
●天は乳の上に乳を以下略
「大きいものは大きくて良し。でも、小さいものも小さくて良しなのです」
とある廃ビルの屋上にて、いたく柔和な雰囲気を持つビルシャナが、大衆雑誌を教典代わりにして10人ほどの男たちに自らの教えを説いていた。正座して並ぶ男たちは、教祖のありがたいお言葉をただただ静聴している。
「たとえばこの雑誌のグラビアの愛らしい女性、バストが控えめですがそのおかげでシュッと綺麗なシルエットになっていると思いませんか?」
「確かに直接的ではない、奥ゆかしさ的なアレが……」
「なだらかな輪郭線がいいですね。これが巨乳だと下品な印象が……」
「ノンノン」
控えめな乳を推すあまり巨乳を貶める言葉を口にしかけた信者に、ビルシャナは穏やかな微笑を浮かべて首を振った。人差し指を小さく左右に動かす優雅な仕草も添えて。
「言ったでしょう。大きいものも良いのです。グラマラスな肉体、大いに素晴らしいではないですか。男心を鷲掴みにする暴力的なアピールもまた称賛すべきものなのです。慎ましさと清廉さを併せもつ、小さなおっぱいと同じく」
「な、なるほど……浅はかでした……」
「謝ることはありません。だって私たちは同じものを愛する同志ではありませんか」
「教祖……!!」
寛大な心を見せる鳥と自分とを比べて、信者は恥じた。そして同時に目の前の教祖に絶大な尊敬を抱き、頭を垂れる。
「さぁ、一緒に目指しましょう。すべてのおっぱいが愛される、明日の理想郷を!」
「は、はい!!」
世の女性たちのおっぱいをあまねく愛する。その志の下に、鳥と男たちは結束し、気づけば円陣を組んでいた。
「おーーー………………」
「「「「っっっぱい!!!!」」」」
鳥さんの音頭に乗って、慈悲深いおっぱいスキーたちはその慈しみの心を言葉に変えるのだった。
●理想を打ち砕け!
「という有様です」
「うーん、なんだろう……余計なお世話って感じだよね! 鳥のくせに!」
ありのままの状況を口頭で伝えたイマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)の隣で、小早川・里桜(焔獄桜鬼・e02138)はご機嫌斜めな顔であーだこーだとビルシャナについて文句を言っている。一丁前にそれっぽく教祖している鳥野郎にちょっとイライラしているのかもしれない。
「言わずともおわかりと思いますが、皆さんにはこのビルシャナの退治をお願いしたいんです。すでに10人もの信者を獲得してしまっているわけですが、放っておけばその数もどんどん増えていくと思われるので」
イマジネイターはケルベロスたちに改めて依頼の目的を告げた。勢力拡大する前にアヤしい教団は潰しておきましょう、という話である。
彼が言うようにすでにビルシャナは信者を得ている状態だが、その信者たちはまだ完全には鳥の手先とはなっていない。鳥の主張をどうにか覆すことができれば十分に正気に戻すことが可能であるらしいので、うまくすれば彼らとの戦闘は回避できるだろう。
「信者の目を覚まさせるって言っても……どうすればいーの? 『全部愛しなさーい!』って言ってるのを否定するって結構むずかしいような気がするんだけど……?」
「確かにそうですね。けど信者の人たちはもともと自分の好みがあったはずですから、そこを刺激してみるといいかもしれません。たとえば皆さん自身の好みを熱く語ってみるとか……同調されても反論されても彼らに自分の嗜好を意識させることはできます」
少し考えただけでうんざりして顔をしかめた里桜に、イマジネイターはひとまずの攻め方を例示した。ケルベロスたちの迸る情熱をもってして、信者たちに己がおっぱい道を思い出させるという寸法らしい。確かにそれは良策かもしれない。全力でおっぱいの好みをさらすという羞恥心を問題としなければの話だけど。
「まあ、とにかく思いの丈をぶちまければいいってことだね!」
「はい。彼らはビルシャナの影響下にあって理屈は通じづらい……詰まるところはインパクトの勝負ですからね。皆さんが全力で自論をぶつければ、自然と状況は好転しているものと僕は信じています」
思考を放棄してグッと親指を立てる里桜に応じて、イマジネイターはケルベロスへの謎の信用を口にした。喜んでいいものかわからない……というか喜べないよねコレ。たぶん喜べないヤツだよねコレ。
参加者 | |
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![]() 小早川・里桜(焔獄桜鬼・e02138) |
![]() デフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355) |
![]() イスズ・イルルヤンカシュ(赤龍帝・e06873) |
![]() 七種・徹也(玉鋼・e09487) |
![]() 杜乃院・藤(狼纏イノ羊・e20564) |
![]() 杜乃院・楓(気紛レ猫ハ泡沫夢二遊ブ・e20565) |
![]() シデル・ユーイング(セクハラ撲滅・e31157) |
![]() 草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295) |
●あったかい人たち
「お! お!」
「おっぱい!」
「おおおー?」
「おっぱーい!」
ビルの屋上には、たった四つの文字で発狂するほどに騒いでいる男たちが待っていた。これはひどい。
「こんなビルシャナもいるのだな……」
「セクハラも甚だしいですね」
即通報レベルの人たちにあきれるイスズ・イルルヤンカシュ(赤龍帝・e06873)は、北極の氷を思わせる冷たいまなざしを向けている。そしてシデル・ユーイング(セクハラ撲滅・e31157)に至っては必滅の意志をたぎらせとる。
「姉さん、あんまり近づいちゃダメだよ……もう10歩ぐらい離れて」
「10歩もであるか?」
過保護な弟の杜乃院・藤(狼纏イノ羊・e20564)にぐいぐいと押され、杜乃院・楓(気紛レ猫ハ泡沫夢二遊ブ・e20565)は訝しがりつつもおとなしく下がっていく。
「……むむ?」
「あっ……姉さん、おれの後ろにいて」
しかし楓が完全に遠ざかる前に、おっぱいマンたちがケルベロスの存在に気がついてしまった。何やら興味津々に近づいてくる奴らを見て、藤は姉をかばうように立って睨みを利かせる。
だが、信者たちが声をかけたのは楓ではなかった。
「草薙ひかりじゃないか!」
「いろいろとでけぇ!」
「はは、よろしくー。でもね、今日はちょっとあなたたちに言うことがあってね」
おっぱいマンたちの好奇の目を一身に受けて、しかし草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)は平然と応対している。女子プロレスラーとして破格の知名度を誇る彼女は誰かに声をかけられるのも日常茶飯事だし、肉体を見られることにも抵抗はなかった。でも胸やら尻やらがっつり露出してるきわどいリングコスチューム(しかもゼブラ柄)を野外で着るのはどうかと思うの。
「あなたたちの言い分も大事だよ。でもさ、『やっぱり自分は……』って思いはしまっちゃダメだと思うよ。建前の平等に引っ張られて自分の主義主張を明らかにできないのは、最近? 流行りの同調圧力って奴かも!」
「圧力? ははっ、違いますよ」
「おっぱいはすべて等しい……それに気づいたんです」
博愛主義に染まった信者たちはひかりにつれない返事をした。ひかりの爆乳をちらちら見る目にも、煩悩というよりは慈愛が感じられる。
しかしそんな連中のぬるい笑顔に腹を立てていた者が、ここでプッツン。
「さっきから黙って聞いていれば、さァ……? ただの優柔不断じゃん!」
逆巻く炎をバックに浮かべ(イメージ)、なんなら殺っちゃうほどの眼力で迫ったのは小早川・里桜(焔獄桜鬼・e02138)。どこに出しても恥ずかしくない『ちっぱい』である。
「ちっぱいイイじゃん! 小さいからこそ他の部分の良さや一体感が生まれると思うし、小さいのを恥じらいつつ好きな人にだけ見せるってシチュエーションがグッとくる! ……気がする!」
「なんか怒ってない……?」
まくしたてる里桜の怖気づく信者たち。ちっぱいちっぱいと叫ぶ里桜は、頬に刻まれた十字傷も相まって完全にアブない人でした。
だが筋金入りの博愛主義者である鳥さんは怒れる女をそっと抱擁した。
「ちっぱいを蔑まれてきたのですね? でも安心なさい。我々がやさしい世界を作ってみせましょう」
「ほ、ほんと……!? って違う違ーーう!! 別にそんなの求めてないよ! ちっぱいだって頑張ってるのにでかぱいと一緒くたに考えてるとか燃やすよってことだよ!」
一瞬ほだされかけたが、里桜は水浴び後の犬のように頭を振って鳥の胸をどーんと突き飛ばす。けれど鳥は怒りもせず、周りの信者もただただ温かい笑顔を向けてきやがる。屈辱。
●男には退けないときがある
「「わかってねえ」」
信者たちを一喝する声が2つ、重なった。
鳥が生ぬるい博愛主義を口にするところを目にしたデフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355)と七種・徹也(玉鋼・e09487)の2人による完璧(に無駄)なユニゾンだった。
「お前ら、男なら欲望さらせよ。乳に貴賎なしとか言ってっけど、本当は大きいのとかつるぺたなのとか好きなんだろ」
デフェールが悪っぽく笑って信者たちに囁くと、
「まったくそのとおりだ。おっぱいは……おっぱいはでかいほうが良いだろォ! 膨らみっつーかさ、丸みだよ! でかくないとこれが無ェ。特に乳の南半球だ。下乳の間にできる空間が無いとおっぱいではない!」
徹也が率先するように自身のおっぱい論をぶちかます。大して互いを知った間柄でもないくせに連携とれすぎである。
「オレは美乳派なんだが、そっちは巨乳派か……まぁ男なら十人十色ってとこか」
「あぁ、男なら好きなおっぱいで語り合えるぐらいじゃないとな」
などと、隣近所まで聞こえそうな通る声で会話するデフェールと徹也。なにイイ顔で笑てんねん。
けれど、
「美乳……うっ、頭が……」
「そういえばPCに厳選巨乳フォルダが……」
「な、何を言っているのです!?」
信者たちには結構響いていた。にわかに洗脳が解けはじめていく様子に鳥の悠然とした態度が崩れだす。男の欲望をさらけだした2人のファインプレイ。
だが女性陣のまなざしは冷える一方である。
「あの2人、まるでともに死線を潜り抜けた戦友のような顔になっているが……男同士の友情というものか?」
「いいえ。あれはセクハラ仲間の結託です。このご時世、ケルベロスにもセクハラ講習が必要かもしれませんね」
鳥たちに向けるのと同じ冷たい目をしているイスズが尋ねると、シデルは淡々と野郎たちを切り捨てながらくいっと眼鏡の位置を直した。「セクハラ講習って……男は大変だなあ」
「あなたもですよ」
「えっ」
他人事と思って軽く笑っていたひかり、シデルに対象者入りを宣言されピタッ。まあこの人、セクシーリングコスチュームで出歩いてますからね、セクハラ以前の問題ですからね。
一方。
「ってかよ、乳乳いうよりもっと大事なことがあんだろ。女は尻だよ。尻。ケツが一番なんだよ」
「んひゃっ!?」
信者たちに乱暴に言い捨てたデフェールは、むんず、と里桜の尻を鷲掴みにする。
「ちょっ、デフェー! いきなり揉むの禁止ー!」
尻をつかむデフェールの手をそっと払いのけ、恥ずかしがる里桜。渾身のジト目を恋人に向けるが、当人に悪びれる様子はない。
「いいケツってぇのはこーいうのを言うんだよ。ぷりぷりしたケツ、揺れるケツが一番。ケツも二つあるし掴めるしおっぱいみてーなもんだからケツも崇めろ」
「ケツ、ケツか……」
おそらくおっぱいと双璧をなすモノに多少心惹かれる信者たち。
だが!
「……ケツ?」
徹也の眉間に深い皺が生まれる。あっ……。
「ケツだと? おまえは何を言っているんだ? 男ならおっぱい一択だろ! だっておまえ……おっぱいだぞ!」
激昂なさる徹也。心から大きなおっぱいを愛する彼にとっては、ケツなど到底聞き過ごすことはできなかったようです。ところでケツという言葉が飛び交う現場ってどう考えてもひどすぎるよね。
「いやプリケツだろ」
「南半球こそ天国だ」
「ケツ」
「乳」
顔を突き合わせ、デフェールと徹也がバチバチと火花を散らせる。そしてそのまま、二大派閥の代理戦争(押し問答とも言う)に突入したとかしないとか。
●可能性
男2人はその熱き思いによって終わりなき闘争に身を投じることになったが、その熱情は信者たちにおっぱいへのこだわりを思い出させてもいた。いちおう役に立ってる。
そこへ、藤はさらなる揺さぶりをかけた。
「んー……おれはまだそういうのは未知の領域だけどさ……やっぱり好きになった人のお胸が一番じゃないの……」
「好きになった人の……?」
「うん……その人を好きになればその人の胸が好みになるんだよ……」
自分なりに考えてみたことをぽつぽつと話す藤。
そこへ。
「うむ、トウの言うとおりであるな!」
「姉さん、出てきちゃったの……」
身を案じた藤に避難させられていた楓がひょっこりと顔を出してきた。
「でも吾輩は大きなお胸が好きである! 抱きしめられたらふかっと安心感、おっきいのが世界一であるな」
「……でもその胸じゃきみは……」
「む? 案ずるな。吾輩は将来でっぱいが約束されし猫。母上でっぱいだもん」
己の胸に生温かい視線を送ってきた信者らに、楓は得意げな顔でそう答えた。自分の可能性を信じている少女の微笑ましさに、男たちは思わずニンマリ。
だがその視線に気づいた藤は、慌てて姉の前に立った。
「こらーー!! 姉さんへの手出しは絶対に許さないんだよ! ちっぱいが良いのは分かるけど!」
「トウ、乙女に失礼であるぞ?! 信者どもは吾輩の胸の可能性を……」
「父似の現実を認めない愛らしい猫さんなんだから生暖かい目はダメだよ! 顔は母似で美人は確定だけどちっぱいも揺るぎないんだから!」
楓をかばい、信者を威嚇する藤。変態どもに大好きな姉を汚させてなるものか、という思いだったが、口から出るのはその姉の心をざっくりと抉る言葉。守りながら後ろ手に斬ってる。
「ち、ちっぱいじゃないもん。ちゃんとあるもん! ゆさって……ゆさっ……」
楓は上体を振ってお胸ゆさぁを試みたが、まったく揺れない。コルセットで寄せてあげたはずのちっぱいは鉄の沈黙を貫いております。
「揺れなくても、いいんだよ」
「ちっぱい可愛いじゃないか」
「可愛くたって、吾輩はちっぱいはいやなのだぁああ!」
泣きわめきはじめる楓。信者たちの慰めの言葉が、つらい。
すると藤はおもむろに荷物からタオルを取り出して彼女の涙をふきふきした。マッチポンプとか言ってはいけない。
「はいはい……15歳だもんね。成長期だしまだまだのびしろはあるよ……」
「うぅ……そうだもん。レディだもん……」
「おれは姉さんのお胸好きだよ……」
「……本当であるか?」
ぐしゃぐしゃに泣きはらした楓が、藤の言葉で心を立て直していく。ずびずび鼻をすする姿はとてもレディには見えないが、しかし弟のメンタルケアのおかげで何とか涙は止まったようです。
しかし。
「小ささを気にして泣く女性がいる……やはり私の教えは世に必要」
「ですねえ……」
鳥と信者たちはがっちり結束を強めてました。
●男ってやつぁ……。
博愛主義の必要性を再認識した信者たちは、再び「おっぱいおっぱい」と騒ぎはじめる。
が、シデルがそんな彼らの興奮に釘を刺した。これ以上のセクハラを許すわけには、いかなかった。
「すべてのおっぱいを愛する……と言っておきながら、女性だけなのですか」
「え、だっておっぱいは女性しか――」
「雄っぱいとて! おっぱい!! 胸に対する博愛の精神を極めたいというならば男女平等に愛するべきです!!」
「お、雄っぱい!?」
唐突に示された新機軸に、信者たちは驚愕した。そして戦慄した。
雄っぱいとか何を言っているんだこいつは……と言いかける。しかしシデルの威圧的な空気がそれを許さなかった。
「という事で、ハイ皆さんは2人でペアを組んでー。お互いの雄っぱいを見つめ、良い所を褒め合いましょう。細マッチョだろうが鳩胸だろうが巨乳だろうが、最低10個は褒めましょうね」
「じ、地獄じゃないですか!」
「地獄? なぜです? どんなおっぱいも尊いのでしょう?」
「そそそれは……」
「出来ないのなら、所詮あなた方の主張はただの性的嗜好です。大小にこだわる輩と何ら違いはありません!」
「ぐぬぬ……!」
シデルの強引がすぎる無茶ぶりを受けた男たちは一瞬は逡巡した。殉教して雄っぱい観賞という地獄に踏みこもうかと。しかし実行に移す者はいなかった……だって雄っぱいだもの。見たところでちっとも嬉しくない、むしろ哀しみしかないこと必至なんだもの。
明らかな動揺を見せる男たち。
そこへ、追撃をかけるイスズ。
「貴様達にも大切な人がいるのではないか? ならば杜乃院の言うとおり、それでいいのではないか? すべてを愛さずとも好いた相手のものを愛せばいいと私も思うのだが」
「そ、そういうもんでしょうか……?」
藤の言葉を借りて言い聞かせてみるイスズだが、今ひとつ信者たちの反応は薄い。
ならばどう攻めてみるべきか……としばし考えたイスズは何を思ったのか唐突に服を脱ぎ、ビキニ水着に覆われた柔らかな豊乳を見せつけていた。なぜ用意よく水着を着ていたのかは彼女のみぞ知る。
「こ、これは……!」
「これでどうだ? これでも貴様達は、大小に差異はないと感じるのか?」
「くうっ……! しかしすべてのおっぱいを愛する誓いを破るわけにはぁ……!」
さらけ出された胸の谷間をガン見しつつも、まだ男たちは必死に煩悩を抑えていた。欲望を刺激する方向で頑張ってみたイスズだったが、それでもまだ鳥さんの教えを吹き飛ばすインパクトはなかったらしい。
しかしおっぱいスキーのリビドーを堰き止めていた博愛主義は、続いて声をかけてきたひかりによってあっけなく瓦解した。
「きみらのその覚悟は見上げたものだと思う。でも『好き』を主張することと、『他を認めない』ことは違うんじゃない? それに私だったら……」
そう言って、ひかりはあざとくも姿勢を前かがみにした! ただでさえ露出していた爆乳が、何物をも包みこむような圧倒的な迫力でおっぱいスキーたちの目に飛びこんでくる!
「好きな男の子に『ひかりのでっかい胸が好き』って言われたら、のぼせあがって『色々』やってあげちゃうかもしれないよ!」
「色々……だと……!」
「アレもコレもですか!?」
「もちろん、アレもコレも」
「ふおおおお!!」
こくりとうなずく光を見て、信者たちは機関車が煙を吐くように鼻息を荒くする。いかに抑制しようとも本能を御しきるなどできるはずもなかったようで、煩悩で博愛をどこかへ消し飛ばした男たちはすっかり正気に戻っていた。
「はー! クソ鳥をたたきの刑に処せてせいせいだよー!」
「あー……こいつの焼ける匂い嗅いでたら腹減った。なぁ、里桜。帰ったら焼肉でも食いに行くかァ?」
癇に障る教義をぶちあげていた奴を葬り去った里桜とデフェールは晴れ晴れとした表情で夕飯の算段を立てている。そして2人の足元にはこんがり焼けたビルシャナが転がっていた。独りになった教祖は、そのおっぱいへの愛とともに軽やかに散っていました。
そんな哀れなる亡骸を、徹也は物憂げに見下ろす。
「――まあ熱くなって色々言ったが、おっぱいで人の価値は決まらねえ。その点ではこいつにも正しさはあったな……」
酔いが醒めたようにつぶやく彼の脳裏に浮かんでいるのは、貧乳だった亡き妻の姿。しかし貧乳であろうと、2人は愛という絆によって強く結ばれていたのだ。
……的な空気に本人は浸っているが、数分前まで南半球がどうのとか言っていた事実は揺るぎはしない。
その証拠に、徹也を見る女性陣の目は、依然として冷たいままでしたよ。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2018年2月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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