ケルベロス新年会~君の地獄を世界に刻め!

作者:質種剰

●謹賀新年
「新年、あけましておめでとございます~~♪」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が、この日ばかりは暖かそうな格好で深々とお辞儀した。
「2017年……世界の危機を何度も経験した、大変な年でありました……」
 だが、その危機の数と同じだけ世界が救われた、素晴らしい年でもあった。
「これも偏に、ケルベロスの皆さんのご活躍によって実現した事であります」
 再びぺこりと頭を下げるかけら。
「地球に住む全ての人達を代表して、深くお礼を申し上げます……もっとも、この感謝は、言葉だけでは表せません」
 ということで、とすぐ笑顔になった。
「ケルベロスの皆さんには秘密でしたが、世界中の人々が自主的にケルベロス新年会募金を歳末に実施なさって、ケルベロスの皆さんに楽しんで頂く新年会の予算を集めて下さったのでありますよ」
 そのお陰で、何と全国11か所の会場を貸し切って盛大に新年会を行えるのだが、ただ新年会を行うだけでは芸が無い。
「せっかくでありますから、どうか世界中の皆さんに、新年会を楽しむケルベロスの映像をプレゼントしてあげてくださいませ♪」
 普通の一般人が実現できない、ケルベロスのケルベロスによる、ケルベロスの為の新年会、そんな新年会になろう事は想像に難くない。
「勿論、ケルベロスの皆さんが楽しむ事が一番ですので、めいっぱい楽しんでくださいましね!」
 かけらはにこにこして説明を終える。

●魅せる『地獄』
「それでは『ブレイズキャリバー』なケルベロスの為の新年会の内容を、わしから説明するのじゃ」
 と、ガイバーン・テンペスト(洒脱・en0014)が後を引き継いだ。
「ジョブ毎に分かれて集まるのは、自分と同じジョブのケルベロスと親交を深めれば、きっとこれからの戦いにも役立つ有意義な新年会になるじゃろう——との建前じゃが、まぁ、同じジョブのケルベロスが集まると、間違いなく楽しい新年会になりそうだというのが本音じゃな!」
 ニヤリと笑うガイバーン。
「のう、皆の衆、世界中の人々の期待に応えるような、楽しい新年会にしてみせようぞ!」
 ブレイズキャリバー新年会の会場も、他のジョブと同様全館貸切である。
 一般客はいないが、世界配信や正月料理の給仕などに必要なスタッフはちゃんと居てくれるので心配ない。
「さて、どんな新年会をするかじゃが……」
 つけヒゲを撫でつつ、ガイバーンは続ける。
「わしらブレイズキャリバーが欠損部位を『地獄化』して纏っているのは、今更説明するまでも無かろうが……改めて考えると、大層格好良い事だと思わぬか?」
 この格好良さを新年会で発揮してみたいのじゃ、と。
「事前に、自分の地獄化した部位を格好良く演出する——そうじゃな、歴戦の戦士や武闘家、或いは暗殺者や正義の味方などなど……とにかく格好良い通り名や紹介セリフを用意して、1人ずつ紹介する毎に花道を歩くんじゃ」
 会場は広い神社の参道へ、新年会の為だけの立派な花道を設営した。
 拝殿から格好良く登場して、世界中の人々が画面の向こうから見守る中、花道を闊歩して欲しい。
「紹介セリフはわしが読むから、読み終わった後にパフォーマンスをお願いできるかのう」
 これは『出席者の挨拶』も兼ねるので、パフォーマンスを終えたら、普通に新年会を楽しんで欲しい。
 ちなみに、パフォーマンス自体は、何でも構わない。
 地獄化した部位がよく分かるように燃え滾らせて歩いたりターンするだけでも良いし、反対に、装備した義骸装甲の精巧さをアピールするのもアリだろう。
 常人では扱えない重さの鉄塊剣を使ったパフォーマンスというのも面白いに違いない。
 外から見えない部分を地獄化している場合は、自分の得意分野をアピールしたパフォーマンスをすると良いだろう。
「さあ、わしらも全力で新年会を楽しんで、世界に笑いとか勇気とか感動とか笑いとかをいざ振りまくのじゃ!」
 ガイバーンは、右足の黒い地獄を轟々と燃え上がらせて、皆を激励するのだった。


■リプレイ


「世界中の人々はこれだから……ふふ。ありがたい事ね。これはこの新年会、盛り上げるしかないわね!」
 黒住・舞彩(鶏竜拳士・e04871)は、一見すると何も武器を持たぬ手ぶらな状態で悠然と花道を進んできた。
「金色に光る地獄の右目! にわとりファミリア連れて、誰より深くダンジョン潜るドラゴニアン、黒住・舞彩!!」
「地獄では、こういう事もできるわ」
 そして、含みを持たせた物言いをするや否や、左腕から地獄を放って竜殺しの大剣を形成。
 刀身に闘気の雷光を纏わせると、超高速の斬撃や爆発的なビームを天へ向かって次々と繰り出した。

「布団にくるまったのは仮の姿! 胸に秘めた怒りは焼却炉の炎より熱く! 腕と翼は復讐の誓い! 進藤・隆治ィィィィィ!!!」
 進藤・隆治(沼地の黒竜・e04573)は地獄化した左腕を槍状に変化すると、その炎槍を正面に構えて突撃する。
 颯爽と駆け抜けて花道の中央に到達するや否や、炎槍を見た目にも眩く爆破。
 同時にバック宙を敢行し、空中で出した翼を大きく広げて、ふわりと滞空する隆治。
 まるで神仏の降臨を思わせるゆっくりしたスピードで、舞台の床に降り立つのだった。

 ドールィ・ガモウ(焦脚の業・e03847)は、最初に義骸装甲で地獄を封じて登場、花道を歩くにつれて徐々に足先から炎を出し始めた。
「宿す地獄は両脚の炎! 踏み行く道は焦脚の業! 赤き竜人! ドールィ・ガモウゥゥゥゥ!!」
 次第に駆け出しては最大火力の膝上まで地獄を噴出、鋭い蹴り技を披露。
 回し蹴りから返す脚で足刀蹴りに繋げるや、体を捻りつつ跳躍して空中三段蹴りを放っては、尻尾から着地。
 尾を軸にバランスを取って開いた両脚をぐるぐる振り回し、最後は炎を噴き上げた派手なサマーソルトキックで締めた。

「誰よりも愛深きゆえに傷つき、誰よりも愛を求める男! 『純』な『愛』! それが私! みやぎし・あずみだ!」
「私は強敵との戦いで心臓を失い、そして地獄の炎で復活を遂げた。その強敵とは、リア充! あるいはバカップル! 腐れアベック!」
 宮岸・愛純(冗談の通じない男・e41541)は、つかつかと花道に歩を進め、血涙を流す勢いで叫ぶ。
「我、悪を滅ぼし独り身的な意味での正義を示す存在! 人は私をこう呼ぶ! 嫉妬戦士!」
 すると愛純の地獄化した心臓が燃え上がり、炎が全身へ波及して、まさしく燃える男と化した。
「我が愛! すなわち嫉妬を見よおおおおおおおお」

「例え神が相手だろうと俺の右腕の地獄の炎で焼き尽くしてやる! これがイグナス・エクエス、怒れる獄炎が誇る浪漫の結晶! 必殺の大爆発螺旋(ビッグバンドリル)だッ!」
 勢いのあるアナウンスと同時に颯爽と登場したのは、イグナス・エクエス(怒れる獄炎・e01025)。
 花道の終点に聳える分厚い壁——ダモクレスの残骸に似せた巨大スクラップ——を前に、イグナスは右腕の地獄の炎を極限まで高めて、炎を纏った巨大なステップドリルと化す。
 激しく回転させたドリル——地獄の炎を推進力に壁へ突撃、一気呵成にぶち抜いた。

「ぶっちゃけ地獄化は傷つき苦しんだ証。おいそれ玩具にゃ出来ないが、いつまでも背を向けてちゃいられない!」
 そう意気込むのは天野・司(心骸・e11511)。
「一発ドカンと楽しくいこうじゃないか!」
 腹を括って花道を歩き出せば、二つ名の口上が重なる。
「記憶と心臓を失って、命と人生の輝かしき価値を知った。故に戦い続ける! 1つでも輝かしき未来を護る為、刻み放とう焔の鼓動! 天野・司!」
 司は花道の中程まで来ると、覚醒する自我で虹色の炎の波紋を広げる。
 己もくるくる回って心臓に炎を集め、色鮮やかなオーロラを打ち上げた。

 堂々と花道を歩いてきた篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)は、鉄塊剣“餓者髑髏”と鉄塊剣“以津真天”を合体。
 二股に分かれ巨大斧のようになった電離血漿大刃をぐるぐるっと回してから、ピタッと止めて構えるや、地獄化した血液を霧の如く噴出、歌舞伎役者みたいに見栄を切った。
「7番、ささ・さくや。地獄化部位は心臓と血液。雲を斬りますっすー」
 宣言すると同時に、佐久弥は電離血漿大刃からプラズマを噴射。
(「感情を燃やして頑張れ俺」)
 血潮を燃やし尽くし、天まで届けと炎血刃を伸ばして、小さな雲をぶった切った。


「黒翼に宿すは仏の怒り、変幻自在の八大地獄を見よ! 動くものは全て食材! お前も鍋で炒めて喰ってやろうか!? 呂・花琳ーーーーー!!!」
 拳法の構えから震脚に移るのは呂・花琳(デウスエクス飯・e04546)。
「己が地獄はおいそれと他人に見せるものではないと言うのが持論じゃが、新春の目出度い席にそれを持ち出すのも野暮かの」
 花琳は足元を一時的に地獄化、地獄植物の一種である剣葉樹を召喚、みるみるうちに枝葉を繁らせた。
「どうじゃ、これぞ新春真盛り!」
 更には花を満開にした花琳自身、花も綻ぶ笑顔である。

「友の命と秤にかけて差し出したるは己の面! 不覚傷だと笑われようと初めて命を守った証! この顔こそが我が誇り!」
 ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)は斧を右肩に担ぎ、左脇に兜を抱えて素顔の入場。
「顔も鎧も黒く染め命の源“重力”を守る鋼の士! 黒影の重騎士ジョルディ・クレイグここに見参!」
 兜を被って花道を駆けるや、右と左の斧を交互に振り抜き跳躍。
 全身を地獄化し、天へ届けとInferno Busterを発射する。
「平和を勝ち取るその日まで……この身全てを地獄へ捧げようとも戦おう!」
 と見栄を切って締めた。

「千匹の地獄を孕み、全生命の母と説く…醜悪と見做された母体偶像——不変的な怪物、ユグゴト・ツァン!」
 ユグゴト・ツァン(不変の怪・e23397)は、鉄塊剣『立ち去れ』を携え、赤いシスター服を着ていた。
 そして恐ろしい事に、彼女が花道を歩く後から、無数の地獄――小枝にも似た細かで不定形の灰色炎の群れが、めらめらと床を舐めてついて来た。
 地獄化した『家族』の群勢は奇怪な音を漏らし、ユグゴトの後ろで踊り狂っている。
「楽しい! あはははは!」
 哄笑しつつ舞台から飛び降り、ユグゴトは炎を連れて駈け去った。

「過去を代償に得た力。どこからともなく呼び出す炎は、鋭い視線と共に未来を斬り拓く! 幻鬼刀雷(ゴースト・ライトニング)、時浦・零冶ィィィィ!!」
 紹介された時浦・零冶(幻鬼刀雷・e03656)は、全身を覆い尽くした地獄の炎を両手の刀身へと集束して宿らせる。
 そのまま煌々と燃える刀を閃かせるや、幻惑を齎す桜吹雪がはらはらと舞い踊った。
 インフェルノファクターからの桜花剣舞、零冶独自の演武は、きっと世界中の人々の目を楽しませた事だろう。

「次いでおわすは地獄の歌姫、浦葉・響花! デウスエクスに歌声を切断されなければ、ミュージックファイターをも凌ぐ歌唱力を持っていたのではと大評判!」
 ガイバーンのノリノリの紹介で花道を往くのは、浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)。
「別名、未完の”貧乳”歌姫、浦葉・響花!!!」
 響花は、地獄化した歌声を披露。
 機械音声にも似た澄んだ歌声が響き渡る。
 だが。
「ガイバーン君。新年会終わったらちょっといいかな? 話があるの」
 どうやら貧乳はNGワードだったらしく、響花は帰り際ガイバーンへ凄んでみせた。

「疾走する蒼き閃光! 炸裂する両翼は竜人を神速の領域まで加速させる! 蒼炎拳闘竜! マサヨシ・ストォォォフムゥゥ!!!」
 格好良い二つ名をコールされて現れたるは、マサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)。
 マサヨシは花道を風のように駆け抜けると、地獄化した翼の炎を圧縮し、一気に爆発させる。
 そうする事で、相手の懐まで一瞬の内に潜り込み、格闘戦へ持ち込むのが彼の戦闘スタイルだ。
 尚も翼の爆発を連続して、縦横無尽に会場を駆け回るマサヨシ。
 移動先では身軽にパンチやキック、宙空でも翼の爆発を利用し高速の飛び蹴りなどを披露してくれた。

「I'm a Soldier I'm Fire 戦うために愛を燃やすファイアーガール!
 ベルちゃんダイナマイトで全身を地獄の炎に覆われ、加えて最終決戦モードになったのは、ベルベット・フロー(顔面消失ガール・e29652)。
 巨大火の玉と化して全力ダッシュをかましたベルベットは花道の中央で跳び上がるや、小規模な爆発を起こしながら着地。
 煙を鉄塊剣の一振りで豪快に吹き飛ばし、名乗りを上げた。
「大胆不敵に電光石火! 勝利はアタシのためにある! ってね♪」
 燃え残った布切れが引っかかっただけの格好、なるほど大胆である。


「燃える左腕は、自ら選んだ赤き地獄。ナノ連れシャドウエルフ!! 朧・遊鬼ーーー!」
 和服に黒の羽織を合わせて、ゆったりとした風情で花道を歩くのは、朧・遊鬼(言霊と遊戯・e36891)。
「さぁ……地獄の花をお見せしよう」
 左腕の地獄の炎から真っ赤な火の粉を周囲に振り撒いて、あたかも艶やかな花吹雪の様に演出してみせた。

「黒炎の地獄を裡に秘め、機甲の翼で天を舞う。機械仕掛けのオオガラス、セレネー・ルナエクリプス、ここに在り!」
 セレネー・ルナエクリプス(機械仕掛けのオオガラス・e41784)は、拝殿より姿を現した刹那、その黒い翼で飛翔。
 縦にくるくる回って着地するや、芸術と見紛う程に精緻な義骸装甲を装着した翼で身体を包み込み、花道を進んだ。
 黒い義骸装甲の他にも、漆黒のチャイナドレスや長い黒髪と、顔以外はほぼ黒一色のセレネー。
 そして、肩甲骨辺りに留めていた両の鉄塊剣を抜き放ち、剣舞を奉納。基本の型を忠実になぞって見る者を楽しませた。

「我が名こそ熱源、燃料にして光源。"地獄入り鎧"ラーヴァ・バケット……!!」
 ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)は、口上に合わせて紳士的に一礼。
「あんな目立てそうな舞台に立てるのですか、たのしそうですねえ」
 と、自分の番が来る前から期待に満ちた感情に呼応して、頭部のバケツヘルムが燃え盛っていた。
「我が名は熱源。炎をお見せ致しましょう」
 機械仕掛けの脚付き大型弓をだんっと地に立て、膝をつき空目掛けて可燃液と高熱の矢を発射するラーヴァ。
 客と花道の間をド派手に炎の海へしてのけたのだった。

「傷痕残る身体の内に宿るは地獄の炎! 過去の記憶はどこへやら、生まれ持ったセクシーボデェーをぶん回して戦う僥倖のゾンビィイイールェディイイ、ケイティィイイイイイ・ジィッエンドォ!!!」
 ケイティ・ジエンド(僥倖のゾンビーレディ・e37874)はケルベロスコートを纏い、まるでファッションモデルみたく花道を闊歩する。
 中程まで来たらパッとケルベロスコートを脱ぎ捨て、己が豊満な肢体をセクシーポーズで見せつけた。
 更には、痛々しい傷痕を下腹部から胸元へゆっくりなぞった指先へ、地獄の炎を灯すケイティ。
 最後はウィンクしつつの投げキッスで場を沸かせた。

「石化の宿業の果てに地獄をもって、失った右腕を取り戻せし賢者! 刻真・Sivals!」
 めらめらと右腕より湧き上がる黒炎を揺らめかせながら登場したのは、コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)。
 歩いてきた花道の終点でターンする瞬間、不意に義骸装甲を装着。
 左腕と寸分違わぬ生身の腕を魅せるべく、背中に背負ったスルードゲルミルを抜いて、高々と掲げた。
「我が手に従うはスルードゲルミル! 我が地獄の腕と指先が紡ぎし我が神器なり!」
 豪快かつ繊細な剣捌きを演じ切った後は、颯爽と踵を返して戻っていくコクマだ。

「両親への想いを胸に秘め、今日も猪突猛進突っ走る! 堂道・花火ー!」
 堂道・花火(光彩陸離・e40184)は、花道の終点でパーカーを脱いでTシャツ姿に。
「ケルベロス新年会! しかも世界配信! 精一杯楽しませていただくッス!」
 包帯越しに両肘から先の地獄を燃やしてアピールした。
「堂道花火ッス! 去年は色んな方にお世話になったッス! 今年も頑張るッスよ!」
 加えて、両腕の地獄を一時的に強化、全力で振りかぶり炎渦巻く旋風を作り上げた花火。
「今年も一年よろしくお願いします!」
 最後は礼儀正しく一礼した。

「亡き恋人と左腕のために復讐を誓い、黄泉がえってきた地獄の走狗。この男を駈り立てるのは力無き者を蹂躙する卑劣な敵への憎しみ、そして護りきれなかった己への無念。目には目を、歯には歯を、愛する者を奪ったクソ野郎には無限の虚無をくれてやれ! 瀬部・燐太郎!!」
 瀬部・燐太郎(戦場の健啖家・e23218)は、花道の終点へ辿り着くや、ヴィーナ・ケイヴァ:セントラルをぶっ放す。
 更にその反動で一八式試作型大鉄塊剣を豪快に薙ぎ払って。
 最後は、義骸装甲に仕込んだ重力子加速器へ地獄のエネルギーを注いで超絶過負荷運動を発現、機械仕掛けの掌から衝撃波を放出した。


「続いてはこの男、左腕に揺らめく炎は一生消えない遊び人の刻印、ゲームを愛する無気力人間、水無月・鬼人だァァァァ!!」
「てなわけで、我が名は水無月、ダイスの刻印を左腕に宿したダメ人間、此処に登場!」
 ガイバーンの紹介に合わせて、花道を進んだ水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)が地獄化した左腕を眼前に掲げてポーズを取る。
 炎を噴き上げる左腕から飛び散った火の粉が、何故かどれも賽の目に見えるのは不思議である。
「……って訳だ。はっはっは。…………はぁ」
 ため息一つ落とす鬼人自身は、複雑そうな表情だが。

「気まぐれに燃える優しさは猫の証明? 猫に真面目は期待するな、いつだって遊んでる。炎と共に遊戯を、富士野・白亜!」
 てててて、と全身燃え盛る白猫の姿で走り寄ってきたのは、富士野・白亜(白猫遊戯・e18883)。
 そのまま白金色の地獄で階段状の足場を作り、花道を軽く駆け上がってから機敏に宙返りしてから、スタッと綺麗に着地。
 最後は地獄を猫の形に作っておしまい。
(「……料理に煮干しはあるだろうか」)
 ここまでずっと無表情の白亜だが、猫耳だけは新年会の料理が楽しみな気持ちの表れかぴこぴこ揺れていた。

「闇夜を照らすきらきらキャッツアイ! 機械仕掛けのイノセンス、エイス・レヴィ!」
 エイス・レヴィ(ワールドイズユアーズ・e35321)は、口上に照れた様子で花道へ進み出る。
「……この二つ名、なんだかとても気恥ずかしいです。知人の画家さんが考えてくれたのですが……」
 それでも花道を歩き切ったら、照明を落としてパフォーマンス開始。
 硝子の瞳と猫耳から透けて見える地獄の炎をきらきら輝かせた。
「えーと、昨日習った算数の式は……」
 懸命に難しい事を考えて、瞳を星のようにちかちか瞬かせるのが微笑ましい。

「……人の心と引き換えに……奪われた足に新たな力を……炎の拳と剣の導き手……霧崎天音!」
 地獄の炎を激しく燃やしつつもゆっくり歩くのは霧崎・天音(星の導きを・e18738)。
 花道に焦げた足跡を刻み、かっこよさをアピールしていた。
 宙返りや回し跳び蹴り等も挟み、地獄による光の軌跡を美しく描いていく。
 最後は、地獄の炎で形成した桜の花びらを撒き散らす獄炎斬華・死桜でフィニッシュ。
「……私の力も結構……使いこなせるようになってきた……これ、かっこいい……かな?」
 心配そうに呟く天音は可愛く微笑ましい。

 拝殿からふらりゆらりと現れたるは、千紫万紅の着物を纏い、赤い羽織を掛けた美女。
「新年のお披露目ですので控え目にー。華やかに彩りー、言祝ぎましょうかー」
 穏やかに微笑むフラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)だ。
「情動も理性も地獄に焚べた、それでも尚、己を想えば吾は在ると証明す【練達の揺らぎ人】、フラッタリー・フラッタラー!!!」
 フラッタリーは、額から迸る焔を渦巻くように全身へ纏うや、羽織の内より取り出したる野干吼に収束。
 空に向かって袈裟斬りをし、焔を花形に放った。

「その瞳に過去と未来は映ることなく、見えるは現在(いま)、ただそれだけだ! 失った魂を心をケルベロスになって得た男! 魂の亡失者、巫・縁!」
 斬機神刀『牙龍天誓』を片手に歩いてくるのは、巫・縁(魂の亡失者・e01047)。
 恋人のオランジェット・カズラヴァ(黎明の戦乙女・e24607)が、花道の上の彼を見て全力で拍手しているのが健気である。
 突き当たりで一度だけ空を斬って鉄塊剣を構えた刹那、素早く仮面を外してターン。
 地獄化した眼そのものは他人から見えないが、蒼い炎が落ち着いた明度の尾を一瞬引くのが判った。

「燃える翼は愛の炎! 千変万化の戦乙女! その名はオランジェット・カズラヴァ……!!」
「新年ですしおめでたいものを……ということで、ご来光、です」
 オランジェットはおっとりした調子で宣言するや、隠していた翼を出現させる。
 綺麗に広げた円形の翼を明るく輝かせ、まるで太陽のように演出、そのままゆっくり浮かび上がって日の出を模してみせた。
(「……いいえ、一発芸ではありませんとも。ありませんとも……!」)
 微かに頬を染め、誰にともなく言い訳している様も可愛らしいオランジェットだった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月16日
難度:易しい
参加:28人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。