近畿地方のとある下町に、ラーメン街というものがあった。
最初は、ラーメン屋さんが軒を連ねる只のラーメン激戦区であったが、噂を聞いてラーメンを愛する人々が集うにつれ、
ラーメン屋さんは増え、看板は只ののれんから空飛ぶラーメンの看板に代わり、
ラーメン屋さんは増え、何だかちょっとイロモノラーメン屋さんができてきて、
ラーメン屋さんは増え、ラーメンタクシーなんて代物もできあがり、
まあとんでもないラーメン激戦区のラーメン街が誕生したのであった。
そういうわけなので昼だろうが夜だろうがラーメンを愛する人々に愛されていたラーメン街だが……、
「……」
浅櫻・月子(オラトリオのヘリオライダー・en0036)はこの世の終わりのような顔をしていた。
「ラーメン街が……ある日デウスエクスの襲撃を受け、休業を余儀なくされている……。店舗の至る所が破壊され、店も休業を余儀なくされているのだ。されているのだ……」
まるで絞り出すような声音で彼女は語る。ぷるぷると震える手は怒りか悲しみか。
「是非とも、是非とも復興を頼みたい。ラーメンというのは、この世の宝だ。この世の光だ。だからどうか、よろしく頼むぞ」
何かもの凄い真剣な口調だったが、そんな真剣すぎる自分に気がついたのか月子ははっ。と我にかえったような表情をする。
「折角行くんだ。ヒールだけではつまらないだろう。ヒールが終わった後は、街の人たちが心ずくしのラーメンをご馳走してくれるようだ」
無論そうやって暫くは営業停止していた場所なので、普段通りにど派手に! というわけには行かないかもしれないが、色々な店が協力してくれて色々なラーメンをご馳走してくれる予定だと彼女は言った。
「諸君らもがっつり喰っていくと良い。私は、豚骨が好きだ。担々麺が好きだ。こってりしているモノが大好きだ」
真顔で月子は言った。隣で聞いていた萩原・雪継(地球人の刀剣士・en0037)が首を傾げる。
「実は僕は、ラーメン、食べたことがないんですよね」
「……え」
雪継の発言に、月子は目を見開く。信じられないというような顔で、
「……君は本当に日本人か?」
「済みません。うちは外食しないので……」
「そうか……。それではラーメンのことをしっかり教えてやりたいところだが、そうも行かない。何せ、喋っている暇など無いのだからな。伸びるから。ラーメンを前に喋る事など、私には出来まい。だが案ずるな。適当な店に入って適当に頼むだけでも充分ラーメンを楽しむことが出来るだろう。なぜなら……」
「は、はぁ……」
留まることなくべらべらと喋り続ける月子に、雪継は気圧されたように頷き、曖昧に微笑む。
「とにかく諸君! ラーメン街を修復して、そして美味しく、ラーメンを食べようじゃないか! 良いか、もう一度言う。君たちの使命は、ラーメンを美味しく食べることだ!」
「……あの、其処はせめて、ラーメン街に平和を取り戻すことだと言った方が……。建前だけでも……」
雪継の言葉も聞いちゃいねぇ。月子は拳を握りしめ、
「では、諸君らの健闘を祈る!」
と話を締めくくるのであった。
ラーメン街はケルベロス達のおかげで平和を取り戻した。
機竜や色んな人たちがヒールをかけて回った結果、ちょっとファンタジーチックになったがそれはさておき。
アジサイと陣内はまるで戦場にいるが如き雰囲気を醸し出していた。
「どうせなら色々な店の色々なラーメンを食べられるだけ食べようと思って……」
そして陣内は徐に、
「朝から何も腹に入れていない」
「奇遇だな玉榮、……俺もだ」
にやりと笑うアジサイ。それ以上の会話はない。
ラーメンが来た。彼等は箸を取る。最早二人の間に言葉は不要。……さあ、
祭が幕を開けた。
「今日は最後まで楽しむんだからー!」
「溺れるまで食べるわよー!」
キアラとウェールが拳を天に掲げた。一頻り色々食べた後で、
「ビ、ビビビールの泡を乗っけたラーメン……だと?」
「はいはいっ、わたし21歳です! ふおぉ何これ不思議美味しいっ」
「いいもんうちはこのトマトラーメなにこれめっちゃおいし……!」
まさに溺れるまで食べ続ける二人であった。
「とんかつが乗ったラーメンだ! この二つが一度に味わえるなんて……!」
【十獣】の泪生が目を輝かせる。かえるが笑った。
「とんかつラーメン!? 珍しいねー。ボクはやっぱり、豚骨ラーメンにしようかな。あ、生卵入りね!」
「おっ。いいな。俺も卵入れたくなってきた!」
ヒノトは醤油ラーメンだ。シンプルなのが一番いい。そんな各々のラーメンを颯音は覗き込んで、
「泪生さんのチョイスが……! ああ、生卵入り豚骨も美味しそうだね。ロゼも……」
その間にどんどん麺がのびているが本人は気にしない。泪生が一息ついて、
「生卵もご飯も良いな。ふわぁ、しあわせ……」
「ああ。こういうのんびりする時間、幸せだ!」
「躰がみんなぽかぽかだ」
ヒノトと颯音も頷き、
「ご馳走さま!」
とかえるが両手を合わせた。
数十件目の店を出ても凛はまだまだ涼しい顔で、
「やはり一仕事終えた後の食事は上手いな」
そんなことを言いながら端から端まで。全く平気な顔で取り巻きと制覇するのであった。
【緋兎】のメンバーの机は随分賑やかで、
「このラーメン、こってりとしている中でも上品な味わいで、凄く素敵ですわ」
ふぅ、とカトレアがどんぶりを置くと、陽葉も自分の塩ラーメンと共に覗き込む。
「カトレアは何ラーメンを食べてるかな」
「ふふ、そのラーメンもおいしそうですね」
ミセリコルデが思わず感想を漏らすと、
「あ、折角だから皆で分け合いっこして、いろんな味のラーメンをたべたいな!」
シャルティラが声を上げた。その隙に、
「あ、シャルティラさん、そのメンマ美味そうっすね。もらいまーす」
しゃっ。と雄太の攻撃!
「餃子も頼むよー。ガムもちゃんと用意しておくね」
そんな間に美緒も人数分餃子を頼んでいく。
「んー、シャルティラちゃんが好きな塩ラーメンに挑戦してみようかな?」
滅奈がそんなことを言いながら注文を駆けるけれど、目は結構鋭く輝いている。味のチェックは真剣だ。
「皆と一緒に食べると、やはりラーメンの味も格別に感じますわね」
そんなやりとりに紫も微笑んで、味噌ラーメンをはふぅ、と口に入れると、
「どのラーメンも美味しそうですわ。今度来るときは私もそのラーメンを頼んでみましょうか」
カトレアがしみじみ言う。
「はい、またいつか一緒に」
紫が頷いたところに、雄太の声が被った、
「すいませーん、高菜お代わりー!」
その頃には滅奈はお店のチャーシューを前になにやら深い考えに浸っていて、
「ふふ、点心でも追加しますか?」
ミセリコルデが微笑んだ。まだまだラーメン会は続きそうだ。
「ご、ごめん、一口もらっていい?」
「あァ? ……そっちのも一口くれンならなァ」
ゼンの言葉にドミニクが応える。共にラーメンを愛する者同士。ビールを片手に語り合いながら食べ終えると、
「俺の名前はゼン、君の名前は?」
ゼンが右手を差し出した。
「ワシはドミニクじゃ。宜しくのォ、ゼン!」
ドミニクがその手を握る。それはまさに運命の出会いであった。
「そうだ、耕輔、シュウ。飲み比べと行こうぜ。耕輔が潰れたら終了ね」
【俺酒場】寂燕の提案に、シュウは頷いた。
「お、やるか。いつもの。ついて来いよコウスケ」
「うっし、望むところだ! 今日こそ、お前ら酔い潰してやるからな!!」
耕輔もぐっと拳を握りしめる。ラーメンと酒を求めて店から店へ。
「この麺が一層の食欲と、酒への欲求を盛り立てるんだ!」
「これがチャイニーズ、否ジャパニーズヌードル!」
盛り上がる耕輔とシュウに寂燕は思わず笑う。何処であってもかわらぬ酒飲み達であった。
「よし、次だ。しっかり飲みなよ耕輔?」
「ほう、実にいい仕事をしている。透き通ったスープに黄金の麺、あっさりなのにしっかりしている……」
「ラーメン、美味しいですよね。はー……」
ハルのしっかりとした塩ラーメンへの拘り。そしてサラの広いラーメン愛。共に語ることはない。隣り合ってるが互いに一人で。しかし問題は何もない。其処にラーメンがあるからだ。二人は只ひたすらラーメンを食べるのであった。
エルスはお腹が空いてきた。どれを食べるか悩みすぎたのだ。
「あっ……これです!」
そして辿り着いた究極の具だくさんラーメン。
「いただきまーす!」
幸せそうにエルスは箸をつけた。
「それも美味しそうデース。ミーのもあげますカラ、ちょっともらいマスヨ!」
【難破荘】ライラの決定に、ミストリースは頷いた。
「どうぞー。チャーシューもあげます」
「お、ちょっと待ってろよ」
元隆もがっつりラーメンから小皿に二人分ずつ分けた。ミストリースは嬉しそうに羽を動かす。
「ぼくラーメンだいすきなんですー。はぁ、おなかいっぱいです。あ、ソフトクリームは食べられますよ」
「はっ。あれも、ミーも食べてみたいデス!」
はしゃぐ二人。
「俺とは別の意味で底無しなやつらだな……」
呟いた元隆の目は優しそうに笑っていた。
「大将、俺めんま大盛り!」
「大将、なると大盛りで!」
「大将、俺とんこつ醤油大盛り!」
「二杯目は海老塩ラーメンだ!」
ノルの言葉にラティクスははっと、
「アイツ、海老塩頼んでねぇ!? くそ、彼女ができたからって塩対応しやがって!」
「貴様、油断しているな! ラーメンはリアルタイムドキュメントだからなっ!」
よく解らない戦いは結構長いこと続いた。
「よし、一口交換しようね!」
「よっしゃ、任せろ!」
スタンのラーメンは麺硬め、メンマと高菜と豚の角煮トッピング。ブラッドリーは普通に豚骨、ネギ多め。
「わ、豚の角煮か。はー……スタンのも、美味しいね」
「俺はコッテリ系が好みだからな。ブラッドのも旨そうだ!」
そんな風に、二人は楽しい食事の一時を過ごすのであった。
「ほらロディさん、美味しいラーメンですよー? はい、あーん」
「ええ?? いやそれメイド服と相まってすっごくデンジャラスなビジュアルだから!」
お酢ラーメンの布教の筈がくしなのメイド服にロディはたじたじであった。
「はいっ」
「あっ」
くしなが自分で食べたり、とりあえず一頻りお約束のボケをかますのであった。……勿論、最後にはちゃんと頂きました。
カガリとロイは特大ラーメン制限時間ありを二人で一つ。
「カガリ、チャーシューばっかり食べないで」
「ん? ラーメンの具材は早い者勝ちだろ?」
とか何とか言っていたのに、
「はあ。結構あるな。ロイに押し付けるかな」
「ちょっ、今更。やだ、絶対やだ……」
今度は譲り合い。さて、彼等の運命は……、
「ちょっと、無理かもしれない」
ロイが小さく呟いた。
「まぁ、久しぶりだし……普通に食べ慣れた味が良いわね?」
魚介類醤油ラーメンにチャーハンにお酒。なずなはまずは黙々とラーメンを食べ始める。
その隣でたまも醤油ラーメンを黙々と口に運んでいた。此方はトッピング不要。純粋に麺の味だけを楽しんでいる。
「ふむ、ここの店の麺はちょっと太目みたいっすね。個人的にはもうちょっとニンニクが欲しい所っす」
店を訪れなずなの隣に座った秀徳も、笑顔でラーメンを注文し、そして替え玉を頼み、替え玉(赤)を頼み……、
ある種不思議な熱を持って、彼等は互いに無言で食べ続けるのであった。
「クライヴさんの、ドラゴンさんのお名前はなんていうです?」
「ん、こいつの名前か? こいつはカラシだ」
ルゥとクライヴの会話は探り探りである。出会って間もない、けれども仲良くなりたい二人。
「あの、一口……」
「俺のラーメン食いてぇのか? 辛いぞ」
交換されるラーメン。アラクネとカラシも仲良く食べ合う。丼が空になる頃には会話も弾んでくるだろう。
「串揚くん! 折角だからこっちも食べてみるっす!」
「あんがとなノイさん! あっこれうめえ!」
押し付け串揚をしながら食べ歩く串揚とノイアール。
「串揚げに合うラーメン? くれるって? レシピも?」
「脂に負けないほどにスープ自体が濃厚……名前に偽りなしっすね」
「ノイさん串揚げラーメンだから串揚げもつけて……!」
何やかんやで幸せそうであった。
白兎のラーメンは醤油豚骨、そして、
「邪道かもしれないけど、こういうの好きなんだよね~」
途中でスープにラー油を入れて味を変える。
「どう? やってみる?」
面白そうに言う白兎。
「はー。美味しそう。塩ラーメンにも合いますか?」
幸せそうにラーメン餃子を楽しんでいた千笑が首を傾げた。
「あ。なら僕ので試しますか? まだ口はつけていないので」
「ありが……萩原さん早く食べないと麺が伸びちゃいますよ」
えらいことなった雪継のラーメンに千笑が思わず言う。あれ、なんて首を傾げるので、丁寧に千笑は説明を始めるのであった……。
「貴方はなぜラーメンが好きなのですか?」
美琴の言葉に月子はラーメンを完食して考え込む。
「一番は、こういう賑やかな雰囲気が好きなんだ。君は? 何かラーメンに思い入れが?」
「そう……ですね。実家の近くに美味しいラーメン屋さんがあって……。今は、実家には帰れないから。今日は久しぶりに食べまくりますよ!」
ぐっ。と手を握りしめる美琴。ではと月子も立ち上がった。
「もう一件行くか」
「はいっ、行きましょう!」
「それにしても、故郷に帰ることが出来ないのは、辛いだろうに」
呟き頭を撫でようとして、君に失礼だったかなと月子は止めたようだった。
「いや、そんな事を考えるのは今はやめよう。今は目の前の一杯を楽しむだけだ」
「しかしディオルのラーメンにかける情熱はんぱねぇな」
祈るように呟いて以降無言でひたすらラーメンを食す【めんま】ハルプディオル(実はラーメン店店長)にニンニクたっぷり醤油とんこつのクレムが呟くと、真っ赤な太陽のラーメン啜りククロイは頷いた。
「最近寒いから、ラーメン一杯がしみるわー」
「ああ、だなー」
二人してビールで何となく乾杯。すると、
「……ああクレム、飲んでるか?」
「おっ、帰ってきたな」
ハルプディオルが顔を上げて、二人は笑った。
「熱いからふーふーしてあげますの。……はい。あーんですの♪」
【ヴァイスシュロス】のシアにベルタも口を開ける。
「あーんっ。わ、おいしいっ♪」
そんな二人をほっこりみまもって各々ラーメンを食していた三人であったが、
「ラーメン早食いとかで勝負したりはしないのですか?」
無邪気なクリスティーネの言葉に風花がピタと動きを止めた。
「クリスちゃんは風花と沙雪ちゃんの勝負が見たいとな。沙雪ちゃん」
「食事はゆっくり食べたいのですが、挑まれては致し方ありません。……受けて立ちます」
こくりと沙雪も頷いた。静かに火花を散らす二人。まずは沙雪はネギ味噌ラーメンを。風花は煮卵三つ入り醤油ラーメンと餃子を食してからの話だ。
「あれ、二人は勝負してるのかな? クリスティーネさんは?」
「チャーシューや味玉等、具が一杯で少々食べ過ぎてしまいました」
クリスティーネの言葉に、卵も良いかも、と呟くベルタ。そっとシアが卵入りを追加で頼み……視線に気付いて照れたように俯いた。
「ラーメンを美味しく食べるには知的なスパイスも有効だよ。だから諸君、ラーメンを浅ましく頬張る前に……」
「はいはいヒールお疲れっした」
【しなそば】アルシェールの語りを全く気にせず和奈がビールを取り、
「ほい、乾杯! ブッハァー、生き返るゥー!」
鉄心も仕事後の一杯と幸せそうだ。
「乾杯? 一人でやってろなさい! そっちのショタもぶつぶつうるさいです」
一方佐楡葉はラーメンを食す鬼と化した。明日は体重計乗れないかも知れない。そして続くアルシェールの語り。
「あー、冷ますのも申し訳ないっすから和奈さんが腹に収めておくっす」
全く聞いてないけれども和奈がラーメンは頂いた。気が済んだ頃には跡形もないだろう。
「はっはっは。若いねぇ」
鉄心がそれを見て思わず苦笑いをするのであった。
「中細麺、あっさり醤油……っと」
ジャックはラーメン店の名前と特徴をネットにアップしながらの食べ歩き。醤油ラーメン店の記事を書いたところで、
「あぁ。ここのラーメンは本当に旨いな」
隣席の義次がとんと丼を置いた。
「ところで」
「あん?」
この地方の旨いラーメンやそのお店を尋ねる義次。食べ歩きに記録を引っ張り出してジャックも応える。その後二人で外に出ると、
「これで最後だ。超重量豚骨ラーメン!」
修一郎が声を上げラーメン屋に突入していた。半分制覇が目標のジャックも、しゃーない行くかと足を向ける。結構腹に来そうだ。
「フハハハ……我が名は、世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領! 世界征服の手始めにラーメン街の全てのラーメンを征服してくれようか」
一方領も仮面を被りながら店を渡り歩く。
「色んな人がいる、な……」
義次が思わず呟くのであった。
蒼眞は苦難の末、
「即席麺は通常の拉麺に劣るのか? 断じて否!」
即席麺専門店へ辿り着いた。そして、
「さてと、それじゃ、いただきます」
彼は本当に幸せそうに席に着いた。
泰地もまた食って食って食って
「ふぅ、お腹いっぱいなの」
隣で挑むよう食べていたティが箸を置いた頃、泰地も丼から顔を上げた。
「全メニュー制覇まであと一つか。良し、この激辛麺を……」
格闘家風のスタイルで挑戦する気満々だ。
「おっ。自分も制覇目指してるんっすよ」
少し離れた席にいたアドルフが最後の丼に箸をつけながら言う。長い戦いであったが、後ちょっとっすと言いかけた……その時、
「あー、さっきのお店もおいしかった。あっ、隠しメニューのメロンソーダラーメンってここですよね?」
果乃が店へ。泰地とアドルフも顔を見合わせた。それにチャレンジする力が果たして二人にあるだろうか?
「噂で聞いたスープから麺まですべてが甘いラーメンのお店はここだろうか?」
次いで苔も顔を出す。折角だから変わったものをと思った。
「バニラアイスとチョコプリンの?」
「あぁそれか。私もそれを」
果乃に苔も頷く。とっておきの甘いラーメンに、苺もつけてくださいね。なんて果乃は言うのであった。
「え? 巌ちゃんのおごり? 悪いね、有難う」
「宜しいでしょうか、そんな」
「気ぃ遣うな雪継。ラーメンってこんなに美味しいんだって、思ってくれればいいから」
穣と巌と合流した雪継は中華蕎麦店へ。メニューは至ってシンプルで。
「雪継とはやたら和歌山に来るな?」
「あれ、そうですか? 生まれは和歌山ですが」
そんな話もして、
「ん~、やっぱご当地は旨いな!」
「そうだね。このスープがまた美味しいよね」
勢いよく食べる巌。のんびり食べる穣。
「急がないと、凄くのびました」
「いや、程々で大丈夫だよ」
色々教えてくれる二人に雪継も、
「旨いか? ジョー、雪継」
「うん、勿論だよ」
「はい。とても。素晴らしいです」
本当に美味しそうに平らげるのであった。
「んんーっ、労働の後のラーメンはひときわ美味しいですねっ」
【明鏡止水】の花奏がとんこつ醤油のラーメンを頼みながら言うと、
「ラーメン! ラーメン! うーん。いつもは味噌なんだけど、とんこつ醤油も……、ねね、ラーメン、シェアしない?」
「シェアですか? 嬉しいです……!」
「良いですね。では、私は塩味のラーメンをいただきますね」
いちるの言葉に同意する花奏と桜音。いちるは結局味噌を頼んで、
「って、男性陣、味噌率高っ」
「ラーメンにも色々種類あって、好みもまたそれぞれだろうけども。オレは、とりあえずで選ぶ時はみそラーメンが多いかな?」
湧が首を傾げると七貴も頷く。
「俺も特に目当てがない時には味噌ですね」
「ああ。湧も七貴も分かってるじゃないか。ラーメンは味噌だよな、この時期は特に格別だ。たっぷりの白髪ネギと麺にスープを絡めるのが堪らなくてな」
「……なんだ、味噌率が高いぞ」
語るエイトに信倖が咳払いをする。信倖は醤油の大盛の具増しでがっつりだ。
「でも次は人気のある味噌にするか」
「なら俺は店主のお勧めを頂くとしよう」
食べながらもう次の算段を。七貴の言葉に女子三人は顔を見合わせる。次のシェアの話だろう。
「ははは。では次は何処へ行くかな」
エイトが言った頃には皆食べ終わっていて湧がひとまず両手を合わせる。
「それじゃあ、ご馳走様でした」
ごちそうさまでした、と仲間達と声が合わさった。
作者:ふじもりみきや |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2015年11月5日
難度:易しい
参加:80人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 21
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|