●
そこは、一切の光を反射させない暗い……暗い病室。
「……う゛っ……ううぅっ……っ……」
その病室では、数日前から一人の少女が、頭から布団を被り、一日中涙を流し続けていた。
「……ユカリちゃん……大丈夫……大丈夫だからっ……」
その背を、布団の上からなで続け、そう言葉をかけるしかない母親。
泣き続ける少女――ユカリの脳裏には、医者から告げられた言葉が、幾度もループしている。
――『貴女の罹患した病気は、我々通常の医師では対処のしようがありません。治療方法が……未だ不明な奇病なのです……』
「……嘘だよぉ……」
恵まれた人生を送ってきた……今なら、そうハッキリとユカリは断言できた。昔から容姿を褒められ、甘やかされ、学校では自然と多くの友達が彼女の周りにはいた。
それが、どうだろう?
「こんな……こんな顔で……私に価値なんて、あるの?」
布団を捲って垣間見えた顔は、醜悪と呼ぶに相応しいもの。象鼻奇形症をさらにグロテクスにしたような、化け物そのものではないか。
医者には、命に別状はないと聞かされた。だが、むしろその事実はユカリを逆に苦しめる。
ユカリは悲嘆に暮れる。もうこの病室から、永遠に出られないのではないか……そんな絶望を抱きながら……。
●
「皆さんに、是非倒して頂きたい病魔がいます。その名も、「怪異化症候群」です。病院の医師やウィッチドクターの努力の結果、根絶させる準備がついに整いました」
そうケルベロス達に切り出した山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)は、非常に苦々しい表情。病魔の力が飛び抜けて強い訳ではない。この病魔が、見目麗しい男女……それも特に女性の、天敵とも呼べる症状を示しているからだ。
「その症状とは、『元の容貌とはひどくかけ離れた、醜く不気味な姿』へと、罹患者を変えてしまうというものです。現在、この病気に罹患した方々がさる大病院に集められ、戦闘準備が着々と進められています。皆さんには、「重病患者の病魔」の対応にあたってもらいたいと考えています」
桔梗が、ユカリの罹患する前の桔梗の写真をケルベロス達に手渡す。
長い黒髪に、パッチリとした二重瞼。肌には染み一つ無く、大勢の同級生に囲まれる中、柔和そうな笑みを浮かべる美少女であった。それが……。
予知で初めて見たとき、桔梗も思わず目を逸らしてしまいそうになった事を、彼女は素直に告白する。
すべての重病患者に巣くう病魔を一網打尽にできたなら、「怪異化症候群」は根絶される。だが、敗北すれば、今後も新たな患者が現れてしまうだろう。
「命に別状はないため、緊急の依頼ではありません。ですが、罹患した方々のお気持ちは、誰もが容易に想像できる悲痛なものだと思います」
これ以上、嘆く誰かを出させないため、どうか力を貸して、作戦を成功させて欲しい。
「ユカリさんから、無事に「怪異化症候群」を引き離すことができれば、そこからは病魔との直接の戦闘となります。「怪異化症候群」の攻撃手段としては、皆さんへの直接の打撃や、叫びを上げることで、ユカリさんと同じように、皆さんの容姿の変貌を促す……といったものになると思われます」
ユカリは、数日引きこもっており、ストレスが溜まっていると思われる。ストレスを上手く解消してあげたり、ユカリに「必ず元の姿に戻れる」と信じ、安心させることができれば、『個別耐性』を得られ、戦闘を有利に運ぶことができるだろう。
「ユカリさんはまだ16歳。このような姿になってしまい、心の傷も大きいでしょう。皆さんで元のユカリさんに戻してあげて、早く安心させてあげてください!」
参加者 | |
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捩木・朱砂(医食同源・e00839) |
メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026) |
隠・キカ(輝る翳・e03014) |
大成・朝希(朝露の一滴・e06698) |
祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083) |
華月・リディス(月糸・e27215) |
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710) |
アニーネ・ニールセン(清明の羽根・e40922) |
●
「こんなもんか。そっちはどうだった?」
空き部屋で、部屋のチェックや、料理や飾りの搬入を終えた捩木・朱砂(医食同源・e00839)が、手についた埃を払う。
「窓はカーテンで覆っておきました。他に反射しそうな物は見当たりませんね」
応じるのは、大成・朝希(朝露の一滴・e06698)。おかげで、部屋は薄暗くなってしまったが、一時凌ぎの場としては上々であろう。
「……通路には、姿が映りそうなものはなかった」
「……ええ、わたしも確認したわ」
朱砂と朝希が言葉を交わす中、空き教室に、念のため移動経路のチェックに向かっていた祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)とリティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)が戻ってくる。
と、なれば――。
「花盛りのレディを、再び咲かせてみようじゃないか」
「いってくるね、キキ。キキがいなくても、きぃ達がんばるよ!」
メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)が、モノクルを胸ポケットに仕舞い、隠・キカ(輝る翳・e03014)が宝物のロボに軽く口付けした後、鞄にお留守番してもらって立ち上がる。
目当ての少女――ユカリは、隣の病室で今も泣いている。その涙を止められることを証明するため、
「入るよ?」
華月・リディス(月糸・e27215)は、緊張を振り払うように大きく深呼吸をして、一応のノックの後、病室のドアを開けた。
「……えっ!!?」
暗い暗い部屋。中央のベッドで、布団を頭から被っていたユカリの慌てた、恐怖混じりの声が上がる。
「ユカリさん、ごめんね? ……急に押し掛けて。私達はケルベロスっていうのよ」
「……ケルベロス」
慌てず騒がず、穏やかにアニーネ・ニールセン(清明の羽根・e40922)が、ユカリに言った。ユカリは、『ケルベロス』が自分の元に現れた意味を、その名を反芻するように呟き吟味すると、おずおずと布団を捲る。
(見た目で得してきた報いにしては……あまりに残酷すぎるわ)
悲嘆の感情と共に晒されたユカリの顔。それを目にしたリティが、ユカリに悟られないよう、口元だけで怒りを露わにする。
「ユカリちゃん、大丈夫よ。皆さんにお任せすれば」
家族と医師以外の前では、決して、頑なに見せようとしなかった変わり果てた素顔。それを見せる意思をユカリが示してくれたことで、母親は深く安堵し、ケルベロスにその場を託すように頭を下げると、病室の端に移動した。
「アニーネがいったとおり、きぃ達はケルベロスだよ。ユカリの病気、なおしに来たの」
ユカリは、久々に人の目を見た。それは、透き通るような、キカの青い瞳。キカは、ユカリを見ても目を逸らさず、それどころか弾けるような笑み。
「…………」
母親や父親ですら、最初は直視が難しかった自身の相貌。それを平然と受け入れたキカにユカリは呆然とし、他のケルベロス達もそうであるとすぐに知る。そして何より――。
「……な、治る?」
その一言が、ユカリの心を揺さぶった。
「……ええ、わたし達はそのためにここに来たのよ。これまでに、身体が硬化して動けなくなり、やがて死に至るという病魔も倒したわ」
そしてリティが情報を補足し、ユカリの症状も病魔の仕業である事を説明する。
「じゃあ、これも……全部……」
自分の中から蝕んでいるという病魔の存在に、怯えるユカリ。
「挨拶が遅くなったね。御機嫌よう、レディ」
その怯えを取り払うように、メイザースが膝をつき、ユカリの手をそっと取る。
「心配する必要はないんだ。今回の病魔「怪異化症候群」は、必ず私達ケルベロスが根絶してみせる」
「……で、できるんですか?」
弛んだ脂肪のような異物に覆われた顔。半分程がその異物に阻害された瞳に憂いを帯びさせながら、ユカリはメイザースを見返す。力強く頷くメイザースだが、それでもやはり不安の全てを取り除くことは困難だ。
「女性陣の皆さん、よろしくお願いします」
「そっちは女子任せになっちゃうけど、頼んだよ。部屋とかの準備はしておくから」
朝希とリディスが女性陣に視線を向けると、アニーネが微笑み、頷く。
「どういう事……ですか?」
これから何が起こるのか、目を細めて心許なさを示すユカリ。
アニーネはその顔を躊躇なく覗き込むと、
「私たちがあなたを治すから、治った時に備えて綺麗にしておきましょう」
心の前に、まずは身体から、ね? そう手を取り浴室を指さすアニーネの意図を察したユカリは、おずおずながら、女性陣の誘導に従ってくれた。
「……任せたからな?」
朱砂が、笑顔ながらどことなく不安そうに、女性陣――主にイミナへ声をかける。
「……なんだ、そう案ずるな朱砂」
当のイミナは、湯浴み程度で何を心配する必要がある? そう無表情のまま首を傾げる。
「……ワタシの目を見ろ、安心して任せるといい」
(まさに、その無表情と澱んだ瞳を心配してるんだがなぁ……)
どこか自信に満ちたイミナの背を、朱砂は肩を竦め見送るのであった。
●
「……あっ、この曲」
当初こそ、下着の上からタオルを巻いたりしているケルベロスの中、ただ一人だけ全裸である事を恥ずかしがっていたユカリであったが。
(彼女も知っている曲だったみたいね。アイズフォンで検索をかけた甲斐があったわ)
サティの代表曲をリティが流し始めると、徐々に心地よさに身を任せ始めたようだ。
「お湯、あつくない? かゆいとこあったら教えてね!」
「……こちらも遠慮するな」
「はーい」
その心地よさを主に演出しているのは、泡立てたスポンジを優しく丁寧にユカリの肌に滑らせるキカと、洗髪を担当しているイミナ。
やがて、身体も洗い終え、ユカリは湯船に浸かる。
アニーネは浴槽の縁に腰掛けると、
「皆さんが美味しいものや綺麗な飾り付けをしているの。楽しみにしていてね」
そう声をかけた。
「美味しいもの……ですか?」
まさか、そんな事までしてくれるとは思わなかったのだろう。ユカリはポカンとする。
だが――。
グゥゥゥ……。
身体はユカリよりも先んじて数日の断食生活を思い出したのか、盛大に食欲を訴え始めた。
「あはっ、おなかは元気になったのね! このちょうしで、病気もきぃ達がやっつけるの、ぜったいなおすよ、やくそく!」
真っ赤になるユカリに笑みを向けながら、キカが小指と小指を絡める。
「信じたい……です」
だが、もし信じてダメだったら……? それが、恐ろしい。
「……言われたそうだな、通常の医師では対処が出来ないと。……だがワタシ達ケルベロスは通常の枠ではない。……その呪いが如き忌わしき病を解呪する事が出来る」
ケルベロスを知るからこそ、ユカリはこうして受け入れてくれる気になったはず。少なくとも、精一杯柔らかい雰囲気を作ってくれるイミナ達に、疑うべき点はないはずだ。
「準備終わったみたいよ」
リティに促され、ユカリ達は脱衣所へ。
「なんだか、落ち着くいい匂い」
それでも、ユカリは確実に生気を取り戻している。リティが脱衣所に焚いたアロマの香りに包まれ、身体をタオルで拭くのを手伝ってもらい。
「綺麗な髪ね。大丈夫、すぐに全部元に戻るわ」
アニーネにドライヤーで髪を乾かしてもらった。
「曲がってるな」
「……悪かったね、不器用で。ちょっとくらい大目に見てよ……」
飾りつけの準備をしていたリディスは、朱砂に指摘され、口を窄める。文句を言いつつも、四苦八苦バランスを整えていると。
「絵本のお姫様の寝室をイメージしてみたのですが、どうしょう?」
「……うわっ」
いつのまにか、淡いピンクや白、黄色といった色とりどりの飾り付けが、朝希の指示の元病室には施されており、自分もその一部を担ったにも関わらず、リディスは今更のように驚く。
(ビタミン類は美容にもいいし、バランスは悪くないな)
簡易テーブルの上には、朱砂作のキッシュ2種に加え、苺などのフルーツ、軽食、スイートポテトの春巻きなど、インスタ映えしそうな洒落た食事が用意されていた。
「お茶の用意もできたよ」
仕上げに、食事の隣にメイザースが花柄のティーカップを添える。ユカリのものは、見た目は多少悪くなってしまうが、少し冷ませてタンブラーに入れられるという心遣いがなされていた。
そして――。
「わぁー!」
それは今日、ケルベロス達が初めて聞く事ができた、ユカリの年頃の少女らしい歓声。
飾りや食事が用意されていたのは聞かされていたはずだが、想像以上だったのだろう。
素直に驚き、喜ぶ姿に、朝希が静かに頬笑む。
「今度は内側からも温めような。腹が減ってたら力も出ないだろ」
朱砂に促され、ベッドに座るユカリ。その周りをケルベロス達が囲み、賑やかに、和やかに食事を楽しむ。
「ユカリさんの好物は何ですか?」
「それ、きぃも気になってたの! きぃはねぇ? うどんとかパスタとかラーメンとか甘いのもすき!」
食事の合間、朝希とキカから、そんな問いを投げかけられたユカリは、
「キカさんは麺類が好きなんですね。甘いものももちろん好きですよっ! 一番は……オムライスかなー?」
幾分打ち解けた様子で、答えてくれた。
「甘い物ならマカロンあるよ。こういう可愛いの、好き? 好きなの選びなよ」
「バニラがいいです!」
タイミングを見計らって、リディスがマカロン差し出すと、女性陣が沸く。キカがユカリの横で物欲しそうにジーと見つめてくるので、リディスは苦笑しながら「食べなよ」そう促してやった。
そして、食事も一段落した頃。
「お前さんにも病魔を追い出す為に力を貸して貰う必要がある」
「容貌を変えられても魂までは侵せない。君の魂の強さを病魔に見せてやってほしい」
満を持して、朱砂とメイザースが、自分達を信じて欲しいと訴える。
それに対し、ユカリはリラックスした様子で、
「皆さんを信じます!」
そう信頼を告げた。
●
隣室でアニーネは、緊張した面持ちで手を組むユカリの胸の上に、手を翳す。
リディスは、そんな彼女の緊張を和らげるように、真っ直ぐユカリを見ると、
「ボクら、絶対アンタを治すからさ。そしたら、笑ってみせてよ。ボクの顔見てさ」
そう頰を搔きながら。意図してはいないのだろうが、まるで口説くかのような物言いに、真っ赤になるユカリ。だが、コクリと確かに頷き「……約束します」と、呟いた。
「召喚いきます、皆お願い!」
場が整った事を確信したアニーネが、告げる。
次の瞬間!
まるでユカリの身体から弾き出されるように、「怪異化症候群」はついにその姿を現した。
「――さて、レディと「約束」した手前、君を逃す訳にはいかないな」
先陣を切ったのは、メイザース。ステッキ型のドラゴニックハンマーからアンプルを投射した彼は、モノクルを装着する。
そのモノクル越しに蠢くは、血の涙を流す怪異にして病魔……「怪異化症候群」。
「リディスさん、ユカリさんをお願いします!」
「分かってる!」
朝希が流星の煌めきを宿す飛び蹴りで病魔を牽制する中、リディスがストレッチャーを押して病室に急ぐ。
「……名や症状に違わず、呪わしい姿だ」
掌に蠢く眼球に目を細めながら、イミナが前衛にオウガ粒子を。
「敵戦力確認……データベース照合……火器管制システム、アップデート完了。最新パッチ、配信します」
続き、リティもドローンで病魔の力の精査。
その粒子と、壁の如く群れを作るドローンを目眩ましに、蝕影鬼の念が次々と家具を病魔に飛ばした。
「どんだけ因縁があったが知らんがここで終わらせとこうぜ」
さらに、朱砂の飛び蹴りが炸裂しそうになるが。
「……言っていなかったか。実は初見だ」
「なに!?」
気合いを入れたにも関わらず、当のイミナが無感情に想定外の事実を告げたことで気が抜けたか、朱砂の蹴りが病魔から逸れる。
「ア゛ア゛アアアッーーーー!」
その隙を突くように、病魔が絶叫。朱砂の容姿に変質をきたそうとするが!
「どくのしんこうが、遅いみたいなの!」
入念の下準備の結果がここで実る。『個別耐性』が発現しているのだ。
「びょうまをこわして、ユカリをなおすよ。みんなことも、なおすから」
リディスが戻るまで、それはキカの仕事。――その思い出を、きぃに貸してね。
伸びやかなキカの歌声が、朱砂に幸福の記憶を呼び覚まし、その変質を巻き戻す。
「怪異化症候群、ここで根絶させてもらうわ」
アニーネが纏うオウガメタルが、絶望の黒光を照射する。
病魔も負けじと【破剣】を纏い、打撃を加えてくるが、
「ご苦労様、リュッケ」
リュッケの祈りを身に受けたリティとイミナの牙城は崩せない。
そして――。
「ボクの事、忘れてないだろうね?」
共鳴の効果を得た手術がリディスの手で施され、Dfを癒やす。
「ユカリを笑顔にする。嘘をつくのは嫌いなんだ。だから、このあたりで消えちゃいなよ」
「同感だね」
リディスの帰還を歓迎するように、メイザースがNemesisを寄生させた左手で、病魔に触れる。その瞬間、瞬く間に病魔は炎上。さながら、彼岸花が咲き誇るように。
「アガガガガーー!」
怨嗟ではなく、苦悶を上げる病魔。
「彼女の、被害者の苦しみだ。じっくり味わうといいよ」
そんな病魔に、メイザースが冷たく言い放つと、
「……病を封じる呪いを、苦悶を以て。……祟る祟る祟祟祟」
イミナの激痛をもたらす杭が病魔を襲い……。
「……終わりよ」
リティの強行偵察型アームドフォートの一斉発射により、跡形も残さず幕を下ろすのであった。
●
(あれが……形を持った『病』なんだな)
残る手応えに、朝希が手を開閉させる。
その眼前では、「もう大丈夫ですよ」そう朝希に告げられたユカリが鏡を手に、母と抱き合って喜んでいた。
「まさか、イミナが鏡を用意しているとは……気が利くな」
「……ワタシを何だと思っている? まぁ……それはさておき――」
イミナの視線は、残された料理に向けられていた。朱砂は苦笑を浮かべると、「後で静電気防止の特別メニューでも組んでやるよ」そう言って、喜ぶユカリに視線を戻す。
「さて、良ければみんなでお茶の続きをどうかな?」
メイザースの一言に、一同は待ってましたと諸手を挙げ、小さく口元で笑顔を形作るリティが、母親の席も用意する。
「これ、白ネコのぬいぐるみ、あげるよ? それと、この子はキキだよ。きぃのおともだち」
「ありがとう!」
ユカリが、キカに手渡されたぬいぐるみを抱きしめる。
「これで退院出来るわね。今までよく頑張ってくれました」
言いながら、アニーネはデルフィニウムの花弁をユカリの髪に。黒髪と柔和な笑顔を浮かべる彼女に、華を添える。
「ね、約束守ったよ。だからさ……」
――笑ってよ。求めると、悪戯っぽく逆にユカリがリディスを覗き込む。そして、自信に満ちたとびっきりの笑顔で、リディスの頰を赤く染めさせた。
作者:ハル |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年1月24日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
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