病魔根絶計画~人生の終わり

作者:質種剰


 隔離病棟の一室。
 そこは、一見しただけでは普通の病室に見えるものの、全ての調度品にある共通点があった。
 『ツヤ』が一切無いのだ。
 風呂場や洗面所の鏡は勿論、窓やガラス扉、金属製品の類が存在しない。
 木製の机も敢えてニスが塗られず、リノリウムだった床は全て厚手の絨毯で目張りされている。
 こうまで徹底して室内での光の反射を封じた事には、理由がある。
「……どうして? どうして私がこんな目に……」
 ベッドに伏せって泣き咽ぶ患者。患者へ自身の姿を見せない為の配慮であった。
 患者——末宮は元々、可愛らしく垢抜けた容姿の女性だった。
 会社でも滅多に人員補充されない部署な事もあって、仕事の出来る彼女は同僚の男性社員達に何年も可愛がられているアイドル的存在だった。
 だが、突然『怪異化症候群』に罹った事により、末宮は誰もが振り返る美貌を失ってしまった。
 全身が緑色に変色し、細く締まって弾力のあった肌はぶよぶよと爛れ落ちて、酷くグロテスクな外見になってしまったのだ。
「もう……私の人生終わりなの……?」
 末宮が絶望するのも無理はなかった。
「……もっと、可愛い服を着て外を歩きたかった、男の子とデートもしたかったのに……」


「此度も皆さんにお願いしたいのは、病魔の討伐であります」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が説明を始める。
「病院の医師やウィッチドクターの方々の御尽力で、病魔『怪異化症候群』を根絶する準備が整ったのでありますよ」
 現在、怪異化症候群の患者達が大病院へ集められ、病魔との戦闘準備を進めている。
「皆さんには、その中でも特に強い、『重病患者の病魔』を倒して頂きたいであります」
 今、重病患者の病魔を一体残らず倒す事ができれば、怪異化症候群は根絶され、もう新たな患者が現れる事も無くなるという。勿論、敗北すれば病気は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまう。
「デウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急の依頼という訳ではありません。ですが、この病気に苦しむ人をなくすため、必ずや作戦を成功させてくださいましね」
 かけらはぺこりと頭を下げた。
「さて、皆さんに討伐して頂く『怪異化症候群』についてでありますが……」
 かけらの説明によると、怪異化症候群とは青黒い肌を持った和装の女の姿をしていて、両の掌にぎょろりと目玉がついていたり、落ち窪んだ眼窩が洞穴のように黒かったりと悍ましい雰囲気をしているという。
 怪異化症候群は、『異形の打撃』を仕掛ける事で、近くにいる敵1人へ頑健性に満ちた破壊力のある攻撃を加え、しかも奪った体力を自分の物にするという。
 また、理力に優れた魔法である『怨嗟の叫び』を広範囲に響かせて、敵複数人を毒に冒す事ができる。
「もし、戦闘前に怪異化症候群への『個別耐性』を得られたなら、戦闘を有利に運べるでありますよ」
 個別耐性とは、今回ならば怪異化症候群患者の看病をしたり、話し相手になってあげるなどの慰問によって元気づける事で、一時的に得られるようだ。
 中でも、『恐ろしい姿で外にも出られず、引きこもっていたことによるストレス』を何とかして発散させてあげるのがオススメである。
「個別耐性を得ると『この病魔から受けるダメージが減少する』ので、どうぞ積極的に狙っていってくださいね」
 かけらはそう補足して説明を締め括り、ケルベロス達を激励した。
「どうか、怪異化症候群で苦しんでいる患者さんを助けて差し上げてくださいましね。病魔を根絶するチャンスでもありますから……」


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)
リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)
伊・捌号(行九・e18390)
マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)
田中・レッドキャップ(サイキックヴァンパイア・e44402)
夢山・橙花(混沌系ゲイジュツ家・e44947)

■リプレイ


 隔離病棟の病室。
「さてさて、ボク達ケルベロスが来た以上はおねぇさんの病魔は退治されることが確約されました」
 まずは、田中・レッドキャップ(サイキックヴァンパイア・e44402)が緩く爽やかに宣言した。
 柔らかな金の髪と綺麗な赤い瞳を持つサキュバスの男の娘。
 普段は7人の姉からのお下がりの衣服を着ているが、実はサキュバスではない出自のレッドキャップ。
 本当に7人の姉が現実に存在するかどうかも疑わしい、謎多き土蔵篭りである。
「病魔の退治……??」
 手を翳して極力顔を隠そうとする末宮が、首を傾げた。
「ええ、怪異化症候群は治ります、必ず治します」
「治るの!?」
「期待していて下さい。それで元の姿に戻ったらおねぇさんは何がしたいですか?」
 レッドキャップが尋ねるのへ、末宮は興奮した様子で考え始めた。
「どうしよう……本当に治るのなら、やっぱ可愛い服を着てデートとか」
「ボクのオススメはミニ旅行ですかね? 本格的なのは長期休暇でもないと難しそうですしね」
「ミニ旅行? 流石に病欠の後は有給使いづらいけど」
 末宮が俯くも、レッドキャップは笑顔で続けた。
「普段よりもちょっとだけ遠出して、プチ旅行気分を味わいながらウィンドウショッピングなんかを楽しむわけです」
「ああ……よくあるわよね。今まで一度も行った事のない隣町を1人でウロウロしたり……楽しそう♪」
 具体的なプチ旅行案は、末宮に辛い現実を忘れさせるのへうってつけの内容で、実に幸先の良い滑り出しとなった。
「旅行でしたら、こちらもどうぞ」
 リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)は、様々な観光地の見所が紹介された旅行パンフレットを見せた。
「こんな所があるんですね」
 パンフレットの写真を指差すリュセフィー。
「綺麗な日本庭園ですねぇ」
 記事には、『旧跡史跡ランキング第1位! 優美な日本庭園がステキ』と書かれている。
「わたしたちが病魔を倒しますので、必ず行けるようになりますよ」
  余り会話が得意では無いリュセフィーだが、彼女の病魔を倒したい気持ちは本物。
「ええ、ありがとうございます。こんな庭園でお茶を頂いてみたいです」
 なればこそ、彼女の真心も幾らかは末宮に伝わって、安心感を与えたようだ。
「突然容姿が変わっちゃって、本当に辛かったよね、苦しかったよね……」
 マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)は、末宮の手をそっと握り、真っ直ぐに彼女の顔を見て話し始めた。
「ええ」
 艶のある長い髪と褐色の肌、夜明け色の瞳が異国情緒を醸し出す、オラトリオの美少女。
 黒髪に咲く赤いハイビスカスの花と、白いオフショルダーのニットがよく似合っている。
 黄色いハイビスカスのレイが体色と馴染んでいるアロアロを連れた、神秘的なウィッチドクターである。
 とはいえ、日頃から人見知りをするアロアロは、今回ばかりは廊下に待たせてある。
 末宮へ、自分の容姿に怯えられたと誤解させない為のマヒナの配慮だった。
 また、病室内に流れる、耳に心地好い鳥のさえずりやさざ波の音も、マヒナが持ち込んだCDプレイヤーで再生したものだ。
(「外にも出られてないだろうし、少しでも癒しになれば」)
 ハワイの自然音が収録されたCDらしい。
「何があっても絶対にアナタの病気は治すから、だから安心して、治ったら何がしたいか考えてて」
「何がしたいか?」
「うん。スエミヤさんが治ったらやりたいこと、たくさん聞かせて欲しいな」
 屈託無く問いかけるマヒナへ、末宮も気分を引っ張り上げられる思いで、
「……治ったらまずは買い物がしたいわ。気晴らしに沢山服を買いたい!」
「それなら」
 マヒナは自分のケルベロスカードと手書きの地図を手渡して、
「ここ、ワタシのオススメの仕立て屋さんなの。きっとアナタにピッタリの服を仕立ててくれると思うから……病気が治ったらぜひ行ってみて?」
 恋人が営む仕立て屋をお薦めしておくのも、忘れなかった。
「有難うございます……本当に良くして頂いて」
 いつもながら、マヒナの細やかな気配りと患者を救いたいと思う真情は、患者当人の心すら打つ力強さであった。
 一方。
「末宮様、初めまして。看護師でケルベロスの、ラズ・ルビスと言います」
 ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)が、礼儀正しくぺこりとお辞儀して自己紹介を始めた。
 丁寧な物言いが無表情と相俟って冷たい印象を与えがちであるものの、実際は他者の命を第一に考える、穏やかな心根の元ダモクレスである。
「こちらはミミックの、エイドです」
 救急箱にそっくりなミミックのエイドも、ラズのいかにも看護師らしい服装とよく馴染んでいる。
「初めまして……末宮つぐみと申します」
「どうかご安心を。用意が済み次第、すぐに治療いたしますので」
 重病に苦しむ患者相手ともなれば、日頃の無表情を少し和らげて、優しく微笑んで語りかけるラズ。
「それまで……少しお話など、いかがでしょう」
 と、マヒナの流している自然音を聞いて、話題を振った。
「外で身体を動かすのは、お好きですか?」
「ええと……運動は余り得意ではないけど、時々、会社の同僚と川辺でバーベキューをします。そんな時の川遊びは好きです」
「そうでしたか。しばらく出歩けなかった分……治療後のそれは、格別ですよ」
 ラズはおもむろにエイドを口を開けると、中から風景写真集を取り出して、末宮から見えるようページを開いた。
 緑濃い黎明の森がうっすらと白んでくる、どことなく幻想的な光景。
 暖かな陽射しが樹々の枝葉から透けて、土に眩い紋様を描く、明るく力強い山道。
 白い飛沫が弾ける川の流れは、泳ぐ魚影まではっきりと映っている。
「肌を撫でる風はまだ冷たくても、陽の光には確かな暖かさを感じられて……ただ歩くだけでも、きっと楽しくなりますね」
 ラズが言うのへ、末宮も自然と頷いて、暫し写真集に見入った。
 普段は包帯や消毒液などを詰められているエイドだが、最近はそれ以外にも色んな物を収納してある。
 人形にしろ写真集にしろ、患者の治療に役立つならば、とエイド自身も快く受け入れているようだ。
「病気のせいで、外の景色が見られないのは辛いと思います。やりたいことが、できなくなる……それは、とても辛いことですから」
 夢山・橙花(混沌系ゲイジュツ家・e44947)も、末宮の苦悩を我が事のように共感したのか、親身になって話しかけている。
 デウスエクスの襲撃で右腕を失った事により、幼い頃から親しんでいた絵から離れ、失意の日々を過ごしていたオラトリオの少女。
 だが、日本各地で失伝者が救出されたのを皮切りにケルベロスへ覚醒。
 この時、右腕をワイルドスペースで補えたお陰で、また絵が描けるようになったゴットペインターである。
「ですので、外のキレイな景色の絵を描いてきました!」
 笑顔でスケッチブックを差し出す橙花。
「わぁ……!」
 そこには、赤々とした余韻を残して海に沈む夕日が描かれていた。
 まるで夕暮れをそのまま切り取ったかのような写実的な絵は、沈みゆく夕日の——夏と違って暑苦し過ぎない——暖かさや、冬の海の荒涼とした冷たさ、冬空の冴えた美しさが渾然一体となっている。
「綺麗ですね!」
「冬の夕日って、結構キレイなんです! 今は絵でしか見せられませんけど、病気が治れば実物を見に行けます!」
 素直に感動する末宮へ、自信を持って言い切る橙花。
「大丈夫です! 病気は絶対に治します! 私達に任せてください!」
 橙花が自ら筆を取り描いた絵画は、末宮の荒んだ心を確実に癒せた。
(「今までそこに在ったものが、急に失われるって、辛いこと、だから」)
 愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)は、努めて普段の楽しそうな笑顔を浮かべつつ、紙袋を抱えて入ってきた。
(「でも今なら間に合う……大丈夫。取り返そう、今日を」)
 ミライがベッドに広げたのは、彼女がいつも読んでるティーン向け雑誌。
「末宮さん初めまして、Love you! ミライです☆」
 それに加えて、少し年齢層高めのファッション誌を何冊も。
「入院生活はご退屈かと思いまし、て……雑誌、いーっぱい持ってきました☆」
 にこっと花も綻ぶ笑顔を見せれば、末宮も呆気にとられた表情から一転。
「有難うございます、好きに読んで良いんですか……?」
「もちろんです!」
 目を輝かせてティーンズ誌を読み始めた。
「末宮さんは、治ったらどんな服を着てみたいですか?」
「そうですね……あ、このページのツーピース良いな、こっちのジャケットも」
「わぁ、素敵……!」
 変に気を遣わず、あくまで普段通りの相槌を心がけるミライ。
(「いつも通り。だって、もうすぐいつもの日常になるんですも、の」)
 信じる気持ちの逞しさは、いずれ結果を伴って末宮の救いになる事だろう。
 同じ頃。
「……緊急の依頼ではない、ね……」
 日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)が、普段通りに小檻の蹴りを食らってヘリオンから落ちてきたのだが、その表情は硬い。
「誰かが理不尽に苦しんでいてそれをどうにかしようってんなら、少なくとも俺には充分過ぎる程緊急に解決すべき依頼のように思えるな……」
 ヘリポートでの小檻の言い回しに引っ掛かりを覚えていたのだ。
 小檻は、デウスエクスに被害者が直接命を脅かされる、時間的に猶予の無い依頼——毎日のようにケルベロスを募っているそれらと比較して、緊急では無いと言ったのだが、確かに何度も依頼の説明をする内に人としての感覚が麻痺して冷たい澱が降り溜まっている事は否めない。
 そんな小檻に人間らしさを取り戻させるつもりでも無いだろうが、どんな屈託を抱えていても彼女の巨乳にダイブするのが蒼眞だった。
(「悪縁切り願掛けだろうと何だろうと、やれる事は何でもやっておくさ」)
 地面に激突した後は、しっかりと水垢離してから病室へ向かって。
「そーま先輩、待ってました☆」
 彼の手土産、人気店の限定スイーツが気になっていたミライに出迎えられた。
「病院では味わえないような美味しいものでも食べれば少しは気晴らしになるだろうさ」
 早速、蒼眞はスイーツ——バウムクーヘンの穴にチーズケーキか埋まったケーキを切り分けて末宮へ差し出す。
「あれ先輩、私の分は?」
 ちなみに食器類は全て木製、顔が映る心配はない。
「美味しい……これ、何時間も並ばれたんじゃ」
「気にするな。特に苦にもならなかったしな」
 嬉しそうに食べる末宮へ、本音で接する蒼眞だが。
(「……俺にその手の事を求められても、どうしろと……?」)
 本当は、美味しい物でも食べれば少しは気晴らしになると結論づけるまで、一体どうやって励ませば良いのか、七転八倒悩み倒していた。
 他方。
「ほいほい、頼れるケルベロスの参上っす」
 皆の励ましや交流を邪魔しないように、機会を伺っていたのは、伊・捌号(行九・e18390)。
 かつてはデウスエクスに、欲望を満たす目的で育てられていたサキュバスの美少女だ。
 だが、混乱に乗じて上手く逃走出来たそうで、今は新たに付けて貰った『行九』という名前を大切にしている。
 その経験から、世界の何処かに自分のような存在を助けてくれた神様が居ると信奉の徒となった、大層敬虔な巫術士である。
「自分らがささっとカタして終わらせるんで、おねーさんは治った後にしたいことでも考えといてくだせっす」
 捌号は、殊更気負いのない物言いで声をかけ、末宮にケルベロスの頼もしさをアピール。
「本当に治るならこの上なく嬉しい……したい事も山ほどあるわ」
「冬が開けたら春っすし、お花見なんてどっす?」
 それでいて、彼女のストレスを何とか緩和すべく、ポジティブで楽しい事だけを考えるように意識を誘導してみせた。
「お花見……良いわね!」
 捌号の提案を聞いて、末宮の表情がぱっと明るくなる。
「もし病気が治ったら、会社のお花見に行きたい! 同僚や上司を酔い潰してやるわ!」
「その意気っすよ……もしかしてザルなんすか?」
「ワクよ♪」
 お花見を楽しみにする末宮の声は弾んでいた。
 ケルベロス達が怪異化症候群の個別耐性を得たのは言うまでも無い。


 病魔召喚はリュセフィーが行った。
「病魔よ! 出て来なさい!!」
 緑の肌を和服に包んだ怪異化症候群が、その異様な姿を現す。
 急いで末宮を廊下へ連れ出すのはラズ。
「知ってるか? 女子向けのスイーツで大切なのは、食べた後洗い物が出ない事らしい……」
 蒼眞は、普段なら読まないトレンド記事を諳んじながら、『御業』に炎弾を撃たせた。
「…………!!」
 轟々と火事のように全身燃え盛った怪異化症候群は、踠き苦しむ合間にも異形の腕で殴りかかってくる。
「怪我の痛みなんて、大したことないのです」
 橙花を背中に庇って、代わりに胸を強打されたミライが嘯く。
「痛いのは、いつだって、心のほうだって、知ってるから!」
 そのまま、全身を覆うクッキーちゃんを『鋼の鬼』と変化させ、反撃とばかりに怪異化症候群の腹部を打ち砕いた。
 ポンちゃんも主の意志に忠実に、封印箱へ収まって体当たりをぶちかましている。
「聖なる聖なる聖なるかな」
 己の神へ祈りを捧げる傍ら、捌号は並行していた準備運動を終えると、
「ま、こういうのも自分たちの仕事っすよな」
 聖職服の上を流れるオウガメタルから光輝く粒子を放出して、前衛陣の超感覚を覚醒させた。
「絶対に治す、って約束したからね」
 マヒナは、生み出したヤシの木の幻影から、怪異化症候群の頭上へココナッツを落とす。
 相変わらず痛そうな音を立てて、ココナッツは3つも奴の頭にぶち当たって凹ませた。
 爪を非物資化して霊魂を切り裂きにかかるのはアロアロだ。
「末宮様をお救いする為……一撃一撃には抜けませんね」
 と、光の尾を眩く靡かせた飛び蹴りを放つのはラズ。
 エイドも彼女と呼吸を合わせて、怪異化症候群の骨張った足へガブリと噛みついた。
「人の姿を醜く変えるなんて、許せませんね!」
 リュセフィーはバスターライフルからエネルギー光弾を射出。
 怪異化症候群のグラビティを中和して、本来の威力が出せないように弱らせた。
「病魔ってそういえばデウスエクスじゃなかったや」
 ふとそんな事をマイペースに呟くのはレッドキャップ。
「まぁいいや、最終的にヤることは変わらないし」
 尋常ならざる美貌による『呪い』を放って、怪異化症候群の動きを鈍らせた。
「絶対に病魔を倒して、末宮さんを助けてみせます!」
 橙花は黄の混沌と赤の混沌を合体させ、巨大な『拳』を作り出す。
 この巨大拳で力一杯、怪異化症候群を殴り飛ばして、ついに怪異化症候群の息の根を止めたのだった。
 廊下から聴こえてくる嬉し泣きの主が、果たしてどんな美女なのか。
 8人は期待に胸を膨らませて、病室の外へ向かった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月24日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 1
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