黒い忍び装束を着込んだ薄着の若い男が、寒い山の木々の間に立っていた。
「シッ!」
息を鋭く吐く音と共に手裏剣が投げられ木に突き刺さる。
「シァッ」
そこへ飛び掛かり鎌を突き立てる。そして次の的の木に振り返ると、鎌の柄尻から伸びる鎖分銅を振り回し遠心力をつけて投げつけ、木にぶつけて表面を抉る。そして駆け抜けながら鎌で斬り裂いた。
「シュッ」
最後に振り返りながら懐から手裏剣を取り出して何度も投げつけ、それが木に刺さるのを確認すると男は息を吐いて動きを止めた。
「命中率は9割といったところか……腕は上がっているが、まだまだでござるな」
必中となるまで特訓あるのみと、男は刺さった手裏剣を引き抜く。
「忍びの道を極めるのは大変でござる。だが険しいからこそ進む意味があるというものでござるよ!」
時代がかった口調で男は意気込み、特訓を続けようとする。その背後に一切の気配を感じさせぬ幻武極が立っていた。
「な!? 曲者でござるか!?」
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
驚き身構える男に、幻武極が言葉を投げかける。
「シャァッ」
すると男は殺気を放って鎖分銅を振り回し、投げつけて敵の脚に巻き付けると、手裏剣を投げつける。そして手裏剣を追うように接近して鎌で喉を斬りつけた。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
それだけの攻撃を受けても全く傷一つ無い幻武極が、手にした鍵を男の胸に突き刺した。男は膝から崩れ落ち意識を失う。
その隣に男と同じ忍び装束の姿をしたドリームイーターが新たに姿を現した。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
幻武極が声を掛けると、忍者は巨大な手裏剣を投げて木々を切断し、鎖分銅を振り回すとまるで蛇のように自在にうねってバラバラの木を空中で粉砕してしまった。
「忍者マスターの力、見せつけてやるでござる!」
姿を消すように忍者は木々を跳び、近くの町へと向かった。
「新しい武術家ドリームイーターが現れるみたいだけど、今度の相手は忍者みたいだね」
敵の出現を告げた二階堂・燐(鬼火振るい・e33243)がオーソドックスな忍者を思い浮かべる。
「幻武極というドリームイーターが現れ、武術の特訓をしている人を襲い、自分に欠損している『武術』を奪いモザイクを晴らそうとしているようです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)か資料を手に詳細を話し始めた。
「モザイクは晴れなかったようですが、新たなドリームイーターを生み出し、人々を襲わせようとしているようです」
生まれたドリームイーターは、男性の技を極めた理想的な忍者となって襲い掛かる。
「町に入られると多くの被害が出てしまいます。ですので敵を町の前で迎撃し、撃破してもらいたのです」
山の木々を跳んでくるようなので、道の無い山の中で待ち構える事になる。
「武術家ドリームイーターは目元以外を隠した忍者の恰好をしています。鎖鎌と手裏剣を武器に中距離からのトリッキーな攻撃を得意としているようです」
鎖分銅や手裏剣による飛び道具で相手を削り、近づいて鎌で止めを刺すというスタイルのようだ。
「現れる場所は滋賀県にある山です。敵が麓にある町へ向かうのは分かっているので、その間の山の斜面で待ち構えていれば敵が現れます」
周辺は木々が生えているだけで道も無いような場所なので、一般人を巻き込む心配はない。
「相手は忍者の技が最強だと見せつけたくて仕方ないようです。待ち構えている時に武術の稽古でもしていれば嬉々として襲ってくるでしょう。皆さんの力で敵を倒して人々と眠ったままの男性を助けてあげてください」
よろしくお願いしますとセリカが説明を終え、出発の準備に取り掛かる。
「ふーむ、鎖鎌と手裏剣を使う忍者か……なんだか忙しなさそうな武術だね。でもどんな忍術を見せてくれるのか楽しみだよ」
どっちの武器も扱いが難しそうだが、どんな戦い方をするのかと興味深そうにする燐の言葉にケルベロス達が頷き、その腕前を確かめてやろうとやる気になって戦いの準備を始めた。
参加者 | |
---|---|
クリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036) |
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079) |
カトレア・マエストーゾ(幻想を紡ぐ作曲家・e04767) |
桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767) |
イズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083) |
二階堂・燐(鬼火振るい・e33243) |
オリビア・ローガン(加州柳生の伝承者・e43050) |
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484) |
●忍者参上
山の麓、少し下りれば町に続く道に出る木々に囲まれた場所にケルベロス達は集まっていた。
「あたし、武術はちゃんと習ったことあるわけじゃないし、武術って呼んでいいかわかんないレベルの我流だけど、人のを見るのは楽しそう」
期待に満ちた目で桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767)が仲間に視線を送る。
「てことで、武術とか忍術? に心得のある人、実践してみてくんない? そしたら向こうから来るかもだし?」
敵を誘導する為だと言い訳して、ワクワクした様子の萌花が提案する。
「ウォーミングアップにもなるし、ちょうどいいかな。誰か一緒にやらない? 最近、闘技場以外の模擬戦なんかもサボり気味だったしね」
頷いた二階堂・燐(鬼火振るい・e33243)が前に出て、刀を構え型のように振るう。
「OH! ワタシがお付き合いいたしマスデース!」
気合を入れたオリビア・ローガン(加州柳生の伝承者・e43050)が二刀の刀を抜いて対峙し稽古を始めた。
「ボクは空手の型をやるよー」
今・日和(形象拳猫之形皆伝者・e44484)が正拳突きを打ち横蹴りを放ったりと空手の技をみせる。
「続きまして、ボク独自の猫拳の構えと型を見せちゃうんだもんね」
ここからが本番だと、日和は猫のように背を丸めて構えにゃにゃっと飛び掛かりパンチを放つ技を披露した。
「ニンジャ・ドリ-ムイーターでござるか。強敵の予感でござるな」
死闘を予感してクリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036)は心昂らせる。
「しかし、相手はデウスエクス絶対殺すべし、慈悲は無いでござる」
その闘争本能を冷たい殺意に変え、身軽な動きで演武を始めた。
「今回の敵は忍者。それも、螺旋忍軍とは違った、本格的なジャパニーズニンジャだね。不謹慎かもしれないけど、少し楽しみだなぁ」
どんな忍術が見られるのだろうとファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)は微笑み、皆の演武を眺め感心しながら敵を待つ。
「忍者かぁ……私も嫌いではないけどなぁ。まぁそれはそれとして倒さないと後が大変そうだからね」
武術の類は苦手だと、カトレア・マエストーゾ(幻想を紡ぐ作曲家・e04767)も仲間達の稽古を見学していた。
「わたしは忍者らしく忍んで影よりこっそり……不意打ちするよ☆」
無邪気な笑みを浮かべたイズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083)が、気配を消して木々の間に姿を隠す。
ケルベロス達の演武が繰り広げられていると、上から声が響いた。
「山籠もりしている武人でござるか!」
見上げればそこには木に乗った黒装束で全身を包む忍者の姿があった。
●鎖鎌術
「拙者の忍術を試す絶好の機会が早速来たようでござるな!」
とうっと忍者が飛び降りてケルベロス達の前に立ち、鎖鎌を取り出し鎖分銅を頭上で回転させ始めた。
「正統なジャパニーズニンジャの力、見せてもらうよ」
ファルケは鎖で地面に魔法陣を描き、仲間達に守護を与えてその身を頑丈に強化する。
「さぁ戦闘開始だ。号砲を鳴らしてあげようじゃないか」
カトレアは自らが作曲した『轟く号砲』の楽譜を手にすると、小型のドラゴンの姿をした御業が現れ砲弾を勢いよく吐き出し敵にぶつけた。爆風が起こり敵がよろめく。
「テレビで見たことある! 本物の忍者だ! ねえねえ、あたしの忍者アクション見てみてよ!」
ソールがきらきら光るブーツで跳躍した萌花は回し蹴りを浴びせて鎌を弾き、着地と共に後ろ回し蹴りを顔に叩き込んだ。
「――緋の花開く。光の蝶」
背後から待ち伏せしていたイズナが手のひらから緋色の蝶を放ち、光の蝶が敵の目の前を横切る。敵はそれに見惚れるように足を止めて視線で追って隙を作った。
「悪いNINJAを退治するのは昔からYAGYUのツトメデース!!」
オリビアが正義の心を刀に込めると刃が燃え上がり、二連の斬撃を肩と胴に放つ。それを敵が鎌と鎖で受け止める。だが炎が大爆発を起こして敵を吹っ飛ばした。
「拙者の目を惑わすとは! 屈辱でござる!」
忍者がイズナ目掛けて手裏剣を投げようとする。
「では拙者も一つ」
クリュティアが前に出る。
「ドーモ。初めまして。ニンジャ・ドリームイーター=サン。クリュティア・ドロウエントでござる」
礼儀正しくクリュティアが一礼して、イズナを分身させて敵を惑わし、投げた手裏剣は木に突き刺さった。
「ふっふふふ……鎖鎌では、卓越した剣には勝てないぜ。宍戸梅軒だって宮本武蔵に……ってあれは創作だっけ? まあ、何でもいいか。とにかく、僕たちで、それを証明しよう!」
燐は正面から間合を詰めて横に青白く鬼火の宿る刀を薙ぎ払う。敵は刃を鎌で受け止め、引き戻した分銅が後頭部を狙う。燐は体を捻って肩でそれを受け止めた。
「武術だったらボクも負けないぞーっ! 色んな道具を使う忍術には負けられないからねっ! 尋常に参るー!」
勝負だと日和が炎を足に纏わせて跳躍する。
「えーいっ、火攻の術!」
そして炎の飛び蹴りを敵の顔に叩き込んだ。
「な、なかなかやるでござるな。ならば拙者も華麗な鎖鎌術をお見せするでござる!」
分銅が回され目で追えぬ程の速度で投げ放たれる。
「すごいね! 鎌と鎖って使い辛いし、手裏剣もちゃんと投げるの難しいんだよね」
跳躍して回避したイズナは褒めながら木を蹴って上へ上へと跳び、虹を纏いながら急降下して蹴りつけた。
「動きを止めるのは任せるでござる。ではジツ合戦と参るでござるか」
猛る怒りを雷に変えクリュティアが雷撃を放つと、逃れようと敵は身を翻すが奔る閃光はその背中を撃ち抜き電気が流れ体を麻痺させる。
「鎖鎌は確かに攻撃に優れているのかもしれないけど、守りはどうかな?」
燐が刀を振り下ろすと、敵は鎖を伸ばして受け止める。体重を乗せて押し切ると刃が敵の額を割った。
「離れるでござるよ!」
忍者は毒の塗られた鎌で反撃し、燐の腹を切りつけた。毒が侵食し皮膚を紫に変えていく。
「毒を使うなんて危ないね。すぐに解毒するよ」
愛用の帽子が飛ばないように押さえながら、ファルケはステップを踏んで花びらを飛ばし、燐の毒を消し去る。
「動きの素早い忍者なら、この曲で捕まえることにしよう」
カトレアは『求める未来』の楽譜を取り出す。すると御業の巨大な手が姿を現し敵を握りしめる。
「これはどーだっ、石化の術!」
猫のように素早く背後に回った日和は指を背中に突き入れ、体内に流れる気脈を断って体を石のように麻痺させる。
「ぐっ忍者は毒耐性があるものでござる」
歯を食いしばって忍者が動こうとする。
「もっと忍者のカッコいいとこ見たいな♪ だから、ね?」
魔力を増幅させる口紅を塗った萌花は、囁くように動かないでと甘い言葉を伝え心も体も痺れさせる。
「NINJAよりもYAGYUの方がベリーストロングデース!」
オリビアが刀を振るうとチェーンソーのエンジン音が響き、敵を怯ませながら胴を斬りつけた。
「デウスエクス殺すべし慈悲は無いでござる」
疾風のように駆けて回り込んだクリュティアが、手に螺旋の力を込めて掌打を腹に叩き込んだ。流れる破壊の力が内部から渦を巻いて体を壊す。
「シッ」
忍者が分銅を至近距離から投げつける。
「うわっと!? この距離から──」
燐は刀で分銅を弾くと、その隙に敵が近づき脇腹に鎌を振るう。それに対して燐は避けずに前蹴りで迎撃し、鎌が深く刺さる前に敵を蹴って押し戻した。
「これがジャパニーズソードYAGYUデース!」
オリビアは左の刀で分銅を弾き、雷纏う右の刀を胸に突き入れる。だが敵は素早く飛び退いて鎖をオリビアの体に巻きつけ、鎌でその背中を切り裂いた。
「躱すというのなら、躱す隙間もない弾幕で埋め尽くそう」
カトレアが『止まぬ銃声』の楽譜を敵に向けると、大量の銃火器が背後に現れ、無数の炎弾を発射して炎が燃え広がる。
「傷は……浅いね。毒を抜いて塞いでおくよ」
ファルケは気を分け与えてオリビアの治療を行う。
「これが忍術でござる!」
忍者が手裏剣を投げつける。だが手裏剣はイズナの隣の木を切断して飛んでいく。
「えへへ、残念♪ ちゃんと狙ってよね」
その木の周辺にはイズナが放った光の蝶が漂っている。蝶によって敵の目と意識を惑わせて攻撃を外させていた。
「そんなに見せつけたいなら見せてよ」
駆け寄った萌花は分銅を投げる前に腕を蹴り上げる。
「でもさぁ、忍者って見せつけるもんじゃなくない?」
そんなに自意識過剰で忍者が務まるのかと意地悪く笑いながら、ステップして飛んでくる手裏剣を避けた。
「忍者クン、そろそろ怒りで周りが見えなくなってきたんじゃないかな? コレは忍術じゃないよー、切り裂けっ!」
俊敏に駆け寄った日和が、切り裂くような鋭い回し蹴りを放って敵の胴に裂傷を与えた。
●最強
「拙者の忍術が負けるはずがないでござる!」
忍者は鎖を蛇のように動かし、日和を拘束して巨大な手裏剣を投擲した。
「ニンジャは奇襲とか不意打ちを得意とするんだよね。なら手の内がバレた今じゃあ簡単に対応できるよ」
ファルケの展開する鎖の網が仲間を守り、手裏剣の勢いを弱らせる。
「あなたの忍道ってその程度なの?」
いつの間にか木に登っていたイズナは、真っ直ぐに落下しながら手裏剣を蹴り落とした。
「呪われし子よ、見えざる鎖で戒めてみせましょう」
日和の背後でbaの梵字が光り、放たれた光線が敵を貫きその身を地に縫い付けた。
「中々のカラテでござる。しかし、お主には足りぬ物が二つあるでござる」
クリュティアは右手で逆手に緋色の刀身をした太刀を抜き放ち、すれ違いながら胴を斬り抜けた。その背に敵は分銅を放つ。だがそれは燐の刀によって弾かれた。
「それはソウルと信頼すべきナカマデござる!」
そして反転してクリュティアは雷を放ち背中を撃ち抜いた。
「忍者マスターが追い込まれるなどありえないでござる!」
高速回転する分銅が速度を上げて飛んでくる。
「そろそろ目が慣れてきたよ」
分銅を低く踏み込みながら避けたは刀を走らせ、胴を薙いで深く斬りつけた。
「機動力を奪えば忍者もただの人になる」
カトレアの呼び出した小型ドラゴンが砲弾を吐き出し、敵の足元で爆発を起こした。
「じゃあこっちも忍術を使っちゃおっかな、口寄せの術! ……なんちゃって」
萌花がテキトーに印を結んでリボンを付けた可愛らしい小さなドラゴンの幻を呼び出し、吐き出す炎を出来を焼く。
「シャァッ!」
炎から巨大手裏剣が飛び出す。
「これぞYAGYUニンポー『ビーストモードの術』デース!」
コヨーテに動物変身して回避したオリビアは近づきながら元に戻って刀を振るい腕を斬り裂く。だが手裏剣が弧を描いて舞い戻りオリビアの背中に突き刺さった。
「あ……これはちょっとヤバいかも……油断しました……」
慌てたオリビアは素の口調が出て手裏剣を引き抜く。
「そろそろ終わりが近づいているようだね、終楽章を始めるとしよう」
カトレアは御業の手で敵の体を掴み、木に叩きつけ動きを封じる。
「終わるのはお主達の方でござる!」
忍者は手だけを動かして分銅が飛ぶ。
「スピードには自信があるみたいだけど、こっちも早撃ちには自信があるよ」
ファルケはリボルバー銃を抜き、見えぬ速度で飛ぶ分銅を撃ち落とした。
「忍術って地味じゃない? こういう派手なのない?」
萌花は周囲に輝く氷河期の精霊を呼び出し、空を舞い踊るとダイヤモンドダストが降り注いで敵の体を凍結させた。
「これまででござるな。迷わずゴートゥーアノヨ致すでござる」
跳んだクリュティアがグラビティによって錬成したのクナイ・ダートを大量に投げつけて、雨のように降り注ぎ敵の全身に突き刺さった。
「ちょっとイタイかも? でもこれで最後だからガマンしてね!」
正面から日和が拳を連打し、情け容赦なく全身をぼっこぼこにしていく。
「燃えろ燃えろ! 全部燃えてしまえデース!!」
オリビアは二刀に炎纏わせて二刀の刀をクロスさせて体に×の字に斬りつけた。傷口が燃え上がり爆発して敵が薙ぎ倒された。
「忍者とはどんなときにも鋼の精神で目的を達成するものでござる……!」
忍者は鎖を振り回して周囲を薙ぎ払いケルベロス達を吹き飛ばす。
「鎖鎌って遠くまで届くけど、扱いが難しいから隙が大きいんじゃないかなぁ。だからね……」
割り込んだイズナは槍で鎖を絡め地面に突き立てる。
「こうして封じたらもう終わりだよね?」
そして突進すると小刀を腹に深く突き立てた。
「死を前にしてこそ、忍者は真価を発揮するでござる」
傷だらけでも忍者は闘争心を高め、鎖を無理矢理引き戻して振り回し唸る分銅を投擲する。
「今の僕が放てる、最速の『銃弾』……冥土の土産に、持って逝くといい」
それに正面から向かって霞の構えから踏み込んだ燐は、空力加熱によって刃から白煙が巻き上げながら突きを放ち、分銅を切り裂いて真っ直ぐに敵の胸を貫いた。遅れて空気が破れたような甲高い音が鳴り響く。
「忍者こそ……最強でござる……」
信じられぬように己の胸を見下ろした忍者が幻のように消え去った。
●忍者道
「まだ目が覚めぬようでござるな。病院にでも運ぶでござるか?」
ヒールを掛けたクリュティアが顔を覗き込むと、男性の瞼がゆっくりと開く。
「ここは……確か修行中に……」
「忍者の人、大丈夫かな? 起きた? 念のためにツボ押ししとく?」
日和もツボを拳でグリグリ押して治療を施しながら事情を説明した。
「大丈夫みたいだね、良かったよ」
意識がしっかりしているのを確認したファルケが安堵の息を吐く。
「ありがとうございます。皆さんのお蔭で助かりました」
深く頭を下げた男性は感謝の言葉を述べる。
「忍者とか忍道は詳しくないんだけど、よければその魅力、聞かせてくれる?」
「それならば語らせてもらうでござる!」
戦って少し興味が湧いた萌花が尋ねると、嬉しそうに男性が語り出す。
「ワタシもNINJA好きデース! シノビの見た目も戦い方もクールでカッコいいデース!」
オリビアも混じって熱い忍者談義が始まる。
「忍者って大変だと思うけど、がんばって。応援してるよ!」
そして忍者の道を進めばこんな技も使えるようになると、イズナが分身してみせる。
「おおっ!! 分身の術でござるな!」
大興奮した男性はどうやっているのかと質問攻めを始めた。
「一人前の忍者になったら忍術を見せてもらおうかな」
「きっと宍戸梅軒みたいな使い手になれるよ」
その時が楽しみだとカトレアが微笑み、そうしたら手合わせしようと燐が応援する。
「必ず皆さんのように強い忍者となってみせるでござる!」
明確の目標が出来たと男性は喜び、ケルベロス達の戦いや鍛錬法を皆が辟易するまで質問攻めにするのだった。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年2月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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