覚醒、冬の魔性

作者:七凪臣

●覚醒、冬の魔性!
 白々と、空が明るみ始める時分。
 大気さえもきぃんと凍て付く中、ぎちぎちと蠢く影があった。
 それはコギトエルゴスムに機械で出来た蜘蛛の足のようなものがついた小型ダモクレス。廃棄物の山を暫し彷徨い、見つけた何かにするりと滑り込んで根を下ろす。
 そうして目覚めたのは。
「ダメニナッテ、イイノヨォ……!」
 冬の魔性、こと。コタツがそのまんま巨大化した感満載の、その名もコタツダモクレスだった!

●だってコタツだよ、駄目になるなって言う方が無理じゃない?
「……また一体、恐ろしいダモクレスが出現するようです」
 リザベッタ・オーバーロード(ヘリオライダー・en0064)は酷く深刻な顔で、そう口火を切った。
 とある山中にある廃棄物処理場にて処分を待っていたコタツが、ダモクレス化する事件を予知したのだ。
 そう、コタツ。コタツ。繰り返すけど、コタツ。あの、冬場に人間を駄目にすることでお馴染みのコタツ。ミカンやアイスがお供にされることが多いコタツ。
「ルーネさんの心配、ドンピシャです。あぁ、恐ろしい!」
 どうやら日本に来てからコタツにすっかりはまったらしいリザベッタの慄きぶりは、眺めているとちょっと面白い。ともあれシュガレット・ルーネ(イノセント・e44237)の予想は大的中。
 そんなわけで、ケルベロスには現地へ赴き、このコタツダモクレスを撃破して貰いたいわけだが。
「彼の敵は、ケルベロスを駄目にする気満々です……」
 外見は、一般家庭でよく目にする四角形のコタツの巨大版。動きやすくする為か、コタツ布団ちっくな装甲はほんの少し宙へ浮き、その間からはカクカク動く四本脚がちょろっと覗いている。
 攻撃手段は三つ。
 一つ目は、ふわっとほっこり温もりを発してケルベロスを駄目にしようとする。
 二つ目は、コタツ布団ちっくな装甲の内側に取り込んでケルベロスを駄目にしようとする(勿論、内側は程よい暖かさで満たされている)。
 三つ目は、天板の上にある籠のような部位からミカンっぽい爆弾を放ってケルベロスを駄目にしようとする。
「いずれも危険な攻撃です……」
 果たして本当にそうなのか!?
 そう小一時間問い詰めたい気持ちはさておき、このままコタツダモクレスが廃棄物処理場を出て街で暴れてしまうと、甚大な被害が出るのは間違いない。
 故にケルベロスは、このコタツダモクレスに敗北するわけにはいかないのだ!
「身も凍るような時間帯、皆さんには大変な思いをさせてしまう事になりますが、どうぞよろしくお願いします。帰りは近場にコタツで温まれるお茶屋さんがあるので、そこでダラダラ……ではなく、体を休めて来て下さいね」
 結局最後は駄目になれってこと? って気がしないでないが。そこはやっぱりコタツだし。ケルベロスの皆様、寒風荒ぶ地にてコタツダモクレスを撃破しちゃって下さい。ぐっどらっく!


参加者
アマルガム・ムーンハート(ムーンスパークル・e00993)
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
鈴代・瞳李(司獅子・e01586)
光宗・睦(上から読んでも下から読んでも・e02124)
花露・梅(はなすい・e11172)
比良坂・陸也(化け狸・e28489)
シュガレット・ルーネ(イノセント・e44237)

■リプレイ

 シュガレット・ルーネ(イノセント・e44237)は、ふわふわの兎耳を撓れさせた。
(「え、ええっと……なんだか炬燵で寛いでるだけの様な気がするんですけど……」)
 彼女の困惑もさもありなん。だって狸が――もとい、比良坂・陸也(化け狸・e28489)が現着するや否や携帯コタツセット(お一人様推奨サイズ丸形)を広げたのだ。
「我に秘策あり、だぜ」
 コタツダモクレス(以後、略してコタダモ)の誘惑に負けたくないなら、始めっからコタツに入っておけばいい!
 どてらも羽織った陸也があんまりにも自信たっぷりだから、ケルベロス初心者シュガレット、変に信じた。これもケルベロスの立派なお仕事なんだって。
 というか。
『ソッチガ、イイノォ……?』
 ある意味最強の先制攻撃に、コタダモちゃんもショック受けてた。陸也、恐ろしい狸(こ)っ!!

●抵抗してみた
 超絶ショックに動きが停止したコタダモ。
「こっちからいかせて貰うぜ」
 格好はつけてもコタツムリ。マイコタツから出るつもりのない陸也は出不精決め込み、そのまま有り難い錫杖を伸ばし突っついた。
 ッカーン。
 吐いた傍から息白む寒空に、甲高い音が響く。それでようやく我に返ったコタダモ、攻性に出ようとする。が、その前にライオン――改め、古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)が放った神槍のレプリカが飛ぶ。
「勝手に動くな。ゲーム中にコタツが動いたらコントローラーを投げ飛ばすところよ」
 コントローラーより物騒な物が飛んでますけどね? 然して指先一つで狙い定められた槍は、ぶっすと敵を刺し穿った。
 るり、初手から問答無用の全力攻撃。だが姿はライオンの着ぐるみ姿。南瓜行列の仮装だったはずだが、今ではすっかりパジャマとして使用されており――って、あなたも寝る気満々ですね!?
「いえ、万が一眠ってしまっても大丈夫な備えです」
『!』
 聞こえた気がするツッコミへのるりの律儀な応えに、コタダモの顔(恐らく正面部位)がぱぁあっと輝く。やっぱり万一に備えてくれるくらい、私のこと大好きなのね! って感じ。
 だがその心が定まる前に、アマルガム・ムーンハート(ムーンスパークル・e00993)が腹の底から黄色い声を上げる。
「きゃー! こたつさーん! こっちきてぇえええええ!」
 どうしたら裏声でこんな大音量が出るのであろうか。そんな疑問は華麗に棚に上げ、アマルガムは気咬弾と一緒にコタダモへ愛をぶつけた。
(「今回の相手はぬくい、ほかほか、あったかいと三拍子揃った最強の機械だよっ、これは心してかからないとだめだねっ!」)
「こたつでみかん! こたつでアイス! こたつでごろ寝! ひゃっはー! ほんとにこたつは天国だよ~!?」
 Kotatsu is God!
 そう、コタツは神。冬の救世主。アマルガムだって半纏着込んできたくらい「こたつむりにおれはなる」な心意気。そんなの叩きつけられたら、コタダモだって応えない訳にはいかない。
『ホ~ラ、温カイヨォ』
 ふわ~ん。アマルガム目掛け放たれた温風はジャスト適温。しかも範囲攻撃。つまりアマルガム周囲はまとめて被弾しちゃっうわけで。
「冬の早朝と言うだけで、家に帰ってダモクレスじゃないコタツに入りたい」
 巻き込まれた鈴代・瞳李(司獅子・e01586)の口が思わずポロリ。
「……すまん、寒さに本音がだだ漏れた。聞かなかった事にしてくれ」
 アマルガムが連れる翼猫のティティから、清き翼の羽ばたきを貰っていたにも関わらず、 元軍人としてあるまじき失態。瞳李、平素を装い前言撤回を試みる。け・れ・ど!
「わかりました。瞳李様のコタツに入りたいという本音は聞かなかった事に致しますね!」
 元気娘、花露・梅(はなすい・e11172)が無邪気な復唱でまさかのダメ押し。
「……まぁ、なんだ。うん、頑張らないとな――鈴は警鐘。その代わりの私は、私の役割を果たすだけだ」
 忍び入る寒さ以外の何かにも身をつまされつつ、瞳李はグラビティで編上げた幾つもの弾を雨のように降らし、コタダモの足を止める方に意識を一先ずシフトして。続いた梅も、梅形のキャスケットをきゅっと被り直して気合注入。
「炬燵の誘惑には負けませんよ……!」
 強い心を持って挑むのだ。仲間にもしもの事あらば、すぐにフォローに入れるくらい!
 固い決意は煌く蹴りとなって、デウスエクスの天板部分を直撃。
 それにしても。何て卑怯な敵なのか!
「よりによってこんな寒い日に出るとか、マジ卑怯!」
 みんなしっかりしてよー、とギャルのノリで(というか、普通にギャル)、光宗・睦(上から読んでも下から読んでも・e02124)は星辰宿す剣で描く守護星座で最前列に立つ者らへ自浄の加護を授ける。誘惑に負けちゃダメ。それにほら、今は戦いの最中。動いていれば、体はポカポカ――という睦の予定が後程覆るのはさておいて。
「……! これも、一人前になる為の試練なんですね……!」
 先輩たちのフリーダムっぷりに目を白黒させっぱなしのシュガレット、誤認に拍車をかけつつ、とにもかくにも攻撃準備。
「え、ええっと! こたつは暖かいけど、悪用するのはよくないとおもいます……っ!」
 格好良い名乗りとかはまだまだハードル高い少女、以降のお仕置きの為に先ずは月の力で己が破壊力を高める事に尽力する。
 のっけから騒々しさとテンションはMAX! だが、リネーア・フェルンホルム(睡彩・e22178)は一味違った。
 美しい人形の如き少女は、優美なファー付きのコートに首まで埋めて、寒さと誘惑に凛然と対峙する。
 冬の朝が寒いのは必然。防寒対策さえ怠らなければ、恐れるものはない。
「昴、行きましょう。その清らかな羽搏きで皆を助けるのよ」
 寧ろ貴女が清らかです! そんな声が天から降って来たかは知らないが、リネーアは雷の壁で仲間を守護し、従う短足ぶりか可愛いマンチカンの子猫風の翼猫も癒しの力を振るう。
 ここで問題です。今回のメンバーの中で一番の天然は誰でしょうか?
 答はリネーア。そう、実は動じてない風の彼女でしたが、喜怒哀楽が表に出難いだけというオチ!

●幕間劇場『誘惑』
「今の私は冬のライオン。ほんの少しだけ眠らせて頂戴……」
 敵の攻撃に、うっかり丸くなりかけたるり、はっとして顔を上げる。
 いやいや眠ってる場合じゃない。ダモクレスのコタツは信用できない。コタツに必要な安心感が、圧倒的に足りないッ!
(「……」)
 そしてそんなるりを、瞳李は冷静に観察し――ているように見えて、虚勢ばりばり。本当はコタツでアイスを食べたりしたいのだ。先日旅団で知ってしまった、猫を膝に乗せるの至高というのを実行したくて堪らないのだ。だってそこに巨大な猫科の生き物っぽいのがいるし。
「このサイズのコタツには、ちょうどいいだろうな……」
 またしても迂闊に漏れた瞳李の本音(可愛いものは好きだけど、そういうキャラには見えないだろうって隠してるつもりなのに)に、コタダモぴくり。
 そうよね、貴女もコタツ好きよね?
 キランと意識が自分へ向けられたのを察した瞳李、
「――と、先程アマルガムが言っていたな」
「っそ、そうだよっ。ティティもこたつに入るんだよっ! ねこはこたつでまるくなるんだよっ!?」
 アマルガムへ華麗に責任転嫁! そしてアマルガムは、目を血走らせて唱えた様式美で敵の気を自分に戻す。
(「……え、ええと、全部こっちにダモクレス来させる為だからね? 本音じゃないよ本当だよ?」)
 心の声は誰にも届かず。
「だから最初から一体化しとくのが最強なんだぜ!」
「そういうものなのね」
「私、憶えました」
「温かいのは幸せでございます」
 陸也の弁に、リネーアとシュガレット素直にこくこく。あと梅、さり気なく陸也のおこたにご相伴。ぬくぬく。

●頑張りますっ
 温もりを漂わせるわ、布団に取り込もうとするわ、ミカンは放るわ。おのれ冬の魔性。正月にコタツの世話になった梅には強敵も強敵。コタツに入りながらアイスを食べる最高さを思い出せば――。
「ううっ……花露の名に恥じぬよう、わたくしは、炬燵の誘惑にも負けず、つよいこころを、もち、よくを、すてて……ふんー! 忍法・春日紅ぃいいい!」
 呂律すら怪しくなりかけてた(not敵の妨害能力)梅、強引に攻撃に踏み切った。必殺、花露忍法! 小振りな紅の花弁に紛れ、天真爛漫少女はコタダモの背後に回り込む。未練で滲む視界はきっと気のせい! ていやっ(急所ぷすっ)。
「あ、ちょっと温かい!」
 破壊の衝撃で零れた熱に、睦ちょっとほっこり。うん、体を動かせば大丈夫って思ってたけど。今日の睦は浄化要員。肉弾戦とは遠い動きに、体は芯まで冷え冷え。今すぐコタダモのお世話になりたいくらい。そんな睦の正気を支えるのは、冷凍ミカンの存在。そう、睦はコタツには冷凍ミカン派。凍ってないミカンの誘惑になら、耐えてみせるっ。
「そうよ、私は負けない! あーもうアマルガムさん、ダメだってば! 引っ張り出すよ! せーのっ!」
 睦、華やかに色付く天使翼をぱたぱたさせてオーロラのような光を放ち乍ら、コタダモの懐に収まってたアマルガムを引っ張り出す。
(「折角だから、一度くらいは……っ」)
 コタダモの魅惑攻撃を受けてみたかった――そんな憧れきゅっと力を入れた眉間に収めて、シュガレットはプラズムキャノンぶっぱ。あの中は、どれくらい温かったのだろう? ころんと転寝できる幸せを感じられたのだろうかっ。眺めてるだけで身も心も蕩けそうになるのだ、被ればきっと、きっと……。
「とても快適よね……」
 朝が早かったせいで眠いリネーアの心中もシュガレットと以下同文。でも、このままじゃダメだと悟った天然さん。何を思ったか、ここで唐突にパーフェクトボディを発動した。
 きらきら~ん☆
「これで気分も盛り上がりますよね」
 美しさを増したリネーアに、昴のやる気アップ。短い手足で、にゃっとコタダモを引っ掻く。そしてリネーア、ここでまさかの爆弾発言。
「あなた、とても温かいわ。皆があなたを好きになる理由が分かる」
 多くの人を蕩かし骨抜きにして来たに違いない罪深きモノ。で、もっ。
「ごめんなさい。私……床暖房派なの」
『Σ』
 今日、初めてコタツの良さを知った気がする、とか、おやすみなさい良い夢をとか、続いたリネーアの労いなどコタダモの聴覚には届いてなかった。え、床暖房派!? コタツ要らないの?
「おいおい、選択の自由がある時代だぜ?」
 コタダモの縋る気配に、コタツムリ陸也は適当を言って煽り上げ、ついでにコタツ背負って光の剣で敵を斬りつける。その動きは最早コタツムリのプロ。こんなん陸也だが、序盤には余剰ダメージ蓄積狙える炎を撒いて、自浄の加護が十分になったらダメージ重視に転向する策士ぶり。この化け狸、ただの狸ではなかった。
 お陰で、気付けばコタダモはもうズタボロ。
「ちなみに、私の家にもコタツはないわね。有るのは暖炉。結構いいものよ。暖炉の前で安楽椅子に座っていると読書に集中できるの。コタツよりもね」
 るり、噴出させた溶岩と一緒に言葉でもコタダモを追い打つ。これぞ攻撃&口撃。途中で眠くならないから、なんて続きは、もちろんコタダモ聞いちゃいない。
『ッ、コタツゥウ。イイノニィイ』
 トラウマ刺激されたよう哀れな叫びにアマルガム、申し訳なさが募る。しかし倒すしかないのだ、ごめんどごぉん。
 ――貴方だけは味方だと思ってたのに!
 アマルガムの強撃に、コタダモが頽れた。歪んだフォルムはさめざめ泣く女性のようで、オウガメタルを拳に纏わせた瞳李の胸が痛む。
「ああもう止めろ、そんな目(?)で見るな!」
 誘惑の余韻も相俟って、修理してやりたくなる衝動と瞳李は戦う。
「っ、やるしか、ないのか……っ」
「瞳李様! コタツダモクレス様には大変申し訳ないですが、この後、ゆっくりこたつで休まねばなりませんのでっ」
「そ・れ・だ!」
 梅から飛んだエールに、瞳李は未練を拭い捨てた。
「さらばだ巨大コタツ、私達には私達サイズが丁度良い」
 瞳李、無心でコタダモへ肉薄し、鬼と化した拳を懐に叩き付ける。ちゅどーん。コタダモ爆発四散。微かに残った温もりは『コタツを好きでいてくれるなら、それでいいのよぉ』と言ってくれてる気がした。

●最後は心置きなく駄目になろう
「コタツはこんなにも素晴らしい存在だったのね」
 昴を膝に乗せ、リネーアは「ふぅ」とまろい吐息を零す。お茶もミカンも、いつもより美味しく感じる。これもコタツのお陰だろうか?
「家でも使ってみようかしら」
 ごろごろ喉を鳴らす昴に、リネーアの表情も僅かに緩む。そんな様子を、瞳李は羨望の眼差しでチラ見してた。
「あのダモクレスは、出て来るのが早過ぎたんだな」
 今なら心行くまで誘惑される自信があると言いつつ、瞳李の視線は昴へ。あんな風にコタツで猫を愛でてみたい。だが、やっぱり自分のキャラじゃないって言われる気がするし。いっそ巨大猫ことるりライオンなら許されないだろうか。でも、そのるりはと言うと――。
「……あ、レアアイテム来た」
 ガチャで見事引き当てた新規実装キャラを使ってソシャゲに夢中。当然、コタツの中で丸くなって。
「ふぃー、やっぱ冬は炬燵に限るな!」
 ずっとコタツムリだった陸也、ほうじ茶を啜りながら程よい広さのコタツを堪能する。冷たいあんみつやみたらし団子があれば最高だったけど。ミカンが美味いから、まぁ良し。
「それにしても、かつてない強敵だったわね……」
 コタツ布団を肩まで引き上げ、睦もまったり。何だったらもっと激しく戦いたかったけど(本人、バトルマニアは否定。主戦力だったら「風穴開けてやるっ!」とか言うトコだったとしても)、冷え切ったお陰でこの温もりを堪能出来ていると思えば、悪くないかも。
「あーもう出たくないヤバーい」
「これもダモクレスの罠じゃ、ないです……よね?」
 すっかり駄目になってるにも関わらず、はっと我に返って臆病ウサギの顔を覗かせるシュガレットに、梅は「大丈夫です!」と笑顔の太鼓判。
「もう誘惑に負けてもいいのです。やはり炬燵は良いものです」
 アイスが食べたくなるくらいリラックス。そんな梅の溶け具合に、シュガレットも安堵を得てふにゃりと蕩けた。ミカンの甘酸っぱさも優しい。
「ティティ、あとでおこして?」
 背を撫でていた翼猫に後を託し、アマルガムはごろり転がりコタツに潜り込む。
 もしかしたら、コタダモもこうやってもう一回、人間をぬくぬくにしたかっただけなのかも。
 けど、今はもう難しい事を考えるのは止めにして。
「……おやすみぃ」
 二卓のコタツに八人のケルベロスと二匹の翼猫。思う存分、惰眠を貪る。
 嗚呼、これぞこの季節ピカ一の幸せ。
 やっぱりコタツは、人を駄目にする冬の魔性である。

作者:七凪臣 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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