玉の輿に乗れるのなら……

作者:なちゅい

●素敵なお金持ちの男性と……
 その日は休日。
 OL、羽立・やよいは久々にのんびりとした休日を過ごすとあって、惰眠を貪っていた。
「…………だるい」
 普段、朝から晩まで忙しなく働いているせいか、いつもより多めに眠ったところで疲れがとれないのだ。
 ボーッとしながら、二度寝をするやよい。そうして、しばらく彼女は布団の中でまどろむ。
 …………。
 気付けば、すでに日が傾きかけていた。
 さすがに、半日以上寝て過ごしたと気付いた彼女は、時間がもったいないと慌てて起き出す。
 本当は、近場へと旅行に出るなど色々とやりたいことがあるのだが、日々の忙しさに追われてろくに休みも取れない。
 また、休みの日もこうしてぐったりとしてしまい、疲れをとるだけで手いっぱいだ。
 やよいはコーヒーを淹れながら、溜息をつく。
「玉の輿に乗りたいなぁ……」
 裕福な男性と一緒ならば、こんな忙しい日々を過ごすでもなく、のんびりと自分のやりたい事をしながら毎日を過ごす、充実した日々が過ごせるのに……。
 容姿は普通だと思っている。実際社内でも声をかけてくる男性もいるし、性格もそこまで悪くはないはずだ。
「誰か、私を玉の輿に乗せてくれないかなぁ」
 ポロッと愚痴を零した彼女の前に、突然鳥人間のような姿をした何かが現われ、微笑んで見せた。
 すると、やよいの姿が急に変貌を遂げる。あっという間に、そこには新たなビルシャナが誕生してしまった。
「……そうだ。裕福な夫婦から妻を殺して、男性を奪い取ってしまえば」
 高級住宅地に住む家庭なら、婦人は昼間でものんびり過ごしているはず。女性を殺害し、理想の旦那を奪い取れたなら、私は玉の輿になれる。
 ビルシャナと成り果てて、完全に理性を失ったやよいの言葉に満足した鳥人間……ビルシャナ、大願天女の幻影は微笑を称えたまま消えていったのだった。

 ビルシャナ菩薩『大願天女』の出現によって、ビルシャナとなってしまう人間が現われている。
「玉の輿に憧れる女性が被害に遭うそうですね」
 一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)の言葉に、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が頷く。
「うん、手早く対処したい状況だね」
 ビルシャナ化されてしまった女性は、玉の輿に乗りたいという願望をかなえる為、高級住宅街を襲おうと計画しているので、その前に撃破したい。
 ただ、ビルシャナ化した女性を説得して計画を諦めさせることができれば、ビルシャナ化した人も救う事が出来るはずなので、可能ならば助けてあげて欲しい。
「玉の輿に乗りたいという願望自体は叶えられない願いではないから、うまく説得できれば、状況が大きく好転するかもしれないよ」
 現場は、神奈川県横浜市内にあるマンションだ。
 ビルシャナ化した女性が自宅マンションの一室から出て事件を起こす前に、そのまま自宅に突入して押さえ込みたい。
「ビルシャナとしては、比較的スタンダードなグラビティを使用するようだね」
 相手は、経文、閃光での攻撃、その合間に清めの光で自らの傷を癒すことが確認されている。
 突入時に玄関の扉を破壊することを含め、戦闘後のヒールを考えれば、部屋の中でも問題なく戦うことができるはずだ。
「自宅で抑えることもあって、ビルシャナが逃走する事はないから、どんな結末になるにしろしっかりと決着をつけて欲しいかな」
 説明としては以上だが、いくら自分の願望を満たす為とはいえ、他に犠牲を強いることなど許されようはずもない。
「ただ、彼女も本心では、暴力を使って願いを実現しようなんて思ってないはずだよ」
 被害の拡大を防ぐ為にビルシャナをどうにかするのは絶対だが、できるのであれば、女性を救ってあげてほしい。
 リーゼリットは最後にそう、ケルベロス達へと願うのだった。


参加者
ミライ・トリカラード(獄彩色鉄鎖・e00193)
蛇荷・カイリ(暗夜切り裂く雷光となりて・e00608)
リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)
大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)
西村・正夫(週刊中年凡夫・e05577)
一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)
ハンナ・カレン(トランスポーター・e16754)
東雲・菜々乃(のんびり猫さん・e18447)

■リプレイ

●玉の輿について思う
 神奈川県横浜市。
 この地に降り立つケルベロス達は、取り急ぎ現場に向かう。
「玉の輿っ! ……とはいうけども、私はそこまで気にはしちゃにゃーわねぇ」
 ややだらしなく露出高めの衣装を着こなす、服装に身を包む蛇荷・カイリ(暗夜切り裂く雷光となりて・e00608)が呟くと、やや子供っぽさも抱かせる容姿のミライ・トリカラード(獄彩色鉄鎖・e00193)も比較的淡白な態度で告げる。
「結婚っていうのは好き合ってる人同士がするものでしょ? 財産目当てでっていうのは違うんじゃないかな」
 そんな仲間達の言葉を、ハンナ・カレン(トランスポーター・e16754)は耳にして。
「ま、切羽詰まった状態でそいつを願っちまうのは仕方ねぇか」
「彼女はきっと、今誰かに寄りかかりたいのでしょうね。何か、支えとなるものがあれば良いのですが」
 スーツを着こなす男前な彼女に、銀の髪を靡かせた白い肌の淑女といった容姿の一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)が呼びかける。2人は互いに、様々な依頼をこなす運び屋の相棒だ。
「でも、どうせやるなら、正攻法で正面からイイ男を捕まえて欲しいモンだ」
 2人が語るは、被害者であり、ビルシャナと成り果てた女性のこと。そうじゃなきゃあ、女が下がるとハンナは整った唇を吊り上げる。
「フハハハ……。我が名は、世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領!!」
 そこで、名乗り口上を上げるは、秘密結社オリュンポスの首魁、大首・領(秘密結社オリュンポスの大首領・e05082)。どんなときも、これだけは彼の中で外せないらしい。
「ほう……、玉の輿か……。女性というものは存外そういうものに憧れるモノなのだろうか」
 仮面を被って正体を隠す怪しげな雰囲気満載な彼の推測に対し、この場の女性メンバーの反応はやや薄い。
「確かに、昔は玉の輿に乗りたいと思っていたけど……」
 リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)は、現実的に見て実現が難しいこと、そして、言うほど楽な生活は送れないと語る。
 チーム最年少ながらもしっかりとした彼女に、皆、舌を巻いてしまうのだった。

●玉の輿に乗ると言っても……
 マンションに入ったケルベロス一行。
 瑛華が殺界を展開することで、外へ出て行く住民達の中、蛇荷・カイリ(暗夜切り裂く雷光となりて・e00608)は警戒する。
 いつビルシャナが飛び出してくるか分からない為、メンバーはすぐに目的の部屋に飛び込む。
「ちょーっと待ったぁ! そんな方法じゃ玉の輿には乗れないよ!」
 扉を蹴破ったミライが叫び、中にいる女性に呼びかける。
 そこには、すでにビルシャナと成り果てたOL、羽立・やよいの姿があった。
「私、忙しいんだけど」
 睨み付ける彼女はすでに正気を失っている。
 このままだと本当に、玉の輿に乗ろうと高級住宅地に住む女性の殺害に動いてしまいかねない。
「オイオイ、妻を殺された男がその女を愛し、金を貢ぐ訳ねぇだろ。少しは冷静になれや」
「いくら妻に先立たれたからって、見ず知らずの人と結婚なんてしないもの。振り向かせる自信があるなら、そもそも奪う必要なんてないよ」
 まず、ハンナ、ミライがビルシャナをなだめに動く。
「お金持ちで独身の男性が知り合いにいないから、困ってるんだよね? なら、知ってる人に聞けばいいんだよ!」
「まどろっこしいやり方はいらないのよ……!」
 ミライは結婚相談所や婚活サイトを勧めるが、やよいは聞く耳を持とうとはしない。
「玉の輿、それ自体は悪いことではないかと思います」
 そこで、瑛華がやよいに一定の理解を示してから、反論する。
「ただ、そのやり方だと……、欲しいものは何一つ手に入らない気がします」
「ええ、おじさん思うに、妻を殺して男性を奪うってのはね。段取りやその後の関係性を考えたら非効率だと思うんですよ」
 それに同意する西村・正夫(週刊中年凡夫・e05577)は、死んだ人間は心に残り続けると語る。
「貴女の望む生活を考えたら心まで奪わにゃいかん訳で、その後の段取り面倒ですよ?」
 さらに、子供なんていたら目も当てられず、贅沢なんてできたものではない。
 それなら、出世しそうな若い男でも捕まえるほうが、望む生活の早道だと正夫は言う。
「気持ちはわかるけれど、結婚した後って考えたことあるのかしら」
 カイリも正夫に続いて、訴えかける。
「確かに、お金持ちのご夫人はいっぱいお金使えるかもしれにゃーけど、のんびり旅なんて出来ないと思うのだわ!」
「うむ、裕福だからこそ、逆に家に縛られることもある」
 そこで、意外にも領が頷いて。
「まして、よく知らない相手を得たところで、相手側も理想の奥様を求めてくるのではないだろうか?」
 裕福な家の奥様たるもの、小旅行や短剣など相応しくない。そう言われる可能性だってあると領は告げる。
「もし、玉の輿に乗るならば、暴力ではなく慎重を期す必要がある」
「うっ……」
 正論を突きつけられ、やよいは少し怯む。
「玉の輿を狙うだけの容姿があるなら、もっと自分からいけば、何かしら手に入ったかもしれません」
 疲れているときの睡眠は確かに幸せだと言う、東雲・菜々乃(のんびり猫さん・e18447)も、さらにやよいを説得する。
 玉の輿を狙う人々の競争率は高い。ただ、美貌と自信で見つければ、手荒なことをしなくてもゲットできるかもしれないと菜々乃は告げた。
「いや、できるでしょう。そう、お相手もあなたが来るのを待ってしまってるのです」
 それなら、綺麗に着飾って、彼を迎えにいかなければと菜々乃は促す。
「そんな時間があれば、とっくに……」
「玉の輿、と言う方法で現状を打開すること自体は否定しませんが……」
 自らの境遇を憂う女性は色々重なり疲れているのだろうと瑛華は同情を示すが、一方でやよいは艶っぽい彼女の所作に少し身構えていた。
「本当にあなたが欲しいものは何でしょう」
 望みは、ただ裕福な男性か。いや、彼女の思い描く未来は、そうではないはずだ。
「自分の描いた未来や好きなことを思い出して。その為に、必要なことを考えてください」
 瑛華に合わせ、ハンナも口を開く。
「どうしても玉の輿を狙いたいのなら、惰眠を貪ってないで女を磨け」
 キツイのは重々承知。ただ、そう簡単に環境は変えられないのだ。
「だったら、重くなってる腰をお前が上げるしかないんじゃねぇか」
 たじろぐやよいに、旅行好きならたまには言ったほうがいいとハンナは話を続ける。今の自身にできる範囲で行動を起こせば、何か変えられるかもしれない、と。
「もし色々やってダメだったら、そん時また考えろ」
 ただ、自暴自棄のような行動だけは違う。それはしょうもない人生で終わっちまうとハンナは話を締めくくる。
「ねぇ、あなたはどうして玉の輿に乗りたかったの?」
 リィが最後にやよいへと近づき、改めて問いかけた。
 ――苦労せずにお金を手に入れ、左うちわの生活を送りたいのではないの?
 将来、大きな玉の輿に乗りたいと思っていた時期のあるリィだからこそ、やよいの考えに共感できる部分がある。
「これがあなたの望む理想の人生? これがあなたの目指す究極の玉の輿? ちゃんちゃらおかしいわ」
 玉の輿は、ただ乗れればいいというものではない。乗って、乗りこなして、幸せな家庭を築いてこそ、初めて玉の輿に乗れたと言うのだ。
「目を覚ましなさいヤヨイ。運命の玉の輿、掴んでみせるんでしょう?」
「そう、私は幸せに……ああっ!!」
 リィの言葉で、強く迷いを覚えたやよい。ビルシャナの力に抵抗し始めた彼女の身体は光に包まれて。
「…………」
 意志を失った彼女は、こちらに閃光を発してくる。
「あとは私達に任せて」
 抵抗するほどに自我を取り戻したやよいの為にも、前面に立つリィは仲間と共に彼女の救出に動くのだった。

●自我を取り戻させる為に
 人間としての意識を失い、ビルシャナとして襲い来るやよい。
 飛び出す菜々乃はウイングキャットのプリンと共に仲間の盾となりながらも、ドラゴニックハンマーから砲弾を発射していく。プリンも尻尾のリングを飛ばし、相手の攻撃を妨げようとしていたようだ。
 ともあれ、攻撃して彼女を救わねばならない。
 回復役に回る正夫がカラフルな爆発を起こして仲間達の力を高めていくと、カイリが相手に躍りこむ。
「ガンガンいくわよ!」
 木刀を握るカイリは縦横無尽に部屋を駆け回って相手を翻弄し、斬撃を浴びせかけていく。
 一撃の重さよりもスピードを重視して攻め込む剣士の彼女。その動きを簡単に捉えることは出来ない。
 同じく、力を高めたハンナが相手の懐へと潜りこんで。
「悪いな……。あたしは素手の方が強い」
 マーシャルアーツを基盤とした格闘戦を得意とする彼女。
 鍛え抜かれたその重く鋭い拳は、半インチの弾丸すらも軽く凌ぐほどだ。
 大きく身体を煽られた相手へ、ミライが「Dead or Alive」を操って相手の体を強く縛りつけていく。
 動きを止めた相手へ、狙撃役となる領は火力で攻め立てる。
「さぁ、我が忠実なる僕よ、食事の時間だ!」
 周囲に冷気が巻き起こる中、領が呼び出したのは、三つ首を持つ犬の化け物。
 冥府に住まうというその犬は颯爽と駆け出し、相手の体へと飛びかかって食らい付いていく。
「……捉えました」
 狙撃と得意とする瑛華もリボルバー銃を手にし、グラビティを篭めた射撃で銃弾を発する。精密な狙いによる一発は見事に相手の足を射抜いて見せた。
 先ほどの天罰の光の影響か、やよいは早くも息切れしてきている。
 だが、本人の意識がないままに、目の前のビルシャナは経文を唱えてケルベロスを攻め立ててくる。
 人間には理解できぬ言語を紡ぐやよいの言葉は、聞く者全てを惑わせるビルシャナの経文。ケルベロスであっても、それに抗うのは難しい。
 前線に立つリィは、ボクスドラゴンのイドと共にその経文をできるだけ仲間に聞かせぬよう配慮しつつ、気力、属性注入と自らの不浄を振り払おうと動く。
 さらに、正夫が黄金の果実を輝かせ、正気に戻るメンバー達。前に立つ菜々乃は首を振りながら、小瓶を取り出す。
「栄養剤で眠気を取るのですよ」
 気合でこの場を乗り切るための1本。それで元気になるなら安いものだ。
 前線メンバーが耐える間も、中後衛のメンバー達が一斉に仕掛ける。
 ミライが星型のオーラを飛ばして相手の守りを打ち砕けば、領が振り上げた戦鎚ヴァルカンを叩き込んでいく。
 さらに、ハンナが食らいつくオーラの弾丸を飛ばせば、ビルシャナの動きが止まる。
 そこで、瑛華が相手の頭をリボルバー銃で撃ち貫いた。
 狙いは寸分違わぬことはなかったはず。だが、ビルシャナは翼を広げてなおも清めの光で自らを癒そうとする。
 ただ、カイリがそれを許さない。
「我が身は閃の光となりて、悪しき輩を焼き払わんッ!」
 自らの体を霊子分解した彼女は、雷となって敵の身体へと降り注ぐ。
 これぞ、カイリにとっての速さの究極形。降り注ぐ刃はあらゆる物全てを切り裂く。
「…………!」
 それに裂かれ、ビルシャナの体が淡い光に包まれる。
 すると、やよいは人間の姿を取り戻し、戦場となった部屋の床に倒れていく。
「ビルシャナ大菩薩の影響も続いてるのに、さらにまた別の菩薩だなんて」
 仲間がやよいの呼吸があることを確認したのを見たミライは、部屋の外を見上げて。
「止めるにはどうしたらいいんだろうね。教えてよ、大願天女」
 だが、外では一陣の風が駆け抜けただけで、何も返ってはこないのだった。

●玉の輿に乗れるほどいい女に
 部屋での戦いということもあり、ミライが黒い鎖で魔法陣を描き、領が自由なる者のオーラを飛ばし、修復に当たる。
「壊れたおうちは綺麗にしましょう」
 花びらのオーラを舞わせた菜々乃も、部屋を幻想交じりで元の形に近づけていく。
「このように、諦める時期ではないのですよ」
 菜々乃は目覚めたやよいに、声をかける。
「私も遊ぶのに忙しかったりで、寝るほうなのですよね。この疲れきった後ぐっすり休むのがいいのです」
 見たところ、やよいも整った顔立ちをした女性だ。仕事が原因で出会いに損しているのだろうと菜々乃は慮る。
「できる方ならプライベートの時間をまず掴み取って、そして玉の輿がよければそれを掴むといいのです」
 とはいえ、普通の人だって魅力的な人はたくさんいると菜々乃は話す。
「さっそく実行しましょう。この中にはいい感じの人いますか?」
 しかし、この場の男性は怪しげな秘密結社首領と、くたびれたおじさん。やよいは、ごめんなさいと両者に頭を下げた。
「やっぱり、若い男の方がいいですよ」
 苦笑しつつ、正夫は言葉を返す。
 出世できたのは貴女のお陰と関係性を確定させる。
 一度マウントをとれば、こちらのもの。男性は一度確定した関係を崩すのは下手だと正夫は語った。
「男は言うなり、贅沢は望むがまま」
 サムズアップする正夫はどうやら別れた元女房とそんな上下関係があったらしく、慰謝料がどうだとやや感情的に愚痴ってしまって。
「……ま、まぁ、こう言う事例もあるわけですよ」
 溜息をつく正夫に続いて、リィが口を開く。
「でも正直、玉の輿って相当ハードル高いわよね」
 リィは戦い前に仲間に語った話をこの場で繰り返す。現実を示すリィだが、彼女なりにやよいを応援し、よき玉の輿ライダーになって欲しいと願っている。
 一方で、ミライは別の観点でやよいを気遣う。
「本当の願いは玉の輿に乗ることじゃなくて、もっとのんびり暮らしたいってことじゃないかな」
 忙しいからこそ、そういう思考に陥る。仕事が辛いならば転職をと、ミライは勧める。
「今必要なのは、心身ともに休息だ……」
 領もその見た目に反して常識的なコメントで、彼女を諭す。
「よく広い目で見れば、玉の輿だけが選択というわけではなくなるのではないかね?」
 複雑な表情をするやよいへ、カイリが近所で買ってきた酒をどんと置いて。
「こういうのは同年代とってね。やよいちゃんお酒は飲める?」
 ちょっとだけお姉さんの私に話してみんしゃいと、カイリはテンション高く語りかける。それに、やよいも気を良くして、グラスを用意していた。
「やれやれ。これを機に少しは前向きになって欲しいモンだ」
「大丈夫だよ。些細なきっかけで、女は変わるから。彼女もきっと、イイ女になれるよ」
 杯を酌み合わすメンバーを背に、ハンナは外に出ると、瑛華も一緒についていく。
「お前が言うと説得力あるぜ」
 喫煙スペースに入ったハンナがタバコをくわえると、瑛華はポケットから取り出したライターを投げ渡して。
「あなたが原因な気がするんだけど」
 そんな相棒の返事にハンナはシニカルに微笑み、ライターを受け取ったのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。