銃は剣よりも強し

作者:天木一

 山に生え茂る木々に丸い紙の的が幾つも張りつけられ、その前に黒いスーツを着た男が両足を肩幅に開き、緊張した面持ちで立っていた。
「行くぜ!」
 気合を入れた男が右手を伸ばし懐からオートマチックのハンドガンを抜き放つ。そして片手で狙いを定めると引き金を引き、プラスチックの弾を撃ち出した。勢いよく放たれた弾は的に当たり紙に小さな穴を空ける。続けて違う的へと銃口を向けて撃ち、左手で腰から新たな銃を抜いて反対側の的を狙って撃つ。両腕を伸ばし体を回転させながら的に撃ち、近づきながら撃ったり、屈んだり跳躍したり、まるで武術の演武をするように体を動かしながら撃ちまくる。やがて全弾撃ち尽くすと男は武術の型のようにピタリと動きを止め、ゆっくりと両腕を下す。
「命中率は……8割ってところか。ちっ、9割の壁が厚いぜ」
 的についた弾痕を見て回り、舌打ちした男は残念そうに息を吐いた。
「銃と武術の融合。これを極めればあらゆる近接戦闘で敵なしになるはずだ。なんせ銃は刃物なんかよりつえーからな」
 ニヤリと男は笑い、リロードした二丁のエアガンをクルクルと回転させてホルスターに収める。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
 その背後から突如として現れた幻武極が声をかけた。
「ちっ!」
 舌打ちしながら男は振り向きざまに銃を抜き撃ち頭と胸を撃つ。そのまま接近して銃身を握ってグリップで敵を殴り、反対の銃を腹に押し付けて零距離から発砲する。だが幻武極の体に傷一つ付ける事は出来ない。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 手にした鍵を男の胸に突き刺す。すると男は意識を失い崩れ落ちスーツを土で汚した。
 倒れた男の隣に、全く同じ姿、だがスーツの色だけが白になっているドリームイーターが生まれた。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
 幻武極が声をかけると、白いスーツの男は目にも留まらぬ速度で銃を抜き、張りつけたままの的に発砲する。パンッと火薬が弾ける音と共に的に穴が空いた。そのまま続けて両腕を広げて、演武するようにキレのある動きで全ての的の中心に弾丸を撃ち込み、ピタリとポーズを決めて止まった。風で緩んだ的が吹き飛ぶ。その下にある木にも風穴が空き貫通していた。
「銃は剣よりも強し。銃術を使う俺が最強だ」
 硝煙を吹き消した男が銃を収め、男は町のある方向へと歩き出した。

「次は、近接戦を、得意とする。銃術遣いの、ドリームイーターが、現れるようです」
 櫂・叔牙(鋼翼朧牙・e25222)が新しい敵の情報をケルベロス達に話す。
「ドリームイーターの幻武極が起こす事件です。銃に格闘術を加えた新たな武術の特訓をする男性を襲い、自分に欠損している『武術』を奪いモザイクを晴らそうとしているようです」
 資料を手にしたセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が詳細の説明を始めた。
「モザイクは晴れませんでしたが、新たな武術家ドリームイーターを生み出し人々を襲わせようとしているようです」
 銃と武術の融合。銃術の達人としてドリームイーターが誕生しその力で好き勝手に暴れ回ってしまう。
「人々が襲われる前に、敵を迎撃して撃破してもらいたいのです」
 今なら町の前で敵を待ち構える事ができる。
「ドリームイーターは20代の白いスーツを着た男性の姿で、二丁の拳銃を使用します。高い命中力と、武術の動きによる近接射撃を得意としているようです」
 銃と武術の融合は近接戦闘でこそその力を発揮する。
「現れるのは千葉県にある山の近くの町です。避難は既に始まっているので、戦闘になる町の近くの道路を通る人は居ません」
 一般人を巻き込む心配なく戦いに集中する事ができる。
「武術家だけあり、戦いを求めその鍛え上げた武を使いたいと考えています。ですので戦いになれば逃げず嬉々として命を賭けて戦うようです。町の人々や眠った男性を助ける為にもドリームイータを倒してください」
 よろしくお願いしますとセリカが頭を下げ、出発準備にヘリオンへと向かう。
「銃と格闘術、その融合した技、ですか……どんな、技が見られるか、楽しみです」
 想像した叔牙はワクワクしそうになる心を抑える。
「ですが、人が襲われる以上、しっかりと、相手を倒さなくては、なりません」
 楽しむ気持ちもあるが、きっちりと敵は倒すと言うと、集まったケルベロス達も同じように戦いに心昂らせ、銃術の使い手と相見える為に動き出した。


参加者
ズミネ・ヴィヴィ(ケルベロスブレイド・e02294)
レイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)
シャルロッテ・リースフェルト(お姉さん系の男の娘・e09272)
暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)
リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939)
龍造寺・隆也(邪神の器・e34017)
皇・晴(猩々緋の華・e36083)

■リプレイ

●ガンマン
 山へと続く道が封鎖され、今ではケルベロス達だけが立っていた。
「何やらスタイリッシュな銃捌きをする敵のようですね」
 ならばそれを邪魔しようとズミネ・ヴィヴィ(ケルベロスブレイド・e02294)がその場面を想像して微笑む。
「銃と空手の動きを組み合わせた近接格闘術ですか……。これは今後のためにも参考にさせていただきませんと。銃を使いつつも近接戦もこなせるというのはとても魅力ですし、似た戦闘スタイルの敵が出てきても対処しやすくなりますから」
 人々を守れるよう自らを強化する為、元・指揮官機型ダモクレスのシャルロッテ・リースフェルト(お姉さん系の男の娘・e09272)は敵から学ぼうと待ち構える。
「銃は剣よりも強し、ねぇ……良い事言うじゃねぇか。銃使いの俺としては全面的に同意する言葉だな」
 ニヤリと笑ったレイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)が愛用の二丁の拳銃に触れた。
「俺もあの映画大好きなんだ。奴さんあの動きをどれだけ再現できてるのかなぁ」
 以前に見た映画を思い浮かべながら、暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)は敵と相まみえるのを楽しみにしていた。
「そういえば毎回気になるけど今回は何処がモザイクなのかな」
 銃や手がモザイクだと射線が読みづらいなぁと考えなが山を見やる。
「映画を観て憧れる、で終わらずに実際に極めようと行動する。なかなかできる事じゃない。ドリームイーターを倒して目覚めさせてやろう」
 被害男性の行動力に感心した龍造寺・隆也(邪神の器・e34017)は、必ず武術を取り戻してやろうと決める。
「近接戦闘銃術ね~」
 自分も接近戦で銃を使うリフィルディード・ラクシュエル(集弾刀攻・e25284)はその違いを比べる。
「何流といえばわからないけど、乱舞型、とでも呼んでおこうかね。つーか、相手から見たら私の戦闘スタイルってどう映るんだろ?」
 そんな疑問に首を傾げた。
「……武道家型の、ドリームイーターって……肉弾戦って、いうの、なの……? 私たちが、現れても、逃げないのは、さすがだと、思うけど……」
 リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939)は苦手な接近戦で襲われるところを想像する。
「んーんっ……! ちょっと、コワイ気も、するけど……私に、出来ることは、精一杯、頑張るの……!」
 少し怖がりながらもリィナは気合を入れた。
「ようやく誰かを護れるくらいには力が付きましたかね」
 ならば護る為に力を振るおうと、男性のように凛々しく皇・晴(猩々緋の華・e36083)が道の先へ視線を向ける。その先には白いスーツ姿に二丁拳銃を下げた男。ガンマン風ドリームイーターの姿があった。

●銃型
「俺の行く手を塞ぐとは、死に急ぎたいようだな」
 ガンマンが殺気を撒き散らしながら堂々と距離を詰めて来る。
「現れたな。その自慢の銃技、見せてもらおうか」
 黄金のオーラを纏った隆也は間合を詰め、回し蹴りを放って銃でガードする上から叩きつけて吹き飛ばす。
「よう、御同輩……。折角の機会だ。楽しむとしようぜ!」
 目にも止まらぬ速さでレイは二丁の拳銃を抜き撃ち敵の腕と脚を穿つ。
「ちっ!」
 舌打ちと共にガンマンは自動拳銃を引き抜くが、ライドキャリバーのファントムが突進して敵に攻撃の間を与えない。
「それじゃあその自慢の銃捌きを見せてもらおうかな」
 守人は守護の加護を宿した風を召喚し、仲間達を風で覆い肉体を強化した。
「……近づくのは、ちょっとコワイから……これで、攻撃するの……!」
 リィナはドラゴンの幻を呼び出し、吐き出す炎のブレスで敵を炙る。
「銃は剣よりも強し。 最強の銃型を見せてやるぜ」
 ガンマンは横に飛んで地面を転がりながら銃を撃ち放つ。
「銃は剣よりも強し……果たしてそうなのか……。このドリームイーターを生み出した男性が考えた近接格闘術……研究させていただきます!」
 そこへ突っ込んだシャルロッテは弾丸を腕で受けながら、抜いた刀を振り下ろし敵の肩を斬り裂く。
「その勘違いを正してあげましょう」
 ズミネが影の弾丸を撃ち出すと、回避しようとした敵の腕を掠める。するとその傷口が黒く染まり侵食していく。
「味わえ、鉛玉の味をな!」
 ガンマンは跳躍し回転しながら弾を撒き散らす。
「その凶弾、この身で防いでみせよう」
 割って入った晴は体で弾を防ぎながら、燃え上がる爆発を起こして仲間達の士気を高め。シャーマンズゴーストの彼岸は祈り仲間達に加護を与える。
「これって、映画とかに感化されたのかね? それでも、かなり昇華してる辺り、今回の相手の元になった人は相当な努力があったのですかねー?」
 己の感覚を増幅したリフィルディードはスローモーションのように動きを感じ取り、左手で少し大きめの銃を素早く抜いて発砲する。放たれた弾丸が敵の腕を抉った。
「やるじゃねえか──うぉっ!?」
 運気を操作したズミネが場の不運を敵に押し付け、カラスが落としたバナナの皮を踏んづけた敵が尻餅をつく。
「先ほど『銃は刃物より強い』と言われていたが、あなたは一般人です。仮に武術家であったとしてもね。である以上、攻撃はデウスエクスに届きはしません。何をされるおつもりだったのか……」
「俺が一般人だと? その目は節穴か? 俺はガンマン! 銃型を極めた最強の銃使いだ!」
 相手を見下ろすズミネの言葉にガンマンは銃口を返し、飛び上がりながら引き金が引かれる。
「素早くとも次の動作を予測すれば……!」
 敵の動きをシャルロッテは演算し、跳躍したところへ刀を突き入れ背中を貫いた。
「その動きを上回る力を引き出すとしようか」
 晴は神聖な力を宿した粒子を放ち、仲間達に超感覚を目覚めさせる。
「早撃ちの次はこいつだ!」
 銃を構えたレイは冷凍光線を撃ち出し、敵の着地点を予測して地面ごと足を凍結させる。
「残念だけどこれは映画じゃなくてリアルだからさ。そうは上手く立ち回らせないよ」
 守人は天より無数の剣を降らせる。敵は足元に銃弾を撃ち込んで氷を砕き、くるりとバク宙しながら躱すが、背後に突き刺さった剣が背に当たる。見渡せば周囲に動きを阻害するように剣が突き立っていた。
「この状況でも動き回れますかね?」
 右手で透き通るような刀身を持つ霊刀を抜いたリフィルディードは、踏み込み上から斬り下す。敵は飛び跳ねようとするが剣が邪魔し、刃を銃身で受け止めた。
「次はこちらの戦闘術を見せてやろう」
 隆也は行雲流水の如き動きで間合いを縮め、黄金に輝かせた禍々しい形状のガントレットの拳を腹に叩き込んで宙に浮かせた。だが敵も反撃に銃弾を撃ちまくり、隆也の胴に当たり周囲の剣も破壊していく。
「……みんなのこと、傷つけちゃ、ダメ……。痛いの、今、取り除いて、あげるからね……?」
 リィナの周囲にピンクのオーラが広がり足元に赤い魔法陣が現れる。仲間を守りたいと思う力がハート型の手裏剣となり、仲間達に次々と投げつけて治療を施した。
「この時勢、武術家が銃を握る意味は薄く、治安維持なら軍や警察など他に適任者がいます。エアガンでしたか? あなたにとって武術は『趣味』であり『生き様』なのでしょうが、ケルベロスにとっては『手段』です」
 ズミネは霊の姿をした血に飢えたオーラを纏い拳で敵の顔面を殴りつける。
「武術と銃技の融合。趣味程度かその体で試してみろ」
 敵は衝撃に逆らわずバク宙しながら銃を撃ちズミネの肩を撃ち抜いた。
「やるじゃないか。だが銃使いの先輩として、ここは負けられねぇな」
 銃を撃ちながら接近したレイは、敵の足を払うように蹴りを放ち、バランスを崩させると至近距離から銃弾を顔に叩き込む。だが敵は咄嗟に銃身を盾にして防ぎ、飛び上がりながら銃弾を放つ。
「ここで銃撃が来ることは予測していました!」
 割り込んだシャルロッテは刀で銃弾を弾くが、全てを防ぐ事は出来ずに肩や脇腹に被弾した。
「中々速いね、悪いけど速さなら俺も負けてないから」
 飛び込んだ守人はガンブレイドを薙ぎ払い、刃で敵の胸を切り裂いた。
「こういうのを噛み合ってるというんですかねー?」
 銃を撃って牽制したリフィルディードは刀で鋭い突きを放ち、雷宿る刃が敵の脚を貫いた。だが敵の弾丸もリフィルディードの足を射抜く。
「……痛そうな傷、大丈夫。すぐに、血を止めるから……!」
 リィナは桃色の霧を展開しリフィルディードの体を包んで癒す。
「死ね死ねぇ!」
 両腕を広げたガンマンが回転して銃弾をばら撒いていく。
「その技は人を殺める為に磨いたものではないだろう」
 晴は緋緋色金を腕に纏って弾丸を弾く。だが次々と動きながら放たれる弾丸に手足、そして体が被弾していく。だが一歩も引かずに菖蒲色の華の花弁を舞い散らせ、自らの傷を癒しながら防ぎ続けた。
「近接戦闘だと、拳が届く。ケルベロスの拳は銃に劣らんぞ?」
 黄金のオーラを纏う隆也は貫手を放ち、まるで刃のように敵の胸に突き刺して内部の気脈を断つ。すると痺れたように敵の動きが止まった。

●銃は強し
「ぺっ、やるねぇ、だが銃型は負けねぇ!」
 血の唾を吐いたガンマンは、銃身を握ると銃把から棘が飛び出し接近しながら殴りつけてくる。それを刀を構えシャルロッテが防ごうとする。すると刀を殴って弾かれ手放した刀が地面に突き刺さる。そこへ腹に棘を叩き込まれた。
「これが銃を使った近接格闘術……」
 それでもシャルロッテは怯まずにナイフを抜いて敵の腹に突き立てた。
「接近戦でも戦えるのはこっちも同じだよ」
 守人は左の銃剣を撃ちながら踏み込み右の銃剣を振り抜く。だが紙一重で敵は飛び退き、お返しの素早く銃弾を空中で撃ち出すと、守人も咄嗟に身を躱す。
「早撃ちは俺の十八番なんでね」
 負けてられないとレイも対抗して素早く銃を構えて撃ち、敵の放つ弾丸に弾丸をぶつけて空中で弾けさせた。
「格好をつけても強くはなれませんよ。まあ格好もつけさせるつもりもありませんが」
 ズミネが運気を操り、敵の頭に鳩の糞を落として気を引いた。
「……みんなの痛いのは、全部、私が、治しちゃうの……!」
 その間にリィナはハート型の手裏剣を仲間達に投げ治療していく。
「それで攻撃パターンは全部かね?」
 刀で弾丸を弾いたリフィルディードは、銃を発砲し敵の脚を撃ち抜いた。
「もっと見せてやるよ!」
 跳躍したガンマンは逆さになって回転しながら銃を撃ち続ける。それをファントムがスピンしながら割り込み弾丸を受け止めた。
「銃は刃物より強いか……否定しないが、最大の長所である距離を捨てるのは感心しないな」
 跳躍した隆也は上から振り下ろすように蹴りを叩き込んで、敵を地面に叩き落とす。
「これ以上仲間を傷つけさせはしない」
 晴はオーロラのような光の帯で仲間達を包んで傷を癒してゆく。
「くそがっ!」
 跳ね起きたガンマンが銃を構える。
「銃ではなく拳の技を磨くべきでしたね」
 ズミネは両端に金色の箍がはめられた棍を伸ばして敵の胸を突いた。
「飛び道具と近接との連携、試させてもらいます!」
 ナイフを投げて駆け出したシャルロッテは地に刺さった刀を抜いて下から斬り上げる。逆袈裟に敵の体から血が噴き出した。仰け反りながらも敵は撃ち返し、シャルロッテの腹を穿つ。
 体勢を整える前に、揺蕩う木の葉のようにリフィルディードは読めぬ動きで斬撃と銃撃を繰り返す。
「刀と銃の連携はもう覚えたぞ!」
「どの攻撃も同じ行動ってわけじゃないのですよ、というか同じ内容だったら読まれますしねー」
 それに対して敵もまた防御を捨てて銃を乱射した。リフィルディードは体に銃弾を受けながら敵の全身を散る枯れ葉のように破壊していく。
「……動きを、止めちゃうから……! みんなお願いなの……!」
 リィナは氷結の渦を巻き起こして敵を覆い凍らせて動きを鈍らせる。
「この拳を撃ち砕けるものなら砕いてみろ」
 オーラを纏い両腕をクロスし真っ直ぐに突っ込んだ隆也は、被弾を最小限に抑えてガントレットの拳を矢のように打ち込んだ。
「がはっげほっごの野郎ッ」
 血を吐き出しながらガンマンは殺気を放ち銃を撃つ。
「その技は君にはもったいない。持ち主に返すべきだね」
 晴は見えない地雷を爆発させ、幾つもの爆発を敵の周囲で起こして右へ左へと揺さ振り、敵に銃を構えさせない。
「映画を超えた動きを見られて楽しかったよ、だけどこれで終わりにしよう」
 素早く間合いに踏み込んだ守人は、敵の銃と自分の銃をぶつけ合って銃口を逸らす。放たれる銃弾が大概の身を掠める。そこへ反対の銃を向けると、敵もまた鏡のように向けていた。守人の放つ弾が胸に、敵の放つ弾が肩を貫いた。
「さぁ、フィナーレだ。俺の取って置き……魔弾の一撃、受け取りなっ!」
 銃を構えたレイは高密度のエネルギーを発射し、それが5つのエネルギー弾に拡散すると、それぞれ違う方向から弾が敵を追尾し脚に腕に腹にと被弾して全身に大穴を空け粉々に吹き飛ばした。

●銃道
「なんとかなったねー」
 笑いかけながら守人が薬草を仲間の傷口に塗っていく。
「何時までこんなことが起きるのやら?」
 元凶を叩かなくてはきりが無いとリフィルディードが肩を竦めた。
「んあ!? あれ? 確か変な奴に出会って……どうしたっけ?」
 介抱されていた男性が目覚める。
「……んにゃぁ……起きた、ね……。痛いとこ、ない……? だいじょーぶ……?」
 心配そうにリィナが男性の顔を覗き込む。
「大丈夫だけど、一体何が?」
 体を起こす男性に事情を説明すると、助てくれてありがとうと頭を下げた。
「でも俺の銃術じゃまだまだ実戦には通じないって事かな」
 そして戦いの話を聞いてガックリと肩を落とす。
「強くなりたいのなら、その強さで何をするのか目的を持つことです」
 厳しくズミネは強くなる動機を考えさせる。
「誰かを護る為なら、もっと強くなれるはずだよ」
 爽やかな笑みを見せた晴が、自分も力を使いこなそうと修行中だと伝える。
「行けるところまで行ってみるといい。行動しなければ決して辿り着けない境地もある」
 その行動力を褒めるように隆也が励ます。
「そうだよな、考える前にやってみなくっちゃ!」
 まだまだこれから鍛えてみせると男性が笑みを浮かべた。
「近接戦で銃撃と打撃の使い分けは難しくありませんか」
 知識を得ようとシャルロッテが質問する。
「銃を撃つより殴った方が速いと思ったら殴ればいいんだよ」
「俺も同じような銃と格闘を混ぜた戦闘スタイルなんだが、銃捌きはなかなかだったぜ、だが動きが派手さ重視で隙が大きい。地味でも実用性を考えた方が強くなれるぜ」
 レイがアドバイスを送り、銃トークを始める。
「おお、同じスタイルの奴がいるなんて! で、どんな風に戦うんだ?」
 興味津々の男性と銃の事で盛り上がりながら、ゆっくりと町へと歩き出した。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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