●魅せるダンサーの本性
愛知県名古屋市のとあるダンススタジオ。
そこで、多数のダンサー達が見つめる中、1人の男が鮮やかなダンスを踊っている。
ステップからの淀みないターン。さらに、ジャンプも華麗に着地してみせた。
見る者を魅了するダンステクニックを持つ彼の名は、小手川・澄也という。
「こうだ。おめぇらもやってみろ」
だが、小手川のテクニックはずば抜けており、並みの技量のダンサー達が同じように踊れるわけもなく。
「たーけが!!」
小手川は舌打ちし、グダグダの踊りをするダンサー達に罵声を浴びせた。
「なんで、これくりゃーのステップができないのか……」
そして、彼は仲間であるはずのメンバー達へと、どこがダメだとねちねちしつこく攻め立てる。くどくどと悪態づく彼の様子に、ダンスをしていたあの優雅さなど微塵も感じられない。
その後小一時間ほど、休みなく踊らされたダンサー達。荒い息を吐いて倒れこんだ彼らの体を、小手川は激しく蹴り飛ばす。
「おめぇ達に才能なんてにゃーわ。やめてみゃー」
1人が泣きながら、この場を出て行く。
場の空気も悪くなり、練習が続けられる状況ではなくなった為、その日はお開きとなった。
ダンススタジオに1人残っていた小手川は、ウサ晴らしにダンスを踊る。
性格はどうあれ、ダンスの技術だけは一流の彼の舞い。
それを、いつの間にか現われた紫の衣装を纏う踊り子のような姿の女性が見つめていて。
「あなたには才能がある。人間にしておくのは勿体ない程の……」
タールの翼を背に生やす彼女は紫の炎を燃やして、小手川へと歩み寄る。
「だから、これからは、エインヘリアルとして……私たちの為に尽くしなさい」
「う、うぐあああぁぁぁっ!!」
炎に包まれた小手川。全身を燃やした彼は、命を散らしてしまう。
しかし、その遺体が大きく変形し始める。身長3mほどに体が膨れ上がり、新たなエインヘリアルが誕生してしまう。
「く、苦しい。なんだこの渇きは……」
「なら、人間からグラビティ・チェインを奪いなさい。期待しているわ」
女性……シャイターン『炎彩使い』の1人、紫のカリムは怪しく微笑んでみせたのだった。
シャイターン『炎彩使い』の暗躍。
その予知があったということで、ヘリポートにケルベロス達が集まる。
「紫のカリムがダンサーを狙うそうねぇん?」
やってきた永巽・イヴ(宝石魔術師・e29543)の言葉に、説明を始めようとしていたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が首を縦に振った。
「そうだね。残念だけれど、1人の男性がエインヘリアルとなってしまうよ」
リーゼリットはそのまま、今回の事件について話し始める。
シャイターンの女性達で構成される『炎彩使い』達は死者の泉の力を操り、その炎で燃やし尽くした男性をその場でエインヘリアルにすることができるようだ。
「エインヘリアルとなった男性は、グラビティ・チェインが枯渇した状態のようだね」
それゆえに、彼は人を殺してグラビティ・チェインを奪おうと暴れ出す。
これを止めるべく、説明終了後にすぐに現場に向かってエインヘリアルを撃破してほしいとリーゼリットは言う。
「エインヘリアルは宵の口の時間帯、愛知県名古屋市の繁華街に現れるよ」
その出現、迎撃は裏通りとなるものの、人払いの手段は用意しておくべきだろう。
相手は、鮮やかなダンスで魅せる元ダンサーだ。
エインヘリアルとなったことで、戦場を舞いながら手にするナイフで相手を切り刻み、あるいはグラビティの込められたダンスで相手の動きを止めようとしてくる。
「『自身は優れていて、全ての人間は自分の糧となるのは当然』なんて考えを持っている相手だね」
エインヘリアルとなり、殺人すらも厭わぬ彼をそのままにしておくわけにはいかない。
また、倒した後は周辺のヒール作業を行いたい。
夜はまだ始まったばかりといった時間帯だ。ケルベロス達の歌声や演奏、ダンスといった手段による修復があれば、現地の人々を元気づけることができるだろう。
一通り説明を終え、リーゼリットはさらに告げる。
「デウスエクスの一員となってしまった彼は、もう討伐するしかないよ」
――現地の人々が犠牲になる前に、せめて。
できるだけ早い事件の解決を、彼女はケルベロス達へと望むのだった。
参加者 | |
---|---|
エピ・バラード(安全第一・e01793) |
片白・芙蓉(兎頂天・e02798) |
物部・帳(お騒がせ警官・e02957) |
氷鏡・緋桜(矛盾を背負う緋き悪魔・e18103) |
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558) |
ピレレ・エルウェー(ウェアライダーの鹵獲術士・e34581) |
八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004) |
月・いろこ(ジグ・e39729) |
●邪なる存在に魅入られた男
愛知県名古屋市。
繁華街を歩くは、ケルベロスの一行だ。
「にゃーん! スタジオ周辺が『わやなってまう』のです!」
標準語にすると、台無しになってしまうといったところか。
清州寄りの名古屋弁が好きな、八点鐘・あこ(にゃージックファイター・e36004)だが、地元民ではないとのこと。
「討伐いこみゃあ!」
なお、猫っぽい言葉で、意気込むねこ、もとい、あこである。
「本来、人を楽しませて元気にするのが音楽やダンスの役割だと思うんですけどねー」
意気揚々と依頼に臨む、物部・帳(お騒がせ警官・e02957)の言葉に、月・いろこ(ジグ・e39729)はううんと唸りながら。
「どれだけ優雅に踊れても、心が伴ってないなら虚しいだけ。……私はそう思うけどな」
いろこは旅一座で踊りを披露していた過去を頭に過ぎらせ、素直な思いを語る。
今回の相手は、エインヘリアルと成り果てた男性ダンサー。どうやら、話によれば、陰湿でダンサー仲間をいびり、直接暴力も働いていたとか……。
「あらあら」
そんな相手に、全身白一色といった服装の片白・芙蓉(兎頂天・e02798)は呆れを覚えていたようだ。
しかし、氷鏡・緋桜(矛盾を背負う緋き悪魔・e18103)は思うことがあるのか、俯いていて。
(「本当に討伐……殺すしか道は無いんだろうか……」)
誰だって、死にたくは無いのは間違いない。
――ダンスメンバーにキツイ事を言うのも、独りになっても踊るのも、ダンスが好きだからだろうに……。
彼は今回の討伐対象に対し、好意的な見方をしていたのだ。
「どうにか、殺さずに事件を終わらせたいな」
その方法を模索しつつ、緋桜は仲間と共に現場に急行するのである。
すでにダンススタジオのある界隈には、討伐対象の姿が現われていた。
「おめぇらのグラビティ・チェインをよこせ!」
長身の男、エインヘリアルと成り果てた小手川・澄也が街中でいくつかの種類のダンスを使い分けながら踊っている。
このままでは、敵はグラビティを使った舞踏でこの地の人々を死に至らしめてしまう。
ともあれ人払いを行うべく、レプリカントの篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)が公共機関に連絡を取る手前で、数人のメンバーが敵の気を引く。
あこが前線で小手川の手前で身構える横で、進み出た緋桜が相手に呼びかける。
「お前がダンスを愛する様に、地球を愛せればその渇きもきっと収まる」
そして、彼は相手の目を見つめて。
「だから、人を襲うのを止めて降伏しろ! でなければ、俺たちはお前を殺してでも止めなくちゃならない!」
「…………」
そんな緋桜の視線を、エインヘリアルは無言で見返していた。
仲間が敵を抑えてくれている間に、別働隊が周囲の人払いを進める。
「私たちはケルベロスです! デウスエクスは私達が引き受けます。どうか落ち着いて避難して下さい!」
割り込みヴォイスを使い、帳が周囲に呼びかける。
「皆さまの誘導は任せたのだわッ」
この場の人々は他のメンバーに任せ、芙蓉は手早く周囲にキープアウトテープを張り巡らせていく。
「みんな、はやく逃げてくださいなの」
ダイナマイトモードを使ったピレレ・エルウェー(ウェアライダーの鹵獲術士・e34581)は、魅力的な瞳を人々に投げかけつつ訴えかけた。
「ケルベロスがみんなを守るの、おちついてね」
そんなピレレの声に励まされ、人々はこの場から離れていく。
同様に、ケルベロスと名乗るいろこも時に翼を羽ばたかせ、人々のスムーズな避難を呼びかける。
この場の敵の位置を気にかけながら避難を促すのは、奇抜な衣装を着たエピ・バラード(安全第一・e01793)だ。
最悪、敵の射線に出て人々を庇えるようにと彼女は身構えていた。
さて、エインヘリアルを抑えるメンバーの方へと佐久弥が進み出て、質問を重ねる。
「エインヘリアルとしてではなく、地球の一員として生きる気は?」
予めどうしようもないと言われていても、彼は確認せずにはいられなかったのだ。
だが、小手川は先ほどの緋桜の問いと合わせて、否定する。
「乾いて仕方にゃーでな。お前らから、グラなんとかを奪ってやるがね」
「俺らのこと、何かわかるっすよね。……ケルベロス、今は君の敵っすよ」
やめる気はない。そう判断した佐久弥は構えを取る。
緋桜も一つ溜息をつき、手で橙色の髪をかき上げてから敵と見据えた相手に突っ込んでいくのだった。
●見る者を死へと誘うダンスに価値はあるのか
エインエリアルと成り果てた小手川は、グラビティ・チェインの枯渇に苦しみながらも構えを見せる。
とはいえ、いくらデウスエクスの力を得たとはいえ、戦いは素人。
相手の構えを待たず、緋桜は薔薇型攻性植物をツルクサのように伸ばして小手川の体を縛りつけていく。
ただ、緋桜はその間も相手の様子に顔をしかめていた。
続いて攻め入る佐久弥は、先ほどの問いはきっぱりと割り切っている様子。
「悪いっすけど、ダンス勝負に付き合うつもりはないっすよ」
暴れるのを止める気がない相手へ言い放つ彼は、高く飛び上がる。
「デウスエクスとして、グラビティ・チェインを奪おうというなら……」
そして、落下速度に加えてグラビティ操作で宙を蹴り、加速していく。
「天より降り来る天ツ狗――万物喰らい万象呑まん」
大剣から噴霧される炎血を纏い、佐久弥は速度を力に変えてエインヘリアルへと叩きつける。その瞬間、炎血の爆圧が敵をなおも叩きつけた。
「……ケルベロスがくる。それがお約束。憶えてるっすか?」
「そうましい、黙っていなせゃー!」
小手川はステップを踏み出し、躍動するようなヒップホップを踊り出す。
ダンサーとしての小手川なら踊るだけだったのだろうが、エインヘリアルと成り果てた彼は、殴打や蹴りを交えて襲い掛かってくる。
それを、あこは仲間の盾となるべく、ウイングキャットのベルと一緒に受け止めていく。
「ベル、ひたすら翼を羽ばたかせるのです!」
主の呼びかけに応じて、仲間達に敵の踊りが及ぼす影響を軽減させる為に翼を羽ばたかせた。
なにせ、相手のグラビティは広域を攻撃する者ばかりと来ている。
(「自分ばかりひとりで受けすぎないように……」)
一旦、相手の殴打を受け止めたあこは態勢を立て直し、毛づくろい追走曲を口ずさむ。
「にゃんぺろにゃんぺろもふもふつやつや にゃんぺろにゃんぺろさらさらつるつる にゃんぺろにゃんぺろごしごしつやつや にゃ~~~~♪」
可愛らしい鳴き声で歌う彼女は、自身や仲間の防具のコンディションをお手入れして綺麗にしていった。
周囲には警官隊が駆けつけ、徐々に人々の避難が進む。
それもあって、誘導を行っていたメンバー達も徐々に戦列に加わってくる。
「ダンスは人に見てもらって、楽しませるもの、だとおもうの」
ピレレはすでに戦う仲間達にオウガ粒子を飛ばしてメンバー達の感覚を覚醒させながら、戦うエインヘリアルへと問いかけた。
「だれも居ないところで踊るダンスは楽しかったかしら?」
ギリッ……。
エインヘリアルの歯軋りが、メンバー達の耳にまで届く。
「今のあなたの踊りは、ただ踊らされてるだけの踊り。例え性格が歪んでても、前はちゃんと意思があっただろうに」
その相手へ、高く跳躍したいろこがさらに声をかけていく。
「……なぁんて。言っても仕方ねぇんだけどさ」
流星の蹴りを叩き込んだいろこは軽やかに着地し、踊るようにステップを踏む。
対抗するように、小手川な止めを交えるダンスに切り替え、ケルベロスに痺れを与えて動きを止めようとしてくる。
「あらあら、オイタとオイタが合わさって目に痛いこと」
戦域の封鎖を完了して戦線に合流してきた芙蓉は、相手を達観するように一瞥して。
「……哀れに思わないでもないけれど、楽にしてあげましょうか」
「そうですねー」
「まったく、そのとおりです!」
同意するのは、同じ旅団『Everlast』の仲間、帳とエピだ。
「先に謝っておきますが、敵と間違えて誤射しちゃったのに許してくれてせんきゅー!」
粗忽者なだけに、サムズアップする帳のその言葉は恐ろしい。
だが、彼は制止を待たずして、魔弾の射手の名を冠したリボルバー「捕鳥部万」から銀色の弾丸をばら撒くように放ち、相手の足を止めようとした。
「あぶないのです!」
「ちょっと、あたしに合わせて攻撃しなさいよー!」
先に攻撃する仲間にぷんすか腹を立てる芙蓉だが、エピも構わずテレビウムのチャンネルと戦場を駆け回る。
チャンネルの画面の閃光に合わせ、エピは虹を纏った急降下蹴りを食らわせて相手の気を引く。
「にゃろう……」
ギロリと睨みつけるエインヘリアル。しかし、チャンネルは背中を向けてそれを受け流す。
一方で、そんな気の置けない仲間達に嘆息しつつも、芙蓉は笑みを浮かべて。
「梓紗、ディフェンダーを頼むわッ」
テレビウムの梓紗は主の要望に応えて前に出て、敵を序盤から抑えるあことベルをメインに応援動画へ癒しに当たっていく。
そして、芙蓉自身も跳躍してから重力を宿した蹴りを叩き込み、相手の軽やかなステップを止めようとする。
「フフフ、可愛い私に蹴りなんてご褒美でしょう。感謝なさいっ!」
堂々と胸を張る芙蓉だったが、エインヘリアル小手川は暗い視線をメンバーへと投げかけるのみ。
「黙って、俺のダンスを見ていればいいんだわ」
そうして、今度はジャズダンスを披露する彼は己の肉体美を見せつけ、ケルベロスを魅了しようとしてくるのだった。
シャイターンが選定するに至った小手川のダンス。
広域を攻撃してくる彼の舞踏は、ケルベロス達を苦しめる。
だが、メンバー達も予め対策をしっかりと練っていた。
唯一、中央に布陣するエピがテレビウムのチャンネルと相手の気を引く。
「貴方の踊りは人を楽しませたり、感動を与えたりするものだったはずです」
小手川へと告げるエピは時に叫び、チャンネルに隠された黄金銃から弾丸を発して癒しに当たる。
「人を傷付ける踊りなんて、見たくありません!」
より歯軋りを強める敵は魅了のジャズダンスを見せ付けるが、その手前ではあこと翼猫ベル、それにテレビウムの梓紗が代わる代わる仲間達を庇っていく。
「無理なら無理と、意思表示するのです!」
あこは飛び出すベルに呼びかけつつ、歌声を響かせる。
「ガラクタの海にある十字架は 罪を持たず消えた命らしい……」
そのメッセージは確実に、サーヴァントに耐える力を与えていた。
そして、ピレレもまた敵を引き付け、攻撃を耐える仲間達の回復に当たる。
仲間達の状況を見て、相手のジャズダンスに惑わされるメンバーへとピレレは満月を思わせる光球を放ち、ロックダンスで痺れを覚える仲間には地面に描く守護星座を輝かせることで硬直を解いていく。
そうする間にも、攻撃メインでグラビティを使うメンバーがエインヘリアルを攻め立てた。
度重なるケルベロス達のグラビティによって、少しずつエインヘリアルの足が止まってきている。
攻撃パターンを変えたいろこは、両脚の地獄の炎を燃え広がらせたエアシューズで敵の体を蹴りつけていく。
いろこの一撃を食らってその身に炎が燻ぶるのを気にかけるエインヘリアルだが、帳がすかさずリボルバーに込めた弾丸を依代として、雷神の一種、蛇神を呼び出す。
「この弾は、少々特別製でありますよ!」
発射した弾丸から食らいつく黒い蛇が首をもたげ、雷嵐を発生させる。
灼かれる敵の姿に、芙蓉は「やるじゃないっ」を喜びの声を上げた。
もちろん彼女もただ声援を送るだけではなく、砲撃仕様の竜鎚からしっかり砲弾を相手に叩き込む。
「くそ、乾く、乾くみゃー……」
立て続けに攻撃を受けたエインヘリアル小手川は、グラビティ・チェインの枯渇の為か顔面を蒼白にしている。
その姿に、緋桜は舌打ちして。
「お前がダンスを愛する様に、地球を愛せればその渇きもきっと収まる」
だが、相手はまるで応じない。躍動するヒップホップを踊りながら殴りかかってくるのみ。
「バカ野郎が……」
小さく呟いた彼は、渾身の力を拳に込めて突き出す。
猛然と振るわれた一撃に、エインヘリアルの体が地面を転がる。
それでも立ち上がろうとする相手に、佐久弥は事も無げに大きく息を吸う。
息を吐き出すと同時に、放たれる熱線。それがエインヘリアルの体を貫く。
もはや、かける言葉も無いと佐久弥は視線を外す。
一方のエインヘリアルは完全にグラビティ・チェインを枯渇させ、その身体を風化させるように塵へと化してしまう。
その残骸に歩み寄った緋桜は黙祷を捧げ、取り出した三味線で鎮魂歌代わりの一曲を奏で始めたのだった。
●歌やダンスで楽しくヒーリング!
戦いは終わったものの、戦場となった名古屋の繁華街はその爪跡が残されている。
ダイナマイトモードを使うピレレはやや赤面しながら、口を開いて。
煌くオウガ粒子や満月にも似た輝きを放ち、ピレレは美しい声を響かせた。
「もし願うのにゃら 願うのにゃら 引き金を引いてみせてにゃ」
あこは猫っぽくブラッドスターを歌い、招き猫風のダンスをのせて銀色の煌く粒子を放って場を盛り上げる。
「街に花吹雪を降らせるっすよー。いぇい」
そんなメンバーの歌や踊りを、バックダンサーとしてステップを踏む佐久弥が花びらを舞わせていた。
仲間達のダンスを見ていたいろこも、小手川のダンス仲間と思われる人々と一緒にその場で踊ってみせる。
「見る人も踊る人も、楽しめるのが一番だよな」
やはり皆でこうして楽しむことこそ、ダンスの醍醐味だと彼は再確認していた。
少し距離を置いた場所では、マラカスにウクレレと忙しなく帳がコミカルに楽器を弾く。
「さあ聞いて下さい。今日このためだけにジャマイカからやって来たプロのマラカスアーティスト・芙蓉殿であります!」
「わー」
帳はハードルを上げ、エピが拍手する中、姿を現す芙蓉。
「ジャマイカとかマラカスとか、知ったことじゃないわよ!」
勢いで悪友の無茶振りを吹っ飛ばす彼女は、テレビウムの梓紗に某映画の明るいテーマ曲をイメージした音楽を流させた。
「フフフ、可愛さのあまり、癒されまくるが良いわーっ!」
仔うさぎのエネルギー体を呼び出し、ぴょんぴょんさせつつ芙蓉は叫ぶ。
その可愛らしい光景に人々は目を細めつつ、幻想で修復される街を見回していたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年2月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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