オウガ遭遇戦~マッスルカーニバル

作者:baron

『ウ、ウオ、オオオオオ!!』
 岡山県の山中に、頭に黄金の角を生やした女丈夫が現れた。
 左手からは雷鳴を放ち、右手には棍を持ち雄たけびを上げる。
『グオオオ!』
 そいつは飢えているのか血走った眼で周囲を見渡した。
 だがこんな奴が暴れているのだ、野生動物などはとっくの昔に逃げ出して居た。
『オオオ!』
 クンクンと臭いをかいで、人が居る方向を目指して走り始めたのである。


「リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)を始めとした皆さんが、探索を進めてくれていた事でオウガに関する予知を得る事が出来ました。岡山県中山茶臼山古墳周辺に、オウガが多数出現する事が予知されたのですわ」
 ユエ・シャンティエがまっさらな巻物と地図を広げる。
 オウガとは最近になって見受けられた、黄金の角を持つ筋骨逞しいデウスエクスらしい。
「オウガが出現するのは、2月3日なのは分かっていますが、彼らのゲートの位置までは特定する事が出来ませんでした。オウガは強度のグラビティ・チェインの枯渇状態である為、知性が失われており、ただただ人間を殺してグラビティ・チェインを強奪しようと試みるようですえ」
 難儀なことだがこの状態では話し合いなどは全く行えず、戦うしかないらしい。
「オウガ達は、多くのグラビティ・チェインを求めて、節分の神事で多くの人が集まっている吉備津神社方面に移動するよおです。皆さんは、古墳から神社までの区画で迎撃をお願いします」
 想定ポイントは中山茶臼山古墳から吉備の中山細谷川までの地点。
 オウガは、中山茶臼山古墳周辺には、表面が鏡のように平板だという鏡岩を始めとした巨石遺跡が多くあり、その巨石の周辺にオウガが現れる事が多いとのことだ。
 そこで迎撃するか、或いは、敵が必ず通過する、吉備の中山細谷川の隘路の出口で迎撃する事になる。
「現れたオウガは女性で右手に鉄棍、左手からは雷鳴を放っとります。パワー戦をメイン、魔力がサブやろうかと」
 戦闘方法を説明した後、ユエは改めて注意を付け加えた。
「繰り返しますが出現するオウガは、グラビティ・チェインの枯渇状態なので、このままグラビティ・チェインを補給しないとコギトエルゴスム化してしまうようです。その前に人間を殺してグラビティ・チェインを奪おうと侵攻してくるようです。このことをよお、覚えといてください」
 迎撃地点は2か所、出現ポイントである巨石群で迎撃した場合は、周囲に一般人などもいないため、戦闘に集中する事が可能。
 ただし、ここで戦闘を行った場合、グラビティ・チェインの枯渇によるコギトエルゴスム化まで20分程度かかる為、コギトエルゴスム化の前に戦闘の決着がつく可能性が非常に高い。
 もう一方の迎撃ポイントは、吉備の中山細谷川の隘路の出口での迎撃。
 途中の経路は不明だが、オウガは、最終的にこの地点を通過する為、ここで迎撃する事で確実に迎撃する事が可能。
 ただし、この地点は、節分のイベントで人が集まっている吉備津神社に近く、突破されてしまうと、一般人に被害が出てしまう為、突破されないように注意する必要である。
 ここで迎撃した場合、戦闘開始後12分程度で、グラビティ・チェインの枯渇によるコギトエルゴスム化が始まると想定される。
「よおするに確実に倒すか体力に自信があるならば遺跡付近。コギト化を狙い易いなら河川付近で迎撃ゆうことですな。せやけどオウガの戦闘力は高く、敵は常に全力で攻撃をしてくるので、わざと戦闘を長引かせるような戦闘を行った場合、ケルベロス側が大きく不利になるゆうのを覚えといてください」
 コギトエルゴスム化を狙う場合は相応の作戦や戦術が必要になる。
 特に遺跡付近で戦う場合は、人々に危険が及ばない代わりに時間が余分に掛るので、そこも注意が必要だろう。
「改めて言うまでもあらしませんが、オウガは戦闘力の高いデウスエクスですから、まずは勝利する事を第一に考えるようにしてくださいな」
 ケルベロスが敗北すれば、多くの一般人に被害が出てしまう。
 重傷を負うだけでは無く、戦う事も出来ない人々が蹂躙されて虐殺されてしまうことになるだろう。
「確かにオウガを滅ぼさずに対処する事ができれば、今後のオウガとの関係を良好なものになるかもしれませんが、無理は禁物という事ですね」
 ユエはそう言って半紙に描いたメモと地図を置いて見守るのであった。


参加者
鳴神・猛(バーニングブレイカー・e01245)
リーズレット・ヴィッセンシャフト(その呪いは私の鼓動を止める・e02234)
ホワイト・ダイヤモンド(面倒臭がりな妖刀持ち・e02709)
大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)
ウォリア・トゥバーン(獄界の双焔竜・e12736)
ブラック・パール(豪腕一刀・e20680)
時雨・バルバトス(居場所を求める戦鬼・e33394)
エング・セナレグ(重装前進踏襲制圧・e35745)

■リプレイ


「私は普通に節分の行事に参加したかったのだがお仕事だし仕方ないな……」
 祭りの光景を遠目に眺め、リーズレット・ヴィッセンシャフト(その呪いは私の鼓動を止める・e02234)が溜息をついた。
「んー。なら後で参加すればいいんじゃない? 流石に始まりからずっと参加は無理だけどね」
「それしかないかぁ」
 鳴神・猛(バーニングブレイカー・e01245)の言葉にリーズレットは残念そうに呟いて、後は友人たちとじゃれて時間まで過ごす事にする。
「初手背水の陣ねぇ……」
「後ろに水は無いのに背水の陣ときたもんだ」
 ブラック・パール(豪腕一刀・e20680)が肩をすくめると、猛は苦笑しながら脇に流れる谷川と社務所の方へ交互に視線を這わせる。
 一同が担当する場所は山間から道路側溝のような場所へ流れるだけで、特に川と言う場所はない。
「まあ、どちらにせよ楽は出来ない事に代わりはないわね」
 オウガを取り逃がしたら一般人が虐殺されてしまう。
 倒すだけなら簡単だが、一応は倒さないのだからやり難い場所ではあろう。
 ただ、それを言うなら古墳の辺りでも同じこと。採算ラインのギリギリだがこちらの方がまだ可能性がある。
「気を抜けないってのは、なかなか素敵なシチュエーションかしらね? 通さないように頑張ってみましょうか」
 そう口にしてブラックはぶーたれてる妹の顔を覗き込んだ。
「別に。場所はどこでもいいんだけどな……」
「よし! 気合入れて皆、頑張ろうな!」
 ホワイト・ダイヤモンド(面倒臭がりな妖刀持ち・e02709)がやる気な下げに座り込んでるので、リーズレットは頭の上に顎をのせてリラックスしてみた。
 タレてくる髪の毛をうっとおしそうにするが、不思議と跳ねのけないのは慣れたからだろうか。
「依頼を受けたからにはやるにはやるけど……。防衛戦ってのが面倒」
「まーまーボヤかないボヤかない。オウガ来ちゃったし、ではでは~~今日も元気にお仕事お仕事!!」
 ホワイトを宥めていた猛は、遠目に狩衣を来たナニカが見え始めた。

 ケルベロス達はまず、緩やかなL字状の陣形を構築し道の封鎖を図る。
「フハハハ……我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領!!」
 大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)らは広く浅い半包囲で、相手が何処に移動しても良い様に立ち塞がる。
(「はて……? 節分も近いから家(母星)から豆(攻性植物)に、鬼は外されたとかだろうか……?」)
 大首領は懐に手を伸ばし、グラビティの準備を始めた所でふと内心で首を傾げた。
 オウガの故郷ってどこだろう?
「奴の住処は大江山の鬼とは違うのだろうか? まあ良い。ヴァルキュリアに続き、オウガもまた我が野望の手駒として加えてくれよう!!」
 大江山の鬼伝説を思い出したせいか、大首領は天に杯を作りだした。
 天に坐す漆黒の杯からは、黒い雨が降り注ぐ。
 東の神便鬼毒酒(龍神のピー)は鬼には毒だが人には神通を与える様に、その黒き雨は回復効果を高める力がある。
 その銘をヒュギエイア・パナケイア、遥か西の地に伝わる霊薬の名前を冠するグラビティである。
「そういえばこの地は童謡に名高き桃太郎のモデルとなった吉備津彦が、鬼を倒し平定した地とも言われているな。まあ温羅はいずこかの王子とも海賊とも伝えられているが」
「URAA? ふむロシアンな奴、いや母星か。やはりシュテンド某とかも居るかもしれんな」
 ウォリア・トゥバーン(獄界の双焔竜・e12736)がふと思い出したことを呟くと、聞き違えた大首領は明後日の方向に思索を進め始める。
 とはいえ一朝一夕に答えが出る訳でも無し、明後日の方向に進んだ推論が決して間違っているとも思えない。
 鬼の物語にある大江山は実際の位置と異なるし、伝説は縮尺がどこかおかしい。大首領が思いを馳せる母星とのゲートが何処かにあるのかもしれない。
「その辺は正気に戻った後で聞くしかないな。デハ……ソロソロ、征クゾ!」
 ウォリアは楽しそうに笑うと勢い良くダッシュを掛けた後で、ドロップキックを放つ。
 そして立ち上がるや、肉薄して一歩も通さぬと立ち塞がったのである。
 こうしてオウガとのバトルが始まったのである。


「ボヤいても仕方ない…相手は待ってくれないからな」
 座っていたホワイトも立ち上がって得物を抜き、ウォリアと挟み込むようにしてナイフで脇腹を突き刺すのだが……。
『ウオオォォ!』
「抜けられた!? お姉ちゃーん、取り柄が全部潰れるんだけど!?」
「ハイハイ。こういう戦いは相手の長所を潰せばいいのよ。せっかくだから色々と教えてあげるわ」
 オウガは攻撃もせずホワイトの真横を駆け抜けた。
 そこへブラックが立ち塞がり、L字型からU字型へ陣形を以降。後ろ以外は完全に包囲する構えだ。
「珍しいな、銃?」
「ちょっとお母様から借りておいたのよ」
 お母様かよ……。
 ホワイトの渋面を眺めながら、ブラックは愉しそうにライフルの引き金を引いた。
 友人であるリーズレットの手前か、普段よりもいちゃいちゃさせてくれるような気がする。気合いも入ったことだし、ド派手にビームを放ちながら牽制を掛けて行く。
「よーしよしよーし! 回復はお任せ! 頑張って皆を回復するぞ! まずは結界を敷く!」
 リーズレットは黄金の加護を皆に与え、長期戦に備えて防壁を構築した。
 友人達の好感度メーターなんてしらないので、素直に家族っていーなーとか思う次第である。いや、内心の葛藤を知っているからこそだろうか?
「戦う気が無いではないが、突破を優先しそうな雰囲気があるな」
「多分……飢えか。ありゃ―きついからなぁ。耐えろって方が難しいもんだ」
 エング・セナレグ(重装前進踏襲制圧・e35745)は一瞬、オウガが上方と後ろを比べた様な気がした。
 その言葉に時雨・バルバトス(居場所を求める戦鬼・e33394)は苦い顔を浮かべる。
「ま、敵になるかもどうかもわかんねぇんだし、此処はコギトになって貰おうかね。ただ、攻撃する気、倒す気が無いと察しちまうかもしれねーな」
 バルバトスは身長ほどある大ぶりな斧を躊躇なく叩きつける。
 ケルベロスとデウスエクスはある程度の助走をしながら走りまわって戦うことが多く、囲んだとしても完全にブロック出来る訳ではない。
 ゆえに彼は攻撃担当として、余技を用意はするがあえて果敢に攻撃するつもりではあった。
「それでもローカストの時と違ってまだ始まってすらいない関係な訳だし、やれるだけやってみますか! ……一打必倒が成らぬといえど、倒れるまで撃つ!」
 猛は一瞬で距離を詰めると、足を狙って狩り取る様な一撃を放つ。
 これこそ無拍子の一撃、そこには一切のタメが無かった。
「ちぇ、まだこの程度じゃ駄目かあ~。近接格闘スナイパーなら関節を連続で狙わんとな!! 上は任せた」
「よかろう! ならばこちらを向いてもらうぞ。俺を倒さない限り、グラビティチェインを奪うことはできないと思え」
 猛が足を狙い続けると宣言すれば、エングはブースターを吹かせて飛びあがり、上に逃げても無駄だと全身で宣言しながら蹴りを放つ。
 ブースターは虹の様な煌めきを尾に引き、オウガに炸裂したのである。

 その姿に惹かれたのか、それとも倒さねばならぬと見たのか。
 オウガは残り少ないグラビティを集中させると、僅かに後方に下がりながら解き放つ。
『アアアア!』
 手にした棍を振り被った筈だが、その攻撃範囲は異様に拡大して行く。
 ケルベロス達を跳ねのけたるは大小を自在にあやつる神通力、重量をコントロールする帝釈自在と並ぶ力である。
「まるでティターンかロボットのようだな。これほどとは! ククック……じゃなくて、止めろ~オウガを止めろ!」
「これを12分耐えろって事だが、しんどい12分になりそうだな。当たらねえのが手加減無用って事でむしろホっとするくらいだ」
 大首領は小躍りしながら黒雨の領域を広げ、バルバトスは炎弾を避けられてしまったものの不敵な笑顔を浮かべて『上等だ!』と呟いた。
 敵は強い方が燃えあがるし、今回に限っては与えた傷よりもカウントダウンの方が重要である。
 むしろ躊躇せずに攻撃する理由になると、割り切ることにした。彼としては必要ならば殺す事も躊躇わないつもりなので、好都合だと考えることにしたのだ。
「んあ? ああ、外れていいのか。気にしなくていいのは楽だけど、やっぱ気になるよな」
「そうだな。たが強者との戦がそこにあればいい。元ヨリ遠慮ハ不要!」
 続くホワイトの放った闘気も外れてしまうが時間稼ぎなどやり慣れて無いので微妙そうだ。
 逆にウォリアは相違した一切合財を気にすることなく獰猛な笑顔を浮かべて、こともあろうに鉄塊の様な剣を投げつける。
 そして拾うや否や、壊れても構わんとばかりに技を放つ態勢に入った。
「せっかくの合わせ技を邪魔してくれちゃって!」
 ブラックはせっかく妹と同じ技を同時に放つつもりだったのに、邪魔されたことを根に持った。
 そして八つ当たり気味に闘気を放ち、憂さ晴らしを果たす。
「しかしまあ、物理は受け流してもグラビティはどうにもならないわね……! 二十分狙ってるメンツって本当に大丈夫かしら」
 そこでようやく髪の毛がボサボサにされていることに気が付き、太刀で弾いただけでは防ぎ切れなかった事に気が付く。
 出掛りを防いだつもりだったが、あまりの攻撃力に余波を喰らったのだ。


『喝!』
「ここは通さん。逃げれば何度でも立ち塞がってみせる。さあ、まだ俺は立っているぞ。もっとかかって来い」
 やがて時間が経過し、エングの放った刃を握り締めたままオウガは放つ雷撃が彼の体を貫いた。
 それに対する返礼は、雷を受けたまま立ち上がることだ。
 何度でも来いと吠えることで、痺れる体を強制的に動かして行く。
「ククク。強敵カ、強敵は良イナ!」
 ウォリアも敵の攻撃力を見て、鼻息荒く折れた大剣でそのまま殴りかかって行く。
 危険ならば手加減する気だが現時点で躊躇は無い。ついでに言うと怪我を気にする気も無い。
「無茶ばっかりするな! 響ぃ!」
「感謝する。だがしかし、同じことが起きれば何でも同じことをするだろう!」
 リーズレットは黄金の加護に続いて、気力を移し、それだけでも足り無さそうなので箱竜の響も動員した。
 しかしながらエングはまるで気にしない。
 なにせ反省していないのではない、危険だと判って災いを引き受けて居るのである。
「……男は馬鹿ばっかなの。あーもう! まだ何とかならないのか!」
「今やってるって! 危険ですので人にはやっていけない所を突く! これぞ緊急避難的格闘!」
 怪我してないのに悲鳴を上げそうになるリーズレット。
 猛はローキックに続いて腰の関節狙いの貫手が外れたことで、頭の中を入れ換えることにした。
 最初の一撃はそれほど聞いた風は無かったが狙って当てることが出来た、ローキックは残念ながら外してしまったが何度かやれば当たる気はする。
「なんかブンブンいってるけど、あんなに難しい場所狙うなんて勿体なくね?」
「いや、あれで良い。あれぞ闘魂と呼ばれた漢を由来とする足し封じだ!」
 ホワイトはハイキックを浴びせた後で、一度離れてからナイフを浴びせるべく急接近。
 なんでこんな事をと疑問符を浮かべる少女に、大首領はプロレス界の英雄を例に説明を始めた。
「さっきも言ったでしょ? 外れても良いって。必要なのは殺す気が無いことを気取られぬように攻撃し続けることなの」
 ブラックはいつもの白刀を防御にだけ使い、命中だけすれば良いとざっくばらんに射撃戦を行っている。
「殺意が無いことを見抜かれたら、移動に専念されて抜けられる可能性があるからな」
 だが一同の中でバルバトスだけは火力の高い技を繰り返し、全身の力と闘気を込めている。もっとも彼は力こそ載せているが無理に当てには行っていない。
「その意味じゃ足の狙い撃ちは悪くない選択肢だ」
 足に怪我を負っても、ケルベロスやデウスエクスは腕や体のバランスを駆使して回避力を下げない様に闘うことが出来る。
 だが、移動力やジャンプ力など付随する能力はそうもいかない。外れたら殺す心配も無いから余計都合が良い。

 そして結局、これが決め手となったと言えるかもしれない。
「やったね。勝利のポーズ、ぶい!」
「根比べは俺達の勝ちのようだな」
「一応はそうだが。しかし最後までやばかったな。囲むだけで攻撃しなかったチームとか、逃げられてるんじゃないか? いや、ないか。むしろ俺と同じ考えの奴が出そうだ」
 猛が攻撃を中止し、エングは刀を仕舞う前に宝石の様なコギトエルズゴムを拾い挙げる。
 その様子を確認してから、バルバトスは殺すつもりだった斧を地面に投げ出した。
 彼としてみれば保険だが、逃げられて一般人を殺されるくらいなら先にトドメを刺すつもりだったからだ。おそらく他の班も、逃げられるくらいならば助ける予定の作戦を変更しただろう。
「まあ、助けられたら助ける。そうでないなら仕方無いというスタンスだからな」
「トハイエ成功ハ成功。知性の無い相手を駆除はつまらんと思っていた所だ。コギト化して再戦でも試合でもやりたい所だな」
 大首領がコギト珠を見て物欲しそうな顔を(仮面だが)をしていると、ウォリアは自分を基準に次は本気で戦いたいのだろうと好意的に判断した。
「しっかし勝った……でいいんだろうけど……。うーん……いつものようなすっきりした感じはないな……」
「勝てれば問題ないのよ。個人的なこだわりを捨ててでも、ね」
 よほど欲求不満がたまったのか、ホワイトは最後までぶつぶつ言っていた。
 ブラックはその様子を見て、撫でようとして指を引っ込める。
「き……吉備団子でも食べに行く?」
 スッキリしない友人を見かねて、リーズレットは美味しいものでも食べようと誘った。
「子供扱いすんなよ。それより集会所でも借りて、思いっきり豆でもぶつけようぜ」
「どっちが子供なんだか……。でも面白そうだな! ブラックもやろーっ」
「ったく、仕方無いわねぇ。甘い物はお土産にしましょうか」
 三人はそんな事を言いながら、まずは残骸片付けやらヒールを終わらせることにした。
 その日の吉備津神社や御崎神社では、血ではなく豆が振るでしょう……。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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