転写されるのである。
「我が魂は鋼鉄なり。無限の剣戟が存在する我が世界、今、ここに顕現せよ。無限の剣戟世界」
 真也は白刀と黒刀をその場に突き刺し、死天剣戟陣を裏返す。
 そこには複製した武具を保存し、放った技を保存する月夜の荒野だ。
「これが俺の辿り着いた剣戟の極地だ。騎士としてのお前には、どう見えるかな?」
『我道を他人と比較する事など意味がありませんわ。戦いとは常に己との戦いなのですから!』
 ここで真也は始めて心から笑った。
 嘲るの表情を打ち消して抜刀すると、微笑みながら剣を飛ばす。
 そして飛剣を受ける姫騎士を切り刻み、背後に回りながら最後にXの時に斬り付けた。

「周囲に敵性存在なし、クローズ・コンバット、皆さん、お疲れ様でした。片付けを始めましょう」
「くっ、殺せ……。とか言わせたかったなア。マ、お前の理想は楽しかったゼ。上手く成長したらちゃんと戦おーナ」
「騎士として誇り……か。確かに美しくはあるが、そんなものに縛られては、生き残れないさ」
 動か無いことを確認して、ミオリは拳銃状態を解除。
 弔いの言葉は不要だろう。神月と真也は残骸を移動させながら、被害者の介抱に向かう。
「こんなもんすかね?」
「私は屋敷が心配なので見に行ってみますけど」
 修復度合いを伽藍が確認して居ると、ドロッセルは悪役をやったノリを思い出し、タバコ型のチョコを苦々しく加えた。
「せっかく作った物を壊すのは気が引けるけれど、コロセウムも壊していこうか」
「そうだな。雪かきついでに陽のあたる場所に移動させておこう」
 祈の提案に垓清は頷きながら、まずは崩れた雪像を移動。雪の柱で汚れ隠しにしておいた。
「おつかれさまーっ! ねえねえっ、せっかくだから雪合戦しよっ! いざ、ジンジョーに勝負!」
 作業を待って居た日和は、雪玉を投げながらこう微笑んだ。
 誰が乗ったかは別として、雪玉ときどき石の入った雪玉が飛び交ったと言う話である。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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