合法ロリはロリじゃない！

■リプレイ

●教会前
「ロリはロリータという自分より年下を愛する人達のようですね。しかし、合法ロリとは……。つまり非合法ロリもあるという事でしょうかね。どういう事でしょうか……まあしかし非合法と言うくらいですから犯罪なのは間違いありませんが……」
　ユリス・ミルククォーツ（蛍狩りの魄・e37164）は事前に配られた資料を読みながら、仲間達と共にビルシャナが拠点にしている教会の前にやって来た。
　ビルシャナは信者達を前にして、合法ロリはロリじゃないと訴え、信者達と一緒に犯罪ギリギリの行為に手を染めているようだ。
「……何だろうな。合法ロリを批判する内容だけなら、特に何も言うコトはないが……」
　野和泉・不律（ノイズキャンセラー・e17493）が、複雑な気持ちになった。
　教義を聞く限り、ビルシャナ達は犯罪者集団。
　このまま放っておけば、間違いなく違法なロリ（？）に手を出し、警察の厄介になる事だろう。
「悟りどころか頭の中、聞き分けのない子供みたいね、こゆ大人って。……ちょと嫌な事思い出しちゃったし、きちんと成敗しちゃわないと」
　近衛・如月（魔法使いのお姉ちゃん・e32308）が、自分自身に気合を入れる。
　どちらにしても、このまま放っておけば、ビルシャナ達が犯罪に手を染める事は間違いない。
「それ以前に、合法ロリの人が、合法なんて、見た目でわかる訳ないのに……変態鶏にはわからないんですね」
　若生・めぐみ（めぐみんカワイイ・e04506）が、意味深な笑みを浮かべる。
　だが、ビルシャナは顔のシワや、体つきで合法か違法か見分ける事が出来るらしい。
　そういった意味でビルシャナ達は、その道のプロ。
　いつ捕まってもおかしくないほど、ヤバイ集団のようである。
「……とは言え、若い子ってロックなのです！　私もスーパー銭湯に行ったときは、たまたま入ってきたショタをじっと見つめてしまうのですよ。ほら、ショタのプリッとしたお尻って最高でしょ？　……あ！？　共感しちゃダメですね」
　ヤマダ・タエコ（ボッチなアニソンロッカー・e11869）が白いパンツに素肌の上からサスペンダー姿にユニオンジャックを纏った姿で、小さくコホンと咳をした。
　危うくビルシャナの教義に共感しそうになってしまったが、だからと言ってビルシャナが正しいと思っている訳ではない。
「卍ちゃん的には、このまま教会に火を放って終わりにしちゃいたいＮＡ。だＭＥ？」
　篠崎・乙女（画狂少女卍ちゃん・e46617）が、自分なりの考えを述べた。
　おそらく、それが世のため、人のため。
　例え信者達が命を落としたとしても、誰も困らない気もするのだが、あくまでそれは最終手段と考えるべきである。
「まぁ、洗脳されて目先のことしか見えなくなっているのでしょうけれど……。少し、冷静になって頂く時間を設けましょうか」
　鬼灯・こよみ（カガチの裔・e39618）が、深い溜息を漏らす。
　気のせいか、今回に限っては洗脳されていないような気もするが、その時はその時……だろう。
「……ん？　勢いで来てしまったのじゃが、もしかして妾、ここにする信者達のターゲットになるのでは……！？」
　その途端、草薙・大神（草薙神社の主神・e39759）が身の危険を感じて、全身にぞわっと鳥肌を立たせるのであった。

●教会内
「いいか、お前等！　合法ロリはロリではない。いわば、ロリの紛いモノ。あくまでロリの代替えでしかないッ！　そんなモノに何の価値があるッ！？　ハッキリ言って価値などないッ！　価値があるのはロリのみ！　お前等、何も恐れるな！　ロリにはそれだけの価値があるッ！」
　教会の中にはビルシャナがおり、信者達を前にして、自らの教義を語っている最中だった。
　しかも、教会の周辺が記された地図が貼られており、ターゲットと思しき少女の詳細と写真も一緒に貼られていた。
　この時点でヤバイ臭いがプンプンと漂っているせいか、何やら近寄り難い感じである。
「……よいか、合法ロリも違法ロリもどちらも不許可じゃ！　至高なのは女子高生に決まっておるじゃろう！　草薙神社の氏子になるというなら、特別に妾の神社の現役女子高生巫女に、あんなことやこんなことをサービスさせてもよいぞよ？」
　そんな中、大神がビルシャナ達の前に立つ。
「女子高生……だと！？　あんなモノは俺達からすれば、出がらし同然！　法に触れてまでゲットする価値はないッ！」
　ビルシャナがキリッとした表情を浮かべ、キッパリと断言。
　『どうせ捕まるのであれば、ロリの方がマシ』と言わんばかりの不機嫌である。
　しかも、大神を見るビルシャナ達の目が……かなりヤバイ。
　これはまるで真性ロ……そこまで考えて、大神の思考が停止した。
「おにいちゃん、そんなことより、ふたりだけでめぐみとおはなししませんか？　ばれんたいんのちょこもあるんだけどなぁ」
　めぐみが甘ロリファッション姿でラブフェロモンを使い、上目遣いをしつつ舌っ足らずな口調で、傍にいた男性信者にチョコレートを見せた。
「何やら勘違いをしているようだが、俺達はこの道のプロ。合法か、違法かくらい一目でわかる！　そもそも、雰囲気が違う！　ニオイが違う！　味が違うッ！　だからわかる！　本物はそっちだあああああああああああああ！」
　　傍にいた男性信者が『馬鹿にするなッ！』と言わんばかりに、大神をずびしっと指差した。
「……あ、あれ？　もしかして妾、狙われておる？　ち、ちょっと待つのじゃっ！　妾は女子高生がエロい目に遭うのを見るのが好きなのであって、自分がそういう目に遭うのは御免なのじゃっ！」
　それに気づいた大神が薄っすらと涙を浮かべ、激しく首を横に振る。
「……やれ！」
　だが、ビルシャナは容赦なし。
　信者達がビルシャナの指示に従って、ワラワラと大神に襲い掛かっていく。
「そ、そこを触るのはダメなのじゃっ！」
　その途端、大神が着物を脱がされ、耳や尻尾を触られ、恥ずかしそうに声を上げた。
「……一言いい？」
　如月が頭にピキィッと怒りマークを浮かべたまま、ツカツカとビルシャナに歩み寄っていく。
「なんだ、お前は……！」
　ビルシャナが犯罪ギリギリの表情を浮かべ、鬱陶しそうに如月を睨む。
「違法って自分で言ってる時点で、危ないことしてる自覚持ちなさいよ！　バカでしょ、貴方達！？　それに、ね。……違法な事されそうになって、一番怖くなったのって、そんな目の大人達を……一切、信じられなくなりそうになった事なんだから……」
　如月が今にも泣きそうな表情を浮かべ、ビルシャナ達に訴えた。
「だが、それだけの価値があるッ！　危険を冒すだけの……価値が！」
　それでも、ビルシャナはまったく悪びれた様子もなく、拳をギュッと握り締める。
「……えっＴＯ。合法ロリはダメで、非合法ロリがＯＫとかいうあなたたちは、結局『非合法』の背徳感に喜びを見出しているだけの不埒者だＹＯ！！　背徳感に溺れて、いつか、『ＹｅｓロリータＮoタッチ』の精神を忘ＲＥ、愛すべきロリを傷つける事になるし、捕まって親御さんが泣くことになるＹＯ！！　今のうちに、悔い改めなさＥ！！」
　乙女がスケッチブックに美しいロリ絵と不貞ロリコン、悲しむロリと不貞ロリコン、牢屋に入った不貞ロリコンと悲しむ両親などの漫画絵を次々に見せながら、ビルシャナ達に語り掛けていく。
「悔い改める！　妥協しろと言う事か！」
　ビルシャナがイラっとした表情を浮かべ、ケルベロス達をジロリと睨む。
「それが、おきて、おきてだよ。見るだけ、愛でるだけ。嗅ぐだけ、視線が合わないようにして微笑むだけ。でも、その勢い……心配になるですよ。ノータッチを忘れる……絶対、忘れるです。やっちゃうですね。その先に何があろうともすべてを捨てて……」
　ヤマダが色々と察した様子で、ビルシャナ達に生暖かい視線を送る。
「ああ、そうだ。例え、すべてを失ったとしても、俺達に悔いはないッ！　むしろ、本望ッ！」
　ビルシャナが興奮した様子で、全身の筋肉を隆起させた。
　まわりにいた信者達も『その通りッ！』と言わんばかりに、叫び声を響かせた。
「違法に手を染めるのであれば、前途ある若人の未来の為にも此処で徹底的に叩きのめしてしまった方が良いか……」
　不律が説得しても無駄と言わんばかりに、ジリジリと距離を縮めていく。
「お、俺達は何も怖くないぞ！　何も、な！」
　ビルシャナが酷く焦った様子で、必要以上に強がった。
　本音を言えば、怖いのだろう。
　それでも、感情を抑える事が出来ないと言うのが、本心なのかも知れない。
「ところで昨今、性犯罪を見る世間の目はますます厳しくなっていると聞きます。警察が怖くないとして、皆さまのご近所の目など、いかがですか？」
　こよみがスマホのボイスレコーダーアプリで、これまでの会話を録音し、ビルシャナ達に語り掛けていく。
「そ、そんなモンで俺達がビビるとでも思ったのか！？　笑わせるなッ！　やれるものなら、やってみろ！」
　ビルシャナが脂汗を掻きつつ、ケルベロス達を挑発した。
　まわりにいた信者達も、不安げな表情を浮かべつつ、同じように強がった。
「……と言うか、犯罪、犯罪、犯罪ですー！　知らないみたいだから言っておきますけどね。非合法は犯罪ですよ！　いけないんです！　あなた達は分かっていないとかいるとか、いないとか。いつもいい加減な理屈と勢い誤魔化しますが……。このままだと家宅捜査が入るです。身内を悲しませたくないなら目を覚ますです」
　すぐさま、ユリスが婦警の恰好でビルシャナ達の前に立ち、厳しく指導するのであった。

●ビルシャナ
「俺達がここにいるのは、自分達の意志ッ！　それよりも、お前……。随分とウマそうじゃないか。ちょっとだけ……ちょっとだけイイたろ？」
　髭面の男性信者が両手をワシャワシャさせ、舌舐めずりをしながらユリスに迫る。
「なんだか怖いです、この人達……！」
　その途端、ユリスが身の危険を感じ、髭面の男性信者をパシーンと平手打ちで倒す。
　だが、髭面の男性信者にとっては、御褒美。
　むしろ興奮すると言わんばかりの表情を浮かべていた。
「どうやら、既に手遅れのようですね」
　めぐみが色々と察した様子で、信者達に生暖かい視線を送る。
　ナノナノのらぶりんも残念なナマモノを見るような感じで、信者達を眺めていた。
「何が手遅れなモノか！　ギリギリ気づいたのさ！　愚かな決断を下す前に、な！」
　小太りの男性信者が両目を血走らせ、自分達が正しい事を強調した。
　もちろん、それは大きな間違いであるのだが、ビルシャナの言葉を鵜呑みにしているせいで、まわりが見えなくなっているようだ。
「やっぱり、HENTAIは元から断たないと駄目ＮＥ！」
　乙女が何かを悟った様子で、メタリックバーストを使う。
　ここまで来ると、世の中にとって害でしかないため、少し痛い目に遭ってもらう必要がありそうだ。
「まあ、逝くギリギリくらいの攻撃は必要だろうな」
　不律が何かを悟った様子で間合いを詰め、信者達に手加減攻撃を仕掛けていく。
　それは信者達にとって、あの世とコンニチワするほどのレベルであったが、多少痛い目に遭っておかなければ考えを改める事はないだろう。
「うぐ……俺の信者がッ！　よくも、よくも、よくもおおおおおおおおお！　お前達など、細切れにしてブタのエサにしてやるゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ！」
　ビルシャナが殺気立った様子で、孔雀の形をした炎を放とうとした。
「これで……フィニーッシュ！」
　それを迎え撃つようにして、如月がフェスティバルオーラを纏うような形で、ビルシャナにケイオスランサーを仕掛ける。
「ば、馬鹿な。俺が……ま……がはっ！」
　その一撃を食らったビルシャナが目をパチクリさせ、自分が吐いた血の上に突っ伏して動かなくなった。
「はあはあ……、酷い目にあったのじゃ……」
　そんな中、大神があられもない姿のまま、恥ずかしそうに胸元を隠す。
　何とか一線は越えなかったものの、耳や尻尾をイジり回されたせいで、立ち上がる事さえ出来ないほど疲れ果てていた。
「あ、あの……俺達……」
　信者達も何とか意識を取り戻し、怯えた様子で口を開く。
　この様子では、完全に戦意を喪失させているため、ケルベロス達に逆らう気持ちもないようだ。
「もうビルシャナと無関係ですから、この録音を残しておく必要はありませんね。ただし、妙な真似をするのであれば、次は……ありません」
　こよみが先程の録音を除去しつつ、信者達に釘をさす。
「も、もちろん！」
　信者達も納得した様子で、力強く何度もコクコクと頷いた。
「人間賛歌は生命賛歌なのですよ。だから私は歌うです！　今日も私は最高にロックです！」
　そう言ってヤマダが信者達を前にして、声高らかに歌うのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2018年2月15日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 1／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 4
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