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ここは、東京都心のカレーチェーン店。
ラインチタイムのサラリーマンやOLが、同僚たちときらびやかな会話に花を咲かせる中、中年にさしかかった頃のさえない風貌の男が、無我夢中でカレーをかき込んでいた。
「ああ……美味いっ!」
男が舌鼓をうつのは、一杯数百円のありふれた一皿だった。食材、香辛料、下ごしらえ、どれをとっても本格を名乗るには恥ずかしいレベルだ。
だが、そんな凡庸なカレーの味も、男が志望大学を12浪目にしてやっと合格したという事実があれば、10倍にも100倍にも美味しく感じられる。
いつまでもいつまでも、永遠にこの味を味わっていたい。そう思えるほどに。
「美味い。美味い。本当に美味い。こんな美味いものは、地球にふたつとない!!」
異様な熱に浮かされた男の声に、周りの客は思わず苦笑する。
おいおい、いくら何でも大げさな――。
そんな周囲の空気などどこ吹く風で、男の熱狂のトーンはいよいよ強くなってゆく。
「カレーさえあればいい! カレー以外の食べ物など不要だ! カレーは世界の神だ!」
「あの……お客様? どうし――ひぃっ!?」
不気味に感じた店員がテーブルを覗くと、客の男は既に人間ではなくなっていた。
『カレーこそ大正義! 人類はカレーと共に生き、死ぬべきなのだ!!』
こうしてビルシャナと化した男は、呆気に取られた周囲の人間たちに向かって、自らの信じる正義を声高に説き始めた。
●
「1月22日は『カレーの日』。カレーを愛するビルシャナが出現するのは間違いない……そう思って調べたら、案の定だったよ」
「というわけで早速っすけど、依頼の説明を始めるっす」
ヘリポートに立つ藤・小梢丸(カレーの人・e02656)の言葉を継いで、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)が口を開いた。
「東京都心のカレーショップで、大正義ビルシャナの出現が確認されたっす」
大正義ビルシャナとは、自らの強すぎる信心によって人間を捨ててしまった者の総称だ。出現直後は配下を持たないが、放置すれば自らの教義で人々を洗脳し、雪ダルマ式に信者を増やしてゆくだろう。一度信者となった者達を放置すれば最悪ビルシャナ化の恐れもある。可及的速やかに排除せねばならない。
「事件が起こるのは正午すぎ。カレーショップが一番混雑する時間帯っす」
ケルベロスが現地に到着するのは、ビルシャナ出現とほぼ同時。現場には多数の一般人がいるため、まずは彼らの避難を優先した方が良いだろう。
「ビルシャナの教義は『人類の食事はカレーだけが正義』というものっす。自身の正義への意見に無条件で反応する性質があって、議論している間は一切の扇動を行わないっす」
ただしビルシャナは『本気の意見』にしか耳を貸さない。一般論や中途半端な意見では、かえって扇動を強めるスキを与えてしまうだろう。
「避難が終わる前に能力を使うと、ビルシャナはそれを宣戦布告と見なして暴れだす可能性があるから注意っす。攻撃はもちろん、回復や誘導を助けるような能力もヤバイっす」
一度ビルシャナが暴れだせば、一般人の犠牲は避けられない。避難を終えるまでは、議論で時間を稼いだ方がいいだろう。
ビルシャナは催眠を付与する経文、プレッシャーを与える魔法の光で攻撃してくる。他にも、清めの光で傷を癒す能力も有しているようだ。
「ビルシャナの正義の心は、罪のない地球人をデウスエクスに変えてしまうっす。これ以上の惨事を防ぐためにも、撃破をお願いするっす!」
説明を終えたダンテは、ヘリオンの操縦席へと乗り込んだ。
参加者 | |
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デジル・スカイフリート(欲望の解放者・e01203) |
藤・小梢丸(カレーの人・e02656) |
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815) |
ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803) |
ロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476) |
ファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308) |
クオン・エクレール(血桜紅月・e44580) |
陽月・空(陽はまた昇る・e45009) |
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東京都心の、晴れた冬の昼下がり。
漆黒のケルベロスコートを羽織った一団が、目標のカレーショップへと向かっていた。
「ふふ……今回のビルシャナとはいいカレーが飲めそうだ」
先頭を歩くのは、この事件を的中させた藤・小梢丸(カレーの人・e02656)。ビルシャナとカレー談義……もとい議論を交わすことで避難誘導の時間稼ぎを買って出た一人である。
「カレーの日に、カレーなビルシャナ。ある意味当然なのかもしれません」
小梢丸の茶飲み友達で、同じ説得チームのガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)が頷く。無論この『茶』というのは『茶色の液体』、すなわちカレーに他ならない。
「いいね。『茶』でも飲みながら、じっくりビルシャナと話し合おう」
「10辛くらいは一気飲み出来る方だといいですね。ふふふ」
「……戦う前から飛ばしすぎよ、あなた達」
無邪気にはしゃぐ二人の姿に、デジル・スカイフリート(欲望の解放者・e01203)は頭を抱えた。デジルもカレーについては割とこだわりのある方だが、カレーを素で飲むという楽しみ方には、さすがに若干ついて行けないものを感じる。
「ボクは何といっても、焼き芋が一番だね。だから焼き芋の思いを語る!」
そう言ってミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)が胸を張った。彼女もデジルと同じく、説得チームの一人である。
(「ボクが本気の言葉をぶつけられるもの。それはやっぱり、焼き芋しかない!」)
愛する焼き芋への想いを胸の奥で温めながら、ミリムはビルシャナと戦うことへの決意を新たにする。元人間とはいえ、人々を洗脳するデウスエクスを放置するわけにはいかない。
「避難誘導はオレ達が引き受ける。ビルシャナはカレーのプロにお任せするぜ!」
誘導チームのロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476)が『せいぞんふらぐ。』のバッヂを胸に光らせ、説得チームの面々の肩をポンポンと叩いた。
「オレ、この戦いが終わったらチーズカレーを腹いっぱい食べるんだ……」
とか言って、割とアレなフラグを立てながら。
「ふむ……カレーの大正義を説くビルシャナか。私もカレーを振舞われれば、いつも皿を重ねてしまうが」
最後尾を歩くクオン・エクレール(血桜紅月・e44580)が、不思議そうに首を傾げる。
「何故カレーだけなのだ。トッピングはダメなのか? そもそも普通、カレーショップにはハヤシライスも置いてあるはず……」
「きっとその辺は、ビルシャナにしか分からない理由があるんだよ」
次々と湧いてくるクオンの疑問に、肌のタトゥーシールを指でなぞる陽月・空(陽はまた昇る・e45009)が答えた。
空は8人の中で唯一、ビルシャナと戦った経験がない。自らの正義のために人間を捨てたデウスエクス――一体どのような敵なのか、ヴァルキュリアとして少し興味を覚える。
そうこうするうち、カレーショップの入口が見えてきた。
「避難完了まで、グラビティはオフだ。皆、平気だな?」
ファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308)が最終確認を済ませると、ドアの向こうから男の声が聞こえてきた。
『カレーこそ大正義! 人類はカレーと共に生き、死ぬべきなのだ!!』
「よし、行くぞ!」
ファルゼンの号令を合図に、ケルベロスは一斉に店内へと雪崩れ込んだ。
●
ビルシャナは、店の真ん中の席に陣取っていた。
『む、貴様ら客ではないな、何者だ! 説法の邪魔するをなら容赦しないぞ!』
ターメリックのような黄色い羽毛に覆われたそのビルシャナは、牛乳瓶底の眼鏡をキラリと光らせて乱入してきたケルベロスを問い質す。これに説得チームの面々は堂々と応えた。
「僕かい? カレーを愛する、通りすがりの自宅警備員さ」
「カレーの香りに誘われ参上、スパイス大好き女忍者! サフランが好きです♪」
「ボクは名乗るほどの者じゃない。強いて言うなら――冬の焼き芋が遣わした使者さ」
「焼いたナンはパリパリ推しな、辛党サキュバスよ! よろしく!」
説得チームが自己紹介をしている隙に、誘導チームは厨房と客席へと回った。
ファルゼンは、呆気にとられた顔で立ち尽くす厨房の店員に向かって、
(「私達はケルベロスだ。もうすぐここは戦場になる、店の外へ避難してくれ」)
ビルシャナには聞こえないような小声で、ケルベロスカードをそっと指し示した。それを見た店員達は状況を飲み込んで、そろそろと外へ退出してゆく。
『こちら空。喫煙席の避難は4割ほど完了。もう少し時間が欲しいかな』
『ロディだ。まだ禁煙席に客が残ってる』
カウンターの向こうから、空とロディがメールを寄越した。いっぽうクオンは入口前で避難客を誘導しつつ、新しい客が入らないよう目を光らせている。
避難誘導はいずれも順調に進んでいるが、状況は余談を許さない。客がビルシャナの説法に感化されないよう、もうしばらく時間が必要だ。
一方テーブルには、温かいカレーが手つかずのままで残っている。それを見たロディは、たまらず空きっ腹を押さえた。
(「腹減ったなあ。大盛りのチーズカレーが食いたいぜ」)
ロディのいる禁煙席からは、説得チームとビルシャナの会話がよく聞こえる。その内容がまた、彼の空腹を否応なく煽るのだ。
『この世界はカレーさえあればいい!』
「そうだね、僕は毎日カレーを食べているよ」
『カレー以外の食べ物など不要だ!』
「まあ、カレーがあれば大体なんとでもなるよね」
小梢丸は先ほどから、ビルシャナの教義をすんなりと肯定し続けている。明らかに本気の声色だった。
いっぽうデジルは、
「カレーはライスやナンによって引きたちカレーもまたそれらを引き立たせる! 私は断然ナンのパリパリ派ね! モチモチ派も悪くないけどやっぱりパリパリの食感とカレーの辛味のマッチングが素敵だわ! カレーの味わいとナンのパリパリと甘味の奏でるハーモニーと来たら! それでもカレーのみと言うなら根拠を述べなさい! しっかりはっきり!」
反論の余裕を与えないマシンガントークでビルシャナを圧倒していた。通路側の席に座りながら、避難誘導班のメンバーに時折、
(「まだ余裕で持たせられるわ」)
(「そっちの人手が必要なら言ってね」)
と、アイコンタクトを送ることも忘れない。
店内は想像以上に混雑していたが、順調に避難は進んでいた。メンバーの半分を誘導に割いたこと、加えて各人の役割分担が明確だった点が大きかったようだ。
(「よし。いいぞ、完全にこちらのペースだ」)
説得チームの会話を玄関先で拾いながら、クオンはサラリーマンの一団を送り出した。
●
「皆さん、一緒に食べましょう。お腹がすきました」
クオンの目の前を、トレイにカレーを載せたガラムが通り過ぎた。食器と中身は厨房から拝借したものに違いない。向かう先は、ビルシャナと説得チームの座るテーブルだ。
「カレーには様々なスパイスが使われています。まさにインドの文化の極み。ただ辛いだけでなく、香りに様々な方向を持たせるという至高の料理です!」
カレーはガラムの料理道具『神馬のカレーポット』でひと手間を加えてあるらしかった。ガラムの首に巻いた黄色いマフラーから漂うスパイスの香りと幾重にも折り重なった蠱惑的な芳香が、遠く離れたクオンの鼻孔にまで心地よく沁みこんでくる。
「ガラムマサラはカレーに欠かせない一品です。基本はシナモン、グローブ、ナツメグなどのスパイスで、これにカルダモン、胡椒、クミン、ベイリーフ等を加えたりと……」
食欲をそそるスパイスの香り。カレーの美味しさを熱っぽく語るガラムのトーク。
お腹をすかせた者が居合わせたなら、躊躇わずカレーに飛びつくだろう。
(「……っく……鎮まれ、私の胃袋……!」)
最後の店員を外に逃がすと、クオンは喰霊刀【新月真守】の柄をギリリと握りしめた。
自他共に認める大食いグルメ、食事が大の楽しみである彼女にとって、この仕打ちは拷問に等しい。まして昼時である。
(「落ち着け、今は任務に集中しなければ――」)
「人類の食事は、焼き芋だって正義だ!」
ミリムの声で我に返ったクオンがテーブルに視線を戻すと、話題は焼き芋に移っていた。落葉の熾火のような熱い愛を込めたミリムの語り口は、聞く者に自然と涎を流させる。
「焼き芋といえば秋。ホクホクで腹持ちいい食材。世間ではそんな認識だけど――」
ミリムは言う。今は違う、と。
「収穫したサツマイモは厳冬の環境で熟成させると、糖化が進んで甘くなる。食感はねっとり、舌触りは絹の如く滑らか。ちょうど今頃が、水気が抜け甘みが増す時期なんだよ」
焼き芋の美味しさと愛情を必死に表現するミリム。残念ながら現物を持ってくる事は叶わなかったが、身振り手振りだけの彼女の説明は、かえって聞く者の空腹をかき立てた。
「焼き上がる芳醇な香り滴る甘い蜜。冷めても羊羹の如き食感と甘味。焼き芋はまさに至高の食事なんだ!」
『何を馬鹿な! 焼き芋などカレーの足下にも――』
ビルシャナはミリムの言葉を鼻で笑う。しかし、
「素晴らしい!!」
「最高です!!」
「その通りね」
ビルシャナの言葉を遮り、小梢丸とガラムが目を輝かせた。誘導チームの空からメールを受け取ったデジルは、小皿に盛った福神漬けを突きながら会話に相槌を打っている。
「実は、土の中で育つ野菜は抜群にカレーと合うんだ」
「ジャガイモ、タマネギ、人参……どれもそうですからね」
「その通りだわね」
「もちろん薩摩芋もその例に漏れず、カレーとの相性は抜群だ」
「あえて言えば、水分の多くない、少しパサついた焼き芋がお勧めです」
「ところで避難が終わったそうよ」
「カレー汁をたっぷり吸った焼き芋を、口に放り込んだ時のあの快感といったら!」
「粘りつく甘みと、シャープな辛さのマリアージュ。あれは焼き芋にしか出せません!」
「いいこと聞いちゃった。ボクも今度、試してみようかな!」
「聞いてる?」
もはやビルシャナは、あらゆる意味で八方ふさがりだった。
なにしろ自分が1を語れば、目の前の連中は20も30も返してくるのだから。
このままではまずい。自分の存在意義がヤバい。
進退窮まったビルシャナの脳が示したのは、たった一つのシンプルな答えだった。
――邪魔者は、ここで消しておかねば!
●
『我が教義と、貴様らは相容れぬ! 死んでもらうぞ!』
ビルシャナは問答無用で、眼鏡からサーチライトのような光線を発射して攻撃してきた。
「やれやれ、やはりこうなるか。フレイヤ、味方をガードしろ!」
それを見たファルゼンは厨房から飛び出すと、自らのボクスドラゴンに指示を飛ばす。
「貴方の欲望は素晴らしいけど、私達の護る欲望とは相容れない。勝った方が残るだけ」
光を浴び、床を転がるフレイヤの背後からデジルが飛ぶ。艶めかしい脚から繰り出されるスターゲイザーがビルシャナを吹き飛ばし、壁へと叩きつけた。
『おのれえええ! 貴様ら残らず地獄に――』
「残念だが、落ちるのはお前一人だ」
ファルゼンの口から吐き出された煙が、一息で飛び起きたビルシャナを包み込む。
「我が剣よ。刹那の刻すら喰らえ」
視界を覆いつくす煙。ちいんと響く鍔鳴りの音。とっさにガードしたビルシャナの両腕をクオンの『秘奥義【無閃】』が切り裂き、黄色い羽毛が宙を舞う。
『貴様ら残らず寸胴鍋に放り込んで、カレーの具にしてやる!』
ビルシャナはすかさず印を組み、経文を唱え始めた。狙いはまたしても前衛のようだ。
「やらせるかよ! MAX! ぶちかます!」
『マキシマグナム』。
砲撃モードに変形したロディのアームドフォートが、ありったけのグラビティを込めて放つ必殺技だ。真正面から砲撃を浴びたビルシャナの詠唱が絶叫へと取って変わる。
(「彼も犠牲者の一人だけど、今は倒すことだけがせめてもの手向けだ」)
ロディは慈悲の心を捨て去り、持ち替えたファイヤーボルトに弾を装填した。この戦い、一秒でも早く決着をつける。
「フェンネル、サフラン、ディル、コリアンダー、クミン、アニス、ジンジャー……全てのスパイスの力を此処に集結して、解き放つ!」
ガラムの華麗忍法・粉塵爆破によって自由を奪われたビルシャナのはるか頭上で、ミリムの戦略兵器搭載軍事衛星が射撃ポイントをマークした。
「パーティーの時間はお終いだ。穴あきチーズかローストチキンか、好きな方を選べ」
発射準備、オーライ。
ファイア。
「How do you like me noooooow!!」
『ギャアアアアアアアアアアア!!』
青空から光の柱が降り注ぎ、天井を貫いてビルシャナを焼いた。羽毛を真っ黒に焦がし、奇声をあげて転げまわりながら、なおビルシャナは抵抗を続けようとする。
「残念だ。叶うことなら、人間の君と出会いたかった」
小梢丸が、両手を高らかに掲げた。
「せめて最期はカレーに包まれて逝くといい。『真カレー・ジャスティス』!!」
鋭い斬撃と共に、カレーの幻がビルシャナを包む。はるか彼方には、カレートレイを掲げて手招きする象耳の女性。菩薩を思わせるその笑みに、ビルシャナは思わず微笑み返す。
『ああ……まさにカレーの桃源郷――』
「終りにしよう。僕の狂気が溢れる前に」
最後の一撃。
空の憑霊弧月に心臓を断ち割られ、ビルシャナは光の粒となって消滅した。
●
「さてと。建物のヒールはこのくらいで大丈夫かな」
店内をあらかた片付けると、ミリムは店の外で待つ客と店員を呼び戻した。本来なら帰還の頃合いだが、仲間の空腹を煽った手前もある。食べて帰るくらいなら、罰も当たるまい。
注文したカレーは、すぐに運ばれてきた。
「幸い、店員と客の被害はゼロだそうだ」
「良かった。平和が戻って何よりだ」
ファルゼンの言葉に、ビーフカレーを食べながら頷くクオン。既にテーブルの脇には、空の皿が山と積み重なっていた。まだ3杯くらいは食べられそうだ。
「いやー美味え! 戦いの後のチーズカレーは最高だぜ!」
「卵にカツに、全乗せの大盛り! 美味しいなー!」
ロディと空は子供のように目を輝かせ、大きなスプーンを夢中で口に運んでいた。元気にカレーを食べる姿が、実に絵になる二人である。
「秘伝のスパイスをかけて、いただきまーす!」
「ボクは隠し味にコーヒーをちょっぴり混ぜて……と。うん、美味しそう!」
「ナンのおかわり、いいかしら? 焼き加減はパリパリでお願いね♪」
ガラムとミリム、デジルも、少し遅い昼ご飯に舌鼓を打っていた。
カレーを頬張りながら至福の表情を浮かべる仲間達に、小梢丸はにっこりと微笑む。
(「いい一日だった」)
ソウルフードのカレーを一息で飲み干し、椅子にもたれて窓越しの空を見上げる小梢丸。
カレーに流れる生クリームのような雲が、抜ける青空にのんびりと漂っていた。
作者:坂本ピエロギ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年1月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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