病魔根絶計画~また絵を描けますように

作者:雨音瑛

●絵を描きたい女の子
 ベッドの上で、小学校低学年くらいの女の子がぐすぐすと泣いている。
「絵を描きたいよう」
 女の子の腕は、石のようになって動かない。腕だけではない、足もだ。
「お母さん、お兄ちゃん……わたし、石みたいになって死んじゃうのかな?」
 女の子は、ベッドのそばにいる母と、中学生くらいの兄を涙目で見つめる。
「だ、大丈夫だよ! ほら、お兄ちゃんが足をマッサージしてやる。だんだん良くなるぞー!」
 兄は無理につくった笑顔を妹に向け、石のように固くなった足に触れる。その硬さに驚きながらも、顔には出さないように。
「それじゃ、お母さんは手をマッサージしてあげるね。奈々子がまた、絵を描けるようになりますようにー、って」
 母親も、女の子の固くなった手にふれ、ゆっくりと押してゆく。
 病室には、数枚の絵が貼られている。どれも、女の子が描いたものだろう。
 クリスマスツリーに雪だるま、鏡餅に犬に猫。その中に一枚だけある描きかけの絵は、3つの人のかたちに見えた。

●ヘリポートにて
 病魔の撃破を頼みたいと、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が告げる。
「というのも、病院の医師やウィッチドクターの努力で『メデューサ病』という病気を根絶する準備が整ったからだ」
 メデューサ病は、感染者のグラビティ・チェインを吸収しながら力を増していき、身体を徐々に石のような硬さへと変えてゆく病気だ。硬化した部位のマッサージを続ければ病状の進行を遅らせることはできるが、止めることはできない。硬化が生命維持に必要な臓器にまで至れば、感染者は死んでしまうらしい。
「現在、この病気の患者達が大病院に集められ、病魔との戦闘準備が進められている。君たちには、この中で特に強い『重病患者の病魔』を倒して欲しい」
 いま重症患者の病魔を一体残らず倒せれば、メデューサ病は根絶され、今後新たな患者が現れることもなくなる。
 しかし敗北すればメデューサ病は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまう。
「普段のデウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急の依頼というわけではないが……この病気に苦しむ人をなくすため、どうにか作戦を成功させて欲しい」
 そのためにも、まずは戦闘となる病魔の能力について説明しようと、ウィズはタブレット端末に表示された上方を読み上げる。
「メデューサ病の病魔は、2つの攻撃グラビティと1つのヒールグラビティを使い分けてくる。石化効果のある視線での攻撃、頭部の蛇を放って食らい付かせる攻撃。ヒールグラビティには攻撃力を高める効果もあるため、注意が必要だろう」
 また、今回はメデューサ病の病魔への『個別耐性』を得られた場合、戦闘を有利に運べる。
「個別耐性は、メデューサ病の患者の看病をしたり、話し相手になってあげたり、慰問などで元気付けたりすることで、一時的に得られるようだ」
 個別耐性を得ると、メデューサ病の病魔から受けるダメージが減少する。つまり、戦闘を有利に進めることができる、というわけだ。
「メデューサ病で苦しむ人を助けるのはもちろん、病魔を根絶するこの機会、逃したくないものだな。……何にせよ、私は君たちを信じてヘリオンで運ぶだけだ」
 頼んだぞ、と付け足して、ウィズは微笑んだ。


参加者
藤咲・うるる(メリーヴィヴィッド・e00086)
メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)
ノル・キサラギ(銀架・e01639)
ルペッタ・ルーネル(花さがし・e11652)
ムジカ・レヴリス(花舞・e12997)
ウーリ・ヴァーツェル(アフターライト・e25074)
クラレット・エミュー(君の世は冬・e27106)
レイ・ローレンス(イラ廃暴走幼女・e35786)

■リプレイ

●ひととき
 病室の窓からは、あたたかな日差しが入り込んでいる。だというのに、垣田・奈々子の表情は晴れない。
 不意に、病室のドアが開く。現れたのは奈々子の母と兄、そして――。
「はじめまして、ケルベロスの者よ。あなたを苦しめる病魔をやっつけに来たわ!」
 藤咲・うるる(メリーヴィヴィッド・e00086)が向けるのは、ひまわりを彷彿させる笑顔。ウーリ・ヴァーツェル(アフターライト・e25074)も、力強くうなずいた。
「その病気を引っぺがして、痛くもしんどくもないうちにぱぱっとやっつけに来ました。前にもそうして病気治したことあるから、安心して任せて」
 と、目線を合わせて拳を握りしめる。
「……ほんと?」
「本当だとも。悪い病気は皆ですぐにやっつけてあげるからね、『約束』だよ」
 メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)が屈み、少女に微笑みかける。彼にとって『約束』は、何をおいても守るべきものだ。
「よし、おじさんが絵が上手になるおまじないをしてあげよう」
 メイザースは謳うように呪文を唱え、奈々子の掌に模様を描いた。最後に指をぱちんと鳴らすと、どこからともなくクレヨンが現れる。
「おや、お絵かきの妖精さんも応援してくれているようだ。これはお守りだよ」
 そう言って、メイザースは奈々子の胸ポケットにクレヨンを入れた。
「おじさん、ありがとう!」
「必ず病魔をやっつけるから、そしたら一緒にお絵描きしような。これは俺との『約束』だ」
 ノル・キサラギ(銀架・e01639)はベッドの横でしゃがみ、奈々子と視線を合わせた。そうして奈々子の右腕に触れ、マッサージを始める。
「そうだ、歌を教えてくれないかな? クリスマスやお正月の歌、好きな流行りの歌……俺知らないんだ」
 奈々子は目を輝かせ、クリスマスの歌、正月の歌を歌い始める。続けて歌ってみるノルの音程があまりにも合わないことをちょっとだけ笑って、奈々子はお手本だよと何度も歌ってくれる。
「いっぱい歌ったから喉が渇いたんじゃないかな? 俺が何か飲み物買ってくるよ」
 雑事も含めて、奈々子が楽しく安心して過ごせるようにとの気遣いからだ。ノルは立ち上がり、小さく奈々子に手を振る。
 そっと近づいたルペッタ・ルーネル(花さがし・e11652)は、自身のスケッチノートを開いて奈々子に見せた。
「わあ、きれいなお花……」
「ありがとうございます。私も絵を描くのが好きで、いつもは色鉛筆を使うのですが……こんな描き方もありますよ」
 指に絵の具をつけて、紙に触れる。体を動かしにくくても、この方法なら絵が描ける。
「少し動かすだけで……ほら。綺麗なお花になりました! どうでしょう、奈々子ちゃんも一緒にやってみませんか?」
「わたしにもできるかな?」
「絵の具も落としやすいものですし、ウェットティッシュも用意してますよ」
 ルペッタが奈々子の母親を見遣ると、彼女はすぐにうなずいた。
「ね、お母さんの許可ももらいましたし。やってみましょう」
 奈々子の指先に絵の具をつけて、紙に指先をつけて。それを何度か繰り返せば、雪原に虹の花々が咲き誇るかのよう。
「とってもたのしかった! ルペッタおねーさん、ありがとう!」
 喜ぶ奈々子に、レイ・ローレンス(イラ廃暴走幼女・e35786)も話しかける。
「皆様で病気を治してあげるから、治った時の描きたい絵を考えておいて欲しいの。ウチも絵を描くの好きだから治ったら一緒に絵……描きましょうですの」
「いいの? 楽しみにしてるね!」
「ウチも楽しみにしてますの。あ、ホルスちゃんの背中に乗ってみます?」
 レイの提案に、ボクスドラゴン「ホルス」が進み出る。すると、奈々子の表情が曇った。
「あのね、わたし……足もかたくなってるの。だから、ちょっとむずかしい、かなあ……」
 メデューサ病の症状は、体の硬化。しかしその硬化が生命維持に必要な臓器にまで至れば、患者は死んでしまう。
 その恐怖が蘇ったのだろう。うつむいて不安そうにする奈々子の左腕を、ムジカ・レヴリス(花舞・e12997)がマッサージする。
「大丈夫、奈々子ちゃんは死なない。絶対に治るワ、そのために、アタシ達が来たんだから大丈夫」
 気持ちが、励ましが届くように、ムジカは顔を上げた奈々子の瞳を真っ直ぐに見る。
「だからあともうちょっとだけ、もうちょっとの間、一緒に頑張りましょ! 治ったら、まだ描いている途中の絵、完成させようネ」
 それだけではなく、いっぱいいっぱい絵を描こうと、マッサージをしながらムジカは続ける。
「描けなかった分を取り戻すくらいに思い切り描こ! そうしたら、お姉ちゃん達も描いてくれる?」
「うん、描きたい!」
「上手に描けたら見せてくれるかい?」
 メイザースの言葉に、奈々子はもちろん、と元気に返事をした。
「楽しみやねぇ。他にこんな絵を描きたいっていうのはある? 教えてくれたら嬉しいな、それ聞いたら凄く頑張れるから!」
 ウーリが問うと、奈々子は天井を見て考え込む。
「学校のともだち! わたしが入院している間ね、勉強遅れないようにって、ときどきここに来て、学校で習ったことを教えてもらってたの」
「いい友だちだな。他に、治ったらやりたいことはある?」
 戻ったノルが、購入したオレンジジュースをコップに注ぐ。
「お絵かきもそうだけど、思いっきり走ってみたいなあ」
 そう告げる奈々子に、ノルはゆっくりとオレンジジュースを飲ませてゆく。
「ジュースありがとう、ノルおにーさん!」
「どういたしまして。そうだ、絵描き歌の話があれば後で俺にも教えてね。絵を描く仲間もいるんだよ。奈々子も、いつかなれるかもな」
 笑みを絶やさず、ノルは奈々子の口元を拭いてやる。
「奈々子ちゃんがケルベロスになったら、ウチが先輩としてびしばし鍛えたる!」
 ウーリが『びしばし』を大袈裟な身ぶり手ぶりで示した。
「わあ、ウーリおねーさんこわい!」
 なんて言いつつ、奈々子は楽しそうに笑っている。彼女が望む未来を口に出して言うことは、きっと治る意思にも繋がるはずだ。
 ウーリがテレビウム『てつちゃん』と一緒にマッサージする足は、子どもらしからぬ固さ。内心でへこみつつも、顔には決して出さないように気をつける。
 腹部のマッサージは、ルペッタのウイングキャット「リル」が担う。肉球のついた手足で、ふみふみ、ふみふみ。ケルベロスが奈々子をマッサージしているのを見て、真似してみたくなったようだ。
「かわいい猫さんも、ありがとう」
 そんな光景を横目に、クラレット・エミュー(君の世は冬・e27106)もマッサージをする。左手には、手袋をはめて。
「すこしひんやりとしているかもしれんが、我慢しておくれね。ふふふ、心のあたたかい人間は手が冷たいというぞ」
「それじゃわたし、心のあたたかいひとに治してもらえるんだね、うれしいな」
「そう素直に喜ばれると、少々気恥ずかしいな。……やあ、せっかくだ、君の絵を見せてくれるかい。君が続きを描くことができるように。どこにでも行けて、題材にも困らんよ」
「うん、あのね、壁に貼ってあるんだ。これ全部、わたしが描いたの」
 クラレットがぐるりと室内を見回せば、クレヨンで描いた色とりどりの架空の世界。
「泣くのは今日まで。安心して呉れ、私たちはみなケルベロス。これだけの番犬が、君の為に一同に介したんだ」
「そうよ! いまはとっても辛いかもしれないけれど、諦めないで、どうか信じてほしいの。病気が完治して、また元気いっぱいに絵を描いている自分をね!」
 うるる自身も、重い病気で入院していたことがある。だから、奈々子の気持ちは痛いほどにわかる。
「そのためにも私たち、頑張るわ!」
 うるるは奈々子の手を握った。自分の未来を信じられるように、そして自分の元気を分けられるように、と。

●病魔、顕現
 慰問の時間は終わり、いよいよ病魔とのご対面だ。
「それでは、始めようか。大丈夫、痛くないからね」
 にっこり微笑んだメイザースは、施術黒衣を翻して虎鶫の翼を大きく広げた。
 その間、ノルは奈々子の不安を和らげるように側に寄り添う。
「大丈夫、必ず治すから」
 小さく返事をする奈々子の顔には、やはり緊張が見える。そんな奈々子に勇気を振りまこうと、レイはプリンセスモードで煌びやかに変身した。
「緊張する必要はありませんの。サモニング・ローレンにお任せですの♪」
 と、その場でくるりと回ってピースをするレイ。
 こんなにも、頼もしいケルベロスたちがいるのだ。きっと大丈夫と、奈々子は自身を奮い立たせる。
 やがて、病魔がその姿を現す。出現した病魔と奈々子の間に、ウーリとムジカ、ノルがすかさず位置取った。
「移動は私が受け持つ、君たちは病魔の相手を」
 クラレットは奈々子をストレッチャーに乗せ、急いで病室の外へ出る。
 直後、病魔の目が光り、レイを睨んだ。
「ふふん、全然効かないですの」
 防具、そして得られた『個別耐性』で、メデューサ病の病魔から受けるダメージは微々たるものだ。
「それにしても、メデューサとは上手い名前に姿だこと。神話の存在は現代にはそぐわない――還させてもらうわ」
 ムジカはバトルオーラ「Salome」から弾丸を練り上げ、病魔に向けて打ち出す。ルペッタの放ったオーラの弾丸が続けざまに命中すると、リルは翼をはためかせて前衛に耐性を与える。
 エアシューズ「ルピナスの礎」を脚に装備したノルは、病魔の横っ面に流星の蹴撃を叩き込んだ。
 うるるの攻撃は、何よりも命中を重視して。降魔の一撃で、うるるは蛇ごと病魔の体力を削ぐ。
「得られた個別耐性で、受けるダメージは微々たるもの。でも、積み重なれば脅威になり得るからね。我が名を以て命ず。其の身、銀光の盾となれーー堅牢なばかりが盾ではないよ?」
 メイザースは静かに言い、オウガメタル「Atlas」に魔力を分け与えて分体を生成した。そうしてレイに纏わりつき、流体盾として作用するようになる。
「助かりますの。ウチも援護しますの」
 爆破スイッチ「爆雪花」で、レイは前衛の背後にさまざまな彩りの爆発を起こした。
 ホルスが封印箱に入って体当たりをすると、てつちゃんは砂嵐の流れる顔面を発光させて病魔の怒りを自身に向ける。
 ウーリはゲシュタルトグレイブを手に、病魔を正面に捉えた。
「うちは約束は守る方やし、伸ばされた手を一度取ったならその手は守り通す。せやから柔らかな子どもの未来を固めてしまうような病気には――」
 槍の穂先に稲妻を宿し、病魔の懐へ。
「ご退場願おか」
 言い切るのと、貫くのは同時であった。

 奈々子への励ましやマッサージで、全員が病魔への個別耐性を得られた。結果、ケルベロスが受けるダメージは半減。最初から、ケルベロスたちは優勢であった。
 奈々子を避難させたクラレットも仲間の元へと戻って戦列に加われば、ケルベロスたちは破竹の勢いで病魔を追い詰めてゆく。
「供をして呉れ、ノーレ」
 クラレットが妹のような存在であるビハインド「ノールマン」に告げると、ふわり彼女はいつの間にか病魔の背後へ。叩き込んだ見えぬ一撃に揺れる病魔を前に、クラレットは疑問を口にする。
「メデューサ病、か。不思議な病だ。それにしても病気という病気は、いったいどうしてこの世からなくならん」
 脳裏に浮かぶのは、かつて救えなかった命たち。しかしそれはわずかな時間。クラレットは少女を救う為に病魔を倒さんと、避雷針の異名を持つ杖の先端から電撃を飛ばす。
 全員の体力は安定している。メイザースは古代語魔法を詠唱し、病魔の一端を硬化させた。
「石になる気分はどうだい? これまでの意趣返し、因果応報という奴だ」
 今回も、無事に病を取り除けるよう。ウーリはまるで気を緩めず、病魔と相対する。
「讃えて湛えよ、この一拍」
 掌を打ち鳴らせば、一音だけが病室に響く。しかしそれは耳鳴りの檻となって、病魔のトラウマを生み出すに至る。
「てつちゃん、いけるやろか?」
 顔面に砂嵐を映したてつちゃんは軽くバールのようなものを掲げて返答をし、そのまま病魔を殴りつけた。
 リルが爪でひっかくと、ルペッタは病魔の加護を砕くべく星辰の剣で斬りつける。
「合わせますの! カードイグニッション!ゲヘンクテ、この者共を縛り付けて」
 手にしたカードの力を解放し、レイは吊るされた男のエネルギー体を一時召喚した。病魔を拘束し、攻撃するのは男の数多な想い。さらに付与されるのは、癒しを妨げる力。
 ホルスが主へと自身の属性を注入すると、病魔は頭部の蛇を解き放った。蛇の群れは、前衛のケルベロスへ到達する。
 噛みつかれた痛みをそのままに、ノルはプログラムを起動した。
「こんな痛み、あの子の来る済みに比べれば――コードX-0、術式演算(カリキュレーション)。ターゲットロック。演算完了。魂を刻め、刻下刻撃(ヴェルザンディ・レイド)!」
 病室内をたゆたうように移動する病魔の行動を分析し、ノルは仮想演算を介した一撃を放つ。そして一回転して浮いた病魔の真下へ、うるるが飛び込んだ。
「大丈夫、今に何も見えなくなるわ」
 拳に集めるのは、喰らってきた病魔の力。苛烈な一撃が病魔を一直線に貫くと、輝かしい光が病室に満ちあふれた。
 病気で苦しい思いを頑張って耐えてきた奈々子と、奈々子を支えてきた母と兄と皆で素敵な年を迎えられるように。ムジカは病魔の真横へと移動し、高らかに宣言する。
「約束を叶えてこそ、ケルベロスよネ! ――If you can dream it, you can do it.」
 色鮮やかに、舞うように。ムジカの一撃で、病魔の頭部にうねる蛇は飛び散り、顔が崩れてゆく。
 後に残るものは何もなく。病魔が、消え去った。

 まずは戦闘の余波で傷ついた病室の修復をと、レイはブレイブマインを使用する。
「爆発で修復できるとは、不思議ですの」
 そう言って、首をかしげた。
 ヒールを終えた病室に奈々子を、そして母と兄を呼び戻し、ノルとムジカは二人に声をかける。
「もう大丈夫、大変だったな」
「お兄ちゃんもお母さんも頑張ってたネ」
 また、メイザースは丁寧に頭を下げて。
「奈々子君の頑張りと、ご家族の方の看病があってこその完治です」
 次いで、メイザースは奈々子の兄へと向き直る。
「君も頑張ってくれたね、ありがとう」
「いえ、ケルベロスのみなさんのおかげです。本当に、ありがとうございます」
 奈々子の兄は礼儀正しく頭を下げ、感謝を述べた。
 再びベッドに横になる奈々子に、ノルとムジカが柔らかな笑みを向ける。
「……頑張ったな」
「大丈夫、もう大丈夫だから素敵な新年を迎えましょ」
「うん! ありがとう、ケルベロスさん!」
 少女の顔に、やがて春に咲く花を思わせるような笑顔が浮かんだ。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月5日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
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