オウガ遭遇戦~ファースト・コンタクト

作者:木乃

●輝ける角の一族
「ハァ、ウゥゥゥウウ……」
 その男。ヒトで在り、ヒトに非ず。
 額にひとつ、背中から幾本もの黄金の角を生やした姿は、どこか見覚えがある風貌。
 その形相も『鬼神』と呼ぶに相応しき、苦悶と渇望に満ちたものだった。
「あ、AA……アアアアアアあぁぁぁあああAAAAAAAA!!」
 振るう金棒は一打で巨石を薙ぎ倒し、踏み込む一歩は荒々しく。
 存在そのものが天災となりつつある、その鬼神――血走る眼でギョロリと見渡す。
「グラ、グラビ、ヂェイン……食わゼロ、食わせろグワぜろ喰わせろクバゼロぐばぜろクワゼルォォォォ!!」
 餓えた獣のごとき咆哮が岡山県の山中に響く。
 新たなる来訪者『デウスエクス・プラブータ』は数多の人を求めて疾駆する。
 目指すは吉備津神社、鬼を掃う神事に人々が集まるその地を目指す――その姿、全てを叩き潰す嵐が如く。

 オリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)はケルベロスが集まると「早速ですが」と概要を伝え始めた。
「リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)さんを始めとした皆様が、探索を進めてくださった事でオウガに関する予知を得る事が出来ましたわ。岡山県の中山茶臼山古墳周辺にオウガが多数出現することが予知されています」
 オウガの出現は『2月3日』と断定できたが、「彼らのゲートの所在までは残念ながら特定できませんでした」と、オリヴィアは眉を下げる。
 いずれにしろ、オウガが地球にやってくる――その事実と共に事件が起ころうとしていた。
「出現するオウガは深刻なグラビティ・チェインの枯渇状態にありましてよ。地制を失い、ただただ人間を殺してグラビティ・チェインの強奪を謀ろうとしていますわ……この状態では対話を図ることは不可能、よって戦闘する他ありませんわ」
 かつて、そのように喰らわねばならなかった者達と全く同じ状態にあるのだと、オリヴィアは諭した。
「オウガは、多くのグラビティ・チェインを求めて。節分の神事を行って参拝客であふれる吉備津神社方面に移動するようですわ。皆様には、中山茶臼山古墳から吉備の中山細谷川までの地点でオウガを迎撃してくださいませ」
 オウガの出現する中山茶臼古墳周辺には、表面が鏡のように平板な鏡岩をはじめとした巨石遺跡が点在し、その巨石周辺にオウガが現れる確率が高い。オリヴィアは予見を前置きすると、
「『巨石周辺で迎撃する』か『敵が必ず通過する、吉備野中山細谷川の隘路の出口』にて迎撃することを提案致しますわ」
 しかし、気を付けなければならない点がいくつもあると警告する。

「出現するオウガはグラビティ・チェインの枯渇状態にあり、補給できなければコギトエルゴスム化してしまうようですが、そうなる前に人間を殺してグラビティ・チェインを奪おうと侵攻してきますわ。『皆様と戦うことが目的ではない』という事をお忘れなく」
 次に、迎撃地点は2か所あり、一長一短であることが伝えられた。
「まず、巨石遺跡で迎撃した場合、グラビティ・チェインの枯渇によるコギトエルゴスム化まで『20分』と計算していますわ。勝敗に関わらず、コギトエルゴスム化する前に決着がついてしまう可能性は非常に高いでしょう」
 もう一か所、吉備の中山細谷川の隘路の出口で迎撃した場合。
「途中の経路は不明ですが、オウガは最終的にこの地点を経過する為、ここで迎撃することで確実に食い止められるでしょう。ただし、節分の神事で参拝客が集まった吉備津神社にとかく、突破されてしまうと市民に被害が出ることを避けられないでしょう。突破されないよう留意する必要がありましてよ。隘路の出口で迎撃した場合、『12分』でグラビティ・チェインの枯渇によるコギトエルゴスム化が始まると想定されますわ」
 しかし『2班に分かれての行動は得策ではない』とオリヴィアから念入りに忠告される。
「オウガの戦闘力は高く、敵は常に全力を出してきますわよ。わざと戦闘を長引かせよう……と手を抜くような真似をすれば一瞬で不利な状況になりかねません。コギトエルゴスム化を狙う場合は、相応の作戦や戦術が必要になりますわよ」
 オリヴィアの予知したオウガは20代くらいの細い男だが、身の丈以上の長大な金棒で樹木も一撃で粉砕するほどの膂力をもつ。
「風圧でプレッシャーをかけたり、一撃で強化効果を粉砕してしまいますわよ。装甲を打ち砕いてくる場合もありますので、この辺りも対策を講じる必要がありますでしょう」
 なんにせよ、未知なる脅威に警戒するに越したことはない。

「屋久島で女神ラクシュミに手助けされた方々もいるでしょうが、地球側に牙を剥くのであれば対処せざるを得ません。勝利することを大前提として、事に当たってくださいませ」
 良好な関係を築く方法がない訳ではないが、敵をコギトエルゴスム化させる為に市民や自らを危険に晒すことに変わりない。
 オリヴィアは「よく考えてから決めて欲しい」と、神妙な面持ちで締めくくった。


参加者
二羽・葵(地球人もどきの降魔拳士・e00282)
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
エルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)
物部・帳(お騒がせ警官・e02957)
リィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)
ラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)
レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)
海乃宮・玉櫛(ドラゴニアンの土蔵篭り・e44863)

■リプレイ

●三つの前提
 結論からいうと、隘路にバリケードを設置することは『不可能』だった。
 一つ。ヘリオライダーから事前に通達された通り、オウガの移動経路は『不明』
 下手に動けば市民も、別行動をとるケルベロスも危険に晒される。それだけは絶対に避けなければならない。
 二つ。吉備の中山細谷川は鬱蒼とした木々で覆われている。バリケードの設置に適さない地形でもある。
 三つ――それは必然の解。
「これで、オウガは足を止めてくれるでしょうか?」
「大丈夫です! 塞げば通行止めされてると思うかもしれませんよ!?」
 吉備津神社との境に資材を積む二羽・葵(地球人もどきの降魔拳士・e00282)が、懸念を口にすると、ラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)は怪気炎をあげる。
 ――デウスエクスに対し、障害物など始めから意味がない。
 相手はその気になれば街ひとつ更地に変えてしまう。
 言うなれば『意思を持つ超常現象』、即席の防壁など障子より脆い――それらを抑止できる『ケルベロス』は唯一無二なのだ。
「ここに来るオウガはラクシュミと同じ豪腕自慢らしい。数秒ともたないだろうが、無いよりマシと思う他あるまい」
 額の汗を拭うリィン・シェンファ(蒼き焔纏いし防人・e03506)の言葉に、
「そうだよね……声も届かないなら、わたし達に見向きもしないかも」
 エルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)も神妙な面持ちで、新たな資材を相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)に手渡す。
「その時はその時だ、オレ達の手で止めりゃあオウガ達の為にもなる! だろ?」
「同感だ。僕はこの戦いをある種の『救助』だと思っている……相応の危険は伴うけれどね」
 レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)も大きく頷くと、空を見上げる。
 上空から警戒する物部・帳(お騒がせ警官・e02957)と海乃宮・玉櫛(ドラゴニアンの土蔵篭り・e44863)に変わりないか確認したのだ。
「どこも緑でいっぱいですねぇ、望遠鏡もこの立地じゃ活かせません」
 飽くほど深緑を眺めていた帳は食べかけのあんぱんを口に放り込む。玉櫛がこっそり持ち込んだものである。
「局長、さっぱり見えねぇーのか?」
「樹海を俯瞰しての人探しは至難ですよ、おまけにこの嫌な空気!」
 触れれば斬れる、なんて生温いものではない。
 より鋭利で狂暴な殺気に肌がひりついているのだ。地上の6人も同じだろう、見極めるほうが難しい。
 一旦地上へ降りるか……玉櫛が提案する直前だった。
 ――……ガサ……!
「っ! 局長!!」
 不自然に揺れる樹を見つけるや帳が急ぎ降下する。
 招かれざる客はすぐそこまで迫っていた。

●鬼人、立つ
「皆さん! 一名様ごあんな――」
 帳の通達するより早く衝撃波が襲いかかった。積み上げた資材は余波で盛大に崩壊していく。
 バキバキと樹が音を立てて倒れる中、砂煙を突っきる角つきの影。
「通り道は遮るぞ! てめぇの相手はオレ達だぜ!」
 冷たい土がなにするものぞと、泰地が我先にとオウガに真っ向から挑む。
 迫りくる狂鬼は、額の角さえなければ、泰地より頭一つ小さい優男。
 だらしなく唾液を垂れ流し、大振りの金棒をその辺で拾った枝かと思わすほど軽々と振りあげる。
「ガガガアアァァァアアアア……!」
「首がへし折れても知らねぇぞ――おらっ!」
 泥まみれの素足を押しつけるように、蒼白の頬に前蹴りを叩き込む。
 そのまま蹴り技で打ち合いにかかる泰地の背後から、葵が倒木を踏み台に飛び込む。
(「守らなきゃ、守らなきゃ守らなきゃ守らなきゃ……っ!」)
 血走る眼はかつてのローカストを彷彿とさせる。
 けれど、ここを突破されれば――いつか見た、名も知らぬ亡骸が脳裏に浮かぶ。
「――絶対に、行かせません……っ!」
 重力に引かれるまま、エネルギーを込めた掌は標的に触れることなく、大木に波紋を作り発破させる。
 もう一撃と衝動のまま繰り出す葵の攻撃は空を切ると、オウガはかち上げる構え。
「我が名はラリー・グリッター、古霊アルビオンの騎士!」
 そこにラリーが飛び込んだ――直後、脇腹を突き上げる衝撃。
 霊甲アルビオンごと打ち抜く一打は、彼女の肋骨を圧し折り内臓に食い込ませた。
「か、ぁ!?」
 痛烈な打撃にラリーは息を詰まらせ、離れ際に一撃加えるので精一杯だ。
 ――余所見すれば戦線離脱も有り得る、想像するには難くない一撃だった。
(「下手すると脳天カチ割られるな、これは」)
「さ、バカがバカをやる前に強く殴って此方側に連れ戻そうじゃないか」
 レオンは死沼の鬼火に意識を集中させる。
 青白い火花を散らし、迸る雷撃は鋭角な軌道を描く。
 雷がオウガに接触すると『バチンッ!』と鞭打つような音が響くが、怯む気配はない。
 リィン達が進路を阻むと同時に狙いを引きつける。その間、帳は慣れた手つきで装弾を済ませた。
「想像以上に鬼ですねぇ、鬼は外ーーーーーーーーーー!!」
 少しでも動きを制限できれば良し、捕鳥部万から弾幕を展開する。
 迫りくる弾丸の嵐は金棒の一振りでかき消され、泰地達をも巻き込む暴風を巻き起こす。
「ちょっと!? 力技にもほどがありますよそれっ!」
「ふ、風圧で弾を落とすなんて……!」
 すかさず御業で捕えようとするが、猿のような機敏さですり抜けてみせる。
 痩せ細った体のどこにあんな膂力があるというのか!?
 エルネスタが驚愕するのも無理はない。
 相手は光り輝く角さえなければ、何処にでもいそうな青年。豪放磊落の鬼武者ではないのだ。
 皮膚が裂け、顔半分を赤く濡らしたリィンめがけ、エルネスタは縫合糸を伸ばす。
 傷口を縫い留め、骨を強引に接いだもののすでに青色吐息。
「く、まさに……飢えたケモノ、か」
 赤く滲む口の端を拭い、エルネスタの処置が終わるとすかさずリィンが間合いを詰める。
 理性を失っているとはいえ、手心が一切ない相手に食らいつくだけで精一杯だった。
(「女神ラクシュミはおそらく話が通じるだろう……だが、これは話が別だ!」)
 弾幕に足を取られる間に、護光の盾を展開したリィンが疾駆する勢いで側頭部を蹴り上げる。
 ――当たりが浅い。
「チィッ、だが!」
 着地した瞬間、追い討ちを狙ってリィンは眼光を鋭くする。
「待て! 突っ込み過ぎんな!!」
 玉櫛が気付くよりオウガの動きは早かった。
 焦りが出てしまったか、三節棍は狙いが逸れてオウガの傍らに立つ樹木を穿つ。
「ヲヲヲオオオオオオオオOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
 フルスイングされた鉄塊は亀裂の走る樹木とシールドごと、リィンの側頭部に強烈なインパクトを与えた。
 脳の芯まで揺さぶる一撃に四散する木片ごと、リィンの体は毬のように跳ね転げていく。
「……ぁ、……ぇ?」
「すぐに塞いでやっから待ってろ!」
 血染めの包帯は玉櫛の意に従い、意識の混濁するリィンを瞬時に包み込む。
 しかしオウガの全力に耐え切れず、自力で立ち上がれない以上、戦線復帰は望めないだろう。
 エルネスタと玉櫛は広範囲の治癒より、個々の回復を優先したことは戦局に大きく影響していた。

 鋭敏に、あるいは常識外れの剛力で攻撃軌道を逸らすオウガだが、衰弱した身体には確実にダメージを蓄積し、動きは鈍重さを帯びてきた。
 金棒を振るう痩躯は赤黒い体液でまみれ、口からは鮮血も垂れ流している。
 リィンが抜けたことも痛手だったが――もう一点。想定外の危機に気づいたのは、実戦経験が最も多い泰地だった。
「ああくそ! 攻撃が避けきれねぇなんて、ありえんのか!?」
 相手を過小評価したつもりはない。だが、想定が甘かったと言わざるを得ない。
 ヘリオライダーが忠言した通り、オウガの戦闘能力は非常に優れていた。
 気が触れようと、戦慣れした武人の技は衰えず――未知の敵と相対するなら、充分な注意を払うに越したことはないというのに。
 ――心のどこかで『耐えきれる』という、過信があったことは否めない。
 自慢の肉体も青痣だらけ。全身の鈍痛を抑えようと、泰地は裂帛の叫びをあげる。
 一撃の重みはオウガに軍配が上る。
 時が経つほど飢えに苦しむオウガの攻撃は激化し、次第に戦線が押し込まれていた。体力も限界が近い。
 肉弾戦を繰り広げる中へレオンとラリーが挟撃を仕掛ける。
「あなた達を助けるためです、一度眠りについてもらいます!」
「その前に大人しくしてもらわないと、だな」
 宝槍の切っ先を矢の如く獲物に向けるラリーだが、頑強頼りの編成がここにきて祟った。
 敏捷性を活かせた刺突は的を外し、ラリーを殴り飛ばしたところをすかさずレオンが印を組む。
「さあ幕を引け。その眼を閉ざせ。塵でしかない我が身のように――」
 影を球体に変化させるとレオン自身の身侭な願いを転写する。
 質量なきしがらみを潜り抜け、レオンの腹部を突き穿ち、くの字に曲がって突き飛ばされる。
「動いて、っ……!!」
 痛みでガクガクと膝が笑う葵だが、まだ倒れる訳にはいかないと自身を叱咤する。
 ――ここで倒れてはだめ。ダメ駄目だめダメ駄目だめダメ、絶対駄目ッ!!
 苛立ちに近い焦慮か。揺らがぬ相手に募る不安からか。
 葵は自身の傷を癒すと同時に、オウガの金棒をその身で受け止め続けた。蛮勇が過ぎる小さな背を、玉櫛は歯痒く思いながら光の盾を放つ。
(「出来ねぇ、なんて言いたかねぇーが……あれじゃあ身体がもたねぇーだろ!?」)
「ふーっ、ふー……そろそろ奥の手、見せちゃいますよ!」
 脂汗を垂らす帳は裂傷から溢れる血を掬い上げ、宙に陣を結ぶ。其は根の国との境。影の細道にして、冥府に堕ちたる死人が為の獄門!
「聞こえないのでしょう、見もしないでしょう――この水底に烟る魂を!」
 伸びた影から呼応し、死者たちが溢れ出る。腐肉の手指、髑髏のアギトは餓えた鬼人にまとわりつく。
 ――レオンと帳が付与し続けていた異常状態がようやっと芽を出した。
「止まった!……けど」
「このままですと、わたし達のほうが……」
 エルネスタと葵の懸念は合致していた――時間切れまで、防衛線は維持できない。
 僅かな隙を強引に押し破る――文字通り、力ずくで押し通される。
 それだけの困窮にいるのだということは、かつてのローカスト達から痛感させられている。グラビティ・チェインの枯渇とは、まさに死活問題なのだ。
「救出するって決めたじゃねぇーか!? 出来ねぇなんて――」
「いや、この場合は……そいつを『通すか、通さないか』じゃないかな」
 玉櫛のいう問題点はとうに過ぎている――と、腹を押さえるレオンは得物を構えなおす。
 死骸の残滓を帯びてなお、オウガは歩み出そうとしている。
 優先すべきはなんだ?本来の目的は?――『大前提』は、なんだ?
 今度こそ違えてはならない。

「……ごめんなさい。今ここであなたを治療してあげることは、出来ないみたい」
 エルネスタは手術針をラリーに放つ。
 守るべきは吉備津神社に集う市民達――守る為にも、倒れる訳にはいかない!
 帳とレオンもこれ以上の侵攻は許すまいと、攻撃の手を休めず抑えにかかる。
「FFFUUUU、UUUUUUUU……アアアアアアアアアアアアアアアアアア……!」
 苦痛にまみれた叫声をあげ、オウガは道を塞ぐ障害を排除しようと無骨な金属棒で掻き払う。衰えぬ暴力を食い止めようと葵は一息で飛び上がる。
(「死なせない、絶対に――」)
「うぅぅあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 鬼気迫る葵の飛び蹴りは、オウガの額に輝く角を蹴り砕く。
 折れた角が宙を舞い、落着するよりも前に、泰地の丸太じみた脚が天に伸びていた。
「こっちだって不本意だ、悪く思わねぇでくれよ」
 鋭く振り下ろされたカカトは、細い首筋を打ち据える勢いでオウガの骨を打ち砕く。
 鈍い音とともに樹海は喚声がこだました。それを耳にするラリーは既に白光で輝く短剣を発現させている。
「輝く刃をもって……正義に祝福を、邪悪に裁きを!」
 放たれた光の剣は周囲の木々を巻き込み、痩せた躯体の中心を刺し穿つ。噴き出す自らの血の海に、オウガはゆっくり膝をつく。
「あぁ、ふぅ…………――」
 金棒は持ち主の手を離れ、地面にドスンと転げていく。壮絶な死に様とこれだけの猛者が追い込まれる『異常事態』。
 エルネスタ達が異常に気づくには、その余波があまりにも大きかった。

作者:木乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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