ノーパン健康法こそ至高ッ！　異論は認めないッ！

■リプレイ

●教会前
「むむむっ！　この教会からビルシャナの気配がする！　なんとしても退治せねば……！　……というワケで、ビルシャナ狩りに命を掛ける乙娘（オトコ）！　リーナたん参上！」
　リーナ・エスタ（シェルブリット・e00649）は髪の毛を一本だけピンと立てながら、ビルシャナが拠点にしている教会の前に立っていた。
　ビルシャナはノーパン健康法こそ至高であると訴え、信者達と一緒にノーパンで生活をしているらしい。
　そのため、パンツを穿かない事が、当たり前のようになっているらしい。
「新年早々、頭がおかしいですわねぇ。酉年終わったのだから、少し大人しくしてくださらないかしら……」
　黒岩・りんご（禁断の果実・e28871）が、深い溜息を漏らす。
　去年は酉年だったので仕方がないと言う気持ちもあったが、戌年になってもしつこく湧いているため、ウンザリとしているようだ。
「そ、それに、ぱんつを穿かずに生活するなんて、そんなの恥ずかしすぎますよぉ……っ！　ど、どうにかして、こんな信仰は阻止しませんと……！」
　雪代・更紗（熟れた花・e29464）が、自分自身に言い聞かせた。
　この時点で嫌な予感しかしないものの、だからと言って放っておけば、大惨事。
　取り返しがつかない事態に陥ってしまい、『あの時に倒しておけば良かった』と思ってしまう事、間違いなしである。
「それ以前に、パンツを履かない健康法など本当にあるのかのぅ？　ただ単に、効いてる気分になっておるか、元々そういうのが好きだっただけじゃろう？　それを押し付けられるのは堪らぬのぅ。わらわにはそのような習慣はないし、無理じゃのぅ……」
　ララ・フリージア（ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44578）が、何処か遠くを見つめた。
　しかも、本当に効果があるのか怪しいため、試しにやってみようと言う気持ちにもならないようだ。
「わたしは、そんな健康法を聞いたことないです……ね。……と言うか、パンツってズボンの事じゃなかったですか……？」
　眠姫・こまり（矛盾した眠り姫・e44147）も、思わずツッコミを入れた。
　だが、事前に配られた資料を見る限り、ズボンではなく、パンツ……下着のようである。
「健康法の話自体は私も聞いた事があります……けど、一体何を根拠にしているのか、皆目見当もつきませんね……」
　朝倉・ほのか（フォーリングレイン・e01107）が、乾いた笑を響かせる。
　おそらく、実践している者達が何となく効果があると思っているだけで、実際には……と言うのが真相だろう。
「何だか、この手の突っ走った教義のビルシャナ、定期的に湧いてくるのだけれど、日本は大丈夫なのだろうか……」
　そんな中、花凪・颯音（欺花の竜医・e00599）が、色々な意味で不安を覚えた。
　そういった意味で、日本は終了。
　色々な意味で終わっている可能性も高いのだが、なるべく考えない方がいいと言うのが正解のようである。
「確かに……こんなくそ寒いのに、ほんと年明けから元気だよなぁ。まあ……、何とかなるだろ」
　そう言って暮葉・守人（墓守の銀妖犬・e12145）が殺界形成を使った後、仲間達を連れて教会の中に入っていった。

●教会内
「いいか、お前ら！　ノーパン健康法こそ至高ッ！　その証拠に俺達は……健康だァ！　見ろ、この筋肉ッ！　この大胸筋ッ！　この上腕二頭筋……すべてノーパンのおかげ！　ノーパン健康法を実践したおかげで、俺はこの肉体を手に入れる事が出来たッ！」
　教会の中にはビルシャナがおり、信者達と一緒に股間丸出しで、ポーズを決めていた。
「あ、あの……その……ぱんつを穿いていないだけなら、まだしも……ズボンも穿いていないんですか……！？　その格好だと……何と言うか……見えてしまうと言うか、既に見えているんですか……。何というか、隠しておかないと……その……」
　更紗が視線のやり場に困りながら、言葉を選んでビルシャナ達に語り掛けていく。
　だが、あまりにもビルシャナ達が堂々としているため、何やらイケナイ気持ちになってきた。
「何か問題でも……？」
　ビルシャナがまったく悪びれた様子でなく、『むしろ、見てくれ！』と言わんばかりに堂々と胸を張る。
「……と言うか、これって完全に女の子に対するセクハラじゃないか。健康とか本当はどうでも良くて、女子の裸を覗きたいとかじゃあるまいね？　まあ、キミは鳥だからそれでいいけど、他の人は鳥じゃないんだから、巻き込みは止めるんだ！」
　リーナが色々な意味で危機感を覚え、ビルシャナ達をビシィッと指差した。
「だから、見せているんだよ！　新年早々から縁起がイイだろ！」
　ビルシャナが一富士二鷹三ナントカ的なノリで、御立派な股間を強調！
　まわりにいた信者達も、『正月から縁起がいいだろ！』と言わんばかりにハイテンション！
「まあ、締め付けられる感覚がないのは良い事かも知れないけれど、冷えは人間の機能を損なう天敵だよ。具体的に言うと速攻で老化に繋がるから、早期ご高齢ライフに突入になるし、例え愛があっても介護は厳しいものだしね。そうして家族にも見捨てられて寂しく孤独死……なんて、良くある話だろう？」
　しかし、颯音は敢えてその事には触れず、おどろおどろしい口調で、ビルシャナ達に語り掛けていく。
　それとは対照的に、ボクスドラゴンのロゼは、常識人ぶる主人に対し、冷たい眼差しを送っていた。
「確かに……そう言う事もある……かも知れないが、俺達の団結力はそんなに脆いモノじゃないッ！　この筋肉と同じくらいガチガチだ！」
　それでも、ビルシャナはまったく気にせず、自信満々な様子で全身の筋肉を隆起とさせた。
　まわりにいた信者達も『その通りッ！』と言わんばかりに、ポージング。
「いや、穿かないと風邪を引きますよ！　私なりにこの健康法について色々と調べてみましたけど……蒸れる、下着の締め付けをなくせば、リラックスできて睡眠の質が向上するなどのお話でした。そういった意味でも、この健康法は、とても怪しいと思うのですが……」
　ほのかも胡散臭そうに、ビルシャナ達をジロリと睨む。
「怪しい訳があるか！　俺達がその証拠だ！　それに嘘だと思うのなら、コイツで証明してやろう！」
　ビルシャナが同類を見つけたと言わんばかりに、守人の肩をガシィッと抱く。
「いや、俺は関係ねぇから……」
　守人が嫌悪感バリバリで、ビルシャナの手を払う。
「ひょっとして、恥ずかしいのか？　だったら、お盆で隠せばいい！」
　ビルシャナが何やら察した様子で、守人に御盆を手渡した。
　まわりにいた信者達も、『それを克服したら、一緒にポージングの練習だ！』と言わんばかりにフレンドモード。
「だから、勝手に仲間扱いするな。……と言うか、お前らただ脱がしたいだけだろ？　強制はあかんって」
　守人が呆れた様子で溜息をもらす。
「それは誤解だ！　俺は少しでもお前が健康でいて欲しいだけだ！」
　ビルシャナが瞳をキラキラさせて、キッパリと言い放つ。
　まわりにいた信者達も妙に瞳をキラキラさせ、『強制じゃない。ただひとつになりたいだけだ！』と際どい台詞を吐き捨てた。
「わたしはまだ子供なので……健康法とかは気にしてませんが、冬に穿かないのは逆に不健康になるのではないですか……？？　わたしだったら風邪引いちゃいます……。だから、暖かくした方がいいです……よ？」
　こまりが色々な意味で疑問を感じつつ、ビルシャナ達に視線を送る。
「その心配はない。何故なら、俺達は鍛えているからなッ！　このくらいがちょうどいい！」
　だが、ビルシャナ達は股間を隠す事なく、堂々と胸を張る。
　この時点で通報されてもおかしくないレベルだが、ビルシャナ達は何が悪いのかまったく理解していない。
「じゃが、○○するだけという健康法は効かぬものじゃ。適度な運動と正しい睡眠とか、そういうのじゃだめなんじゃろうか？　散歩だけでもかなりいい効果があるというではないか。まさかパンツを穿かないだけで、何もしていない……という訳ではないのじゃろう」
　ララがビルシャナ達の身体を眺め、思わせぶりな態度で口を開く。
「あ、いや、まあ……何もしないと言ったらウソになるが……その……ノーパンであるから意味があるのであって……」
　その途端、ビルシャナがしどろもどろになりながら答えを返す。
　まわりにいた信者達もトレーニングを隠しつつ、何やら愛想笑いを浮かべていた。
「そもそもノーパン健康法って、寝るとき脱ぐって話だったと思うんですけどね？　こんな起きて活動しているときにぱんつ履いてないのは露出狂だけですわ。ましてはそれを剥ぎ取ろうなど、ただの痴漢ですわね」
　りんごもビルシャナ達に生暖かい視線を送る。
「うるさい、黙れ！　お前ら全員パンツを脱げ！　嫌なら俺が脱がしてやる！」
　次の瞬間、ビルシャナが八つ当たり気味に、更紗のスカートを捲り、白の紐パンツを脱がす。
　その拍子に、恥ずかしい染みのついたパンツが宙を舞い、更紗が恥ずかしそうに頬を秘める。
「こ、これは大変だ！　みんなで介抱するぞ！」
　それと同時に、信者達が更紗のぐしょ濡れになった股間に群がり、自らのソレを鎮めるべく彼女を暗がりに連れていくのであった。

●ビルシャナ
「……って、おい！　お前ら！　何処に行く！」
　これにはビルシャナも驚き、ツッコミを入れたものの、信者達はスルー。
　それどころか、『黙れ、鳥ッ！　いまイイトコロなんだよ！』と言わんばかりにピリピリムード。
「……と言うか、それは違うだろ！　つーか、何でパンパン音がしているんだよぉ！　俺も混ぜ……って、鍵を閉めやがったな、こん畜生ッ！」
　それでも、ビルシャナは信者達と話をしようとしたものの、隣の部屋に閉じこもったまま、誰も出てこようとしなかった。
「まあ……、用があるのは、あなただけですし……」
　こまりがサクッと気持ちを切り替え、ビルシャナの肩をぽふりと叩く。
　どちらにしても、信者達に戦う意思がないようなので、この方が何かと戦いやすそうである。
「あ、いや、そうだな。じゃ……まずはパンツを脱げ！」
　ビルシャナが俺様路線全開で、怪しくニンマリと笑う。
「だから、そう言う事じゃないよね？　……と言うか」
　颯音が呆れた様子で頭を抱え、ビルシャナに何か言おうとしたものの、相棒のロゼは容赦なし。
　ビルシャナが反撃する隙すら与えず、フルボッコ！
「それでは、戦いを始めます」
　ほのかもカチッとスイッチを切り替え、ビルシャナに攻撃を仕掛けていく。
「いや……もう始まっているんだが……。あ、痛ッ！　や、やめてくれえええええええええええ！」
　しかし、ビルシャナは気持ちの切り替えが出来ず、パニック状態！
「今回は女の子が多いんだ！　さっきから汚いモノ見せんなぁー！！」
　すぐさま守人がビルシャナの行く手を阻み、問答無用でシャドウリッパーを放つ。
「ぐはっ！」
　その一撃を食らったビルシャナが、あられもない格好のまま、すべてを曝け出した状態で宙を舞う。
「これは目に毒……必殺ッ！　降魔真拳ッ！！」
　リーナが色々と危機感を覚え、降魔真拳でビルシャナを床に叩き落す。
「煩悩退散！」
　それに合わせて、りんごが一呼吸の間に懐に入り込み、紫の地獄の炎を纏った手刀による一閃で、ビルシャナの身体を内側から焼いた。
「ぐおおおおおおおおおおおおおお！」
　そのため、ビルシャナは断末魔を響かせながら、ジューシーなニオイを漂わせて息絶えた。
「さて……、ビルシャナも倒した事だし、信者達にまずは下着を履くように薦めるかのぅ」
　そう言ってララが、隣の部屋に視線を送る。
「え、あの……これから、何処に……！」
　そんな中、更紗が神輿の如く信者達に担がれ、隣の部屋から飛び出すと、そのまま何処かに姿を消すのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2018年1月3日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
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