謹賀新年! まずは傍迷惑な悪縁を絶つべし!

作者:質種剰


「京都市内の山がデウスエクスの襲撃を受けて、神社へ続く山道が土砂崩れで塞がってしまったであります。そのせいで地元の方々は初詣に行けなくてお困りなのであります」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が沈んだ様子で話し始めた。
「ですので、皆さんには年明け早々恐れ入りますが現地へお出向き頂いて、山道のヒールをお願いしたいであります」
 修復活動さえ終われば、すぐにでも参拝できるよう地元の人々が準備してくれる為、心おきなく神社の初詣を楽しめるとの事だ。
「うふふ、今年も新年を無事に迎えられましたものね。日頃の戦いを忘れて初詣に行くのも悪くないと思うでありますよ〜」
 と、話している間に元気を奮い立たせ、明るい声で皆を誘うかけら。
「その神社の目玉は、何と言っても悪縁切りの御利益でありますよ!」
 なんでも、そこは悪縁切りと良縁結びで有名な場所らしい。
 買い求めた形代へ悪縁切りや良縁祈願などの願い事を書いて、縁切り石なる石碑に貼りつけるとどんな大願であっても成就するそうな。
「他にも絵馬が有名でありますから、そちらにお願い事を書くのもお薦めであります。おみくじや破魔矢もお好きにお買い求めくださいませね♪」
 お守り袋は、悪縁切り守、縁結び守、交通安全守、商売繁昌守、などなど。
 縁切りや縁結びはペアになっていて、1つずつ恋人同士で持つ事もできるという。
「どうぞ、恋人ご夫婦ご友人などなどお誘い合わせの上で、お気軽にご参加くださいませね♪」
 注意事項は未成年者の飲酒喫煙の禁止、それだけである。


■リプレイ


 ヒールを終えたイサナは、愛刀を携えて神社に到着。
「今年も良縁に恵まれますように」
 真剣に願掛けしておみくじを引くと、幸先良く大吉だった。
『悪縁は皆断ち切る也』
 と書かれている。
(「私が斬るのか……?」)
 何故か自然には切れそうにない言い回しの御告げへイサナは疑問を覚えるも、特に気にせずおみくじ結び所へと括りつけた。
「昔はこんな時がくるとは思わなかったなぁ……」
 デウスエクスに村を滅ぼされた来し方を振り返れば、今のような穏やかなひとときが殊更貴重に感じられて、しんみりとするイサナ。
 最後に破魔矢、絵馬、縁結びのお守りを買い求めて、
「父上、母上、私は今日も元気であります。彼岸花と共にこの世界を守護しております」
 宣言通り元気に、所属旅団へ帰途に着いた。

「初詣は何度行ってもいい感じ」
 黄金の鳥居がある神社へ年明け直後に詣でたのを思い返すのは連。
 今日は振袖でなくダッフルコートにニット帽と、万全の寒さ対策を意識したコーディネートだ。
「そうですね、いろいろと神社巡りもいいものです。なんだかんだであちこち行けるのはいいですね」
「もう京都に着いたんだ。急ぎましょ、ベッカ」
 恋人のレベッカと道中四方山話をしつつ神社を目指す間も、意識は絡み合った指から離れない。
(「この手の温もり、手放したくない」)
「ええと、目指す神社は京都駅から近いのかな? かけらさんが見つかれば、話は早いんだけど」
 などと、2人はちょっとした冒険気分で市内をうろつき、何とか無事に山の麓に到着した。
 果たして、葉野菜のような小檻の頭が良い目印になったかどうかは、定かでないが。
「ここか」
「ここですね。それじゃさっくりとヒールして直しちゃいましょう」
 連は気力溜めで、レベッカはヒールドローンで土砂崩れを直していく。
 そして山道を登れるようになると、仲良く手を繋いで神社へ急いだ。
「悪縁切りねぇ。ケルベロス稼業で成績が下がるのを何とかしてもらいましょうか?」
「ああ、悪い成績も悪縁……いやそれはちゃんと勉強しないと」
 連の天真爛漫な願掛けに、苦笑しつつツッコミを入れるレベッカ。
「たまにはちゃんと見てあげますから」
 連は現役医大生、レベッカも物性物理学科の大学生である。
「ベッカは成績どう? 順調?」
「まあ私の方は問題ないですよ、順調順調」
 参拝と形代貼りを済ませた後は、レベッカの提案でおみくじを引いた。
「末吉だ、ベッカは?」
「半吉ですね……吉より良いのか悪いのか」
 連のおみくじには、『末吉・学業障りなし』。
 レベッカの方には、『半吉・待ち人自ずから来る』とあった。
 2人はペアの縁結びのお守りもしっかり買って、2度目の初詣も大満喫した。

「縁切り神社ですか……切りたい縁が多いので、早くヒールしてお参りしましょう」
 ミリアは豪快に薬液をばっさばっさぶちまける。
 まさに手数重視、精度は二の次の集中豪雨で、ちゃちゃっと土砂崩れを修復してみせた。
「お祈りは……まず変態ビルシャナとの縁切りしたいです……」
 ふう、と深い溜息をつきながら形代を縁切り石にペタペタ貼りつけるミリア。
「あとついでに、オークとか変なビルシャナとの縁切りですね……」
 どうやら変態ビルシャナと変なビルシャナとは似て非なるものらしい。
「……とりあえずオークとビルシャナはガイバーンさんになすり付けておきましょう」
「いや、オークをわしに押し付けられても……わしはジジイじゃし男じゃから、囮にはなってやれんぞ?」
「騙されませんよ21歳」
「うっ」
 ミリアは、親しいガイバーンとの漫才のような遣り取りもすっかり慣れた様子で。
「あとは猫さんとの良縁も欲しいですけど……」
 漏れる猫愛を抑えきれずに、今度は何故か猫耳な小檻をイメージしていた。
 帰り際に引いたおみくじには、
『中吉・願望、小さな物なら自ずと叶う』
 とあった。


「かけら、あけましておめでとう……今年もよろしくね……」
 恙なくヒールを終えたリーナは、予め用意してきた振袖に着替えて神社へやってきた。
「かけら、ガイバーン、衣、あけましておめでとう……今年もよろしくな……」
 艶やかな振袖の隣に並べば、普段クールなセイヤもどことなく晴れやかな雰囲気に見える。
「明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます」
「明けましておめでとう。今年も宜しくお願いするのじゃ」
「あけおめ……今年も宜しくな」
「ん……普段、あんまりこういうの着ないから動きづらい、かも……」
 足元の覚束ないリーナの手をさり気なくセイヤが引いて、皆で参拝を済ませる。
「ん……悪縁切りと良縁結び……。普通に恋愛成就にも効果ってあるの、かな……?」
 形代を貼りつつ小首を傾げるリーナ。
(「縁結び、にいさんとペアで持つのも、良いな……」)
 むむむと思案顔になるも、お願いしたい気持ちはあれど言い出す勇気は無い様子。
 微笑ましい乙女心である。
「山道だからまだ良いものの、神社自体が壊されなくて良かったな……ヒールで直ったとしてもファンタジックな神社になるし……ファンタジックな神社ってどうなんだろうな……」
 そして、かような女心に微塵も気づかないのが男心の常である。
「悪縁切りか……。浪費癖やギャンブル癖が悪縁なら、かけらの下ネタ癖なんかもこの神社の願掛けで治らんものだろうか……?」
 セイヤは、去年のパンツ短冊を思い出して、ガイバーンにぼそりと耳打ちしていた。
「この神社がいかに霊験あらたかでも……それは難しいと思うがのう……」
「やはりそうか……」
 男達が神妙な顔で語り合う傍ら。
「あ……かけら、神社でおみくじ、してみない……?」
 恋する乙女と不治の悪癖持ちは、楽しそうにおみくじを引いていた。
「今年も楽しい一年になると良いな……去年みたいに、かけら達と色々遊びに行ったりしたいし、ね……♪」
「左様でありますね。かけら、おみくじ大好きであります♪」
 意気揚々と引いたリーナは、
「きちきょう、わかたず、すえきち……?」
 セイヤはというと、
「吉凶相交末吉……」
 どちらもいずれば吉になるという意味らしく、どちらが一概に上とは言えないのだが。
「にいさんと似たような運勢……」
「初めて見る内容だな。こんな変わったのを引けた時点で運が良さそうだ」
 リーナもセイヤも嬉しそうで何よりである。
「ん、甘いものの出店とか、出てない、かな……?」

「そういえば、一昨年も縁切り神社を直しに行ったっけ?」
 枝垂れ桜が見事だった縁切り社を懐かしく思い出すのはソフィア。
「新しい世代に過去のシガラミとか残してく訳にはいかないしね」
 賽銭を上げて手を合わせれば、還暦を過ぎた身には様々な因縁が脳裏をよぎる。
 調停期にコギトエルゴスム化しかできなかったデウスエクスや、その頃から決着のついていない宿敵。
(「去年、一昨年と1人ずつ片付いてはいるけれど、まだ残っているのは確かだからね。いつかそいつらとも決着をつけて、過去を精算したいと思っている気持ちも……」)
 ソフィアは、宿敵達との悪縁が早く断ち切れますように——と普段の彼女からは想像もできないような真剣な顔つきで、形代を縁切り石に貼っつけると、
「とりあえず、居場所が分かっているのは一人」
 強い決意を胸に拝殿を後にした。

「俺が切りたい縁はただ一つ……初詣の願い事、それは」
 理弥は、真剣を通り越して必死の形相で願掛けに挑んでいる。
「今年はショタコンビルシャナに会いませんように! そもそもショタコンビルシャナ出ませんように!」
 当然、賽銭もビラビラと大奮発。
(「形代にありったけの想いを込めて……!」)
 神様相手に哀訴嘆願、拝み倒して怨念込めた形代を縁切り石に叩きつけた。
「去年はショタコンビルシャナに対峙して色々と大変だったからな……おふくろと姉貴達だけでも頭が痛いってのに」
 一頻り願掛けをしたら、もうそれだけで大仕事を終えた気になって、理弥は安堵の息をつく。
「……いやまあ、あれでも血縁だからさすがに縁切るってのはキツイよな……うん。まあ……」
 絵馬にも大きく『ショタコン退散!』と書いて結んだ。もはや悪霊扱いである。
 その勢いで悪縁切り守も買ったが、
「いやこれペアだけど誰と持つんだよ」
 思わず1人ツッコミを自分に入れてしまう理弥。
 ちなみにおみくじは、
『大凶・待ち人、待ってもいないのにわんさか来る』
 だそうな。
「嘘だろ賽銭奮発したのにー!! 俺の五千円返せーーー!!!」


「新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
「あけましておめでとござます、こちらこそ宜しくお願いします」
 奏星は、淡い打ち上げ花火柄の着物を着て、小檻を伴って参拝する。
「今年もかけらさんと一緒に楽しく過ごせますように」
 と、素直に願い事を吐露する奏星だから、隣の小檻は動揺してしまう。
「せっかくの願掛けが、わたくしの事だなんて……あれ?」
「どうしました?」
「何か……去年も同じこと思ったような」
「七夕の時でしょうか」
「ああ、それそれ……きゃっ!?」
 小檻が興奮してぴょんと跳んだだけで、白いワンピースのボタンがプチプチ外れ、ぷるんと巨乳が零れ落ちたのは、さっきの『楽しく過ごせますように』が叶った為か。
 その後、奏星はおみくじと縁結びのお守りを購入。
「かけらさんとの縁がこれからも良い方向へと結びますように」
 おみくじの結果は『中吉・願望、叶う。喜びあり』であった。

「慎ましくも愛らしい美貌の聖! 女! が、誠心誠意心を込めてヒールしますよ!」
 マリオンは、上機嫌に土砂崩れを直していた。
「ほれ見ろ慈愛に満ちたこのお姿を! 野に咲く花の様に可憐じゃろうが!」
 ピカッ、ピシャーン!
 ウキウキとテンション高く雷の壁を構築していくマリオンの耳に、知り合いの会話が聞こえてきた。
「あら、暗黒街の帝王が雷をバックに背負ってらっしゃる。威厳があってお似合いでありますね♪」
「本当じゃ。きっと無能な部下にクビという引導を渡したり、返済が滞った債務者への取り立てを厳命する時に、ライトニングウォールが良い演出になるんじゃろう」
 興奮した様子で語らう小檻とガイバーンを見て、
「何で一部の人から暗黒街の帝王とか呼ばれとんのじゃあああああ!」
 もはや地団駄踏まずにはいられないマリオンだ。
 その後、御手水を使っているところへ、
「ヒールお疲れ! 大変だったろ?」
「……出たな諸悪の根源……!」
「さ、池の水でも飲んでゆっくり休めよ!」
 ルイスが笑顔で労ってきた。
「わーい池の水……って飲むかボケェ! それを言うなら飲ませる側じゃ——って違ーーう!!」
「神様、去年は隣のねーちゃんがやかましくて夜もおちおち寝られないし、買ったばかりのパソコンが壊れるしで散々でした。今年こそは不運に見舞われず、楽しく愉快に過ごせますよーに!」
「大体何だお前のその願い事は! 朝起きて学校行くのは当たり前だ!」
 パソコンぶっ壊れたのだって、72時間耐久動画鑑賞なんてやってたからだろうが! お前は無事でもパソコンさんが耐えられないって何回も言っただろ!
「可哀想なパソコンさんの身になってみろ!!」
「……しかし……」
 マリオンに後頭部をゴスゴス連打されつつ、ルイスは絵馬をチラ見。
「不運や病気との縁切りを願うならともかく、不倫だの嫌いな上司だの……『悪』縁を切ると明言されているにも拘らず、不道徳な願いの多いこと……人の弱さか……」
 誇れる生き方なんざしていない俺が言うのも何だが、神様も大変だねぇ……と、肩を竦めた。
「ってことで、お守り片方やるよ。呪いとかはかかってねーから安心しな」
 ポイッと放り投げられたお守りを受け取り、マリオンは一瞬感謝したが。
「おいハナタレ、これペアはペアでも金運招福だろがぁああ!!」
「だってーパソコンの修理代要るしーぃ」
「嘘つけ! 私に金を吸い寄せさせて暗黒街の帝王イメージを定着させるつもりだなこのキノコが!!」
 ゴスゴスゴスゴスゴスゴス。
 マリオンの殴打は止まらない。


「これぞお年玉ならぬ落とし玉……なんてな」
 蒼眞は地面に突っ伏していた。
 初ダイブとか戯言を吐いて小檻の巨乳へ飛び込み、ヘリオンから蹴り出されたのだ。
「落とし玉!? 気をつけて激突なさいよ、子種だいじょぶでありますか!?」
 新年一発目のギャグは妙な心配をされて不発だったが。
 ともあれ、形代に病気との悪縁切りを願う蒼眞。
「一寸風邪をひいたから」
 小檻にはそう言い訳したが、本当は末宮と怪異化症候群との悪縁切りのつもりである。
 自分の為に願掛けや神頼みなどまずやらないし、当てにもしない蒼眞だが、かといって『自分は病魔に絶対に勝てる』と自惚れてもいない。
 他者を救う目的なればこそ、やれる事はやっておきたいと思えるのだ。
「……大凶……今年既に二回目だよ……」
 おみくじは実に彼らしい結果である。
「……うん、痛い目に遭うとか行動に注意だのとあるな」
 何せ、再び地上で小檻の胸を揉みしだき、今も地面に沈められている蒼眞なのだから。

「悪縁を断つ! それすなわち! この世の悪の縁を全て断ち切り、この世界に独り身の為の正義をあまた広める嫉妬戦士にとっての聖地という事で問題ないな!」
 そう豪語して意気込むのは愛純。
「……え? 違う?」
 ちなみに、嫉妬戦士にとっての悪とは、リア充どもやバカップルどもや腐れアベックどもの事らしい。
「……否、私は何も聞いていない! 聞いていないのだ!!」
 ともあれ、現実から目を逸らし続ける愛純は、形代に悪縁切りを思いっきり願い、縁切り石へと気合を篭めて貼り付ける。
「リア充撲滅! そして独り身が胸を張って生きていける世界を!!」
 しかも、ついでにもう1枚買って『私に彼女できますように』とこっそりこっそり願う辺り、全くもって彼らしい。
 当然ながらおみくじも購入した愛純。
『小吉。自縄自縛に注意。準備を怠らず計画性を持って進めば運気好転す』
「……そうか、やっぱり違うのか。ううむ」
 運試しの結果に案外左右されるタイプの愛純は、おみくじの文言を鵜呑みにして、全力で思い悩むのだった。

「フハハハ……我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領!!」
 山道へ現れるなり高笑いするのは領。
「ほう……この程度の修復など我がヒールグラビティで造作もない!」
 実は真面目な性格の領だから、ちまちまと真に自由なる者のオーラを土砂崩れへ浴びせて、修復に励む。
 その傍らでは、
「妾は、暗黒太陽神の末裔にして、混沌の主、マスター・カオスと契約せし者、魔法少女ヒュペリオン・バレンシア!!」
 領より更に長い名乗りを上げて、珠藻が仁王立ちしていた。
「この程度の土砂崩れ、妾のヒールグラビティにてイチコロよ♪」
 付き合いが長いと思考回路まで似るのか、珠藻もまた似たような大口を叩いて、ジョブレスオーラを放っている。
「お二人とも、もう五十過ぎてるんですから早々に終わらせますよ」
 そして、カシオペアは至って冷静に、2人の穴埋めがてら聖なる加護で気力溜めしていた。
 その後、神社の拝殿を訪れた3人は、賽銭を上げて手を合わせた。
 領は、ひっそりと無駄に参拝の作法を正しく行いつつ、表向きは神様への宣誓を語っている。
「フハハハ……今年も我がオリュンポスの威光を知らしめてくれよう!!」
(「今年は何も起きませんように! 特に痛い目とかに……コレ切実!!」)
 本当に叶えて欲しい内容は、俗っぽいながらも切実であった。
「それにしても、この昔の面子で参拝するとはな……なんというか感慨深い縁だ……」
 しみじみ呟く領。
 ケルベロスとして覚醒した際、領と同じく本名を登録してしまった魔法少女ヒュペリオン・バレンシアこと珠藻は、オリュンポスの前身組織時代、旧大幹部として領やカシオペアと苦楽を共にしていた古株なのだ。
「やはり、マスター・カオスの予見は間違っておらんかったな! 妾は、三十数年待ったのだ!!」
 そのせいか、最近鹵獲術士になれた珠藻の喜びようといったらなかった。
 ちなみにマスター・カオスとは領の事を指す。
「くっ……漸くマスター・カオスと並び立てる……念願の魔法少女になれたのじゃ! 神様ありがとう!」
 心底感謝されて神様も本望であろう。
「思えば、カシオペアさんが我がメイドになったのは、ヒュペリオンが切っ掛けだったわけだからな……」
 それと言うのも、当時から融通の利かなかったカシオペアが、大首領と珠藻のせいで罰ゲームを遂行する羽目になってしまったらしい。
 領の専属メイドになるまでのカシオペアは、かつてジェネラルと呼ばれていた、所謂、悪の女幹部然とした雰囲気だったとか。
「我がオリュンポスの戦力も強化され、きっと幸先は良い筈だ! ……多分」
「オリュンポスの拡充も順調のようですし、新年を迎えて、私も以前の役回りをする必要があるかもしれませんね……」
「カシオペアさん……」
「まぁ、メイドを止めるつもりはありませんが……」
 領とカシオペアがしみじみと昔語りをする一方。
「神様ありがとうありがとう! ああでももし叶うならば、マスター・カオスとの関係も契約者以上に……否、自力でなってみせるのじゃ」
 珠藻は真剣にお礼参りだか新たな願掛けだかをしていた。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月14日
難度:易しい
参加:16人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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