斬!
オウガの戦士が振るう剣は、異形の触手を斬り、幹を薙ぎ払った。
オグン・ソード・ミリシャの、30mはあろう巨体が、穢れた体液を撒き散らし倒れる。
オウガも、満身創痍で膝をついた。
「やったか!?」
歓声を上げる仲間のオウガ達も、皆、傷だらけだ。
だが喜びもつかの間、異形の肉塊は泡立ち膨れて再生し、さらにもう10mばかり巨大化した。
「うっひょー! またでかくなりやがった」
「いいじゃねえか! さあ、かかって来な!」
「おらおらぁ!!」
力を増す相手に、オウガ達は恐れるどころか狂喜し、真っ向からの勝負を挑む。
――やがて、戦いは終わり。
オグン・ソード・ミリシャの根元には、数個のコギト玉が転がっていた。
●
「よい子はマネしないでね、なの」
事の顛末を、安月・更紗はそんな感じで纏めた。
「ステイン・カツオ(剛拳・e04948)さんの予期した、クルウルク勢力が、オウガの主星『プラブータ』を襲撃し、オウガの戦士達をじゅーりんしてるみたいなの。
オウガ遭遇戦で現れたのは、襲撃から地球に逃れて来たオウガさんだったのね。
詳しくは、新たにケルベロスとなった、オウガのラクシュミさんに説明してもらうの。
では、どーぞ! なの」
促されて、女神が進み出る。
「こんにちは、ラクシュミです。
このたび、定命化によってケルベロスとなる事ができたので、皆さんの仲間になる事ができました。
オウガの女神としての、強大な力は失ってしまいましたが、これからまた、成長して強くなる事が出来ると思うと、とてもワクワクしています。
オウガ種族は戦闘を繰り返し成長限界に達していた戦士も多かったですので、ケルベロスになる事ができれば、きっと、私と同じように感じてくれる事でしょう。
皆さんに確保して頂いた、コギトエルゴスム化したオウガも、復活すればケルベロスになるのは確実だと思います。
ここからが本題なのですが、オウガの主星だったプラブータは、邪神クルウルクの眷属である『オグン・ソード・ミリシャ』に蹂躙されて、全てのオウガ達がコギトエルゴスム化させられてしまいました。
オグン・ソード・ミリシャの戦闘力は、初期時点ではそれほど高くないのですが、『撃破されると周囲のグラビティ・チェインを奪い、より強力な姿で再生する』という能力を持つ為、オウガの戦士にとって致命的に相性の悪い敵だったのです。
とにかく殴って倒す。再生しても殴って倒す。より強くなっても殴って倒す……を繰り返した結果、地球に脱出したオウガ以外のオウガは全て敗北してコギトエルゴスム化してしまったのですから。
地球に脱出したオウガも、逃走したわけではなく、オグン・ソード・ミリシャにグラビティ・チェインを略奪された為に飢餓状態となり理性を失い、食欲に導かれるまま地球にやってきたのです。
彼らも、理性さえ残っていれば、最後まで戦い続けて、コギトエルゴスム化した事でしょう。
このように、オウガとオグン・ソード・ミリシャの相性は最悪でしたが、ケルベロスとオグン・ソード・ミリシャの相性は最高に良いものになっています。
ケルベロスの攻撃で撃破されたオグン・ソード・ミリシャは、再生する事も出来ずに消滅してしまうのです。
オウガの戦士との戦いで強大化した、オグン・ソード・ミリシャも、今頃は力を失って元の姿に戻っていると思います。
オウガのゲートが、岡山県の巨石遺跡に隠されている事も判明しましたので、一緒にプラブータに向かいましょう」
●
後の説明は更紗が引き継ぐ。
「ラクシュミさんがケルベロスになったから、コギトエルゴスム化しているオウガさん達もケルベロスになってくれると思うの。
だからこれは、『デウスエクスとしてのオウガ』じゃなくて、大事な仲間のケルベロスを助け出す戦いなの。
それに、プラブータが邪神クルウルク勢力にせーあつされてたら、いつ邪神が復活して、地球に攻め込むかわからないの」
同胞たるケルベロスを救い、地球の危機を未然に防ぐ為にも、この戦いは重要なのだ。
オグン・ソード・ミリシャの多くは、体長2m程の初期状態に戻っており、それほど強敵ではない。
ただし、その外見は非常に冒涜的で、長く見続けてると、狂気に陥りそうになる。
戦闘には影響は出ない筈だが、軽い錯乱状態となり、おかしな行動をとってしまう場合もあるようだ。
その場合は、周りの仲間のフォローが必要だろう。
戦闘方法は、攻性植物に近く、触手を利用した攻撃も行う。
基本は2m級だが、中には、3~4m級や最大7m級の個体も存在する可能性があるので、注意が必要だ。
●
「オウガさん達は、きっと、心強い仲間になってくれるはずなの。だから、助けてあげて欲しいの。どうぞよろしくお願いします、なの」
「どうぞ、よろしくお願いいたしします」
一礼する更紗に倣い、ラクシュミも深く首を垂れるのだった。
参加者 | |
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メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015) |
朝倉・ほのか(フォーリングレイン・e01107) |
ヴェスパー・セブンスター(宵の明星・e01802) |
毒島・漆(魔導煉成医・e01815) |
ヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020) |
アーティラリィ・エレクセリア(闇を照らす日輪・e05574) |
ククロイ・ファー(ドクターデストロイ・e06955) |
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095) |
●プラプータ
振り仰げば地球とは明らかに異質な空。
抉れた、不毛の大地。
むしろ火星や木星と言った、地球外の惑星に似ている気がする。そこにも生命体は存在しないとされているが、それでもここよりはまだ希望がある気がした。……何故なら。
『おぐん そーど ほろわろ りむがんと みりしゃ なうぐりふ!』
『みりしゃ かるする ぷらぶーた なうぐりふ!』
オグン・ソード・ミリシャと言う異形たちによって、主たる住人であるオウガは全てコギトエルゴスム化し、グラビティ・チェインは奪われて、惑星プラプータは荒れ地と化しているからだ。
探索に入って、何度目かのオグン・ソード・ミリシャとの戦闘が終わった。
3体の異形は、ケルベロスらの猛攻の末、アーティラリィ・エレクセリア(闇を照らす日輪・e05574)のヒマワリを喰らい、ヴィルフレッド・マルシェルベ(路地裏のガンスリンガー・e04020)の炎に焼かれ、地面の染みと化したのだ。
毒島・漆(魔導煉成医・e01815)は、既に形を止めない液体と化した敵をじっと見下ろしていた。その眼に剣呑な光が宿り、口元は微かに吊り上がっている。
「しっかりして、漆」
メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)が顔をはたくと、漆は、恋人へ振り返り、少し疲れたようにほほ笑んだ。先ほどの剣呑な光は消えている。
「漆ちゃん、大丈夫? よく効く薬あるよ?」
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)が薬箱を探りつつそう言ったのは、多分、純粋に気遣っての事、のはず。しかし二つ名とか雰囲気とか日頃の行いとかが、妙に不安にさせる。
「い、いや……すみません。見苦しいものをお見せました」
漆は、そう謝罪する。バジルもそれ以上は追わず、何かあればいつでも、と言い残して下がる。
メリルディは無論のこと、朝倉・ほのか(フォーリングレイン・e01107)もどこか不安定な友人を気にかけていた。
オグン・ソード・ミリシャの発する狂気は、戦闘に支障が出るほどの影響は受けないが、まるで無いわけでもないのだ。
ヴェスパー・セブンスター(宵の明星・e01802)には、この狂気はオグン・ソード・ミリシャがもたらすものだけではないように思える。
アリアドネの糸が切れてないか、確認するのも何度目か。
(「これは、ホームシックという物でありましょうか」)
それはそれで少し早いような気もするが、何も分からない場所で日を過ごすことが、こんなに心に負荷をかけるとは知らなかったのだ。しかも、この地はあまりにも異質で、地球の空と大地が恋しくなっても仕方のない事だった。
「あった」
ククロイ・ファー(ドクターデストロイ・e06955)はミリシャの骸に埋もれていたコギト玉を拾い、大切にアイテムポケットに保護した。
岡山で、最初に遭遇したオウガを救えなかったことを悔やむ彼は、全力でこの地のオウガ達を救いたいと願っているのだ。
ひとつ、ふたつ、みっつ、丹念に探して、5つほどのコギト玉を保護した。
「惑星探査……もうちょっと夢があって欲しかったな」
ヴィルフレッドはここまでの状況を書きつけ、最後に『チョコレート食べたい』と付け加えて日誌を閉じた。
暗紫色の空には太陽に似た星が浮かんで、ぼんやりとした光を放っていた。地球の、蒼く澄んだ空や、眩い太陽とはまるで違って、酷く不安にさせる。
「探索は長期戦じゃ。しっかり食っておくのじゃぞ」
こんな場所でも、出来るだけの料理を振る舞おうとする、アーティラリィの笑顔の方が、よほど明るいという物だ。
「漆、飛びましょ」
メリルディに手招きされて、漆はやれやれと言った風情で従う。
オグン・ソードミリシャの後を追い、コギト玉を回収する道程は、それ自体はさほど難しい事ではなかった。
奇怪なる異形は、周囲のグラビティ・チェインを奪いながら戦い、肥大化しては次の獲物を求めて移動する。
つまりは、荒野と化した場所を辿れば自然と目的のものは見つかると言う訳だ。
敵に発見される危険を犯したくはないのだが、ドローンは映像を転送できず、遠隔操作も不能だったので、やむなく人力(?)を使用する。
翼広げて飛びあがる。見渡す限りには、視界の妨げになるような障害物はない。人工も、自然の物も。
だから、進むべき道はすぐに見つかった。
「あれは」
「……大きいな」
今まで出会った中で最も大きな異形の樹が、地平に向けてゆったりと移動している。
『おぐん そーど ほろわろ……みりしゃ かるする ぷらぶーた……みあ みあ おぐん そーど!』
まるで神に捧げる祈りのように厳かで不可解な鳴き声が、風に乗って届くのだった。
●オグン・ソード・ミリシャ
報告を受けてすぐさまケルベロスたちは行動を起こす。
ゆっくりと移動するオグン・ソード・ミリシャに追いつくことは難しくなかった。
禍々しい樹に似た異形は、恐らく7m近くあるだろう。それまでに倒したミリシャの3倍以上だ。近づくほどに、その異容に脅威を覚えた。
『……みりしゃ みあ おぐん そーど ぬい……』
鳴き声が不意に止んだ。オグン・ソード・ミリシャは体をぐるりと回転させて、こちらに向き直った。
ゆらり、ずるり、ずるずる……。ケルベロスたちを新たな獲物と認識した、オグン・ソード・ミリシャは、それまでの緩さから想像できない俊敏さで、突進して来たのだった。
『みあ みあ おぐん そーど!』
オグン・ソード・ミリシャがその身を揺すると、いくつもの瘤が口を開き、その全てが同じように鳴いた。さらにはそこから不気味な触手が生えて鳴き声に合わせて蠢き、ケルベロス達を幻惑する。
ヴィルフレッドは腕のガジェットを変形させる。装着した『人体自然発火装置』が起動し、ミリシャの触手を燃え上がらせた。火の花が、樹皮を舐めるように走り咲う。
異形には異形を。メリルディのブラックスライムは巨樹を貫き、その場に縫い留めた。
追撃するチャンスだとメリルディはほのかに振り返る。しかし、ほのかの動きはぎごちなく、視線がどこか定まっていない。
「ほのか!」
「っ……大、丈夫ですっ!」
なんとか幻惑を振り払ったほのかは、オグン・ソード・ミリシャの巨躯へ身を躍らせる。纏わりつくように動き、追って動く触手をその身に絡めとり、強引に引き千切った。
大量に飛び散る体液を浴びてしまって、腐臭と粘つく感触に顔を歪めたが、下がりはしない。
この異形に、果たして感情があるのかは分からないが、注意がほのかに向いたのは確かだった。
漆はあえて防御姿勢を取り、こみ上げる狂気をやり過ごす。
「やれ、仕方がないのぅ」
アーティラリィが両手を上げると、彼女に咲く向日葵が暖かな光を発した。それは癒しのベールとなって、幻惑された者たちの心を落ち着けていく。
しかし、ククロイの怒りはまだ収まらない。オグン・ソード・ミリシャと言う存在そのものが彼の怒りだからだ。
「ここで死んどけェッ!!」
ドリル回転させた腕を、その胴体につき込む。
ほのか一人を的にするわけにはいかない。矛を向ける先を分散させようと、ヴェスパーは虹色を纏い、煌めく一撃を与えた。
『みあ みあ!』
ミリシャに生えていた果実が不意に大きく膨らみ、弾けた。中から噴き出した大量の果汁を浴びたオグンの炎が消え、粘ついてその守りを厚くした。
けれど、消極的な守勢はむしろ隙で、ヴィルフレッドにはそれが見えている。再びガジェットを変形させ、拳に螺旋の力を籠めてオグン・ソード・ミリシャに撃ち込み、内部から破壊する。
「いくよ、漆!」
「援護は任せますよ、リル!」
メリルディは全てを奪う北風を召喚し、敵へと吹きつける。漆が全てを壊す雹嵐の如く怒涛の暴威を叩きつける。互いの呼吸を合わせてその威力は何倍にも高まり、ミリシャを打ち据えた。
『みりしゃ、みあ……みあ みあ……』
苦悶の悲鳴か、呪いか。口に似た瘤の全てから鳴き声が発せられ共鳴し、聞く者の心を狂わせる。
グラビティの効果でもなければ、ケルベロスの強靭な精神を汚染することはできないが、影響が皆無でもない。短期決戦こそが望ましい。
「余の力を見るがよい!」
アーティラリィが尊大に胸を張り、ヒマワリが燦然と輝いた。その力を持って、アーティラリィの打った拳は、唸りを上げてマッハで飛ぶ。その威力はオグン・ソード・ミリシャの巨体をも揺るがし、張り付いた粘液を樹皮ごとを剥ぎ取ってしまった。
バジルは自分がどう動くか、少しの間考る。オグンの動きと、仲間たちの立ち位置を見て、援護すべきと判断したバジルは、迷いなく九尾扇を振った。
ククロイは、精神を集中する。殺意も憎悪も、全てをグラビティに変えて増幅し『喰ウ牙』の刃に乗せて薙ぎ払った。
「刈り取れ、喰ウ牙ァッ! 超力刃一閃ッ!!」
全て、全て根絶してやる。
達人が殺意を抑えることなく放つ一撃はあまりに鋭く、さらにその刃にはバジルの援護があった。
オグン・ソード・ミリシャは貫かれ、抉られ、その触手は瘤ごと斬り裂かれた。
『おぐん そーど! ぬい くるうるく!』
オグン・ソードミリシャは残された触手を束ね、醜悪な形状の砲塔を創り上げた。砲口に邪悪なエネルギーを充填し、ほのかめがけて撃ちだした。
間近でその砲撃を受けたほのかは、避ける間もなく、吹っ飛ばされてしまう。
「く、あぁっ!」
呼吸を忘れるほどの衝撃に喘ぐほのかへ、ヴィルフレッドは花びらのオーラを舞わせた。花弁の触れた所から炎を消し、傷を癒やす。
さらにメリルディが癒しのオーラを重ねて送り力を与える。
「クク……ッ」
状況にそぐわぬ、意味のない笑いをかみ殺す漆。ドラゴニックハンマーが唸り、竜砲弾を撃ちだした。ミリシャの触手がいくつも吹き飛び、幹に大きな風穴が開く。
びちゃ、ぶしゅる、と汚濁した液体がそこら中に飛び散った。毒などはないようだったが、鼻をつく腐臭がたまらない。
「『甘露転じて毒となる』」
バジルは注射器を突オグン・ソード・ミリシャにぶっ刺すと、その巨体にすら過剰量の薬品を注ぎ込んだ。甘露とか言ってるが実は元から毒だ。
オグン・ソード・ミリシャにさえも有効な猛毒が全身に回るのだから、たまらない。
異形の巨樹は、暴れ狂い、身の毛もよだつ悲鳴を上げて悶絶した。
「……あの、バジルさん。先ほど俺に渡そうとした薬について……」
「え? あれは本との甘露よぉ?」
今だけは狂気に負けてはならない。そう思う漆であった。
「貴方はまだ本当の絶望を知らない」
ほのかは『屍山血河』をゆらり、揺らした。
死滅の名を冠した簒奪者の鎌は、この異形の命を奪うのに相応しい。
煽られるように、オグン・ソード・ミリシャは、触手の砲塔をほのかへと向ける。
膨張するエネルギーが破壊光線となり放たれる瞬間、飛び込むのはヴェスパーだったバスターライフルが放つ光弾と破壊光線が激しくぶつかり合い、爆発する。
目も眩む閃光と爆風に包まれる。さしもの異形もその圧に後退させられた。
異形が身動き取れずにいた、ほんの僅かな隙を突き、爆風の巻き上げた砂塵と黒煙をくぐり抜けたほのかが跳ぶ。
「だから……教えてあげましょう」
『虚』の力を纏う刃を、無駄な力は一切入れず、すとん、とその幹に突き立てる。
そのまま深く刃を食い込ませ、真っ直ぐに斬り下ろした。
綺麗な二つに開かれた幹から、穢れた虚無がどっと噴き出す。
『おぐん おぐおぐんn そーどほろわろ りむがんと みりみりみりしゃ なうぐりふ! みりしゃ かるする ぷららららぶーた なうぐりふRRRRRR!』
数多の蠢く触手はみるみる萎びて、根元からどろどろと溶解していく。耳つんざくような鳴き声が、聞く者の心を掻きむしり、たまらない心持にさせた。
『みりしゃ、みあ……おぐん……そーど! みあ……みぁ…………』
核を破壊されたオグン・ソード・ミリシャは、不定形の名状しがたき液体と変化し、徐々に大地へと浸みこみ、消滅する。
オウガのコギト玉が4個、その場に転がっていた。
●探索の終わり
「アイテムポケットには余裕があるし、まだまだいけるな!」
コギト玉を保護したククロイは、今の戦いで大分消耗しているのに、そんな風に言う。
繰り返した探索と戦闘で、ケルベロスたち自身の限界が近いと彼も良くわかっているが、少しでも多くのオウガを救いたい一心なのだ。
だが、ここで無理をして倒れては本末転倒という物だ。あと1、2回の探索で引き返す事になるだろう。
虚ろに広がる荒野に、今のところオグン・ソード・ミリシャの姿は見えない。
「もっと、いろんな物が見つかると思ったんだけどな」
日誌を書き終わり、ヴィルフレッドは呟いた。
「……何もないことが、何よりの発見であったと、自分は思います」
「え?」
ヴェスパーは、ただ、荒野をじっと見つめていた。
まるで、この光景全てを魂にまで焼きつけようとしているかのように。
もし、地球が、デウスエクスの蹂躙をただ受け入れたなら。
いつか、ここと同じものを見ることになるだろう。
ヴィルフレッドは、今の一幕を日誌にそっと書き足す。
そして、ヴェスパーと一緒に皆の元へと戻ったのだった。
作者:黄秦 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年2月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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