悲劇を起こすは幸せを招く花

作者:なちゅい

●不幸を招く福寿草
 福寿草という植物は元日草という別称を持ち、正月の飾りによく使われる。
 一般的には黄色の花を咲かせる種が知られており、「幸せを招く」「永久の幸福」などの花言葉を持つことから、幸福を招く花としても知られている。
 前述の通り、年の初めに目にすることが多いものの、それはほぼ促成栽培されたもの。
 自然に花を咲かせるのは旧正月のタイミング。つまり、2月の今くらいの時期だ。
 その福寿草の群生地の一つが長野県にある。
 風に吹かれたのか、その地域の周辺でもまれに見かけるこの花。田んぼのあぜ道に黄色い花を咲かせていた。
 そこを通りがかったのは、まだあどけなさを残す少年、丸橋・尚輝だ。
 この春、小学2年生となる彼は休日ということもあり、友達の家に向かう。
 携帯ゲームを主として遊ぶ尚輝だが、最近はややレトロなボードゲームやカードゲームにも興味を持ち、友達とそれで遊ぶのが楽しみとなっているようだ。
 あぜ道を駆けていく尚輝の前方に、鬼百合を周囲に咲かせた少女の姿がある。
 彼女がそっと周囲に謎の花粉を振り撒くと、近場に咲いていた福寿草が突然、異形巨大化していく。
 福寿草はそのまま、こちらに向かってくる尚輝を捉え、その身体を取り込む。
「えっ、あ……」
 尚輝の意識はすぐに途絶え、攻性植物は彼の体を乗っ取ってしまう。
「それじゃ、景気よくいっちゃおー」
 人型攻性植物の少女、鬼百合の陽ちゃんは楽しげに叫び、人里の方角を指差す。
「自然を破壊してきた文明とか、ドッカーンって破壊しちゃってね!」
 すると、攻性植物は尚輝の足元から生やした根を動かし、少年がやってきた方向へと戻っていくのだった。

 ごく普通の少年が攻性植物の被害に遭う事件。
 それを聞き、ケルベロス達がヘリポートへと集まる。
「攻性植物となった福寿草が悲劇を招くそうだな?」
 駆けつけたレンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)がこの場のケルベロスに確認を取ると、説明を始めようとしていたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が頷いて。
「そうだね。なんともいたたまれない事件だよ」
 現れるのは、 『人は自然に還ろう計画』を実行する鬼百合の陽ちゃんだ。
 彼女が振り撒く謎の胞子によって長野県在住の少年が被害に遭い、攻性植物化した福寿草に寄生されてしまう。
「周囲への被害を考えれば、できればすぐ現場に向かいたいところだね」
 少年のことも気になるが、最優先は攻性植物がさらなる被害を及ぼすのを止めること。攻性植物をどういう形であれ、倒す必要がある。
 攻性植物は1体のみで現われ、配下などはいない。
 少年の体から福寿草が突き出ており、頭上と両肩に大きな花を咲かせている。
「戦闘になると、ジャマーとして立ち回るようだね」
 捕食、蔓触手、光花といった3種の形態を使い分け、相手は周囲の人々を襲うようだ。
 また、寄生された少年は攻性植物と一体化しており、普通に攻性植物を倒すとその命を共にし、死んでしまう。
「助けるなら、攻性植物にヒールをかけながら、粘り強く戦う必要があるよ」
 そうすることで戦闘終了後、攻性植物に取り込まれていた少年を救出できる可能性が生まれるのだ。
 現場は、長野県の住宅地郊外。
 田畑のあぜ道にて、攻性植物は人を求めて彷徨っている状況だ。
「皆が到着したタイミングにはすでに、近隣住人の避難は済んでいるはずだよ」
 対処に当たっては田畑の中での戦いとなるので、農家のことを考えれば、戦後のヒールは予め想定しておきたいところだ。
「残念ながら、人型攻性植物の姿は、現場にはもうないみたいだね」
 こちらも気になるが、今は、攻性植物の撃破を優先したい。
 話を一区切りさせ、リーゼリットは一呼吸置いてからさらに続ける。
「この少年、遊びに行く途中だったそうだね」
 彼をうまく助け出して友人宅に送り届けてあげたいものだが、攻性植物に寄生された者の救出は簡単ではない。
 だからこそ、皆で一丸となって事態に当たる必要がある。
「できれば、この少年に幸福をもたらしてあげてほしい。……どうか、よろしく頼んだよ」
 彼女はそう告げ、この事件の収拾をケルベロス達に願うのだった。


参加者
葛葉・影二(暗銀忍狐・e02830)
レンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)
アイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)
モモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476)
レイス・アリディラ(プリン好きの幽霊少女・e40180)
ティリル・フェニキア(死狂ノ刃・e44448)
日向・灯理(ロマンの探求者・e44910)
陽月・空(陽はまた昇る・e45009)

■リプレイ

●少年を捉える福寿草
 ヘリオンから降下したケルベロス達は、周囲を見回す。
 そこは、長野県のとある住宅地だ。この郊外に攻性植物が現れるというが……。
「其の花が持つ言葉は『幸せを招く』、か……」
 口当てで顔の下半分を覆う葛葉・影二(暗銀忍狐・e02830)はふと呟いたのは、今回倒すことになる花、福寿草についてである。
「福も寿も縁起がイイ文字なんだろ? めでてー名前のBlumeだな」
 ドイツ人のレンカ・ブライトナー(黒き森のウェネーフィカ・e09465)がいう『Blume』は花のこと。彼女は一つ嘆息し、更に続ける。
「そんな名前で不幸を呼び寄せちまうなんて、皮肉もイイトコだぜ」
 福寿草にとっても、今回の一件は甚だしい風評被害に違いない。
「自然に還れ……か」
 仲間達の会話を耳にし、モモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476)は物思いに耽る。
「さしずめ、私の還る自然はコンクリートジャングルかしら」
 孤児として生まれたモモコは、施設を脱走して1人都会で生きてきた過去を持つ。彼女はしばし、それを思い返していた。
 一方で、氷のような印象を抱かせるアイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)は眼鏡を吊り上げつつ、攻性植物の活動に嘆息して。
「ただでさえ自然発生した攻性植物にも手を焼くのに、増やす為に積極的に動く輩まで来ると仕事が増えすぎるのよ」
 早いところ間引きましょうと仲間に促す彼女だが、そう簡単に行かぬ状況だ。
「今回の被害者、まだ子供じゃねぇか」
 ややガラの悪い少女、ティリル・フェニキア(死狂ノ刃・e44448)は舌打ちし、寝覚めが悪くならぬよう慎重に対処したいと語る。
「こういうのは、トラウマになると根深いのよ」
 レイス・アリディラ(プリン好きの幽霊少女・e40180)は、子供……少年が助け出した後について話す。
 少年がそういったものを発症しないようにするのもまたケルベロスの役目だと、レイスは主張する。
「襲われた人間を助けるってのも、案外楽じゃないわね」
 コルセットハットを頭に被る日向・灯理(ロマンの探求者・e44910)もまた、仲間達と会話しつつ思う。
(「私も元定命ならざる身。今更どの面下げて救助などと」)
 とはいえ、今回捕らわれた少年は友との約束を引き裂かれたと彼女は知って。
(「なら、少しだけ手を貸そう」)
 得難い友に会えぬ境遇に少年と自身を重ねた灯理は、その救出を胸に誓うのだった。

 住宅地の外れ、田畑が広がるあぜ道にそいつの姿はあった。
 少年、丸橋・尚輝の体に寄生した福寿草の攻性植物。
 そいつは少年の頭と肩に白い花を咲かせ、さらに突き出すように伸ばした蔓触手をわらわらとうごめかせている。
 メンバー達は複雑な思いで、その相手を見据えた。
「被害が出る前に食い止めねぇとな」
 そんなティリルに合わせて、アイオーニオンは冷静に構えを取る。灯理も自らの役割を果たすべく、呼吸を整えていく。
 これが、『人は自然に還ろう計画』なのか。
 以前、とある依頼で訪れた青い海。深海の神秘的なあの世界であれば、還ってもいいかもしれない。
 そこで我に返ったモモコはぶんぶんと頭を横に振り、両手で頬を叩いて気持ちを入れ替える。
「なんとしても、この少年を救出しなければですね。皆さん、いきましょう」
「出来るなら、助けてあげたいね」
 モモコの呼びかけに、中性的な見た目のヴァルキュリア、陽月・空(陽はまた昇る・e45009)は頷く。
 マイペースで表情にもあまり本心を出さない空だが、少年の助けたいと言う思いは皆と変わらぬようだ。
「攻性植物の撃破と少年の救出。両方狙ってくぜ」
「そうね、子供を救出するわ」
 目的達成の為、レンカはじっくりと相手をするつもりだ。
 そして、応じたレイスも同意して。
「……強者の野望は砕くもの。当然でしょう?」
 彼女が言う強者とは、この事件の元凶である人型攻性植物のことだろう。
 人間の中でも弱者、子供を狙ったその強者は目の付け所がよいのだろう。……もっとも、そいつにとっては老若男女の別なく、単なる標的と考えていたかもしれないが。
「ならば、教えてあげましょう」
 蔓触手をうごめかせてくる敵に向け、縛霊手を嵌めたレイスは身構える。
「老若男女の別なくデウスエクスを屠ることができる、ケルベロスという存在がいることを」
 レイスが身構えると、手前の影二も螺旋手裏剣『辻風』を手にとって。
「『悲しき思い出』になる前に、此処で切り取らせて貰う」
 そう告げ、影二は攻性植物に向かって辻風を投げ飛ばすのだった。

●助けたい想いを抱いて
 攻性植物に寄生された人を救う為には、寄生主の体力を気遣い回復させながら攻撃して攻性植物を弱らせる。これしか手段がない。
 相手に投げ付けた辻風は螺旋を描き、攻性植物の伸ばす蔓触手を切り裂く。
「……今はまだ、耐えろ」
 影二はそう一言、攻性植物に寄生された少年にかける。
 だが、返ってくるのは少年の言葉ではなく、攻性植物が伸ばしてくる蔓触手のみだ。
「正直、長期戦は好みじゃねーが」
 それを、矢面に立つレンカが受け止める。蔓触手に縛りつけられたその小さな体躯から、鮮血が滴り落ちた。
「二兎追うつもりなんだから、頑張んねーとな」
 歯を食いしばるレンカは大きく口を開いて笑い、電光石火の蹴りを浴びせかける。
「助けてあげたい……けれど」
 妖剣士として力を行使するのが不慣れな空の役割は、仲間達の回復。傷つくレンカへと気力を撃ち出していた。
 前方では、メンバー達がなおも攻撃を仕掛ける。
 斬霊刀イズナを手に、モモコは加速して飛び出す。
 モモコの突撃を受けた攻性植物、寄生された少年の体が怯む。彼の表情もまた苦痛に歪んだ。
「自然に還るのは、天寿を全うした後で十分だわ。今じゃないの」
 アイオーニオンも攻性植物に向かって飛び込み、流星の蹴りを叩き込む。それによって、少年の……攻性植物の動きが僅かに鈍る。
「動かれると救出に手間でしょ。大人しくしてて」
 ただ、完全に大人しくなってしまう可能性も否めない。ティリルは万一の覚悟をしてはいたが……。
「そんな事には、出来ればなって欲しくないからな」
 漆黒の刀身と紅い刃を持つ妖刀「狂刃鳳凰」に魔力を込め、ティリルは攻性植物の体を切り伏せる。
「丸橋、尚輝」
 灯理は懐中時計をカチコチ弄りながらゆっくり歩み寄り、少年に呼びかける。
「そこで君の意識が途絶えた時、友達とは二度と会えなくなる。男を見せろ」
 …………反応はない。
 だが、攻性植物が活動している以上、寄生主を見殺しにするはずがない。少年は生きていると灯理は確信し、息を吸ってから声を発する。
 灯理が紡ぐは、寂寞の調べ。
 失われた面影を悼み、魂を呼び寄せて後方に布陣する仲間達に力を与えていく。
 その1人、レイスは縛霊手を嵌めた拳を握りしめ、攻性植物が伸ばす蔓触手を強く殴りつける。
 仲間と共に少年救出に臨むのは間違いないが、彼女は別の視線でも攻性植物を見つめていて。
「じわじわと削れていく様を見るの、たまらないわ」
 敵を、攻性植物を屠るべく。
 網状の霊力に縛りつけられる相手に、レイスは愉悦の表情を浮かべるのだった。

 地主には気の毒だが、戦場が田園地帯だったことが幸いして、新たな被害者を出すことはなさそうだ。
 だが、寄生されている少年は現在進行系で被害に遭っている。
 救う為とはいえ、ケルベロス達は彼へと攻撃している状況だ。
「慌てても仕方ないけれど、じっくりとしたい作業でもないわね」
 もっと効率のいい方法はないのか。アイオーニオンはそれを模索しながらも、古代語の詠唱と共に石化光線を攻性植物へと浴びせかける。
 だが、敵は両肩に咲かせた花から光線を発射し、頭上の花が大きく口を開いてケルベロスへと食らい付く。
「回復、回復。ひたすら回復……」
 仲間が傷つけば、空が気力を撃ち出す。現状、彼がそれ以外をやる余裕はない。
 相手は阻害に動き、仲間達を苛む。空はできるだけそれらの攻撃から仲間を助けたいと考えていたのだ。
 さて、攻性植物は少年の身体を操り、やりたい放題暴れ回る。
 少年の負担も決して小さくない。灯理は自らが持つ武器からひたすら魔導金属片を含む蒸気を発して攻性植物を癒し、少年に刹那の安らぎを与えていく。
 ただ、それによって活性化する攻性植物は再度、頭上の大きな福寿草の花を大きく変形させてかぶりつこうとしてくる。
 それを押さえつけたレンカは、逆にその花をマドレーヌへと変えて。
「Ich habe Hunger」
 幻覚に過ぎないが、空腹を主張する彼女はそれを食らうことで直接体力を奪う。
 勢いで倒す可能性は否めないが、攻性植物は少年に寄生する余力を十分に残している。
 ティリルはそいつを刹那睨みつけ、「狂刃鳳凰」の赤い刀身に呪いを纏わせて美しい軌跡を描きながら、敵の蔓触手を切り払っていく。
 そこからなおも新たな蔓触手を伸ばす攻性植物だが、一体化する少年にも影響が出ていることをモモコが見逃さない。
(「いけない! ……攻撃の手をゆるめなきゃ」)
 それまで、殴打と爆破を織り交ぜて攻撃していたレイスも手を止め、仲間に対して大地から抽出した魔力によって仲間を癒す。
「敵へのヒールは任せるわよ」
「回復を頼めるか?」
 ほぼ同じタイミングで攻撃を止めていたのは影二だ。
 敵の行動、攻撃阻害に回っていた彼は一旦その手を止め、裂帛の叫びを上げて自らの傷を塞ぐ。
「すみません、回復の手が足りません」
 灯理も必死に治療に当たるが、如何せんメンバーの攻撃の手数が多すぎた。
 そこで、アイオーニオンも回復に動き、少年の身体へと魔術切開を始める。
「チッ……、しかたねぇ」
 彼らの頼みを受け、ティリルが指輪を光らせて光の盾を攻性植物の周囲に展開していく。
 それらによって、持ち直す少年の呼吸。ただ、敵の周囲に浮かぶ盾が攻撃の妨げとなってしまう。
「アイツの盾はすぐ破壊したいところだな」
 チェーンソー剣を手にしたレンカは、すぐさまそのモーター音を響かせて浮かぶ盾を破壊していく。
 同時に、影二が稲妻の霊力を帯びた辻風を投げつけ、その動きを止めようとしていた。
「……身動きも出来まい」
 刺激された神経は石にも似た状態となり、攻性植物は少年の体をうまく動かせずにいる。
「動けないのなら、好都合ね」
 アイオーニオンは創造した氷のメスで、少年と攻性植物の繋がりを切り裂いていった。
 敵を抑えていた灯理もここに来て負担が軽くなったと感じながらも、魔導金属片込みの蒸気を発する。
 しかしながら、彼女は少年の体から攻性植物が剥がれかけていたことに気付く。
 そこで、敵は頭上の花を強引に変形させ、食らい付いてくる。
 灯理は身体を一時食らいつかれながらも、頭のコルセットハットを大事に守っていた。
「これだけは、どんなことがあっても……」
 体の傷は気にかけず、帽子にキズがないことに彼女は安堵していたようだ。
 少年の救出は間近と感じた空がそこで、攻勢に出る。
「狂気を抑え込むのは大変だから、使いたくないけど……」
 妖剣士としての力がまだ不慣れ。かつ、近接戦が不得意なな彼だが、この一撃だけならと攻性植物に近寄る。
 空はバトルオーラを纏わせた手刀に無数の霊体を憑依させ、攻性植物の体を捌こうとしていく。
 攻性植物がその一撃で身悶えれば、少年の容態が気になる。
「もうすこしがんばってください! 今助けますから!」
 モモコは念を押して、相手に気合を入れていく。
 宙ぶらりんな状態で操られる少年の顔色はよくなったが、攻性植物が黄色に変色したまま。
 もはや息も絶え絶えな敵へ、レイスは獰猛な笑みを浮かべて。
「いい気味ね!」
 縛霊手に鈍い光を放つエネルギー体を纏わせた彼女は、力の限り攻性植物の花目掛けて叩き込む。
 それによって、少年の体から完全に福寿草の攻性植物は分離し、地面に転がる。そいつは程なく茶色に変色して、枯れ果てていく。
 倒れる少年には、影二が駆け寄る。その命の鼓動があることを確認した彼は仲間達に手を上げて知らせたのだった。

●1人歩き出す少年を見送って
 救助した少年、丸橋・尚輝へ、メンバーはヒールを施す。
 応急処置をとティリルが光の盾を展開していると、少年はゆっくりと目覚める。
「……よく、頑張ったな」
「あなたは強い人間よ。それを誇りなさい」
 周囲の後片付けに回っていた影二はそれに気付き、尚輝に一言声をかける。
 レイスもまた、あの戦いの中生き抜いた彼へと、胸を張るように呼びかけていた。
「え、うん……」
 まだ、何が起こったのかしっかりとは把握できていない少年へと、レンカも気力を放ってから一言。
「ハードな体験をしちまったな」
 さらに、レンカが語る。こんな感じで、世界は意外と危険と隣り合わせだったりする事を。……そして。
「同時に、それを何とかするオレらがいる事、覚えとくといいぜ」
「……うん」
 仲間達に少年の声がけを任せ、灯理は周囲の修復を進めることにする。
(「立てるなら一人でも辿り着ける筈だ。それが大事な約束なら、掛ける言葉なんてないさ」)
 周囲の田畑へと黄金の果実を照らすことで修復に当たり、早々にこの場から立ち去っていく。
 ただ、メンバー達も長く尚輝を引き止める気などない。予知によれば、彼は友達の家に向かっている最中だったはずなのだ。
 空もまた撃ち出した気力によって、尚輝の服装を綺麗にしてから彼を送り届けることにする。
「元気に行ってらっしゃい」
 影二、ティリルはこの場で見送り、田畑へのヒーリングが済んだか確認してから帰ることにする。
「こうなると……、やっぱり元凶探した方が手っ取り早いわ」
 それらのやり取りを見ていたアイオーニオンは残る人型攻性植物を取り急ぎ探すべきだと、空を仰ぐのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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