病魔根絶計画~仕事人間を蝕む病

作者:質種剰

●1人脳内修羅場
 隔離病棟の病室。
「はぁ……はぁ……」
 ベッドの上で息苦しさに喘ぐ女性を、青年が甲斐甲斐しく看病している。
「大丈夫? 水飲む?」
「飲む……」
 受け取ったペットボトルの水を辛そうに煽ってから、女性は息も切れ切れに問いかけた。
「聡……」
「何?」
「会社の誰かから、電話かメッセージは、ない?」
「無い無い。今は仕事の心配しないで、自分が治る事だけ考えなさい」
「でも……本当は私が仕上げる筈だった書類もあるし、会議も任せきりで……新規のプロジェクトだって」
 女性の不安と心配は尽きないようだった。
 それだけ、仕事への責任感が人一倍強いのだろう。実際に責任ある立場にいるのかもしれない。
「皆大丈夫かしら、ちゃんとお客様の応対とか……ごほっ、ごほごほごほ……!」
「紗奈……」
 咳込む紗奈の背中をさすりながら、聡は彼女の首を見た。
 首には、くっきりと黒い手形のような痣が浮かんでいる。
 これこそが、『残火病』の特徴であり、患者は絞め殺されるような息苦しさを感じるという。
「紗奈、仕事はもう忘れて、何か楽しい事を考えよ?」
「楽しい事……聡と同じチームで準備した新製品のコンペ……あの達成感……」
「仕事じゃん……」


「此度も皆さんにお願いしたいのは、病魔の討伐であります」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が説明を始める。
「病院の医師やウィッチドクターの方々の御尽力で、病魔『残火病』を根絶する準備が整ったのでありますよ」
 現在、残火病の患者達が大病院へ集められ、病魔との戦闘準備を進めている。
「皆さんには、その中でも特に強い、『重病患者の病魔』を倒して頂きたいであります」
 今、重病患者の病魔を一体残らず倒す事ができれば、残火病は根絶され、もう新たな患者が現れる事も無くなるという。勿論、敗北すれば病気は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまう。
「デウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急の依頼という訳ではありません。ですが、この病気に苦しむ人をなくすため、必ずや作戦を成功させてくださいましね」
 かけらはぺこりと頭を下げた。
「さて、皆さんに討伐して頂く『残火病』についてでありますが……」
 かけらの説明によると、残火病とは黒いマントを頭から引き被った姿をしていて、その痩せこけた顔や手は骸骨のように白く、また、黒い眼窩の奥から赤い目が光っているという。
 残火病は、『首絞め』を仕掛けてきて、近くにいる敵1人へ頑健性に満ちた斬撃ダメージを加える。
 しかも喰らった側は首を絞められたせいで集中力や反射神経が鈍ってしまうそうな。
 また、敏捷性に優れた破壊力を誇る『断末魔模倣』を広範囲に響かせて、敵複数人のトラウマを呼び起こす事もできる。
「もし、戦闘前に残火病への『個別耐性』を得られたなら、戦闘を有利に運べるでありますよ」
 個別耐性とは、今回ならば残火病患者の看病をしたり、話し相手になってあげるなどの慰問によって元気づける事で、一時的に得られるようだ。
 中でも、日頃の疲れや仕事についての心配を『皆で協力するのも大切な事』と和らげてあげたり、『忙しい中でも手軽にできるリフレッシュ法』を、患者本人が納得できるように伝授してあげるのがオススメだ。
「個別耐性を得ると『この病魔から受けるダメージが減少する』ので、どうぞ積極的に狙っていってくださいね」
 かけらはそう補足して説明を締め括り、ケルベロス達を激励した。
「どうか、残火病で苦しんでいる患者さんを助けて差し上げてくださいましね。病魔を根絶するチャンスでもありますから……」


参加者
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)
彩瑠・天音(スイッチ・e13039)
信田・御幸(真白の葛の葉・e43055)
ムフタール・ラヒム(熱砂と歩む黒狗・e44354)
トート・アメン(サキュバスの土蔵篭り・e44510)
八咫神・静(兎人のキャリバー乗り・e46156)

■リプレイ


 隔離病棟の廊下。
 この日、信田・御幸(真白の葛の葉・e43055)は忙しかった。
「まず言いたいことを言わせてあげてね、説得はそれから」
 仲間と機内で決めた慰問の方針を再確認して、
「くれぐれも見栄を張ってはいけないよ、正直に現状を整理するんだ。今後の業務改善にも繋がるからね」
 病室の外へ出て貰った聡へは、
「早急に頼むよ。ただ社外秘情報には気をつけてね?」
 紗奈が関わる業務のリストアップに加え、具体的な進捗率と問題点を洗い出したスライドの作成を頼んだ。
「断るなら労基に密告りますわよ」
 さらりとした口ぶりで脅しをかけるのは、エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)だ。
「お待たせしました」
 電話を終えた聡は病室に入り、暫くしてケルベロス達を招じ入れた。
「やあやあ初めまして、入院生活が続くと何かとご不便ではないかな?」
 御幸が優しく紗奈へ声をかければ、
「高瀬と申します。わざわざご足労頂き有難うございます」
 紗奈は折り目正しく頭を下げてから、余程鬱憤が溜まっていたのか滔々と愚痴り始めた。
「私の生活は良いんです。ただ、プロジェクトを任された途端に倒れ……う、げほげほげほ」
 愚痴すら首を絞められたような息苦しさに遮られて満足に言えない。
「好きを仕事にできるほど仕事がお好きなのですね……」
 エニーケが背中をさすりながらいたく感嘆する。
「ふんふん、プロジェクトが心配なんだね?」
 御幸は、親身になって話を聞き相槌を打つと、
「仲間から現状報告を預かってる。君の為に即日で仕上げてくれた」
 ノートパソコンを開き急拵えのスライドを携えた聡の方を見やった。
「本当ですか!」
「焦らない焦らない」
 興奮して立ち上がろうとする紗奈をやんわりと押し留め、エニーケが諭す。
「皆さん貴女が抜けた穴を必死で埋めようと抗っているだけですから……でもジッとしていられませんわよね?」
「それはもう!」
「でしたら、貴女が残火病に抗えば私達が必ず治してみせますわ。今の貴女の急務は残火病に抗う事、でしょう?」
 確固たる自信を覗かせたエニーケの物言いに、紗奈も幾分か納得して、
「はい……」
 すとんと座り直した。
 そんな彼女へご褒美とばかりにトリュフチョコを手渡しつつ、
「世はバレンタインですが、私達には関係ありませんわね……」
 休むのも大事だと釘を刺すべく、エニーケは言外に匂わせた。
「頂きます……バレンタイン……上司には可愛いチョコをあげなきゃ、部下には……」
「……聡さんにはあげませんの?」
 苦笑して問うエニーケの後ろで、聡が笑いを噛み殺している。
「皆、紗奈の恐さをよく知ってますから。毎日進捗状況を報告できるよう、ある程度纏めていたそうです」
 聡は紗奈へ向かって、事務的な調子で報告を始める。
「ふれ! ふれ! がん! ばれ! よろしく勇気!!」
 スライドへ視線を走らせ、大人しく話を聞いている紗奈を、チアガールばりに応援するのはエニーケだ。ちなみにクラシカルなナース姿である。
「一人では限界がある。リスク管理を覚えなさい。仲間を信用して負担を分担するのも仕事上で大事なスキルだ。上司の務めだよ」
 御幸は紗奈へ、上に立つ者の心得を簡潔に説く。
「ええ……部下達が想像以上に頑張って私の穴を埋めてくれてる……よく解りました」
 紗奈は素直に頷いて、初めてホッとしたような笑顔を見せた。
 一方。
「ロックなケルベロスに任せれば、万事オッケー解決デース!」
 じゃーん、とバイオレンスギターを搔き鳴らし、声高らかに宣言するのはシィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)。
 ミュージシャンに憧れる人派ドラゴニアンの少女。
 性格は元気でノリが良く、場を盛り上げたりするのが得意だそうな。
「ボクたちが絶対に残火病の治療を成功させるデース!
 そんなムードメーカーにぴったりなシィカだから、今も紗奈の抱える心配や不安を振り払うかの如く元気一杯に明るく振る舞っている。
「本当に……治るの、この病気?」
 シィカのテンションにつられてか、紗奈の声にも明るさが滲んだ。
「モチのロンデス! ボクたちが居れば万事オッケーデスよ!」
 とにかく自信満々に話しかけるシィカ。
 日頃からケルベロスの仕事に誇りと使命感を持って臨んでいる分、シィカのやる気や本気具合はやはり自身の仕事に使命感や誇りを感じている紗奈へ伝わったのだろう。
「そう……有難うございます。貴方ならきっと、本当に治療して下さるのでしょうね。その目を見れば判ります」
 紗奈は心底嬉しそうに何度も頷き、シィカの励ましを素直に喜んでいた。


「紗奈様、初めまして。私は看護師でケルベロスの、ラス・ルビスと言います」
 ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)は、変わらぬ礼儀正しさで、紗奈へ深々とお辞儀した。
「こちらはミミックの、エイドです。お加減、いかがですか……?」
 心配そうに問うラズ自身も——足元で佇むエイドに至るまで、仕事人間に違いない為、殊更紗奈へ親近感を覚えるものか。
「正直ちっとも良くないけど、何より仕事ができないのが……あぁ、ごめんなさい、治すのが最優先、でしたね」
「なるほど、どうにも気分が滅入ってしまうのですね……では」
 ラズが徐にエイドの口内から取り出したるは、クイズ本やナンプレの問題集。
「少し、別のことに集中してみるのも良いかもしれません……いかがでしょう。このような本は、お嫌いですか?」
 優しく語りかけるラズ。
「学生の頃はよくやってましたが、会社に入ってからは毎日忙しくて……」
 本をパラパラ捲りつつ、紗奈は懐かしそうに表情を和らげた。
「こういうクイズやパズルは思考の柔軟性や記憶力を保つにも良く……今後のお仕事にも、きっと活きますよ」
 ラズは太鼓判を押して、エイドの口に仕舞っていた鉛筆を差し出す。
「最近ではアプリなどもあり、僅かな休憩時間中にも行えますし、手軽な気分転換に良いと思います」
「有難うございます、仕事の能率を保つ為にも適度な気分転換は大事ですものね、忘れていました……」
 紗奈は次第に目を爛々と輝かせ、ナンプレを解くのへ集中し始めた。
 他方。
「はっ、仕事バカの小娘が……全く仕方のない奴だね」
 口汚く罵って溜め息をつくのは八咫神・静(兎人のキャリバー乗り・e46156)。
 容赦無い罵倒はあくまで口だけで、本心では若者が病魔に苦しむなど見ていられないと嘆いている、兎の獣人型ウェアライダーの老婆だ。
「そこのにーさん、さっき頼んだ物はできてるかい?」
「はい、今し方届きました」
 静に言われて、聡がノートパソコンで動画を再生する。
「課長、お加減はどうですか?」
 流れてきたのは、紗奈の部下からの応援メッセージだった。
「課長がいない分をフォローするのは大変ですが、何とかやっているので大丈夫です」
「どうか心配なさらず、ゆっくり休んで下さいね」
「そうですよ。しっかり養生して、全快しないと承知しませんからね!」
「また飲みに行きましょう、松野も一緒に!」
 賑やかな激励の言葉を聞いて、思わず涙ぐむ紗奈。
「みんな……!」
 その様子を見て、静が静かに言葉を紡いだ。
「お前さん、自分一人で全部支えてるつもりかい? ただの傲慢さね。あんたが他を支えてきたように、あんただって支えられて来たはずさ。いい機会だから自覚しな」
 多少説教臭くは聞こえようとも、そこは亀の甲より年の功、人生経験豊かな静が言うからこそ含蓄の宿ったお叱言である。
「そう、ですね……私、1人で何もかもやらなきゃって強迫観念に囚われていたのかも……もっと皆を頼りにします。本当に有難うございます」
 紗奈は、動画を繰り返し再生しながら、静へ感謝する。
「やれやれ、この歳になると椅子に座りっぱなしってのもキツいんだ。アタシゃタバコ吸ってくるよ」
 と、静はぴんしゃんと背筋を伸ばして、病室を出ていった。
「仕事ってチームワークでしょ? 紗奈が仕事大好きで大事なら、会社の仲間だって紗奈の事を大事に思ってるし支えたいって思ってるわ」
 彩瑠・天音(スイッチ・e13039)は穏やかに微笑むや、情の篭った声を投げかける。
 一見ナチュラルメイクに見えるがかなりの厚化粧とオネエ言葉で素材の良さを台無しにしている、デカい姉御のブレイズキャリバーだ。
「ほら、今だって会社の人達、紗奈が安心して休めるように頑張ってくれてる。紗奈が病気に打ち勝ってまた戻ってくるって信じてるからこそなのよ」
 聡の用意したスライドや動画を見て、天音は優しく言い添える。
「だからね、紗奈、休むのも仕事のうち。仕事を愛するのと同じくらい、自分の身体も労ってあげて——病気は大丈夫、絶対治るわ」
 女性らしい細やかな気遣いと男性らしい頼もしさ力強さを兼ね備えた天音だから、
「だから、アタシ達の事も、会社の人達も、自分自身も信じてあげて?」
 ずっと仕事に打ち込んできた紗奈の胸にも、彼の弁舌はスッと染み入った。
「アタシもね、仕事大好き人間だから全部ではないけど、すごーく気持ちはわかるわ」
 ——頭がどーしても仕事の事考えちゃうならそれはそれでいいから、その分身体をほぐす事考えてもいいかもね?
 その上で天音は、紗奈へお薦めのリフレッシュ法を提案する。
「例えばストレッチ、両手を伸ばしてぐーっと背を伸ばすだけでも、結構リフレッシュできちゃうわよ?」
 言われるままに、両手を伸ばしてぐーっと背伸びする紗奈。
「あー、確かに背中のコリが解れたかも」
「いいリフレッシュ方法見つけたら、会社で仕事仲間とストレッチタイム設けたりして、自分だけじゃなくて皆で疲れを取っていくようにしてもいいかもね」
「はいっ、勉強になります……!」
「いい? だから休むのも仕事のうちよ♪ いい休み方を研究して、そこから仕事にじゃんじゃん活かしていきなさいな♪」
 朗らかに笑って紗奈の気分を自然と浮上させ、しっかり元気づける天音だった。


「仕事に責任感を持つことは大事だが、仕事に囚われては意味が無いからな。しっかり治してもらうとしよう」
 ムフタール・ラヒム(熱砂と歩む黒狗・e44354)は澄んだ青い瞳を瞬いて、静かに呟いた。
 ちょっと斜に構えた風情でクールな印象を与えるジャッカルのウェアライダーの少年。
 育ての親の影響で医者を志し、病と苦しみの取り払われた世界を目指して勉学に励む心霊治療士だ。
「業務に就く以上はその先に取引先やユーザー……お客様がいる訳でしょう。自社製品を世に出すからには、誰にも迷惑をかけず納期を守らなければ、って思ってしまうんです」
「そうか、仕事に責任感を持って取り組むのは大事なことだ」
 紗奈がつらつらと語る仕事への意気込みに対して、真剣に耳を傾けるムフタール。
「だが、自分一人で全て抱え込んでしまっては、部下が育たず、健全に仕事ができないとは思わないか?」
「部下が育たない……」
 簡にして要を得た鋭い指摘へ、紗奈がたじろいで項垂れる。
「私なりに部下の育成も苦心してきたつもりですが、そう言われると確かに、重要な案件を任せるのは二の足踏んでいました……お恥ずかしい限りです」
「部下を信用し、仕事を預けるのも上司の役目だと思うぞ。部下が失敗したその時に、あなたが守ってやればいい」
 ムフタールは歳よりずっと大人びた物言いで、見事に紗奈を諭してみせた。
「ああ……有難うございます! 部下を信じていざと言う時守るのが上司の役目、目を開かされた思いです!」
 紗奈が伏し拝むようにして、ムフタールへお礼を述べたのも尤もである。
「解るぞ。確かに仕事は仕事だろう……だがそなたはそれを成し遂げたいのだろう? だからこそそれが滞らない事を焦り恐れる」
 と、紗奈の抱えるストレスに共感してみせるのはトート・アメン(サキュバスの土蔵篭り・e44510)。
 件の小型ワイルドスペースより救出された時、棺桶で眠っていたという土蔵篭りの少年だ。
「しかし、畏れる事はない。そなたは一人ではない。皆そなたが安心して戻って来られるよう常に精進をしている」
 トートも静と同様に聡を通して依頼していた、部下達からの激励動画を紗奈へ見せて、尊大ながらもどっしりした物言いで語りかける。
「なればこそ今は仲間を信じ、己を襲う災厄と戦う時に相違ないのだ」
「ええ、本当……部下に負けないよう私も早く治さないと、ですね」
 部下の元気な声を聞いて、紗奈の気持ちも大分上向きになった。
「食は大いなる安らぎであり明日への活力よ! 嘆かわしい事に日本人は朝を摂らぬ者が多い! それでは元気がでんぞっ!」
 それを見て安心したように、トートは携帯用コンロを出して料理を始める。
「余は実は、元々料理はしなかったのだがなぁ……」
 言葉と裏腹に楽しそうに用意したのはシャクシュカ。
「こうして土蔵篭りになってからは、なかなか料理を楽しめなかったからな。改めて学び、そして実践したという所よ」
 トマトや玉ねぎ等の野菜と挽き肉をフライパンで炒めハリッサやクミンでスパイシーに味つけした上から卵を乗せた中東の朝ご飯だ。
「王とて故郷の味に想いを馳せる事もあるのさ」
 ムルキーヤなるモロヘイヤのスープも手早く作ってみせたトート。
「病というのであれば病に負けない身体が必要だ! そして何より……美しさを保つに必要な栄養もたっぷりだぞ!」
 料理の腕を存分に振るって、紗奈を楽しませた。
「美味しいっ、食欲が沸く味ね」
 かくて、8人は残火病の個別耐性を得る事が出来た。
 施術黒衣を着たドクターによって、すぐ病魔召喚が行われた。
 すぐにムフタールが紗奈を乗せたストレッチャーを外へ運び出す。
「さぁ、仕上げのお仕事頑張っていきましょうか♪」
 如何にも骸骨のような見た目の残火病へ、天音が捕食モードのブラックスライムを嗾けた。
「ロックにケルベロスライブ、スタートデース! イェーイ!!」
 シィカは普段通りテンション高く歌いつつ、ガツンと残火病へ跳び蹴りをぶちかます。
「はん……番犬の仕事ってのはババアには堪えるね」
 跨った雷兎が残火病の足を轢き潰すのへ合わせて、静は電光石火の蹴りを頸椎へ入れた。
「お前の罪はここに量られる……刮目しろ!」
 具現化した罪を天秤で量り、その重さに準じた雷を落とすのはムフタールだ。
「診殺開始――チクリとするよ? ――誅伐巨悪、急々如律令――!』
 御幸は注射器型をした極小の針を飛ばし、残火病へ薬と言う名のは蠱毒の毒矢を見舞う。
「死は終焉ではない。沈んだ日が昇る様に命もまた死を迎えまた再生する。恐れる事はない。心静かに光を受け入れよ」
 超小型の太陽の如き火の玉を召喚、ぶち込むのはトートだ。
「あなたは辞職していいですから消えなさい!」
 最後、残火病へトドメを刺したのは、エニーケが十字に組んだ腕より放った必殺光線であった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月13日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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