くしゃみは可愛らしくあるべきだ!

作者:あかつき


 びゅぅ、と強いビル風か吹き、通行していた女子高生が肩を竦め、口許をおさえた。
「くちゅんっ!」
 女子高生の小さなくしゃみが聞こえた時、道の向かい側を歩いていた若い女性が、突然カッと目を見開いた。そして、カツカツカツとヒールを鳴らして、女子高生に近付いていく。そして、顔を近づけ、涙目で頷く。
「あなた! そのくしゃみ素晴らしいわ……とても可愛く、女性らしいくしゃみ! ぶえっくしょん、なんてもっての他! そんなんじゃただのおっさんよ! くしゃみという生理現象だからこそ女性らしさが際立つ……可愛くくしゃみ! これこそが大正義!」
 突然語りだした女性はビルシャナと化し、周りの通行人達を信者にすべく、行動を開始した。


「えー……今回は……個人的な趣味趣向による『大正義』を目の当たりにした一般人が、その場でビルシャナ化してしまう事件が発生するらしい。ビルシャナ化するのは、強いこだわりを持ち、それが『大正義』であると信じる強い心の持ち主であるらしい。今回のビルシャナは、女性の可愛いくしゃみこそ正義と主張している」
 眉間に皺を寄せながら説明するのは、雪村・葵(ウェアライダーのヘリオライダー・en0249)。
「くしゃみくらい好きにさせろと言いたいところだが、兎に角目覚めてしまったものは仕方がない。このまま放置すると、その大正義の心でもって、一般人を信者化し、同じ大正義の心を持つビルシャナを次々生み出していく為、その前に、撃破する必要がある」
 この大正義ビルシャナは、出現したばかりで配下はいない。しかし、通りの真ん中でビルシャナ化してしまったので、このまま放っておけば周りの人々が大正義に感銘を受けて信者になったり、場合によってはビルシャナ化してしまう可能性がある。
「大正義ビルシャナは、ケルベロスが戦闘行動を取らない限り、自分の大正義に対して賛成する意見であろうと反論する意見であろうと、意見を言われれば、それに反応してしまうらしい。なので、その習性を利用し、議論を挑みつつ、周囲の一般人の避難などを行うようにして欲しい」
 通りの真ん中なので、逃げる場所には困らない筈だ。また、広い通りなので周囲の店舗にも迷惑はかからないだろう。
「賛成意見にしろ反対意見にしろ、本気の意見を叩きつけなければ、ケルベロスでは無く他の一般人に向かって大正義を主張しはじめてしまうので、議論を挑む場合は、本気の本気で挑む必要があるということだけ、覚えておいて欲しい」
「ビルシャナは氷の輪や孔雀の形の炎を使って攻撃してきたり、回復したりするらしい。時間は昼間、通りにはそこそこの通行人がいる。また、パニックテレパスや剣気解放などの能力を使うとビルシャナは戦闘行為と判断するので、その点注意してくれ」
 因みにビルシャナだが、彼女は強い心でビルシャナと化してしまったため、説得で元に戻すことはできない。
「ビルシャナの大正義の心が伝染してしまえば、大惨事は免れない。みんな、無事に事件を解決させてほしい」
 葵はそう言ってケルベロス達を送り出した。


参加者
カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)
バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)
アイヲラ・スレッズ(羅針盤の紡ぎ手・e01773)
神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)
リンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)
シャーロット・ファイアチャイルド(炎と踊る少女・e39714)
秦野・清嗣(白金之翼・e41590)
アンネ・フィル(つかむ手・e45304)

■リプレイ


「な、何……ですか……」
 詰め寄られた女子高生はひきつった笑みを浮かべて後退りし、それを見たある人は目を丸くし、顔を顰め、そしてある人はそそくさと逃げていく。
「……覚悟完了ですの!」
 紙縒を手に、アイヲラ・スレッズ(羅針盤の紡ぎ手・e01773)は気合いをいれる。
「―ム。ビルシャナの言うことは相変わらず意味不明だな」
 眉間に皺を寄せ呟くのはバーヴェン・ルース(復讐者・e00819)。避難誘導を買って出た彼の横でしゃがみこむアイヲラ。紙縒を鼻に突っ込んで、くしゃみを誘発させるべく奮闘する。
 しゃがみこんで何をやってるのか、少し疑問に思ったバーヴェンがアイヲラにちらりと視線を向けたその時。
「へっくちん! へっくちん!」
「くしゃみ! くしゃみね?! あなたのくしゃみ……普通ね。 大正義とは程遠いわ!」
 意図も容易く釣れたビルシャナは、アイヲラに大股で近付いていく。
「―ム。今の内に逃げろ」
 ビルシャナがアイヲラのくしゃみに気を取られている隙を見て、バーヴェンは女子高生の腕を引く。
「え、は……はい」
 バーヴェンは女子高生の走って逃げるのを見守ってから、他の通行人達に目を向ける。
「しかし……剣気解放が使えないのは、少し不便だな」
 混乱が広がっていく人々の様子を見て、バーヴェンは呟いた。
「大正義って…えらい迷惑な。出所もわからないし拘り有る人間なら誰でもなる可能性ありって事か」
 呆れ気味にぼやく秦野・清嗣(白金之翼・e41590)は、胸元がはだけ気味でなんだか寒そうな服のポケットからライト付き誘導棒を取り出す。
「僕たちはケルベロスだよ。この通りの真ん中に、デウスエクスが現れた。危ないから指示に従って避難してね」
「私はケルベロス、ご協力をお願いしますわ」
 通りの隅の方にある交番に駆け込んだのはカトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)。隣人力による好印象と、それからケルベロスという単語に、座っていた巡査二人は勢い良く立ち上がる。
「ケルベロス……ということは、デウスエクスですか?!」
「ええ。ここに面した大通りの真ん中に現れましたの。避難誘導をお願いできますかしら?」
 大雑把に説明すると、巡査二人は頷きながら準備を整え始める。
「お任せください!」
「では、頼みましたわ」
 言うや否や、自身もビルシャナの元へ向かうべく、カトレアは踵を返し、大通りへと駆け出した。


「生理現象故に恥ずかしいくしゃみ、行ったご本人様が必至に秘めるべく行った行為を暴露し辱める行為ですわ! そのようなお気持ちを今後他の方にさせ続けるおつもりですの?!」
 びしぃっ! とアイヲラが向けた人差し指に、ビルシャナがふんと鼻をならす。
「何をおっしゃっているやら……。恥ずかしいと思ってることがわかるくしゃみ! それにこそ可愛さ、秘められた女子力があるのです。貴女は何もわかっていらっしゃらない」
 何をわかれと。
 突っ込みを入れる代わりに、アイヲラは紙縒を持った手を握りしめ、叫ぶ。
「ちなみに私も恥ずかくなりますの! あいきゃんふらいな気分になりますわ!」
「恥ずかしい、その気持ちこそが大切なのです。その気持ちこそが女子力! 可愛さの源! 飛んではいけません! その恥ずかしい気持ち……それをくしゃみに込めて! さぁ!」
「え、えぇ……」
 ぐいぐい来るビルシャナに、アイヲラがなんだか得たいの知れない恐怖を若干感じ始めた瞬間。
「ふ……ふぇっ……」
 くしゃみの気配に、ビルシャナが振り返る。
「くしゃみをするのですね?! どなたのくしゃみですか?!」
 ビルシャナが振り返った先に居たのは、しゃがみ込み、紙縒を持ったリンスレット・シンクレア(サキュバスのギャル系螺旋忍者・e35458)。
「あ、ちょっと待ってて? くしゃみは別にどうでも良いけど、流石にこの準備見られんのとか超ハズカシーからさぁ……」
 言いながら紙縒をどこかに仕舞い、立ち上がる。そして。
「ぃっ、くしゅん!」
「普通のくしゃみね?! もう少し、恥じらいを持たせて! 可愛さを意識して! さぁ、もう一回!」
 ずかずかと物凄い勢いで距離を詰めてくるビルシャナに、リンスレットは肩を竦める。
「ってーかくしゃみを可愛くとかさぁ、ぶっちゃけあざといんだよねぇ? 要はくしゃみを抑えたから可愛い感じになるわけでぇ、わざわざ抑えて可愛くしてるのが計算しすぎー、って感じぃ?」
「計算? そうね……計算、それもあるかも知れないわ」
 このビルシャナにしては若干落ち着いた口調。しかし、次の瞬間、ビルシャナは拳を握りしめ、叫ぶ。
「でもそれも良し! 可愛さを演じるための計算……それもまた、可愛さよ! 可愛くあろうとするその心……素晴らしいわっ!!」
 正直、そう来るとは思わなかったリンスレットはあまりの勢いに数回目を瞬くが、はっとして気を取り直す。
「それにさぁ、まずあんたのくしゃみを手本に見せてくれた方が良くなぁい? ほらほらぁ、私がこより作ったげるからさぁ♪ そんなに言うからには可愛いくしゃみ連発出来んでしょー?」
「ふ……、私に? 手本を? 何を戯れ言を……」
 ふふ、と笑うビルシャナは、カッと目を見開く。
「出来ません!」
「出来ないのにめっちゃ偉そうなんですけどぉ」
 はっきりきっぱり言ってのけるビルシャナ。呆れたようなリンスレットを他所に、ビルシャナは熱く続ける。
「可愛いと崇め奉る事こそ私の正義! 可愛くくしゃみをするようにと説く事、そして可愛いくしゃみは素晴らしいと褒め称える事。その二点と私自身がくしゃみをかわいく出来ないということは、決して矛盾はしないのです! 可愛いくしゃみ最高! さぁ、あなたも叫ぶのです! さぁ、さぁ!」
 ぐいぐい来るビルシャナにリンスレットが若干引き始めたその時。
「くちゅん! びぇー……」
 かわいいくしゃみと、鼻水をずるずるする音。
「くしゃみ! くしゃみですね! しかもかわいい! 最高です……!!」
 鼻水の件については全く気にならないらしいビルシャナは、ハイテンションでくしゃみの出所を探す。
「うー……」
 ずびずびとティッシュで鼻をかむシャーロット・ファイアチャイルド(炎と踊る少女・e39714)に、ビルシャナの視線がロックオンされた。
「もしや貴女?!」
「くちゅん!」
「はぁああぁぁぁぁ、可愛いらしい!」
 目をキラキラさせ、詰め寄るビルシャナに、シャーロットは涙目を向け、睨む。
「びぇー……くしゃみはご病気なんだから、コントロールなんてできないんだよ! だから、くしゃみの仕方に正義とかそういうの……かんけぃ……くちゅん! びぇー!」
 鼻水が大フィーバーなシャーロットだが、それでもビルシャナはまるで気にする様子は無い。
「いえ、いえ! コントロールできないからこその可愛さ! わざと可愛さを演じる事も勿論正義、しかしそうしたどうしようもない状態のくしゃみもまた、正義なのです!」
 嬉しそうに語り続けるビルシャナに静かに近付いていくのは、アンネ・フィル(つかむ手・e45304)。
「ソプラノ、アルト、テノール、バス……人が出す音ってその人がおっきいかちいさいかで決まるんですよね」
 そう言うアンネに、ビルシャナは視線を向ける。
「それとくしゃみに、どう関係があるのですか?」
 怪訝そうに顔を顰めるビルシャナに、アンナは続ける。
「くしゃみも音、体格の影響は受けると思うのです。だから、無理にかわいいくしゃみをするなんて、身体に良くないですし」
 すらすらと続けられる言葉に、ビルシャナは大変楽しくなさそうに目を細める。
「それに、シャーロットさんの言う通り、病気なんだから無理できないですよ。そして、病気の人をかわいいって、きもちわるいです。かわいそうならわかるけど……そのどこに正義があるんでしょうか?」
「貴女はわかっていないのです。可愛いくしゃみは、一筋縄ではいかないもの。だからこそ、可愛いと思うのです」
 そう説くビルシャナを眺めつつ、神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)が呟く。
「くしゃみ……くしゃみなぁ……。もうすぐ1月が終わり2月が……あっ」
 純恋がぽんと手を打つ音に、ビルシャナが振り返る。
「これからあれねぇ……一部の人の地獄というかくしゃみが多発する時期になるわねぇ……。まあ、その時はくしゃみの方法なんて拘ってられないだろうけどねぇ……」
 花粉症を思い浮かべながら、純恋は言う。
「拘っていられないくしゃみにこそ、拘りが生まれるのです!」
 何を言ってるのかよくわからないが、兎に角ビルシャナは満足そうだ。
「こう……大声で五月蠅くて迷惑になるようなものは、駄目だけど。まあでも、基本的には好きにしていいと思うのよ。個性っていうかうん、まあそんな感じ」
「くしゃみは個性、だからこそ、可愛さが際立つのです!」
「男らしいくしゃみでもそれはそれでアリって人も中にはいる。ねえさんも子ども産んでもう立派な巫女やってる娘いるし」
 ビルシャナはカッと目を見開いた。
「可愛いさよ! 男らしさなんてそんなのは求めていないのよ!」
「くしゃみは、無意識に体の中の異物を吐き出す行為ですので、無理に可愛らしくしたら逆に体に悪いですわ」
「なんですって?!」
 ビルシャナの振り返った先に立っていたのは、カトレア。
「一般人の避難は完了しましたわ」
「え?! 誰もいない?!」
 慌てるビルシャナの耳が、へっぷち、と可愛く小さなくしゃみを拾う。
「誰かいるのね?! 可愛いくしゃ」
 み、という最後の言葉は、口から出る前にとこかへ消えた。というのも。
「あら……おじさま……?」
 愕然とした様子のビルシャナに、清嗣は肩を竦め。


「女の子が可愛いくしゃみ王道だけどいたって普通。当たり前は確かに正義かもね。私が可愛いくしゃみしてもそれを正義と言えば大正義……そう言ってくれるかと思ったけど」
 呟きながら、清嗣が人差し指をビルシャナに向ければ、ブラックスライムはぐわっと大きく広がり、そして。
「おじさん、泣いちゃうよ?」
 そう言って目を細めた瞬間、ブラックスライムはビルシャナを丸呑みにする。
「ぐうっ……!! 私の、教義を、馬鹿にして!!」
 途切れ途切れに叫びながらビルシャナがブラックスライムから這い出した瞬間、シャーロットの我慢が限界を迎える。曰く。
「さむいー! もう帰るぅー!!!!」
 とのことで。パチンと指が鳴らされれば、ビルシャナの四囲に炎の壁が現れる。
 慌てるビルシャナに、リンスレットが妖艶に微笑む。そして炸裂したのはデコりティブ。
「ギャルの本気、見せちゃうかんねぇ♪ 良い感じにデコっちゃうからさぁ、大人しくしてなよぉー?」
「い、いやぁぁぁぁ!!!」
 がちゃがちゃと炎の壁の内側で何かが成されて、そして炎の消えたそこには。
「くうっ……私にこんなことをして!」
 羽毛が良い感じにカットされ、露出というか地肌が多くなったビルシャナが居た。恥ずかしそうなビルシャナは、カッと目を見開く。
「許さないっ!!」
 そう言ってビルシャナが両手を広げ、攻撃の体制を取る。その視線は、遠くを見つめている。
「せーの!!」
 そんなビルシャナの横っ面へ、アイヲラが右手を振り上げ、そして。
「キェェェェェェェイ!!!!!」
 もの凄く痛そうな音がして、ビルシャナは連続で左右の横っ面を張られ、倒れ込む。
「この私にっ!!!!」
 怒りを迸らせ、ビルシャナは立ち上がる。
「テレ蔵くん、いきましょうー」
 純恋は自身のサーヴァントであるテレ蔵を引き連れて、ビルシャナとケルベロス達の間に割り込む。それを見たサーヴァントの響銅も、ケルベロス達を守るため、ビルシャナの前に立ち塞がる。そして放たれたのは、氷の輪。
「みんな……治すね」
 広範囲に撒き散らされた氷の輪によるケルベロス達へのダメージは、ディフェンダー達が身体を張った事により最小限に食い止められた。しかし、傷付いた者が居ない訳ではない。その身体をもって氷の輪を食い止めたディフェンダー達と、その壁をすり抜けた氷の輪。
「あなたの勇気はきっと届くよ」
 アンネの温かい歌声は、傷付いたケルベロス達を癒し、守護を与えていく。
「回復感謝いたしますわ」
 礼を述べながら、カトレアは駆ける。
「外でその格好は寒いでしょう? この炎で温めてあげますわ!」
 カトレアは言いながら、薔薇が絢爛に咲き誇るブーツで、地面を蹴る。そして繰り出される炎を纏った蹴りは、ビルシャナを焼く。
「ぐあぁ!!」
 その身を焼かれ、膝をつくビルシャナに、バーヴェンは呟く。
「せめて祈ろう。汝の魂に幸いあれ……」
 グラビティを終結させた刃は高速で鞘を走り、閃いた一太刀は、ビルシャナを一刀の元に斬り伏せたのだった。


「お片付けも、がんばりましょー」
 気合いを入れて、純恋が凹んだ地面をヒールで補修する。
「シャーロットさん、大丈夫ですか?」
 道路が壊れて交通事故になっちゃったら大変、と道を先に平らにしてから、アンネは問う。風邪がひどくなっちゃったらどうしよう。ヒールだけじゃ病気は治せない。ケルベロスだからって、大丈夫な訳じゃないから。
「……ん? 大暴れしたら、ちょっと治ったみたい」
 けろりと笑うシャーロットに、アンネは安心して微笑んだ。
「―ム。この街灯は、ここでいいだろうか?」
 折れた街頭を抱えるバーヴェンに、カトレアは頷く。
「ええ、置いておいてくださる?」
「―ム」
 バーヴェンは街頭をそこに置き、他の場所を片付けるために辺りを見渡す。そして、ばちりとアイヲラと目があった。その瞬間、ヒールに勤しんでいたアイヲラの脳裏を過ったのは、紙縒を鼻に突っ込んで居たときにバーヴェンの視線を感じた事。アイヲラは一瞬にして顔を赤くして、叫ぶ。
「この事は内密にお願い致しますわ!」
「―ム?!」
 ぶんぶん斧を振り回すアイヲラに、バーヴェンは目を丸くして、後退りする。そんなバーヴェンを、アイヲラは反射的に追いかける。
 そんなバタバタを見ながら清嗣は、肩を竦めた。
「みんなのくしゃみはどんなのなのか少し気になるけど……今はそれどころじゃなさそうだね」
 そう溢す清嗣に、リンスレットは笑う。
「後にしなよぉー」
 そして、リンスレットは呟く。
「でも、ビルシャナが言ってたかわいいくしゃみが男受けするのは事実なんだよねぇ」
 ポケットから紙縒を取り出して、それから。
「くちゅんっ……」
 元通りになった大通りを眺めながら、精一杯可愛いくしゃみをしてみたのだった。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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