チョコは貰うものじゃない!

作者:あかつき


「バレンタインのチョコレート……あれは貰うものではない! 自分で奪うものだ! 俺は以前からそうしてバレンタインにはチョコレートをゲットしていた!」
 そう力説するビルシャナの回りは、年齢層の広めな男性十名が囲んでいた。
「そもそもチョコレートをたくさん貰った奴はチョコレートをもて余している。母親やお祖母ちゃん、姉や妹から貰ったチョコレートに加え、学校や職場で貰ったチョコレートを持って帰るのは一仕事! そんな奴からチョコレートを力づくで奪う事は、つまり荷物の軽減、ボランティアに他ならない。そして量が多過ぎて食べきれなかったチョコレート……それは結果として捨てられてしまう。コンビニなどの廃棄弁当が非難される昨今、捨てられるであろうチョコレートを前もって奪い、しっかり食べる! これは立派な環境保全活動! 故にチョコレートを奪う行為は、良い行いである!」
 そう説くビルシャナに、信者達はわぁっと歓声を上げた。


「彩瑠・天音(スイッチ・e13039)の依頼で調査をしていたら、バレンタインのチョコレートは奪うべきと主張するビルシャナを発見した」
 また厄介な、と呟きながら、雪村・葵(ウェアライダーのヘリオライダー・en0249)は集まったケルベロス達に説明をし始めた。
「悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が、今回の目的だ。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、配下を増やそうとしている所に乗り込む事になる。いつもと同じになるが、ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくとおくと一般人は配下になってしまうので、ビルシャナの主張を覆すようなインパクトのある主張を行って、一般人が配下になることを防いで欲しい」
 因みにビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加する事になる。ビルシャナさえ倒せば元に戻るので、救出は可能だが、配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるだろう。
 ビルシャナは氷を飛ばしたり、閃光を放ったりして攻撃をしてくる。集まった信者の数は十人。全員男性だそうだ。
「信者達は、チョコレートをあんなに貰っても捨てるなら一つくらいくれてもいい筈、とか、大荷物になるなら別にいいだろ、とか、沢山あるなら一つくらい無くなっても気付かないだろう、とか、叫びながらビルシャナを讃えているらしいな。説得の参考にしてくれ」
 はぁ、と一つ溜め息をつき、葵は再度ケルベロス達に目を向ける。
「たかがチョコレート……されどチョコレート、といったところか。年に一度のイベントだ。これ以上被害が拡大しないよう、早めに撃破してきてくれ」
 そう言って、葵はケルベロス達を送り出した。


参加者
和郁・ゆりあ(揺すり花・e01455)
隠・キカ(輝る翳・e03014)
皇・絶華(影月・e04491)
彩瑠・天音(スイッチ・e13039)
オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)
アルーシャ・ファリクルス(ドワーフの妖剣士・e32409)
栗山・理弥(見た目は子供中身はお年頃・e35298)

■リプレイ


「まぁ確かに、せっかくのバレンタインイベントっていうのに、一つもチョコ貰えないのは確かに寂しいでしょうしねぇ」
 一斉に振り替える十人の男性信者達とビルシャナに、そう言うのは彩瑠・天音(スイッチ・e13039)。
「ふ、貴様もそう思うか」
 頷くビルシャナに、天音は首を横に振った。
「でも、チョコを貰えないから奪うって発想もどうかって思うのよねぇ。そもそもの発想自体が貧弱だし、器の小さい男って感じもしてカッコ悪いし」
 そう続ける天音に、ビルシャナはぐっと拳を握りしめる。
「なんだと?!」
「お前に何が解る!」
 かっと目を見開くビルシャナと、続けて反論する冴えない男性に、天音はひとつ提案してみる。
「チョコ貰えないなら、奪うんじゃなくていっそあげてみたら? 意中の女の子とか日頃お世話になってる家族とかいるでしょ。アンタ達がチョコ作って誰かにプレゼントするとかどーよ?」
「あげたいんじゃない! 貰いたいんだ!」
 力一杯反論する信者に、天音は小さく溜め息を吐く。
「その方がチョコ泥棒なんて馬鹿らしい肩書きよりよっぽどカッコいいと思うんだけど?」
「何?!」
 叫ぶのは、冴えない男性の隣の信者。
「泥棒が嫌なら、チョコ強盗だねー。モテないからこそ奪うのかね? そして余計にモテなくなる、と」
 順を追って説明を始めるアルーシャ・ファリクルス(ドワーフの妖剣士・e32409)に、信者が叫ぶ。
「失礼だぞ!」
 そんな信者の主張を無視して、アルーシャは続ける。
「ええと、なんだっけ、こういうの『モテない男のひがみ』って言うんだっけ……? まぁ、それはともかくとして、チョコ欲しいのなら上げるよ」
 ぽい、と投げたのは、市販品の四角い一個二十円くらいの小さなチョコ、の箱を数個。
「チョコ!」
 慌ててキャッチした男性は、隣の冴えない男性と睨み合う。
「これは俺のだ!」
「俺にも寄越せ!」
 言い合う二人に、他の信者達も騒ぎだす。
「待て、それは俺に寄越せ」
 ビルシャナがその言い合いに参加した頃、キャッチした男性がふと気付く。
「っていうか、多いし、全員で分けられるんじゃ」
 しかしその呟きは他の信者達には届かず、我先にと手を伸ばし、力任せに押し寄せてくる。
「話を聞けぇっ!」
 チョコの箱を持った信者は、押し寄せる他の信者達から逃げる為、走り出す。
「おい!」
 手を伸ばす信者達を振り払い、信者は何処かへ走り去る。
「ちゃんと見れば行き渡る分はあるんだけどねぇ。ただチョコを奪うことだけ考えてちゃー見える物も見えなくなるってことよなー」
 小さく呟くアルーシャの声は、信者の誰の耳にも届かなかった。
「くそっ!」
 叫ぶビルシャナは、地団駄を踏む。因みに。
「鳥さんの分なんて元々用意してないけどね」
 悪戯っぽく肩を竦めるアルーシャに、ビルシャナがきっと目を向けた瞬間。
「チョコがもらえにゅことが不満なのであろう。なれば儂が作ったチョコをくれようぞ」
 可愛くラッピングされた箱を取り出したのは、オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)。
 着物の袖を払いつつ、ビルシャナに歩み寄るオルファリアは、ビルシャナに箱を手渡す。
「先程の彼もそうであったが、己がチョコをうばわれりゅ立場になれば気持ちもわかろう」
「ほう、この俺に……チョコねぇ?」
 勿論他のやつにやる気は無いが、などと思いながら箱の蓋を開ければ、中から出てきたのはうごうごと蠢き紫の煙を吹き上げる謎の物体。
「チョコ?」
 呆然と呟くビルシャナに、ざわめく信者達。奪うどころか徐々にチョコから遠ざかり始める信者達に、オルファリアは問う。
「相手が教祖だからと言って遠慮してうばわにゅのは主張に反しゅりゅのではないのかえ?」
「くそぉ!!」
 オルファリアの問いに、頑張ってビルシャナの持つ謎の物体に手を伸ばした二人の信者だが、しかし。
「あれを奪うなんて!!」
 教祖だからという話じゃなくなっているが、兎に角断念した二人は涙を流しながら何処かへと走って行ってしまった。
 ビルシャナは謎の物体に視線を向け、それから箱を地面に置いて告げる。
「これはチョコじゃないな」
「チョコじゃぞ」
 ふん、と腕を組むオルファリアの文句は、ビルシャナも信者も聞かなかった事にした。
「チョコもらえなくて、うらやましくて、他の人のチョコとっちゃうんだよね」
 こどもっぽいラッピングをしたチョコを取り出した隠・キカ(輝る翳・e03014)は、近くにいた信者に笑いかける。
「だからきぃね、作ったの。お湯でとかしたり、かわいくするのむずかしかったけど、喜んでもらいたいから、がんばったの」
 はい、あげる。手渡された二人は、恐る恐る箱を開ける。中に入っていたのは、普通に美味しそうなチョコだった。
「甘いから元気出るよ」
 大事そうに玩具のロボを抱き締めたキカの笑顔に、信者二人はうっかり見とれて胸をおさえた。しかし、直後その手の中のチョコに向けられた他の信者達の視線に気付き、びくりと肩を震わせる。
「えっと」
 目を泳がせる信者の服の裾を、ちょいと引き、そして。
「きぃは、あなた達にあげたのに他の人達にとられちゃうのかな……やだな……」
「え、あ、えっと」
 もう一人の信者も、わたわたと左右を見回し、どうしたものかと口を開閉させる。そんな二人から視線を外し、他の信者たちにキカは言う。
「あなた達も、もらったものをとられるの、やだよね?」
「それは、その」
 顔を見合わせる信者達に、ビルシャナは顔を歪ませた。
「何をしている、貴様ら! 奪え!」
 チョコをもらえなかった信者達に動揺が走った、その隙に、二人は走り出す。
「悪い、俺たちは……チョコを渡すわけにないかないんだ!」
 ラグビーボールを抱えるようにチョコの箱を抱き抱え、二人はビルシャナから距離を取る。
「貴様らぁっ!!」
 叫ぶビルシャナだが、その声はキカのチョコを死守すると決めた二人には届かなかった。
「おいしいチョコレート、ほしい?」
 和郁・ゆりあ(揺すり花・e01455)に尋ねられ、気弱そうな信者は目を白黒させてから、小刻みに頷く。
「ほ、欲しい……です……」
 こてん、と可愛らしく首を傾げ、にっこり笑う。
「ちゃんと甘いチョコレート。ね? 私の気持ち、受け取って」
「あ、ありがと……」
 しかしそのチョコレートを彼の手が届く寸前で掻っ攫っていったのは、エディス・ポランスキー(銀鎖・e19178)。
「いやちょっとあんた、それとる!?」
「だって、そのチョコ、アタシにくれるって言ってたじゃない」
 さっと可愛いラッピングを解き、中のチョコをぽいと口に放り込むエディス。
「うーん、相変わらず美味しいっ!」
「僕の……」
「この人に渡したかったのに……」
 地面に膝をつく勢いで項垂れる信者と、涙を浮かべるゆりあに、気弱そうな信者の横の信者が口を開く。
「お前っ!」
 しかし、彼が叫んだ瞬間、その目の前にエディスが何かを差し出す。思わず受け取ったそれは小さな箱。さっきまで怒っていた信者はきょとんとエディスを見る。
「失敗してゴミ箱行きにしようかと思ってた山葵チョコ! 代わりにあげるから奪い合ってね!」
 奪い合うのが正義なんでしょ? とにっこり言うエディスに、山葵チョコを受け取った信者はチョコの箱を握りしめたまま言う。
「そういう話じゃねぇだろ!」
 項垂れた信者が、その声を聞き、顔を上げる。
「お前」
 何やら友情が生まれそうな気配だが、それはそれとしてエディスは肩を竦める。
「ゴミ箱行きのチョコは奪い合えない? 欲しくない? もしそうなら……貴方達が欲しいのはチョコじゃなくて、それに込められた思い、なんじゃないかしら」
 エディスの言葉に、二人の信者のは思わず顔を見合わせた。
「そう、私のチョコレートにも思いが込められてたの。あんたたちね、チョコレートも思いも奪い合っちゃダメ。作ったほうの大切な気持ちがわかる、ほんとのチョコレートと思いが欲しいなら、そんな短絡的じゃなくて、しっかり相手と向き合って」
 ゆりあが諭せば、気弱そうな信者は呆然と呟く。
「そう、だな」
 頷くもう一人の信者と気弱そうな信者は、二人でゆりあとエディスに頭を下げる。
「すいませんでした」
「わかればいいのよ」
 にっこり笑うエディスは、正気に戻った二人にこっそりと囁く。
「そのチョコ、本当は失敗作じゃないの。ちょっとピリ辛だけど、食べると美味しいわよ」
「そうなんですか?」
 二人の信者がエディスのチョコに視線を落とした瞬間、ビルシャナの唸り声が公園に響く。
「どいつも、こいつも!」
 叫ぶビルシャナに呼応して、残った三人の信者達も拳を振り上げる。
「あいつらのチョコを奪え!」
「そのチョコを寄越せっ!」
 ビルシャナの声を合図に、チョコを持った元信者達の方へと押し寄せる信者達。そして背中に庇うように立ち塞がるケルベロス達。両者が激突するかと思われた、その時。
「お前達の想いは理解した。成程……其処までお前達はパワーを求めていたのだな……ならば……! この私のパワー溢れるチョコレートで更なるパワーを身に宿すといい!」
 一個チョコを持って叫ぶのは、ゴスロリ服を身に纏った皇・絶華(影月・e04491)。その横で、段ボール一箱を抱えた栗山・理弥(見た目は子供中身はお年頃・e35298)が立っていた。
「チョコ!」
 沢山のチョコの気配に、信者三人は二人の方へと進路を変えて走っていく。
「寄越せ!」
 絶華の手から難なくチョコを奪った信者は、包みを破いて、ぽいと口に放り込み。
「ぐっ」
 倒れた。
「あれ? チョコ食べたら、たおれた人がいる……グラビティ漢方だね! つよくて元気になるね!」
 カカオ濃度300%の漢方入りチョコだ。
「漢方?!」
 楽しそうなキカに、無事な信者がぎょっとして叫ぶ。そして、絶華から逃げつつ理弥のチョコへの手を伸ばす。
「じゃあこっちだ!」
 彼は適当に掴んだチョコを破いて、口に放り込み、そして。
「甘っ!」
 白目を剥いた。
「俺のおふくろと姉貴達が作った、重過ぎる愛のこもった砂糖ゴリ増しの激甘チョコでよければ、どんどんもっていってくれ! 言っとくけど砂吐くほど甘い、つーか激マズだけど!」
「なんてもんを持ってきてやがる!」
 戦闘不能に陥った二人を見て、後退りする最後の信者。
「もしかしたら自覚なきメシマズが作った激マズチョコとか、怨念がこもってそうな血やら髪の毛やら爪やらが混ざったヤバげなチョコが混ざってる可能性もあるけどそれでも奪うのかって話だよな」
「んな怪しいもん、渡すと思ってねぇだろうが!」
 叫ぶ彼の背後に迫る影。
「さぁ、食べてその身に宿る圧倒的なパワーを感じるがいい! さぁ! さぁ!」
 影の正体、ゴスロリ服の絶華は、チョコを手に、信者に迫る。
「ぎゃあああああ!!!!」
 善意で口の中に捩じ込まれるチョコからは、虫の足っぽいものがはみ出していた。


「くそう!」
 信者が誰も居なくなったビルシャナは、苛立たしげに吐き捨てる。因みに倒れた三人の信者は絶華と理弥が責任を持って公園の端に退かした。
「ふざけるなぁっ!」
 ビルシャナは目を見開き、浄罪の鐘を打ち鳴らす。
「間に合え!」
 仲間達を守るべく、駆け出す理弥。ビルシャナとケルベロス達の間に走り込んだ理弥は、その身に鐘の音を受け、膝から崩れ落ちる。
「いらないから! うわあぁぁっ!!」
 頭を抱えて叫ぶ理弥に、ライトニングロッドを構えて天音が呟く。
「何が見えてるのか気になるけど」
 そして、生命を賦活する電気ショックを飛ばし、回復を施す。
「ありがと」
 なんとなく虚ろな目なのは、さっきのトラウマの所為だろうか。
「そろそろ焼き鳥にしてくれようかの」
 攻撃の終わった隙を突き、半透明の御業をビルシャナに向けるオルファリア。
「焼き鳥だとぉ?!」
 激昂するビルシャナに、容赦なく炎弾を放った。
「キキ、いくよ」
 回復の必要は無さそうだと判断したキカは、キキを抱え、もう片方の手を伸ばし、ビルシャナへと駆ける。駆動音を発しながら回転する前腕は、ビルシャナの身体を大きく抉る。
「他人の恋を奪うのは野暮ってもの。チョコレートに込められたそれぞれの思いを、しっかり理解しなさい」
 そう告げて、ゆりあはビルシャナをサイコフォースで爆破する。よろめいたビルシャナの懐へと走り込むのはエディス。
「チョコの略奪を推奨するなんてひどい鳥ね! 乙女心を知りなさい!」
 己の血を纏わせた拳は力一杯振り抜かれ、ビルシャナの頬を殴り飛ばす。
「チョコって思いを籠めて作ってる子もいるんだよねー」
 つまり、思い……霊体、かな? アルーシャは一人納得し、チェーンソー剣に無数の霊体を憑依させ、ビルシャナを斬りつけた。
「ぐあっ!」
 切りつけられたビルシャナが倒れた先に立っていたのは、カカオ10000%の特別製チョコを持った絶華。
「之は……私が全力で作ったのだが……良ければ食べてくれるか? 圧倒的なパワーを秘めたチョコレイトだ」
「や、やめ、やめろぉ!!!」
 走って逃げようとしたビルシャナが、後ろを振り返った瞬間、投擲されたバレンタインチョコが口の中にスポッと入り。
「うぐおぉぉぉ!!!」
 ビルシャナは跡形も残さず四散した。

「綺麗になったねー!」
 辺りをヒールしたケルベロス達。アルーシャは満足げに服に少しついた埃を払う。
「それにしても、凄かったわね〜」
 みんなのチョコに対するリアクションを思い出しながら、天音が楽しそうに笑う。
「送られてきたチョコもちょっと減ったし、良かった良かった」
 理弥は段ボール箱を見やりつつ、ふうと息を吐く。
 帰って来た元信者達も片付けに参加しており、一段落した今はそこらに腰掛けて思い思いに休憩していた。そんな彼らに近寄っていくのは絶華。その手は、チョコを大量に抱えていた。
「片付けをして、疲れただろう? チョコとは本来滋養強壮として施された物だ。そして現代人は疲れやすい……ならば我がチョコで圧倒的なパワーを得る必要があると言えるだろう。つまり貰ってもいいのだ」
「え、と……ちょっと……」
 動揺が走る信者達に、絶華とは別の方向ならキカがチョコを差し出した。
「チョコ、まだあるから、あげるね」
 救いの手、とばかりにそちらに目を向ける元信者達に、絶華が首を傾げた。
「あ、ゆりあ! チョコ、美味しかったわよ」
 エディスはゆりあににっこり笑う。信者の説得の時に食べたチョコ。信者達に悔しがって貰う為の演技ではあるけれど、あのチョコは本当に美味しかったから。すると、ゆりあは頷き、それからぽつりと誰にも聞こえないくらいの声で呟く。
「だって……ぽこに食べて欲しかったから」
 もうすっかり付き合いの長くなった友人への思いは、きっと、届いたのだろう。ゆりあはにっこりと微笑んだ。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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